扉のない2LDKに物と猫よけの「檻」があふれる家:古堅純子が初回訪問で見た片付けの難しさ

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概要

片付けの専門家・古堅純子が、夫婦2人と保護猫3匹が暮らす一軒家を訪ねた。本記事はその初回訪問の回にあたり、実際の作業はまだ始まっていない。家の中を一通り見て、何に困っているのかを聞き取る回である。この家の難しさは、物が多いことに加えて、間取りがオープンで扉付きの収納がほとんどなく、物を「逃がす」場所がない点にある。さらに猫を寝室や納戸に入れないための柵や檻があちこちに設けられている。古堅はこの家を「オープンで素敵な家なのに、物のせいで」台無しになっていると見て、隠す場所をどう作るかを探っていく。

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夫婦2人と保護猫3匹、築17〜18年の2階建て

依頼者は56歳で、10歳年上の夫と2人で暮らしている。間取りは2LDKの2階建てで、建ててから17〜18年がたつ。依頼者自身が「ちょっと変な作り」と表現する家である。住人として家族を数えると、人間2人に対して猫が3匹いる。

依頼者によると、猫はおよそ14年飼ってきた。1匹ずつ飼っては見送ることを繰り返し、ここ2年ほどは猫がいなかった。近所をうろついていた母猫が年に2回子猫を産み、子猫が増えるのを快く思わない人もいるため、ちょうど1年前に生まれた子猫たちを保護した。それで一気に3匹が加わった。

猫たちは人が苦手で、古堅が訪問した時点ではどこかに隠れていて姿が見えなかった。依頼者や夫が掃除をするだけでも逃げ回るという。作業当日にどうするかも悩みの種になっている。依頼者は1週間前に、3匹を玄関近くに出したケージに入れてみた。2匹は平気だったが、1匹が大声で鳴き続けて大変だったため、3匹とも入れておくのは厳しいかもしれないと迷っている。古堅は、隠れていてくれる分には構わないが、寝られなくなるような状態は困るだろうと応じた。

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2階のLDK:可愛いものが「出し収納」になっている

古堅は「衝撃が少ないところから」と、まず2階を見た。依頼者は家を建てた当初、北欧系のインテリアを目指していた。ところが、もともと好きだったキャラクターやアニメの物がどんどん増え、北欧系の面影は薄れた。ほこりをかぶったムーミンの置き物もある。

古堅は第一印象として、見た目は素敵で、思ったほどの衝撃ではないと話した。ただ、振り返って部屋全体を見ると物の量が多く、収納されずに出しっぱなしの「出し収納」になっていると指摘した。猫好きなので猫の居場所もたくさんあり、本物の猫とは別に猫の置き物も多い。依頼者は、飾るというより置きっぱなしになってごちゃごちゃしていると自覚している。

一番の問題はダイニングテーブルだ。テーブルの上を何もない状態にできない。夫はいつも奥の席に座り、依頼者は手前に座る。食事のときは物を寄せて場所を作っているが、夫の席からは書類の山が目に入り、夫はそれを嫌がっている。夫は今回の訪問を知っていて、楽しみにしているという。

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猫アレルギーと、寝室を守る網とカーテン

古堅は、吹き抜けのような場所に張られた網に目を留めた。依頼者によると、この網は訪問の2〜3日前に急いで張ったものだ。それまではカーテンレールに洗濯物を引っかけて干していた。

依頼者は重度の猫アレルギーだという。保護した猫を本当はもっと早く里親に出したかったが、人に慣れないため譲渡にも出せず、半年以上家の中で暮らしている。その奥にある寝室に猫が入ると、依頼者は寝ていても苦しくなる。そこで足場を悪くし、洗濯物で目隠しをして猫が入らないようにしていた。今回の片付けを機に家具まわりもきれいにしたいと考え、洗濯物の代わりに網を張った。古堅は、洗濯物よりは見た目がいいかもしれないと話した。

寝室の入り口にも猫よけの柵とカーテンがある。依頼者の説明では、柵だけだと猫が飛び越えてしまうので、カーテンで目隠しをしている。アレルギーは猫が1匹だけのときはまだ大丈夫だったが、3匹になってひどくなり、ほぼ毎日症状が出ている。古堅が更年期の影響にも触れると、依頼者はそれも認めた。

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寝室:ぬいぐるみ、鬼滅、作家物のアクセサリー

寝室にも扉がなく、白い柵を持ち上げて開けて入る。中にはぬいぐるみや『鬼滅の刃』のグッズが並ぶ。依頼者は「いい年して」と恐縮したが、古堅は個性があっていいと受け止めた。

テレビ台の下段も雑誌で埋まっていたが、依頼者は今回の訪問に向けて不要な物を出し、すでにかなり片付けていた。古堅はそれを評価しつつ、好きな物が多すぎるのが問題だと見た。物の量の割合を尋ねると、依頼者は自分の物が8〜9割だと答えた。夫は物が多いのは嫌だと思っているが、整頓されていれば構わないという考えで、依頼者が物を買うことに文句は言わないという。

夫は「週末ビフォーアフター」をもともと知らなかった。依頼者は古堅のファンで番組をずっと見ており、応募するときに夫にもいくつか回を見てもらった。当選の確率は低いと話していたが、選ばれたことで夫もやる気になり、捨てる物はそれほどないはずなのにたくさん捨てていたという。

それでも古堅の目には、家全体が「女子」の部屋に見え、夫の気配が感じられない。依頼者が56歳になったばかりだと聞いて、古堅は「ここだけ見たら17歳だよ」と言い、気持ちが止まっているのだろうと話した。古堅自身も、占い師のゲッターズ飯田に「中二で止まっている」と言われたことがあると明かし、気持ちは分かると添えた。

寝室には、好きな作家の作品だというアクセサリーのコレクションもぶら下がっている。気に入った物があるとつい買ってしまうという。古堅は、こんな所に下げたらほこりまみれになると指摘した。ここの物も減らす必要があるが、それには移す先が要る。依頼者に「逃がせる場所」を尋ねると、依頼者は「それがないんです」と答えた。

12:15

計画変更で生まれた使いにくい「ママスペース」

2階で古堅が足を止めたのが、キッチン脇の一角だ。家を建てるとき、ここには扉付きの収納庫を作る予定だった。ところが設計中に友人の家でキッチン脇のママデスクを見て気に入り、急きょ変更を頼んだ。

依頼者はA4のファイルが入るように頼んだが、実際には2段目にA4ファイルが入らなかった。それで嫌になり、今度はデスクトップパソコンを置こうとしたところ、本体が2段目の棚に当たってしまった。棚は固定式で動かせない。依頼者は可動式にしなかったことを強く後悔している。どう使うか決めかねているうちに、物が置かれていくだけの場所になった。

古堅は、ここは階段を上がってすぐ目に入る、とても目立つ場所だと指摘した。目隠しのカーテンを付けるなら寝室の入り口ではなくこちらだ、と話している。

14:39

キッチンの「ダブル扉」と動かない食器棚

家全体がオープンな中で、キッチンの収納には扉が付いている。古堅は、ほかが全部オープンなのにここだけ扉があるのは逆ではないかと面白がった。依頼者によると、扉を付けて隠したかったが、結局は物が出しっぱなしになっている。建てたときは、まさかここまでひどくなるとは思っていなかったという。

古堅はここで一般論として、すっきりした家に住みたい人に限って間取りをオープンにしてしまうが、隠す場所がないとダメだと話した。依頼者は本来、リビングにも造り付けの棚を作りたかったが、費用がかさむため断念した。その際、下の階の納戸に隠せば大丈夫だと言われた。図面では広く見えたが、完成してみると小さく、とても隠しきれなかった。古堅は、扉にお金をかけるか、扉を付けない代わりに物を増やさないか、どちらかだと話している。この家は扉を付けずに物を増やしてしまった。

キッチン収納の扉を開けると、中には依頼者が持ち込んだ扉付きの食器棚が入っている。持ってきた食器棚を入れて隠したいと依頼者自身が希望し、施工側はその通りに作った。その結果、扉の中にさらに扉がある「ダブル扉」になった。古堅は、作った人が「ダブル扉になりますよ」「ここは棚の方がいいですよ」と言ってくれたらよかったのに、と話した。

片方の食器棚は来客用で、ほとんど使われていない。もう片方は日常の食器が入っていて、よく使われている。来客は少なく、依頼者は今の状態では人を呼びたくないと話す。古堅は、日常用はこのままでいいとした上で、来客用の食器棚をリビングに出してはどうかと提案した。そうすれば収納に空きができ、そこら辺に置かれている物をしまえる。キッチン脇という一番いい場所が動いていないことを、古堅は「衝撃映像」と表現した。ただし、どうするのが正解かはまだ分からない、とも断っている。

18:14

1階:檻の向こうの納戸

1階に下りると、玄関にも部屋の手前にも猫よけの檻がある。前の猫を飼っていたときは付けていなかったが、今の猫たちを迎えたあと、土間に入られると困るので設置した。檻の向こうが、2階から物を逃がす先と言われていた納戸だ。古堅は、自分がここに入ったら飼育されているように見えるだろうと冗談を言い、「檻がこんなにある家はなかなかない」と話した。

依頼者はもともと部屋に扉を付けるのが好きではないという。家を建てた当時はペットを飼うつもりもなかったが、1匹目の猫と運命的に出会って迎え入れてから、猫好きに拍車がかかった。玄関の檻のせいで1階からは外に出にくく、1階のインターホンは使っていない。来客対応は2階のインターホンで行っている。

納戸は物でいっぱいだ。手前の洗剤やお菓子は使っているが、奥は把握しきれていない。押し入れがないため、奥に布団をしまう場所を作ったが、そこにも物が詰まっている。檻にはロックが2つあって開けるのが面倒なので、依頼者は別の扉から回り込むようになった。古堅は、オープンに暮らすならどうするかという話だとまとめた。

21:01

洋室:200着近い服の処分と動かないクローゼット

1階の洋室は物置部屋になっていて、洗濯物を干す場所にもなっている。依頼者は今回を機に、服を100何十着、おそらく200着近く処分した。20年ほどかけて集めた大好きなブランドの服を、もう着ないと分かっていても手放せずにいた。今回は1着ずつ着てみて、似合わないと判断したものを捨てた。部屋に残るハンガーは、捨てた服の分である。

その結果、これまで物干し竿にかけていた普段着を、ようやくクローゼットにかけられるようになった。もともとクローゼットにかかっていた服は、まったく動いていなかったという。古堅は、この部屋を何に使いたいのかが問題だと切り出した。

22:25

定年後の夫に居場所を作りたい

依頼者の答えは、夫のためのスペースだった。夫は2度目の定年を迎えているが、まだ働いている。数年後に仕事を辞めたら、2人でダイニングテーブルに向き合って座るしかなくなる。依頼者はテレビが大好きだが、夫がいると口を挟まれるため、2人でいると1日をぼんやり過ごしてしまうことが多い。夫もそれは嫌だと考えている。

そこで、2階にある夫の机をこの洋室に下ろし、一角に夫が過ごせる場所を作りたい。ただ、どうレイアウトすればいいか自分たちでは分からないので、古堅に頼みたいという。夫は、花粉症がひどく外干しできる時期が短いため、部屋干しの洗濯物があっても構わないと言っている。自分のいられる一角があればいい、というのが夫の希望だ。もう一つの願いは、床置きの物をなくすことである。

古堅は、家の物の9割を持つ人の部屋ではなく、物を持たない人の部屋を作るのはとても難しい、と率直に話した。それでも、一生懸命働いてきて、ようやく自分の時間を持てるようになる人のために、そういう場所を作ってあげたいと述べた。

24:12

片付けで体調を崩した依頼者に「10年かけて減らす」

依頼者は奥の本棚の本もかなり処分した。ところが、物と向き合うことにエネルギーを使いすぎたのか、その後2週間ほど体調を崩した。この1か月で片付けを進めたかったが、2週間が無駄になり、まったく追いつかなかったという。

古堅は、17年ほど暮らしてきた家の物を急に動かせば具合が悪くなると応じた。中高年の人にはいきなりやらない方がいいと伝えたい、自分もそういう例をさんざん見てきた、と話した。若いうちはいいが、本当に体調を崩すという。理想を言えば、10年かけて増えた物は10年かけて減らすくらいのつもりで向き合うのが、物にとっても本人にとってもいい。ところがこの家は、減らさずに増やすだけ増やしてしまった。しかも依頼者は好きだった服と向き合ったのだから、体調を崩すのは仕方がない、と古堅は話した。普段は「もっと減らせ」と言う立場だが、生活もあるのだから体を壊してまでやることではない、とも付け加えた。同時に、本来使うべき物を使い切れなかったことは、これを機にきちんと反省してほしいとも述べた。

25:55

「このまま死ぬのは嫌だ」:夫婦の第二の人生

依頼者は、夫はもともと一戸建てにこだわっていなかったと思うと語った。結婚して初めて集合住宅に住んだ依頼者が「家が欲しい」と言い続け、夫が建ててくれた。それなのにこんな状態にしてしまったのが本当に申し訳ない、という。夫からは、このままの状態で死ぬのは嫌だと言われた。依頼者もそうだと思い、動けるうちに片付けないとどんどん動けなくなると感じている。

古堅は、ラストチャンスとまでは言わないが、夫の引退後に2人でどう暮らすかを見直すにはいい時期だったのではないかと話した。物と向き合うのはつらかっただろうが、よかったのではないか、という見方である。猫3匹は想定外だったと依頼者が言うと、古堅はこの家は何でも増えやすいと応じた。どれほど猫が好きでも、夫婦2人が元気で長生きしなければ猫も困る。片付けて猫のしつけもできるようにして、里親を見つけたい、と依頼者は話した。古堅は、そうした良い循環を生むには今の家は滞っているように見えると述べた。

作業時間は6時間で、どこまでできるかは分からない。古堅は、目標に向かって頑張ろうと依頼者に声をかけ、2人で気合いを入れて初回訪問を終えた。実際の作業の様子は次回に持ち越された。