「捨てない片付け」で物だらけの一軒家に夫の居場所はつくれるのか――古堅純子が迫った「隠すか、下ろすか」の選択

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概要

片付け職人・古堅純子の「週末ビフォーアフター」シリーズで、夫婦2人が住む一軒家を片付ける回の続編である。前回わかったのは、この家は扉付きの収納が少ないのに物が多く、片付けが難しいということだった。今回は、奥さんの「リビングダイニングをすっきりさせたい」という希望と、ご主人の「一人になれるスペースが欲しい」という希望を、物を捨てない方針のままどう両立させるかが問題になる。古堅は早い段階で、すべての希望は叶えられないため優先順位を決めてほしいと夫婦に求めている。

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「このままの状態で死ぬのは嫌」――奥さんが抱える後ろめたさ

冒頭で奥さんは、家を建てた経緯を振り返っている。ご主人はおそらく一軒家にこだわっていなかったが、自分が一軒家に住みたかった。それなのに家をこれほど物だらけにしてしまったことを申し訳なく思っている。ご主人からは「このままの状態で死ぬのは嫌だ」と言われたという。

奥さんは自分の性格についても話している。物を擬人化して、魂を入れてしまうようなところがあり、そのせいで捨てられなくなる。この自己理解は、後半のキッチンの食器棚をめぐる議論にも関わってくる。

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夫の希望は「床に物がないこと」と「一人になれる場所」

古堅は前日に一足早く訪問し、奥さんと話をしていた。奥さんの希望は、リビングダイニングをすっきりさせて落ち着ける場所にすること、掃除をしやすくすること、家全体を見直すことだった。

この日初めて会ったご主人に希望を聞くと、まず床に物がないこと、物が出しっぱなしになっていないことを挙げた。古堅は、年齢的に足腰が気になってくる時期なので、床に物がないことは家全体にとって大事だと応じている。ご主人のもう一つの希望は、夫婦2人で暮らしていくうえで、どこかに一人になれるスペースがあることだった。一人になれる場所の候補が下の階しかないことについて、ご主人は全く問題ないと話した。

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捨てない方式だからこそ「下の階」に物が集まる

古堅はご主人の言葉を受けて、ご主人にとっては問題なくても、片付ける側には意外と問題が多いと説明する。週末ビフォーアフターは捨てることから始めない片付けなので、使われていない物はいったん別の場所に寄せてから部屋を整える。この家の物は8〜9割が奥さんのもので、しかも動いていない物が多すぎる。そうなると、寄せた物の多くが下の階に降りることになり、ご主人が一人になるスペースを確保するのは物量から見てかなり難しい。古堅は、自分たちも今日どこまでスペースを作れるか想像がつかないほどの量だと率直に伝えている。

それでも古堅は、奥さんには変わりたいという気持ちがあると強調した。奥さんは前日、家の中で物がきちんと循環するようにしたいと、涙ながらに話してくれたという。古堅はその思いに応えたいと述べて、作業を始めている。

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キッチンの「扉の中の扉」――使われていない唯一の扉付き収納

2階で古堅が改善の鍵と見たのはキッチンだった。この家の収納はほぼすべてが外付けの家具で、物を外に出しておく「出し収納」になっている。その中で唯一扉が付いている場所が、壁のくぼみに扉があり、その中にさらに食器棚の扉がある、という造りになっていた。奥さんに聞くと、この場所は使っていない。普段使っている食器棚は別にある。

古堅によれば、扉付きの収納がこれほど少ない家なのに、その貴重な扉の奥が「壁」のような状態で完全に止まっている。それはもったいないというのが古堅の見方である。ここの使い方を見直して、2階で使う物はなるべく2階で回るようにし、床をさら地にすることを目指したいと話した。

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食器棚を出すか、すべてを下に下ろすか

古堅の提案は、くぼみの中の食器棚を外に出し、空いたスペースを扉付きの収納として生かすことだった。奥さんにとっては、食器棚を出すという発想自体がなかった。くぼみはもともと食器棚を入れる前提で作られていたからだ。しかも奥さんは、リビングに背の高い家具を置きたくないという考えを持っていた。

古堅は、物が少なければ家具はいらないし、できることなら何も置きたくないと認める。ただ、生活していれば隠したい物は出てくるし、隠す場所がないからこそ目につく場所に置いてしまう。扉があれば、中がどれだけ散らかっていても閉めれば片付いた状態になる。今の家には扉がないので、散らかった状態がずっと見えている。

具体的な使い方として古堅が挙げたのは書類である。奥さんは紙の管理が苦手で、紙類がものすごく溜まってしまう。そこで帰宅したらまずこのくぼみに置く、隠す、と決めておき、定期的に見直す運用にできるという。外に出した食器棚は壁際に置く案が示された。

古堅はこれを「究極の選択」と呼んだ。背の高い家具を絶対に置きたくないなら、動いていない物を全部下に下ろすしかない。その場合、2階に戻せる場所はない。一方で、2階で実際に使っている物も多いので、それをくぼみに逃がすという考え方もある。古堅は、住むのは夫婦2人なので方針を決めてほしいと求めた。奥さんの物を全部下ろしたらご主人の薬くらいしか残らない、という冗談も出ている。

食器棚ごと下の階に下ろす案も出た。くぼみの食器はほぼ動いていないからである。ただ、下の階にもすでに物が多い。スタッフのマナミは、食器棚を下に下ろすのは外に出すよりも大変だと指摘している。

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数年越しの迷いと「飾り棚」という解決策

奥さんは数年前、この食器棚を捨てて、くぼみに可動式の棚を入れたいと考えたことがあった。しかしサイズなどで迷っているうちに今に至ったという。古堅は、それなら今回をきっかけに食器棚をいったん出せばいいと応じた。くぼみを空洞にすれば可能性が広がるという考えである。

古堅はもう一つ提案した。この食器棚は見栄えが悪くないので、飾り棚にしてはどうかというものだ。奥さんは物を飾るのが大好きである。それでいて掃除をしやすい家にしたいというのは両立が難しいと古堅は考えていた。しかし飾りたい物をすべてガラス扉の棚に収めれば埃は入らないし、棚以外の場所から物がなくなる。試してみて、それでも邪魔だと感じたら手放せばいいという。

奥さんは、自分の好きな物が少しずつ視界に入ってくるのが幸せなので、あちこちに飾りたくなってしまうと話した。食器や雑貨が大好きなことが物が増える原因だとも自覚している。古堅は、棚の中の食器については使うものと使わないものを分けてもらい、使わないものは下に下ろすか、くぼみの下にしまうと整理した。物を取るか空間を取るかという話をしているうちに、隣でご主人が早く始めてほしいという様子を見せ、笑いが起きる場面もあった。

古堅は奥さんのこだわりの強さについて「しょうがない」と受け止め、どうしていきたいかで気持ちが揺れていると指摘した。奥さん自身も、言っていることが矛盾していると認めている。物が多すぎて圧迫されている自分がいる一方で、集めたり飾ったりするのも好きで手放したくない。それでも、環境を変えれば心が少し変わるかもしれないと話している。

最終的に、下の階で食器棚として使うより、2階で飾り棚にするほうがよいという方向で奥さんは同意した。収納としてではなく飾り棚として使うのであれば、置き場所は部屋のどこでもよくなる。そこで作業の手順が決まった。まず食器棚の中身を出し、2階になくてもよい物を下に下ろす。いったん2階をさら地にして家具の配置を決め、そこから細かく分けていく。

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「すごく捨てたのに片付かない」――下の階の状況と奥さんの不安

下の階は古堅とスタッフのアイコが担当し、2階はマナミが受け持つことになった。下の部屋には夫婦2人分の服の入ったタンスなどがあり、奥さんは事前にかなりの量を捨てていた。それでも片付かず、奥さんは「すごく捨てたのに」と自分を責めるような言葉を口にした。古堅は全然そんなことはないと励ましている。

奥さんは、家の状態が番組で全世界にさらされることを怖がり、応募するかどうかもすごく迷ったという。それでも、この家を変えるには古堅しかいないと思って申し込んだと話している。対照的にご主人は、この日を一人でウキウキしながら楽しみにしていた。奥さんが「どんどんブルーになっていく」と言うと、古堅は「悪いようにはしない」となだめた。

古堅は下の部屋のデザインを考え始める。2階から下りてくる物は、いったん階段の踊り場などに溜めてもらう。下の部屋に先に物を入れてしまうと、後から家具を動かせなくなるからだ。奥さんは洋服が大好きなはずなので手前に置く。服を吊るす場所は残す。右側からL字型に棚を作り、好きな物を後から見返せるように並べる。そのうえで一番大事なのは「父ちゃんの場所」だと古堅は強調した。部屋に入ったときに通り道が確保されている配置にしたいという。

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食器棚の行き先と「旦那にどんな景色を見せてたのか」

2階では、くぼみから運び出した食器棚とその中の食器を見て、古堅は、こんな素敵な食器棚を壁の中にしまっておくのは考えられないと話した。奥さんも、捨てるには忍びなかったと応じている。

置き場所については、ご主人の席の後ろに置く案などが話し合われた。古堅は、部屋に入った瞬間に気分が上がり、奥さんの視線にも入る部屋にしたいと述べる。そして、これまで旦那さんにどんな景色を見せていたのか、という言い方で、ご主人の視界が物と埃で埋まっていたことを指摘した。古堅は前日、奥さんの話をたくさん聞いた。思いが重すぎて、そこに座っていた自分も具合が悪くなるほどだったと冗談まじりに振り返っている。友達に聞いてもらうのとは違う、とも話した。

食器棚の中は少しずつ空けられていった。古堅は、このくぼみ周りが家で最大の難所で、パズルのような状態だと表現している。

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タンスが長すぎて「手前と奥」に分けられない

下の階では、ご主人のスペースをどう作るかで行き詰まりが生じた。古堅のチームは普段、収納を手前と奥に分けて配置する。しかしこの部屋ではタンスが長すぎるため、手前と奥には分けられない。右と左で分けるしかない。入って左側の一列がひたすらタンスになり、奥まで続く配置になりそうだった。

このあたりは洗濯をする場所から近い。奥さんによれば、乾いた服をそこで畳み、そのままクローゼットに運んでいる。掛けてある服も実際に動いている。これまでは、よく着る服を手前のポールにかけ、動いていない服を奥に寄せていた。

奥さんが気にしたのは配置の方向性である。古堅とスタッフが話し合っていたレイアウトでは、奥さんが離れるのを嫌がっていた家具同士が離れてしまう。L字型にして通路を確保する案などが次々に出たが、何をどこに置くかはなかなか決まらなかった。

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夫の着替えの動線、妻の着替えの視線

議論をさらに難しくしたのは、着替えの事情である。ご主人の服をまとめたタンスは、これまで奥にあっても問題なかった。狭い範囲で服を取って着替えられるようになっていたからだ。一方、奥さんは朝、部屋の奥に入って着替えていた。今は人目につかない場所で着替えられている。服の置き場が手前に移ると、そこで着替えるのは少し気になると奥さんは話した。

古堅は、ご主人を中心にスペースを作りつつ、奥に奥さんの物を置かせてもらう場所を作る手もあると提案した。奥さんは、自分のタンスとご主人の側の家具を入れ替える案や、コートを入れるポールの置き方などを出す。しかしどれを選んでも、今度はご主人の着替えの動線が悪くなる。古堅は、自分たちの役割は枠を作ることであり、タンスの中身の入れ替えまではこの日はできないので、おいおい夫婦でやってほしいと伝えている。

コート類が入った収納についても確認があった。中身はシーズンオフのコートや大事な服などで、奥さんは使わない間はそこにしまっておきたいという。よく着るコートは冬になれば外に出ているので、この収納は奥に置いてもかまわないことになった。奥さんのタンスは横向きにして窓をふさぐ形で入れる案も出た。窓は開けないので、ふさいでも構わないと奥さんは答えている。

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「全ては叶えられない」――優先順位を決める段階へ

古堅がもっともこだわったのは、ご主人の机の位置を決めることだった。奥のほうはご主人の居場所としては遠すぎるので、手前に場所を空けてほしいと考えていた。これに対しご主人は、平日にわざわざその机に来ることはないだろうと話す。休みの日にお互い離れて好きなことをする場所が欲しいだけなので、奥でも構わないという。

古堅はここで状況を整理した。2階からこれだけの物が下りてきて、それを受け入れる場所を確保しながら部屋をデザインしなければならない。そのうえで、服は近くにあってほしい、奥さんのタンスを戻したい、夫婦の服を確実に分けたい、ご主人のスペースも確保したい。これをすべて同時に満たすのは無理だと古堅は言う。たとえば、距離の便利さを諦めてもらう代わりにスペースを頑張って作る、といった形で、何を優先するかを決める必要がある。

この回は、下の階の配置をめぐる優先順位がまだ決まらない段階で終わる。2階のくぼみを飾り棚にする方針は固まった。しかし、ご主人が一人になれる場所を物だらけの下の階にどう作るのかという、冒頭からの問いは次回に持ち越された。