緊急地震速報「M9.9」誤発表、700km除外機能が働いていなかった 気象庁第3報会見

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概要

2026年(令和8年)10月16日12時40分、気象庁は北海道から中部地方にかけて緊急地震速報(警報)を発表したが、実際には強い揺れは観測されず、発表は取り消された。同日夜、気象庁はこの件について3回目の記者会見を開いた。会見では、2020年の誤発表を受けて導入した「遠い観測点をマグニチュード計算から除外する機能」が今回は動作していなかったと説明した。この機能を21時30分頃に復旧させる緊急対策をとったことも報告した。一方で、機能がいつから動作していなかったのか、なぜ震源が2つに分かれて推定されたのかといった点は、会見時点では調査中とされた。

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第3報の内容:除外機能が動作していなかった

会見の冒頭、気象庁の担当者は誤った緊急地震速報で多大な迷惑と負担をかけたことを謝罪し、第3報の内容を説明した。

今回の速報では、震源から遠い観測点のデータをマグニチュードの計算に使ったため、地震の規模をマグニチュード9.9と過大に推定した。気象庁はこれを過大な速報が出た原因の1つと位置づけた。

過大な緊急地震速報の前例として、気象庁は令和2年(2020年)7月30日の鳥島近海を震源とする地震を挙げた。その改善策として、震源から700km以上離れた観測点をマグニチュードの計算に用いない設定にしていた。ところが今回の地震では、この機能が正常に動作していなかったことが判明した。気象庁は16日21時30分頃に機能が動作するよう緊急対策を実施し、この対策によって今回の地震では緊急地震速報が発表されなくなることを確認したという。

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いつから動作していなかったのかは不明

最初の質問は、機能が動作しなかった理由がどこまでわかっているかだった。担当者によれば、判明しているのは12時40分の地震に対して機能が動作していなかったという事実までである。いつから動作していなかったのかは調査中だという。

NHKの記者は、直前にシステム更新があったのか、ヒューマンエラーなのかも不明なのかと重ねて尋ねた。担当者は、対策は令和2年のうちに設けたもので、その後システム更新などもあったが、どの時点から動作しなくなったのかは現時点でわからないと答えた。2020年の運用開始時期について朝日新聞の記者が確認すると、当時報道発表したとおり2020年9月からだと担当者は認めた。

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遠方の地震でマグニチュードが過大になる仕組み

NHKの記者は、遠方の地震でマグニチュードが過大に評価される仕組みについて改めて説明を求めた。担当者の説明では、今回マグニチュード推定に使った震源は観測網からおよそ1800km(会見の最後に約1900kmと訂正)離れており、そのような非常に遠い震源を前提にすると、非常に大きなマグニチュードが推定される。令和2年の鳥島近海の地震でも、小笠原の母島で観測した大きな振幅が過大推定につながった。そのため震源から遠い観測点は計算に使わない設定にしていたが、今回はそれが動作せず、1800kmも離れたデータをマグニチュードに取り込んだ結果、過大な推定になったという。

ただし、なぜ震源距離が遠いとマグニチュードが過大に推定されるのかについては、引き続き調査が必要だと担当者は述べた。緊急地震速報のマグニチュード推定式は、地震カタログや津波警報の発表に使う気象庁マグニチュードとは別の式である。遠距離でどのような挙動になるかは、現時点で明確にわかっていないという。

記者は「本来より遠い震源を想定したため、これほど遠くまで地震波が届くならもっと大きな地震のはずだと誤認した」という理解でよいかと確認した。担当者は、同じ振幅でも本来より長い震源距離でマグニチュードを推定すれば値が大きくなるのはそのとおりだと認めた。そのうえで、これまであまり観測したことのない長い震源距離でマグニチュードのデータが適正かどうかも確認する必要があると付け加えた。会見の終盤にNHKの記者が再度確認した際も、遠い青い地点を震源とみなし、そこから根室方面に地震波が届くにはこの程度の規模でなければおかしいとして9.9が算出された、という理解で正しいと担当者は答えた。

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震源が2系統に分かれた問題は対策の対象外

第2報の会見では、マグニチュード計算に用いた震源と震度予測に用いた震源が別の位置に推定されたことも説明されていた。NHKの記者がこの原因を尋ねると、担当者は、今回の緊急対策はそちらに関するものではなく、引き続き調査が必要だと答えた。原因はまだわかっていないという。

国内の地震でも同様の現象が起きる可能性はあるのかという質問に対し、担当者は、2つの震源が2系統に分かれる現象は今回初めて認識したものだと説明した。通常緊急地震速報で対処している国内の地震では、今のところ同様の現象は確認していない。震源距離が非常に遠い地震で現れる可能性があると考えているという。

担当者はさらに、本来この2つの震源は同じであるべきだと述べた。今回大きな影響が出た原因の1つは、観測網から非常に遠い地震を処理する際に震源がなかなか安定せず、その中で震源を2つ推定してしまったことだと現時点では考えている。日本に近い地震では震源は時々刻々精査されるものの、大きく移動することは非常に稀である。そのため、仮に同様の現象が起きていたとしても影響は大きくならないとの見方を示した。他で起きているかどうかは、現状では認識していないという。

11:53

対策の検証と、ほかの地域への影響

テレビ朝日の記者は、緊急対策によって近い地震ではシステムが正常に動くことを確認したのかと尋ねた。担当者によれば、普段から同様の作業をしているとおり、今回の対策も実際のシステムに適用する前に、今回の地震以外の複数の過去の地震に当てはめて検証した。その結果、今回のような誤った速報は出なくなり、正しく発表されるべきものは阻害されないことを確認したという。

観測点がまばらな沖縄のような地域でも検証するのかという質問には、こう答えた。南西諸島は観測点が島嶼部にあってスパースではあるが、それなりの距離に配置されている。そのため今回と必ずしも同じ状況にはなりにくいと思う。ただ、距離の長い観測点を使う場面は多いと考えられるので、動作が正しく行われるかは引き続き確認していく必要がある。

記者が、遠方で起きる現象は予測しにくいので、まずは遠方の地震に対応する対策をとったという理解でよいかと問うと、担当者は次のように答えた。令和2年の事例も含め、観測網から離れた地域ではそもそも震源の決定が難しく、震源が不安定な中で不適切な震度推定をする目立った事例が時折あった。そのため対策を進めてきたのであり、今回の事例に限らず検証を進めたい。

16:01

機能はなぜ外れたのか:人為的なエラーの可能性

フジテレビの記者は、この機能はシステム更新などで勝手に外れるものなのか、人為的にしか外れないものなのかを確認した。担当者は、システムが自動的に機能を外すことはないと答えた。機能を動作させるかどうかはパラメーターの設定で決まり、その設定は気象庁で人が行っている。そのため、どこかのタイミングで外れたことになるが、詳細はまだわからないという。

人為的ミスの可能性が高いと考えてよいかと問われると、担当者は、機能が動作していなかったことに気づけなかった点は人為的なエラーだと考えていると述べた。

同じ記者は、昨年7月のカムチャツカ半島の大地震では緊急地震速報が出なかったと記憶しているとして、その時点では機能が正常に働いていたと考えてよいかを尋ねた。担当者は、昨年の地震で緊急地震速報が出なかったことは確認したが、どのような動作の結果として出なかったのかはまだ確認できていないと答え、それも含めて調査を続けるとした。

18:05

本来は「予報は出るが警報は出ない」地震だった

共同通信の記者は、対策後に今回の地震で速報が発表されなくなったということは、裏を返せば今回の地震はもともと発表の対象だったのかと確認した。

担当者の説明はこうだった。緊急地震速報では予報が何度か出たあとに警報が発表される仕組みであり、対策後の再現でも予報が出ることは確認した。予報の最初の段階では震源が観測網に比較的近い位置に推定されていたため、予測を行って予報を出す動作は再現された。しかし、警報が発表された時点のマグニチュード計算用の震源は非常に遠く、すべての観測点が700km以上離れる。そこではマグニチュードがそもそも計算されず、マグニチュードがないので震度予測も行われない。その結果、警報は発表されない動作になるという。記者が「700kmを超えた時点で自動的にマグニチュードが算定されず、警報が出ないシステムであるべきだったのに、そうならなかった」とまとめると、担当者はそのとおりだと認めた。

読売新聞の記者も、この運用は日本から700kmを超える地震では緊急地震速報を発表しないという意味かと確認した。担当者は、マグニチュードが推定されなくなるので警報などの発表はないことになると答えた。

25:59

2020年鳥島近海の事例との違い

共同通信の記者は、2020年の鳥島近海の地震でも警報が出ていたが、取り消しはしていなかったのかと尋ねた。担当者は、当時は警報の取り消しをしていなかったと答えた。鳥島の事例を踏まえてキャンセル報を発表することにしたため、今回はそれにのっとって取り消したという。

NHKの記者は、2020年の事例を次のように理解していると確認した。鳥島近海でM5.8の地震が起き、母島で地震波を観測したが、震源を房総沖に誤って設定したため、房総からそこまで地震波が届くならもっと大きな地震のはずだと過大評価された。担当者はこれに補足して、2020年はマグニチュード計算用と震度予測用で別の震源を使った事例ではないと説明した。鳥島近海も観測網から離れた地域であり、震源を誤って房総半島寄りの陸に近い側に推定した。その房総半島の震源を前提に、そこからかなり離れた母島のデータを取り込んだため、本来はもっと震源に近いデータであるにもかかわらず、マグニチュードが大きくなったという認識だという。

TBSの記者は、2020年の対策は緊急的な措置だったのなら、なぜ恒久的な設定にしなかったのかと質問した。担当者は、当時も緊急的な対応として行ったが、2020年9月に設定を開始して以降、現在も続いているのが適正な運用だと認識していたと答えた。緊急措置だったからすでにやめていたわけではなく、続けていたつもりが今回はうまく発動しなかったという認識だという。

テレビ朝日の記者は、2020年以降、機能が実際に作動していたことは確認されているのかと重ねて尋ねた。担当者は、いつから動作していなかったのかは現時点でわからないと答えた。除外の方法については、推定された震源からデータが得られた観測点までの距離を計算し、700kmより短ければマグニチュード計算に使い、それより長いものは使わないと説明した。つまり、使うかどうかは震源と観測点の位置関係で決まる。鳥島以降、700kmを超えるような地震が起きていなかったから問題が表面化しなかったのかという問いには、過去の事例をまだ見切れていないとして、どの時点からかを含めて調査を続けると答えた。

21:11

過去の過大な速報と、各震源までの距離

共同通信の記者は、鳥島以外にも警報を出したのに実際には大きな揺れが観測されなかった事例があるかを尋ねた。担当者はいくつかあると答え、大きなものとして2013年8月の事例を挙げた。奈良県を震源として大きな震度を予測したが、実際には揺れが観測されなかったという。

朝日新聞の記者は、第2報で示された図の黄色・赤・青の各地点が、日本の観測点からそれぞれ何km離れているかを質問した。会見中には、黄色も700km以上離れており、およそ800kmだという回答があった。会見の最後に担当者が根室からの距離として補足し、黄色が約800km、赤が約1200km、青が約1900kmだと説明した。

同じ記者は、2020年9月4日のお知らせでは「震源からの距離が700km以下の観測データを使用する」となっているのに、今回は「700km以上の観測点を用いない」となっており、700kmちょうどの扱いが異なるのではないかと指摘した。これについても会見の最後に、700kmを超えるものを使わない設定だと回答があった。

30:04

マグニチュード9.9は計算式どおりの値

NHKの記者は、M9.9という数字が計算式から正規に出た値なのか、エラー値のようなものなのかを尋ねた。担当者は、正確な動作は調査中としつつ、こう説明した。緊急地震速報のマグニチュードは観測点ごとの値を平均して決める。約1800km離れた震源距離で今回の観測データの振幅を入れると、個々の観測点では10を超える値も見られた。したがって、現在の式に従って計算すればこの程度のマグニチュードになると考えている。速報の計算でマグニチュードが9を超えないような上限が設けられているわけではなく、9や10を超えることもあり得るという。

震源をかなり遠くに求めたこと自体はやむを得ないのか、それもエラーなのかという質問には、担当者はまず一般論として答えた。国内だけの観測網で、非常に離れたカムチャツカ付近の地震を、緊急地震速報に求められる非常に短い時間で決めようとすると、大きな誤差が伴うことはある程度やむを得ない。ただし、今回これほど震源が変動したことが適正だったかどうかは、今後も調査していくという。

23:45

再発防止の範囲と、市民への呼びかけ

読売新聞の記者は、緊急対策とは具体的に何を指すのかを尋ねた。担当者は、21時30分に行った、震源から700kmを超える観測点を計算に使わない設定を動作させる対応がそれにあたると答えた。マグニチュード計算用と震度予測用で異なる震源を使った問題などは調査中であり、段階的に対策を進めたいという。

第2報の会見では、同じ場所で同様の地震が起きた場合に誤発表が起きないとは言い切れないという説明があった。この点が改善されたのかと問われると、担当者は、自身もその点を非常に気にかけていたと述べ、今回の対策によって少なくとも同じような事例で同じような誤発表をすることはなくなると考えていると答えた。

市民がどう受け止めればよいかを問われると、担当者は、今回の誤った速報で多大な迷惑と負担をかけたとしつつ、緊急地震速報は適正に働いているとして、見聞きした際にはこれまでどおりまず身を守る行動をとってほしいと呼びかけた。

一方で、機能がいつから働いていなかったのか、なぜ震源が2系統に分かれて推定されたのか、遠距離でマグニチュード推定式がどう振る舞うのかは、いずれも会見の時点では答えが出ていない。気象庁はこれらを今後の調査課題として挙げた。