売っているのはチョコレートではなく「記憶」:メゾンカカオ石原紳伍が語る、プレゼンター、約束、100年の文化
MAKE IT NEXT株式会社メゾンカカオの創業者で代表の石原紳伍氏が、聞き手のSean Kawakami氏と対談した回である。中心の問いは、経営者がよく口にする「物を売るな、ことを売れ」を実際にどう実装するのか、という点にある。石原氏は、ブランドの仕事は「記憶を設計すること」だと答える。そのうえで、店頭の接客、社員教育、生産者との関係、利益と社会貢献の両立、世界ブランドの構想までを、自社の具体的なエピソードに沿って語った。
冒頭の断片:スーツケースから始まった海外展開
本編の前に、別の場面からの抜粋とみられる短いやり取りが流れる。聞き手は、創業から2年でANA国際線のファーストクラス・ビジネスクラスに同社のチョコレートが採用されたことを挙げ、その速さに驚く。石原氏はフランスでの展開の始まりを振り返る。あるイベントのオーナーにダイレクトメッセージを送り、プレゼンを聞いてもらったところ、「一度来てやってみたら」と言われた。そこでスーツケースにチョコレートを詰めて持ち込み、並べてみると、フランスの来場者から「こんな口溶けのいいチョコレートは初めて食べた」という反応があったという。
続いて聞き手が、新規顧客の注文が1300件あってもぬるま湯だと感じたのかと尋ねる。石原氏は「文化を作りたい」と答え、「経済は文化の下僕」だと学んだことにも触れる。この「文化を作る」という目標は、本編でも何度も出てくる。
ブランドの仕事は記憶を設計すること
本編は聞き手の問題提起から始まる。番組の視聴者には起業家が多く、「物ではなくこと、感情や体験を売れ」という言葉は知っていても、具体的に何をすればよいのか分からないという声をよく聞く。マーケティングは商品、価格、売る人、売る場所、伝え方の総体だが、その中で「体験を売りたい」というとき、それを自分たちでどう定義し表現すればよいのか、という問いである。
石原氏の答えは、その商品が記憶に残るものになれるかどうかだ、というものだった。記憶の設計こそがブランドの仕事だと考えているという。メゾンカカオにとっての「記憶」とは何かと聞かれ、石原氏はいくつかの層を挙げる。チョコレートを食べたときの景色。その製品の先に広がる、作り手が込めた思いの景色。一緒に食べた人との時間。そして、贈る相手を思い浮かべながら製品を選んでいる時間も含まれるという。
販売員ではなく「プレゼンター」、リレーの最終アンカー
聞き手は疑問を返す。チョコレートを食べる場面はどの客でも同じで、どこで誰と何と食べるかは売り手が制御できない。店舗やネット販売という制約の中で何ができるのか。
石原氏は、そこで重要になるのが「プレゼンター」の役割だと答える。同社では販売員をプレゼンターと呼び、価値のリレーで最後にバトンを受け取って走り切る「最終アンカー」と位置づけている。石原氏によれば、メゾンカカオはチョコレートではない何かをつないでいるブランドである。温暖化が進み地球環境が厳しくなる中でも、365日自然と向き合って果実を作る生産者がいる。その気持ちを作り手が情熱を込めて形にし、デザインチームが彩りを加え、最後にプレゼンターが「情熱のリレー」を客に届ける。
ただしこれは社内側の話で、客には客それぞれのストーリーがあると石原氏は言う。祖父母に柔らかくて溶けやすいチョコレートを贈りたい人もいれば、恋人の好みに合わせて選ぶ人もいる。最近あった印象的な例として、石原氏は店舗での出来事を紹介した。20歳になる息子に「母から息子に贈る最後のチョコレート」を贈りたいので一緒に選んでほしい、とある母親から頼まれたという。プレゼンターはその思いを受けて、どれを「最後のチョコレート」にするかを一緒に考えた。
マニュアルはない、一緒に旅に出る
聞き手は、そこまでの役割を担うなら相当なスキルが要るはずだとして、教育方法を尋ねた。石原氏によれば、ロールプレイングなども行うが、一番の方法は「一緒に旅に出る」ことである。コロンビアなどの生産地や農園に一緒に行き、同じ景色を見る。物づくりのストーリーや背景、お金では買えない価値がそこにあることを知ってもらうのが最も大事だという。
接客のQ&Aマニュアルのようなものは、メゾンカカオには「ない」と石原氏は明言した。では販売スタッフに一番大事なこととして何を伝えているのかと聞かれると、客が最後にワクワクして店を出ていくことだと答える。欲しいものはウェブですぐ買える時代に、買うつもりがなかったのにプレゼンターに出会ったから新しい味に挑戦してみようと思う。あの人の喜ぶ顔が想像できると思う。そうして客が笑顔で買っていくことが、何個売れたかよりも大事であり、それが1つでも2つでも構わない、というのが石原氏の考えである。
丸の内の旗艦店:カフェとバーカウンター
2024年12月、同社は丸の内に都内初の旗艦店を出した。聞き手が工夫を尋ねると、石原氏は同社初のカフェを設けたことを挙げる。ペアリングを含め、このように合わせると香りが広がるといった食べ方の提案を通じて、チョコレートそのものの魅力を、持ち帰る菓子とは別の広がりとして体験で伝えられるようにした。バーカウンターもあり、アルコールとの組み合わせも提供しているという。
意図的にブレーキを踏む、「今が一番最低」
聞き手は石原氏のスピード感に衝撃を受けたと話す。SaaSのようなソフトウェアなら拡大の道筋が見えやすいが、チョコレートは手間がかかり、口に入る繊細な商材で、人について考えるべきことも多い。その中でこの速さが出ていることをどう感じているのか。
石原氏の答えは意外なもので、自分は「すごくブレーキをかけている」という。本当はもっとアクセルを踏みたい。それでもブレーキをかけるのは、みんなが同じページに立ちながら前に進みたいからで、自分一人の夢ではなく、みんなで描く夢にしたいからだと説明する。短期的に売上だけを考えるならいろいろなやり方はある、とも認めた。
目指しているのは文化づくりであり、100年という時間軸なので、自分が生きている間にはかなわない夢だと石原氏は言う。今やっていることが正しいかも分からず、満足は何もない。だから常に「今が一番最低」だと思って取り組んでいる。売上や規模よりも、ブランドの核が「バキバキに」魅力的であることのほうが大事だという立場である。
リスナー質問①:KPIが個数のまま、体験を売れるのか
最初のリスナー質問は、百貨店のスイーツ売り場で働く33歳の「ゆうき」さんからのものだった。プレゼンターという呼び方や、1粒に体験を封じ込めるという発想に惹かれる一方で、現場の評価は販売個数である。体験を伝える接客は、数を売ることと相反しないのか、という内容である。聞き手も同じ疑問を持つと言う。商売は結局「客単価×客数」なので、丁寧に寄り添った結果、2箱ではなく1箱、1箱ではなく1粒になることもあるのではないか、と付け加えた。
石原氏は、こうしたパラドックスを大事にしていると答える。品質は高く保ちたいが量も作らなければならない、という矛盾と同じ構図だという。聞き手が「ボランティア団体ではないので、成績を追われるのは現実」と補うと、石原氏はそれを認めたうえで、AかBかの選択ではない「第3の案」が必要だと述べた。
石原氏の考えでは、客にとって一番心地よい接客がどこにあるかを考えると、長いことが必ずしも丁寧とは限らない。また、個数が増えることは接客が雑になることではなく、価値を知ってくれるファンが増えることにもつながる。目標として個数が設定されていても、それを「笑顔の数」「感動の数」をこれだけ作りに行こう、と置き換える。そうすると、個数に縛られない新しい手段が出てくることがある。矛盾にぶつかったときは、両方をハッピーにする新しいアイデアがないかを考えるよう、社員に伝えているという。
具体的な方法を示すのかと聞かれると、石原氏は「言わない」と答えた。自分で考えてやってみてもらう。答えがあるときは自分がやってみせることもあり、一緒に考えることもあるという。
例としてバレンタインの時期を挙げた。1日に非常に多くの客が来るため、1人あたりの接客時間は普段のごく一部になる。長い列に並んだあとで長い説明を受けても客はお腹いっぱいになってしまい、できるだけ早く満足できる製品を選びたいと考えている。そこで問われるのは時間ではない、と石原氏は言う。聞き手は、時間をかけなければ良い接客はできないというのは思い込みであり、短い時間でも質の高い時間は提供できるということだ、と受け止めた。
リスナー質問②:小さな会社が生産者と「家族」になるには
2問目は、愛知県で食品原料メーカーの海外事業を担当する44歳の「まさひろ」さんからだった。聞き手は前提として、メゾンカカオがコロンビアの農園を訪れて生産者を支援し、2400以上の生産農家と契約していること、「1素材1農家」で関係を築いていることを紹介する。そのうえで、理想は分かるが、自社のような小さな会社が生産者と密な関係を作るための最初の一歩は何か、という質問を読み上げた。
石原氏の答えは「約束を守る」だった。例として挙げたのはライチである。必要量を見込み、売上計画も生産計画も立て、工場のラインも押さえてある。本来100キロ届くはずが、その年は生産に失敗して30キロになった。そのとき同社は別のライチ生産者を探さない。その年は30キロで終わりにする。それを見た生産者は翌年もっと努力しようとし、さらに多くのライチを譲ってくれるのだという。
石原氏は、実際にその場面でこの決断ができるかどうかは、一件だけの話ではないと付け加える。まず直接農家を訪ね、日々の小さな約束をどれだけ積み重ねられるかが大事だという。自分たちも一気にできたわけではなく、今も旅の途中で、まだ足りない部分のほうが多いとも話した。聞き手は、海外の商談の場では来年の計画や仕入れ量を勢いで約束してしまう「マジック」があるが、果たせなかったときのことまでは考えていない担当者も多いのではないか、と応じた。
困ったときに必ず力になる:サクランボ500キロとコロナ禍
石原氏が挙げたもう一つの条件は、相手が本当に困ったときに微力でも必ず力になることである。例はサクランボだった。規格外品が大量に出て、一気に500キロが納品されると、工場はすべての種を取らなければならず、労働時間が収まらなくなるほど大変になる。それでも引き受けるのは、サクランボの生産者が1年分の売上をわずか3週間で稼ぐからだという。1日1日が生産者の1年分の生活に関わる。その背景を現場で知っているかどうかで、ただ500キロを受け取るのか、力になりたいと思って受け取るのかが全く違ってくる、と石原氏は語る。
コロナ禍では、各社が輸入を止め、コロンビアの生産者の収入がなくなりかけた。メゾンカカオ自身も売り先を失っていた。それでも石原氏によれば、キャッシュポジションがどれだけ落ちても、約束していた量をすべて、それ以上の量で買い取ったという。どうなるか分からなかったが、その積み重ねが生産者との関係を作ってきた、というのが石原氏の見方である。前日にも新しいマンゴー農家を紹介されたが、長年付き合ってきたマンゴー農家と握手しているので、そこだけでやると伝えたという。
聞き手が「利を取るのか義を取るのか、ものすごく義の方ですね」と言うと、石原氏はそこを大切にしたいと答えた。そのうえで「この甘い戯言がどこまで続くか分からないですが」と付け加えている。
無利益の4〜5年でも教育支援を止めなかった理由
聞き手は、サステナビリティやフェアトレードという言葉が先行し、日々の数字に追われるうちにキャンペーンで終わってしまう例が多いと指摘する。給料を払うことと、会社のミッションや社会的な貢献を両立させるのは難しい。石原氏はそれを「AかBか」ではなく、両方を結実させた「C」に仕上げている、と聞き手は評価した。
聞き手が特に驚いたのは時期である。会社を立ち上げたのは2015年で、翌2016年にはすでに1校30人規模で現地小学校の教育支援を始めていた。現在は3校400〜500人規模に広がっており、単発の寄付ではなくインフラ投資のようになっている。
石原氏は、生産者と長く付き合い、質の高いカカオを一緒に育ててもらうには、彼らの生活環境を整えるのは必然だったと説明する。当時は4〜5年利益がなかったが、怖くはなかったという。それでも本当に支払えなくなったことはあり、友人からお金を借りて支払ったこともあると明かした。社内から「現地の学校にお金を出している場合ではない」と言われたこともあるが、それでも続けたのは「約束したこと」だからだという。利益や経済的合理性でブランドをやっていない、という考えがずっとあると石原氏は話す。
聞き手は、多くの会社がパーパスやミッションに十分にコミットしていないから、どっちつかずになるのかもしれないと述べた。なぜそこまで迷いがなかったのかと問われると、石原氏は現地の子どもたちの笑顔と、力強い学ぶ志に励まされたことを挙げた。暴力や虐待を受けて言語障害や自閉症になっている子どもたちがいる。彼ら彼女らが未来の農家になり、未来を作っていく人たちだとすれば、学びの場は必然だと考えた。そこに自分の意義を感じていたという。
柔道の授業と「礼に始まり、礼に終わる」
支援は学校教育だけにとどまらない。子どもたちに何のスポーツを学びたいかと聞いたところ、サッカーや柔道という答えが出たという。そこで2年前から、井上氏(字幕では「井上康生」)の協力を得て、コロンビアにいる女性のオリンピック選手を講師に招き、柔道の授業を行っている。今月も2回開催したという。石原氏は、これも単発ではなく長く続け、「礼に始まり、礼に終わる」という日本の精神性を伝えたいという思いで始めたと説明した。
聞き手は、スタジオにあるメゾンカカオのチョコレートを前に、その1粒の中にこうした物語や思いが入っていると感じると話した。そして、誰かが言っていた言葉として、「消費と言うな」「お金を払うのは議決権であり、商品やサービスに一票を投じることだ」という考えを紹介する。チョコレートの向こうにある考え方や取り組み、風景や文化にまで一票を投じられる商品作りだと感じた、と聞き手は述べた。
ラグジュアリーは「長く続けるための武器」
続いて聞き手は、ブランディングやラグジュアリー化に悩む会社が多いとして、ブランドとは何かを尋ねた。石原氏は、ラグジュアリーを、ブランドを長く続けていくための武器と考えていると答える。かつてラグジュアリーは地位や名声を保つための持ち物として使われることが多かった。しかし文化的エリートの変化によって、何もしない時間をラグジュアリーと呼んだり、時間の使い方や心の豊かさにつながるものへと意味が変わりつつある、と石原氏は見ている。
そのうえで同社が目指すのは「手放したくないブランド」になれるかどうかだという。客にとっていつまでも価値があり、ライフスタイルの中で長く一緒に時を重ねたいと思ってもらえるブランドになれるか、という視点を持っている。
寿司、ウイスキー、そして「生」を世界へ
聞き手は、この思想はチョコレート以外の商品やサービスにも展開できそうだとして、構想があるかを尋ねた。石原氏の答えは、今はチョコレートを通してやっていく、というものだった。
石原氏が引き合いに出したのは寿司とウイスキーである。寿司は世界で生の魚を食べる場面を変えた。ウイスキーは日本の感性で磨かれ、60年売れない時代を経て世界5大ウイスキーの一つになった。チョコレートは海外で生まれた文化だが、日本の美意識と感性で磨き、「生」というキーワードを持って世界に出たとき、寿司が成し遂げたようなチョコレートの新しい景色や文化を伝えられるのではないか。石原氏はその可能性にとてもワクワクしているという。
世界ブランドになることについても、石原氏は独自の定義を示した。世界の一等地に店を構えることだけではなく、世界中の人がそれを目がけて日本のこの場所に来たいと思うブランドを作ることも、世界ブランドの一つの形だという。カカオから始まる物語をそこに向けて広げていきたい、と語った。
若い世代へ:人生は設計するより旅をする
最後に聞き手は、転職、起業、会社の次の段階、あるいは撤退といった岐路で悩み、動けずにいる人にどう声をかけるかを尋ねた。石原氏は「本当にシンプルなんですけど」と前置きし、自分は人生を設計するよりも人生を旅していたいと答えた。だからワクワクする方向に行く、という。
聞き手はこれを受けて、そうではない方向に進もうとしているなら一度立ち止まり、本当の自分は何をしたいのかを考えるのがよい、と言い添えて対談を締めくくった。
創業して2年後で、もうANAの国際線のファーストクラス、ビジネスクラスでチョコレート採用。凄まじいスピードですよね。そこからそうすると、直接フランスのそのイベントのオーナーさんにダイレクトメッセージをして、プレゼンを聞いていただいて。「じゃあもう、そんなお前ら、1回来てやってみたら」っていうので、スーツケースにチョコレートを入れて持っていったのが始まりなんです。そこで並べてみたところ、フランスの方々が「こんな口溶けがいいチョコレート、初めて食べた」っていうので。
新規顧客受注が1300件あっても、ぬるま湯だと感じたんですか? 文化を作りたい。経済は文化の下僕だということを学んだこともあり。
番組を聞いてらっしゃる、あるいは見てらっしゃる方の中でも、起業家がすごく多いんですよね。「物を売るな、ことを売れ」っていうことは、言葉としては皆さん久しいんですけども、具体的にどうするのかなっていうのがなかなか。物じゃなくて、こと、あるいはエモーション、体験を売るって、なかなか難しいよねっていうことをよく聞くんですよね。確かにそうで、でもよく考えると、マーケティングって商品があって、それにどんな正当な、お客さんにとっても、それからこちらにとってもリーズナブルな価格付けがあって、それを売る人がいて、売る場所があって、あるいはそれをどんなふうに伝えるのかっていう、いろいろ総体だと思うんですけども。「エモーションというか、体験を売りたいんです。ただ、これをどういうふうに自分たちで定義したり表現したりするかわからないんです」っていう質問があったときに、石原さん、どんなふうにアドバイスくださいますか?
僕はやっぱり、記憶に残るものになれるかどうか。記憶の設計をするのがブランドの仕事だと思って。
記憶ね。そうすると、御社にとっての記憶っていうのは、どの部分になるんですか?
それをそこで食べたときの景色だったり、それが食べたものから広がっていく、その製品から先の、込めた思いの景色だったり、そこで食べた人たちとの時間だったり。私たちが製品を考えてる時間もそうだし。
具体的にそれはどんなふうに表現されるんですか? その部分っていうのは、お客さんがチョコレートを食べるシーンは同じじゃないですか。これ、もちろんどこで食べるかっていうのも、何と食べるか、誰と食べるか、だいぶ違ってくると思うんですけども、それは売り手側として制御できるところは限られるわけじゃないですか。お店だったり、あるいはネットでも買えるんですかね、っていうところ、ある程度制約があるじゃないですか。そこでできること。
プレゼンターの役割ですね。ああ、販売員とおっしゃらないんですね。はい。最終アンカーなんですよね。アンカーね。バトンを最後に受け取って走り切る人。
やっぱり僕ら、チョコレートではない何かをつないでるブランドだと思ってますので。その生産地で365日自然と向き合い、これだけ地球環境が難しい、温暖化が進む中でも、果実を作ってくださる生産者さんの気持ちと、それを作り手が情熱を込めて動かしていき、またデザインチームがそこに彩りを加え、プレゼンターがその情熱のリレーをお客様にお届けするって。これは我々の中の話ですけど。
でも、お客様自身にたくさん、それぞれストーリーがあると思うんですよね。柔らかいものを好むおじいちゃん、おばあちゃんに、溶けやすいチョコレートを贈りたいとか、彼女がこういったものが好きだからとか、お母さんに。お母さんも、この前もすごくいいエピソードがあったのは、20歳になる息子さんに最後のチョコレートを贈りたいんだと。「母から息子に贈る最後のチョコなんだよ。それを一緒に選んでほしい」っていうことを言ってくれたりして。
これ、店舗です? 店舗ですね。じゃあそれを一緒に考えて、「じゃあ、これを最後のチョコレートにしましょうか」っていうこと。かなりこのプレゼンター、販売の方、おっしゃってるそのバリューの一番最後のアンカーとなって、お客さんにお届けする人のスキルって、結構高くないといけないですね。どんな教育をされてらっしゃるんですか、その辺りは?
それはロールプレイングをやったりだとかありますが、一番は一緒に旅に出てます。
一緒に旅に出る。ああ、なるほど。コロンビアもそうだし、農場もそうだし。
やっぱり同じ景色を見て、物づくりのストーリーや背景や、お金で買えない価値がそこにあるっていうものを知ってもらうってことが一番。
なるほど。Q&Aマニュアルじゃなくて。ないです。なので、マニュアルはメゾンカカオにはないです。マニュアルはないんですか? ないです。接客のマニュアルはないです。
そしたらちょっと言い方を変えると、石原さんは販売の方には、一番大事なこと一つって、何て言ってらっしゃるんですか?
お客様が最後、ワクワクして店頭を去っていただくこと。今、いろんな便利な時代になってるので、欲しいものはもうWebですぐ買えちゃったりするじゃないですか。でも、これを買おうと思ってなかったけど、プレゼンターに出会えたから新しい味に挑戦してみようかなとか、きっとあの人の喜ぶ顔が想像できるなと思って、笑顔でお客様が帰っていってくれるってことが。製品を買ってくださった量ではなくて、一つでも二つでも、やっぱりそれが一番大事なことだと思ってます。
なるほど。2024年の12月、丸の内の中に都内初の旗艦店を出されてらっしゃって。ここはやっぱり思い入れというか、体験をそこにぎゅっと詰め込んだ感じになってますか? どんな工夫をされてらっしゃるんですか、店では?
初のカフェもご用意してるので、チョコレートを食べるシーンが、ペアリングなんかも含めて、こういった合わせ方をすると、より香りが広がるとか。チョコレート自体の魅力を、リセールをやれることで、果物以外での広がりを体験としてお伝えできたり。あとはバーカウンターもあるので、アルコールとの。
そうですか。これ、すごいスピードで、私、一つ、石原さんのスピード感に衝撃を受けるんですけれども。また、その商材が、例えばSaaSとかソフトウェアとかだったら、まだちょっとスケールする感じが見えるんですけど、ものすごく手間がかかるわけじゃないですか。手間がかかるし、そこでものすごく繊細、口に入るものですから。やっぱり人の考えなければいけないことっていうのも、本当にたくさんあるっていう商材だと思うんですけど、この中でスピード感が出てきた。このスピードに対してはどうですか、ご自身は?
僕はすっごいブレーキをかけてます。意識してブレーキをかけてるんですか? はい。どういうことですか? もっとアクセルを踏みたい。逆に言うと、ご自身の中でブレーキを。それ、何のブレーキなんですか?
みんなが同じページにいながら前に進んでいきたいのと、僕一人の夢ではなくて、みんなで描いていきたい夢にしたいので。
じゃあ、儲けを出そうと思って、ただただ儲けを出したいと思ってアクセルだけ踏み続けてたら、もっと行ったってことですか?
それが瞬発的に売上だけを考えるって話だと、いろんなやり方はあると思います。目指すのが文化づくりと100年なので、やっぱり僕が生きてる間には叶わない夢ですし、今やってることも正しいかわからないので、満足は何もないんですね。
それが正しいかどうかも模索中ってことですか?
そう。だから、いつも今が一番最低だと思ってやろうと思ってますので。なので、もっともっとアクセルを踏みたいところはありますが、やっぱり売上や規模ではなくて、このコアがバキバキな、魅力的なブランドであることのほうが大事だと思ってますので。
ちょっと来てる質問があるので、聞いてもいいですか? 33歳、ゆうきさん。百貨店の販売をやってらっしゃる方ですね。件名が「体験を売りたいが、KPIは個数のままです」。百貨店のスイーツ売り場で働いています。メゾンカカオのプレゼンターという呼び方、そして一粒に体験を封じ込めるという発想にとても惹かれますと。一方、現場の評価というのはやっぱり販売個数だと。「何ぼ売ったの」ということが結局KPIとして、しかもおそらく自分の評価のもとになるわけじゃないですか。一方で、その体験を伝える接客って、数を売るってことと相反したりはしないんでしょうか、ということ。
これ、私も本当にそう思いますね。丁寧に丁寧にお客様とお付き合いをし、お客様に寄り添えば寄り添うほど、結局この商売はどこまで行っても客単価掛ける客数じゃないですか。そうすると、寄り添えた割には、という言い方はとても失礼かもしれませんが、2箱ではなく1箱、1箱ではなく1粒だったりとかいう事例があるのではないかと。
そうですね。パラドックスはすごい大事にしてまして。クオリティは高い位置でキープしたいけど、量は作らないといけないとか。これも同じように、接客のクオリティは丁寧にしたいけども、量をさばかないといけないから。
そうですね。ボランティア団体じゃないので、こればっかりはやっぱりちゃんと成績として追われるべきっていうのは、確かに現実だと思うんですよね。
そうですよね。そのときに、AかBかの選択でない、第3の案が僕は必要だと思ってまして。例えば、数は売りたいけど、丁寧な接客をするとできないっていう、今のお話で言うと。それは、お客様が一番心地いい接客がどこにあるかっていうのを考えたときに、自分では丁寧だと思っていても、別に長いことが必ずしも丁寧な接客ではなかったりもしますし。
その個数が増えることが、別に雑になる話ではなくて、よりその価値を知っていただくファンを増やすことにつながるとなったときには、個数っていうものは目標として設定はされていたとしても、その個数っていう考えではなくて、それを笑顔の数、感動の数をこれだけ作りに行きたいねっていうものに置き換えたときに、その個数では縛られない新たな手段が出てきたりとか、形にするので。そういった矛盾に遭遇したときに、どのように両方をハッピーにできる新たなアイデアがないかとか、っていうことを考えるようにしていこうっていうことは、みんなに言ってます。
なるほどね。じゃあ具体的に、例えば成績、販売個数、販売実績を伸ばすということと、お客様と寄り添い、よりメゾンカカオのコンセプトなり文化なり考え方をお客様と共有し、心地よい空間の中で質の高い時間を過ごしてもらって買ってもらう。これ、AND、ORじゃなくて、どちらもですよね。できる方法は具体的にこれとこれとこれっていうふうには言わないんですよね、きっとね。言わないです。これは自分で考えてごらんっていう言い方になるんですね。
やってみて、自分がやってみせることもありますし。なので、バレンタイン時とかだと、一日にとんでもないお客様が来てくださるので。普段のご接客の時間で言うと、1/1かもしれないんですけど、お客さんはもうたくさん並んだ後に、またたくさん接客を受けても、もうお腹いっぱいになっちゃうんで。できるだけ早く、自分が満足する製品を選びたいってなると、時間じゃないんですよ。
だから、時間をたっぷりかけないとちゃんとした接客はできないっていうのは、思い込みなんですね。そんな気がしますかね。短い時間でも質の高い時間をお客さんに提供することはできて。じゃあ具体的な方法、「社長、どうするんですか?」「いや、それは自分で考えてごらん」っていうのが教育なんですね。
まず自分でやってみることもありますし、答えがあるときはですね。一緒に考えてみることもあります。
もう一つ質問が来ていて、これはカカオ農場に関わるお話なのかな。44歳、まさひろさん。原料メーカーの海外事業、愛知県の方。「原料の産地と家族のような関係」っていうふうに。石原さんが農園を訪れられて、農家の方と話をし、そしてそこにサポートもしておられる。本当に一緒に成長していこうよということで、生産農家も2400以上と契約をされておられるじゃないですか。そういう家族のように生産農家さんと一緒にお付き合いするという関係性。うちもそういうことをやりたいんだけど、ということだと思うんですけど。
この方、「食品の原料を海外から仕入れてる会社です。海外事業を担当しています。メゾンカカオさんがコロンビアの農家と築いてる関係、一素材一農家、旅するメゾン、教育支援」。こちらから教育支援をしてらっしゃるんですね。「理想はわかるんですけども、弊社のような非常に小さな会社」。どのくらい小さな会社かわかりませんが、そういった会社が生産農家さんと密で、非常にいい関係を作っていく。何でしょうかねと。もちろんこれ、支援しますって口だけではね、しかも先立つものがなければなかなか、っていうこともあると思うんですけど。あと何ぶん、初めの一歩をどうしようかっていうのは、やっぱりあるわけじゃないですか。これはいかがですか?
約束を守る。
ああ、あえてそこをおっしゃるってことは、約束を守らない人が多いってことですかね。
結局、例えばライチがこれだけの量が必要で、売上計画はこうで、生産計画も入ってて、工場も待っていて、もうラインも押さえてます。本来なら100キロ、ライチをいただけるはずが、今年、生産に失敗してしまって30キロになりました。それになったときに、僕らは違うライチの生産者を探さないです。もう今年はこの30キロでおしまい。でも、それを見てる生産者さんは、来年もっと努力しようっていう。さらにライチをお譲りいただける。
でも、これって実際その場合になったときに、本当にその決断ができるかどうかっていうのは。多分、まず直接農家さんに伺って、本当にこの一件だけの話ではなくて、日々の中で小さな約束事をどれだけしっかりと積み重ねていけるか。僕らもこれが一気にできた話ではないですし、今もまだ旅の途中と言いますか、まだまだな部分のほうが多いので。
これ、きっとどうしても商談の場ですとね、「うちは来年の計画はこうで、ああで、こうで、このぐらい仕入れますから」って言って帰ってくる商社マンの方も多いと思うんですよね。だけど、実際それを約束が果たせなかったときにどうなのかっていうことを、あんまりそのときには考えずに。海外で商談をしているときのマジックってあるじゃないですか。言っちゃうっていう。実はそこ、「なかなか目標に行かなかった、すみません」じゃなくて、一個ずつ約束をきっちり守ってくることによって、だんだん信頼が得られていく。それだけでもお互いにサステナブルな関係ですよね。
あとは、本当に困ったときに、必ず微力でも力になる。
そこで、微力どころか、相当これ支援をされてらっしゃいますよね、生産者の方々。
本当にさくらんぼなんかでも、はじきがたくさん出ちゃったと。一気に500キロが納品されるってなると、結構工場としては大変なんですよね。全部種を取って、しないといけないのが、もう労働時間なんかは収まらなくなっちゃって。なるときでも、生産者さんは、例えばさくらんぼだと、年間のうちの売上は3週間でしか稼げないんですよ。その一日一日が、もう自分たちの一年分の生活に関わるってなると。
それをちゃんと、背景を現場に行って知っていると、ただ500キロをいただくのではなくて、そこが力になりたいと思ってやることと、やっぱり全然違うんですよね。コロナのときも、みんなが輸入を止めちゃったときに、コロンビアの生産者さんがやっぱり収入がなくなっちゃう。僕らも売り先がないと。けど、どれだけキャッシュポジションが落ちても、約束したものを全部、それ以上の量で。
すごい。
どうなるのかわからないんですけど、やっぱりその積み重ねの中で、旅するメゾンの生産者さんとの関係とか。昨日なんかも「新しいマンゴーさんあるよ」って。でも、長年付き合ってきたマンゴーの農家さんがいるんで、僕らはそこと握手してるんで、そこだけでっていうの。
なるほど。これ、日本語には「義」と「利」っていう言葉がありますけども、利を取るのか、義を取るのか、ものすごく義のほうですね。
そこはもう大切にしたいところですね。この甘い戯れ言がどこまで続くかわからないですが。
続くよりも何より、もうすでに実績が伴ってきてるっていうのが、やっぱりすごいことで。サステナブルであるとか、あるいはフェアトレードだとか、その言葉が結構走るじゃないですか。具体的にそれをどうやるんだろうね、わからないまま結局日々の数字に追われて、サステナビリティという言葉なんかもキャンペーンに終わっちゃうみたいな。でも、それがなかなか数字に結びつかないからね。
つまり、AとBの、例えば利益を出していくっていうこと。もっと生々しく言うと、給料を払っていくっていうことと、それから会社としての社会的貢献性だとか、世の中に対する自分の会社のあり方、ミッション、ビジョン、バリュー的なことも含めて。特にサステナビリティであるとか、サステナブルであるとかっていうのは、バランスがすごい難しいと思うんですよね。でも、それを石原さんは、AかBじゃなくてA&Bにして。Cだったり。A&Bの結実したCっていうものに仕上げてらっしゃるところがすごいなというか、凄まじいなと思うんですよね。
恐ろしいっていうか、びっくりするのは、2015年ですよね。間違いないですよね、会社を立ち上げたのが。2016年には1校30人規模で、現地小学校の教育支援を開始してらっしゃるんですか? やってる場合じゃないですよね。大体、起業した翌年とか、そんなのもう自分たちが食っていくのが精いっぱいだし。それで現在、3校400人から500人規模に拡大をしていて、単発の寄付とかいうレベルじゃもうないですね。いわば公共事業っていうかね、インフラ投資みたいになってますけども、どうですか?
でも、これも生産者さんと長いお付き合いを、またクオリティの高いカカオを一緒に育ててもらうには、彼らの生活環境を整えるのは必然だったんですね。
必然だけど、自分も食っていかなきゃいけないし、自分だけじゃなくて従業員もいるわけですよね。
なので、その当時はもう利益が4年、5年なかったですし。怖くないですか? いや、全然怖くはなかったです。怖くないんですか? はい、怖くはなかったですけど、でも本当に払えなくなったときもあって、友人のお金を借りてお支払いしたこともありますし、それでも。
これ、私もいろんな経営者の生々しい瞬間をいっぱい見てるんで、ちょっとすごくしつこくそこを伺いたいんですけど。払えない瞬間って、もう身を切るような思いですね。ですよね。月末、30日、31日って「どうすんねん」ってなったけど、「社長、現地の学校にお金を出してる場合じゃないんじゃないですか」って言われますよね。
言われます。それでも約束したことなので、間違いない方向というか、その中に自分はぶれてないっていうことを確信できるのは、利益や経済的な合理性で事業を、またブランドをやっていないっていうのが、ずっとありますね。
そっか。もしかすると、私たち、サステナビリティもそうですけども、会社としての姿勢、使命感、ミッション、ビジョン、バリュー、パーパスっていう言葉がすごく手垢がついてますけども、そこにもっとコミットしてないのかもしれないですね。つまり、それにフルコミットしてないから、結局どっちつかずになっていると言ったらいいんでしょうかね。今聞いていると、そこまで、もう社員も、それからもしかすると自分の利益も、当初はですね、犠牲にしてでも間違いなくこれをやることによって、中長期的には必ずそれが結実するはずだからっていうのは、揺らぎがないっていう。11年前とかって、すごくないですかと思うんですけどね。
そうですね。
でも、ご自身の中ではあまりにも迷いがなかったから、「なぜそうだったんですか」と聞かれてもわからないっていうことですよね。
多分、やっぱり現地の子供たちの笑顔や、力強い眼差しっていうのは、本当に励みになりましたし。やっぱり暴力、虐待を受けてる子供たちが、言語障害や自閉症になってて。彼ら、彼女たちが未来のファーマーになったり、未来を作っていく人たちだとしたときの学びの場は、必然だよなっていうこととか。そういったものに自分の意義を感じていたっていうのもあったので。
そこまで、そこに深くは。むしろ最近だと、何のスポーツを学びたいって話をしたら、サッカー、野球、柔道だったんですね。なので、2年前から井上康生さんにお力をいただいて、コロンビアにオリンピアンの選手が一人いるんですけど、その彼女を講師として招いて、今、月2回そういった授業を開催してたりとか。
それも単発的なものっていうよりは、やっぱり長く、日本の精神性を、礼から始まり、礼に終わるっていうものを伝えていきたいなっていう思いの中で始めた。
今、スタジオにもメゾンカカオのチョコレートがありますけど、その一粒一粒の中に、そうした物語や石原さんの思いみたいなものが全部入ってる気が、改めてしますね。そういうお話を伺うと、これを食べることによって、その風景や、きっとそういう子供たちの笑顔だったり、その子たちがもっと大きくなって夢を叶えることに、この会社が少しでも手を貸そうとしてるんだっていうことの。
何て言うんでしょうね。どなたかがおっしゃった言葉で、これ私が言った言葉ではないんですけど、「消費って言うなと。物を買うって言うんじゃないと。お金を払うっていうのは議決権なんだ」っていう。今目の前にある、ある種の商品だったりサービスだったりに対して一票を投じる。「僕もこれいいと思うよ」っていうことが本当の消費の良さだ。消費って言ったことが、どこかで出会ったんですけど、まさにその言葉を思い出したのは、そのチョコレートっていう一つ分の向こうにある考え方、やってらっしゃることや、いろんな風景も、文化も含めて、そこに一票を投じてるっていうことができるっていう商品づくりなんだなっていうのが、すごく感じたんですよね。
ありがとうございます。
これ、おそらくブランディングっていう言葉になっちゃうと、またちょっと違ってくるのかなっていうか。石原さんからすると、「それは結果論だからな」とおっしゃるような気が何となくするんですけど。ブランドとか、ブランドづくりだとか、あとはさらにそこから少しラグジュアリーであるみたいなこと。もう少しラグジュアリーでブランドを上げてみたいなことで、ブランディングに悩む人たちというか、会社がたくさんいると思うんですけど、これ、何ですかね、ブランドとか。
そうですね。やっぱりラグジュアリーっていうのは、長くブランドを続けていく上での武器として考えていまして。昔はそれこそ地位や名声を保つための持ち物だったり、そういったものの使われ方が多かったですが、文化的なエリートの変化によって、ラグジュアリーというものが、何もしない時間がラグジュアリーと言ったりだとか、時間の使い方とか、心の豊かさにつながるものに、ラグジュアリーっていうものが変わりつつあると思っていまして。
我々が目指してるのは、やっぱり手放したくないブランドになれるかどうか。自分にとってそれがあくまでも価値があり、長く共にライフスタイルの中で時を重ねたいと思ってもらえるようなブランドになれるかどうかっていう視座は持っています。
なるほど。今伺ってると、チョコレートの石原さんからすれば、もちろん原点としてその農家っていうのはあると思うんですけど、今の思想とかお考えとかポリシーみたいなものは、他の商品やサービスでも展開できそうな気が何となくするんですけど、そんな構想があったりするんですか?
今はもう本当に通してですね。なので、お寿司が世界で生の魚を食べるシーンを変えたと思うんですよね。ウイスキーが日本の感性を持って磨かれたときに、世界5大ウイスキーになった。でも60年、売れない時代を経て。やっぱりチョコレートっていうものは海外で生まれた文化であるんですが、日本の美意識や感性を持って磨かれたときに、ひょっとしたら「生」っていうキーワードを持って世界に出ていったときに、お寿司で成し得たようなチョコレートの新しい景色や文化を伝えられるんじゃないかなっていうものに、僕はとてもワクワクしてるので。
やっぱり世界ブランドになっていくっていうことは、世界の中で一等地にあることというよりも、世界中の方々がそれを目がけて、この日本に、この場所にやって来たいと思ってもらえるようなブランドを作ることも、世界ブランドの一つだとも思ってるんで。そこを目指して、カカオから始まる物語を広げていきたいなと思ってます。
ありがとうございます。最後なんですけども、この番組を聞いたり見たりしてくださってる方々、いろんな意味で岐路に立っている、あるいは自分の転換期にいる方々がすごくいると思うんですね。それは会社を転職するかもしれないし、起業するかもしれないし、あるいはこの会社を次のステージに持ち上げるっていうのもいいですし、あるいはもしかすると辞めたほうがいいのかなっていうのがあると思うんですけど。石原さんもいろんな今までの人生の中で、岐路ってあったと思うんですけど、そこにいて少し悩んで何もできないでいる彼女を思い浮かべていただいて、どうしたらいいですかね? 石原さんのところに来たときに、どんな声をかけられますか?
もう本当にシンプルなんですけど、僕はやっぱり人生を設計するよりも、人生を旅してたいなと思ってまして。なので、ワクワクする方向に行く。
なるほど。いただきました。もうこれ、私が四の五の言うまでも、本当そうですね。自分がワクワクするかどうか。だから逆に、そうじゃない方向に行こうとするんだったら、ちょっとそれこそ一旦立ち止まって、本当の自分は何をしたいのかっていうところに立ち止まるのがよいということですね。ありがとうございます。
今回のゲスト、メゾンカカオ創業者、そして代表でいらっしゃいます、ディレクターの石原さんでした。ありがとうございました。
ありがとうございました。
ネクスト。
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