AI翻訳で商談はできても、友達はできない――アルク取締役・天野智之が語る祖業の休刊とAI時代の語学

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概要

株式会社アルク取締役の天野智之が、ナビゲーターのSean Kawakamiと対談した後編である。組織の若返りとデジタル化という方針のもとで、天野はどのような「英断」を下したのか。創業者の理念を現代にどう引き継ぐのか。そしてAI翻訳が普及した今も、英語を学ぶ意味はあるのか。看板雑誌の休刊という具体的な決断から話は始まり、視聴者から届いた二つの質問に答えながら、AIにできるのは「伝える」までだという論点にたどり着く。

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ENGLISH JOURNALの休刊という決断

Kawakamiは、若手を積極的に採用して英語教育の知識や経験を継承する「若返り」と、デジタル化を進めるという方針を前提に、具体的にどんな英断を下したのかを尋ねた。天野がまず挙げたのは、長年続いてきた月刊誌ENGLISH JOURNALの休刊である。天野はコロナの影響も大きかったと前置きしている。Web媒体としては残っているが、月刊誌としては休刊した。

Kawakamiはこの雑誌を当時よく読んでいたという。海外のニュースをこれほど上手にまとめ、しかも英語教育の素材として編集した雑誌はほかになかった。英語を教えていた頃には教材として使っていたと振り返る。

休刊を発表したとき、社外からの反響は大きかった。天野の知り合いには教育現場の教員が多く、「ENGLISH JOURNALをやめてしまうのか」「終わってしまうのか」と嘆く声がたくさん届いたという。社内の担当者の受け止め方は人それぞれだったと天野は話す。そのうえで、ファンがそれだけいたことはありがたかったと語った。

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月刊誌と通信教育というビジネスモデルの限界

Kawakamiが、事業として駄目になっていたわけではなかったのかと確認すると、天野は「ENGLISH JOURNAL単体では収益は厳しくなっていた」と答えた。月刊誌は毎月新しい号を作らなければならない。新しい号が出れば前の号は古くなって戻ってきてしまうため、回転させ続ける必要があり、コストが常にかかり続ける。天野はこれを出版業の特性として説明した。

Kawakamiはこれを、毎回ゼロに戻る構造だと言い換えた。ゼロから作って売り、またゼロから作る。この回転は経営の目で見ると厳しい。一方デジタルであれば、コンテンツはデータベースとして蓄積され、検索されることで昔のコンテンツも新しいコンテンツとして読者に届く。ただ、物を作ってきた出版の側からすれば寂しさもあるだろう、とKawakamiは付け加えた。

ロングセラーの「ヒアリングマラソン」も同じ流れにある。天野によれば、現在はアプリとしてヒアリングマラソンが提供されているが、もともとはいわゆる通信教育だった。eラーニングがなかった数十年前、学校に通わなくても自宅や会社に教材が届き、自分で学習し、先生が採点してくれる。そうした通信教育として一世を風靡したサービスだったが、ビジネスモデル自体がオンラインに置き換わっていったという。アプリ「booco」を使ったデジタル化の話も出た。Kawakamiは、伝統ある知識を若い世代に引き継ぎながらデジタル化を進めるには、経営として既存事業の整理は避けられず、資本効率を上げる必要がある、その中でいくつもの英断があったのだろうとまとめた。

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創業者・平本照麿と「地球人ネットワークを作る」

話は、天野が行った創業者・平本照麿との対談に移った。アルクは1969年に英語教育の出版社として創業し、平本は現在90歳ぐらいだと天野は話す。天野は20代の頃に平本と初めて会い、何度も食事をともにして話を聞いてきたという。

ここで天野は、これはあくまで自分が聞いて理解した範囲の話だと断ったうえで、創業の背景を説明した。平本は戦中生まれで、大変な苦労をした世代だという。戦後の復興と高度経済成長の中で、1964年には東京オリンピックがあり、海外から多くの人が日本に来るようになった。これからの日本人は国際化しなければならない。日本人が外に出ていく、あるいは外国の人々を受け入れていく。そう考えて会社を興したのだという。天野は、50年以上経った今でも同じことが言われている気がする、とも付け加えた。

アルクが掲げるミッションは「地球人ネットワークを作る」である。天野は、時代背景を知らずに聞くとピンと来にくい言葉だと認める。今の時代に「ネットワークを作る」と聞けば、NTTのような通信会社を連想してしまう。それでも当時の文脈では、言語を学ぶことよりも、戦後の混乱期の中で人と人が仲良くなることを指していたのだろうと天野は解釈している。

Kawakamiは「英語を教えるって言ってないですもんね」と応じた。天野も、2026年現在でもあまり聞かない「地球人」という言葉を使っていることに触れた。グローバルタレントとも違う、日本人でもアメリカ人でもない「地球人」という壮大な考え方だという。Kawakamiはこれを、手垢のついた「グローバル人材」とはまた違うものだと表現した。

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「語学を楽しく」というパーパス

天野はこのミッションを今どう解釈しているのか。天野によれば、SNSやオンラインで世界の人とつながれるようになり、時代背景はだいぶ変わった。それでも、日本人なのか何人なのかという薄い壁はまだ感じるという。言葉が通じること、会話ができることは、その壁を取り払う重要な役割を持つ。だからミッションとしては引き続き掲げているという。

ただ、ミッションだけでは現代の人にはピンと来にくい。そこでアルクはパーパスとして「語学を楽しく」という言葉を使っている。とはいえ「楽しい」は漠然としていて、人それぞれの主観による。天野はその幅を自社サービスの例で説明した。TOEIC専門アプリ「Santaアルク」は、AIでスコア予測を出し、学習者に合わせてパーソナライズした問題を出題する。予測スコアが700点から720点、730点と上がっていくことを楽しいと感じる人もいる。そういう積み上げが苦手で、ゲームのような楽しさを求める人もいる。コーチングで厳しく指導され、成長を実感することを楽しいと感じる人もいる。目的も、海外でのビジネス、旅行などさまざまだ。

Kawakamiは、とことん厳しくされるのが好きな人もいれば、手厚く励ましてもらわないと困る人もいるとして、多様な受け取り方ができる言葉だと評価した。天野は、楽しんだ先に旅行でもビジネスでも友人関係でもよいので世界の人とつながり、輪を築いていく。そこにつなげることを意識してサービスを作っているつもりだと話した。

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視聴者質問①:祖業をやめる決断ができない

視聴者から質問が届いた。静岡県浜松市の52歳、製造業の二代目見習い経営者からである。父から継いだ会社の主力製品の市場が年々縮んでいる。撤退して新規事業に張るべきだとは分かっているが、長年支えてくれた職人と会社の歴史を思うと踏み切れない。歴史ある商品に区切りをつけたとき、社員にどう説明したのか、という質問だった。

天野はまず、自分の場合は会社全体ではなく事業ごとの判断だったと断った。質問者の場合は会社全体の方向性の話かもしれず、もっと大きな話だろうという。そのうえで、当時の社員がどう受け止めたかは別だが、と前置きして自分の考えを述べた。新しい方向性を示し、その道の中でこの事業はどうしても成り立たないので閉じる。そう説明して閉じていったつもりであり、一定の理解は得られたと思っているという。

さらに天野は、区切りをつけることで働く人も次に進めると話す。自分が担当する事業がこの先どうなるのか、定年まで働けるのかと不安を抱えている社員もいる。続けることが無理なら、新しい方向に一緒に進むのか、あるいは閉じるのでそれぞれの人生を歩んでもらうのか。そういう決断も重要だと天野は考えている。仕事以外の人生も長い、というのが天野の見方だ。

Kawakamiは顧問先でも同じ局面によく立ち会うとして、自身の考えを重ねた。大きな方針と方法と工程があるとき、事業を畳む、始めるというのは「方法」にあたる。その前に、今後どうなっていくのかという長いビジョンとしての方針を伝える必要がある。そのうえで、これは終わりではなく新しい物語のスタートとしての終わりなのだと語る。経営者は時に語り部のように、来年、再来年、3年後、5年後、10年後にどうなっていくのかを伝えるべきだという。そうしなければ、終わることにしか焦点が当たらない。将来「成功の花火」を上げるときに一緒に楽しめるよう、ここにいてほしいと伝えることが大事だとKawakamiは話した。

当時30代だった天野の説明に、シニアの社員はどう反応したのか。天野は、反応はそれぞれだったと答えた。この過程で会社を去る判断をした人もいて、残った人とは違う意見を持つ人も多かっただろう。一方で、そこで区切りをつけて次のステップに進んだ人も多く、それで良かったと思っている人もいるのではないかと話した。

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変えるときに強みを見誤らない

対談を一冊の本にしたら、あとがきに承継と変革のバランスについて何を書くか。Kawakamiのこの問いに、天野は全ての会社に当てはまるかは分からないと前置きして答えた。アルクは一定規模に成長し、57年続いている会社である。ファンも、サービスを気に入っている利用者もいるし、働いている社員もいる。だから判断は慎重にした方がいいという。

変えなければならないことは、社内の人間もみな分かっている。ただ、方向性を間違えると問題が起きる。天野はこう例えた。足が速いことが強みの人に、今は足の速さが流行らないから重いものを持てる力をつけようと言えば、まったく違う方向に行ってしまう。それではその人が培ってきた能力や会社のブランドを捨てて、ゼロからやり直すことになる。それなら今の社員でやるより、人を集めてゼロから立ち上げた方がおそらく早い。

すでにあるものをどう活かすかを考えなければならない、と天野は言う。今AIが流行っているから何が何でもAIだ、というのも合う合わないがある。強みと向き合うことの大切さは、天野自身がここ数年で学んだことだという。

世代間ギャップ:「なぜその制度ができたかを考えろ」

Kawakamiはシミュレーションを持ちかけた。20代の若者が「40代後半から60代はテクノロジーを分かっていないのに伝統に縛られ、ルールだ、制度だ、慣習だとうるさい。こんな会社にはいられない」と訴えてきたら、どう助言するか。

天野の答えは「まずなんでその制度ができたか、慣習ができたかを考えろ」だった。天野自身も20代の頃、当時の会社で同じことを言っていた立場だったという。なぜこんなに面倒なのか、なぜこんなに手続きが多いのか、と。もちろん無駄はあったと天野は認める。それでも経緯を考えれば、さまざまなトラブルがあり、これを追加しなければ事故が起きる、という理由で手続きが設定されてきたはずだ。見直しは必要だが、若い人は過去の経緯をきちんと学ぶべきで、そのうえで変えていけばいい。ただ否定するのはよくないという。経験を積むと、あのとき先輩が言っていたのはこういうことだったのかと分かることが多い、とも話した。

天野はここで英語教育の変遷にも触れた。アルクの57年の歴史の中で、英語そのものは変わっていない。57年前も「Hello, how are you?」は「Hello, how are you?」だった。アルクの場合、教材は紙からCD-ROMの音声になり、オンラインでダウンロードして聞けるようになり、eラーニングが登場し、オンライン英会話ができるようになった。テクノロジーは発展したが、学んでいる内容は同じで、変わったのはデリバリーの仕方だけだという。Kawakamiは、明治時代から変わっていないと応じた。

逆の立場からの相談も想定された。62歳の社員が「最近の20代、30代はテクノロジー、デジタル、AIばかりで、仕事のやり方が分かっていない。嫌ならすぐ辞め、退職代行会社から電話が来て明日から来なくなる。どう付き合えばいいのか」と訴えてきた場合である。天野は「これは難しいですね」と言い、この問いについては答えを持っていないと率直に認めた。もっと若い人に寄り添うべきだという考えは持っている。ただ相談者によっては、気にせず自分の道を行った方がいいのではないかと言ってしまいそうだ、と話した。

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知らないことを否定しない

二つの相談を受けて、Kawakamiは、どちらの世代にも「知らないことを否定する癖」があるのではないかと指摘した。AIを分からない側は、ろくでもない、人間の仕事を奪うものだと思ってしまう。しかし勉強していけば、それが違うと気づくはずだ。逆に、伝統や文化を知らない若い世代にも同じことが言える。Kawakamiは、最近昭和の歌が流行っているのは、知ってみたら面白かったからではないかと例を挙げた。知らないからもういい、とお互いに切り捨てるのはやめた方がいいという。

天野も、会社にいて感じることとしてこう話した。世代差は分かりやすいが、同世代でも性格やバックグラウンドは違う。よくよく話を聞くと、単にコミュニケーションを取っていないだけのケースが多い。なんとなく「この人はこうだよね」と勝手に結論を決めてしまっているという。

Kawakamiは、「地球人ネットワークを作る」とはこういうことかもしれないと述べた。乗ったこともない車、行ったこともない国、読んだこともない本を「大したことない」と否定するのを全員がやめれば、世の中はずっと良くなる。まず知ってみることが大事だ、というのがKawakamiの考えである。

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視聴者質問②:AI翻訳があるのに英語を学ぶ意味はあるか

二つ目の質問は、福岡のIT企業に勤める29歳、ニックネーム「TOEIC万年600点」からだった。海外との商談もAI翻訳でほぼ困らなくなり、英語学習のモチベーションが保てない。それでも学ぶべき理由は何か、学ぶなら何から始めればよいか、という内容である。

天野は、学ぶ意味はもちろんあると答えた。30年後、50年後はドラえもんの世界のようにシームレスに言語が変換されるかもしれず、そこは分からない。しかし5年、10年、20年のスパンで考えれば、英語はあくまでコミュニケーションツールだと天野は言う。これは英語業界では共通認識だという。英語は日本語と同じく人と話すためのもので、点数が何点かは関係ない。友達と話したいから学ぶのであり、コミュニケーションは一定程度必ず必要になる、と天野は考えている。

天野はさらに、これはAIの時代に限った話ではないと続けた。昔から、本で独学した人も、カセットテープを繰り返し聞いて覚えた人もいた。AIがなくても身につけた人はいたし、翻訳や通訳という手段も以前からあった。Kawakamiも、日米修好通商条約のときの通訳はどうやって勉強したのだろうと応じた。天野によれば、結局、学ぶ人は学ぶ。コミュニケーションのために英語を使う人は学び続けるし、それでいいと考える人はポケトークのようなサービスを使ってきた。そうしたサービスは10年以上前からある。AIで便利になるかもしれないが、状況は変わらないのではないかと天野は見る。「ポケトークがあるのになぜ学ぶのか」と10年前、20年前に問うのと大差ないという。商談の場では相手の目を見て話さなければならない、とも天野は付け加えた。

天野は知人の体験談を紹介した。その知人は1か月ほど海外出張に行き、ポケトークのようなサービスを使って話した。商談はできた。しかし1か月いて、友達は一人もできなかったという。

27:00

「伝える」と「伝わる」は違う

Kawakamiは、アルクから本を出した際に受けたインタビューでも同じ質問をされたとして、そのとき話した考えを繰り返した。コミュニケーションは「伝える」「伝わる」「動く・動かす」「成果を出す」と段階を踏む。AIを使えば「伝える」まではできる。

「伝わる」とは腑に落ちることであり、「なるほどね」と思える状態だ、とKawakamiは説明する。そのためには論理的な理解と心理的な理解の両輪が揃わなければならない。AIを使えば論理的な理解には至る。御社がこれをやりたい理由は分かる、というところまでは届く。しかし腑には落ちない。人は、相手の喋り方や態度が嫌いだから受け入れない、ということが起こる。この部分はAIにはできないとKawakamiは言う。さらにその先の「一緒に動く・動かす」「成果を出す」もAIにはおそらくできず、せいぜいサポートにとどまる。友達ができなかったのは、この後半部分が欠けているからだというのがKawakamiの解釈である。

Kawakamiはコンサルタントとしての実感も語った。英語に加えフランス語や中国語も多少できるKawakamiのようなコンサルタントは、以前は重宝された。今は英語ができることがそれほど強みにならなくなっている。声がかかる段階も変わった。以前は「これから海外事業をやろうと思っている」という相談だったが、今はパートナーとある程度話を進め、契約関係まで整った段階で依頼が来る。誰が進めたのかと聞くと、社内に英語ができる人はほとんどいない。ほぼデジタルツールでやり取りしてここまで来たのだという。Kawakamiは時代が変わったと認めつつ、握手しハグをして「伝わる」関係を作り、一緒に事業を進めて成果を出すところまではそれでは無理だと話した。「伝える」は上手に、エレガントに、プロフェッショナルにできる。それでも「地球人ネットワークを作る」ところまでは届かない、とKawakamiは述べた。

30:00

天野とアルクの「ネクスト」

最後に番組名「MAKE IT NEXT」にちなみ、天野個人とアルクの次の挑戦が問われた。天野がずっとやりたいと思っているのは海外でのチャレンジである。コロナで短期的に状況が変わった面はあるという。アルクのミッションがあり、クライアント企業の中には海外で活躍する人々もいて、アルクはその語学サポートをしている。だからこそ自分たち自身ももっと挑戦しなければならない、と天野は考えている。天野には留学経験があり、出張ベースの海外業務も多少はある。しかし国をまたいだビジネスはやっていない。そのため、海外でビジネスに挑戦したいという思いが強い。アルクとしても国内だけでなく海外でやっていけることを示し、クライアント企業や学習者と一緒に挑戦していきたいし、そうすべきだと話した。

Kawakamiが、アルクというプラットフォームでどう外貨を稼ぐかという問いは面白い、と水を向けると、天野は分かりやすい方向性を二つ挙げた。一つは日本語である。アルクは英語だけでなく日本語教育も手がけており、日本に来る外国人の増加に伴って、日本語事業は国内ですでに大きく成長しているという。日本語については自分たちがネイティブなので、外に出ていく可能性は大きいと天野は見ている。英語やほかの言語も世界各地で学ばれており、アルクのサービスを日本人以外にも使ってもらえるグローバルなサービスにしていくべきだとも話した。

もう一つは数字の話である。日本は少子高齢化だが、世界の他の国々では人口が増えている。経済力も上がり、これまで教育を受けられなかった子どもたちが教育を受けられる経済水準になりつつある。国によるが、教育を必要とする世代はグローバルではむしろ爆発的に増えている、と天野は説明する。日本国内にいると縮小市場に見えるが、日本にこだわらなければ、競合は増えるにせよ可能性はある、というのが天野の見方だ。

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Kawakamiの提案:グローバル事業支援のハブとしてのアルク

Kawakamiは、ブレストレベルの思いつきとして聞いてほしいと断ったうえで、一つの案を出した。アルクの背後には、グローバルに事業を展開している、あるいはしようとしているクライアント企業群がある。その企業群のグローバル事業支援を、アルクがハブとなって担うのはどうか。

Kawakamiの理屈はこうだ。アルクはBtoCに見えがちだが、英語を学びたいと考える個人の主なモチベーションは、企業の動きにあることが多い。企業のグローバル事業が活性化すれば、個人の学習意欲にも火がつく。アルクが企業同士をつなぐハブになってグローバル事業を支援すれば、そこには必ず語学教育の市場が生まれ、さまざまな市場が広がっていくのではないか、とKawakamiは考えた。

天野は、夢物語ではあるがチャレンジする価値は十分にあると応じた。Kawakamiは、天野の世代でグローバルなアルク、いわば「アルク2.0」の足掛かりを作ってほしいと期待を述べ、対談を締めくくった。