時間管理、妊娠・出産のタイミング、仕事と恋愛 女性起業家3人が語った「自分で選ぶ」ための考え方

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概要

ライフスタイルメディア「lumily」が開催したトークイベントの後編である。MCの愛沢えみりが、河村真木子、尾﨑美紀(愛称ミキティ)、川真田紘子(愛称ココス)の3人に話を聞いた。テーマは、やりたいことを諦めないための時間の使い方、仕事をしながら妊娠・出産のタイミングをどう考えるか、そして会場からの質問に答える形での起業時の確信や仕事と恋愛の葛藤である。3人の答えはしばしば正反対で、愛沢は「正解はない」という立場で議論をまとめていった。

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河村真木子:4時起き・短時間睡眠と「365日同じルーティン」

最初に答えた河村は、複数の事業を同時に動かしている。オンラインサロンを5つほどプロデュースしており、自身のメインサロンのほか、他の人と共同で運営するものや学生向けのサロンもある。さらに炭酸パックやシャンプーなど美容関連商品の企画・販売も手がけている。これらを全部やろうとすると時間はまったく足りないが、それでも全部やるつもりだという。

その方法として河村が挙げたのは、「ルーティンに押し込めること」と「あまり寝ないこと」の2つだ。金融業界にいた頃、前日のアメリカ市場をチェックするために周囲が次第に早起きになっていき、河村も朝4時起きが習慣になった。それ以来ショートスリーパーとして生きており、1日4時間しか寝ない自分と8時間寝ている人とでは生産性が違うはずだと話す。「ロングスリーパーになったら人生終わる」とも冗談めかして語った。

ルーティンは週や年単位で組み直すものではなく、365日同じだという。4時に起きてマーケットをチェックし、コラムを書き、運動し、オーガニックの朝食をとり、半身浴をして本を読む。午前中はウェルビーイングとインプットが中心で、午後はミーティングなどアウトプットの時間が増えるが、そこもほぼルーティンに組み込んでいる。河村によれば、人間は意思決定にかなり疲れる。次に何をやるかを考えると迷ったり時間を失ったりするが、毎日同じことをやれば考えずにどんどん進められる。健康を意識したウェルビーイングの習慣が、仕事の生産性も上げているという。

では、どうすれば三日坊主にならずに習慣化できるのか。河村の答えは、起きて最初にやることを自分の好きなこと、楽しいことにする、というものだった。365日書いている金融経済のコラムは周囲から大変だろうと言われるが、本人にとっては1日のなかで一番好きな作業で、「昨日トランプが何をやったのか」を知るのも、それをコラムに落とし込むのもワクワクする、自分の中で一番クリエイティブな時間だと語った。

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尾﨑美紀:8時間睡眠と「過集中」、前日までに決めておく

続く尾﨑は「私は全然違う」と切り出した。習慣化すれば苦にならないという話はよく聞くが、自分はロングスリーパーで、7〜8時間寝ないと無理だという。

ただ、最初からそうだったわけではない。23歳で起業した直後、自分が働かなければ何も生み出せない時期があり、文字通り寝る間を惜しんで働いた。睡眠4時間でレッドブルを1日3本飲み、周囲から体に悪い、糖尿病になるからやめた方がいいと言われていた。起業して2年目ほどで一度心身のバランスを崩し、この働き方は自分に合っていない、長く続けるには睡眠を削るやり方はフィットしないと考えるようになった。

そこで尾﨑が選んだのは、短時間に「過集中」してこなすスタイルである。その日に絶対やることを前日までに決めておき、それだけは何が何でもやりきる。後に回してもいいことは、体が無理ならやらないと決めている。この働き方だからこそ10年続けてこられた面もあると尾﨑は振り返る。朝は伸びをして犬にご飯をあげ、メールをチェックするところから始まる点は毎日同じだという。人によって合う・合わないがあるので、自分に合うやり方を見つければいい、というのが尾﨑の結論だった。

8:48

川真田紘子:子育てでぶつかった壁と「任せる技術」

川真田は2人の息子を育てている。もともと動線がよく、短縮や凝縮といった効率化が得意なタイプで、それで人生をうまく回してきた。しかし子どもが生まれてから自分の時間を計算してみると、人生のかなりの時間を息子に使うことになると実感し、効率よく動けるのに子どもにこれほど時間がかかることに強いストレスを感じた時期があったという。

その経験から川真田が身につけたのが「人に任せる技術」だ。誰かに任せるには勇気がいるし、任せた人を育てるにも時間がかかる。経営者は自分でやれば100点を取れるからこそ経営者なのであって、任せる相手に100点を求めてはいけない。10点でも満点だと思える人を10人育てればいい、と川真田は言う。自分がいなくても、同じ志と目標設定で動いてくれる組織をつくるまでにはとても時間がかかったし、今もまだ100点ではない。中間管理職にもモチベーション管理の力をつけさせる必要がある。子育ても経営と同じで、任せるルーティンを徹底してつくったという。

時間の使い方としては、河村とは逆に午前中に自分が嫌なことをどんどん入れ、12時を過ぎたら解放される「ゴールデンタイム」にしている。嫌なことの例として挙げたのは掃除で、極度のきれい好きのため、人にやってもらうとしても物が片付いていない状態が許せないという。本人は「キャリアに関係ない話でした」と笑って話を切り上げた。

愛沢は、人に任せる勇気、自分の働き方を理解したうえでの集中、朝のルーティンの徹底と、3人のスタイルがそれぞれ違うことを確認し、何が自分にとってベストかを試行錯誤していけばいいとまとめた。

13:03

妊娠・出産のタイミング:尾﨑の現在地

続いて愛沢は、事前に質問が多かったというセンシティブな話題に移った。登壇者のうち河村、川真田、愛沢は出産を経験しているが、尾﨑はまだである。仕事を続けながら妊娠や出産のタイミングをどう考えているのか、答えられる範囲でという前提で尋ねた。

尾﨑は23歳で起業し、今年で10年目になる。20代は会社が子どものようなもので、仕事に熱狂し、プライベートについて考えたことがなかった。会社の成長が自分の幸せだと思ってやってきたが、30代に入って年上・年下を問わず出産する友人が増え、その様子を見るうちに、仕事とは違う幸せがプライベートにあった方が人生の幅が広がると実感するようになった。10年続けてきた今、仕事でもまた10年頑張るかもしれないが、プライベートの10年も新しいフェーズだと最近ようやく感じているという。

具体的には、35歳ぐらいまでにはと漠然と考えていると話した。そのうえで、経営者の先輩には東京で働いていて38歳で出産した友人もおり、その時の健康状態にもよるが、年齢は意外と関係ないのかもしれない、と言いかけたところで、河村が「関係あるよ」と遮った。

16:01

河村「実際は30〜35歳の5年間だと思った方がいい」

河村は、女性が子どもを産める期間は意外と短いと強調した。38歳で急に妊娠しようとしてもできない人の方が多い。今は20代で産む人が少なく、30代ぐらいから考え始めるので、実際には30歳から35歳までの5年間だと思った方がいいという。それ以降は妊娠が非常に難しくなるか、お金がかかるようになり、子どもの健康リスクも増える。40歳前後でリスクが大きく上がり、40歳と41歳でも大きく違うと言われている、と河村は説明した。38歳で出産した友人の例はたまたまであり、芸能人が45歳で出産したというニュースを見て自分も大丈夫だと思うのは間違いだとも述べた。そして33歳の尾﨑に「あと2年です」と告げた。

17:27

川真田:ニュースに出ない苦労を見てきた

川真田は河村の話に「首が折れるぐらい」うなずいていたと言う。理由は、実際に苦労している人を身近で見てきたからだ。自分が大切だと思う人には、河村と同じ温度感で語っているという。

ただし川真田は、子どもは必ずいなければいけないものだとは考えていない。2人の子どもがいる自分でも、子どものいない人生も正解だったと思えたし、幸せだったと思うと話す。それでも、後悔する可能性がゼロでないなら早めに、というのが川真田の考えだ。45歳で出産したというニュースは出ても、8年かかった、これだけ通院してこれだけお金をかけて何百万円も投じた、という話はニュースにならない。しかし自分の周りでは実際にそれだけのお金がかかり、言葉をかけられないほど苦労している人もいるという。こうした話を発信するには勇気がいるが、河村はSNSなどで発信し続けていると評価した。

18:56

尾﨑の実感と、会場の反応

尾﨑は、話としては聞いていても、身近に当事者がいないためリアルな実感が持てないと率直に語った。30代前半で、まだ仕事をやるぞという段階にあり、子どもを計画に入れていない友人は経営者には多い。そういう環境にいると感覚が麻痺してくる。焦りを自分で持たなければいけない領域でもあるが、そこが難しいと話すと、河村は「何が難しいの?すごいシンプルだと思う」と返した。

愛沢は、これは言ってはいけない話ではなく、むしろこうした話し合いが広まってほしいからこそ取り上げたと説明し、会場に「まだお子さんがいない、もしくは持つ予定はない方」を尋ねた。30代を中心に半数ほどが該当し、尾﨑は「味方が増えた」と笑った。尾﨑によれば、30代前半は人によっては早く産んだ方がいいと言われるものの、正直「まだいいでしょう」という気持ちもある。卵子凍結は考え始めているが、急ぐ気持ちはそこまでないという。

これに対し河村は、人間はどこまで行っても動物であり生物で、生殖の時期は昔から変わらず固定されていると述べた。その時期を外れてもチャンスがまったくないとは言わないが、苦労するし、お金もかかる。女性ホルモンを打つと体調を崩したり、うつになったりすることもある、自然に産みたいでしょう、と続けた。

愛沢は、年代が違い、それぞれに好きな仕事があるからこそタイミングが難しいことも、河村と川真田の言うことも分かるとして、保険としての卵子凍結など、今ある制度も含めてもっとオープンに話せるようになればいいと締めくくった。予定していた美容の話は、時間の都合で別の機会に回された。

23:11

質疑応答①:不確実な世の中で、何を根拠に確信を持つのか

会場からの最初の質問は、「皆さんは、うまくいくと確信して飛び込んでいるように見える。不確実な世の中で、何が根拠や自信になっているのか」というものだった。

3人とも、確信はないと答えた。河村は、当たるか分からないがとりあえず走らせるのがいつものスタイルだという。最初の起業も、当たらないかもしれないので会社員を続けながら副業として始めた。尾﨑も、失敗したら第二新卒として働けばいいという気持ちで起業し、やりたいからやってみようという勢いだけで動いた。失敗しても死ぬことはなく、生き延びる方法はあるはずなので、後悔するよりやってみる、というのが根幹のマインドだと語った。川真田も確信はまったくないとしたうえで、あるとすれば、ダメでも私は大丈夫だという自分を信じる力だと述べた。成功するかどうかよりもその気持ちが大事で、失敗しても大丈夫だからチャレンジした方がいいと背中を押した。

26:09

質疑応答②:河村が育休を1年取った理由

次の質問者は河村に、バリバリ働きそうなのに育休を1年しっかり取ったと動画で見たが、その間に何をしていたのかと尋ねた。

河村は、出産時にキャリアを諦めるつもりはまったくなかったと前置きしたうえで、子どもの首がまだふにゃふにゃな時期は一緒にいたかったと答えた。妊娠がその時期にしかできないのと同じように、子どもが1歳になるまでの時間は自分が一緒にいてあげたい時期であり、それこそ生物として大切な時期だ。一方で仕事は、40歳でも50歳でもできる。だから「生物としてやらなきゃいけないこと」を優先したのだという。

何をしていたかについては、特別なことはなく、毎日子どもとマンツーマンで過ごしていたと話した。自分とこの子が世界にいれば、ほかの人は全員いなくてもいいと本気で思うほどの時期だったという。愛沢が涙ぐむ一方で、河村は大きくなった今は「私のこと財布としか思ってない」と笑わせた。

28:26

質疑応答③:頑張るほど「強い女性」は敬遠されるのか

最後の質問者は29歳で、個人事業として始めた事業を今年法人化した。頑張れば頑張るほど、男性は強い女性に魅力を感じなくなるのではないか。会社を大きくしたい気持ちと、女性としての自信や自分に見合う男性がいなくなるのではという葛藤がある、という相談だった。

川真田は、20代で稼いでいた頃は人に頼る感覚がなくなっていったと振り返った。そのうえで、年下の男性など、いろいろな選択肢があると提案した。自分が変わるのだから、これまで見えていなかった層が見えてくるという話であり、頼りたい、守ってもらいたいという路線とは違うところを狙ってもいい。逆に、自分よりさらに上の男性も青天井にいるので、もっと上に挑戦してもいいと述べた。

尾﨑は、20代で同じ悩みを抱えていたという。経験を積み、守るものが増えるほど強くなりすぎて、男性に弱いところを見せられなくなった時期があった。恋愛リアリティ番組に出演した際には「鎧を脱ぐ」を旅の目標に掲げたが、そこではうまくいかなかった。それでもパートナーを見つけたいと動き続け、探していることを周囲に言い続け、毎週のようにパーティーに行っていた時期もあった。本当にいい人がいない時期を経て、今は1年以上付き合っている相手がいるという。だから諦めずに周りに言い続けてほしい、と助言した。

河村も、モテない時期がとても長かったと明かした。ゴールドマン時代の男性の同僚は必要以上にモテていたのに、自分はなぜこんなにモテないのかと思っていたという。ただ、見つける相手は1人でいい。広いマーケットを狙う必要はなく、自分が好きな1人を探すだけなので、モテなくなっても仕方がないと考えている。もう1つは海外に目を向けることで、河村は30代・40代に外国人と付き合っていた。全員ではないが外国人は稼ぐ女性を好むので、「日本人の呪い」に引っかからないようにしていたと語った。

33:05

結び:自分にとっての正解を選ぶ

終了時間が迫るなか、愛沢はlumilyという名前が「ルミナス(明るい)」と「オンリー(唯一)」から来ており、自分らしく生きることを意味していると紹介した。この日のトークにも正解はなく、それぞれが自分にとってのベストや正解を選ぶ人生にしてほしい、と述べてイベントを締めくくった。時間の使い方でも出産のタイミングでも恋愛でも、3人の意見は一致しない場面が多く、特に出産をめぐっては、急ぐべきだとする河村・川真田と、まだ実感を持てないという尾﨑の間で、最後まで温度差が残った。