森田恭通がSean Kawakamiと語る、空間の「体験設計」とAI時代に人間が持つ第六感
MAKE IT NEXT空間デザイナーの森田恭通と、コンサルタントのSean Kawakamiによる対談の後編である。前半はリスナーからの相談に答えながら、オフィスや飲食店の空間が人の気持ちや売上をどう変えるかを、照明や素材の具体例で語っている。後半は、仕事の取り方、プレゼンテーションの組み立て、そして生成AIとの向き合い方へと話が移る。森田の立場は一貫している。デザインは相手の想像を超えるものでなければならず、AIは敵ではなく共存する相手だという。
額縁が写真を美しく見せる
字幕は話の途中から始まる。森田は、写真そのものではなく、それをより美しく見せるのがデザインだと述べる。写真に合った額縁を入れることで、写真がより美しく見えるという意味だ。Kawakamiはこれを受けて、森田は写真が買われて家に運ばれ、リビングに飾られたときにその場所でどんな価値を生むかまで「妄想」するのだろうと言い、森田もそれを認める。
オフィス空間は投資になるのか
最初のリスナーからの相談は、社員30名のIT企業を経営する35歳のスタートアップ経営者からである。オフィス移転を考えているが、「見た目より機能」という意見と「空間が人の創造性を左右する」という意見があって迷っている。オフィス空間への投資を経営的にどう評価すればよいか、という質問だった。
森田は、自分に何度も依頼をくれるリピーターの顧客から聞く言葉を紹介する。社員のモチベーションが上がり、それが日々続き、売上にもつながる。リクルーティングにも効果があり、「こんなところで働いてみたい」と思ってもらえる。顧客からは「いいことしかない」と言われるという。
ただし森田は、見た目だけを作っているわけではないと強調する。機能面は当然ヒアリングする。働きにくい空間はストレスになり、ストレスが一番よくないからだ。打ち合わせを重ねながら、部屋をあえて狭くしたり、廊下を打ち合わせ場所にしたりと、効率を上げるためのアイデアを自分の経験から出していく。そのうえで、デザインは間違いなく企業にとってプラスになると答えた。
Kawakamiは、誤解を恐れずに言えば、自分のアーティスト魂を押し込んでくるデザイナーもいると話す。顧客にはニーズがあり、それを満たすことが第一の目的である。機能と目的を達成しながら、アートとしての完成度も高めるのはとても難しい。Kawakamiはコンサルタントとしての実感も語った。何枚のパワーポイントやエクセルを見せるより、たった1枚のデザインのほうが経営者の心を動かす。財務分析を尽くして慎重な提案をしても、デザインを見た社長が「このぐらいはやらなきゃだめだ」と言い出すことがある。経営者がそう感じるのと同じように、訪れる客や社員も「こういうところならいい」と感じるのだという。
話は収録場所のJ-WAVEにも及んだ。森田によれば、デザインとしてはホワイトキューブだが、来訪したアーティストのサイン入りの品やアルバムといった財産がたくさんある。それは他にないオリジナリティであり、企業の空間にはオリジナリティが欠かせないと森田は言う。
限られた予算で居酒屋の体験を変える:照明
2通目は、地方で居酒屋を3店舗経営する48歳の飲食店経営者からだった。コロナ後に客足は戻りつつあるが、「また来たい」と思ってもらえる店づくりに悩んでいる。大きな予算は取れない。そのなかで、森田の言う「体験を設計する」という考え方を取り入れるヒントはないか、という相談である。
森田の答えは照明だった。居酒屋では料理をおいしく見せるために明かりが必要だが、店が明るすぎるとお酒の売上が伸びないという。根拠として、18、19歳の頃の経験を挙げた。売上が上がらない店で、翌日に照明を大きく絞り、カウンターにキャンドルを置く程度の暗さにした。店の人は昨日と違うと言っていたが、雰囲気がよくなってお酒がよく出て、売上が大きく上がった。変えたのは照明だけだったという。
どこまで暗くするかについて、森田は具体的な手順を示した。まず照明のスイッチを全部切る。次にキッチンなど必要な場所の明かりだけをつける。この時点で客席はたぶん真っ暗なので、充電式のテーブルランプを全部のテーブルに置く。わずかな光が生まれ、それがバータイムの勝負になる。さらにダウンライトを少しだけ明るくすると、売上が伸びる雰囲気の居酒屋になると森田は見ている。ランチタイムは明るくてよいので、ランチ、夕方からのディナー、9時半以降のバータイムで照明を切り替えるだけでも、店のイメージはまったく変わるはずだと話した。
ワイングラス、カウンターの「腰」、トイレの明かり
Kawakamiは、森田と仕事をした現場で驚いたことをいくつか挙げた。カウンターのダウンライトが食事をする位置からずれていると指摘すると、森田は「違うんだよ」と答えた。ワイングラスを置いたとき、そのグラスが一番美しく見える位置にライトを合わせてあるのだという。森田によれば、明かりを少し落としていくと、グラスの中の液体が光を跳ね返してきらきらと輝き、一番美しく見える。
次がカウンターの「腰」である。客が座ったときに足が当たる部分で、そこが柔らかい布地になっていた。理由を尋ねると、女性がヒールで座って足を組んだり置いたりすると、ヒールの先が当たって傷つくからだという。Kawakamiは、その「妄想力」の密度に驚いたと振り返る。
トイレの照明も同じ考え方で作られている。店内の雰囲気がよいまま席を立ったとき、トイレの明かりが全開だと気持ちが一度現実に戻ってしまう。だからトイレは店内と同じくらいの照度でなければならないと森田は言う。トイレは一人きりになる場所なので、冷静にいろいろ考えてしまい、「もう帰ろうかな、今日はもういいかな」と思う場所になりかねない。そうならないようにすることが大切だという。
Kawakamiは、言われなければ気づかないところまで想像してデザインに落とし込めば、そのぶんコストがかかるのではないかと尋ねた。森田の答えは逆だった。カウンターの腰には床材を立ち上げて貼ることが多いが、床が石なら石を使うことになり、これは高い。腰はそれほど目立つ場所ではないので、消防法の基準を満たすカーペットやファブリックの素材を貼れば、コストはむしろ下がるという。Kawakamiはこの話から、ロジカルに詰めていく部分と感性の部分のバランスがなければデザインは成り立たないと実感したと述べた。
繊細さと1mm単位の仕事
Kawakamiが森田の感覚を「女性的」と表現すると、森田は「繊細」という言葉で言い直した。自分たちは、相手が「森田ならこういうものを作るだろう」と想像するその上を超えていかなければならない。そのためには自分の中の引き出しを繊細に作っておく必要がある。1mm単位の仕事で、1mm違えば収まらない世界だという。
森田は、デザイナーはデザイン画を描いて終わりだと今でも誤解されると話す。実際には基本設計、実施設計で図面に落とし込み、施工図になるところまで見届ける。最後の仕上がりから逆算して図面を引くのがデザインだという。Kawakamiは、基本コンセプト、基本設計、実施設計図書、職人、現場の作り込みと進む流れが、会社を設計する経営とよく似ていると感じたと述べた。
依頼がなくても「飛び込む」:ジョエル・ロブションの事例
デザイナーとしての森田と、経営者・営業担当としての森田は違うのか。Kawakamiの問いに、森田は、自分たちがやりたい仕事は多いが、その仕事が自分のところに来る可能性は非常に低いと答えた。顧客を待っていても来ないので、繊細さとは逆の部分が出てくる。依頼のない会社に対しても勝手に企画とデザインを作り、知り合いでなくても何とかアポイントを取って乗り込むという。国内でも海外でも同じだ。
ジョエル・ロブションの仕事は、友人の紹介がきっかけだった。ロブションは世界で最も厳しいと言われる料理人で、2分で判断するという話もあった。紹介者からは「気にしないで」と言われたが、森田は気にした。来てもらった以上は喜んでほしかったからだ。
そこで森田は、デザインのプレゼンテーションをいったんやめた。まずジョエル・ロブションという人物が今どういう位置にいて、どう評価され、フランスと日本でどんなイメージを持たれているかを話した。料理やバックグラウンドにも触れ、「エルメスのような存在かもしれませんね」と伝えた。伝統を守りつつ新しいことに挑戦する、それはあなたの料理であり、フランスで言えばエルメスもそうではないか、という話をしたとき、ロブションの顔が喜んだ。そこからプレゼンテーションに入ったという。
森田は、相手の気持ちが乗っていなければ、同じものを提案しても結果はまったく違うと考えている。これを「先にレールを敷いてから電車を走らせる」とたとえた。先に電車を走らせても誰も乗ってこない。最初は「何なんだ君たちは」というところから始まっても、細い糸をつないでいくと関係が変わる。フランスの陶磁器メーカーのベルナルドとの関係も、「今度遊びに来なさい」と言われて工場を訪ねたことから始まった。森田たちはプレゼンテーションの材料を大量に持参し、「何しに来たんだ」と聞かれて「プレゼンに来ました」と答えた。「面白いな、ちょっと見るか」というところから、プロジェクトが生まれたこともあるという。
リヤドロで「刺激の強い案」が通った理由
Kawakamiは、レールを互いのメッセージが届き合う基盤にたとえ、その基盤は天気や野球の話のようなアイスブレイクとは違うと指摘した。では何をすればよいのか。森田は、どの企業、どのプロジェクトでも共通するのはクリエイティブだと答える。その会社が予想もしていなかったところを突くことが大事で、相手が「そうかもしれない」と気づくと、Kawakamiの言葉を借りれば耳のレセプターが開く。
その例がスペインの陶磁器メーカー、リヤドロである。呼ばれてもいないのに、日本法人の社長と一緒に、提案を求められてもいない提案書を持って乗り込んだ。アイデアはいくつかあったが、日本の社長からは、ある案は刺激が強すぎるから見せないほうがいい、こちらは見せてもいいと言われていた。前夜、リヤドロのファミリーと食事をした際に「何か持ってきたんでしょう」と聞かれ、「見る」と言われた勢いで、森田はその激しいほうの案を見せた。すると、それが一番いいという反応になった。
その場では、リヤドロのこれからの世界をどうするかという話から始まり、森田たちが考えるリヤドロ、ファミリーが考えるリヤドロ、日本の社長が考えるリヤドロと、さまざまな意見が出た。女性的な商品が多いので男性も買えるものが欲しい、といった意見のなかから提案した案は、実際に商品化されたという。Kawakamiは、コミュニケーションの基盤を先に作れば、その上に乗るアイデアは刺激的なものでもすっと受け入れられる可能性がある、とまとめた。森田は、要はツボを突いているかどうかだと応じた。
妻・大地真央からの問い「そこに愛はあるんか」
Kawakamiが森田の感性への妻の影響を尋ねると、森田は大きいと答えた。職業は違うが、妻の大地真央はクリエイティブの世界のトップランナーで、今も現役で活躍している。森田がプレゼン内容を見せると、まず「そこに愛はあるんか」と聞かれるという。テレビCMの台詞と同じ言葉で、夫婦の間でもそういう笑い話があるそうだ。妻は淡路島出身の関西人だからだと森田は言う。Kawakamiは、宇宙人役にまでなったあのCMシリーズがどこまで続くのか楽しみだと話した。
AIの進化と、まだ作れない「第六感」
最後の大きな話題はAIである。森田は画像生成のNano Bananaを使っていると答えた。Kawakamiが、写真を俯瞰に変える、あおりの構図に変える、磁器(ポーセリン)の質感に変えるといった指示がすぐ実現できることを挙げると、森田は、この1、2年の進化はすごく、恐ろしいほどだと言う。iPhoneが出たときの感動とスピードよりも速いという感覚を語った。
森田は、AIの最前線にいる顧客と話した内容を紹介する。AIは世の中に存在する過去のすべてのデータをもとに考えて答えを出すので、間違いもあるかもしれないが、ほぼ確実なものを出してくる。何百万人もの頭のいい人が集まったような存在で、弁護士のデータもデザイナーのデータもある。
それでも森田は、人間の五感の先にある第六感、つまり直感的なものは、AIにはまだ作れないと考えている。これからは「AIで作ったデザインでいいなら森田に頼まなくていい」という顧客と、「どうしても森田のデザインがいい」という顧客の二者択一の時代になると森田は見る。後者が森田を選ぶ理由は、誰も持っていないオリジナリティ、つまり会長や社長が持っていないアイデアを出してくる第六感にある。それが強いうちは「まだもうちょっと大丈夫かな」と森田は言う。ただし数年後にはまたすごいことになっているかもしれない、とも付け加えた。
「森田らしいデザイン」をAIが出してきたら
Kawakamiは、森田が苛立つかもしれないと前置きして、ある仮定を投げかけた。今日の放送で語られた森田の志や仕事への姿勢をプロンプトにし、過去の作品を読み込ませれば、AIは「この条件、この広さならこうするだろう」というものをある程度設計してくる可能性がある。森田が見て「まあまあだな」と思うものができるかもしれない。
森田はそれを十分にあり得ると認めた。そのうえで、そのとき自分はたぶん違うデザインを考えている、と答えた。Kawakamiはこれを、森田の成長や進化は線形ではなく非線形で、飛び地のように進むという意味に受け取る。その飛び地の部分はAIには測れないのではないかと問うと、森田は「今の状況ではね」と限定した。Kawakamiも、飛び地を何度も繰り返せば、その傾向さえパターンとして捉えられる可能性があると指摘する。だからこそ、どれだけランダムに考え、ランダムに興味を持つかが問われることになる。一方でKawakamiは、写実的な絵を描いていたピカソが突然キュビスムに向かうような飛躍は、AIには想像できない気がするとも話した。
森田は、面白いライバルができたと思えばいいと言う。AIでなくても、森田のデザインをコピーする人は世の中にたくさんいる。怒らないのか、悔しくないのかと聞かれるが、真似は真似であり、自分はその時点でもう違うことを考えていて、そこにはいない。だから「どうぞやったらいい」と考えているという。Kawakamiは、『ライオン・キング』が公開された際に、オマージュかインスパイアかはさておき嬉しいと語ったとされる手塚治虫の話を重ねた。
クリエイターへの助言:AIを敵にせず共存する
膨大なデータからパターンを読み取り、創造性や人の感性までデータ化しうるAIという「ビースト」と、クリエイターはどう向き合えばよいのか。森田の答えは共存だった。敵にせず、自分たちのアイデアを入れて進化させていく。
森田は労働時間の違いを挙げる。人間の労働を仮に8時間とすれば、AIの働く時間は無限で、インプットさえすれば24時間、もしかしたら50年、100年と働き続ける。それは人間にとって助けになる。減った労働時間を使って、人間はギャラリーや美術館に行き、これまでになかったインプットを取り入れて感性を磨く。そうして生まれた新しいアイデアをまたAIに伝える。その循環ができれば、よい共存になると森田は考えている。
Kawakamiは、AIに勝とうとするから「仕事が奪われる」「人間の創造性が」という話になるが、一緒に何ができるかを考えるほうが発展的だと受け止めた。森田も、新しいパートナーができたと思い、自分たちのインプットを入れて自分に近いものへ進化させていけば仲間になっていく、と応じた。
食べていく、経営していくための「トライアングル」
最後にKawakamiは、クリエイターとして生きること、それで食べていくこと、さらに経営して人を食べさせていくことはまったく違うフェーズではないかと尋ねた。森田は、偉そうなことを言える立場ではないと前置きしたうえで、自分の考えを話した。
ビジネスには必ず競合がいて、同時にクライアントがいる。クライアントは多くの競合の中で2番ではなく1番を目指している。その1番を目指す過程を、デザイナーであり経営者である自分がサポートする形を取れば、クライアントは喜び、それが競合に勝つ要因の一つになる。森田は、自分、クライアント、競合というトライアングルはどこまでいっても変わらないと言う。その関係の中で軸をずらしながら動けば、クライアントが喜び、お金が入ってくる。
ここで森田が強調したのは、見るべき競合は自分の業界の競合ではなく、顧客の業種の競合だという点だ。顧客の競合が今何をしているかを常に見ながら、次に何を提案すべきかを考える。Kawakamiはこれを、自分のアイデアや良さを売り込むのではなく、顧客のサポーターやパートナーになる姿勢だとまとめた。売る人と買う人という構図ではなく、一緒に何かをやろうという姿勢でなければ顧客は頼まないし、売上も上がらない。より有名な人も、よい競合もいるからだという。
対談は、森田がこれからも進化していくので、新しいプロジェクトがあればまた話を聞きたい、というKawakamiの言葉で締めくくられた。AIが森田の飛び地のような進化までパターン化できるようになるのかについて、森田自身は「今の状況では」と限定をつけたまま、答えを数年後に委ねている。
「それじゃ売れませんよ、多分」って。「どうすんだ?」って。「ちゃんと額入れないと」って。あと、より美しく見えるのはデザインなんです。そこに綺麗な額縁を、その写真に合う額縁を入れていくことによって、よりその写真が美しく見えるということだと思います。
森田さんはデザイナーだから、この写真が手に取られて、お家に運ばれて、やがてリビングに行きっていった時に、この写真はどんな価値をその場所で提供するのかなっていう妄想をされるんでしょうね。
そうですね。
ちょっと一つメールが来てまして。35歳、三振さん、スタートアップ経営者、東京の方。件名「オフィス空間は投資になりますか?」。社員30名のIT企業を経営しています。オフィス移転を検討しているんですが、見た目より機能という意見と、空間が人の創造性を左右するという意見もあり、迷った。森田さんからご覧になったオフィス空間への投資というのは、経営的にどう評価すればいいんでしょうかという、非常に真っ当な。
私のところに設計依頼をいただくクライアント様、オフィスのオーナー様、企業さん。なぜ、星の数ほどいるデザイナーが世の中にいるのに、僕にお話をいただくのかっていう話になっていくんですけども。まず、リピーターになっているお客様が何人もいらっしゃって、デザインでまず社員のモチベーションが上がる。日々のモチベーションが上がる。売上にもよく繋がっていく。あと、リクルーティングにもすごくいいと。「こんなところで働いてみたい」と。だから「いいことしかないんだよ」って言われるんですね。それはありがたい言葉なんですけども。
なおかつ、機能面もちゃんと当然ヒアリングしてやるので、働きにくかったらストレスになりますんで。ストレスが一番良くないので、そのストレスを解消する。もっと働きやすくするためには、もっと効率よくするためにどういうことがいいかっていう、いろんなミーティングをしながら、逆に部屋を狭くしたり、逆に言うと廊下を打ち合わせ場所にしたりとか、いろんなアイデアを僕の経験上出していきながらやっていくんですけども。
今おっしゃったリクエストと質問なんですけども、間違いなくデザインはその企業にとってプラスになることだと思いますね。
やっぱり、デザイナーは、私も本当にいろんな森田さん以外のデザイナーの方とお仕事したり、お会いすることがあるんですけど、誤解を承知で申し上げると、自分のアーティスト魂をぶつけてくるというか、押し込んでくる人もいるじゃないですか。そうじゃないよねっていう。お客様にはニーズがあるので、ニーズを満たすってことが第一で、それをアーティスティックに表現する。機能も生かしながら、目的も達成しながら、アートとしての完成度も高めていくってことって、とっても難しいことで。
我々、コンサルをやっててすごく思うのが、本当に何枚のパワーポイント、何枚のエクセルをしても、たった一枚のデザインの方が動くんですよね、経営者が。「いや、社長、すっごい財務の分析やったのに。これ、もっとお金がかかりますよ」「いや、もうこのぐらい行かなきゃダメだよ」って。そのアートのパワーっていうのはもちろんあるし、だからそれぐらいに経営者がそう思うと同様に、そこに来るお客さんも社員も「あ、こういうところだったらいいね」と。
ちなみに、このJ-WAVEはいかがですか?
だいぶ当初から全く変わってないと思うんですけども、居心地がいいからそうなんじゃないですか。
そうですか。デザインとしては。
ホワイトキューブなんですけども、こちらにある財産が素晴らしいの、いっぱいあるじゃないですか。アーティストが来たサインのものとか、アルバムとか。これは他にはないオリジナリティじゃないですかね。
そうですよね。
いろんな企業さん、会社さんがあると思うんですけども、やっぱり一言で言うと、オリジナリティがないとダメだと思うんですよね。
オリジナリティと、ちょっとやっぱり予算。もう一個メール、いいですか?
はい。
48歳、んさん、飲食店の経営者です。「店舗リニューアルで体験をどう設計すればいいのか」。地方で居酒屋を3店舗経営しています。コロナの後、客足は戻りつつありますが、また来たいと思ってもらえる店作りに悩んでいます。大きな予算は取れません。森田さんのおっしゃる、体験を設計するという考え方に、振って考えてみたいと思っているんだけども、もう一回言いますが、限られた予算でお客様の体験を変える何かヒントがあれば。多分こういうお話って結構あるんじゃないかなと思う。
そうですね。よくお話あります。また、お店だけじゃなくて、お家のリビングとかの話もよく相談ですけども。僕はよくそういう時にお話するのが、多分ろうそくでお店をやってるわけじゃないと思うので、多分照明は使われてると思うんですよ。今のお話だと居酒屋さんですよね。
居酒屋さんって当然、食べ物がよく見えるために明かりも必要なんですけども、お店って明るすぎたら、お酒もそんなに売上が上がらないんですよ。人間って不思議で、これ僕の18歳、19歳の頃の経験なんですけども、お店があって、売上があまり上がらないんですね。僕が次の日、ライティングをすごく絞って、暗くして、カウンターにキャンドルを置いたぐらいの感じの暗さにしたんですよ。
お店の人、「あれ、昨日のお店と違うね」って言いながら、雰囲気がいいからすごいお酒が出るんですよ。売上、ものすごい上がったんです。ただライティング一つで変わるんですよ。
森田さんに頼まなくても、ちょっとライトを落としてみるだけでも雰囲気が変わる。
そう。どこまで落としたらいいかっていうのは面白くて、一回全部スイッチを切ってください。そして、必要なキッチンとか、明かりのところをまずつけていって。そしたら多分、客席はまだ真っ暗だと思うんですよ。その真っ暗なところに、例えば今、便利な充電式のテーブルランプとかありますよね。それを全部のテーブルに置いたりとかやっていくと、そうするとわずかな光が今度出てくるんですよ。
それが多分バータイムの照度なんですね。それにもう一つ、ダウンライトを少しだけ明るくします。そうすると、売上が伸びるような暗い雰囲気の居酒屋さんになると思うんですよ。明るすぎたら、ランチタイムとかはいいんですよ、明るくて。だから、せっかくですからランチタイム、あとは夕方からディナータイム。逆に言うと9時半以降はライトを絞ってバータイムにして、ライトを調整するだけでも全然お店のイメージが変わると思います。
これは私、森田さんとお仕事させてもらって、現場で感じたんですけど、カウンターでダウンライトがあって、「食事をするところとライト、ずれてますよ」っていう話があった時、「違うんだよ」と。「ここにワイングラスを置いた時に、そのワイングラスが一番美しく見えるライトにしてある」。おっしゃる通りで、少し落としていくと、そのグラスの中の液体がキラキラキラキラしながら、ライトに跳ね返って、一番美しく見えると。
本当に光を操ってるライティングをされるんだなと思って。その流れでお話をすると、カウンターの下。カウンターの下というか、どういうふうに、カウンターの腰っていうんですかね、奥。
足の、カウンターがあって座った時に足が当たる場所ですね。腰と言うんですけどね。
腰って言うんですか。あそこが柔らかい布地になってて。「なんでこんなことするんですか」って言ったら、「わかんないのか」と。女性がヒールでここに座って、足を組んだり、足を置いたりして、ヒールの先、これが当たるでしょ。傷つくんだよ。なるほど、この妄想力の密度というか、粒度の高さというか、びっくりしましたけどね。お手洗いもそうでしたけどね。
そうですね。例えばお手洗いなんかも、お店の中、雰囲気が良くて、その雰囲気がいいまま「ちょっとお手洗い行きます」って言った時に、トイレの明かりが全開だと、一回現実に戻っちゃうんですよ、気持ちが。だから店内と同じぐらいの照度じゃないと、トイレはダメなんですね。
なるほど。一人ぼっちになるところですから、いろんなことを考えちゃうんですよ、冷静に。
その冷静に考えないようにするのが大切。
「帰ろうかな」みたいな。「もういいかな、今日は」って思う場所になっちゃうってことですね。
人ってやっぱり面白く、そうなっちゃうんですね、トイレとかね。
だから、そのお客様の妄想というか、想像というか、心理をちゃんと捉えて。心理だけじゃないですよね。先ほどのヒールが当たって、ヒールの先が傷ついて、先っぽの革がちょっと破けちゃうかもしれないっていうところまでの気遣いっていうのは、もしかすると言わなきゃ気づかない話じゃないですか。
そうですね。
言わなきゃ気づかないところまでの妄想をして、それをデザインに落とし込んでいく。ただ、その時にはコストになるわけじゃないですか。ここをどうやって折り合いつけていくか、みたいなところありますよね。クライアントさんにね。
そうですね。でも例えば、床の素材とかをよくカウンターの腰とかに貼るんですね。じゃあ床は石って、そのまま石を立ち上げたら、高いですよね。でも柔らかい素材で、もし例えばカーペットみたい、床のカーペットみたいな素材だと簡単で、実はそんなに目立つところじゃないので、そこにコストをかけるわけじゃないので。そういうカーペット素材、ファブリック素材、消防のオーケーなものを貼っていくと、コストは逆に下がっちゃいますけどね。
そっか、そっか。逆にね。だから、そういうロジカルに考えなきゃいけない、収めていくっていうロジックの部分と、感性の部分っていうのが、すごくバランスがないとデザインっていうのが成り立たないんだなっていうのを、身をもって森田さんとお仕事させていただいて感じたわけですけど。ちなみに私、森田さんってとっても女性的だなっていうのは感じるんですけど、そう思います?
やっぱり感覚が。
感覚が女性的なのか、女性的って言わなくてもいいのかな。もう少し繊細。
繊細だと思います、多分一言で言えば。でもそれは、繊細っていうのは仕事の中で大切なところで。僕たちは、みんなが「森田だったらこれを作るな」とか、「これを設計するな」っていうところの想像を超えていかなきゃいけないので、やっぱりそこはいろんな自分の中の引き出しの繊細さの部分を作っていかないと。いわゆるデリケートに作っていかないと。繊細に作っていくもの、1ミリ単位の仕事ですから。
そうですよね。下手したら、コンマ何の世界。1ミリが違ったらもう収まらないわけですからね。
そうですね。だから僕たち、未だに誤解されるのが、デザイン描いて終わりと思ってるんですけども、ちゃんと基本設計、実施設計で全部図面に落として、それがちゃんと施工図になっていくところまで見ていくので。やっぱり最後の仕上がりから逆算して、図面を書いてデザインするんです。
なるほどね。私、設計って経営にすごく似てるなっていう。基本コンセプトがあって、基本設計があって、それが実施設計図書になって、そして職人さんたちがいて、現場の練り込みのところまでやっていくっていう、会社の設計にすごく似てるなって気がするんですけど。デザイナーとしての森田さんと、経営者、あるいは営業マンとしての森田さんっていうのは、また違いますか?
自分の得意な設計の部分を考えた時に、自分たちがやりたい仕事っていうのはたくさんあるわけです。でも世の中にこれだけプロジェクト、クライアントさんにしても、自分のところにやりたい仕事が入ってくる可能性って非常に低いと思うんです。なので自分は、その繊細さとはまた別のところの、逆の部分が出てくるんですけども。クライアントさんが来るのを待ってても来ないので。
結構飛び込んでいくらしいですね。
そうです。飛び込んでいきます。国でもやっぱり飛び込んでいきますね。
具体的にどういうところに、どういう形で飛び込んでるんですか?
自分たちが、オファーが当然ないところでも、勝手に企画を作って、デザインを考えて、その会社に全然知り合いじゃないのに、なんとかアポイントを取って乗り込んでいくんですよ。
例えば、相当いろんなところをやってらっしゃいますけど、そのジョエル・ロブション。
ロブションさんは、きっかけは友人の紹介があったんですけども。
あったんですか?
あったんですけども、ロブションさんの場合はまず、世界で一番難しいと言われる、厳しいと言われる料理人さんなんで、一瞬、2分で退席されるっていう、十分にある方だと。「なので気にしないでね」って言われたんですね。
気にするよ。
そう。だから気にするので、やっぱり来た限りは喜んでいただきたいので、そこでデザインのプレゼンテーションを僕は一回やめるんですね。まず、ジョエル・ロブションという人間が今どういう位置にいて、どういう評価があって、フランスはそうだけど、日本だとどういうイメージがあって。当然、料理のこともそうだし、今の彼のバックグラウンドのこともお話するんです。
言葉は違うかもしれませんけども、「エルメスのような存在かもしれませんね」ってお話。伝統を守りつつ、かつ新しいことにチャレンジしていく。それはあなたの料理でもあり、フランスで言うとエルメスもそうじゃないでしょうかっていう話をした時に、すごく顔が喜んだ。そこからプレゼンテーションに入っていくんですけど。
だからやっぱりプレゼンテーションで、ビジネスもそうですけど、相手の気持ちが乗ってないと、同じものを提案しても多分全然結果が違うと思うんですよ。一旦レールを敷いた上で電車を走らせないと、先に電車を走らせても全然誰も乗ってこないし。
そうですね。
「何なんだよ、君たちは」っていうところが最初スタートするんですけども。でも細い糸を繋いでいくと、例えば先ほどのロブションさんと、ベルナルドさんとか、フランスの陶磁器の有名なところですけども、そういうところに繋がっていって。「じゃあ今度遊びに行こう」って言って、全然変わってくるわけですよ。
そこから始まっていったら、僕たちはただ工場に遊びに来ただけと思ったら、ものすごい材料を持った、プレゼンテーションのグッズを持って僕ら行くわけですよね。「何しに来たんだ?」「プレゼンに来ました」って言ったら、「面白いな、君たち。ちょっと見るか」ってところからスタートして、そういうプロジェクトに発展したり。
これ、いい例えかどうかわからないですけど、さっきのレールと電車の話をすると、レールっていうのが、お互いがちゃんとコミュニケーションを取れるような基盤が出来上がってる状態。そして上に乗っかってるのが実際メッセージだとすると、まずお互いのメッセージが届き合うような場というか、基盤というか、作る時に、これってアイスブレークの話じゃないじゃないですか。天気の話じゃないじゃないですか。
そうですね。
野球の話じゃないじゃないですか。
ないですね。
これはどうしたらいい? 逆にここが整うと、本当にベールのような美しいカーペットが敷かれると、上ではいろんなコミュニケーションがすごくなるんですけど、下でやることって。
多分それはどんな企業さんも、どんなプロジェクトもそうですけども、多分クリエイティブが共通していくと思うんですね。クリエイティブって一言に言っても、いろんなクリエイティブの考え方があると思うんですけど、その会社にとって予想もしてなかったところを突いていくとか。やっぱり彼らが。
そう、そう。そうですね。
そこがすごく大事なんじゃないですかね。
そうか。パッと気づくと、「あ、そうかもしれない」って話が。
そういうこと。
耳が、レセプターが開くってことですかね。
そう、やっぱりそこだと思うんですよ。リヤドロっていうスペインの陶磁器メーカーも、呼ばれてもないのに、こっちの日本の社長さんと一緒に、とりあえず乗り込んで。提案しろとも言われてないのに提案書を持っていって。いくつかのアイデアがあったんですけど、「これ、森ちゃん、見せない方がいいね」と。「ちょっと刺激が多すぎる。でもこっちは見せてもいいんじゃない」って言って、前の夜にそのファミリーの人たちとご飯を食べて。
「なんか持ってきたんでしょう」っていう話を、さっき言ってたよね。「見る?」って言ってから、僕、その勢いでバーッと見せたんです。
激しいやつを見せ。
激しいやつを。そしたら「これが一番いいんじゃない」ってなったんです。だから、そのレールがそこでクリエイティブの話を、今後のリヤドロの世界をどうしていくかっていうところから始まって、いろんな僕たちが思うリヤドロと、彼女たちが今考えてるリヤドロと、そして日本の社長が考えるリヤドロっていうのはいろんな意見の中にあって、「僕はこういう意見があってもいいじゃない」と。女性的なものが多いから、男性も買えるようなものが欲しいとか、そういうアイデアの中から提案したのが、「だったらこれがいいよね」って言って、それは実際商品化になってます。
なるほどね。逆にコミュニケーションの基盤を一旦作れば、上に乗っかってくるアイデアやメッセージっていうのは、意外に刺激的なものでもすっと。
受け入れられるんです。
受け入れられる可能性があるから。
いわゆるツボをちゃんと突いてるかどうかですけど。
そうですよね。先ほどちょっと話が飛んじゃってごめんなさい。女性的って話をやりましたけども、そういう感性の部分で、森田さんの感性の中で奥様の影響は大きいですか?
大きいと思いますね。
そうですか。
職業は違いますけども、クリエイティブの世界では彼女もトップランナーです。今も現役でずっとバリバリやってる人なんで。
本当ですよね。奥様、皆様ご存じ、大地真央さんでいらっしゃるわけですけども。
はい。「そこに愛はあるんか」っていうのをまず言われる。必ず。
デザインで。
デザインの中でも。
出してきたプレゼン内容に、「聞いていいですか」と。「そこに愛はあるんか」。これは、ご夫婦の中でもそういう笑い話はあった?
あります、あります。
あるんですか?
ありますね。彼女も淡路島の関西人なんで。
そうですよね。しかし個人的に、あのシリーズがまだ続くのかなっていうのは、すごくちょっとね。あれはあれですごいアーティスティックですごいなと思って見てますけど。
でも全国、小さな子からおばあちゃんまで。
本当ですよね。
皆さん多分楽しみにされてるみたいな。
本当ですね。
とうとう宇宙人までなってしまいましたね。
どこまで行くんでしょう。
最後に、やっぱりこれ聞いておかなきゃいけないのが、このデザインの世界とAI。Nano Bananaとか使ってらっしゃいますか?
はい、使ってます。
「この写真をこのように俯瞰して、俯瞰したような写真に変えなさい」「煽ったような写真に変えなさい」「これをポルセレンにしてみてください」。できちゃうじゃないですか。まず最近のああいうAIのクリエイティブな部分での能力に対して、森田さん、どう思ってますか?
この1、2年、すごくないですか?
すごい。
すごいですよね。
すごい、恐ろしい。
iPhoneが出た時の感動とスピードよりも、ものすごい早いですよね。僕の仕事でも、いろんなお客様がいて、GMさんなんかはもう最先端にいらっしゃるところですけども。以前お話の中で、やっぱりAIっていうのは、全ての過去の、世の中に存在するデータをベースに考えるので、答えを出してくるので、間違ってる内容もあるかもしれませんけども、ほぼ確実なものを上げてくると。
そうですね。
人の何百倍も頭のいい人がAIさんだとすれば、彼らの情報量っていうのは普通じゃないと思うんですよ。それこそ弁護士さんだったりとかのデータもあるし、デザイナーのデータもあるし、いろんな過去のベースに基づいたもののデータはあると思うんですよ。それはあるんですけども、まだ、ここから時代がどんどん変わっていって、また変わるかもしれませんが、まだこの先に第六感。人間の五感があって、第六感って、6センスの中の6番目っていうのは、まだAIはそれは作れない。
直感的なもの。
直感的なですね。やっぱりAIっていうのはいろんなことはできると思うんですよ、これからも。逆にAIとうまく僕たちも共存しながら作っていこうと思うんですけども。先ほどの話に戻りますけど、クライアントさんがいますと。クライアントさんがAIで作ったデザインでいいんだったら、森田じゃなくていいよっていうクライアントさんか、やっぱりどうしても森田のデザインがいいっていうクライアントさん、この二者選択の時代になってくると思うんです。
その時に、僕の仕事のお客様が、じゃないとダメだっていう理由は何かと言うと、その第六感が、誰も持ってないオリジナリティですか。その企業が伸びる、会長、社長が持ってないアイデアを出してくるっていう、その第六感が強い限りは、僕はまだもうちょっと大丈夫かなと思います。でも、あとは数年後にまたすごいことになってるかもしれませんが。
森田さんからすると、イラッとくる質問かもしれないですけど、例えばですよ。今日の放送で森田さんの志や、仕事に対する姿勢、考え方っていうのが出てくるじゃないですか。これをバーッとプロンプト化して、そして森田さんの過去の作品をぶわーっと読み込ませて、彼がこのシチュエーションで、何平米で、このぐらいのものだったらどのようなものをやるかって、ある程度設計してくる可能性はあるんですよ。
十分ありますよね。
それで森田さんがそれを見た時に、「そんなもん」というよりも、「まあまあだな」っていうものができてくる可能性が。
十分あるじゃないですかね。
あるじゃないですか、そういうのって。
多分全然ありだと思うんですよ。
あり。
あり。でもその時、僕は多分違うデザインを考えてる。
なるほどね。違うデザインを考えてる。だから森田さんっていう人が、デザイナーとしても、アーティストとしても、フォトグラファーとしても、成長とか進化っていうのは線形じゃないんですよね。非線形なんですよね。だから飛び地でどんどん進化していくので、飛びの部分っていうのはAIは測れないのかな。
今の状況ではね。
ただ、飛びもたくさんやってると、その傾向もパターン化して捉えてくるっていう可能性はあるから。だから自分がどれだけランダムにいろんなことを考えていって、ランダムに興味を持っていってってことになるんじゃないですかね。でもピカソが写実的なものを描いてて、いきなりキュビズムは絶対にAIは想像できないような気はするんですよね。ただ、クリエイターとかアーティストが非線形で進化していく様っていうのは、常に面白いな。
そうですね。だから僕たちも面白いライバルができたと思えばいいんじゃないですかね。
ですかね。
AIじゃなくても、僕のデザインをコピーする人たちも世の中いっぱいいるわけですよ。でも「怒らないの」とか「悔しくないの」とか言われるんですけども、真似は真似なので、僕はもうその時点で違うことを考えてるから、そのところにいないんで。どうぞ、やったらいいじゃないですか。
ライオン・キングが出た時の手塚治虫さんみたいな。
そんな、そんな先生じゃないですか。
おっしゃってましたよね。「もう嬉しい」と。「ディズニーが僕のものを」。オマージュなのかインスパイアなのか、さておきっていうのがすごく印象にあるんですけど。それはそれでいいじゃないかと。僕はまた飛び地で新しいことをやるのでという。なるほどね。
これ、特にクリエイターの人。最近のAIの、さっきおっしゃった膨大なデータからあるパターンを読み込んで何かを出してくるっていう、その何かを出してくる時のクリエイティビティもデータ化するっていう。あるいは人の感じ方、感性とか、データ化が可能じゃないですか。そういうとんでもないもの、ビーストと向き合っていかなきゃいけない、いろんなクリエイターがいると思うんですけど、何かアドバイスってありますか?
そうですね。ある意味、僕も言ったような共存ですよね。
敵にしないってことですね。
敵にしない。共存で、そこに自分たちのまたアイデアを入れて、また進化させて。人間はいわゆる労働の中で、ちなみに8時間とすると、彼らは無限なんですね、働く時間は。24時間かける、もしかしたらあと50年、100年と。そこでインプットすれば、ずっと働いてくれるわけですね。その労働時間っていうのは、僕たちは助かると思います。
確かにね。
だからそこで共存して、僕たちの労働時間が減った分は、じゃあ人間はもっと感性を磨きに、いろんなギャラリーに行ったり、いろんな美術館に行って、自分とは違う、今までなかったインプットをどんどん入れていって。そのインプットを入れると、また自分のアイデアが新しいアイデアになって、AIにそれをまた伝えてってなっていくと、いい共存ができるっていうことじゃないですか。
これ、すごくシンプルにして腑に落ちますね。敵にするなと。一緒に何かすることを考えなさいっていう。向こうに勝とうとするから、仕事が奪われるだとか、人間のクリエイティビティはとかっていう話になるんですけど、一緒にやるってことを考えて、何ができるかを考えたクリエイティビティの方がもっと発展的だし。
新しいパートナーを作ったと思えば、そのパートナーをより自分に近いものに進化させていって。
インプットさせていけば。
自分たちがインプットして、それをアウトプットしていくと仲間になっていくので。
そうですよね。あと、もう本当の最後の最後なんですけども、クリエイター、デザイナーとして生きていくっていうことと、食えていくってこと、ましてや経営していくってことって、全く違ってくると思うんです。そのクリエイター、デザイナーっていう人たちがきちんと食べていくフェーズ1、フェーズ2、経営をして人を食わせていくっていう第2フェーズがあって、次のフェーズがさらに進化するって。二足のわらじと言ったのか、脳としてはちょっと切り分けなきゃいけないところがあるような気もするんですけど。きちんと商売として成り立って、成長して、存続、発展していくっていうことに対して、何かアドバイスありますか?
僕はそんな偉そうなことを言える立場ではない。
飛び込んでいくっていうのも一つかもしれないですけど。
でも、必ず何度も言いますが、まずビジネスにはコンペティターがいます。同時にクライアントさんもいます。クライアントさんは、その多くのコンペティターの中で2番じゃなくて1番を目指してますね、皆さん。1番を目指すところに、やっぱりデザイナーであり、経営者が、自分がサポートしていく形を取っていくことは、クライアントにとってハッピーで、コンペティターに勝つ原因の一つになる。
なるほど。
だからやっぱり、どこまで行ってもこのトライアングルが変わらないと思いますよ。自分のポジションがいて、クライアントさんがいて、コンペティターがいると。この関係を自分がどういうふうに軸をずらしながらやっていった時に、当然クライアントが喜べばお金は入ってくる。そしたらコンペティターがいたら、コンペティターの今やってることを常時見ながら、じゃあ何を今度お客さんに提案したらいいんだろう。
自分の業のコンペティターとは違って、お客様の業種のコンペティターを見ていくってことです。
自分のアイデアとか、自分の良さを売り込むのではなくて、お客様のサポーターとして、パートナーとしてなるってスタンスがないと。自分を買ってもらう。売る人、買う人っていう構図じゃなくて、一緒に何かやってやりましょうというようなスタンスじゃないと。
お客さんは来ないし、当然売上も上がらないし。いいコンペティターもいるし。
そうですね。もっと有名な人もいるだろうしっていう。なるほど、ありがとうございます。
はい。
これ、定点でまた森田さんには、森田さんどんどんご進化していかれるんで、また新しいプロジェクトがあった時には、またぜひお越しいただきたいと思います。今日は森田さんにお話を伺いました。本当にありがとうございました。
ありがとうございました。楽しかったです。
ありがとうございます。
NEXT。
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