練習場の思いつきから、宣言してD2Cへ ― 内柴有美子が語るHERG1の起業とリスクの考え方
MAKE IT NEXTゴルフウェアブランド「HERG1(エルグワン)」の代表取締役兼デザイナーである内柴有美子に、ナビゲーターのSean Kawakamiが話を聞く対談の後編である。「ゴルフ場で着たい服がない」と感じる人は多いはずだが、実際に起業に踏み切るのは別次元の判断ではないか。Kawakamiのこの問いに対し、内柴は練習場で抱いた違和感、事業計画づくり、協力企業との2年間、D2Cの苦労、資金調達、そしてこれからのブランド像を順に語った。終盤では、Kawakamiが「リスク」と「不確実性」を区別する独自の見方を示し、内柴は「やらないで後悔するより、やって後悔したい」という言葉で踏み出せない人に応えている。
「スーツなら格好いいのに」という違和感と、ボーダレス・タイムレス
話の入り口は、内柴がゴルフ場で感じていた違和感である。普段スーツを着ていれば格好いいはずの年配の男性が、ゴルフ場ではその人らしさが出ていない。Kawakamiはこれを「言葉を選ばずに言えば格好悪いということ」と言い換え、内柴も同意した。
HERG1が目指すのは、ジャケットを羽織ればオフィスにいてもおかしくない服である。内柴はこれを「ボーダレス」と「タイムレス」という言葉で表し、Kawakamiは「グリーンにいてもいいし、それ以外の場所にいてもいいということ」とまとめた。
ひらめきは練習場で、反応は「共感7対否定3」
Kawakamiは、起業を思い立った瞬間をどこで迎えたのかを尋ねた。内柴の答えはゴルフの練習場だった。来ている人たちの服装を見ながら、もっといろいろな服があってもいいと、ドライバーを打ちながらずっと考えていたという。
思いついた後、内柴は「とにかく人に話しまくった」。こんなアイデアがある、こんなことを考えている、と周囲に伝えると、「甘くないよ」と否定する人もいたが、共感する人のほうが多かった。割合を問われると、共感と否定がおよそ7対3だったと答え、内柴自身はこれを「ラッキーだった」と振り返っている。Kawakamiはこの行動を、多くの人に会って意見を聞くフォーカスグループインタビューのようなものだと表現した。自分でも市場調査を行ったうえで、内柴は事業化に進む。
勝ち筋より先に、まず事業計画を書いた
勝ち筋をどこに見ていたのかと聞かれ、内柴は「勝ち筋は分からない」と答えた。そのうえで、まず事業計画を書くことから始めたという。美術大学では事業計画の書き方は教わらないため、ネットで調べながら作成した。
内柴の説明では、事業計画とは、学校で学んだようにコンセプトから組み立て、それをどう枝分かれさせて展開していくかを数字に置き換えたものである。デザインの考え方と事業計画は地続きだ、という捉え方がここに表れている。計画上は採算が取れる数字になっていたことも確認された。
協力企業との2年、ブランドの買い取り、専業化
起業には人・モノ・金・情報・時間といったリソースが要る。Kawakamiがその調達について尋ねると、内柴は「とにかくプレゼンをした」と答えた。最初はこういうブランドで、こういうラインナップでどうかと提案し、面白いと言って一緒にやってくれる会社が現れた。内柴はその瞬間を「嬉しかった」と語っている。
その会社と2年間一緒にブランドを運営した後、内柴がブランドを買い取る形になった。Kawakamiは、生活のために他の仕事と並行しながら徐々にHERG1に軸足を移していったのではないかと想定して質問したが、内柴はその時点で1年で切り替え、HERG1一本にしたと答えている。
一本化した理由として、内柴は自分がデザイナーでもあり、細かい仕事が大量にあることを挙げた。工場への指示も、販売もやらなければならない。これまでのように業務委託でデザインの一部を担うのではなく、自分のブランドとして分業せずほぼ全部を担う。Kawakamiはこれを、デザイナーの領域から「積極的にはみ出て」いかなければならない仕事だと表現した。
D2Cを選んだ理由と、その現実
一番しんどかったのはどこかという問いに、内柴は「売る方」、つまり伝える方だと答えた。HERG1はちょうどコロナ禍の時期に始まったブランドで、最初からD2C(ダイレクト・トゥ・カスタマー)のビジネスモデルでやりたいと考えていた。企画・デザイン・製造を自分で手がけ、卸業者などの中間業者を入れずに直接販売する形である。
D2Cのメリットについて、内柴はデザイナーの言葉、たとえば商品の説明を顧客に直接届けられる点を挙げた。デメリットは、細かく動かなければならず、配送なども含めて自分でやる必要がある点だという。Kawakamiも、中間業者が抜ける分だけ計算上の利益は増えるが、その部分を自分で担わなければならない「結構な現実」が待っていると応じた。
内柴によれば、最初は分からないことばかりで、配送を間違えたり、違う商品を送ったりしたこともたくさんあった。そうした失敗を重ね、「この時はこうしなければいけない」と試行錯誤しながら覚えていったという。
一番しんどいのは「知ってもらう活動」
途中で方向性を疑ったことはあるかと問われ、内柴は一度立ち止まり、「結構しんどいと思った」と答えた。何が一番かといえば、知ってもらう活動である。品質の良いものを作っていても、まず存在を知ってもらわなければならない。
当時はコロナ禍だったため、内柴はInstagramに力を入れた。Kawakamiは、コロナの中で声を上げたブランドだったことに触れ、当時は人と人が接触しないことを前提に発想しがちだったため、否定的な3割の人もいたかもしれないと述べている。内柴自身は、その時期の立ち上げは「たまたま」だったと話している。
伊勢丹でのポップアップと、メールでは取れないアポ
マーケティングで手応えが変わったものとして、内柴はポップアップストアを挙げた。最初は伊勢丹羽田ストアで、旅行者やビジネスマンが多く通り、ゴルフをする人が多い場所だったことが理由だという。その後、伊勢丹丸の内でも開催した。
大手百貨店グループでのポップアップが簡単に実現するものなのかとKawakamiが問うと、内柴は「プレゼンです」と答えた。デジタルが発達した今でもメールでアポは取れるのかという問いには、はっきり「取れないです」と言い、とにかく知っている人を探すのだと説明した。
Kawakamiはこれを受けて、Claude CodeやCodexのような道具で自動化が進み、何でもうまくいくように見える世界でも、ブレイクするきっかけは「ちょっとお願いがあるんだけど」「あの人知らない?」といった人間関係で動く部分が大きいと語った。内柴はそれを「ご縁だと思っている」と表現している。
リスナー質問①:派手なゴルフ服が苦手な大人の選び方
番組には視聴者からの質問も届いていた。会社経営の46歳の男性からは、取引先に誘われてゴルフを始めたが、ゴルフ場の派手な服が苦手で、かといって普段着では動きにくい、大人が気後れせずに着られる服を選ぶコツはないか、という質問が寄せられた。
内柴の答えは、普段着の延長線上で考えることである。ゴルフ以外でも着られそうなポロシャツ、たとえばロゴが小さいものや、紺や白を選んでおけば無難で間違いないという。内柴は、その「普段着の延長線」がまさにHERG1のことだとも付け加えた。
リスナー質問②:最初の一歩は「宣言」すること
2つ目の質問は、大阪のアパレル企業に勤める32歳の女性からだった。アパレルで働きながらいつか自分のブランドを持ちたいが、市場も競合も大きく、何から始めればいいか分からない。「着たい服がない」という不満から起業した内柴は、最初の一歩をどう踏み出したのか、という内容である。
内柴が最初に「情熱ですよ」と答えると、Kawakamiは、情熱はみんな持っている、知りたいのは次の一手だと押し返した。そこで内柴が挙げたのが、まず人に話すことだった。人に話すことはマーケティングにもなり、それが本当に人が求めているものなのか、あるいは本当に自分が欲しいものなのかを、自問自答しながら確かめる作業になるという。
Kawakamiはこれを「宣言」と言い換え、「ゴルフウェアで起業する」と言ってしまうことが最高の最初の一歩なのだろうと述べた。内柴も同意し、言ってしまえばできなかった時が嫌なので、やるしかない、他に選択肢がない状態になると説明した。
Kawakamiは質問者に向けて、番組にメールを送ったこと自体がすでにある種の宣言であり、「思っています」ではなく「やります」と周囲に言ってみてはどうかと呼びかけた。周りからは「何を言っているの」「仕事しなさい」と言われるかもしれないが、それでも「やると決めた」と言うことが大事だという。ただし、言ったからには責任が生じる。やるべきことをリスト化してこなし、慣れない計算書と向き合う場面も出てくるとKawakamiが付け加えると、内柴は「やるしかないですよね」と笑った。
39歳の資金調達と「デザインは全部数字」
資金調達についても話が及んだ。内柴は事業計画書を持って銀行に行ったほか、渋谷区にある起業支援の相談窓口も利用した。そこでは事業計画を整える手助けをしてもらえたという。当時の自分を思い出すと「必死だった」と振り返り、その時の年齢は39歳だった。慣れないことばかりで「大変でしたよ、本当に」とも語っている。
印象的なのは銀行とのやりとりである。「デザイナーさんは数字が不得意な方が多いと思うんですけど」と言われた内柴は、「何言ってるんですか、デザインも全部数字ですよ」と返したという。服は寸法によってすべて数字で指示するもので、肩幅やウエストなど各所に数字を埋めていく。
Kawakamiは、デザイナーが手早くデザイン画を描き、アシスタントやパタンナーに任せ、仕上がりを見て「ちょっと違うわね」と言う、という一般的なイメージを持ち出した。内柴はそういう面もあると認めつつ、自分のプロダクトである以上、結局はお金に返ってくるので、全部チェックしてから作らなければならず、全部知っておくべき知識なのだと説明した。
Kawakamiは、自分たちもデザイナーやクリエイターは数字に弱いと思っていたと認めたうえで、内柴は「デザインは数字だ」という考えで数字に強い自分を作ってきたから、銀行も信頼したのではないかと述べた。クリエイターもデザイナーもミュージシャンも数字に強いほうがいいのではないかという問いに、内柴は「絶対そうだと思います」と答えている。Kawakamiは、起業や自分の仕事を立ち上げようとする人ならなおさらだと加えた。
3年後のHERG1:ゴルフが少し取れる「ユニバーサルブランド」へ
3年後のブランド像について、内柴は次のように語った。今はゴルフを通じて繋がるライフスタイルを送る人が多いが、逆に服からHERG1を知る人もいる。最近はゴルフをしない顧客も増えており、服をきっかけに「ゴルフを始めてみようかな」と思う人がもっと始めやすくなるようにしたい、そういう人を増やしたいという。
Kawakamiがこれを「ゴルフウェアから、ゴルフが少し取れるウェアになって、ユニバーサルブランドになっていく」と言い換えると、内柴は「それが理想です」と応じた。
内柴自身の3年後、10年後については、「ゴルフはもうちょっとうまくなりたい」という答えだった。現在のスコアはコースによるが85から90台前半だという。Kawakamiは日本的な謙遜からそれほどうまくないのだろうと想像していたが、想像を超える腕前だったと驚いている。そのうえで内柴は、ファッションとともに、ゴルフを楽しいと思ってくれる人を増やしたいと語った。
「やらないで後悔するより、やって後悔したい」
最後にKawakamiは、起業家や自己啓発の本ばかり読んでも自分ごとにならず、何年経っても変われない「自己啓発難民」のような人が周りに多いと話し、そうした人へのアドバイスを求めた。内柴の答えは「やらないで後悔するより、やって後悔したい」という一言だった。Kawakamiは「その言葉にもフリルはいらない」と応じている。
続けてKawakamiは、内柴がイタリアにいた経験に触れ、日本ほど失敗してもインパクトの少ない国はないのではないかと問いかけた。ローマやミラノも裏路地に入れば大変で、フィレンツェも美しいところしか見えていないだけだという。内柴も、日本では命に関わることはないと同意した。
リスクは「危険」ではない
ここからKawakamiは自身のリスク観を語った。日本語ではリスクが「危険」と訳されがちだが、本来は違うという。Kawakamiの説明では、リスクと不確実性は別のものである。不確実性は、調査をしたり、人に聞いたり、試してみたりして、トライ・アンド・エラーで潰していける。一方、リスクは不確実性と表裏一体で必ず残るもので、引き受けるしかない。不確実性が低ければリスクも低く、高ければリスクも高い。
Kawakamiによれば、日本では不確実性を受け入れたまま一か八かでやってしまうのに、リスクは引き受けない傾向があると言われる。これに対し欧米では、一括りにはできないと断りつつ、不確実性は受け入れず、徹底的に調査し、試し、人に聞き、最終的には契約も厳密に交わしたうえで、数字で見たリスクを引き受ける。Kawakamiはこれを「逆なんですよね」と表現した。
日本でも、不確実性を自分の中できちんと潰していけば、リスクがゼロになることはないにせよ、取り返しのつかない状態に追い込まれる国ではないとKawakamiは述べ、内柴も同意した。海外の状況を見るにつけ、日本はある意味で恵まれた国だと思うことがよくあるとKawakamiは語っている。対談は、Kawakamiが男女向けに展開するHERG1のウェアをさまざまな場所で目にすることを楽しみにしていると伝えて締めくくられた。
私、ゴルフ場で「あれ、あの方、スーツ普段着てたらかっこいいのに、ゴルフ場だとちょっとらしさ出てないな」って思う男性のおじ様方が。
言葉選ばずに言うとかっこ悪いってことね。ジャケット着たら、オフィスで着ててもおかしくない。
はい、そうです。
ですよね。だからそういう領域、ボーダレスね。それとタイムですね。グリーンにいてもいいってことですね。
そう、はい。どうでしょう? ゴルフ、じゃあこれでやってみようと思うのは、いっぱい思う人はいると思うんですよ。それを行動に移して、起業してみようっていう決断をするのは、またこれまた別次元の人間の判断だと思うんですよね。脳がこう動く、決断をする時。
はい。
これ自分でやってみようかなって、今思い出して。どのタイミングか覚えてます? どこでそれを思えたか?
覚えてます。
カフェかなんかなのか、電車の中なのか、車のどこで思ったんですか? 自分、どういう前後関係?
練習場で思いました。ゴルフ。
何番ホールで?
いや、練習場なんです。
あ、練習か。練習場で。
はい。やっぱり来てる人も見たりして、もうちょっといろんな服があってもいいなと思ったんですよね。
ドライバー、こうカチンってやりながら。
はい。なんか思ったんです。ずっと思ったんです。で、とにかく人に話しまくりました。「こんなアイデアあって、こんなことを思ってるんだ」。
どういう反応でした?
それを否定した人もいます。「甘くないよ」とか。
必ずいますよね、そういう人ね。
共感する方も多かったです。
何対何ぐらいですか?
でも共感が多くて、7対3ぐらいでした。ラッキーだったと思うんですけど。
じゃあ、あとは人にいろいろ、ある種フォーカスグループインタビュー的なことを、いろんな人に会ってみた。
はい。
自分でもいろいろ市場調査もしてみた。して、じゃあこれやってみようかと。勝ち筋はどの辺りで?
勝ち筋は分からないですけど、まずは事業計画を書くことから始めました。
事業計画は、事業計画の書き方っていうのは、国立の美術大学で教えてくんないですよね。
はい、教えてくれないです。
どうしたんですか?
ネットで調べたりとか。
ネットで調べて。
でもまずは、学校で学んだコンセプトから組み立てていく作業で、どんな風にしていくかを、多分数字に置き換えたのが事業計画なので、ネットで調べながらですかね。
事業計画的には採算は取れるという数字にはなってたと。これはご自身でどうでしょう? 起業するってなった瞬間に、これ1人でできるわけないじゃないですか。
はい。
物、金、情報、技術、時間、いろんなリソースが、まずは小さくスタートするにしても、小さくリソースはいると思うんですけど、その辺りは?
とにかくプレゼンをして、最初は協力してくれる会社があってですね。
そうですか。
はい。そこから2年一緒にやりまして、ブランドを私が買い取るということに。
なるほど。提案して、こういうブランドでこういうラインナップでどうだろうかと。「面白いね、じゃあうちやってみよう」と。
はい。「やりたい」と言われました。
そうなんですか。
そうです。
それは嬉しかったですね、その瞬間は。
いろんな方の協力を得て始めました、最初は。
なるほど。これ、HERG1の方の事業に完全に、最初は人間生きていかなきゃいけないですから、いろんな仕事をしながらHERG1の仕事もその会社さんと一緒にやっていくと思うんですけど、やがて1本足というか、両足こちらに行って、HERG1の代表取締役として仕事ができるようになるには、どのぐらい時間かかるんですか?
でも、その時点で1年で切り替えました。1本にして、やっぱりちょっと情熱をここで。私はデザイナーでもあるので、細かい仕事はたくさんやらなきゃいけないのと、あと工場への指示だったりとか、売ることもやらなきゃいけないですから。
そうですよね。今までみたいに業務委託でデザインの一部をやってるわけではなくて、今回は自分のブランドじゃないですか?
そう。分業ではなくて、ほぼほぼ全部やるっていう。
それはもうデザイナーの領域から飛び出て、いろんなことをはみ出てやってかなきゃいけない。積極的にはみ出てやってかなきゃいけないじゃないですか。どこが1番しんどかったですか? 売る方ですかね?
そうです。伝える方。
はい。
お店対お店にもそうですし、これは元々HERG1というのは、ちょうどコロナになった時期だったので、D2Cとしてビジネスモデルはやりたいと思って始めたビジネスです。
ダイレクト・トゥ・カスタマーズなので、つまり作って、企画、デザイン、製造は全部自分でやって、ダイレクトに売っていくと。
はい、そうです。ここに中の卸業者とかは入れないというビジネスモデルで始めました。
D2Cで、ダイレクト・トゥ・カスタマーでやる時の良さと、何事もメリデメがあると思うんですけど、良さとデメリットで言うとどうですかね? ビジネス、その事業としては。
メリットはですね、やっぱりデザイナーの言葉を直接届けられる。商品の説明だったりとか。デメリットは、やっぱり細かく動かなきゃいけない。自分がやんなきゃいけない。配送とかも。
そうですよね。やっぱり中間業者がいることのメリットっていうのは大きいし、そういう人に一部任せていくっていうことのメリットも非常に大きいわけですけど、D2Cって確かに利益、そういう計算の利益で言うとね、それはそうですよ。中間業者が抜けて、中間仕入れ業者さんがいなくなるわけですから。だけど、この部分は自分がやんなきゃいけないんだよねっていう。
そうです。
結構な現実が待っている。
はい。それ全部、最初わからなかったので、配送も間違えたりとか、間違えたの送ったりとか。
へえ。
ありました。もうたくさんの、本当にトライアンドエラーですね。失敗を重ねて。
試行錯誤して、「この時こうしなきゃいけないんだ」とか。どうですか、途中で「これちょっと違ったかな、この方向性」って思ったことは?
1回立ち止まって、結構しんどいなと思いました。
どこが1番?
やっぱり知ってもらう活動が1番しんどいですね。品質はいいもの作ってる自負はあるんですけど、やっぱりまずこれを知ってもらわなきゃいけないので。
どうやって知ってもらうってことをまず?
当時はコロナだったので、Instagramを頑張りました。
そうか。コロナの中で産声を上げたブランドなんですね、これね。
はい、そうです。たまたまだったんですけど。
それはその3割のネイセイヤーっていうか、「ええ?」っていう人いたかもしんないですよね、特に。「これからこういう風にやるかな」って。でもやがてみんなオープンなスペースで、外に徐々に出すんですけどね。当時は人と人が接するんだろうっていうところから、やっぱり発想しちゃうから。
そうですか。それと、こういう活動をやった時に「ちょっと動き変わったな」っていうのはありましたか? そのマーケティング。
そうですね。それで言うと、ポップアップをたくさんやってたんですよ、その当時。1番最初はイセタン羽田ストア。旅行が多く通る、ビジネスマンが多いというところで、ゴルフする方が多いので、そこでポップアップをやったり。その後、伊勢丹丸の内。
でもそれ、すごく名ブランド百貨店グループのところですけど、「ポップアップやらせてください」ってさっとやらせてもらえるもんですか? それないですよね。
はい。でもプレゼンです。
自分でもう飛び込み的に行ってってことですか?
はい。
そうですか。結構飛び込んでいくっていうのって、これだけデジタルが発展しても、メールで取れるもんですか、アポイントって?
取れないです。
ですよね。
とにかく知ってる人を探す。
そう。だからやっぱりこの辺りの、何でもClaude CodeとCodexでうまくいっちゃうよみたいな世界で、自動化が進んでいるけれども、やっぱりブレークするっていうのは「ちょっとお願いがあるんだけどさ」って言って、「あの人知らない?」って言って、「いや、知ってるけど」。この人間関係でやっぱり動いていくものが大きいですよね。
はい。だからご縁だと思ってます。
ご縁。社名だからYUUUUUさん、5つもUというアルファベットがあるんでしょう。メッセージが来ていまして、46歳、ひろさん、会社経営の方で。これはこの洋服じゃなくて、ゴルフウェアに関するご質問ですね。
「取引先に誘われてゴルフを始めました。ただ、ゴルフ場の派手な服がどうも苦手で」。ゴルフ場の派手な服ってどういうことだ?「かといって普段着だと動きにくい。大人が気後れせずに着られる服を選ぶコツありますか?」。これを買うってことですね、これね。
はい、そうですね。
ってことになっちゃいますね。
でも普段着の延長線って、つまりHERG1なんですけど、普段着の延長線で考えて、ゴルフ以外でも着られそうなポロシャツ、ロゴが小さいとか、紺、白を選んでおけば無難だとか、が間違いないと思いますね。
なるほどね。
もう1つ、32歳、みさきさん、アパレル勤務、大阪の方。「好きを仕事にする一歩が踏み出せません。アパレルで働きながら、いつか自分のブランドを持ちたいと思っています」。こういう方多いでしょうね。デザイナーの方ですごく多いと思います。「でも市場と競合も大きく、何から始めていいのか分かりません。内柴さんは着たい服がないという不満から起業されたと聞きましたが、最初の一歩をどう踏み出したのか教えてください」。
これは本当そうですね。最初の一歩をどう踏み出したのか。起業しようって思ったんじゃないですか、あの練習場で。
はい。
ドライバー。
もうだから情熱ですよ、そこを言うと。
いや、情熱はみんなあるんですよ。みんな情熱あるんだけど、そのやり方というか、次の一手が。何を1番最初にされたんですか?
まずは人に話すことから始めました。
なるほどね。
それがマーケティングにもなりますし、本当に人が求めてるものなのか、もしくは本当に自分が欲しいものなのかっていうのを自問自答しながら。
それを確かめていく作業。やっぱり宣言っていうのは、多分最高の最初の一歩なんでしょうね。
そうですね。
宣言する。「私やるわ。これでゴルフウェアで起業するわ」っていうのを言っちゃうっていう。
はい。できなかった時、嫌なんで。やるしかないって、もう他の選択肢ないんで。
これはもういいアドバイスですね。みさきさん、これ聞いてらっしゃったり、見てらっしゃったりした場合は、まず宣言することですね。ただ、もうすでにこうやってメールを番組に送ってきてくださってるってことは、ある種の宣言の1つだと思うんですよ。
名前はもしかすると仮名かもしれないけれども、もうすでに「思ってます」って言ってるんだから、「思ってます」じゃなくて「やります」ってみんなに言ってみると。「みさきちゃん、何言ってんの」って多分言われるんでしょうね。「大丈夫、いいから、仕事しては早日の」って言われちゃうんですよ、多分。だけど「いや、私これやるって決めたんだ」って。
そうですよ。
言うってことですね。かっこよく言うことですね。ただ、言ったら言っただけの責任が発生するわけですから、ちゃんと自分でしかるべき、やるべきことっていうのはリスト化して、ToDoをこなしていかなきゃいけないし、その中には自分があんまりやったことのない計算書と戦わなきゃいけないシーンも出てくるけど。
やるしかないですよね。
銀行は行かれたりしたんですか?
はい。
そうですか。
はい。それもやっぱり事業計画書を持って。相談に乗ってくれる窓口があるんですよ。そういうのも利用したりして。
政策金融公庫行かれて。
渋谷区なので、渋谷区のそういう窓口があるんですよね。
そうですか。その姿があったんですね。渋谷区の起業支援機関に。
相談に乗るというのが、その事業計画をちょっと整えてくれるという機関があってですね。そういうところに相談に行ったりして。
その頃の自分って思い出すことありますか?
必死だったなと思います。
おいくつの時ですか? その計画書を。
39です。
そうですか。やっぱり親身に聞いていただけるものですよね。
そうですね。
じゃないですよねって言っちゃうと、なんか角が立ったような気がする。
大変でしたよ、本当に。慣れないことを。
そうですか。
ただ、私、自分ですごいと思ったのが、質問があった時に、「デザイナーさんって、数字不得意な方が多いと思うんですけど」って銀行さんに言われたんですよ。
言われた。
「何言ってるんですか? デザインも全部数字ですよ」って私、言い返したんですよ。
すごいですね。そうですか。
寸法によって全部数字で指示をするので、そういう意味では。
そうか。肩幅とかウエストとか、各々に全部数字埋めていくんですね。そうなんですね。私たちがなんとなく、ど素人が持ってるデザイナーさんのイメージっていうのは、さっとデッサンを書いて、これをアシスタントに「こんな感じ」「わかりました」。デザインができて、パタンナーが起こしてくれて、トルソーにかかってるやつ見て「ちょっと違うわね」っていう感じじゃない? あれは。
それもあるんですけど、結局自分のプロダクトなので、お金に返ってきてしまうので、やっぱり全部チェックしたい。チェックしてから作らないといけないので。全部知っておかなきゃいけない知識。
今、内柴さんの話を聞いて思うんですけど、やっぱりそうなんですよ。デザイナー、クリエイターは数字に弱いと思ってたんです、我々も。やっぱり。だからそれは逆を返せば、内柴さんは「いや、デザインっていうのは数字ですよ」って思っていて、本当にその数字に強い自分をきちんと作ってきたじゃないですか。だから銀行さんも信じてくれるからこそ。
はい。
クリエイターもデザイナーもミュージシャンも、数字に強くあった方が良くないですか?
絶対そうだと思います。
ですよね。それは起業をするとか、自分の仕事として何かを立ち上げるみたいなことをやろうとしてる人は、なおさらなこと。それ、世界的ほにゃららになればわかんないですけどね。「先生のおっしゃることであれば」って言ってやる人たちがいっぱいいるまでには、きっとそういうのもあって、そこに行ったわけですから。
はい。
内柴さん、そしてこのHERG1の未来って、これから3年後のこのブランドはどうなっていたい?
そうですね。今やっぱりゴルフを通して、ゴルフでつながる、ゴルフにつながるライフスタイルを送ってる方が多いと思うんですけど、逆に服から入ってHERG1を知って、HERG1の、ゴルフしない方も最近多いんですよ。この服から入って「ゴルフ始めてみようかな」って思う人たちが、もっと始めやすくなるように。だからそんな人たちを増やしたいなと。
なるほど。言い換えると、私が言い換えちゃいけないのかもしれない。ゴルフウェアからゴルフが少し取れるウェアになって、ユニバーサルブランドにだんだんなっていくっていう。
そうですね。それが理想です。
そっちに行きたい、行くってことですね。内柴さんご自身は、今までいろんな方法で自己実現を果たしていらっしゃった方だと思いますけど、3年後、10年後、どんなご自身を思ってますか?
ゴルフはもうちょっとうまくなりたいです。
そっちですか? ちなみに今どのぐらいのスコアなんですか?
今はコースによりますけど、85から90台前半ぐらいです。
日本人的な謙遜の感じから、まあまあ下手なんだろうなってちょっと思ってたんですけど。
でも時もありますよ。
想像を超える達人だったので、もう私は言うことなくて。
でもそうやって楽しいって思ってくださる方を増やしたいですね、ファッションと共に。
そうですよね。そうですね。最後になります。これからお話を聞いて、起業しようとかね、次の一歩を踏み出そう。でも、さっきの方みたいに、みさきさんみたいに、「でもなあ」って。起業家の本ばかり読みあさって、自己実現の本ばっかり読みあさって、なんか自分事にならないけれども、1年後もこのままで悩んでて、好きな自分でいられないっていう人、周りに多いんですよね、何年も。
ずっと、なんでしょうね、自己啓発難民みたいな。ありとあらゆる、この番組もそうかもしれないけど、見たり聞いたり読んだりして、でも「5年前と変わんないよね」みたいな。そういう方々に、「内柴さん、私そうなんですよ」という方がいたとしたら、どんなアドバイスをいただけますか?
やらないで後悔するより、やって後悔したい。どうでしょうか?
ありがとうございます。もうその言葉にもフリルはいらないです。もうその通りですね。やっぱり本当にやった方がいいですよね。後悔するならやってからの方が。
本当に内柴さんも海外にいらっしゃったから、イタリアにいらっしゃったからよくわかると思うんですけど、日本ほど失敗してもインパクトの少ない国、なくないですか? どうにかなっちゃう国じゃないですか?
そう思います。
イタリアもちょっと裏路地に入ったら、ローマもミラノも大変ですよ。フィレンツェも美しいところばっかりしか見えてないけど。
そうですね。命には関わらないですからね、日本だと。
そう。だからリスクっていう言葉が、イコール危険っていう言葉に日本語では翻訳されてますけど、そもそも違うんですよ。
重さがちょっと違いますね。
リスクと不確実性っていうものがあるんですけど、不確実性に関しては、できるだけ調査を行ったり、人に聞いたり、やってみたり、トライアンドエラーでどんどん潰していく。だけどリスクっていうのは、この不確実性と分のものが必ずあるので、引き受けるしかないと。
はい。
だから不確実性が低ければリスクも低い。不確実性が高ければリスクが高いので、不確実性をなくしていけばいいんですけども、どうもよく言われるのが、日本では不確実性は受け入れちゃうんだけれど、「まあいいか」でやっちゃうんだけど、リスクは受け取らないってことですね。引き受けないと。
一方、欧米と言ってもいろんな欧米がありますので、十把一絡げにはできませんけども、不確実性に関しては受け入れない。だから徹底的に調査をするし、徹底的にトライをするし、人に聞くし、究極、契約もぎっちりやって、数字で見た結果、「リスクはこのぐらいあります。リスクは引き受けます」っていう。なんか逆なんですよね。
確かにそうですね。
だから日本でも、そのどのぐらいのことをやるかによりますけれども、リスクっていうのは、自分で不確実性を、自分の中できっちり潰していけば、リスクはゼロになることはないんですけど、かといって、なんでしょうね、なんかこう物をしなければいけないような状態になる国では。
ではないと思います。
ですよね。だから海外の現状を見ていくと、そのギャップにふっと、日本ってなんて、ある意味恵まれた国なのだろうかと思うことがよくあるんですけど。ありがとうございます。これから内柴さんのこのHERG1のアパレルが、今もう男女出てますけども、いろんなところで拝見できることを本当に楽しみにしていて、私も1着買ってみたいなと思っております。
ありがとうございます。
今日本当にお忙しいところ、ありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございます。
MAKE IT NEXT. Make next. Make next.
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