広告費ゼロのGT-Rブランド戦略 水野和敏が語る、ロデオドライブとデポジットで測る市場

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概要

日産GT-Rの開発を率いた水野和敏氏(プロジェクト・カーズ合同会社代表)に、聞き手のSean Kawakami氏が話を聞く対談の第3回である。テーマはブランディングとマーケティング。水野氏は、デザインの良し悪しも市場の手応えも、会議室や調査会社のデータではなく、自分で現場に出て確かめるものだと語る。その際の指標は価格ではなく、客が何年先までデポジット(手付金)を払うかだという。後半では、視聴者からの質問への回答と、「価値(バリュー)の仕事」と「新商品の仕事」を区別する考え方が示された。

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デザインはスタジオではなく、客が車を見る場所で決める

Kawakami氏は事前の打ち合わせで、水野氏がロサンゼルスのロデオドライブに車を持ち込んだと聞いていた。その理由を尋ねると、水野氏はまず自動車メーカーのデザイン評価のやり方への違和感を語った。雑誌を見ると、最高の造形スタジオと照明設備でデザインを検討している様子が紹介される。だが街の客がそんなきれいな環境で車を見る機会はない。客はマンションの地下駐車場や街中、駐車場に止めた状態で、自分の車がいいか悪いかを判断する。それなのに、なぜ金をかけたスタジオで車を見るのか、というのが水野氏の疑問である。

そのため、水野氏が手がけた車は色もデザインも造形スタジオでは選ばなかったという。CEOや関係者の承認は手続きとして取るが、答えは別の場所で出す。それがロデオドライブだった。

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シャネルのネオンで「妖艶さ」を判定する

水野氏によれば、ロデオドライブはロールス・ロイスやジャガーが走り、金持ちが車から降りてくる、アメリカにおける車の「ステージ」である。そこでこの車がどれだけのプロポーションのインパクトを持つかを検証した。

もう一つ確かめたかったのが、色の艶や「妖艶さ」だ。スーパーカーには何とも言えない妖艶なイメージが必要だが、水野氏はそれを普通のエンジニアやデザイナーには出せないものだと述べる。そこで、ロデオドライブのシャネルの店の前で、夜のネオンサインに映ったときにこの車の妖艶さがどこまで出るかを見ることにした。シャネルの店とロデオドライブが、デザインの最終判定の場所だったという。

実際には、試作車に黒い覆面をつけて通りを流した。信号で止まるたびに人垣ができ、通りの中央の植え込みまで人が入ってきた。ブランドショップで買い物をしていた紳士が「この車はどこで買えるんだ」と尋ねてきて、そのまま商談が始まる。それが信号のたびに起きたという。この反響を見て、水野氏は少なくともアメリカ市場はこのデザインで行けるという確信を得た。

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値段ではなく「何年先までデポジットを払うか」

Kawakami氏は、これは自分の目と肌で感じるデータであり、その場で「いくらで買うか」も聞けると応じた。水野氏はさらに、客は10年先の納車でもデポジットを払っていたと述べる。

水野氏によれば、調査会社は金額ばかりを見るが、プレミアム商品で本当に大事なのは「何年先まで、いくらのデポジットを払うか」であり、ここに商品の本当の魅力が表れる。そして多くの人がこの点を押さえていないという。

値段を基準にすると商売を見失う、と水野氏は考えている。「10万ドルで買う」と言われても当てにならない。たとえばポルシェが四輪駆動の良いモデルを出せば、GT-Rの値段の価値はすぐにひっくり返る。瞬間的な値段には何の保証もない。一方でデポジットは、客の心にどれだけ深く浸透しているかを表す。5年待ってでも10万ドル払うと言うなら、それが購入意欲の深さだという。Kawakami氏はこれを、目の前の交換レートではなく将来への期待に払うお金であり、企業への投資に近いと言い換え、水野氏も同意した。

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4Pをすべて見る人、という意味での「マーケター」

Kawakami氏は、マーケティングという言葉が手垢にまみれて本来の意味が見えにくくなっていると指摘する。マイケル・ポーターの名を挙げつつ4P、つまり商品そのもの、価格、売る場所、プロモーションに触れ、多くの人はプロモーションをマーケティングと同一視しているが、本来は全部を見なければならないと述べた。商品も価格戦略も売る場所も売り方も分かる人は少なく、その意味で水野氏は本当のマーケターだというのがKawakami氏の見方である。水野氏は「正直にやっているだけ」と答えた。

Kawakami氏はさらに、普通の会社なら「ロデオドライブで客の声を聞こう」と言っても、いくらかかるのかと問われて止められるだろうと話す。調査会社に年齢や性別などの属性データを出させても、そこからどんな車が見えてくるのかは分からない。それよりも、シャネルの前に車を置いて何人が覗き込み、何人がデポジットを払うかを取るほうがはるかに説得力がある。宣伝費もいらないのではないかと言うKawakami氏に、水野氏は、GT-Rの宣伝広告費はゼロだったと答えた。

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「エキスパートエンジニア」という肩書きの意味

肩書きを問われると、水野氏は「エキスパートエンジニア」と名乗っていると答えた。この「エキスパート」には「エンジニアではない」という否定の意味を込めているという。マーケティングでもブランディングでも、生産でも品質保証でもデザインでも、あらゆることをやる。だからエンジニアで区切らずに「エキスパート」を付けているのだという。

市場調査も自分で行う。デザインはロデオドライブで確かめ、四輪駆動については真冬のニューヨーク・ロングアイランドに車を持ち込み、スーパーカーのユーザーを集めて検証した。そのうえで一番気にすべきなのは、やはりデポジットを何年単位で払うかであり、そこにモデルの本当の成功レベルがあると水野氏は言う。表の値段は、競合が違うものを出せば簡単に変わってしまうからだ。

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部署別の分業をやめ、世界中の工程を一つの計画で管理する

Kawakami氏は、水野氏のチームでは開発、完成、宣伝が順番ではなく並行して進んでいたようだと指摘した。水野氏はこれを自身のマネジメント方式として説明する。GT-Rに関する著書にも書いたことだという。

一つは「車両総合計測」である。それまではエンジン、車両、車体を、アメリカ型の分担制で部署ごとに別々に開発していた。これを改め、1台のマスターで全てを計測・解析して設計する。もう一つは、企画、設計、生産、品質保証から販売までを、世界規模で一つの時間軸に載せて管理する方法だ。普通の開発スケジュールにとどまらず、アメリカ、欧州、日本の販売店まで含め、いつ、どう連携し、何をするかを行動計画表にした。品質保証一つをとっても、日本、イギリス、ドイツ、アメリカ東部と西部では違う。実験計画、イベント、販売店の設置計画まで全てを計画表にまとめ、毎週プランニングセンターでグローバルの合同ミーティングを開き、世界中の動きを水野氏自身が把握していたという。

Kawakami氏は、分業化は効率のために始まったが、サイロ化を生み、部門同士が連携しなくなったと応じた。プロジェクトマネージャーは調整役になり、プロモーション担当者は出来上がったものをどう売るかを議論するだけになる。水野氏がよく「簡単なことだ」と言う意味がようやく分かってきた、本来当たり前にやるべきことを忘れていたのだ、とKawakami氏は語った。

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棟梁・匠・職人と、日本の城づくり

水野氏は、Kawakami氏が描いた姿はアメリカ型のカンパニーマネジメントだと述べ、自身が目指した組織を「棟梁・匠・職人」と表現した。棟梁はチーフ、匠は各セクションの代表者、職人は各部品をつくる技を持つ人である。

この発想の背景として、水野氏は日本の城を挙げる。当時の建築技術で石垣を組み、城を2〜3年で建てていた。大坂城もわずか数年でできた。一方、ヨーロッパの城は10年、100年かけて平気で建てている。ここに日本の仕事のやり方の素晴らしさがあり、棟梁が指揮した仕事には手直しややり直しがあまりない、と水野氏は言う。Kawakami氏は、秀吉が期日までに作れと命じれば作られていたと応じた。

対照的に、アメリカ型のマネジメントでは調整が仕事だと思っている人が多く、水野氏自身の業務分析では6割近くに上るという。Kawakami氏もこれに同意した。

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質問1:30人の会社で、半分の人数で倍の成果を出すには

視聴者から質問が寄せられた。愛知県の製造業で、30人規模の会社の開発部門を率いる38歳の男性からである。大手に勝つには少人数で大きな成果を出す必要がある。半分以下の資源でGT-Rを開発したという水野氏は、人材配置や役割分担として最初に何をしたのか。捨てると決めた業務はあるか、という内容だった。

水野氏の答えは、まず全員で夢と目標を共有することだった。ゴールを説明したら、すぐに全員を集めて車両計画図を前に役割を決める。ただし、より大事なのは「実現する夢」の共有だという。夢や目標の共有はよく言われるが、多くの会社では「今より10%良くする」といった数字ばかりで、そこに「シーン」がない。水野氏の場合は、アウトバーンを時速300kmで走りながら隣の人と会話を楽しめる、誰でも楽しめる、という光景が目標だった。シーンと一緒に達成目標を作らなければならず、数字では人は動かない、と水野氏は言う。

もう一つは、メンバーに自分も参画したいと思わせることだ。車両総合計測やプランニングセンターの運営方式という明確な方法があり、そこに加われば何ができるかが見える。だから「一肌脱いでやってみよう」という気持ちにさせる。逆に、自分で答えを出さずに「よそがこういう結果を出したから、うちもやってみよう」と他人の結果をなぞるやり方では、夢を持てる人はいないと水野氏は考えている。

Kawakami氏は、水野氏の言葉の強さは技術的な言語能力ではなく、背後にある志や方向性の明確さから来ていると述べた。「いい車を作ろう」ではなく「時速300kmで片手で会話できる車を作ったら面白くないか」と言われるから人が動く。最初は無理だと思って様子見をする人も、やがてついてくる。困難を乗り越えてきたのかと問われると、水野氏は、乗り越えたというより、皆の夢を実現するために通らなければならない壁をぶち破った、という単純な発想だと答えた。Kawakami氏は、水野氏の言う「単純」「簡単」とは、自分たちが最新技術や理論、フレームワーク、他人の模倣に頼るなかで見失ってきた、本来当たり前にやるべきことなのだと受け止めた。

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質問2:広告予算ゼロのスタートアップでブランドを作るには

二つ目の質問は、東京のITベンチャーでマーケティングを担当する28歳の女性からだった。広告予算はほぼゼロ。GT-Rが開発とブランディングを同期させて世界ブランドになったと聞いたが、小さな会社でも同じことができるのか、という内容である。

水野氏は、小さな会社だからこそできると答えた。チームと夢や目標を共有したのと同じように、開発とブランディングの一体化とは、客とも夢を共有することだという。ニュルブルクリンクには世界中のパパラッチが集まり、情報を発信してくれる。そこで「GT-Rはここまで開発できた」「ここまで来た」と見せ、客にも開発というステージを一緒に楽しみ、GT-Rを一緒に育ててほしかったのだという。

どんな商品であっても、これから作り始めること、プロトタイプができたこと、プロトタイプにこんな意見が出たことを共有すればよい。それ自体がプロモーションになる。場合によってはプロトタイプの試乗会のような場を設けて人を集めればいい。Kawakami氏が「やればいいのに、やらないんですよね」と言うと、水野氏は、それが不思議だと応じた。

水野氏によれば、客が一緒に開発を楽しめば、自分たちが育てた商品だという思いが生まれる。それが、客がブランドから離れない最大の強さになる。「俺が育てた商品」という意識をどう持たせるかこそが、ブランディングの本当の鍵だという。Kawakami氏は、ブランディングは点ではなく線であり、エルメスやポルシェ、GT-Rのように、それがどう生まれてきたかに寄り添うほど人は愛着を持つと付け加えた。

20:55

50万〜60万km相当を走らせた車でタイムを計る

開発の見せ方について、水野氏はニュルブルクリンクでのタイム計測の具体例を挙げた。他のメーカーは新品の特別仕様車でタイムを計る。これに対して水野氏は、2週間の耐久実験で市場換算50万〜60万km相当を徹底的に走り込み、客の車に起きるへたりを全て再現した。そして、ジャーナリストも含めた場で、その一番へたった車でタイム計測を行った。他のメーカーとは真逆のやり方であり、客の車の状態がどれだけ悪くなっても、その状態でこのタイムが出る、という結果を示したかったのだという。

この方針は、ドライバーの鈴木氏には申し訳なかったと水野氏は振り返る。ドライバーなら新車を最高のチューニングで思い切り走らせたい。なぜこんなよれよれの車をだましだまし走らせてタイムを計るのか、とこぼしていたという。それでも水野氏は、レーシングドライバーとしてのあなたは自分の成績のために走ってきたが、GT-Rは客の楽しみのために走る、だからこらえて客のためのタイム計測をしてほしい、と伝えた。目の前の目標はポルシェやブガッティを抜くことだが、その先にいるのは客である。客はピカピカの新車を持ち続けるわけではなく、長く乗り続ける。中古車で買った客の車でもこれだけの性能がある、という車を作りたかったと水野氏は語った。

Kawakami氏は、物でもサービスでも、何のために、誰のために作っているのかが、関わる年月や人数が増えるほど薄まり、自分がなぜこの仕事をしているのか分からなくなっていくと述べ、背筋が伸びたと感想を語った。

24:05

祖母の言葉「天知る、地知る」

人目につかない検証にまで手間をかける理由として、水野氏は中学時代から心に焼きついている言葉を挙げた。家に、亡くなった祖母が残した1枚の紙があり、そこに書かれていた言葉だという。悪いことは天が知り、地が知り、人が知る。人が見ていないからと悪いことをしても、どこかで跳ね返ってくる。逆に、人のために働くなら、今は表に出ず意味がないように見えることでも、心を込めて実行しなければならない。

人の見えないところでこそ本来の力は発揮される。天がそれを見ているから結果がついてきて、気づいたときに本当の信用がついてくる、と水野氏は語った。

24:39

「バリュー」の仕事と「新商品」の仕事は表と裏

最後にKawakami氏は、不確実性が高まり先が見えないなかで、新しい技術や他社の取り組みに飛びついてはうまくいかない人たちへのメッセージを求めた。水野氏は、図を描きながら一つの枠組みを示した。

横軸は時間で、過去と未来に分かれる。縦軸は、誰もが知っている汎用的なことと、一部の特別な人しか知らないことである。新開発・新商品は、未来の、答えのない、一部の人しか知らない領域の仕事だ。一方「バリュー」の商品は、これまでの結果をもとに、いかに安く効率よく作るかという仕事であり、両者は表と裏で全く逆の仕事だという。

AIやシミュレーションは、過去を効率よく使って不具合をなくし、信頼性と比較競争力を作る仕事である。客もその商品を知っていて物差しがあるから比較できる。この領域では効率がキーワードになり、AIやビッグデータを活用すればよい。しかし未来の新商品には、技術もなく、客も知らず、マーケティングも一から作らなければならない。そこで起きるのは失敗であり、失敗を成功に変えるのが新商品開発の仕事だと水野氏は言う。その際に大事なのは、常に本質に戻ることだ。車両総合計測や進捗管理の仕組みも、そのための手段だという。組織と管理、チームとリーダーについても、この表と裏の違いが多くの人の頭の中で整理されていない、と水野氏は指摘した。

Kawakami氏は特許の「新規性」と「進歩性」になぞらえ、昨日より今日が良いという進歩性の世界に比べ、全く存在しないものを作る新規性の世界は恐ろしく、失敗もすると述べた。それでも、誰のため、何のためという立ち返る柱がぶれなければ、何度でも失敗と成功を繰り返せる、と受け止めた。

水野氏はさらに、本質に戻るとは、測って現象を理解することだと付け加えた。デザインならロデオドライブで確かめる、というのがその初歩だという。売れるかどうかは会議室では分からない。Zoomで商品開発やマーケティングの話をするのではなく、外に出て客の声を聞き、デポジットを入れてくれるかどうかを見るべきだと水野氏は語った。

30:14

未来を検証するのはエンジニアの仕事

水野氏は、エンジニアとマーケターの領域も過去と未来で分かれると述べる。データとしてまとめるマーケットリサーチは過去の領域であり、マーケターには未来は見えない。未来に関わるのは「構想」であり、自分の構想が将来受け入れられるかを検証しなければならない。ロングアイランドでユーザーに構想を聞かせて反応とデポジットを見たこと、ロデオドライブで街の反応を見たこと、ニュルブルクリンクでポルシェと競ったことは、全てその検証だったという。失敗と修正を繰り返すPDCAを回すのは、企画プランナーかエンジニアである。Kawakami氏が、本来はマーケターもこちらに出てくるべきではないかと言うと、水野氏は「無理ですよ」と答えた。ユーザーを驚かせる新しい発想を持っているのはエンジニアであり、だから「エキスパートエンジニア」なのだという。

31:54

「成功が確約された失敗」しかやらない

ただし、水野氏は「失敗すればいい」と考えているわけではない。講演でもいつも、検証が終わって売れると確信できたもの以外はやるな、と言っているという。多くの人は失敗を恐れるが、水野氏は成功の目処があるもの以外はやらない。失敗するのは、自分の考えに未来永劫マーケットがあるかどうかの検証をせずに始めるからだ。

その例として、ロングアイランドでスーパーカーのユーザーを調べたところ、真冬に走れるスーパーカーが欲しいという声があり、どれだけのデポジットと反響があったか、というデータを挙げた。こうしたデータは過去のデータからは出てこない。構想があり、売れるという確信があるものでも失敗する可能性はある。最も悪いのは、自分の思い込みだけで進めて失敗することだ。Kawakami氏が「失敗も設計された失敗でなければならない」とまとめると、水野氏は「成功が確約された失敗」しかやってはいけないと答えた。開発費とは失敗の数であり、だから大金はいらないのだという。

33:22

1分以内に答えられなければリーダー失格

番組の終わりに、Kawakami氏は視聴者からの質問に水野氏が答える機会を今後も設けたいと依頼した。水野氏は、自身の信条としてチームにも伝えていることを語った。誰がどんな質問をしても1分以内に答えられなければ、リーダーとしてその場に立つ資格はない。人が質問するのはその人に期待を寄せているからであり、その期待を裏切ってはいけないからだという。

Kawakami氏は、反射的な答えは説得力を欠くこともあるのではないか、言語化の力を高めるには何が必要か、人前で問われる場に自分をさらすことなのか、と尋ねた。水野氏は、ドラマ『ドクターX』の大門未知子を引き合いに出した。普通の医者は決まったやり方に従うが、大門は人間の体はそれぞれ違い何でも起こりうると考え、使うかどうか分からない応用まで全てメモに書いて仕込んでいる。それが自分のやり方だと水野氏は言う。この話をすればこういう質問が来るだろうと想定し、どんな質問にも答えられるよう事前に準備しておく。生きていて目にするもの全てが自分の勉強の材料になる、と水野氏は語った。