老化は止められるのか――吉森保が語るオートファジー、ルビコン、そして阿波晩茶
ReHacQ−リハック−【公式】細胞生物学者の吉森保・大阪大学名誉教授は、著書『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』で、老化は生物にとって避けられない現象ではなく、ある程度は制御できると主張している。ReHacQの高橋弘樹との対談では、30年近く研究してきた「オートファジー」を中心に、老化の仕組み、老いない生き物、開発中の薬、食品や生活習慣で老化に対抗できる可能性について語った。吉森は研究の到達点を語る一方で、多くの点がまだ動物実験や小規模な試験の段階にあることも繰り返し付け加えている。
細胞のメンテナンス装置としてのオートファジー
吉森は大阪大学を定年退職して名誉教授になったが、現在も特任教授として研究室を持っている。専門は細胞生物学で、約30年間オートファジーを研究してきた。オートファジーが老化と関係していたため、今は老化研究にも取り組んでいる。本人は、老化の専門家というよりオートファジーの専門家だと位置づけている。
説明は細胞から始まった。人間はおよそ37兆個の細胞でできており、細胞は生命の基本単位である。病気も老化も細胞のレベルで起きる。逆に言えば、人間が健康であるとは、細胞の一つひとつが元気だということだ。細胞の中には複雑なシステムがあり、そのメンテナンスを担う仕組みがオートファジーだという。
吉森によれば、オートファジーには大きく二つの役割がある。一つ目は中身の入れ替えだ。細胞の中身を少しずつ壊し、壊した分を別の仕組みが作り直す。吉森は自動車にたとえた。車は買って10年経てば中古車になるが、毎日部品を新品に交換していれば常に新車の状態を保てる。細胞はオートファジーでこの部品交換を日々行い、健康を維持している。
二つ目は有害物の除去である。細胞内に侵入した病原菌やウイルスを分解するほか、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因となるタンパク質の塊も分解する。また、細胞の発電所にあたるミトコンドリアは時々壊れ、壊れたままだと危険なので、これも排除する。オートファジーは基本的に「壊す」仕組みだが、壊すことによって細胞を正常に保っている、というのが吉森の説明だ。
老化の原因は一つではないが、オートファジーの低下はその一つ
高橋が「オートファジーがずっと機能し続ければ老化しないのか」と尋ねると、吉森は留保をつけた。老化は複雑な現象で、オートファジーだけで決まるわけではない。現在、老化には12の原因があるとされており、オートファジーの低下はその一つだという。
オートファジーが正常に働いていれば病気にもなりにくく、病原体にも勝てる。しかし年齢とともにオートファジーは低下する。吉森はオートファジーを、細胞の中にたくさん現れて中身を食べていくパックマンにたとえた。年を取るとパックマンの出来が悪くなり、数も減って分解が追いつかなくなる。これが老化の原因の一つになるという。
老いない生き物:ハダカデバネズミと若返るクラゲ
吉森が「意外に近いうちに老いなくなる」と考える根拠の一つは、老いない生き物が実際にいることだ。最もよく研究されているのは、アフリカの土の中でトンネルを掘って暮らすハダカデバネズミである。
吉森によれば、医学的に見た老化の特徴の一つは、さまざまな病気にかかりやすくなることだ。人間なら60歳を超えるとがんの発症率が急上昇し、アルツハイマー病など高齢者がかかりやすい病気も多い。ところがハダカデバネズミは、一生を通じてがんの発症率がほぼゼロで、見た目もほとんど変わらない。寿命も、同じくらいの大きさのネズミが2〜3年なのに対して約30年に達し、ある日ぱたっと死ぬ。吉森はこれを「ピンピンコロリ」と表現した。高橋は「人間に置き換えると、若い頃の姿と健康を保ったまま300歳近くまで生き、最後の瞬間まで変わらないということか」と言い、吉森も「人間にそれが可能なら、そういうことになる」と応じた。
なぜハダカデバネズミが老いないのかは、まだよく分かっておらず、研究が進められている最中だ。吉森は自分の研究対象ではないと断ったうえで、知り合いの研究者である三浦先生から聞いた話として、老化細胞に関する発見を紹介した。
ここで吉森は「老化細胞」という言葉の誤解を解いた。細胞の老化は人間全体の老化とはまったく別の話で、むしろ逆に、細胞が「死ななくなる」ことを指す。細胞には寿命があり、ある程度経つと死んで新しい細胞と入れ替わる。皮膚の細胞なら数日で入れ替わる。ところが時々、死ななくなる細胞が現れる。吉森は誤解を避けるため、これを「ゾンビ細胞」と呼んでいる。ゾンビ細胞は周囲に物質を出して他の細胞もゾンビにしてしまうほか、慢性炎症の原因になる物質も出す。慢性炎症もまた老化の原因である。熱が出るような急性の炎症はすぐ分かってすぐ治るが、体の中でじわじわ続く炎症が老化を進めるという。
ハダカデバネズミはゾンビ細胞があまりできず、遺伝子レベルの違いがあることが分かってきた。人間がハダカデバネズミになるわけにはいかないが、仕組みが分かれば、その一部を応用して人間の老化もある程度は制御できるのではないか、と吉森は考えている。高橋が「遺伝子を少し変えればいいのでは」と言うと、吉森は、ほかに影響が出ないように変えるのが難しいと答えた。それでも理論的には可能だという立場だ。
もう一つの例が、ある年齢に達すると若返り始め、赤ん坊の状態に戻って次の生涯を繰り返すクラゲである。こちらも理由は分かっていない。吉森は、人間や身の回りの犬や猫がみな老化して死ぬので、老化は物理法則のように不可避だと思われがちだと指摘した。しかし、こうした生き物がいるということは、少なくとも生き物については必然ではないということだ。そのため生命科学者は、老化は理論的には制御可能だと考えている。吉森自身はオートファジーでそれを試みており、特殊な技術を使わなくてもある程度の若返りは可能だと考えている。
ここ10〜20年で生命科学が進み、老化細胞やオートファジーなど老化の仕組みが明らかになってきた。仕組みが分かれば手の打ちようがある。すぐにではなくても意外に近いうちに何とかできるのではないか、というのが本のタイトルに込めた意味だと吉森は説明した。
AIが研究をどう変えているか
高橋がAIの影響を尋ねると、吉森はAIが遺伝子操作を直接行うわけではないと前置きしたうえで、今後さまざまな場面で使われるようになると述べた。現時点で吉森の分野に最も役立っているのは、AlphaFoldによるタンパク質の構造予測だ。
吉森は細胞の中を人間の社会にたとえた。人間社会で働いているのは人間だが、細胞の中で働いているのはタンパク質である。タンパク質は約10万種類あり、警察官や医師のようにそれぞれ「職業」を持っている。オートファジーを動かすタンパク質たちもいる。役割に応じて形が違うので、形が分かれば何をしているかが分かる。ところがタンパク質は細胞のさらに1000分の1から1万分の1という小ささで、顕微鏡で簡単に見ることはできない。見える顕微鏡も登場してきたが、形を調べるのは大変だった。遺伝子はタンパク質の設計図なので、遺伝子が分かればある程度は形を予測できる。その予測がAIのおかげで非常に正確になった。完全ではないため実験による証明は必要だが、大きな助けになっていると吉森は評価する。
薬の設計にもAIは使われている。研究のスピードについて高橋が「10倍くらいか」と尋ねると、吉森は自分は素人なので何とも言えないと断りつつ、10年かかっていたものが1年程度になるくらいの印象はあり、今後さらに加速するだろうと答えた。
ルビコンの発見と、それを止める薬の開発
話はオートファジーの低下に戻った。吉森は、年齢とともにオートファジーが下がる原因を世界で初めて突き止めたという。原因は「ルビコン」というタンパク質だ。ルビコンはオートファジーのブレーキ役で、もともとは必要なものだったのかもしれないが、年を取ると異常に増えてしまう。それなら、ルビコンを止める薬を作ればよい。
吉森によると、ルビコンにくっついて働きを止める薬はすでに見つかっている。効果をさらに高めるには、ルビコンにぴったりはまる形にする必要がある。そこで東京大学の構造生物学者と共同で、ルビコンの形を正確にとらえ、そこにはまる薬を設計している。ルビコンの形はAlphaFoldで予測でき、薬の側の形をどうすればぴったりはまるかを探るのはAIにとって容易なことだという。
ただし実用化までの道のりは長い。現在は国から約15億円の支援を受け、動物実験を行う前臨床試験の段階にある。人での臨床試験に進むには100億〜200億円が必要になる。時間についても、AIや資金があっても法律や行政上の手続きは簡単に変えられないため、10〜20年はかかると吉森は見ている。68歳の吉森は「自分に間に合うかどうか分からない」と話し、それが薬以外の方法を探す動機の一つになったという。
薬以外でオートファジーを上げる方法と阿波晩茶
吉森によれば、動物実験では薬以外の方法でもオートファジーを上げられることが分かってきている。カロリーを80%に制限する、有酸素運動をする、よく眠る、そしてオートファジーを上げる成分を含む食品をとる、といった方法だ。成分の例として最初に挙がったのはザクロに多く含まれるウロリチンで、サプリメントもあるという。
吉森は大学発のベンチャーを立ち上げ、日本各地で昔から体に良いとされてきた食べ物を約700種類集めた。細胞を使えば、ある物質がオートファジーを上げるかどうかを科学的に判定できる。調べた結果、徳島県の阿波晩茶が特に強い効果を示した。吉森自身もそれまで知らなかったという。
阿波晩茶は徳島県の山あいで1000年前から飲まれてきたとされ、体に良いと言われてはいたが、科学的な分析はあまり行われていなかった。普通のお茶もカテキンがオートファジーを少し上げるので悪くはないが、阿波晩茶はそれより効果が高かった。理由は製法にある。阿波晩茶は乳酸菌で発酵させる特殊なお茶なのだ。乳酸菌で発酵させるお茶は他の地方にも少ないながらあるが、効果があったのは徳島のその地域で作られたものだけだった。吉森は、乳酸菌の種類が違うためだと説明する。
お茶のままでは薄いため、ベンチャーでは2〜3リットル分のお茶を1粒に濃縮した錠剤を販売している。高橋はその場で購入を申し出た。阿波晩茶はカフェインが少なく、地元では「赤ちゃん茶」と呼ばれて赤ん坊にも飲ませるという。テレビの取材で100歳以上の人がいる地域として紹介されたこともあるが、特別に長寿かどうかの科学的な調査はまだ行われていない。吉森はそれを調べたら面白いと話した。徳島大学の研究者は以前から、血糖値の低下や花粉症などアレルギー症状への効果を示すデータを出していたが、メカニズムはよく分かっていなかった。今回、細胞レベルでオートファジーに効いていることが分かったのは大きいと吉森は見ている。
高橋は、冷やした緑茶や水出し緑茶が体に良いというスピリチュアル系の人の話を持ち出し、お湯出しと水出しで成分が変わるのかを尋ねた。吉森は、調べたことはないが変わる可能性はあると答えた。
ラパマイシンとの比較と、有効成分
阿波晩茶の効果の強さについて、吉森は一つの実験を紹介した。これまで知られている中でオートファジーを最も強く上げるのは、医師の処方が必要な薬のラパマイシンである。実験動物の線虫は人間と同じく年を取ると動かなくなるが、阿波晩茶の濃縮エキスを与えるとまたよく動くようになった。ラパマイシンでも同様に動くようになるが、阿波晩茶エキスの方が効果が強かったという。
高橋が「それならラパマイシンを飲めばいいのでは」と言うと、吉森は副作用が強いと答えた。ラパマイシンはオートファジーを上げるだけでなく、タンパク質の合成を止めるなど他の作用も持つためだ。阿波晩茶については、今のところ副作用は見つかっていないが、絶対にないとは言えないと吉森は留保した。普通のお茶として長く飲まれてきたことが安心材料になると考えているという。
阿波晩茶にはさまざまな成分が混ざっており、どれが効いているかを研究している。有効成分はすでに見つかっているが、特許の関係でまだ公表できない。その成分だけを取り出せばさらに効果が上がる見込みで、実用化は薬よりずっと早いだろうと吉森は話した。
20人の臨床試験と「5〜10歳分」の結果
吉森のグループは、阿波晩茶やウロリチンなどのサプリメントと生活習慣を組み合わせたプログラムを作り、人での小規模な臨床試験を行った。対象は50歳以上のボランティア約20人、期間は2ヶ月である。その結果、オートファジーが有意に上昇した。さらに、老化で低下する認知力、筋力、免疫力を測定したところ、大まかに言って5〜10歳分の若返りが見られたという。
吉森はこの結果を、オートファジーを上げれば若返り効果が期待できる根拠として示した。ただし、阿波晩茶だけでなく複数の要素を組み合わせた試験である。また、サプリメントは一般に薬ほど厳密な人での試験を経ないことが多いため、研究者として今後は100人、200人規模で調べたいと述べた。人工的に作る薬も天然の食品も、化合物という意味では同じであり、オートファジーを上げる作用が科学的に確かめられれば区別する必要はない、というのが吉森の考え方だ。
健康寿命の格差を避けたい
吉森は、薬以外の方法にこだわる理由として格差の問題も挙げた。老化は複雑な現象でオートファジーだけでは決まらないため、研究者たちはさまざまな方法を試している。究極の若返りは、山中伸弥のiPS細胞の原理を応用したリプログラミングのような、遺伝子を操作する方法になるかもしれない。ほかにもエクソソームや老化細胞をすべて殺す薬などが日米で研究されており、吉森はそうした研究も大事だと認める。
しかし、そうした方法が非常に高価になれば、一般の人は手が出せない。健康寿命に格差が生まれる社会になるのは残念だ、と吉森は言う。高度な方法もいずれは普及するかもしれないが、それまでのつなぎとしてでも、誰でもできる生活習慣や誰でも手に入るサプリメントで老化への対策をある程度実現したい。プログラムをあえて生活習慣とサプリメントの組み合わせにしているのはそのためだという。
オートファジーに関わる食品
高橋の求めに応じて、吉森は阿波晩茶以外の食品も挙げた。納豆にはスペルミジンという成分が含まれ、よく研究されている。スペルミジンはもともと大豆に含まれるが、納豆では高濃度になる。おそらく発酵のためだろうと吉森は推測する。吉森自身は毎日ではなく、たまに食べる程度だという。チーズにもスペルミジンが含まれる。
ほかに、鮭やエビ・カニなどの甲殻類に含まれるアスタキサンチン、赤ワインに含まれるレスベラトロールも挙がった。レスベラトロールはブドウにも含まれるが、赤ワインの方が濃度が高いかもしれないという。本には醤油や味噌などの大豆製品、キノコも挙げられている。ただし吉森は、納豆が良いからと納豆ばかり食べれば栄養のバランスが崩れてかえって悪いと注意し、いろいろなものをまんべんなくとることを勧めた。
食べ方:腹八分目とメリハリ
食事の量について、吉森はオートファジーの観点から説明した。オートファジーは一日の中で上がったり下がったりしている。アミノ酸を感知するとオートファジーは下がるため、食事で血中のアミノ酸濃度が一時的に上がると、オートファジーも下がる。アミノ酸そのものが悪いわけではないが、その状態がずっと続くのは良くない。間食をだらだら続けたり、ちょこちょこ食べたりするのは、オートファジーにとって好ましくない。断食までは必要ないが、食べるときは食べ、それ以外はあまり食べないメリハリがある方がいい、と吉森は話した。
腹八分目を勧めるのは、カロリーを80%に抑えると動物実験で寿命が延び、それはオートファジーが上がるためだという研究があるからだ。延びる幅は動物によって違うが、1.何倍という大きさだという。80%を計算するのは面倒なので「腹八分目」と言い換えている。重要なのはカロリーなので、カロリーの低い野菜でお腹を満たすのは構わない。
吉森は、昔から体に良いと言われてきたことばかりだと認めた。そのうえで、オートファジーが上がるという科学的な裏付けがあり、しかも測定できると分かれば、やる気も出るのではないかと述べた。
運動、睡眠、脂肪の多い食事
有酸素運動については、ネズミをベルトコンベヤーで走らせる実験で効果が分かっている段階で、人間がどの程度運動すればよいかはまだ分かっていない。20人の試験は50歳以上が対象だったため、激しい運動ではなく緩やかな運動で行った。
睡眠は7時間はとってほしいと吉森は言う。質も大事だ。オートファジーは体内時計(サーカディアンリズム)に従って上下しており、おそらく寝ている間が上がる時期にあたる。ただしオートファジーと睡眠の関係はまだそれほど分かっていない。吉森は睡眠研究者の柳沢正史と共同研究をしている。柳沢はノーベル賞を取るだろうと吉森は考えており、自身も推薦しているという。一方、吉森自身については、師匠の大隅良典がオートファジーの基本的な仕組みでノーベル賞を受賞しているため「ルビコンでは取れない」と笑った。ショートスリーパーを自称する人のほとんどは実際には寝られていない不眠症であり、睡眠不足は寿命を縮めることも分かっている。その原因の一つがオートファジーの低下かもしれない、と吉森は見ている。
脂肪の多い食事は避けた方がいい。脂質の多い食事をとり続けると脂肪肝になるが、その原因の一つが、肝臓でルビコンが増えてオートファジーが下がることだという。遺伝子操作でルビコンを持たないネズミを作ると、脂っこい食事を与えても脂肪肝にならない。人間で遺伝子操作は倫理的に行わないが、脂っこい食事を控えればルビコンは増えないと吉森は話した。
ルビコンをなくすことには副作用もある。精子を作るのに必要なセルトリ細胞でルビコンがなくなると、精子ができにくくなる。そのため人間にすぐ応用することはできない。吉森は、子作りを終えた後に対策するという考え方はありうるとしつつ、不妊になるわけではないとも補足し、注意が必要だと述べた。
冷水浴、寒冷、低酸素、人とのつながり
本で紹介されている冷水浴について、吉森はカナダのグループが人間で行った比較的確かな研究だと説明した。15度前後の水に毎日1時間浸かるという内容で、高橋は「絶対嫌だ」と反応した。ただ、この実験では何分以上で効果が出るかを試していないため、もっと短くても効果があるかもしれない。寒冷な環境や低酸素の環境でもオートファジーは上がるが、ずっとそういう場所にいると体に別の悪影響が出るため、吉森は勧めない。
人とのつながりが希薄だと寿命が縮むことは以前から知られており、オートファジーとの関連も指摘されている。ただしこれは研究が足りず断定はできない、可能性がある段階だと吉森は位置づけた。
百寿者の研究:遺伝は約25%
慶應義塾大学には100歳以上の人のサンプルを集めて研究している研究所があり、遺伝子や生活を詳しく調べている。そこでは長寿に対する遺伝の寄与はおよそ25%とされている。吉森はこれを大きいと見ているが、評価は人によるという。数字は今後変わる可能性もある。明らかに長寿の家系はあるが、裏返せば残りは食生活や生まれてからの暮らし方などの環境要因で決まる。そちらの方が大きいので、生活習慣が大事だと吉森は強調した。百寿者は基本的に炎症が少ないという。
慢性炎症、アレルギーと個人差
高橋は自分に慢性のアレルギー性鼻炎とアトピーがあると打ち明け、どうすればよいかと尋ねた。吉森も自身にアトピーがあったと話したが、専門外なので断定は避けた。
吉森によれば、アレルギーは自分を攻撃しすぎるような面があり、他の慢性炎症と似てはいるが同じではない。花粉症は季節性なので慢性炎症とは言えない。ルビコンが直接慢性炎症を起こすわけではないが、炎症は免疫細胞の働きで起き、免疫細胞が正常に働くにはオートファジーが必要だと分かっている。その意味でオートファジーは炎症に関わっている。さらに、ルビコンが増えるとゾンビ細胞が増え、オートファジーが活発だと細胞のゾンビ化を防げることも吉森らは実験で報告している。慢性炎症、老化細胞、オートファジーは互いに関係し合っているという。鼻炎は放置しない方がいいと思う、と吉森は答えた。
吉森はここで、人間に応用する際の難しさも説明した。動物実験では、比較できるようにあえて遺伝子が同じクローンのネズミを使う。だから効くときは一様に効く。しかし人間は一人ひとり遺伝的背景も育ってきた環境も違うので、効く人と効かない人が出てしまう。
NMN・サーチュインと、生殖をめぐる長寿の話
終盤、高橋はオートファジー以外の注目領域としてNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)を取り上げた。吉森の説明では、サーチュインというタンパク質が老化を抑える側にあり、遺伝子に傷が入ることで起きる老化を防ぐ働きをする。NADはサーチュインが働くのに必要な物質で、NMNはこの系に関わる。サーチュインはオートファジーとは直接関係しないという。
対談ではさらに、吉森が、細胞に侵入して病気を起こすA群連鎖球菌をオートファジーが殺していることを最初に発見したことにも触れた。続いて、精子を作れないオスは普通の個体より13%長生きするという話が出た。吉森によれば、生き物は生殖して子孫を残すと「用事が終わる」ような面があり、生殖細胞を除去すると長生きするという現象は多くの生き物に共通し、人間でも見られる。人間で実験は普通できないが、生殖細胞の除去についてだけは人間での例がある、と吉森が切り出したところで、字幕は途切れている。
病気になるとか老化するとかいうのは細胞のレベルで起こります。オートファジーが年を取ると下がってきちゃうっていう話、それの原因を私、突き止めたんですね。
ええ、世界で初めて。
ルビコンっていうタンパク質が増えてきちゃうんですね。そしたらルビコンを止める薬を作ればいい。
ルビコン、止まりそうですか?
いや、もう。僕の師匠の大隅先生っていう方がオートファジーでノーベル賞を取られてるんで、オートファジーの基本的な仕組みを。
オートファジーとは何なのか?
細胞のメンテナンスをしてるのがオートファジー。細胞の中身を壊して、別の仕組みが作るので、自動車買って10年したら中古車ですけど、部品を新品と交換してたら新車になってますよね。細胞はオートファジーを使って新車の状態を保つ。
オートファジーが機能し続ければ老化しないってこと。
オートファジーだけで決まるわけじゃないんですけれど、12原因があるって言われてますけど、そのうちの1つがオートファジーの低下っていうことで。オートファジーは細胞の中に有害なものが現れると、それを排除する。病原菌であるとかウイルスであるとか、アルツハイマーとかパーキンソン病の原因になるようなタンパク質の塊ができるんですけど、そういうものも分解する。上げるのは必ずしもそういう薬じゃなくても上げられるっていうのは。
他の方法。
カロリーを80%制限するとか、有酸素運動をするとか、よく寝るとか。食べ物の中にオートファジーを上げる成分が見つかってるものがあるんで。
何ですか?
たくさんありますよ。
すごいじゃないですか。リハックリベラルアーツ。
先生、今日よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回のテーマは、老化を防ぐには、ということで。というかですね、こちら。『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』ですね。テーマで、生命科学者でいらっしゃいまして、大阪大学名誉教授でいらっしゃいます吉森先生にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
これ、私たまたま本屋で手に取りまして読んで、面白い、かつ結構夢あるな、みたいな。
ありがたいですね。高橋さんに手に取っていただいて。
生物学的に見ると老化って全然マストじゃないし、全然老化しない生き物いるし、むしろ若返るクラゲとかもいるというのを読んで。じゃあ、それを人間にどういうふうに適用できるのかな、みたいなことが書いてあるんですけども。こちら面白いので買ってください。中野さんですよね。
はい。
中野さんの下にいる中野さんっていう。
の下の中野さん。
日経テレ東大学のゴタゴタがあった時に、日経BP側で比較的味方をしてくれた人の方なんで、ぜひ手に取って。いい人です。『ファクトフルネス』の人ですよね。
仲いい。『ファクトフルネス』作って。
というわけで、吉森さん、今日よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
初登場ですね。簡単に自己紹介の方をお願いしてもよろしいでしょうか。こっちか。
自分のことを言えばいいんですか?
吉森と言います。大阪大学の、今もう定年して名誉教授ですけども、研究を続けていて、特任教授としてまだ研究室を持っています。生命科学者なんですけども、専門は細胞生物学で、特にもう30年ほどはオートファジーっていう細胞内の非常に重要な働きを研究していて。それが老化に関係していたんで、今特に老化をやってるんですけど、老化が専門っていうよりも、オートファジーが専門になります。
ありがとうございます。オートファジーとは何なのか、簡単に。老化に大きく関わることですよね。教えてください。
そうですね。まずオートファジーのことを言うためには、細胞の話になっちゃうんですけども。人間って37兆個ぐらいの細胞からできていて、その細胞1個1個が生きていて。生命科学では細胞が生命の基本単位。人間を含めたどんな生き物でも細胞が生命の基本単位で、病気になるとか老化するとかいうのは、みんな細胞のレベルで起こりますし。人間が健康だっていうのは、逆に言うと細胞1個1個が元気だっていうことになるんですけども。その細胞1個1個、生きてるので、中にすごい複雑なシステムがあって、それのメンテナンスをしてるのがオートファジーという仕組みですね。
オートファジーってシステムの名前なんですけども、簡単に言うと細胞の中身を少しずつ壊して、また別の仕組みがその壊した分を作るので、入れ替えてると。毎日オートファジーが少しずつ壊して、その分、新しい部品ができてるんで。自動車買って10年したら中古車ですけど、毎日部品を新品と交換してたら、数日で新車になってますよね。細胞はそのオートファジーを使って日々部品の交換をして、新車の状態を保ってる。だから健康が維持されてるっていうことです。
これだけでも非常に重要なんですけど、加えてオートファジーは、細胞の中で有害なものが現れると、それを排除する、壊す。それも壊す。例えば病原菌であるとかウイルスであるとか、それからアルツハイマーとかパーキンソン病の原因になるような、細胞の中にタンパク質の塊ができるんですけど、そういうものも分解する。それから例えばミトコンドリアっていうのは細胞の中にあって、発電所みたいなもんなんですけど、時々壊れるんですね。壊れると危険なので、そういうものも排除するっていう。
2つ大きな役割があって、その入れ替えと有害物の除去。この2つで細胞を元気にしている、細胞の正常さを保っているっていうのがオートファジーです。基本、壊す仕組みなんですけど、その壊すことでメンテをしてるってことですね。
オートファジーがちゃんとずっと機能し続ければ、私たちは老化しないってことですよね。
もちろん老化って複雑な現象なんで、オートファジーだけで決まるわけじゃないんですけど、今現在12原因があるって言われてますけど、老化にはね。そのうちの1つがオートファジーの低下っていうことで、今おっしゃられたようにオートファジーがずっと正常だったら、病気とかアルツハイマーとかにもならないし、病原体にも勝てるんですけども、残念ながら年とともにだんだんオートファジーっていうのが下がってきちゃうんですね。
オートファジーって、細胞の中にパックマンみたいなものが。この頃の若い人、パックマンあんまり知らないんだけど、ご存じですかね?
こう食べるやつね。
ああいうみたいなものが細胞の中にいっぱいできて、それで分解してくれるんですけど、年を取るとそのパックマンの出来が悪くなってきて、あんまりできなくなってきて、分解できなくなるので。それで老化が起こってしまうっていうことが、老化の原因の1つっていうことになりますね。
そういう状況を踏まえて、先生はなぜ『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』というふうに考えているのかを聞いていきたいと思うんですけど。さっき冒頭でも言いましたけど、生物って全部が老いるのかなと思ってたら、そうじゃない生き物、まずいるらしいですよね。どんな生き物がいるんですか?
そうですね。老いないっていうのは結構いろいろ見つかって。でも一番よく研究されてるのがハダカデバネズミっていう、アフリカの土の中に住んでるネズミでね。
土の中なんですね。
ええ。トンネル掘って暮らしてるようなネズミで、これは老化しないですね。見た目も変わらないし、見た目変わらないだけだと、見た目の問題になっちゃうんですけど。それだけでなくって、老化って複雑な現象なんですけど、医学的にはいろいろな病気になりやすくなるっていうのが1つ、特徴ですよね。
人間で言えば、例えば60歳超えると発がん率が急速に上昇しますよね。他のアルツハイマーにしても、お年寄りがなりやすい病気ってたくさんあって。そういうものになりやすくなることが老化って考えてもいいと思うんですけど、ハダカデバネズミは一生の間、発がん率がほぼゼロで。だからそういう病気になりにくいんですね。だから老化しないと言ってもいいと思うんですけど。
寿命も長いです。普通の同じぐらいの大きさのネズミが2、3年なんです、寿命。ハダカデバネズミは30年ぐらい生きて、ある日パタッと死ぬ。ピンピンコロリですね。
すごい。人間で言うと数百年に匹敵するわけで、しかも病気にもなりにくいし、見た目もそんな変わんないってなると。最近、昔のドラマ見てたんですけど、例えば広末涼子があの美しさと健康なまま300歳まで生きて、死ぬ直前で『ビーチボーイズ』の広末のままってことですよね。
そういうこと。
簡単にそういうことですよね。すごいですよね。このハダカデバネズミの、『ビーチボーイズ』の広末のまま300歳ぐらいまで生きて、パタッと。最後のパタッといく瞬間まで広末涼子なわけですよね。
そういうことですね。
すごいじゃないですか、ハダカデバネズミは。
ハダカデバネズミの見た目は、広末涼子とはだいぶ違うんですけども。人間にそれがもし可能だったら、そうですね。
大谷翔平が大谷翔平のまま300年ぐらい大リーグで活躍して、死ぬ直前ぐらいまで本塁打打って、ある日いなくなるみたいな。すごいことですね。なんでハダカデバネズミはそういう形になったんですか?
もちろん、なんでかあんまりよく分かってないから、今すごく研究が行われてて、少しずつは分かってきてますけど。私、ハダカデバネズミの研究じゃないんでね。知り合いの研究者の三浦先生っていう方からいろいろ聞いた受け売りです。彼女が見つけたのは、例えばその老化の原因、さっき言った12個ぐらいあるんですけど、中に老化細胞が増えるっていうのがあってね。
細胞が老化するって言うと、それはそうでしょうって思われるかもしれないけど、細胞の老化って、この人間全体の老化とは全然別の話で。逆で、細胞の老化っていうのは死ななくなることなんですね。細胞って寿命があるから、ある程度来たら死んで、新しい細胞で入れ替わっていってるわけですよね。皮膚の細胞なんか数日で入れ替わるんですけども、時々死ななくなる細胞が、要するにゾンビみたいになっちゃって。
ゾンビっていうんですね。
そうですね。僕は老化細胞って言うと誤解を招くので。年寄りの細胞だと思っちゃうから。そうじゃなくって、死ななくなったゾンビですよね。これが良くないんですね。それが増えると、他にもゾンビを作っちゃうし。
うつるんですか?
うつるんです。うつるっていうかね。
ざっくり言うとうつる。お前もゾンビ化しろって物質を出すんですね。
そう、物質を出すんですね。他に増やしちゃうし、それから慢性炎症の原因になるような物質も出すので。慢性炎症も老化の原因なんですね。
人間の老化、それで一番っていうか、結構良くないって書いてありましたね。
そうですね。
熱が出るとか痛いとかは分かって、すぐ治るけど、じんわりじんわり体の中で炎症が起きてるのが。
そうです。
それがゾンビ細胞。
の原因になるのがゾンビで、ゾンビが増えちゃうんですけど、ハダカデバネズミはゾンビがあまりできない。それは今、研究の途中ですけども、遺伝子のレベルで違いがあると。ハダカデバネズミ、いろいろ多分違いはもっとあるんでしょうけども。ハダカデバネズミに人間がなるわけにはいかないけども、そういうことが分かってくると、一部を応用すれば、人間も老化をある程度制御できるんじゃないかっていうことですね。
遺伝子、カチカチカチって操作できるじゃないですか。それでゾンビ細胞化するのに働きかける、酵素かなんか出る遺伝子をちょこちょこっと変えちゃえば。影響がないように。
そう、影響がないようにっていうのが難しい。
難しいんですね。難しいですか。それできちゃえば、翔平300年活躍時代。
そうです。そう簡単にいくかどうか分かんないけど、理論的には。
理論的には可能ですよね。
うん。結局、ここ10年、20年ぐらいの間に生命科学が進んで、老化の仕組みが、老化細胞だけじゃなくていろんな仕組みが、オートファジーもそうですけど、分かってきたので。仕組みが分かると、何かできるんじゃないかっていう。すぐできるとかじゃなくても、意外に近いうちになんとかできるんじゃないかっていうことですね。
すごい興味深いですね。じゃあ、ゾンビ細胞のできないハダカデバネズミちゃんっていうのが1つ。あとは、もうちょっと不老不死のクラゲっていうのもいるんですよね。
ベニクラゲですね。
なんで若返るんですか、これ。
これもなんでか分かんないんですけど、ある年齢に達すると若返り始めて、赤ん坊になって、また次の人生を繰り返すんで、永遠に繰り返すんですよね。
そんな映画ありましたよね。生まれた瞬間おじいちゃんで、どんどん若返るみたいな。
ありましたね。見ましたけどね。
途中で好きな婚約者とかといい感じになって、逆転するんですよね。
そう、そう。ちょっとつらい。
つらいんですよ。つらいんですけど、そういうクラゲが実際いると。若返ることすら可能なんですか?
そう、理論的にはね。
何なんですか。
みんな、人間とか周りの犬とか猫とか、みんな老化して死んじゃうから、なんとなく必然だと思うじゃないですか。物理法則みたいなもんだと。どんなものも時間がたてばボロボロになって、最後動かなくなるんだから、そんなものはもう不可避だと。だけど、そういう生き物がいるっていうことは、生き物についてはそうじゃないってことですよね。だから生命科学者は、理論的には制御可能だろうと。
実際、そういう試みが始まっていて、例えば我々はオートファジーでそれをやろうとしてるんですけど。多少はもういくんで、すごい特殊な技術を使わなくてもね。なので、ある程度は若返りも可能だと思います。
これが人間だから、すぐ応用できるかは難しいですけど、そういう生き物がいるっていうのが分かってれば、人間に応用できるかもしれない。ちょっといきなり、この本の中で言うと最後の方に行っちゃいますけど、普通だったら難しいけど、AIの発達で遺伝子の研究が簡単になってきて、簡単というか、やりやすくなってきたんですか?
そうですね。加速してますね、やっぱり。
今まで人の遺伝子、そんなことできなかったけど、シミュレーションできちゃうわけですよね。
AIが直接、遺伝子操作に何かっていうんじゃないんですけども、いろんな場面でもっともっと使われるようになると思いますね。今現在で一番我々の分野で役立ってるのは、タンパク質の構造の予測ですね。AlphaFoldっていう、AIっていうか、プログラムですね。それが非常によくできてるので。
結局、細胞の中って人間の社会みたいなものがあって、それで細胞っていうものが生きてるんですけど。人間の社会だと働いてるのは人間だけど、細胞の中の社会で働いてるのはタンパク質。タンパク質だって思いがちですけど、実は10万種類ぐらいあって、たくさん種類があって、それぞれ役割があるんですね。だから人間の社会でお巡りさんがいたり、お医者さんがいたりするように、細胞の中でタンパク質にそれぞれ職業みたいなものがあって働いてると。例えばオートファジーを動かすタンパク質たちがいたりするんですけど。
なので、その役割に応じてタンパク質って形が違うんですね。その形が分かると、いろんなことが分かるわけですね。何してるかとか分かったりするんで、予測っていうのがすごく大事になってきてるんですけど。今まではすっごい苦労して、その形、すごい小さいんで。細胞自体がもう目に見えないぐらい小さいのに、タンパク質はそれの千分の一、万分の一の大きさなんで、もっともっと小さいんで、簡単に顕微鏡でも見えない。
それを見える顕微鏡ができてきたりしてるんですけど、それでもすごい大変だったのが、設計図があるんでね、タンパク質って。遺伝子っていうのはタンパク質の設計図なんですね。よく遺伝子、遺伝子って言いますけどね。タンパク質の設計図なんで、遺伝子が分かるとある程度は予測ができるんですけど、そのAIのおかげですごい正確になってきたんですね。だからすごい苦労して調べなくても、シミュレーションで分かるようになってきて。ただまだ完全じゃないんで、実験で証明はしなきゃいけないんですけど、すごい助けになってますね。
一応、仮説の検証的なことをしやすくなって、1回実験だ。
そうです。もう短縮されてますね。これからももっとAIは使われていくとは思いますけどね。
今、そのAIと老化研究の最前線って、構造生物学のことですよね、それ。
今言ったのは構造生物学ですね。
その他には、どういうジャンルで?
僕も専門じゃないんで、どのぐらい進んでるかってちゃんとは言えないんですけども、いろんな場面で使われ始めてますし。それから例えば薬ですよね。
薬か。
薬の設計自体が、これは構造生物学とすごく近いんですけど。私も今、オートファジーを上げる薬を開発中ですけども、それも東大の構造生物学者の先生と一緒にやってるんですけども。オートファジーが、ちょっと話戻りますけど、さっき言ったように年を取ると下がってきちゃうっていう話をしたんですけど、それの原因を私、突き止めたんですね。
ええ、世界で初めて。
もちろんそうですね。ルビコンっていうタンパク質が悪さするやつ、増えてきちゃうんですね。ルビコンっていうのはオートファジーのブレーキ役で、オートファジーを止める役割があるんですけど。もともとは必要だったのかもしれないんですけど、年を取るとそれが異常に増えてきてしまうっていうのを見つけたんですね。そしたらルビコンを止める薬を作れば。
そうだ。
いいじゃないですかっていうことで、今作ってるんですけど。
ルビコン、止まりそうですか?
いや、もう薬はできてるんですけども、ほぼ。まだ臨床の手前で。
だからこれから臨床。
そう。これからが大変なんですけどね。だけどその時に、まずルビコンにくっついてルビコンの働きを止める薬を見つけたんですけど、もっともっと効きを良くするためには、ぴったりはまる方がいいんですね、そのルビコンに。そうすると、その先生と一緒にやってるのは、ルビコンの形を正確に捉えて、そこにぴたっとはまる薬を設計するっていうね。
だからルビコンの形も、さっき言ったAlphaFoldで予測できますけども、薬の方の設計もAIで、どんな形にしたらぴったりはまるかっていうのは、そんなのはもうお茶の子のことなんで、AIにとってはね。
肌感で、今までの例えば薬の開発とか医学研究が、何分の一ぐらいの時間軸になったような印象ですか?もう肌感でしかないですけど、これは。
どうだろう。僕も素人だから何とも言えないけど、肌感でやっぱりもう10倍とかで。
10年かかってたものが1年ぐらい。
うん。さらに今、どんどんもっと加速していくと思いますね。今言ってることだけじゃなくて、いろんな場面でAIは使われていくでしょうね。
その老化の、オートファジーをしにくくなるルビコンっていう、悪いことするやつをパクッと食べるというか、効かなくする。
効かなくするんです。
しかもカタッとはまるようにAIを使って薬作って、もう老化しなくなりそうじゃないですか、そろそろ。いつぐらいにできるんですか、そのルビコンを止める薬は。
まあね、ちょっとやっぱり。
いくらあればいいんですか?お金あればできます?
今、国から支援を受けていて、15億ぐらいの支援を受けてるんですけど。それがもっと段階が進むと、今だから前臨床試験の段階で、動物でやってる段階なんですね。次、人でやらないといけない。そうするとやっぱり100億、200億とかかかるんで。
100億、200億出してほしい、国に。
国、なかなか難しいですよね。あと時間もかかりますよね。その繰り返しするっていうような。
時間どれくらいかかるんですか?
10年、20年かかります。
まだ10年、20年かかるんですか?
まだね、そこら辺は、いくらAIがあってもお金があっても、法律とかの問題で、国の行政的な問題もあるから、なかなか変えられないですね。だけど一方で、私ももう68なんで、自分に間に合うかどうか分かんないから。他の方法がないかっていうことで、いろいろ調べてね。オートファジーを上げるのは必ずしもそういう薬じゃなくても上げられるっていうのは、動物実験では分かってきてるんで。
他の方法で。
それは例えばカロリーを80%制限するとか、有酸素運動をするとか、よく寝るとか。それから食べ物の中にオートファジーを上げる成分が見つかってるものがあるので。
何ですか?
たくさんありますよ。ザクロのウロリチンとか。
ザクロのウロリチンっていう。ウロリチンってザクロしか入ってないんですか?
他にも入ってるかもしれないですけど、ザクロが多い。
これ、ウロリチンのサプリとかあるんですか?
あります。
それすぐ発注して、今日。
それだったら、もっといいのあります。
コエンザイムQ10とかですか?
いやいや、あれじゃない。あれはサプリですけど。いろんな食品あるから、私、ベンチャー作ったんですけど、そのベンチャーで日本中の昔から体にいいとされてる食べ物を700種類ぐらい集めて。うち、調べることができるんで、細胞を使って。ある物質がオートファジーを上げることができるかどうか科学的に判断できるんで。それで調べたら、徳島県の阿波晩茶っていうのがすごく強い。
阿波晩茶。知らねえ。
普通の人、知らないと思う。僕も知らなかった。
そんな研究してるんですか。教えてくださいよ。
阿波晩茶ね。僕もびっくりした。もう売ってます。錠剤も売ってます。
それまでそんな注目されてなかったんですか?
いや、でも徳島県の山あいでは、もう千年前から飲まれていて。でも、なんとなくいいって言われて、その科学的な分析がそんなにされてたわけじゃないので。今回我々がオートファジーを上げるって見つけて、いろいろ動物実験もして。それから、さっき言ったような生活習慣でも上げられるから、そういうの全部組み合わせてプログラムを作って。
人でも臨床試験ですね。だから薬で言う治験みたいなことを、小規模で20人ぐらいなんですけど、やったんですね。そしたら確かにオートファジーが上がって。
どんくらい上がったんですか?
どのくらい。有意、僕ら有意って言うんですけど。誤差以上に大きい差があるっていうことなんですけども。それは2か月だけに区切ってやったんで、もっと長くやればもっといいかもしれないんですけど。でもそれで認知力とか筋力とか免疫力って、老化で下がってくるようなものを測定したら、ざくっと言って5歳から10歳分。
それ、阿波晩茶だけじゃなくてウロリチンとか、いろんなものを取ってもらったんですけど、ボランティアの方にね。だけど、オートファジーを上げればそういう若返りの効果があるっていうのは、非常に期待できると思います。
全国に緑茶もいっぱいあるし、番茶もあるじゃないですか。その阿波の、そこの地域の阿波晩茶だけが良かったんですか?
それなんでかって言うと、ちなみに普通のお茶でもカテキンが少しオートファジーを上げるんで、悪くはないんですけど、もっと良かったんですね。なんでかって言うと、特殊なお茶なんですよ。乳酸菌で発酵させて。
阿波晩茶。それ、あんまり全国ないんですか?もう買い占めでしょ。
いやいや。ただ、お茶だけだと薄いから、うちのベンチャーで、お茶2、3リットルを1錠に濃縮したような錠剤で売ってるんです。
それ買うでしょ。マジですか?
よろしくお願いします。Amazonでも楽天でも売ってます。
売り切れる前に、うち送ってくださいませんか?代金払うんで。持ってきてくれ。在庫ありますか?
あります。
ちょっと買います。1日何粒飲めばいいですか?
1粒ってことになってるんですけど、もともとお茶なんで、何粒か飲んでもらっても別に害はないんですけど。
ちょっと2年分ぐらい買っていいですか?
どうぞ。
会社の人、この後連絡してもらっていいですか?2年分買います、私。
もちろん。
ただ、乳酸菌発酵するお茶は他の地方にもなくはない。少ないですけど、なくはないんですけど。面白いのは、徳島県のそこで作られてるお茶しか駄目なんです。
なんで?
乳酸菌の種類が違う。
乳酸菌がいろいろある。そっか。菌とかって違うって言いますもんね。そこの乳酸菌がいいんだ。阿波晩茶すごいじゃん。
たまたまなんですけどね。そういうことがありましたね。
薬作る時、よくアマゾンからいろんな草を持ってくるって言いますけど、やっぱ自然の中でたまたまそういうのが、ぴっと生まれてるわけですか?
僕らからしたら、人工的に作る薬と自然にあるものって、一緒なんで。化合物っていう意味ではね。区別は法律で、科学的に見たら、例えばオートファジーを上げるっていう作用があれば同じことなんで、それでもいいかと。
ただ、一般にサプリメントとかは薬ほど厳密な人間での試験をしない。する場合もあるんですけど、しない場合が多いので。私は研究者なので、そこら辺はちゃんと調べたいなと思ってるんですけど。それでまず20人ぐらいでやってみて、オートファジーを上げることで、ある程度の若返りができる可能性が見えてきたので、100人、200人で調べたいなとは思ってるんですけどね。
阿波晩茶は、ちなみに徳島のどこら辺で作ってるんですか?阿波晩茶。
徳島県の方か。
うん。
その村は長寿だったりしたんですか?やっぱり健康だとか。
前にテレビの取材で行かれて、100歳以上の人がいるとかいうのはあったんですけど。ちょっと科学的に、特別長寿なのかどうかとかいう調査はまだなので、そういうこともやったら面白いなとは思うんですけどもね。
カテキンが少なくて、カフェインが少なくて、みたいなこと書いてありますね。
そうですね。カフェインが少ないんで、赤ちゃん茶って言われてて、その地域では赤ちゃんにも飲ませる。
赤ちゃん、体に良さそうですね。
そうですよ。オートファジーが上がるって分かったから我々やってますけど、この地域の人、昔から体にいいと思って飲まれてるわけなんで。
スピってる人、スピリチュアル大好きな人が、科学的には絶対ないんですけど、スピリチュアル界隈の経験的なあれとして言ってたのは。俺、真偽は怪しいと思って見てるんですけど。緑茶を毎朝1杯、冷やした緑茶を飲むといいと。しかも水出しの緑茶を飲むとすごい体にいい、みたいなスピリチュアルの人が言ってたんですけど。お茶とかも、お湯で煮出すのと水で煮出すのって、成分とかって変わってくるんですかね?
変わる可能性はありますね。我々調べたことないですけど、変わる可能性はもちろんあります。
ありますね。ちょっとこれ、スピの人、あんまりすぐには信用しないでください。分かんないんで。ただ、阿波晩茶は調べたんですもんね。
それはオートファジーについては間違いないですし。あと徳島大学の先生が、それ以前にも血糖値を下げるんじゃないかとか、いろんなデータは出されてたとは思うんですけど。
血糖値を下げる。花粉症とかのアレルギー症状、鼻炎とかにもいいみたい。
ただ、メカニズムがあまり分かってなかったので、今回は細胞のメカニズムに効いてるっていうのが分かったっていうのは、まあまあ大きいかなと思いますね。
そんなのがあるんだな。面白いな。だからルビコンちゃんは、もう10年、20年かけて開発してもらって。ルビコン、パクパク、ルビコンは。こっちの生活習慣で言うと腹八分目とか、できることもあるし、あと阿波晩茶みたいなの。阿波晩茶以外、どんなのがいいって発見されたんですか?ちょっと全部教えてもらっていいですか?
全部って言うと、結構たくさんあるんですよ。
全部取ります。一番いいのが阿波晩茶なんですか?
ちょっと正確に比較したわけじゃないから分かんないんですけども。というのは、1つはラパマイシンっていう、これは薬なんですけど、お医者さんじゃないと出してもらえない薬があるんですけど。これが今まで知られてる中でオートファジーを一番強く上げるんですね。
それと、この阿波晩茶のエキスですよ。阿波晩茶そのものじゃなくて、濃縮したエキスを比較したら、線虫っていう実験動物なんですけど、生き物の年寄りは人間と一緒で、あまり活動しなく、動かなくなるんですけど。その阿波晩茶のエキスをかけたら、またよく動くようになる。ラパマイシンでもよく動くようになるんですけども、それより、ラパマイシンより阿波晩茶のエキスの方が強かったんですね。
薬より強かったんですね。ラパマイシンを、じゃあみんな飲みまくればいいんじゃないですか?そういうんですか?
ラパマイシンは、やっぱり副作用が強いんで、他のことがいろいろ起こっちゃうんで。
何が起こっちゃうんですか?
ラパマイシンっていうのは、オートファジーを上げるだけじゃなくて、タンパク質の合成を止めたりするので、あんまり良くない。
阿波晩茶は、副作用はないんですか?
今のところ見つかってないですね。
飲みまくって急に副作用とか、大丈夫ですよね?
今のところないですね。絶対ないとは言えないですけど、でも今のところないですし。
サプリもそれなりに安全性を確認してる。
もちろん、そうですね。
一生飲んでも大丈夫なくらい、飲んでも大丈夫そうってことですよね。
大丈夫そうです。
そうですよね。
濃縮じゃないけど、普通のお茶はずっと飲まれてきてるんで、それで安心できるんじゃないかとは思ってるんですけど。
なるほどな。構造が似てるんですか、ラパマイシンと阿波晩茶。構造的に似てないんだ。
阿波晩茶の方はいろんなものが混ざった状態なので、その中のどれが効いてるのかっていうのを今研究していて。見つかってるんですけど、特許の関係でまだ言えないです。
見つかってるんですか?それを濃縮したら、さらに強い。
そうですね。それだけにすれば。
いつできるんですか、それ。
それは薬より全然早いと思います。そう思います。
出資したいですね、先生の会社。自己資金100%でいってるんですか?
ぜひ。いやいや、僕が一番出してますけど、僕だけじゃない。
まだ出資受け付けてるんですか?
社長に聞いてみます。
それ儲かりそうだな。
社長は別にいるんで。
社長は。でも一応、オーナーシップを持ってるんですね。
そうですね。創業ですね。
宣伝しまくりますから、リハック。
ありがたいな、それ。
僕は薬だけじゃなくて、いろんな方法を使えばいいと。ただ、さっき言ったように老化って複雑な現象で、オートファジーだけじゃないから、それぞれの研究者がいろんなやり方でね。究極のやり方はリプログラミングみたいな、さっき言った遺伝子を操作するようなことが、究極の若返りになるのかもしれないんですけど。
リプログラミングって、京都の山中先生が見つけられたiPSの原理ですよね。それを応用したようなことを研究してる。アメリカとかでも日本でも研究してるんですけど。僕が思う、そういう研究もちろん大事で、例えば他にはエクソソームであるとか、老化細胞を全部殺す薬であるとか、皆さんやられてて、それはそれでいいんですけど。お金がすごい高価になったら、我々手を出せないみたいな。
一般庶民が買えないといけないからね。
そう。だから健康寿命格差みたいな社会になったら、ちょっと残念かなと思うんで。そういう高度な方法も、いつかは広がってきて、一般に使えるようになるかもしれないですけど。その間のつなぎでもいいから、私は誰でもできる方法、誰でも手に入るサプリとかで、ある程度達成できたらいいなと思ってて。わざと生活習慣であるとかサプリとかを組み合わせたプログラムをやってるんですけどもね。
そっちも知りたい。阿波晩茶は分かりましたと。あと他に何て言いました?納豆って言いかけました?
納豆。
納豆、どこの納豆ですか?
どこの納豆がいいかまでは分かんないんですけど。
納豆もいろいろありそうじゃないですか。
スペルミジンっていう成分が入っていて、これがすごくよく研究されてますね。
そのオートファジーが。スペルミジンっていうのが納豆に入ってるから、納豆がいい。
大豆にもともと入ってるんですけど、スペルミジンね。これが納豆にすごく高濃度になってるんですね。やっぱり多分、発酵だからだと思いますけどもね。
納豆、じゃあ毎日食った方がいいですね。
僕、毎日食べてないですけど、たまには食べますけど。
あと何が良さそうですか?
あと、いろいろありますよ。アスタキサンチンっていって、魚のサケとか、甲殻類とか、そういうエビ、カニみたいなもの。
エビカニクスみたいな。エビ、カニあたり、シャコとかね。
シャコに入ってるかどうか、ちょっと覚えてないけどね。
エビ、カニに入ってましたか?
入ってたと思いますね。アスタキサンチン。
アスタキサンチン。あと、何が?
レスベラトロール。
レスベラトロール、何に入ってるんですか、それ?
赤ワイン。
赤ワインか。ノンアルコールでも入ってる?
ブドウジュースでもいい。
ブドウでいいんですか?
赤ワインの方が濃度高いかもしれないけど、ブドウにも入ってますね。
赤ワイン飲みながら、じゃあエビとカニと納豆と。
チーズにもスペルミジン入ってるし。
チーズも入ってます。チーズ、ちょっと塩分高いですからね。
そうです。だからバランスよく。いつも言うんですけど、例えば納豆がいいからって、納豆しか食べないとバランス崩れるとね、そっちの方が悪いんで。いろんなものをまんべんなく取るっていうのがいいかなとは思いますけどね。
じゃあ食生活では分かりました。阿波晩茶、納豆、ワインを、あとチーズとエビ、カニを、バランスを取りながらもちょっと意識して食べますと。他には生活、何やったらいいですか?腹八分目、当たり前。やっぱ腹八分目いいんですか?満腹、駄目ですか?
うん。
なんで駄目なんですか?
なんで駄目なのかまで分からないんですけど。なんで駄目かって言うと、1つの理由はオートファジーが下がる。オートファジーって、例えばアミノ酸がオートファジーを止めたりするので。食事取ると血中のアミノ酸濃度って一時的に上がるんですよね。
アミノ酸、駄目なんですか?
アミノ酸がいけないんじゃなくて、アミノ酸を感知してオートファジーが下がったりするので、ずっとあると良くないですね。
血糖値が良くないんですか?何が良くないんですか?満腹な時、何か出るんですか?
そうじゃなくて、今僕が話してるのはオートファジーについてだけの話なんですけど、オートファジーが上がったり下がったりするんですよ。だから食事の後、下がって、また上がってっていうのを繰り返してるんですね。
これ、下がっちゃうんだ。
うん。それの原因の1つがアミノ酸濃度があるからっていうことがあるので。そんなこと全然ないので。ただ、下がりっぱなしが良くないし、例えばなるべく、いつも何か食べてるとかね。
うん、うん。
良くないですし、それから。ちょこちょこ食べるのも良くないですか?
多分ね、オートファジー的に。でも他のことを考えても、やっぱりメリハリはあった方がいいんじゃないかな。そんな断食しなくてもいいんですけど、食べる時は食べて、あとはあまり食べないのがいいと思いますね。
腹8分目っていう話は、カロリー80%に抑えておくと、動物実験で寿命が延びるのが分かっていて。それはオートファジーが上がるからだっていう研究があるのでね。それで80%計算するのめんどくさいんで、腹8分目っていう感じで言ってるんですけどもね。あとは有酸素運動。
まあ、体にいいことばっかだな。有酸素運動。
要するにね、昔から体にいいって言われてることばっかりなんですよ。
やっぱり年寄りの言うこと聞けって言いますからね。
でもね、思うんですけど、なんとなく昔から体にいいって言われてることでもね、「オートファジー上がるんだ」とかね。実際それ測れますし、そういうことがあれば、やる気出ません?
出ます、出ます。科学的に根拠あったら。
なんとなくじいちゃんが言ってるからっていうよりも、今の時代なんでね。なので、昔からいいってされてることでもいいんじゃないかと私は思うんですけども。だから運動でしょ。それから睡眠ですね。
運動、睡眠ね。みんな全部そう。
質のいい睡眠が大事だと。寝てる間に、おそらくオートファジー上がってると考えられる。
寝てると上がってますか? オートファジー。
多分ね、サーカディアンリズムっていうので、オートファジーが上がったり下がったりするのが分かってて。サーカディアンリズムって生物時計っていって、体内時計ってあるでしょ。人間にもあるんですけども、人間の場合25時間で回ってるんですけど、それの多分寝てる間が上がる時期なんで。それとね、食べ物。さっき言ったように腹8分目だけじゃなくって、脂っこい食事を避ける。こっちは避ける。
油を避ける。
油っぽい、ハイファットダイエットっていって、その脂質ね、油分の多い食事を取り続けると脂肪肝っていう病気になるんですけど。これ、なってる人多いんですけどね、今。
俺、一歩手前でした。
健康診断で出るでしょ。で、その病気の原因の1つが、やっぱりルビコンが増えるんですよ。
ルビコン増えてるんですか? 脂肪肝。
肝臓で。
あらららら。
ルビコンを持ってない動物っていうのを作ることができるんですけども、さっき言ってたような遺伝子操作でね。これ人間にはできないです。倫理的にやらないんですけど、動物では実験できるんで、そういうネズミを作って、油っぽい食事食べさせても脂肪肝にならないんですね。
すげえな。なんか副作用出てくるんですか、でも。
多少ほかのところに油が付いたりするけど、全体的には健康なので。
じゃあ、ルビコン、人間もカットしていきましょうよ。
だけど、それはなかなかできないし。ルビコンなくすと悪いことも起こるのも分かっていて。例えばセルトリ細胞っていう細胞があって、それって精子を作るために必要な細胞で、セルトリ細胞のルビコンがなくなると精子ができにくくなります。
え、ダメじゃないですか。人間にはすぐにはできないですね。
ただ、今その老化に焦点を当ててるから。
だったら50代ぐらいからそうするって、何か。
そう。50代かどうか分かんないですけど、子作り終わってから、そういうことを気をつけるでもいいかなとは思うんですけどね。
むしろ、だから僕がADの時にお仕事させていただいた松方弘樹さんなんかは、もう喜んでパイプカットしてましたから。「俺パイプカットしたよ」って言ってたから。だから逆に、それだったらルビコン減らせばいいですよね。
だけど、それで前も聞かれたんですけど、避妊になるかってね、言われたけど。100%不妊になるわけじゃないから。
松方さん、それダメか。
パイプカットほどの効果はないです。だけど、そういうある意味副作用もあるので、気をつけなきゃいけないんですけど。でも全般に健康で、例えば肝臓でルビコンがないと、そういうふうに脂肪肝にならないとかあるんですよね。それは人間にはすぐ使えないけど、でも油っぽい食事を控えていれば増えないので。
じゃあ、オートファジー的にもいい。ちょっと1回整理しますよ。まず1番初め、ちょっと待って、有酸素運動の前。腹8分目。腹8分目っていうのは、腹8分目にすると、どれくらい研究で寿命が延びてたんですか、その生物は。
動物によってもちろん違う。1何倍とかですけど。大きいですよ。
大きいですよね。腹8分だ。本当にカロリー80%ですよね。だから満腹でも野菜いっぱい食ってればいいって説もあるわけですよね。
食べ物の種類にはよりますけど、ただカロリーだから。
カロリーですね。カロリーが80になる。
だから、野菜でお腹いっぱいになるのはいいと思う。
いいですね。だからちょっとごまかして、水とかで。
野菜はカロリー低いものが多いので、それでもいいです。
それでもいい。腹8分目、カロリー80%で1何倍になると。有酸素運動は何がいいんですか? ちなみに、どんな種類がいいですか? ウォーキングとかマラソンだとか。
それはまだ人間ではあまり分かってなくって、ネズミをベルトコンベアに乗せて走らせたら、みたいな実験だったので、人間の場合どのぐらい走ればいいのかとか、まだ分かってないです。ただ、さっき言った我々20人ほどでやった時には、一定の運動量で。ただね、50歳以上の人でやったので、そんな過激な運動じゃなくて大丈夫でしたけどもね。
緩やかな運動で。そうです。
睡眠にはなんかコツあるんですか? 睡眠は。
7時間は寝てほしいっていうことかな、人間の場合はね。で、質が良くないといけないですね。多分この番組でも柳沢先生。柳沢先生と共同研究してるんですけども。
そうなんですか。すごい賞取りましたね。
ラスカー賞ね。
3000万ぐらいもらえるんでしたっけ?
いくらか知らない。
俺、もう金のとこだけ目行っちゃって。
いくらか知らないけど、ブレークスルー賞もらわれてるから、そっちの方が大きかった。
そっちか。
柳沢先生、多分ノーベル賞取られると思いますけど。僕は推薦してますけど。
取ります? すげえ。でもルビコンも取るんじゃないですか?
いや、ルビコンじゃ取れないですね。もう僕の師匠の大隅先生っていう方がノーベル賞取られてるんで、オートファジーで。
そうなんですか。
オートファジーの基本的な仕組みを。
もうジャンルで取られちゃった。
別に僕ら賞目指してやってるわけじゃないから、とりあえずはいいんですけども。柳沢先生が多分言われてたと思うけど、睡眠って質が大事で、それと関係あるんじゃないかなと。オートファジーと睡眠の関係ってまだそれほど分かってはいないんですけど、おそらくそういうことだろうとは思ってます。
なるほどな。
だからショートスリーパーみたいな自称する人いるけど、ほとんどいないっていうのは言ってましたね、やっぱり。
そうです。だからショートスリーパーのほとんどは不眠症なので、寝れてないので。
大丈夫? 堀大輔さんって知ってます? ショートスリーパー堀さん。ショートスリーパー堀さんとか、だからあんまり寝てない人は、堀さんどうか知らないですけど、寝てない人はやっぱりオートファジー弱まってるってことですよね、睡眠不足の人は。
だから睡眠不足っていろんな悪影響あると思いますよ。柳沢先生がもちろんお詳しいですけど、睡眠不足だと寿命縮まるのも分かってて、その原因の1つはもしかしたらオートファジー低下かもしれないし。多分いろんなところに影響すると思いますね、睡眠。
あと先生の本にそう書いてあったのが、冷たい水入るといいみたいなこと書いてる。これが気になる。それすぐできる。
冷水浴ですよね。
どのくらいやるといいですか、それ?
それね、カナダのグループがこれ人間で実験したんでね、割と確かな研究なんですけど。でも何度だったかな、15度ぐらいで。ちょっと忘れちゃいましたけど、そこに書いてあると思う。
ここにテロップちょっと出しましょうかね。
1時間、そういう10何度かの水に毎日浸るんです。
毎日1時間。結構ですよね。絶対嫌ですよ。
嫌ですよね。
比較的嫌です。
絶対嫌ですよ。
10度だ。水、運動しちゃってもいいんですか? 水泳だ。でも水泳も15度って結構寒いですよね。
運動してたらいいのかもしれないけど、ちょっと嫌ですよね。ただね、その実験ってね、何分以上やれば効果出るかとか試してないので、もっと短くてもいいのかもしれないですね。
ちょっとは良くなるのか。これ大事です。
だからそもそもね、寒冷、つまり気温の低いところにいててもオートファジー上がるし、酸素が薄くてもオートファジー上がるし。そういうところでは上がるんですけども、でもだからって、ずっと寒いとこにいたりね、ずっと酸素薄いとこにいたら体、ほかのことで良くないので、あんまりそれは勧めないですけどもね。
あと食生活だと、醤油とキノコもいいって書いてあった。味噌とかで、これ大豆とかですよね。
それは大豆だからですね。
あとキノコで、あと書いてあったのが、人とのつながり。ストレスに関係してるんですよね。ストレスがダメで。
そうですね。人とのつながりが希薄だと、前から寿命が縮まるのは分かってたんです。だけどオートファジーもって言われてます。ただね、もっと研究しないと、そういうのはなかなか断定はできないんですけど、でも可能性はあるんじゃないかなっていうことですね、ストレス。
めちゃ気になる。先生のこの本にも書いてあったんですけど、100歳以上生きてる人とそうでない人の生活習慣、見なさったんですよね。
僕がじゃなくて、それは慶應大学。100歳以上の人のサンプルを集めて研究してる研究所があって、百寿研っていうんですけど。
百寿研。ちょっと何研究したか教えてもらっていいですか?
そこに出てきますけど、すごく面白いですよね。まず遺伝子調べまくって、もちろんどんな生活されてるかとかも調べてますけど。僕らにとって、その遺伝子の情報が非常に。
結構でかいんですね、やっぱりね。
大きいと見るかどうかは、人によって判断が何とも言えないんですけど、私は割と大きいかなとは思ったけど。25%ぐらい。
25%ぐらいが。
その数字はまた変わるかとは思いますけど、ざっくりそんな感じですね。でも逆に言うと、遺伝で決まるのはそのぐらいなので。明らかに長寿の家系っていうのはあるんです。だけど、遺伝じゃないっていうのは環境要因っていうんですけど、どんな食生活してるかとか、生まれてからどういう生活してたかとかで決まる、そっちの方が大きいので、やっぱり大事だと思うんですよね。そういう生活習慣とかね。
それ、今言ったようなことなんですか?
オートファジー的にはね。でもオートファジー以外にも今のはいいと思うので。
基本的にやっぱり炎症が少ないんですね、百寿者。
そうです。
結局ちょっと炎症が良くないんだ。私、慢性のアレルギー鼻炎なんですけど、これ1番良くないですよね。
1番良くないことはないとは思いますけど、そんなに良くはないです。
でも慢性の鼻炎とか、炎症持ってる人いるじゃないですか。
もうたくさんいます。
これどうしたらいいんですか?
そこら辺はね。それも生活習慣で変えられるっていう話もあるんですけど、まだまだね。あと個人差が大きいんで。例えばオートファジー上げるっていって、阿波晩茶のエキスで我々まず動物実験するわけですよね。だけど実験動物ってすごく均一なんですよ。例えばネズミもクローンっていって、同じ遺伝子持ってるネズミで実験するんです。それはわざわざそうするんです。
比較できるように。
そう、比較できるようにね。だから効く時は効くし、効かない時は効かないんですけど、人間の場合クローンじゃないので、1人1人の個人差、遺伝的な背景も全然違うし、環境も全然違う。これまで育ってきた環境も違うと。だから効く人いたり効かない人いたりになっちゃうんですよね、どうしてもね。だからそこが人間に適用した時の問題で。だけど鼻炎とかは、やっぱり生活習慣で変えられるっていうのは言われてはいますけどね。そこにも少し出てきたかと思いますけど。
放置するのは良くないですか? それって部分的なものなんですか? これは結構良くない?
放置は良くないと思いますね。
だと花粉症とかも良くないってことですよね。
花粉症は慢性ではないけどね。花粉が来た時だけだから。
でも1年のうち、そうですよね。1年のうち3か月、炎症してますもんね、激しく。
ただアレルギーっていうのは、それこそ椛島先生のご専門なんだけど、ちょっと違うんですね。同じような炎症は起きますけども。
違うんですか?
アレルギーっていうのは、自分を攻撃しすぎるみたいなところがあって。似てるといえば似てますけどもね、ほかの慢性炎症と。
ルビコンちゃん出てるわけですもんね、それ。
ルビコンは直接慢性炎症の原因になるわけじゃないんですけども、オートファジーが炎症を抑えるのは分かっているので。炎症っていうのは免疫細胞っていう細胞が働いて起きるんですけども、オートファジーはそういう免疫細胞が正常に働くために必要だっていうのがよく分かってるんで、オートファジーも関係してるっていう感じですかね。ほかの要素もいっぱいありますよ。
じゃあ花粉症とか、治した方がいい。花粉症も薬飲めば収まるじゃないですか。薬飲んで抑えてればいいんですか? それとも、あれって症状出なくしてるだけなんですか?
症状出なくしてるだけですけど、その症状が炎症なので。
じゃあいいんですか? ビラノアとか飲んで抑えて。
抑えた方がいいとは、僕ちょっとそういう専門家じゃないんで、断定はできないんですけども。
でもアトピーとかも良くないってことですね。炎症ですもんね。ダメじゃないですか。俺アトピー持ってますよ。
僕もアトピーでしたけど。
体が常に炎症してるんですけど、どうしたらいいですか、これ。
そこら辺はちょっと椛島先生に聞いてください。だけどさっきも言ったように、オートファジーが下がってると良くないから。
そういう人はオートファジー上げればいいのか。
それだけじゃ決まらないですけど、少なくとも下がってるよりはいいと思いますね。
ちょっと、慢性炎症とは違うけど似てる効果は出ちゃってるわけですもんね。ちょっと困ったもんだな。
っていうかね、だからみんな関係してるんですよ。オートファジーは慢性炎症にも関係してるし、さっき言ったゾンビができる。ルビコンが増えるとゾンビ増えるんで。そういう実験も我々やってて報告してるんですけど。だからオートファジーが活発だと、細胞のゾンビ化も防げるんですね。だからみんないろいろ関係はしてるんですよね、お互いにね。
ちょっとそのオートファジー以外の観点からもお話聞きたいんですけど、その老化研究の最前線で注目されたのがNMN。ニコチンアミドモノヌクレオチド。
そうですね。
っていうのが、今最前線で研究されている。これ何なんですか?
これはね、サーチュインっていうタンパク質があって。これがちょっと仕組みはややこしいんですけど、老化を止める側の。だからルビコンとは逆の。オートファジーとは直接関係ないんです。関係ないんですけど、遺伝子に何か傷が入ると、いろいろそれで老化が起こったりしちゃうんですけど、それを防ぐようなもので。NADっていうのは、そのサーチュインが働くのに必要な物質の名前なんですね。
サーチュインって、そういう酵素があるんですよね。
そうですね。
老化を遅らせて寿命を延ばす酵素、サーチュイン。これ何なんですか、これ。
だからこれはその。
超気になる。
細胞の中に良くないものが現れると、オートファジーが分解するって言いましたけど、私それの最初見つけたんですね。A群連鎖球菌っていう菌が細胞の中に侵入してきて病気を起こすんですけど、それをオートファジーで殺してたっていう。
それも発見した。
これ、あとは。
あとはね、例えば。
精子を作れないオスは普通の生き物より13%も長生きすると。精子作れない方がいいんですか?
生き物って生殖して子供ができたら、ある意味用事が終わったので。
カマキリとか食べられちゃいますからね。
そう。生殖細胞を除去してしまうと長生きするっていうのは、いろんな生き物に共通してて、人間もそうなんですよ。人間で実験普通できないから、普通は動物でやるんですけど、生殖細胞の除去だけは人間で例があるんですよね。何だと思います?
そう、そう、そう。
長生きなんです。
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