自民党税調の「まとめ役」山際大志郎が語る、食料品1%減税、停滞するスタートアップ投資、Rapidusへの覚悟
ReHacQ−リハック−【公式】ReHacQの高橋弘樹が、自民党衆議院議員の山際大志郎に話を聞いた。山際は当選8回で、経済再生担当大臣や初代スタートアップ担当大臣を務めた。現在は党の税制調査会小委員長として税の議論をまとめ、財政改革検討本部長も兼ねている。対談は、高市政権が掲げる食料品の消費税減税の中身から始まり、目標に届いていないスタートアップ5カ年計画、半導体議連会長として推すRapidus、AI戦略へと進んだ。山際は、減税は選挙で国民と約束した以上やるべきだと述べ、5カ年計画は失敗だったと認めた。そのうえでRapidusについては、成功するまで国は撤退しないと強調した。
獣医師から政治家へ、そして「税のまとめ役」に
山際は山口大学農学部獣医学科で獣医師免許を取り、東京大学で博士号を取得した。動物病院を経営したあとに政治家になった。政治家になってからは一貫して経済分野を担当し、AI、半導体、ロボティクス、ライフワークだというエネルギー、コンテンツ、獣医師の経歴を生かしたバイオに取り組んできたと自己紹介した。
当選回数を重ねられた理由として、山際は2012年以降に選挙が頻繁にあったことを挙げた。そのぶん以前より1〜2回分早く期数が進んでいる感覚があるという。高橋が「昔は当選6回で大臣と言われた。今は上が詰まりすぎではないか」と尋ねると、山際は詰まっている感覚はないと答えた。むしろ先輩が次々に引退して上の層が薄くなり、本会議場で「気づくと随分後ろに座っている」という。
税制調査会小委員長という肩書について、山際は「小」が付くので小さな委員会の委員長だと誤解されやすいと話した。実際の役割分担は次のとおりだという。税調会長は、以前なら公明党、現在なら日本維新の会との与党調整を含め、対外的なことを取り仕切る。小委員長は党内の議論をまとめる。党内にはさまざまな意見があり、まとめるのが最も大変な仕事だという。山際は、修羅場をくぐってきたので「大概のことではビビらない」と述べ、解決策もすぐに頭に浮かぶので自分に合ったポジションだと語った。
高市政権の減税方針と税調内の空気
高橋はまず、税調内の空気を尋ねた。ニュースを見る限り、高市早苗首相の「責任ある積極財政」と減税路線をめぐって、党内は一枚岩ではなさそうに見えるからだ。
山際によれば、今年2月の総選挙で、高市のもとで初当選した「高市チルドレン」と呼ばれる新人議員が大勢入った。そのため、全議員が集まる小委員会の「平場」では、責任ある積極財政に基づく税のあり方に前向きな意見が多い。一方で、長く税に携わってきた「税のプロフェッショナル」の議員からは慎重論も出ている。税は国民一人ひとりにかかり、責任を持ち続けなければならないものなので、どこまでなら許されるかを考えるべきだという意見だ。たとえば消費税を本当に減税するには多くの作業が必要で、もう少し慎重であるべきだという指摘があった。山際はこれを「税の理論からするとごく真っ当な話」と認め、党内が完全に否定的なわけではないと説明した。
山際自身は、消費税減税はやるべきだという立場をとる。理由は税の理論ではない。高市が減税を掲げて選挙を戦った以上、国民との約束を守らなければならないという点にある。選挙で決着した以上、党内で是非を議論するのではなく、どうすれば最大の効果が出る制度にできるかをプロが議論すべきだと考えている。今回はその意味で前向きな議論ができたといい、まとめた案は次の臨時国会に諮られる予定だと述べた。
なぜ0%ではなく1%なのか
法案の内容は、現在8%の飲食料品の税率を、来年4月1日から1%に下げるものだ。山際はゼロにしなかった理由を技術的な事情から説明した。レジのシステムを改修するとき、0%を入れると何を掛けても0になるため扱いにくい数字になるという。1%なら改修は半年で終わるが、0%で不具合が出ないようテストまで含めると1年かかる、という説明を受けたという。
この説明を聞いた首相は、とにかく1日でも早く減税したほうがよいと判断した。そこでまず1%まで下げ、残る1%分、約6000億円とされる額は給付で手当てする形になった。山際はこれを、政策効果を少しでも早く出すための工夫の一つと位置づけた。
税の専門家が懸念する「複雑さ」と、米や缶詰の例
高橋は、税の専門家が何を心配しているのかを掘り下げた。山際の説明では、税をいじるとさまざまな場所に影響が及ぶ。飲食料品には生産者、間に入る業者、最終消費者が関わり、加工の工程を経るたびに税がかかる。さらに、目的が物価高対策なら、消費税を変えるより給付のほうが確実に早いという意見もある。山際はこうした理屈は理屈として成り立つと認めた。そのうえで、だから消費税に絶対触ってはいけないということにはならないと述べ、政治決断が下された以上は実行する立場に立つと語った。実際に取り組んでみると「非常に複雑」だとも話した。
具体例として山際が挙げたのは米農家だ。米を作るための資材やエネルギーには10%の消費税がかかり続ける。一方、米を卸に売るときは1%になる。卸からスーパーや米屋に渡る段階でも、仕入れで消費税を払い、販売で受け取る計算が発生する。米でさえこうなのだから、マヨネーズのように原材料の多い加工品はさらに長い工程になるという。高橋が「農家は肥料を10%で買い、1%で売るのはきつい」と言うと、山際は同意した。そのため今回は税制とは別に、農家が負担する10%分を補う給付制度も合わせて用意したと説明した。
高橋は缶詰の例も持ち出した。マグロ漁の燃料は10%、加工業者はマグロを1%で仕入れるが、缶は10%で買う。「超複雑で、やらないほうがいいのでは」と問うと、山際は、そういう意見は実際に出ていると認めた。そのうえで、複雑で大変なのは分かっているが、やってはいけないことではないと繰り返した。約束を守らなければ政治は信頼を失い、次の重要な政策を進めようとしても誰も聞いてくれなくなる、というのが山際の考えだ。
「選挙期間が短すぎる」という高橋の問題提起
高橋は、選挙期間中に缶詰や肥料の話は聞いたことがなかったと指摘した。食料品の減税は党首討論の主要テーマだったのに、細部は後から知らされた。先に分かっていれば、給付か、消費税の一律引き下げか、食品だけ1%かを議論できたし、高市も別の選択肢を出したかもしれない。2週間の選挙期間では足りないので、せめて主要政策は事前に議論したい、と高橋は述べた。
山際は、選択肢を示したうえで選挙をするのは当然ありだと応じた。同時に、コロナ対策担当大臣だったときの経験を紹介した。各家庭に10万円を給付した際、その後の使われ方を追跡すると、8割方が預貯金に回っていたという。消費税減税なら毎日の買い物のたびに少しずつ効果が出るので、少なくともタンス預金になることはない。山際は、首相もそうした点を考えたのではないかという見方を示した。
選挙で政策をどこまで細かく伝えるかについては、山際は「聞かれれば答える」と述べた。有権者にはそれぞれの生活があり、生活の土台を専門家である政治家に任せるのが選挙だ。だから背景まで全部理解してもらうのは難しく、本質を分かりやすく丁寧に説明できるかが問われているという。税調はプロの場なので、こうした議論を「侃々諤々やっている」とも語った。
マイナンバー口座への直接給付という工夫
1%分の給付を早くする工夫として、山際は申請主義の見直しを挙げた。国から給付を受けるときは、国民が自ら申請する「申請主義」が広く採られている。この場合、市町村の担当者がまず「このお金は必要か」と意思を確認する文書を送り、返事を集計し、さらに振込先の口座を尋ねるという手順を踏むので、非常に時間がかかる。
今回は、マイナンバーに紐づいた公金受取口座を登録している人には、意思確認を省いて国から直接お金を振り込む仕組みにした。銀行や郵便局の口座を登録しておけば、来年4月以降、対象者には速やかに自動で入金されるという。山際は、ここで挙げたのは2つだけで、実際にはこうした工夫を細かく詰めたと述べた。給付の部分は、田村憲久が会長を務める社会保障制度調査会で検討し、税の部分は税調が担った。
スタートアップ5カ年計画は「完全に落第」
話題は、岸田政権で山際が初代担当大臣として関わったスタートアップ育成5か年計画に移った。2027年までにスタートアップへの投資額を年10兆円規模にすることを目標に掲げていた。高橋は、京都のIVSでも「5年経ってうまくいっていないのでは」と話題になっていたと切り出した。
山際は「正直申し上げて大変忸怩たる思い」と答え、うまくいっていないと認めた。計画当時、年間投資額は1兆円に満たなかったが、現在も1兆円に届いていないという。もう一つの指標である、時価総額で今なら1600億円程度のユニコーンを100社つくるという目標も「全く届かない」と述べた。ただし、スタートアップへの熱が冷めたわけではないので計画を作った意義はあったとも語った。計画どおりに進んでいるかといえば「完全に落第」であり、進まない原因が見えてきたので、新たな5カ年計画のようなものを速やかに作って対策を打つべきだと述べた。
原因は「数百億円」を出せない保守性
高橋が原因をはっきり言ってほしいと求めると、山際は「日本社会の保守性」が最大の原因だと答えた。スタートアップは、アイデア段階なら数百万〜数千万円で起業できる。しかしスケールさせるには、億、10億、100億単位の投資が必要になる。日本でも数十億円規模までなら投資する側に経験があり、資金を集められる企業も増えてきた。ところが数百億円規模になると、日本の金融機関などの出し手にはなかなか出せない。アメリカでは当たり前に起きることなので、ここで桁の差が生まれていると山際は説明した。
解決策として山際が挙げた案は二つある。一つは、政府が主導して数百億円規模の案件をいくつか示し、民間が融資や投資で抱き合わせる枠組みだ。もう一つは、数百億円を入れた経験が豊富なアメリカのVCを日本に呼び、プレイヤーとして出資してもらうことだ。その場合はアメリカで上場するといった条件が付くが、半分が日本企業、半分がアメリカ企業でもよく、経済のパイが広がることが大事だという。これらを現行計画の中で実施するか、計画を改定して盛り込むかを議論している段階だと述べた。
高橋の反論:政府の目利きと、投資に値する企業の有無
高橋は二つの疑問をぶつけた。一つは、Spiberの例を見ても政府の目利きは怪しく、政府が入るとかえって民間が引いてしまうのではないかという点だ。もう一つは、そもそも数百億円を調達するに値するスタートアップが出てきていないのではないかという点で、儲かると思えば民間は出すはずだと述べた。
山際は後者に対し、「出てきていると思う」と答えた。数億、数百億の投資を受ければ一気に伸びる企業は指折りいくつもあるという。社名は伏せたが、AI、半導体、ロボティクスの分野、特にロボットのスタートアップに「これはいける」と感じる企業があると述べた。山際は政治家になる前に起業しており、その経験から見極めているつもりだとも語った。
こうした企業は国内の出し手を回っても全部断られ、シリコンバレーなど西海岸のVCに話を持っていかざるを得ない。すると米国上場が条件になる。もともと会社の規模が小さいので、数百億円が入ればマジョリティはVCが握る。日本で種を育てたのに一番おいしいところをアメリカに持っていかれることを、「純粋な国士」のような考えの起業家たちは嫌がるという。山際は、応援しなければならないと思っているが、まだ仕組みができていないのは事実だと認めた。経済産業省の政策を中心に、大型投資への減税や補助金を組み合わせれば支援は十分できるとの見方も示した。
ユニコーンの定義を広げる提案
ユニコーンが育たなかった理由について、山際は、資金不足とほぼ同じ問題だとした。そのうえで、日本のスタートアップは早い段階でIPOを選ぶケースが多かったことも挙げた。アメリカではSpaceXのように上場せずに資金を集め続けて巨大になることが普通に起きるが、日本はそうした生態系になっておらず、「もったいなかった」と述べた。
上場後に順調に育ち、企業価値が1600億円を超えている企業は日本にもいくつもあるという。山際は、ユニコーンを未上場企業に限ると日本企業の多くが外れてしまうので、上場後5年や10年といった期間内に1600億円を超えた企業もユニコーンと認定してよいのではないかと提案した。認定によって注目が集まり、株式投資の資金が流れ込めば、日本経済のパイを増やすことになるという考えだ。
高市政権では17の重点投資分野を定め、それに横串を刺す8つほどの分野横断テーマの一つにスタートアップが入っている。各分野でスタートアップになりそうな企業はすべてこの枠に引っかかる、というのが山際の説明である。
半導体は「経済のコメ」:日の丸半導体はなぜ負けたのか
半導体議連の会長でもある山際に、高橋は日の丸半導体の復活に何が必要かを尋ねた。山際は、「復活したい」というより「復活させないと21世紀の日本は世界で生き残れない」という感覚だと答え、自らを「背水の陣」と表現した。
この問題意識は、師匠と呼ぶ甘利明との議論から生まれたという。デジタルの世界では半導体が「経済のコメ」であり、コメを買う側にいるか、生産して売る側にいるかで全く違う。放っておけば買う側になってしまう。10年近く前のこの議論で、「乗るか反るかではなく乗るしかない」と考え、半導体戦略を練り直して経済の武器にしようと動き出した。2019〜20年頃には、日の丸半導体で失敗したのに反省もなく同じことをするのか、と党内外から相当批判されたという。
山際は、かつての失敗の理由を二つ挙げた。第一に、アメリカが敵に回ったことだ。山際によれば、アメリカから叩かれ、日本の技術を韓国に「ただで移植しろ」と言われた結果、韓国と台湾が伸び、日本は沈んだ。第二に、投資の問題だ。半導体は装置産業で、兆円単位の投資が要る。諸外国は政府がセットで投資したのに、日本だけは「民間でできることは民間で」として、競い合う各社に任せた。1社で賄える額ではないので「勝てるわけがない」と山際は述べた。
Rapidus:日米連携と、撤退しない覚悟
その反省を踏まえた象徴がRapidusだと山際は言う。北海道で世界最先端のチップを作る会社で、設計はIBMが担う。最初から日米で組んでいるのでアメリカは敵に回らない。山際は、嫌がらせを避けるためというより、互いに利益を得られるよう最も親和性の高い日米で組んだのだと説明した。
もう一つの違いが国の支援で、すでに約2兆4000億円を投じている。山際は「成功するまで絶対にこれはやめない」と言い切り、中途半端にやめないしつこさが前回とは違うと強調した。こうした事業には政治生命をかける必要があり、失敗すれば自分は政治家を辞めることになると思う、とも述べた。甘利からは「自分はそろそろ引退するからいいが、君らはこれからの世代だ。ポシャったら政治生命を絶たれるぞ、それでもやるか」と問われたという。誰かがやらなければならないので自分たちのチームでやろうと始めたのだと、山際は振り返った。
需要の不安は消えた:ChatGPT以後の「ゲームチェンジ」
高橋は、Rapidusを訪ねた際の印象を伝えた。作るのは必ずしも最先端品ではなく、早く作れることを売りにしているように感じたこと、まだ製造途中なので顧客が本当に付くのか分からないことだ。山際は、5年前は顧客をどこで捕まえるかが課題だったと認めた。最初の顧客はIBMになるが、その先をどう売るかに不安があった。しかし今は全く心配していないという。
山際の説明はこうだ。最先端品でなければ性能が出ず、最先端のチップを作れるのはTSMCとRapidusだけになる(Rapidusはまだ量産前で、作れるようになることを目指している段階)。韓国勢にも作れるところは多少あるが、AIデータセンターの需要がこれだけ高まると、2社がフル回転しても足りない。プロジェクトは2022年11月のChatGPT登場より前から進んでいた。高橋が「先見の明があった」と言うと、山際は、半導体でさまざまなものが進化することは見越していたが、生成AIがあのタイミングで出てくることは誰にも分からなかったと否定した。そのうえで、それによってゲームが完全にチェンジしたと述べた。
技術ロードマップについて、山際はシリコン半導体の進化はまだ続くと語った。Rapidusは2ナノの次の1.4ナノの開発にすでに取り組み、IBMはさらに先の0.7ナノまで手がけているという。平置きだった構造が3Dに積み重なることで、性能はさらに上がるとも述べた。光電融合ではNTTが力を入れ、チップ間の信号を電気から光に変える段階に来ている。今後はチップ内部の光化、さらに光半導体へと進む。その先の量子の分野は勝負が全くついていないが、光電融合は実装が始まっているので、NTTが負けないよう応援しなければならないと語った。
アメリカでの生産については、今のところ予定はないと述べた。Rapidusは千歳での量産に精一杯で、来年の今頃までに量産にこぎつけようと必死だという。現時点では「奇跡的にオンスケジュール」で、成功すれば見方が大きく変わり、資金も集まって、次のステップとしてアメリカ展開も考えるかもしれないと話した。
経済規模の見積もりと北海道バレー
経済規模を問われると、山際は「少なく見積もっても兆円オーダーのさらに上」と答えた。具体的な数字は今は言えないとして、NVIDIAを例に挙げた。NVIDIAはTSMC製の最新チップをGPUユニットに組み上げて販売しており、今年受けている注文は売上だけで150兆円と日本の国家予算を超え、粗利は8割とも言われると話した。TSMCも粗利5〜6割の会社で、Rapidusも同様になると山際は見る。覇権を握れば利益が非常に大きいのが半導体の世界だというのが山際の説明だ。成功すれば日本企業としてトヨタ級になり、景気も「ものすごく良くなると思う」と述べた。
山際は北海道の将来にも触れた。Rapidusを中心に、苫小牧から石狩にかけての一帯を「北海道バレー」とする構想があり、関連産業の集積が始まっているという。地球温暖化で住みやすくなり、観光や食もあるので、北海道は日本で最も伸びしろがある地域だと述べた。千歳は数年前とは全く違う街になっているとも語ったが、土地を買うべきかと問われると、良し悪しへの言及は避けた。
経済安全保障とサプライチェーン
経済安全保障上の留意点については、「ものすごくある」と山際は答えた。素材からチップ製造、チップレット化、データセンターのラックに入るまでのサプライチェーンは非常に長く、その一つひとつが経済的威圧を受けないようにするのは大変だという。現在は、多少コストが上がってもリスクのある国からの調達をやめ、価値観を共有する「ライクマインデッド・カントリーズ」から調達できるよう進めている。高市政権の17重点分野それぞれに、期限を区切って「自立性」(立つほうの「自立」)を確保する目標を盛り込んでいる。ただし、これはすべてを国内で賄うという意味ではないという。全部を自国だけでやるのは無理なので、安定的に調達できる状況を作ることが目的だと説明した。
失敗したら誰が責任を取るのか
高橋が「失敗したら山際さんが辞めるのか」と迫ると、山際は、自分一人が責任を取っても国民の損失はなくならないと答えた。来年秋に間に合わなくても冬にできればリカバーできるので、できなくなるわけではないと思う、とも述べた。一方で、半導体は時間勝負だと強調した。高橋が「2カ月遅れならいいが、また失敗すれば第3次の失敗になる」と問うと、山際は「今はまだ大丈夫と言える状況ではない」と認めた。政治にできることは、現場が雑音なく開発に集中できるよう環境を整えることくらいだという。
開発を担っているのは日本人の技術者で、山際はこれを「侍」と表現した。40〜50代の、半導体戦争に負けて悔しい思いをした人たちが「夢をもう一度」と集まり、若い世代も加わって人材育成も進んでいるという。
AI戦略:汎用モデルではなく現場のAIで勝つ
最後に高橋は、OpenAIなどアメリカ勢が強いなかで、日本政府は国家としてどこまでAIに関与すべきかと尋ねた。安全保障上のリスクを考えると対抗手段を持たないのは怖い、という問題意識からの質問である。
山際は戦略はいくつかあるとしたうえで、ロボットをゼロから作れる国は「大胆に言うと中国と日本しかない」と述べ、日本には物づくりの技術が現場に残っていると強調した。すべてを統合した汎用の基盤モデルでは勝負にならなくても、特定の工場に合ったAIなら作れる。その分野は勝てるとして各社がすでに取り組み始めているという。有望な分野を問われると、自動車は間違いなく、ロボットの世界でも負けないと答えた。高橋が「どこの株を買っておけばいいか」と冗談交じりに尋ねたところで、字幕は途切れている。
山際さん、半導体議連の会長やられてるじゃないですか。日の丸半導体をもう1回復興したいと。そのために今何をしたらいいですか?
今回の日の丸半導体の象徴にされてるのは、ラピダスっていう会社が北海道にありますね。ラピダスは世界最先端のチップを作るんですけど、国の支援もすでに2兆4000億ぐらい突っ込んでますけど、成功するまで絶対にこれやめませんから。
絶対やめないんですか?
ええ、これをやろうとするとですね、政治家は政治生命をかけないとできないです。これがおじゃんになったら、多分、山際はこうなります。政治家を首になる。それぐらいの覚悟を持ってやることだけども、半導体なかったら日本は沈むなと。なぜかと言えば、デジタルの世界では半導体が言ってみれば経済の米なわけですね。もう1回半導体戦略を練り直して、半導体を我が国の武器にして使うと。
どれくらいの経済規模のものなんですか?
兆円オーダーのさらに上ですよね。1つの例として、NVIDIAは最新のチップを組み上げてGPUユニットにして売るわけですね。売上だけで150兆円です。日本の国家予算超えてますからね。粗利が8割とか言ってますから。
恐ろしい。粗利が8割ってね。
でも半導体の世界っていうのはそういうオーダーの世界です。
だから覇権を握っちゃえば粗利がめちゃでかいと。
そういうことですね。
来年決まるんですよね。
来年の今頃には量産化ができるように。
山際さんは税制調査会小委員長。
はい。今の党の中の役職は、税のまとめ役をやっております。飲食料品は8%です。これを1%に来年の4月1日から下げるという法律案になってます。
現状、1%、来年4月から下げると。税の専門家さんたちは何ておっしゃってるんですか?
税はいじると、本当にいろんなとこに跳ねるわけですね。複雑です。
どんくらい複雑なんですか?
一番分かりやすいのは、お米を作ってらっしゃる農家の方だと、仕入れに対しても消費税がかかってるわけですね。資材やエネルギーが10%かかるわけですね。
お米屋さんがお米を卸に売る時は1%なんですか? 10%?
1%になる。
1%ね。だから初めとかちょっときついんですよ。
そうなんです。なんで今回は……。
5秒前、4、3、2、1。
なぜ政治家やってるんですか? 拍手。
政治家って特殊な職業ですので、この番組は政治家さんになられた方に、なぜなったのかなと。楽しそうではありますけれどもリスクも大きいし、山際さんも相当叩かれたと思いますけど。
そうですね。
叩かれる職業でもあるじゃないですか。そういう職業になぜあえて踏み込んでいくのか、その辺りを聞いていくという番組でございます。ReHacQは見たことありますか?
何度か。青山繁晴さんだとかね、高市さんだとか、石破さんだとか、小泉さんのも少し見ましたけど、面白いですね。
当選何期ですか? 8回ですか?
はい。割に重鎮ですね。
割に重鎮、かなり。見た目が若いから。
そうですね。
重鎮ですね。昔6回で大臣って言われたんですもんね。
はい。だからいつの間にか重鎮になっちゃいましたね。
昔って当選8回とかで、もう外務大臣とか経産大臣やって、総理10回目でって感じでしたけど、今ちょっと上が詰まりすぎなんですかね。
上が詰まってるって感覚はないんです。どんどん先輩方、引退されてってますから、結構上の方薄くなってきたって感覚があって、気づいてみると本会議場の席でも、俺って随分後ろの方座ってるじゃん、みたいになってんですよ。
ですから、そういう意味で言うと、上が詰まってるって感覚ではないんです。ないんですけれど、確かに選挙は割に頻繁にここのところ行われましたよね。
だからそれもあって、2012年以降結構選挙やりましたからね。
それで1回分か2回分ぐらい、ちょっと今までよりは先に進んでる感じはしますね。
そうか。期を重ねやすくなった。ありがとうございます。じゃあ簡単にですね、山際さん初登場ですので、自己紹介を大学卒業ぐらいからお聞きできたら。
自己紹介。そこを見る。分かりました。山際大志郎と申します。以後よろしくお願いいたします。
これから始めるんですか?
私は山口大学の農学部獣医学科に行きまして、獣医師の免許を取って、その後東京大学でクジラの研究で博士号を取って、動物病院を経営して、その後政治家になりました。
政治家になってから一貫して経済の分野で汗をかいてきた政治家で、いろいろな役職もやってまいりましたけど、一番メインどころだと、やはり経済再生担当大臣をやって、初代のスタートアップ担当大臣をやったっていうことでしょうか。
今というかずっとなんですけど、やってることは、その経済の分野において、AI、半導体、ロボティクス、私のライフワークであるエネルギー、あるいはコンテンツの問題、あるいは獣医師であるってことのバックグラウンドもあるので、バイオの関係なんていうのもやってます。
そういうことをやってる政治家で、今々の党の中の役職は、税のまとめ役をやっております。これ入ってくる方ですね。出てく方では、財政のバランスをどう取るかっていうところの財政改革検討本部長っていうのも実はやってまして、入ってくる方も出てく方も、私は政策の責任者で今やらせていただいております。
めっちゃ重要じゃないですか? 税と財政やってらっしゃるんですもん。
そうなんですよ。
あら。税制調査会小委員長。
はい。これね、よく言われるんです。「小」がついてるから、ちっちゃい委員会の委員長なのって言われるんですけど、税制調査会の会長は、ある意味、今までだったら公明党、今だったら維新の会と、与党調整もやらなくちゃいけないですね。ですから対外的なことも含めて全部を取り仕切るのが、その税制調査会長、小野寺さんがやってらっしゃいます。
党内の議論を全部まとめるのが、小委員長という私の役割で、言ってみれば党のまとめ役は私がやってまして。
めっちゃ大事な役じゃないですか。
そうですね。みんなあんまり認識してくれないんですけど、小委員長だろうと、ちっちゃい委員長だよね、みたいな話。違うんです。
党のまとめは小委員長がいるんですね。
そうなんです。当たり前なんですけど、党の中にものすごいいろんな意見があるので、党の中をまとめるのが一番大変なんですね。だからある意味、技が必要なポジションなんで、そういう意味で言うとぴったりなのかもしんないですね。
力技得意なんですか?
さっきの話ですから、8回も当選してますとね、だんだん経験を積んで、いろんな修羅場もくぐり抜けてきてるもんですから、大概のことじゃビビりませんし、大体のことは解決策も何とか瞬時に頭に浮かびますんでね。そういうのも含めて、最後まとめるっていう役職なのかなと思ってますけどね。
面白いです。スタートアップもエネルギーもあるし、税調、財政もあるんですよ。いろいろ政策の話もぜひ深く聞いていきたいんですけど、じゃあまず税調の話、今出たんで、税調のお話から聞いていくと、今、高市さん、「責任ある積極財政」ってお話で、かなり減税志向が強いと。
僕、ニュースでぼーっと見てる感じだと、税調の中の反対してる人とかやめちゃったりとか、宮沢さんとかやめちゃったりして、なかなか一筋縄でまとまらなそうだな、大変そうだなと思いながら見てるんですけど、今、税調の中で「責任ある積極財政」、高市さんの減税の方針について、税調の中で空気どうなんですか?
今年の2月に総選挙ありましたよね。そこで、いわゆる高市チルドレンって言うんですか、高市さんの下で初当選されたフレッシュな議員の皆さんが、ぶわっと自民党に入ってまいりました。
ですから、党の平場って言うんですけど、小委員会の全議員が集まって議論をする場っていうのがあるんですけど、そこにおいては、やはり高市さんの下で当選をしてきた方々は、この責任ある積極財政に基づく税のあり方というものに対しては、かなり前向きなご意見を持ってる方が多いですね。
一方で、税っていうのはやっぱり責任をずっと持ち続けなきゃいけないものであり、しかも国民一人一人全員にかかるものじゃないですか。ですから、そういう税のロジックからすると、どこまでだったら許されて、どこ以上は許されないというようなことを、税のプロフェッショナルとしてこれまでずっと議論してきた仲間の中に、この辺までじゃないかということをおっしゃる方はいらっしゃいます。
もうちょっと低めにした方がいいんじゃないかと。
そうですね。例えば消費税の問題等々、1つ取りましても、それを本当に減税するのには、かなりいろいろなことをやらなくちゃいけないと。それはもう少し慎重にあるべきじゃないかというような、言ってみれば税の理論からするとごく真っ当な話なんですけども、そういうことをちゃんとプロフェッショナルの立場として言うような方もいらっしゃいます。完全にネガティブだなんてことはないですね。
山際さんのお考えはどうですか?
私は、この消費税は当然やるべきだっていう立場なんですけれど、その税の理論としてどうかっていうことよりも、今回は高市さんがそれを掲げて、言ってみれば選挙を戦ったわけですよね。国民との約束を守らなくてはいけないという文脈で言えば、もうそれは党の中で議論するのではなくて、選挙はそれで終わったんだから、そこで終わったものだと僕は感じてます。
となると、今度その消費税を減税するにあたって、最大限にそれが効果のあるものにするにはどうすればいいか、どういう制度にするべきか。これこそが税のプロフェッショナルたちが議論をして決めていくべきものだっていう思いがあって、今回もだいぶそういう意味でも前向きな議論がありました。それをまとめ上げて、今、減税案という形で、次の通常、次の臨時国会に諮られることになります。
今、食料品の減税が何%?
0、0点じゃねえや。食料品は8%です。飲食料品は8%です。これを1%に来年の4月1日から下げるという法律案になってます。
これはちょっとテクニカルな話ですけど、レジのシステムを改修する時に、税率を0%っていうのを入れた瞬間にですね。
変えなきゃいけない。
0は掛けるとみんな0になっちゃうんですよ。なんですごく扱いづらい数字なんだという説明がありました。確かに言われる意味はそうだよなと。ですから、そういう意味で、1だったら半年で改修が全部終わるんだけど、0のシステムで不具合が生じないようにって、テストまで全部入れると、やっぱり1年かかるって話だったんですね。
それを総理はお聞きになって、とにかく1日でも早く減税っていうのはやった方がいいから、なら1%までしか下げられないなら、まずは1%まで下げて、残りの1%分、大体6000億ぐらいって言われてますけど、これは支給するような形で作れないかってことで、なってるんですよね。
現状1%、来年4月から下げると。税の専門家さんたちは何ておっしゃるか、どこら辺までだったら、その塩梅の話があったじゃないですか。税の理屈からするとっていうのはどういうことなんですか? 税の理屈からすると、もうちょっと塩梅が弱い方がいいんじゃないか。
税はいじると、本当にいろんなところに跳ねるわけですね。言ってみれば、飲食料品に関わってらっしゃる生産者から、間に入ってる業者の方々から、最終消費者に至るまで。しかも、食品を農家の方々が畑で作って納めるっていうだけじゃなくて、それを加工して云々って、いろんなプロセスを経ると、その間に全部税がかかってくるわけです。
こういうのを、ものすごく複雑な形態で。何のためにこれやるんですか? 言ったら物価高対策です。ということであるならば、物価高対策をやるんならば、消費税をいじくるよりも支給をする方が確実に早くできるから、そっちの方がいいのではないかと。こういうことをおっしゃる方々がいるわけでして、それは理屈としてあると思うんですよ。
ですけど、じゃあ消費税を絶対いじっちゃいけないかっていったら、そんなことは私はないと思うので、それを政治決断でされた以上は、それをやるべきだっていう立場に立ってて、さっき説明してましたけど、これはこれで、やってみると複雑です。
どんぐらい複雑なんですか?
要は生産者、本当に生産者の現場から消費者に至るまでに、ものすごいプロセスがあるじゃないですか。しかもそれは一様ではないわけです。一番分かりやすいのは、お米を作ってらっしゃる農家の方だと、お米を作るところで仕入れるものがいっぱいありますよね。その仕入れに対しても消費税がかかってるわけですね。その消費税が10%なのか、それともこれから0になるのかみたいな、そういうことから始まってですね。
いや、それ10%のままなわけですね。その資材やエネルギーは10%かかるわけですね。
肥料とかですよね。
そういうのはかかるわけですね。お米はお米で育ちましたと。それが例えば今度は農協さんなり卸の方にお米が行って、それがスーパーマーケットならスーパーマーケット、お米屋さんならお米屋さんに並んで、それで消費者が買うって話になるところで、1段、2段入りますよね。
そうすると、そこの消費税の計算っていうのが、当然入ってくる方に消費税を納めて、出す時に消費税をいただいてっていうことをやるわけですよね。お米ですらそれだけですよね。これは加工品だったらどうなるのと。
いや、めちゃくちゃ長いですね。
マヨネーズ1本取ったって原材料いっぱいありますよね。
そのお米屋さん、肥料は10%で買うじゃないですか。お米屋さんがお米を卸に売る時は1%なんですか? 10%なんですか?
1%になる。
1%ですね。卸がマーケットに売る時、スーパーに売る時も1%。だから初めとかちょっときついんですね。
そうなんです。なんで今回は、今回の税の話とは別に、農家の方々に対して、そこのある意味10%分の税を納めなきゃいけないことになってますから、そこの部分を足すような支給、お金を支給するっていう、そういう制度にしようっていうことも合わせてやってあるわけです。
農家だとそれですけど、じゃあ加工品、おっしゃった缶詰でいくと、確かにマグロは燃料は10%払ってましたと。だからマグロを売る人は、マグロ業者が大洋水産に売って、大洋水産、あれです、1%で売るわけです。
1%で売るんですよね。でも大洋水産、缶詰作る時、缶は10%で買ってますね。缶の部分が3割なのか何割なのかで、これ10で、マグロは1で仕入れてる。超複雑じゃないですか。
そうなんです。
やらない方がいいんじゃないですか。いや、やってほしいけど。
という意見がやっぱり出るわけです。出るんです。ですから、それはそれで税の理論としては確かに複雑だし、やるのは大変だよねっていうのは分かってるんですよ。分かってるけれど、だけどもそれをやっちゃいけないってことではないと思うんですよ。これは政治決断ですから。
本当、1とかの方がいいんですか? じゃあ、高市さんやりたいって言ってるもんな。
それ、選挙でとにかく国民に対して約束したわけですから、約束したことを守らなかったら、これは政治はもう信頼されなくなりますから、次の重要な政策を先に進めようって、もう誰も聞いてくれなくなりますよ。
それはもちろん、もう所与のものとして、選挙が終わったんだからやるんだってことで、選挙に当選してきたんだからやるんだというので、僕はそれでいいと思うんです、その整理で。
俺、やっぱり今、山際さんのお話聞いて思ったのは、選挙が短いんじゃないですか? 選挙期間中に、その缶詰の話まで聞いたことなかったですもん。こんだけニュースで党首討論やってたけど、食料品の減税って結構メインのトピックだと思うんですよ。後から言われても先に言ってくれと思うんですね。
だったら消費税がいいんじゃないかとかって議論できるじゃないですか。それが分かる時間があるんだったら、高市さんも違う選択肢出したかもしれないじゃないですか。選挙の時言ってくれって話じゃないですか? 高市さんも分かりやすく言いたいから、言う時間ないですよ、2週間は。
だけど先に議論して、給付がいいのか、消費税9とか8がいいのか、食品だけ1がいいのか。全部の政策に関しては難しいけど、メインに関してぐらいは議論したいですね。
そういう選択肢を有権者に示した上で選挙っていうのも、僕は当然ありだと思います。一方で、実は僕はコロナ対策担当大臣っていうのもやってたんですね。コロナ対策をやる時に、現金の支給っていうのを随分やりました。各家庭に10万円ずつ支給するとかってやったじゃないですか。
その後、支給された10万円がどうなってるかっていうのを、もう追っかけるわけですね。そうすると8割方、それ預貯金でたまってしまうんですね。だけど消費税が減税された時は、毎日買い物に行った時に少しずつその減税の効果っていうのが現れるので、少なくとも家庭のタンス預金になるってことはないんです。
なるほど、なるほど。
そういうことも総理はお考えになったのかなって感じはしますけどね。
しますね。高市さんは高市さんの考えがあったんでしょうね。なんかね、選挙の時もうちょっと知りたかったんですよ。缶のこととかね、肥料のこととか。そう、じゃあ次の選挙で。難しいですよね。そこまで、選挙どうですか? やられてて、8回勝ってますけど、そんな細かく伝えないですよね、政策。
聞かれれば答えます。当然ですけれど、多くの方々、有権者はそれぞれに自分たちの生活があるわけですね。だから政治の専門家である政治家に、自分たちの生活の土台の部分を任せようっていうことで選挙があるわけじゃないですか。ですから専門家でないのは当たり前のことなんで、その方々に専門的なことを話して、本当にそのバックグラウンドまで含めて全部ご理解いただくっていうのは、なかなか難しいと思いますね。
難しい。信用してもらうしかないのか。
それもそうですし、いかに本質の部分を分かりやすく丁寧に説明するかっていうことが問われてるんだと思いますね。
なるほど。そうか。税調ではそういう議論をしたわけですね。
税調はプロの場なので、今みたいなことはもう喧々諤々やってますよ。
もう1個、さっきの税調の話で気になったのは、専門家はそういう議論があると。山際さんは、やることは所与だと。やるんだったらより効果的にっていうところでした。それはどうしたらいいと思いますか?
ですからいろいろな工夫を今回もしました。8から1にするというのも工夫の1つです。8から0にしなかったわけですね。8から1にしたっていうのは、時間を早くやるっていうことで、そういう工夫をしました。これも政策効果が少しでも早く現れるようにっていうことの工夫ですね。
その1%分に関して、これを支給するというのも、なるべく早く支給できるようにっていう工夫をいくつか入れてあります。例えばですけれど、マイナンバーに付属して、その支給を受けられる口座というものをもう届け出てある場合には、それは即にそこに国からダイレクトにお金が支給されるような仕組みに今回しました。
これは全体にかかるルールなんですけれど、我々国民が国から何か、支給なら支給という利益を得ようとする時には、申請主義と言って、国民である私たちの方から、そのお金ちょうだいねっていうふうに申請をしたものに対して、国がお金を支給するっていう制度になってるんですよ。もう広くあまねくそうなってるんですね。
これをやると、市町村の担当の方が、まず、じゃあ高橋さん、あなたはこのお金必要ですかっていうことをお伺いを立てる文書を出します。もちろん欲しいですよって言って返ってきます。この確認動作が必要になってるんですね。
その確認動作を集計して、じゃあ必要だっていうんだったら、どこの口座に入れたらいいんですかっていうことをもう1回、それをもう1回返してもらってって、ものすごく時間かかるんですよ。
それが、もうマイナンバーに付属した口座を登録してある場合には、その部分は取っ払って、直接その意思確認をしないで国からお金が入るっていう仕組みにしました、みたいなこと。そうすると、マイナンバーに付した銀行あるいは郵便局なり、そういうものを登録さえしておいてもらえれば、来年の4月以降、速やかに、その支給される方々には支給されるお金が自動的に入るということになるんですね。これも1つ工夫ですよね。
確かに。
だからそういうこと、今たった2つしか言いませんでしたけど、もうずらっとそれを細かく詰めて、こういうこと。
これ税調がやってるんですか、それ?
税調でやります。今回は税調だけではなくて、支給の方は社会保障制度調査会っていうのがありまして、田村憲久さんが会長やってらっしゃるんですけど、ここで揉んでもらって、支給の方はですね。税の方は我々の方ですね。
なるほど。ありがとうございます。税調でのお話聞きましたけども、じゃあ次聞いていきますと、やっぱり山際さんといえば初代スタートアップ担当、岸田さんの時ですよね。岸田さんの時、スタートアップ10年、5年計画か、っていうのをやって、10兆円規模の。
10兆円、お金がスタートアップに毎年入るような、そういうあるべき姿に持っていこうってことを5か年計画で入れたんですね。
そうですよね。スタートアップ5年計画、2027年までで、10兆円規模の投資額の話ですけど、今もうすぐ5年たとうとしてますけど、いろいろ課題もあると思うんですけど、初代大臣として今の進捗どう見てますか?
これは正直申し上げて、大変忸怩たる思いがありまして。
IVSって京都のあれでもかなり問題になってました。やっぱり5年計画、うまくいってないんじゃないかっていう。
はい。おっしゃる通りです。もちろんスタートアップは、これから先もどんどん応援して増やしていかなきゃいけないと思ってるんですけれど、いくつか指標を作った中の1つが、投資額が10兆円になるようにしようって話だったんですけど、それ以外にもユニコーンと言われる、時価総額が今だったら1600億円程度になるんでしょうか、時価総額を持っている会社を100社作るというようなことも掲げてまして、これも全く届きません。
とは言っても、じゃあスタートアップの熱が冷めてるのかっていうと、そういうことでもないんですね。ですから、やった意義は、5か年計画を作った意義はあると思いますけれど、その5か年計画の通りに進んでるかっていうと完全に落第なので、これはさらなる5か年計画のようなものを速やかに作って、それで何でそれが進まないんだっていうことが見えてきてるので、そこの部分に対しての政策を打つべきだと思ってます。
これやっぱり何事も新しい政策を打つのは難しいと思うので、やることはいいことじゃないですか。ただ、もしこういう見立てだと、原因検証して次よりよくした方がいいじゃないですか。これ聞いてみたいですね。まずそのユニコーン企業、1600億企業を100社は今どれくらいなのかと、あと10兆円投資はどんくらい進んでるんでしたっけ?
10兆円投資の方は、まだ1兆円にも満たないんですね。毎年10兆円のお金は。
大臣、いや、毎年、すいません。大臣、ちょっとどうなってるんですか? どっちか、じゃあ10兆円の方行きましょうか?
10兆円。元々の計画で言うと、毎年スタートアップと言われているベンチャー企業に対して、10兆円のお金が投資されるというような姿を思い描いてたわけです。今は、その5か年計画を作った当時も1兆円に満たないお金しか集まらなかったんですけど、今現在も1兆円に満たない額しか集まらないんです。
なるほど。
これはもう最大の問題だと思います。
これどういうことが原因で、どう改善していくべきか、初代としてバキッと言ってもらわないと。
バキッと言いますとね、日本の社会の保守性みたいなものが最大の原因でして。当然スタートアップって言われるのは、ベンチャーの中で急成長をするポテンシャルを持っている企業のことをスタートアップというふうに呼びますね。急成長するわけですから、当然必要なお金の額もどんどん増えていくわけです。
一番最初にアイデアから入る時は、数百万、数千万で起業できるわけですね。しかしそれがだんだんその業をスケールして広げていこうとすると、億、10億、100億というふうに投資を受けなければスケールできないじゃないですか。数十億の規模では、日本のスタートアップ界隈というか、投資する側の方々も経験があるわけですね。数億規模までは集められるスタートアップが増えてきたんです。
数百、数千億って規模での投資を、日本の金融機関をはじめ、そういうお金の出し手の方がやれるかっていうと、なかなかできないんです。
数百億、ベンチャーに投資は難しいでしょうね。
でしょ? だけどアメリカでは当たり前にそれが起きるわけですね。ですから、そこに差があるわけです。そこが課題だっていうのは分かってるんです。だから、いくつか政府が主導して案件を示して、それにセットで抱き合わせで、民間の皆さんも融資をするなり投資をするなりっていうような枠組みができないかとかですね。
あるいは海外の、特にアメリカのスタートアップに出すベンチャーキャピタルみたいな出し手の方は、もうすでに数百億のお金をどんと入れるってことの経験がいっぱいありますから、だったら日本のVCではなくてアメリカのVCを日本に連れてきて、その方々をプレイヤーにして出してもらうっていうのもありじゃないかと。
当然これは日本のスタートアップですけど、上場はアメリカで上場しろとかっていう、そういうものがついてきますよ。でもそれでも、半分は日本の企業、半分はアメリカの企業でもいいじゃないか。とにかく経済のパイが広がることが大事なんだから、それをやろうじゃないかっていうアイデアだとか、解決策も含めていくつか見えてきてるんです。
これ次やらなきゃいけないねと。これ今の5か年計画の中でやるのか、リバイスして次の計画を立てる時にこれをインするのかっていうのを議論してるところです。
2つ山際さんにお聞きしたいですよね。うまくいかなくて原因そこにあると。2点あって、1点は、政府と一緒に民間がお金を出すって言っても、やっぱりスパイバーとか見てると、政府の目利きも怪しいから、政府が入ると目利き怪しくなって、逆に逆効果なんじゃないか。むしろそのスキームうまくいくのかなっていうのが1つと。
あと、本当に数百億資金調達する価値のあるスタートアップが出てきてないんじゃないかな。出てきてたら民間でやっぱり投資すると思うんですよね。根本的に投資が怖くてできないというよりも、数百億調達する価値のあるサービスが出てきてないんだと思うんですよね。だってやりますよ、民間は儲かると思ったら。ある程度は怖いというよりも。
そうですね。
別にいろんな社でやってもいいわけですし、分散して。出てきてるんですか? その数百億を投資するに値するスタートアップは。
かなり初代スタートアップ大臣としてはひいき目に見てる部分があるので、そこは差っ引いて考えてもらいたいと思うんですけど、出てきてると思います。
出てきてますか?
かなりスタートアップはあります。あとスケールだけだよね。それはもし数億の投資を受けられれば、一気にこれは爆発するなっていうのは、指折りいくつもあります。
例えば何かありますか? パッと。
ここ言わない方がいいからね。社の名前出さないけど、例えばAI、半導体、ロボティクスの世界で、ロボティクスの世界でも、ロボットのスタートアップの企業で何社かそういうのは、これはいけるぞっていうのはありますね、感覚として。僕も政治家やる前は一応起業してましたんで、これいけるとかいけないとかっていうのは、一応見てきたつもりなんですね。
けどやっぱり、じゃあ資金調達が追いつかない。
追いつかないですね。あそこ行った、ここ行った、ここ行ったって聞くと、全部行ったけど全部駄目ですと。だから、そうしたらやっぱりシリコンバレーとかの西海岸の方のVCに話持っていかなきゃいけないと。でもそっちのVCに話を持っていくと、当然だけどもアメリカでの上場になるよと。それは条件でついてきますとね。
もちろん、元々の母体がそんなに大きくないわけですから、そこに数百億のお金がどんと入ってくれば、当然マジョリティはそのVCが持つことになるわけじゃないですか。せっかく日本で種を育ててきたのに、最終的に一番おいしいところは結局アメリカに持っていかれるのを、その起業しているアントレプレナーそのものが、それはやりたくないんですよね。ある意味、純粋な国士みたいな考えの方も結構いらっしゃる。
僕らも何とかしてそれを応援しなきゃいけないと思ってるんですけど、まだなかなかその仕組みができてないなっていうのは事実ありますね。
なるほど。じゃあ、いろいろありますね。政府と一緒に組むとか海外と組むとかあると思うんですけど、税制とか他の政策で、そういう大型の資金調達、投資する仕組みって何かあるんですかね?
もちろん合わせ技ではいくつかあります。多額の投資をする時の減税政策だとかですね。あるいは補助金をプラスしてあげるとかって、税だけじゃなくて税も補助金も含めて合わせ技でいけば、そのお金さえ集まれば助けられる部分っていうのはあるなっていうのは、主に経済産業省がそろえてる政策の中になりますけど、合わせば十分できると思いますね。
それと今の1兆円、1兆円じゃなくて10兆円ですか、行かなかったのと、複数とかもあると思いますけど、ユニコーンが誕生しきらなかった。そこは原因は何だったんですか?
ほぼパラレルですよね。やはりお金、投資が入れば、いきなり時価総額はユニコーンになると思いますね。それとよく言われるのは、これも事実ですけれども、スタートアップと言われるベンチャー企業でも、かなり早い段階でいわゆるIPOですね、株式上場してしまうということを選ぶ、そういう方が今まで多かったっていうのは事実ありますね。
アメリカを例に取ると、ずっと上場しないで金を集めまくって、めちゃくちゃ巨大になって、この間SpaceXがやりましたけど、ああいうことが普通に起きるじゃないですか。日本の場合はああいう生態系ではなくて、早く上場してしまうっていう、これはもったいなかったなと。
その後、上場した後も順調に育てば、企業価値としては1600億を超えるっていう企業価値を持ってるよねっていう社はいくつもあるんですね。だから僕はこれ、言い訳だとは思わないんですけれど、ユニコーンという定義を未上場の会社というふうに縛ってしまうと、日本の企業では相当外れるんですけど、上場した後の数年間まで含めて、それは言ってみればスタートアップであることは間違いがないので。
上場した後、20年とか言いませんよ。5年とか10年とかいうスパンで見て、1600億を超えるような企業に関しては、これユニコーン認定するっていうのがあってもいいんじゃないかと。むしろユニコーン認定することによって、上場してたとしてもその企業が注目をされて、そこにさらなる株式投資という形でお金が集まるなら、それは日本の経済のパイを増やすことになるから、いいんじゃないかと。そういう思いもあります。
今そういった課題に対して、課題があるっていうことは分かった。高市さんはどのような政策で、高市さん率いる自民党はどのような政策を打とうとしてるんでしょう?
私が今話したようなことも含めて、高市さんは今回、17の分野を重点分野と選んで、そこに投資をするっていうことになってますけれども、それと、そこに横を刺すように、8つだったかな、全てにかかる分野っていうものの中にスタートアップっていうのが入ってるんですね。
ですから各分野において、スタートアップになりそうなやつは全部そこに引っかかってくるので、横を入れるものとして、スタートアップに関しての政策を打つっていうのが高市政権のやり方ですね。
そのスタートアップの中でも、いろんなスタートアップのジャンルありますけど、半導体もすごい大事な分野だと思いますと。山際さん、半導体議連の会長やられてるじゃないですか。めちゃくちゃ大事なところじゃないですか? 半導体議連の会長としては、日の丸半導体の復活みたいな。やっぱり半導体、覚えてますよ。昔、日本がトップだったのに。
そうなんですよ。80年代ね。
言ってましたよね、みんなね。気づいたらあれ、みたいな。儲からないから作らないって言ってるうちに、惜しいことしたみたいになっちゃって。もう1回復興したいと。そのために今何をしたらいいですか?
もう1回復興したいっていうことをさらっと言う前にですね、僕らの問題意識は、もう1回復興させないと、21世紀、日本は世界の中で生き残れないという感覚なんです。
じゃあ背水の陣みたいな。
もう完全に背水の陣です。これは僕の先輩でもあり師匠でもある甘利明さんが、この経済政策、私も随分習いましたけども、一緒にやってきて。それで甘利さんと議論する中で、やっぱり半導体、本当になかったら日本は沈むなと。
なぜかと言えば、今までの世界と違って、デジタルの世界にもなってるわけですよね。そのデジタルの世界では、半導体が言ってみれば経済の米なわけですね。米がなけりゃ生きていけないわけですよね。そこを買ってこなきゃいけない側にいるのか、生産して売る側に回るのかってことで。
全然違いますからね。
全然違うじゃないですか。これはもう誰に説明しても分かっていただけることだと思うんですよ。今はもう買ってこなきゃいけない状態になると。これもう10年近く前の議論ですよ。これはもう乗るか反るかじゃなくて、乗るしかないと。
乗るしかないと。
もう1回半導体戦略を練り直して、それで半導体を我が国の武器にして使うと。経済の武器として使うと。こういうことをやろうじゃないかっていうことから始まってるんです。相当最初は批判されました。
ちょっと待ってください。何で批判されるんですか? それ何年代ぐらいの話ですか?
それは2020年とか19年とか、その辺だと思いますよ、多分。
2000年超えてね。
当然ですけど、これ日の丸半導体の失敗があるからです。日の丸半導体で失敗しておいて、またその日の丸半導体みたいなことをやるのかと。あれで失敗したのに何の反省もないじゃないか。できるわけないと、こういうことですよね。この批判は内外問わず、自民党の中からも相当冷たい視点で見られた時期もありました。
僕らちょっと一般人としては分かってないわ。日の丸半導体は何で失敗しちゃったんですか? それ政府主導で失敗しちゃったんでしたっけ?
これはいくつかあると思うんですけど、1つはアメリカが敵に回った。これはすごく大きいと思います。
そっか。アメリカが嫌がらせしてきたんでしたっけ?
ええ、アメリカが叩いてきたんです。我々の持ってる技術を韓国にただで移植しろって言われて、これで韓国が伸びたわけです。台湾が伸びたわけです。日本は沈んだわけです。これが日の丸半導体の時の第1の理由ですね。アメリカが敵に回ったってこと。
2つ目。これは当然、半導体っていうのは装置産業ですから、ものすごい投資が必要なんです。その投資を民間の企業だけでできるかと。結局日本の場合はいろんな半導体メーカーがあったわけですけど、それぞれがこう、頑張ってたわけですね。でもそれぞれの社はもちろん頑張ってたけど、その1社だけで賄えるような額じゃないんです。投資額は兆円のオーダーでかかりますから。
諸外国はみんな、それは政府がセットでやったわけですね。日本だけは民間でできることは民間でっていうので、民間にだけやらせたんです。
それは勝てるわけがないんです。
なるほど。
ですから、その反省に基づいて、今回は、例えば今回の日の丸半導体の象徴にされてるのは、ラピダスっていう会社が北海道にありますね。
はい。
ラピダスのチップは、世界最先端のチップを作るんですけど、設計はIBMです。だから、もう最初から日米でやってるんですね。日米でやってるもんですから、アメリカは敵に回りません。
嫌がらせされないように一緒にやろうと。
嫌がらせされないようにっていうか、お互いに利益を得られるように、日米で組むのが一番親和性が高いから、日米でやろうというところからスタートしてるわけ。そして、もう一つは国の支援です。国の支援も、すでに2兆4000億ぐらい突っ込んでますけど、成功するまで絶対にこれやめませんから。
絶対やめないんですか?
ええ、中途半端でやめることしないですよ。ですから、そこのしつこさも前回とは全然違います。これをやろうとすると、やっぱり政治家は政治生命をかけないとできないです。これがポシャったら、多分、山際はこうなります。
政治家をクビになる。
なると思います。それぐらいの覚悟を持ってやることだけども、甘利先生が言うわけですよ。「僕はもうぼちぼち勇退するからいいけれど、君らはこれからまだ政治の現場で頑張んなきゃいけない年代の政治家だと。もしこれポシャったら、政治生命断たれるぞと。それでもやるか」と、こういう話がありまして。
のるかそるかじゃないです。もう、のるしかないんだから。そうしないと勝てないんだから、それやらないわけにはいかないですよね。誰かやんなきゃいけないっていうのを、我々のチームでやりましょうっていうので始まってるんです、これ。ですから、今言った2点が前回とは全く違うので。日米で組んでやるってことと、政府は最後までコミットしますから。ですから、そうやってちゃんと世界の中での半導体の一角は我が国が持つというところは、できると思いますね。
すごそうですけど、作る半導体は一応最先端のものではなくて、やっぱり早く作れるものみたいな、標榜してるような。ラピダスの経産の人かな、来てくれてお話ししてくれた時に思いました、感じました。また、その需要の部分、お客さんもしっかりついているようには、もちろんまだ作ってる途中ですからあれですけど、今のところ思えない。本当にうまくいくのかって、まだ若干わかんないじゃないですか。ここはどう思いますか、山際さん。
それは……。
安心させてほしいですよね。
5年前はそうでした。正直申し上げて、顧客をどこで捕まえるかと。最初の顧客はIBMがつきますから、なんとかなるんです。
IBMで。
ええ。それ以降の、どうやってラピダスで作った半導体を売っていくんだというのがあったんですけど、今は全くその心配してないんですね。
足りてないからな、世界。
そういうことなんです。その最先端のチップはTSMCしか作れませんよ。TSMCだけでは、もうその供給量、追いつかないです。
最先端じゃないやつが追いつかないのか。
最先端でないものでは性能が出ないので。最先端でないものは、いろんな、サムスンをはじめ、韓国勢も多少作れるところありますけど、しかし、その最先端のものでないと性能出ないんです。ですから、最先端のものが欲しいんです。
はい。それ、ラピダスで作るんですか?
ラピダスとTSMCしか作れません。ラピダスはまだ量産化してませんから、作れるようになるという目標ですけれども、それを目指してます。ですから、この2社で必死になって作っても、これだけAIのデータセンターの需要が高まっていると、その2社がフル回転で作っても足りないぐらいだと思います。ですから、需要の部分というのを心配がなくなったのは、我々からすると、本当にもうこれはものすごいことが起きたなって感じですね。
確かにな。数年前の時と状況違いますからね。
違います。もう完全に違います。
その工場作る云々って言った時と。
はい。2022年の11月に、OpenAIのChatGPTが出ましたね。それ以前にこのプロジェクトは進んでますから。
先見の明があったってことか。
いや、先見の明って、それを見越したわけじゃないですよ。でも、半導体を使って様々なものがどんどん進化するっていうのは、もちろん我々としては見越してました。しかし、生成AIがあのタイミングで出てくるなんてことは、誰もわかんなかったわけですね。でも、それが起きたことで、もう完全にゲームがチェンジしましたね。
ラピダスの2ナノ量産化への、結構スケジュールどおりいってると思うんですけど、3ステップ目みたいに言ってるところですね。光電融合でしたっけ、とか量子コンピューティングなどのところへのロードマップはどうですか?
それに行く前に、もうすでにラピダスは2ナノの次の1.4ナノと言われるものでの開発に取り組んでます。IBMは、そのさらに先の0.7の……。
って言ってました。
ところまで、今もう開発に取り組んでるんですね。ですから、今のシリコンベースの半導体の世界でも、2ナノが終わりではなくて、その先も、さらにその先も、もしかするとその先もっていうふうに、まだ行きます。今までは平置きの半導体だったものが、積層になってますよね。3Dの世界になってきますから、最先端のチップを3Dに積み重ねていくと、それはさらに性能を上げられますよね。そういう意味で言うと、シリコンの世界での半導体の進化というのも、まだまだこれから続きます。
一方で、光電融合そのものは、NTTが一生懸命やってますけれども、当然、チップとチップを結ぶ間を電気信号ではなくて光にしましょうっていうところまでは来てて、チップの中での電気信号を光信号に変えましょうっていうのになります。最終的には光半導体までいくわけですね。光半導体はまださらに先の話なんで、要するに量子ですから、量子半導体って話になるので、ここは勝負も全然ついてないんですけど。しかし、光電融合の世界ではもうかなり実装が始まってますから、このレースはNTTが負けないように、我々もさらに応援しなきゃいけないっていう感じでしょうかね。
という意思がある。
もちろんです。
はい。ありがとうございます。あと、山際さんでしたよね。ラピダス、日本でも今、千歳で作ってますよね。アメリカでも作るのも視野に入れた方がいいんじゃない? この意図は何なんですか?
ラピダスのものがアメリカで何かを作るっていうようなことは、今のところないんですね。ラピダスは千歳で精一杯ですから。まずは量産できるところまで、来年の今頃でしょうかね、持っていくってことで、もう本当に必死になってやってますんで。今のところ奇跡的にオンスケジュールで進んでますけども、本当にこれ奇跡って言っていいと思うんですよね。これを成し遂げた時に、ラピダスに対しての見方がめちゃくちゃ変わると思います。それで、もちろんお金も集まってくるでしょうし、様々なプロジェクトが進み出す中に、その次のステップでアメリカでの展開っていうのも考えるかもしれません。
次のステップで。
ええ。でも今はもう、それ考えられる状況じゃないので、まずは成功させてくれと。それでも半導体の進化は止まらないので、次のネタである1.4ナノ、2ナノの次は1.4ナノになりますから、それの開発は進めてるってことですね。
これ、うまくいったら日本変わるでしょうね。
これ、うまくいくまでやりますから、絶対。
やるんですね。
はい。
いってほしい。いつぐらいに、スケジュールどおりでいくとうまくいく予定なんでしたっけ?
来年の今頃には量産されるという、そういうスケジュールで今動いてます。
それでちゃんとお客さんがついて。
お客さんはつきます。性能がちゃんと出れば。それは先ほど言ったように、需要に供給が追いつかないので。ですから、いくら供給しても足りない状況になりますから、作れば作っただけ売れます。
どれくらいの経済規模のものなんですか、それ?
それは少なく見積もったって、兆オーダーのさらに上ですよね。
10兆円とか2兆円とか。違う、2桁兆円。
そこは今すぐどうなるかってことは言えませんけれど、一つの例として考えてもらうとわかりやすいのは、NVIDIA。
NVIDIA。
NVIDIAは、TSMCが作っている最新のチップを組み上げて、GPUユニットにして売るわけですね。このNVIDIAが今受けてる、今年だけの注文。なんと売上だけで150兆円です。
あら。
売上だけですよ。売上だけで日本の国家予算超えてますからね。1社の売上が。
あら。
あそこはすごい会社で、粗利が8割とか言ってますから。
どんな会社なんですかね。
恐ろしい。粗利8割ってね。
恐ろしい。でも半導体の世界っていうのは、そういうオーダーの世界です。
覇権を握っちゃえば、利益がめちゃでかいと。
そういうことですね。
お願い。
ええ、だからTSMCも……。
頼んだ。TSMCじゃねえや、ラピダス。
TSMCはNVIDIAほどではありませんけど、粗利が6割とか5割とかって会社ですから。ラピダスも同じになりますから。
ああ。だったら何兆円の利益出るか、そうだ。
そういうことです。
北海道、潤いそうですね。
北海道はですね。
千歳。
これから地球温暖化も相まって、日本の中心になりますよ。
思いますか。
はい。
確かに最近住みやすいですからね、北海道ね。
北海道バレー構想っていうのを作ってまして、ラピダスを中心とした半導体産業がどんどん北海道に。苫小牧から石狩に抜けるまで、ここラインになってますね。そこをバレーと呼んで、そこにどんどん集積し始めてます、もうすでに。その勢いは止まりません。さらに住みやすくなってますから、観光から食から、いろんなものがあるので。北海道、これから日本の中で一番伸びしろがあるって言っていいんじゃないですか?
そっか、水もあるし、気候もいいからデータセンターも作りやすいし、俺らも住みやすいですからね。
もう鈴木宗男さん、悲願の日が来るわけですね。
そうですね。鈴木さん、この番組出てましたね。よく出てくれるんで。
鈴木さんの顔が思い浮かんじゃいましたよ。
そっか、北海道、そんなすごいことになってるのか。
すごいことになってます。
千歳とか、こないだ行ったけど、まだ寂れてましたけど。じゃあちょっと土地とか買っといた方がいいのかな?
定点観測されたらいいと思います。もう全く違う街になってます。
そうですか。
数年前と今とじゃ。
もう買えないか、土地。
買えるでしょう。買えるでしょうけども、それがいいか悪いかはちょっと言及は避けますけど。でも、とにかくあそこが発展することだけは間違いないです。
なるほどな。
半導体作る上で、サプライチェーンの整備とかいろいろあると思うんですけど、経済安全保障の留意点とか、山際さん、先んじて打ってくることありますか?
これはものすごくあります。本当にマテリアルのマテリアル部分から始まって、最終的に半導体の、ラピダスでチップができて、チップを今度チップレットにして、最終的に組み上げてデータセンターのラックに入るところまでっていう、このサプライチェーンはとてつもなく長いサプライチェーンですね。これら一つ一つが全部、経済的な威圧を受けないようにしていくっていうのは、ものすごく大変なんです。でもやってます、今。
でもまだ、何やってるんですか?
調達を、リスクのある国からの調達をなくして、多少コストが上がっても、ライクマインデッド・カントリーズって言われるような、きちんと我々と共通の価値観で動いてくれるような国から調達できるようにっていうのを、どんどん進めてます。これも高市政権における17の重点分野の中に散りばめてありますんで。それぞれの分野で、それは年を区切って、いつまでに経済的な威圧を受けないで済むような、自律性って言葉使ってますけど、その自律性を持てるように。自律の律は、律するの方の律ですね。
律する。
ええ、律するの、ぎょうにんべんの方ですね。自律性をちゃんと持たなきゃいけないっていうのでやってます。日本国内でやるって意味ではありません。ちゃんと安定的に調達できる状況を作っておくっていうのは必要なんで、全部我が国だけでやろうったって、もう土台無理ですから。
なるほどな。半導体楽しみだな。ちょっと経済安保とか気をつけつつですけど。数十兆円できたら、日本の企業がですよね。
はい。
トヨタってどのくらい利益なんですか? トヨタの……。
トヨタレベルになりますね。
トヨタレベルになる。景気良くなるんじゃないですか?
ものすごく良くなると思いますよ。
めっちゃ良くなりそうだな。来年決まるんですよね。
来年決まるっていうか、来年の今頃には量産化ができるように、今一生懸命やってて。何度も言いますけど、奇跡的にオンスケジュールなんです。
遅れてねえ。
ないんです。遅れてないんです。早くもなってませんけど、ちゃんとそれに追いついたペース、追いついていってるんですよ。これすごいことですよ。
それはすごい。
それ成功して、利益出たら、もう。
だから僕らからすると、ハラハラですよ。
もう失敗したら山際さんに辞めていただく。
そういうことになりますから。めちゃくちゃハラハラですけど。
誰がどう責任取るんですか? それは山際さんが辞めるんですか?
僕が一人責任取ったところで、それで国民の損失っていうのがなくなるわけじゃありませんから。だから例えば、来年の秋までにそれができなかったとしても、来年の冬にできたんだったら、それリカバーすればいいわけですね。
別に2か月だったらね。
ええ。できなくなるわけではないと僕は思います。でも、これ時間勝負なんですよ。
そこはな。
はい。
2か月遅れならいいですけどね。また失敗して巨額赤字みたいになると。
そうですね。
大惨事ですからね。そうならなそうですか?
これは今はまだ、その状況、大丈夫ですって言える状況ではないです。ですから我々としても、今、我々のできることは何もないわけですね。ラピダスの現場が一生懸命頑張ってやるのを、脇からとにかく雑音が入らないようにして、そのことだけに集中できるようにって環境整備するぐらいしか、僕らにできないので。
開発職の方ですか、研究者さん。頑張ってほしいな。
ですね。
日本人が作ってるんですか、それは。
日本人です。これも侍ですよ、みんな。
頑張ってほしいな。お金あげて、お金。
僕らぐらいの年代の、僕らって言っちゃいけないですね。僕ぐらいの年代、40代、50代ぐらいの、半導体戦争で負けて悔しい思いをした人たちがみんな集まってきて、もう1回。
そうですか。
ええ。夢を再びって今やってくれてるんで。それに若い世代の方々もついてきてくださって、人材育成も含めてやってますから、いい方向に進んでると思いますけどね。
それが実現すれば、北海道の所得とか超上がるんですもんね。時給3000円とかいっちゃうんですもんね。
めちゃくちゃいくと思いますね。
すごいな。一大プロジェクトですね。半導体に関して今詳しく伺いましたけど、AIに関しても聞きたいと思います。初め、山際さん、AIについてご関心とか、関係分野で頑張ってるということでした。AIも最近議論になってるんで、政府がどこまで国家のAIっていうんですか、作るべきかとか、お金入れるべきかって議論になってますね。ただ、OpenAIとか、アメリカが強すぎるじゃないですか。
片や、そのAI使ってたと思うんですけど、オーストラリアの政府にハッキングされたりとか、保険のやつでしたっけ。結構、安全保障上のリスクもあるじゃないですか。対抗手段を国家が持たないと結構怖いと思うんですけど。山際さん、今、AIの開発、日本がどのようにコミットすべきだと思いますか、政府は。
いくつか戦略あると思うんですけど、今おっしゃった……。
はい。
ロボットをゼロからロボットまで作れる技術を持ってる国は、大胆に言うと中国と日本しかありません。他の国では作れない。
そうなんですか。
それぐらい日本はものづくりの技術がちゃんと現場に残ってるってことですね。そうすると、日本の現場にある技術っていうものを、どのようにして我々はこれからAI化していくかってことを考えるんですね。全部を統合した汎用型の基盤モデルみたいなものは勝負にならなくても、スペックに、この工場に合うAIみたいなものを作れるわけですよ。
はい、はい。
ここの分野は勝てるっていうことで、各社もうすでに始めてます。ここで勝てばいいんじゃないですか、まずは。
どんな分野が日本、目がありそうですか?
自動車はもちろん間違いなくありますね。それからロボットの世界では負けないですよ。
どこの株買っといたらいいですか? 後でそっと、ちょっと教えてほしいよな。
でもヒントは、だから……。
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