米コアウィーブ・ショックの影響は? 社債スプレッド拡大が「利上げの肩代わり」になるという見方
テレ東BIZ ダイジェスト2026年10月17日放送の「モーサテサタデー」冒頭では、新興クラウド企業コアウィーブの財務懸念をきっかけに米国株が下落した16日のニューヨーク市場が取り上げられた。大和証券の谷栄一郎氏は、今回の株安は国債金利の上昇によるものではないと指摘する。原因は企業にとっての調達金利、つまり社債のスプレッドが広がったことにあるという。谷氏はさらに、このスプレッド拡大がFRBの利上げを肩代わりする効果を持ち、それが国債金利の低下につながっているとも説明した。番組ではこのほか、日銀総裁の発言、米国の経済指標や財政収支、金融大手の決算、各国の金利動向も扱われた。
日銀・植田総裁「これ以上の物価上昇は容認できない」
G20財務相・中央銀行総裁会議に出席するためバンコクを訪れた日銀の植田総裁は16日の記者会見で、物価上昇率がこれ以上上がることは容認できないと述べ、利上げ路線を続ける姿勢を強調した。植田総裁によると、今後は物価上昇率を2%近辺で定着させることを政策の大きな目標とする姿勢に、最近局面が変化したという。そのうえで、経済・物価に応じてではあるものの、政策金利の引き上げの度合いを調整していくことになるとの見通しを示した。
一方、同じくバンコクでIMFのゲオルギエバ専務理事と対談したFRB議長は、今月開かれるFOMCの見通しについて「予断を持って考えることはできない」と述べるにとどめた。
コアウィーブ株が再び11%下落、ハイテク株が軒並み安
16日のニューヨーク市場では、AIをめぐる懸念が再び強まり、投資家心理が冷え込んだ。懸念の発端となったコアウィーブの株価はこの日も11%下落した。同社には過剰な借り入れが指摘されている。これが他のAI関連企業にも共通する構造的な問題なのかを慎重に見極めたいという心理から、半導体を中心にハイテク株が軒並み下落した。株価指数は取引終了にかけて下げ幅を広げた。
オプション価格から投資家心理を表すとされるVIX指数は、6月中旬以来の水準まで上昇した。番組は、AI関連企業の財務への不安がくすぶるなかで、市場参加者が大きな相場変動に備えている模様だと伝えた。また、中東、ロシア・ウクライナをめぐる地政学リスクを背景に、ニューヨーク原油先物は1バレル100ドルを超え、9月中旬以来となる101ドル台に乗せた。
谷氏の見立て:上昇したのは国債金利ではなく企業の調達金利
今回の株安について谷氏がまず強調したのは、国債金利が上昇したから株が下がったわけではないという点だ。影響しているのは企業にとっての金利、すなわち社債での調達を含む部分の上昇だと谷氏は見る。
番組ではハイイールド債のスプレッドが示された。スプレッドとは、国債金利にどれだけ金利を上乗せすれば企業が資金を調達できるかを表す上乗せ金利のことだ。このスプレッドが足元で上昇している。谷氏は、国債金利は上がっていなくても、企業にとってはまるで国債金利が急上昇したかのような影響が出ていると説明した。
コアウィーブもこのハイイールド債の発行体にあたるのかという問いに対し、谷氏は、同社はハイイールド企業のなかでもかなり弱い部類で、高いスプレッドを乗せなければ資金を調達できない企業だと答えた。コアウィーブを含む社債スプレッドが急拡大したことが、おそらく株価にも影響していると谷氏は見ている。今週の特徴は、社債スプレッドの拡大を見て株式市場に動揺が走るという方向で影響が出た点だという。
スプレッド拡大が「利上げの肩代わり」となり、国債金利は低下
一方、直近では米国債の金利が低下傾向にあった。谷氏はこれも同じ現象と関連していると考えている。
谷氏の説明はこうだ。企業にはまるで利上げしたかのような、国債金利が急上昇したかのような影響がすでに及んでいる。長期金利そのものが上がらなくても、企業が直面しているのは社債スプレッドを含めた金利であり、それ自体が利上げのような効果を生んでいる。社債スプレッドの拡大が利上げを肩代わりしかけている以上、FRBがさらに利上げすればやりすぎになる。したがってFRBはそれほど利上げしなくてもよくなるかもしれない。こうした思惑が国債金利を少し押し下げている、というのが谷氏の見方だ。キャスターが、国債の方にお金が流れている側面もあるのかと確認すると、谷氏は結局はそういうことだと応じた。
米輸入物価が予想上回る伸び、財政赤字は5年ぶり高水準
16日に公表された米国の9月の輸入物価指数は、前月比1.1%、前年同月比8.1%の上昇で、市場予想を上回り、8月から伸びが加速した。燃料価格が前月比4.8%、前年比34.5%上昇して全体を押し上げた。燃料と食品を除いた指数も、前月比0.7%、前年比6.2%上昇した。
米財務省の発表によると、2026会計年度の財政収支はおよそ1兆9900億ドルの赤字だった。赤字額は、コロナ対応で歳出が膨らんだ2021年以来、5年ぶりの高水準となる。医療・社会保障費が2兆ドルを突破したほか、金利上昇を背景に国債の利払いが前年度比でおよそ12%増え、過去最高を記録した。
テスラ、ホワイトハウス、トヨタ、ソフトバンクグループ
16日のニューヨーク市場では、テスラ株が一時3.6%下落した。テスラは前日、スペースXのロケット技術を搭載し、垂直走行や飛行が可能だという新型車ロードスターを発表していた。市場では、量産開始の予定が2028年で本格的な収益化の見通しが立っていないことに加え、スペースXとの合併観測が高まり、テスラの収益性悪化などが意識された模様だと番組は伝えた。
ホワイトハウスのザカリア報道官は、職務開始から5日で事実上更迭されることになった。トランプ大統領は16日、記者団に「この仕事は彼女に向いていないかもしれない」と述べた。ザカリア氏には弁護士資格をめぐる経歴詐称の疑惑が報じられていた。初めての記者会見を異例の短さで切り上げたり、言い間違いがあったりしたことから、適性を疑問視する声も上がっていた。
日本経済新聞によると、トヨタ自動車は2030年までに全50車種を、ソフトウェアで車両の性能を高めるSDV(ソフトウェア定義車両)にする。年間1000万台の新車に独自のソフト基盤「アリーン」を載せ、購入後もソフトの更新で機能を向上できるようにするという。
ブルームバーグ通信は17日、ソフトバンクグループが米警備サービス大手アライド・ユニバーサルの買収を検討していると報じた。負債を含めた買収総額は300億ドル、およそ4兆7000億円近くになる可能性がある。アライド・ユニバーサルは世界100カ国以上で事業を展開し、データセンターなどの警備サービスも手がけている。
ウォール街:金利高で金融大手の債券取引が不振
ニューヨーク証券取引所と協力して伝える「ウォール街エクスプレス」では、今週出そろった金融大手の決算が取り上げられた。一部は市場予想に届かず、株価を下げる銘柄も目立った。要因は、長期金利が24年ぶりの高水準をつけるなどした異例の金利高だという。
特に失望を買ったのが債券取引部門である。金利上昇に伴う価格下落で債券の売買が細り、最大手のJPモルガン・チェースをはじめ4社でトレーディング収入がマイナスとなった。専門家は、今の金利高が続けば取引以外の部門にも影響が広がるおそれがあると指摘する。金利の高止まりが企業の資金調達や業績を圧迫し、融資する銀行の貸し倒れにつながるリスクを警戒している。別のトレーダーは、企業活動が低調になることで金融機関の業績が踊り場に差しかかると見ている。
足元では、地政学リスクの高まり、インフレ、各国の財政悪化など様々な要因が金利を押し上げている。専門家は、今の状況が新たな標準になるかもしれないとして、金利高の長期化を予測した。
米金利5%は「良い金利上昇」としてのニューノーマル
番組の終盤では、クレジットの専門家である谷氏に金利の先行きが尋ねられた。米国では5%を超える今の金利水準がニューノーマルになるかもしれないという見方について、谷氏も5%近辺がニューノーマルになるという理解だと述べた。
ただし谷氏は、これは懸念すべき話ではないという。米経済がこの強さであれば、5%程度の金利はおそらく米国にとって普通になる。経済の強さを反映した良い金利上昇として、5%がニューノーマルになるというのが谷氏の見方だ。
フランスの金利上昇は「社債スプレッドに近い」
一方で谷氏が注意を促したのがフランスだ。ここ数週間、フランスの金利はドイツと比べて大きく上昇しており、懸念されている。谷氏によれば、フランスの金利は経済が強いから上がっているわけではない。財政赤字への懸念から、対ドイツのスプレッドが拡大しているのだという。
谷氏は、日本と米国は通貨が違うが、ドイツとフランスは同じユーロを使っている点を指摘した。同じ通貨の中で広がっているこのスプレッドは、いわば社債スプレッドに近いものであり、米国の金利上昇とは性質が異なるという。そのうえで谷氏は、財政赤字への懸念はフランスだけでなく世界中に広がるポテンシャルがあるとして、財政の動向を注意して見ていきたいと述べた。
ではまずニュースをお伝えします。G20の国と地域の財務相・中央銀行総裁会議に出席するためバンコクを訪れた日銀の植田総裁は16日、物価上昇率がこれ以上上がることは容認できないとし、利上げ路線を継続する姿勢を強調しました。
今後は2%に、概ということで、これ以上上がるということは容認できない。2%近辺で定着していくということを、政策の大きな目標にする姿勢に、最近、局面が変化したんです。
記者会見で植田総裁はこのように述べるとともに、経済・物価に応じてではあるものの、政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していくことになるとの見通しを示しました。一方、同じくバンコクでIMF、国際通貨基金のゲオルギエバ専務理事と対談したアメリカのFRB、連邦準備制度理事会のウォーシュ議長は、今月開かれるFOMC、連邦公開市場委員会の見通しについて、予断を持って考えることはできないと述べるにとどめました。
そして16日のニューヨーク市場では、AIを巡る懸念が再び強まり、投資家心理を冷やしました。AI懸念の発端となった新興クラウド企業コアウィーブの株価は16日、再び下落し、11%下げました。過剰な借り入れが指摘されていますが、これが他のAI関連企業にも通じる構造的な問題なのかを慎重に見極めたいとの投資家心理から、半導体を中心にハイテク株は軒並み下落。これが相場の重荷となり、主要指数は取引終了にかけて下げ幅を拡大しました。
オプション取引の価格から投資家心理を表すとされる、こちらVIX指数は、6月中旬以来の水準まで上がっています。AI関連の財務・先行き不安がくすぶる中で、市場参加者は大きな相場変動に備えている模様です。このほか、中東情勢やロシア、ウクライナを巡る地政学的なリスクを背景に、ニューヨーク原油先物価格が1バレル100ドルを超え、9月中旬以来となる101ドル台に乗せました。
今日の大和証券の谷栄一郎さんです。よろしくお願いします。ニューヨーク市場では主要3指数が下落しましたけれども、こちらどのように見ていますか?
国債金利が上昇したから下落したわけではないことがポイントかなというふうに思っています。ここでは企業にとっての金利、すなわち社債調達を含むこの部分が上昇していることが影響しているのかなというふうに思いますね。
ここにハイイールド社債のスプレッドっていう上乗せ金利。これ、つまり上乗せ金利ですから、国債にどのぐらい上乗せで金利をすれば企業が資金調達できるかっていうところですよね。それがここで上がってきているところですね。ここね。
そのとおりです。ですので国債金利は上がっていなくても、企業にとってはまるで国債金利が急騰したかのような影響が出てきているということですね。
今週は特に、先ほども出ましたけれども、新興のクラウド企業であるこのコアウィーブ、この財政懸念があって、それが随分市場を揺るがせましたけれども、このコアウィーブっていうのもこのハイイールド債にかかってくるんですか?
はい。ハイイールドの企業の中でもかなり弱い方のハイイールドの企業。高いスプレッドを乗せないと資金調達できない企業でして、そのコアウィーブを含めた社債スプレッドがぐわっと広がったのが、おそらく影響していると思います。
それで株価が下がるっていうのも、それと関係してきているということなんですね。
はい。特に今週のポイントとしては、その社債スプレッドの拡大を見て株式市場に少し動揺が走った。この方向で影響が出たのが特徴かなと思います。
なるほど。一方で直近でいうと、いわゆるアメリカ国債の方の金利、これは少し低下傾向にありましたけれども、これについてはどう考えたらいいんでしょうか?
関連しているというふうに思っています。具体的には、まるで利上げしたみたいな、まるで国債金利が急上昇したみたいな影響が企業に及んでいるということですから、追加でFRBが利上げする必要性って、ちょっと後退しますよね。
長期金利そのものが上がらなくても、企業が直面しているのはこちらの社債のスプレッドの、こっちの金利が効いてきているから、もうそれそのものが利上げみたいな効果になってきているということですね。
まさに社債スプレッドの拡大が利上げを肩代わりしかかってきているので、FRBとしてさらに利上げしたら、それはもうやりすぎ。従ってFRBはそんなに利上げしなくてもよくなるかもしれないなという、この思いが国債金利を少し下げている形ですね。
国債の金利の方にお金が流れているって側面もあると。
結局はそういうことです。
昨夜から今朝にかけて入ってきたニュースをまとめてお伝えします。アメリカの輸入物価が市場予想を上回る伸びを示しました。16日公表された9月の指数は前の月から1.1%、1年前と比べると8.1%の上昇となり、8月から伸びが加速しました。個別では燃料価格が前月比でプラス4.8%、前年比でプラス34.5%で、全体を押し上げました。また、燃料と食品を除いた指数も前月比で0.7%、前年比で6.2%、それぞれ上昇しました。
アメリカの財務省の発表によりますと、2026年会計年度の財政収支はおよそ1兆9900億ドルの赤字でした。赤字額はコロナ対応で歳出が膨らんだ2021年以来、5年ぶりの高水準です。医療・社会保障費が2兆を突破したほか、金利の上昇を背景に国債の利払いが前の年度に比べおよそ12%増加し、過去最高を記録しました。
16日のニューヨーク市場でテスラの株価が一時3.6%下落しました。テスラは前の日にスペースXのロケット技術を搭載し、垂直走行や飛行が可能な新型車ロードスターを発表していました。市場では量産開始予定が2028年と本格的な収益化の見通しが立っていないことや、スペースXとの合併観測が高まり、テスラの収益性悪化などが意識された模様です。
ホワイトハウスのザカリア報道官が職務を開始して5日で事実上の解任となりました。アメリカのトランプ大統領は16日、「この仕事は彼女に向いていないかもしれない」と記者団に述べました。ザカリア氏を巡っては、弁護士資格を巡る経歴詐称の疑惑が報じられていた。初めての記者会見を異例の短さで切り上げたり、言い間違いがあったりしたことから、適性を疑問視する声が上がっていました。
トヨタ自動車が2030年までに全50車種を、ソフトウェアで車両の性能を高めるSDV、ソフトウェア定義車両にすることが分かりました。日本経済新聞によりますと、年間1000万台の新車に独自のソフト基盤を載せて、購入後もソフトの更新で車の機能を向上できるようにします。2030年までに新車の全モデルに独自のソフト基盤アリーンを載せるということです。
ソフトバンクグループがアメリカの警備サービスのアライド・ユニバーサルの買収を検討していると、ブルームバーグ通信が17日報じました。負債を含めた買収総額は300億ドル、およそ4兆7000億円近くになる可能性があります。アライド・ユニバーサルは世界100カ国以上で事業を展開していて、データセンターなどの警備サービスも手掛けています。
ここからはニューヨーク証券取引所との協力でお伝えするウォール街エクスプレスのコーナーです。今週出そろった金融大手各社の決算は、一部で市場予想に届かない結果となり、株価を下げる銘柄も目立ちました。要因は長期金利が24年ぶりの高水準をつけるなどした異例の金利高です。ウォール街では金利高の長期化を懸念する声も聞こえてきます。
今回の金融決算でウォール街の失望を買ったのが債券取引部門です。金利上昇に伴う価格の下落で債券の売買が細り、最大手JPモルガン・チェースをはじめ4社でトレーディング収入がマイナスとなりました。専門家は今の金利高が続けば、取引以外の部門にも影響が広がる恐れがあると指摘します。
金利の高止まりが企業の資金調達や業績を圧迫し、融資する銀行の貸し倒れにつながるリスクを警戒します。別のトレーダーは企業活動が低調になることで、金融機関の業績が踊り場に差しかかると見ています。
足元では地政学リスクの高まりやインフレ、各国の財政悪化など、さまざまな要因が金利を押し上げています。専門家は今の状況が新たな標準になるかもしれないとして、金利高の長期化を予測しました。
以上、ウォール街エクスプレスでした。
今日は特にクレジットの専門家である谷さんにお越しいただいているので、金利のところを集中して伺いたいんですけれども、先ほど、アメリカの場合は5%を超える今の金利水準がニューノーマル、新しい状態になるかもしれないみたいな話がありましたけれども、谷さんはこの先どう見ていらっしゃいますか?
5%近辺はニューノーマルになるというのが私の理解でもありますね。ただ、それに関しては懸念するようなお話ではなくて、米経済がこの強さであれば、5%ぐらいの金利は多分アメリカには普通になる。そういういい金利上昇として、5%はニューノーマルになると思います。
すごい経済でもあるってことですよね。
パワフルだということですね、経済が。
金利についていうと、この世界的な傾向というのも最近あって、特にこの数週間はフランスですよね。この金利っていうのが、同じドイツなんかと比べて随分上昇してきていることが心配されていますけれども、ここについては。
このフランスは少し気をつけておかないといけない。経済が強いから上がっているわけではなくて、財政規律などへの懸念から、対独スプレッドが、同じ通貨ユーロなんですが、対独スプレッドが拡大している形に。
対ドイツと、このフランスとの間ですね。
はい。日本やアメリカは違う通貨ですけれど、ドイツとフランスは同じ通貨です。その中で広がっておりますのは、これはいわば社債スプレッドに近いような、フランスのスプレッド拡大になっています。
アメリカとは違うということですね。
はい。そして先ほど財政のお話がありましたが、やっぱり財政赤字の懸念が広がると、フランスだけではなく世界中でということの懸念も広がるポテンシャルはありますので、ちょっと財政のところは注意して見ていきたいです。
はい。
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