警察官と元受刑者が模擬刑務所で100日暮らす──50万ドルを懸けた共同生活と、10日ごとの「提案」
MrBeast ミスタービーストMrBeast(ジミー)が超厳重警備の刑務所を再現した建物を作り、警察官と元受刑者の2人に100日間そこで暮らしてもらう企画である。100日を乗り切れば賞金50万ドル。ただしどちらか1人でも途中で出ていけば、2人とも賞金はゼロになる。ジミーは10日ごとに2人へ「提案」を持ちかけ、賞金と快適さを天秤にかけさせる。敵対しかねない立場の2人が、最後に相手を裏切らずにいられるかが見どころになる。
17年の警察官と、連邦刑務所に3年いた詐欺師
参加者は、警察官歴17年のレニーと、連邦刑務所に3年服役していたイアンである。2人が顔を合わせるのはこの日が初めてだった。イアンの罪状は詐欺とマネーロンダリング。本人の説明では、嘘をついて金を借り、それを別の人物に渡して全額を失い、さらに損失額について嘘をついたことが決定的にまずかった。その結果、出所時に50万ドルの借金を抱えていた。この額はちょうど今回の賞金と同じである。
建物は実際の刑務所の設備をそのまま再現しており、トイレも刑務所のものと同じだという。食事は1日3回で、消灯と起床は毎日同じ時刻に決まっている。大量のカメラで行動を監視し、会話もすべて聞かれている。イアンは本物の刑務所と比べて「マットレスが厚めで、枕もある」と言った。本物の刑務所では枕はもらえないという。
初期の生活:いびきと退屈
最初の摩擦は寝る場所だった。2人とも下段のベッドを希望したが、イアンは「刑務所では年上を敬うことになっている」と言って年上のレニーに譲った。ところがレニーのいびきがひどく、イアンは一晩中眠れなかった。床で寝ることも考え、最終的にはベッドの位置を動かして対処した。
生活への適応ぶりは2人で対照的だった。イアンは「実際よりよっぽどマシ」「結構居心地いい」とくつろいでいた。一方のレニーは「ずっと刑務所に入れる側だった」ので落ち着かず、就寝も起床も食事の時間もすべて指示される生活に「おかしくなりそうだ」とこぼした。2人は暇をつぶすため、ベッドフレームをバスケットゴールや懸垂の器具に使い始めた。
10日目:5万ドルのレクリエーションエリア
10日目、ジミーは屋外の運動場を2人に見せた。懸垂マシンとバスケットゴールがあり、1日1時間使える。提案の中身は、この運動場を今後使いたいなら賞金から5万ドルを払うというものだった。2人とも承諾すれば、5万ドルで2人とも使える。1人だけが承諾した場合も5万ドルは払うが、使えるのは1人に限られる。2人は別々の部屋で答えを出し、どちらも「イエス」を選んだ。
レニーはこの時点で、お金に対する考えが大きく変わったと話している。より快適に乗り切るためならお金を使うことに抵抗はなく、快適さを諦めればゴールにたどり着けないと考えたという。実際に1日1時間の屋外時間を得ると、レニーは「残り90日滞在できそう」と思えたことに自分でも驚いていた。
20日目:キッチンか、屋外か
本物の刑務所と同じに作ったため、食事はひどかった。「ジミー看守版ミートローフ」について、2人は冷凍バーガーを解凍してソースをかけただけのようだと評した。レニーは「逮捕した人たちがこんなのを食べていたとは」と驚いている。
20日目の提案は、2人分の決断を1人が代表して下すというものだった。イアンはその役をレニーに任せた。見せられたのは、食材と調理器具がそろったキッチンである。これを使えば毎日3食好きなものを作れるが、代わりに屋外の運動場を手放すことになる。レニーは検討すらせず屋外を選んだ。イアンもそう予想していた。レニーは、妻なら「バスケットボールコートを取らないわけがない」と言うだろうと笑った。
この頃、2人は家族の話もしている。レニーには妻と子どもがいて、皆が自分を頼りにしているので逃げ出すことはできないと語った。イアンは服役中の1年間家族と離れ、その年に父親と会えたのは2日だけ、兄と母には1年間会っていなかったと明かした。
30日目:1人しか使えない図書館
30日目に開放されたのは図書館だった。数百冊の本と雑誌、それにテトリスやマインスイーパーができるパソコンが置かれている。利用は無料だが、残り70日間、毎日1時間入れるのは1人だけで、本の持ち出しは禁止だった。ジミーは2人に数時間を与え、話し合って決めるよう求めた。
レニーが欲しいのは聖書だけだった。イアンは読書を強く望んでおり、「監禁されたことある? マジで辛いぞ」と訴えた。話し合いはこじれていく。レニーが、聖書を読むのは残りを乗り切るためで娯楽のためではないと言うと、イアンは「宗教的な理由じゃないからダメってことか?」と返した。レニーはそうは言っていないと否定しつつ、イアンの態度が理由もなく急に変わったように感じると伝えた。
最終的に、図書館の権利はイアンのものになった。レニーが譲ったのである。レニーはその理由として、10日目の提案でイアンが即座にイエスと答え、2万5千ドルを失っても平然としていたことを挙げた。イアンはすぐにレニーのために動いた。聖書の言葉を書き写して「間接的に読める」ようにし、レニーは感謝した。
イアンは本のページを破ってこっそり持ち出し、房に飾るアート作品にもした。やがて自らを「密輸屋ヴィック」と名乗り、トイレの中を含む房のあちこちに本を隠すようになる。ナレーションはこれを、常にカメラが回るなかでイアンの「犯罪者の側面」が出てきたと表現している。
40日目:何でも1万ドルの店
40日目、じゃんけんで順番を決めて入ったのは2人専用の店だった。ジミーは2人の会話をすべて確認したうえで、欲しがりそうなものを並べていた。中身の分からないミステリーボックスから、普通なら1ドルのハンドボールまで、値段はどれも一律1万ドルで、支払いは賞金からしかできない。
レニーが買ったのはミステリーボックスだけだった。中身は2万ドルで、結果的に金を増やしている。イアンは買いすぎるとレニーが怒るのを気にしながらも、メラトニン、バリカン、アイマスク、色鉛筆、紙、チョコレートなどを次々に買い込んだ。「大金を使って刑務所に入った人間だから、いろいろ並んでいたら我慢できなかった」というのが本人の説明である。レニーは「本当に必要なら自分も1万ドル払って買っていた」と不満を示した。
それでもイアンの買い物は生活を変えた。1万ドルの色鉛筆で描いた絵を房に飾り、1万ドルの紙で紙飛行機を作り、1万ドルのバリカンで散髪した。レニーものちに、イアンが買った耳栓とメラトニンのおかげでよく眠れていると正直に認め、感謝している。
50日目:家族との面会と、「チクり野郎」
店でも買えないものが一つあった。家族との時間である。レニーは家族に会うか電話したいと話し、電話のためなら金を使うとも言っていた。
50日目、ジミーは提案の前に映像を見せた。イアンがズボンに本を隠す場面、本を外に放り投げる場面、本を持って平然と出ていく場面である。本来は50日目に2人の家族を無料で招待する予定だった。しかし規則が破られたため、家族に会えるのは1人だけとなり、しかも100日目まで面会はこの1回しかないという。
イアンは家族と会う権利をレニーに譲った。レニーは、図書館を譲った「お返しに自分を尊重してくれた」と受け止めた。ところがその直後、条件が追加される。レニーが家族と過ごしている間、イアンは独房に入らなければならない。隠していた本もすべて没収された。
レニーは子どもたちや妻と再会した。家族から元気をもらい、この場にいない家族も含めて全員に誇りに思ってほしいと、100日目まで頑張る決意を語った。独房のイアンは、レニーたちの楽しそうな声が聞こえるなかで「まるで犬だ」と怒りを募らせていった。
独房から戻ったイアンは、レニーに「チクり野郎のレニー」というあだ名をつけた。本の隠し場所を告げ口され、本の密輸はイアンの考えだと言われたと責めた。レニーは、ベッドの下はまだバレていなかったと反論した。イアンが、あの密輸は2人が協力できていた証拠なのに売られたと訴えると、レニーは「言葉には気をつけろ」と返した。この後2人の会話は目に見えて減り、イアンはチェスもバスケもやらなくなった。50日を過ぎたばかりで、イアンは「ひたすら家に帰りたい」と口にするようになる。イアンが出ていけば2人とも失格になるため、レニーは関係を修復する必要に迫られた。
60日目:3万ドルのテレビを拒否
60日目の提案は古いテレビだった。映画のビデオとボードゲームを含め、残り40日間、1日1時間使える。代金は3万ドルである。イアンは、1時間では映画1本も観られないこと、ラインナップが「50年代か?」というほど古く好みではないことを理由に、「かなりひどい取引だ」と断った。
テレビが運び出される直前、ジミーはチャンドラーにイアンを調べさせた。下着の中に物を隠していたらしく、ジミーは「前回ルールを破った時は同情を求めていたが、これ以上はダメ」として運び出しを続けさせた。イアンは「じゃあなテレビ、じゃあなタイタニック」と見送った。
この後、2人の状態はさらに悪化する。イアンは10日ごとにひどい目にあっている気がする、家族にも会えず電話もないと訴え、「心も体もボロボロだ」と語った。レニーも自分が短気になっていると認めている。ジミーは80日目に最大の提案を控えていたため、70日目には何も与えず、2人に溝を埋めさせることにした。
それでも関係は戻らなかった。イアンはレニーを「レナード、別名チクる囚人」とからかい続けた。レニーが「人生は素晴らしい」と士気を上げようとしても、イアンは「惨めになるだけだ」と返した。ついにはレニーのほうが、少しでも賞金を持ち帰れるなら今すぐ辞退すると言い出す。残り20日の時点で、企画は失敗しそうに見えた。
80日目:900キロの岩
80日目の提案は、目の前にある900キロの岩だった。岩の中には賞金の入った箱を開ける鍵が埋め込まれている。10日間、毎日1時間ずつ岩を割って鍵を取り出せば10万ドルを得られる。ただし挑戦するには、先に5万ドルを払わなければならない。ジミーは、成功するには2人の協力が必要だと付け加えた。2人は引き受けた。
最初の1時間、2人は休まず岩を叩き続けたが、ほとんど進まなかった。2日目以降、イアンは「行け! レニー」と盛り上げるだけになり、4日目まで傍観していた。落胆したレニーが「チームとして協力しなきゃ」とこぼすと、翌朝イアンの態度が変わった。レニーが疲れるとイアンが交代するようになり、大きな亀裂も入った。
それでも力任せでは限界があった。6時間目も進展はなく、毎日何百回叩いてもびくともしない。イアンは5万ドルを失ったら辞めるとまで言っていた。そこでイアンは、図書館の特権を使って岩に関する本を探した。まず「てこの原理」のページを破って持ち出し試したが、岩は重すぎて持ち上がらなかった。次に見つけたのは、岩の弱い部分にノミを当てるという方法だった。これで岩は真っ二つに割れたが、9時間目はそこで時間切れになった。
最終日、レニーは成功の見込みを五分五分と見ていた。2人は岩の芯を掘り出し、鍵を覆うコンクリートと格闘した。残り10分で鍵が出て、10万ドルを手にした。2人は「サツと詐欺師でやったぜ」と喜び合った。
90日目以降:誕生日、パソコンの窃盗、近づく距離
90日目には提案がなかった。99日目に過酷なチャレンジを用意しているためである。91日目はイアンの誕生日で、レニーがサプライズを用意した。イアンは、刑務所で誕生日を迎えるのは3回目だが、いいルームメイトがいて助かったと話した。
最後の10日間は、2人にとって予想外に最もきつい期間だった。やることが尽きたなか、イアンは図書館のパソコンを持ち出して房に「店を構え」、翌日には椅子も運び込んだ。ジミーは本来罰するべきだと考えたが、99日目が近いため見送った。イアンは、レニーが少し悪さをするのを楽しんでいて、自分にもルール破りを勧めてくると話す。2人は屋外時間を勝手に延ばすこともした。ナレーションは、警察官と犯罪者の距離を縮めたのが盗みだったことを「ドラマチック」だと評している。レニーは、柵の向こう側にいる人々の感覚を理解するために、警察官としてこの経験ができてよかったと語り、後悔はないと述べた。
99日目:48万ドルのボタン
99日目、ジミーは2人に外でも友達になれるかと尋ねた。2人とも「もちろん」と答えた。そのうえで最後のチャレンジが告げられる。2人は24時間、別々の独房に入る。独房にはボタンがあり、24時間以内にどちらかが押せば、その人はすぐに出られて、賞金48万ドルを独り占めできる。相手が独房に残っているかどうかは、タイマーがゼロになるまで分からない。
ジミーから「イアンは押すと思うか」と問われたレニーに対し、イアンは「俺なら先に押す」と言ってのけた。独房に入ったイアンは、48万ドルが手に入る赤いボタンを詐欺で服役した人間に託すのは賢いのか、そそられるに決まっていると独り言を言った。閉所恐怖症を自認し、残り時間を見ると不安になるからと、ゴミ袋でカウンターを覆った。
時間が経つにつれて、2人とも相手の取り分で何ができるかを考え始めた。イアンは、ボタン一つで出所時の50万ドルの賠償金を全額返せると考えた。レニーは、子どもの教育費、夫婦の新車、もう一軒の家を思い浮かべた。イアンは、面会で家族に会えず、独房ではレニーの倍の時間を過ごした自分のほうがひどい目に遭ってきた、だから賞金は自分がもらうべきだと考えるようになっていった。レニーは、イアンが24時間耐えられなければ「囚人としての側面は変わらなかった」ことになると言い、「裏切り行為にはうんざりだ」と語って、イアンが残っていることを祈りながら眠りについた。
100日目:カーテンの向こう
100日目、刑務所の2つのセクションはカーテンで仕切られていた。独房に残った人は中央に出てくるよう指示される。2人とも立っていれば賞金を公平に分け合える。1人しかいなければ、その人は「ただ100日間刑務所にいただけ」で何も得られない。
カウントダウンの後にカーテンが下ろされると、そこには2人とも立っていた。お互い裏切らなかったのである。2人はそれぞれ24万ドルを受け取り、駆けつけた家族とともに自由の身になった。
超厳重警備の刑務所を作ったぞ! 警察官と、犯罪者が一緒に100日暮らせたら、賞金50万ドルゲットだ。
どうも。どうぞよろしく。これからよろしく、レニーだ。イアンだ。手錠を外そうか。頼むよ。
本題に入ろう。これから100日暮らしてもらう間、どちらか1人でも出ていったら、2人とも賞金はゼロだ。
今まで50万ドルって見たことある? いいや。出所した時、借金が50万ドルあったけど、数に入る?
警察官歴は? 17年。君は何年…入ってた? 連邦刑務所に3年。その刑務所と比べてどう? マットレスが厚めだな。枕もあるし。枕はなかったの? 枕はもらえない。
枕は置いといて、この建物は実際の刑務所の設備を、そっくりそのまま再現してある。これ刑務所のトイレそのものだよ。
食事は1日3回。夜は毎晩同じ時間に消灯して、朝も毎日同じ時間に起こす。がんばれ。
マジで刑務所みたいだ。イスが冷たい。最悪だな。冷たくて硬い。
大量のカメラで2人の行動を監視するぞ。会話は全部聞かれてる。だから何を言っても…筒抜けだな。
この2人が顔を合わせるのは今日が初めてだ。この時はまだよかった。でも撮影が進むにつれ、イアンとレニーは敵同士になった。
物を盗んだり…。密輸で有罪になるぞ。ケンカ…。宗教的理由じゃないからダメってことか? おい、そうは言ってない。救急隊を呼んで! 裏切りも起こった。チクり野郎のレニー。マジでキツイよ。
100日間2人で耐えることができるのか、それともだまし合うことになるのか。カネを全部持って帰りたいんだ。そのための裏切りは、仕方ない。
俺は下のベッドだ。いや、俺が下だ。じいさん優先で。刑務所では年上を敬うことになってる。だから年上優先だ。
夜にいびきをかくかもな。かくよ。おやすみなさい。いきなり消灯か? ちょっとは休めよ。
おはようございます。もう少し寝かせてくれよ。あいつ一晩中いびきをかいてやがった。うるさかった。そうか? ああ。
今の時間は、空の感じを見ると、朝の6時か7時くらいかな。1日目は…マジで刑務所の中みたいだった。
どうして刑務所にいたんだ? 詐欺とマネーロンダリングだ。ウソをついて、カネを借りて、別のヤツに渡して、カネを全部失った。マズかったのは損失額のウソをついたことだ。それで50万ドルの借金ができて…偶然にもこの動画でゲットできる賞金と同じ金額だ。
食事です。この刑務所での最初の食事だ。実際よりよっぽどマシ。
イアンはすっかりくつろいでるようだった。結構居心地いいんだよな。一方、レニーは刑務所暮らしに苦労していた。
ずっと刑務所に入れる側だったから、変な感じだ。就寝時間は言われるがままだし、起床時間も、食事の時間まで…全部指示されるなんておかしくなりそうだ。
おはようございます。イアンとレニーの関係は、いいものとは言えなかった。あいつのいびきがうるさいから床で寝ようと思う。マジでキツイんだよ。ベッドの場所を動かしてみた。これでレニーのいびきから身を守れるといいけど。
イアンは睡眠不足で緊張感があったけど、2人はどうにか暇をつぶそうと必死になっていた。ベッドフレームでバスケットゴールを作ったみたい。これはいいな。懸垂マシンとして使ったりもした。
前の刑務所生活では運動が苦手だったけど、また運動してみるよ。いいぞ。2人はトレーニング器具を欲しそうにしてた。刑務所ボディをビーチボディにする。10日目には彼らの役に立ちそうなものを用意してみたよ。
さあ、ビースト巡査が…。ビースト巡査、任務開始! 囚人たちの様子はどう? 元気か? ジミー看守!
ベッドを解体してたね。カビゴンと共同生活してるよ。カビゴン? いびきかくの? らしいけど分からない。
10日目の提案は何だと思う? 専属シェフか、図書館…。本だ。もし、どれでもなかったら? ついてきて。
この鍵のかかったドアは立ち入り禁止エリアの入り口だ。これからたくさん登場するぞ。警備員、鍵を開けて。東棟、開錠。こっちだ。
ようこそ、運動場へ。これから90日間健康で過ごすために必要なものがそろってる。いいぞ。1日1時間、懸垂マシンを使える。バスケットゴールもね。じっくり見て。
これならもっと早く時間が過ぎてくね。ああ、太陽を浴びて気分がいい。提案を聞く準備はできた? もちろんだ。ああ。
入って。取調室を開けて。エリア、ロック解除。入ってくれ、座って。分かった。コミュニケーションが取れないよう、別々の部屋に入ってもらった。
提案を発表する。この先レクリエーションエリアを使いたければ、賞金から5万ドルを払ってもらうことにする。共にオーケーなら、5万ドルで自由に使える。でもここからがおもしろい。1人がオーケーでももう1人が断れば、5万ドルを払ってもらうけど、レクリエーションエリアに入れるのは1人に限られてしまうんだ。
予想外だな。一緒に10日間過ごしてお互いを知ってきたけど、相手の選択を予測できるのか? マジか。今後の生活に影響する。
悪者扱いされるのはもううんざりだ。なら簡単だ。でも、90日間、善人でいられるかな。泣きたいよ。
よし、2人とも決まった。お互いどっちを選んだか知らない。さあ、どうぞ。俺はイエスだ。君の答えはまだ伝えてない。イエスだ。
お金に対する考えがガラッと変わった。より快適に乗り切るために、お金を使うことに抵抗はないよ。わからないけど、快適にするものを諦めたらゴールに到達できないと思う。お金はないよりあるほうがいい。俺はそう思う。
おはようございます。おはようございます。
驚きだった。1日1時間のレクリエーションで、残り90日滞在できそうって思えるとは。自由だな。5万ドルの価値は絶対ある。いい使い方したな。
それから数日間、敷地内のあらゆるものを存分に活用した。ここから出る時はムキムキかも。今のところ、レクリエーションエリアは2人にとって十分な機能を果たしていた。でも本物の刑務所と同じように作ったせいで、2人はここでの食事に苦しんでいた。
ご存じのとおり刑務所の食事はまずい。ジミー看守版ミートローフだ。冷凍バーガーみたい。解凍してソースをかけてるのかな。この食事はマジでサイアクだ。逮捕した人たちがこんなのを食べてたとは。今後も食べ続けられるかわからない。相手が憎くても、食べさせようとは思わない。
だから20日目は、彼らにピッタリのものを用意した。準備はいい? 20日目の提案だ。ああ。どちらかが、代表して決断しなきゃいけない。2人が共に背負わなければいけない決断を、どっちがする?
君に任せるよ。よし。マジで? 信頼してる? そうだろうよ。いっぱい話してる。よし、行こう。キッチン開錠。入って。キッチンがあるのか。
キッチンには、刑務所で過ごす間、美味しくて健康的な食事を作るために必要な食材と調理器具が揃ってる。気に入らない刑務所の食事を食べ続けてもいいけど…このキッチンで、毎日、朝食、昼食、夕食に好きなものを食べられる。ただし屋外は諦める。
提案の内容は? レクリエーションヤードとキッチンの交換だ。食事のほうがいい。1日中料理を楽しめるし、創作料理も作れる。
肉はある? 肉はあるか? どうかな? ビーフパティとホットドッグ、欲しいものは全部ある。いいね、いいね。
でも大事なのは、自分じゃなく相手はどう思うか? 彼が何を望んでるのか分からない。考える時間を1分あげよう。
イアン、今回の提案はレクリエーションヤードと充実したキッチンを交換するか。彼が選んだのは屋外だろ。そう、検討すらしなかった。毎日食事の文句を言ってるけど、こっちを選ぶと思った。
思ったより簡単だったな。30日目は、そう簡単にはいかないぞ。じゃあね、ジミー看守。屋外は簡単に手放さない。
楽園での一日。相棒と俺がキッチンを断念するって決めて丸24時間が経った。ちっとも後悔してない。君は後悔してる? いや。一日中閉じ込められないのは幸せだ。
妻の反応が楽しみだ。「バスケットボールコートを取らないわけない」って言うだろうな。外に出ないなんてありえない。
ここまで満足していたけど、彼らは今回のチャレンジの賞金のことを考え始めていた。忘れちゃいけないのは…なぜここにいるのか、目的は何なのか。家族のために賞金を勝ち取ることが目標だ。
妻ができた。素敵な家族がいる。みんなが俺を頼りにしてるから、ここから逃げることはできない。奥さんと子供がいるのはいいだろうな。
俺は家族と1年離れてた。その年、父に会ったのは二日だけだ。たったの? うん、兄と母には1年会ってなかった。そうか? ああ、そうさ。
屋外は1日1時間まで。屋外の時間が待ちきれない。彼らは次の提案まで落ち着かなくなっていった。
ケチャップドッジボール! ここから出て行け! 救急隊を呼んで! 包帯を巻いて! もうダメか? 息が詰まる!
この刑務所で暮らし始めて30日経過した。どうしてたかな、やあ、元気? よお! やあ、ジミー看守! 30日経ったけど、どうしてた? いい感じだよ。
2人とも入って。それじゃ今から刑務所の新たなエリアを、解放しよう。図書館のドアを解除して。ウソだろ。図書館、開錠。マジかよ?
ここには、本が数百冊揃ってる。雑誌もある。その前に、ちょっと待った。図書館は完全無料で使える。でも、入れるのは1人。これから70日間。冗談だろ。1人は、1時間読書できるけど、もう一人は、入れない。毎日一時間?
本の持ち出しは? それはダメだ、持ち出し厳禁。ほかに、どんな本がある? 案内するよ。いろんな本が揃ってる。聖書があるな。見て。これが俺を助けてくれる、必要なのはこれだけ。
このパソコンはなに? ダメだよ、戻して。マジで盗まれる。これでテトリスとマインスイーパができるし、ここにも本がある。これは悩むな。まったくだ。
それじゃ外に出ようか。今から数時間あげるからよく話し合うんだ。頑張って。サンキュー、ジミー。頑張れって。そんなに読書が好き? そりゃ…監禁されたことある? いや、ないな。マジで辛いぞ。じゃあ、2時間後に聞かせてくれ。
一人は必ず苦しまなきゃいけないんだな。今まで通り話し合おう、できれば君をヘッドロックしないで済むように。
それから2人は、お互いを避けるように過ごした。最悪だ。どうすべきか悩んでいた。すぐ目の前にあるのに…。ほかの本はいらないんだ、聖書だけでいい。
とにかく、何か考えなきゃ、何も始まらない。この図書館は俺達を対立させるためにあるんだ。それで哲学的な君はどう思う? 何にせよ受け取るべきだと思う。無料だしスルーすべきじゃないよな。でも問題は誰が受け取るか。
俺はここでバスケができる、それに、あの時の決断には今も満足してるんだ。だから俺にパスしてくれたみたいに、次のボールは譲るよ。おっと、悪い。今本気だっただろ。
イアンに決断を任せるのが公平に思えたけど、レニーには譲れない思いもあった。聖書は持っておきたい。
なあ、どうして自分の方が図書館にふさわしいと思う? 100日達成するためには必要なんだ。なら決断次第で諦めるつもりか? じゃあ君はなぜ自分がふさわしいと? 聖書を読んで残りを乗り切るためだ。娯楽のためじゃない。
宗教的理由じゃないからダメってことか? おい、そうは言ってない。だけど理由もなく突然君の態度が変わったように感じる。なら図書館はなしだ。仕方がないかもな。分かった。
どっちでもいい。けどいろんな考えが浮かぶんだ。この状況ってバカげてるよな。気を紛らわせる本もない。もう決断の準備ができた気がするよ。
2人の会話は振り出しに戻ったようだけど、いずれにせよ、時間切れだ。
さあ、決断を聞かせてくれ。残りの70日間、図書館で読書する権利をもらったのはどっちだ?
読書する権利をもらったのはどっちだ? その答えは…
俺が権利をもらうことになった。君が? ああ。それでいいのか? ちょっと心配したんだ。最後の方は大変だったよ。
彼に譲った理由は? 10日目の提案で…「イエス」と答えよう。彼は即答して、2万5千ドルを失っても平然としてた。図書館を望んだから譲ったんだ。
よかったな。ほんと良い人だと思うよ。こんな親切な警官がいるなんて。今のは余計だったな、譲られただけだろ。
イアンは図書館に入れるようになった。
図書館、開錠。そしてすぐに、レニーのために動き始めた。
レニーが求めてたもの。彼にとって聖書は重要だ。共有できるように聖書の言葉を書き留める。
ありがとう、うれしいよ。君に助けられてる。これで間接的に読めるだろ。聖書の言葉を共有してくれる、感謝だ。
そしてその翌日には、こんなこともするようになった。
どこかに飾れそうなアート作品だ。本は持ち出せないけど、ページを破ってこっそり運んでる。ワオ、いいね。
それから数日間、レニーも楽しんでいた。アート作品だ。刑務所は変わり始めた。もっと綺麗に飾ろう。
そして常にカメラが向けられている中で、イアンの犯罪者の側面が出てきた。
聖書も何もない状態でレニーを苦しませるわけにはいかなかった、俺はここで楽しんでるっていうのに。この本最高。一冊でも十分だ。
捕まらないと思ってるみたいだった。
楽しんでる。俺は密輸屋ヴィック、密輸する囚人。文字通り至るところに本を隠してる。例えばトイレの中にも…見て。できるだけ多くの本を刑務所の中に隠そうとしてる。
40日目。元気だった? サプライズを用意したんだけど、どっちが先に受けとるか決めてくれるかな。よし、じゃんけんポン! 負けた、どうぞ。
ストア、開錠。君たちのための店だよ。
決めるの大変だろうけど、2人の会話をすべてチェックしたうえで、欲しがりそうなものを店に並べてみた。いろいろ取りそろえてみたんだ。中身はお楽しみのミステリーボックスに、たったの1ドルで売ってるハンドボールまで。でもここでは…どれでも同じ値段で、1万ドル。
ハンドボールが1万ドル? もちろん、2人はここにある賞金から支払うことしか許されない。
今すぐ決めろって? ああ。俺が選ぶのは…ミステリーボックスだ。1万ドルだよ。お買い上げどうも。
レニーはミステリーボックスだけで満足したのに、イアンはお金を使いたい欲が強かった。
ヤバい! マジですごいね。使い過ぎるとレニーが怒るんだよな。ちょっと不安だ。まず、これは買おうってもう決めてるんだ。
あいつは何を買ったのか自分で分かるけど、俺は中身がわからない。
1万ドルで買えるなんて。買いすぎるなよイアン! メラトニンとバリカンも欲しい。
さあ楽しもうぜ相棒! いくら使った? 33万ドル、フィースタブルズもあるぞ。ぶっちゃけ今超ハッピーだよ。バリカンも買ったし、アイマスクもあるぞ。
本当に必要だったら俺だって買ってたよ、1万ドル払ってな。俺は大金使って刑務所に入ったろ? だから…我慢できなかった、いろいろ並んでたし。
ミステリーボックスを開けて。2万ドルだ。お金稼ぐなんて。
もうお金を使わなくても十分生活を楽しめる気がする。
2人は欲しかったものを手に入れ、自由時間がより楽しくなった。
1万ドルの色鉛筆で絵を描いた。カラーの絵を飾るなんて初めてだ。
フィースタブルズ、世界一おいしいチョコレート。めちゃくちゃ楽しみ。ほんとにおいしいんだな。気に入ったよ。
そう、フィースタブルズは世界一おいしいチョコレートだ。新商品クリーミー・ヘーゼルナッツ・カップも発売中。大抵カップの中にはピーナッツバターが入ってる。でも試作の時に、カップにクリーミーヘーゼルナッツ・チョコフィリングを入れてみたら衝撃だった。それで販売してみたら評判もよかった。これらの店で買えるよ。
イアンは1万ドルの紙で紙飛行機を作っていた。
誰かこいつを捕まえろ。退屈度が変わった。少し落ち着いたらどうだ?
1万ドルのバリカンで散髪もした。これで警備員が俺を怖がってくれる。
そして、レニーがイアンの買いものに感謝することに。
正直に言おう。この耳栓とメラトニンは、困ったときに頼りになる。おかげでよく眠れるんだ。どうも。もちろんだよ相棒。
でもお店で買えないものが一つあった。
明日は50日目、提案の日だ。家族に会うか電話したいな。辛いのは家族と離れていることだ。電話ならカネを使う? ああ、もちろん使うよ。
だから50日目の提案はこれだ。やあ! 50日目だよ。
提案の発表前に、見てほしい映像がある。見ようぜ。
ある日の映像だ、ズボンに本を隠してる。それから、どんどん大胆になっていき、本を外に放り投げた。そして、君は本を持って平然と出て行ったよな。
50日目は大きな節目だ。君たちの家族はバスで待機してる。俺たちは50日目に、家族を無料で招待するつもりだった。でも、規則を破ったから、今回家族に会えるのは1人だけだ。そして100日目が終了するまで、家族に会えるのは、この一回しかない。
看守も卑怯だ。家族と会うことにかなりこだわってきたってことは言わせてくれ。それで、どっちにする?
家族に会うのは相棒だ。ほんとに? 感謝するよ。どんな気分? お返しで俺を尊重してくれたのが分かるよ。
俺が権利をもらうことになった。あいつのせいで俺たちが罰を受けてるんだよな。
お前まさか警察と組んでたのかよ。ふざけんな。全部没収しろ。マジで?
一つ言い忘れた。好きなだけ家族といていいけど、その間イアンは独房行きだ。了解。どうかしてるぜ。チャンドラー、連れていって。
うれしいけど最悪な気分でもあるな。本を持ち出すのはやめろ。これからも盗んでやるぜ看守さん。まるで犯罪者だ。閉めて。楽しんで。マジか、キツイよ。
中に入って、レニーが待ってるよ。ハイ、パパ。パパだ。レニー! 会いに行って。パパ! ほらパパよ。すてきだね。
とっても会いたかった。うれしい。青じゃなくてオレンジの服を着てるのはどう? ヘンな感じ。うん、あんなの着ないもん。
好きなだけいてもらっていいけど、忘れないで。その間相棒は出られない。楽しんで。どうも。
会いたかった? ああ、そうだね。家族と一緒に過ごせてうれしいよ。好きなだけいてもらっていいみたいだし。おかげで家族から元気をもらえた。100日目までがんばろうって気になったよ。家族全員に誇りに思ってほしいんだ。ここにいない人もね。頼りにしてる。任せとけ。
レニーたちの楽しそうな声が聞こえるのに、俺は監禁って…まるで犬だ。ここにいればいるほど、独房に閉じ込められたってことに怒りが湧いてくるよ。おかしくなる。最悪だ。
レニーが家族と過ごす時間が長くなればなるほどに、イアンの気持ちはどんどん暗くなっていった。
イアン、戻ってください。独房にいる間にあんたのあだ名を考えてたんだ。そうか? なんだ? チクり野郎のレニー。
あいつのせいで俺たちが罰を受けてるんだよな。本の隠し場所をチクりやがった。見ろよ、俺のは全滅だ。
えらそうに命令するってのか。ムカつくな。俺は監禁された。お前がうまい飯を食べてる間、俺は何もなしだ。自分から申し出たよな。文句言うなよ。
本の密輸は俺の考えだと言いやがって。映像に残ってた。俺たち協力し合えたってことなんだよ。お前は俺を売って…お前を売ったわけじゃない。
ベッドの下はバレてなかった。映像に残ってるんだぞ、何言ってんだ? 俺は監禁された。映像に証拠が残ってる。でもまだベッドの下はバレてなかった。
俺の話を聞くのか、自分の気持ちをぶちまけたいだけなのか…チームのために犠牲になったってことを言いたいんだ。言ってろ、お前はそればっかりだ。俺も言わせてくれ。「言葉には気をつけろ」。それだけだ。そうかよ。
お前も俺も自分の決断をしたってだけだ。そうだな。ああ、そうだ。チクられた。
今日のイアンはかなり気分が沈んでるようだった。俺は家族に会えたが、イアンは会えなかった。そのせいで変わってしまった。チェスもやりたがらなかったし、バスケもやらなくなった。
レニーと俺は明らかにしゃべらなくなった。彼には彼の、俺も自分のルーティンがあって、それをやるだけ。
関係が悪くなっても、レニーは友人を心配し続けた。大丈夫か? 落ち込んでる。どうした? もう帰りたい。うんざりだ。
50日目が過ぎたばかりだというのに、イアンはあきらめようとしていた。最悪だ。早く帰りたい。ひたすら家に帰りたい。もう嫌だ。
レニーは友情を復活させる必要があった。いつでも出ていける状況で、イアンが帰れば2人とも失格だからだ。
お2人さん。おはようジミー。おはよう。2人にいい知らせがある。60日目の提案だ。2人が仲直りするのに役立つはず。チャンドラー、持ってきて。来るぞ。テレビだ。
これ見てよ。古いテレビだけど、刑務所の中じゃこれしかなかった。これから40日間、テレビで映画を観られる。
なんだよこのラインナップ、50年代か? 映画を観たくないの? ボードゲームもいいの? もちろん。1日1時間そこにある全部使えるよ。たった3万ドルを支払えばね。
あの男、おかしいぞ。いや、けっこう悩むな。いいね。1日1時間? そうだよ、40時間のエンタメだ。
ジミー、1時間じゃ映画を観られない。映画を1時間観たら、一旦回収して、次の日続きを観ればいい。映画のチョイスが、俺の好みじゃない。かなりひどい取引だ。絶対イヤだ。
イヤ? イヤだ。退屈してるかと思ったんだ。いいよ、チャンドラー、外に運んで。なあ。
待てチャンドラー。彼をチェックだ。俺は何も…チェックして。やっぱり…下着の中? 前回ルールを破った時には同情を求めてたけど…これ以上はダメ、運び出そう。じゃあなテレビ、じゃあなビデオ、タイタニックも!
提案に不満なイアンを見て、レニーは辞退されないかと不安になった。
10日ごとにひどい目にあってるんじゃないかって気がする。家族には会えない、電話も来ない。ガチで悲惨だよ。
確かに少し短気になってる気がする。ちょっとイライラする。あいつにはいつも文句を言いたくなる。もう心も体もボロボロだ。もうここにはいたくない。
彼が辞めないか心配だよ。家に帰りたい。家に帰りたい、だって。
あの時のことばっか考えてしまう。最後のチャレンジでやられた。そう、どんどんどんどん。こいつ、もう黙ってくれないかな。
80日目に最大の提案を計画してるから、70日目には何も与えず、2人で溝を埋めてもらうことに。
この中にいると、本当につらいよ。ここ数週間はずっと憂鬱で悲しい。読書、運動、チェスしかない。精神的にキツイ。ただ家に帰りたい。そんな日もあるさ。
イアンは家に帰りたいって言ってた。大変な戦いになる、彼を引き留めるしかない。
2人ともいつでも辞退できるから、レニーはイアンが早く離脱して、大事な賞金を失ってしまうのではと常に心配だった。
何時? 自分で時計買えよ。チェスをやらないかって聞きたかったけど、戻るよ。彼の名はレナード、別名チクる囚人。
あれは自業自得だろ。自分で笑ってる。チクる囚人が捕まった! 本物の囚人は君だ。
イアンはどうやら根に持つタイプみたいだ。面会は1回しかなくて、面会できたのはレニーだけ。最後まで残るため、レニーはイアンの士気を高めることにした。
人生は素晴らしい。いや…惨めになるだけだ。事態はさらに悪化。
早くここを出ても問題ないと思うんだけど。イアンとここにいて、ずっとネガティブな気持ちになってイライラする。少しでも賞金を持ち帰れるなら今すぐ辞退する。出てくの? ああ、俺はここを出る。
この時点で残り20日。彼らは失敗しそうに見えた。提案がある。
次は友情を復活させる機会だ。もしくはこの動画を終わらせる引き金となるかも。
これは何だ…なにコレ…目の前に900キロの岩がある。
この岩の中に賞金が入った箱を開ける鍵が入ってるから、欲しいなら、10日間毎日1時間、この岩を割って鍵を手に入れるんだ。条件をのむなら、先に5万ドルを渡してもらう。でも達成したら10万ドルゲットできる。成功したければ、2人で協力しないといけない。少し時間をあげるよ。
やるしかない。イアン、君が掃除嫌いなのは知ってるけど、君の掃除嫌いは知ってるけどこれは頑張らないと。2人でできるのか? 大丈夫だ! 俺たちなら…大丈夫、きっとね。
ありえないよ! まるでハイウェイ強盗だ。
このチャレンジに挑む自信はあるかな? 大丈夫、大丈夫だ。マジで? もちろん。よし、じゃあ決まり! 5万ドルを運んじゃって!
気楽にやろう、すぐ取り戻せる。没収! 気楽にいこう。それでは、最初の1時間、開始。
最初の1時間、2人は休まず叩き続けた。
キツい。5万ドルはパーだな。ここ嫌いだ! この岩を砕くまであと9時間。
進捗はなかったけど、次の日も外に出てすぐ作業を始めた。
急がないと、遊ぶ暇はない。一刻を争う。そこだ!
岩と格闘し始めてまだ2時間なのに、イアンは盛り上げるだけになっていた。
行け! レニー。そうだ、いいぞ、レニー。レニーの全てがここに!
イアンは4日目までずっと傍観していた。
マジでがっかりだ。ただ疲れただけ。クタクタだ。チームとして協力しなきゃ。
イアンはレニーががっかりしたことに気付いたのか、翌朝、心境に大きな変化が見えた。
行け! いいぞ!
レニーが諦めると、イアンが交代。
ハンマー貸して、鍵をゲットだ。
今、2人で協力して岩に挑んだ。
必死に頑張ってるな。ガチのノミが必要だ。この辺いい感じ、ほらデカい亀裂が入ってる。いいぞ、そこだ! 崩れるぞ! おー! おー。希望が湧いたな。
その間に、新商品「ミスタービースト・ラボ ハイブリッド」の紹介。この試験管は発売したばっかり。ランダムでパーツが入ってるから、組み合わせて自分だけの実験をつくってね。
岩の破壊者だ!
さらに面白くするために、アニメ番組もつくったんだ。10月にハイブリッドで作ったキャラたちを見られるよ。
あと18分ある! もっといけるぞ!
ハイブリッドはおもちゃ売り場で手に入る。ユニークなパーツを集めて、君だけのカスタマイズビーストを作ろう。パンサー、買うべきだろ?
岩を砕けるか見てみよう。2人作業していても、1日1時間で10日はかなり厳しい。
そこまで、6時間目終了。
今日は岩に軍配が上がった。進展がなかった。そうだな。10万ドルをゲットするには、鍵を手に入れるための何かが必要だ。
毎日何百回も岩を叩いたけど、びくともしなかった。
たくさん作業したけど大きな進展はない、ダメかな。5万ドルを失ったら辞めるよ。
イアンは力だけでなく、知恵が必要だと気づいた。
ここに答えがあるはず。岩に関する本だ。俺たちの課題に関係するページを破った。てこの原理を使うって。
下に入るかな? よし。そこを押して。おもりを積んで固定できる。びくともしない…。
岩に傷をつけることさえできなかった。
キツイな。もうお前には、うんざりだ!
岩は持ち上げるには重すぎた。残り2日、イアンは手がかりを探すため本を漁った。
もう1枚見つけた写真がある。岩の弱い部分にノミを使うといいみたい。ここが弱点だ。崩れてきた! 見てみろ! レニー、割れてる。岩全体が真っ二つに割れてる。今日はマジで10万ドルゲットできるかも!
動かない。そこまで、9時間目終了。
いい感じだったのに時間切れだ。もうすぐ終わりだ。いよいよ最終日だな。あの岩、冗談じゃない。ホントに。予想以上に難しいって。ここを切り抜けられるかは五分五分だな。
準備はできてる。囚人達、時間です。行くぞ。岩をぶっ壊す時間だ。もうすぐこいつをやっつけられるぜ。これがラストチャンスです。
頑張れ。後ろで支えてるから。よし、もうちょっと深くだ。ほんととんでもない厚さだな。こいつをここから出そう! ほら見ろ! 鍵がありそうだ! これがコアだ! いいぞ。鍵はここにあるはずだ!
残り時間30分です。急いだ方が良さそうだ! このコンクリートが俺達と10万ドルの間の壁だ。残り時間15分。残り時間10分。
やったぞ、鍵が出た! やった! ほら見て! 10万ドルはすぐそこだ! 手に入れよう!
これで10万ドルは、君達のものだ! やってやったぜ! やったぜー! 10万ドルだ~! サツと詐欺師で、サツと詐欺師でやったぜ、見たか。
90日目チャレンジの準備はできてる? ああ! よーし! 実は90日目の今日は…何もしない。なぜなら2人には、99日目に過酷なチャレンジを用意してる。それじゃまた。
ワーオ。一体何が起きるんだ?
チャレンジの間、イアンは囚人らしさを貫いていた。
本を盗めば時間が経つのも早いな。
じきに、イアンは賞金総取りのチャンスを得ることになる。
チャレンジ、91日目。今日はなんと、わが友イアンの誕生日だ。
ルームメイトの用意してくれた素敵なサプライズで目が覚めた。ほんとステキな人だ。3回も刑務所で誕生日を過ごすなんて信じられないけど、いいルームメイトがいて助かった。
90日以上が終わり、2人は最後の10日間が一番きつくなるなんて思ってもみなかった。
流れが遅い。暇を潰す新しい方法を探してる。もうやることがないな。君は図書館があるだろ? 図書館を空にすればなにか見つかるかも。パソコンを持ち出したら笑えるだろうな。傑作だと思うよ。
正直2人を責められない。ここは悪さをしても刑期が延びないからね。
明日早起きして取ってくるよ。パソコン作戦を実行してやろう! 君はどうかしてる。店を構えたぞ! これでいい。でかしたぞ。これでビジネス開始だぜ! やることができたぞ!
盗んだことを罰するべきだけど、99日目が目前だから、待つことにした。
今日は椅子とかこのへんを持っていこう。パソコンの前に置こうか! それいいね。よし、いいぞ。ジミー看守、今週は全力で君に仕返ししてく。兄弟みたいに一緒に座ることもできる。よう相棒。
チャレンジを通して、警察官と犯罪者の距離を近づけたものが盗みだったなんて、ドラマチックだよね。
レニーが少しワルに走るのが好きなんだ、彼も俺にルールを破るよう勧めてくるし。今日はレク時間を多めにもらうぞ。
時間切れです。中に入ってください。
囚人達の勝利だ。トラブルメーカーだな。もう慣れたよ。心地良ささえある。
警官としてここでの経験をうれしく思う。柵の向こう側の人々が持つ感覚を理解するためだ。後悔はない。
だけど2人はまだ知らない。ここまで築いてきた関係が究極の試練にかけられることを。
やあ2人とも元気? やあやあやあ。2人が出会って99日が経った。外でも友達になれると思う? もちろん。間違いないね。だけどそれが、最後のチャレンジによって、変わるかも。おいおい。始まったな。
この動画を通して、全く違う境遇の2人が仲を深める様子を見てきた。数々の困難を乗り越え、全ては最終日に懸かってる。
ワーオ…。てことで2人にはこれから24時間…一人ずつ、別々の独房に入ってもらう。ジミー看守、2度も独房入りかよ。
それだけじゃ終わらない。独房にはボタンを設置してある。24時間以内にどちらか一人がボタンを押せば、すぐに独房から出ていって、そのまま賞金48万ドルを全額独り占めできる。つまり、仲間の賞金を全て奪えるチャンスだ。
それは反則だ。君は押さないだろうね。でも考えてみて、イアンはどうする? 本や映画を盗んだのと同じで、彼がやる前に君が先に押すべき?
前に独房に監禁された時も泣いてただろ、俺が家族と会った時。それから言ってた。あんな場所にはもう二度と戻りたくない。
ここを出れば君が48万ドルゲットだよ。かなり魅力的な提案だよね。そうだと思う。イアンは押すな。そう思う? 押すよ。俺なら先に押す。そうか。
何かいる? 自由。だったらボタンを押せ。
よし、24時間チャレンジスタート。そうだ、それからもう一つ。相手が独房に残っているかどうかは、タイマーがゼロになるまで、分からない。
まったく。最悪だよ、48万ドルが手に入る赤いボタンを犯罪者に託すのが賢いやり方か?
俺は詐欺で刑務所に入ってた男だぜ? そりゃそそられるもんだろ?
イアンが投げだしそうで心配だ。どうすれば裏切らないと信じられる? ここまで色々な経験をともにしたから、裏切ることはないように思えるけど、一人きりになると、物事の見え方が変わってしまうからね。どちらかが押すかも。俺は初めての独房で、イアンは2度目だけど、閉所恐怖症なんだ。
こういう狭くて閉ざされたとこは嫌いだ。俺には全然向いてない。
忘れないで。出たいと思ったらいつでも出られる。そのボタンを押すだけでいい。
正直言って、このカウンターを見たくもない。見てると不安になってくるから、ゴミ袋の一つを時計にかぶせる用に使おうと思う。視界から消すよ。
独房での時間が経つにつれ、相手の賞金があれば何ができるか考えだした。
もしそこの赤いボタンを押せば、賠償金を一発で全額返済できるんだ。出所した時の50万ドルの借金がたった一押しで、全部解決できる。
48万ドルが手に入れば、できることは山ほどある。子供の教育費に、妻と俺の新車に、家ももう一軒、そのボタンを押すだけ。
ボタンを押して、48万ドル手に入れて借金を返して、そして、レニーを裏切る? そうするかも。
賞金について考えるほど、自分が貰うべきだと思うように。
この100日間、俺の方がレニーよりもひどい目に遭ってきた。だって面会で家族にも会えなかったんだ。なんで俺だけレニーの倍の時間を独房で過ごさなきゃいけない? 納得いかない。
彼が押したら、本当につらい。俺も同じくらい努力してきたんだ。イアンが24時間耐えられなければ、彼の囚人としての側面は変わらなかったってことだ。裏切り行為にはうんざりなんだ。もうたくさんだ。
就寝。ここに、イアンが残っていることを祈るよ。
そして100日目。全てはこの24時間にかかっていた。
もし独房にいるなら、中央まで出てきてくれ。繰り返すぞ。独房に残ってた人は、中央まで出てきてくれ。
現在刑務所の両セクションはカーテンで遮られている。2人立っていれば、賞金を公平に分け合える。でも一人だけの場合、君はただ100日間刑務所にいただけ。収穫ナシでね。3、2、1! カーテンを降ろせ!
イエーイ! お互い裏切らなかったな。よくやった! 君達の24万ドルだ、おっといくらか地面に落としたぞ。そしてお祝いに、2人の家族を連れてきた! これで自由の身だ! 二度と刑務所に戻らないようにね。
隔週土曜日に動画アップだから、通知オンよろしく。見て、みんな幸せそう。ほんとによかった。
チーム・ウォーターの寄付にご協力を。1ドルで一年間、きれいな水を届けられる。
記事公開
