警察官と元受刑者が模擬刑務所で100日暮らす──50万ドルを懸けた共同生活と、10日ごとの「提案」

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概要

MrBeast(ジミー)が超厳重警備の刑務所を再現した建物を作り、警察官と元受刑者の2人に100日間そこで暮らしてもらう企画である。100日を乗り切れば賞金50万ドル。ただしどちらか1人でも途中で出ていけば、2人とも賞金はゼロになる。ジミーは10日ごとに2人へ「提案」を持ちかけ、賞金と快適さを天秤にかけさせる。敵対しかねない立場の2人が、最後に相手を裏切らずにいられるかが見どころになる。

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17年の警察官と、連邦刑務所に3年いた詐欺師

参加者は、警察官歴17年のレニーと、連邦刑務所に3年服役していたイアンである。2人が顔を合わせるのはこの日が初めてだった。イアンの罪状は詐欺とマネーロンダリング。本人の説明では、嘘をついて金を借り、それを別の人物に渡して全額を失い、さらに損失額について嘘をついたことが決定的にまずかった。その結果、出所時に50万ドルの借金を抱えていた。この額はちょうど今回の賞金と同じである。

建物は実際の刑務所の設備をそのまま再現しており、トイレも刑務所のものと同じだという。食事は1日3回で、消灯と起床は毎日同じ時刻に決まっている。大量のカメラで行動を監視し、会話もすべて聞かれている。イアンは本物の刑務所と比べて「マットレスが厚めで、枕もある」と言った。本物の刑務所では枕はもらえないという。

初期の生活:いびきと退屈

最初の摩擦は寝る場所だった。2人とも下段のベッドを希望したが、イアンは「刑務所では年上を敬うことになっている」と言って年上のレニーに譲った。ところがレニーのいびきがひどく、イアンは一晩中眠れなかった。床で寝ることも考え、最終的にはベッドの位置を動かして対処した。

生活への適応ぶりは2人で対照的だった。イアンは「実際よりよっぽどマシ」「結構居心地いい」とくつろいでいた。一方のレニーは「ずっと刑務所に入れる側だった」ので落ち着かず、就寝も起床も食事の時間もすべて指示される生活に「おかしくなりそうだ」とこぼした。2人は暇をつぶすため、ベッドフレームをバスケットゴールや懸垂の器具に使い始めた。

10日目:5万ドルのレクリエーションエリア

10日目、ジミーは屋外の運動場を2人に見せた。懸垂マシンとバスケットゴールがあり、1日1時間使える。提案の中身は、この運動場を今後使いたいなら賞金から5万ドルを払うというものだった。2人とも承諾すれば、5万ドルで2人とも使える。1人だけが承諾した場合も5万ドルは払うが、使えるのは1人に限られる。2人は別々の部屋で答えを出し、どちらも「イエス」を選んだ。

レニーはこの時点で、お金に対する考えが大きく変わったと話している。より快適に乗り切るためならお金を使うことに抵抗はなく、快適さを諦めればゴールにたどり着けないと考えたという。実際に1日1時間の屋外時間を得ると、レニーは「残り90日滞在できそう」と思えたことに自分でも驚いていた。

20日目:キッチンか、屋外か

本物の刑務所と同じに作ったため、食事はひどかった。「ジミー看守版ミートローフ」について、2人は冷凍バーガーを解凍してソースをかけただけのようだと評した。レニーは「逮捕した人たちがこんなのを食べていたとは」と驚いている。

20日目の提案は、2人分の決断を1人が代表して下すというものだった。イアンはその役をレニーに任せた。見せられたのは、食材と調理器具がそろったキッチンである。これを使えば毎日3食好きなものを作れるが、代わりに屋外の運動場を手放すことになる。レニーは検討すらせず屋外を選んだ。イアンもそう予想していた。レニーは、妻なら「バスケットボールコートを取らないわけがない」と言うだろうと笑った。

この頃、2人は家族の話もしている。レニーには妻と子どもがいて、皆が自分を頼りにしているので逃げ出すことはできないと語った。イアンは服役中の1年間家族と離れ、その年に父親と会えたのは2日だけ、兄と母には1年間会っていなかったと明かした。

30日目:1人しか使えない図書館

30日目に開放されたのは図書館だった。数百冊の本と雑誌、それにテトリスやマインスイーパーができるパソコンが置かれている。利用は無料だが、残り70日間、毎日1時間入れるのは1人だけで、本の持ち出しは禁止だった。ジミーは2人に数時間を与え、話し合って決めるよう求めた。

レニーが欲しいのは聖書だけだった。イアンは読書を強く望んでおり、「監禁されたことある? マジで辛いぞ」と訴えた。話し合いはこじれていく。レニーが、聖書を読むのは残りを乗り切るためで娯楽のためではないと言うと、イアンは「宗教的な理由じゃないからダメってことか?」と返した。レニーはそうは言っていないと否定しつつ、イアンの態度が理由もなく急に変わったように感じると伝えた。

最終的に、図書館の権利はイアンのものになった。レニーが譲ったのである。レニーはその理由として、10日目の提案でイアンが即座にイエスと答え、2万5千ドルを失っても平然としていたことを挙げた。イアンはすぐにレニーのために動いた。聖書の言葉を書き写して「間接的に読める」ようにし、レニーは感謝した。

イアンは本のページを破ってこっそり持ち出し、房に飾るアート作品にもした。やがて自らを「密輸屋ヴィック」と名乗り、トイレの中を含む房のあちこちに本を隠すようになる。ナレーションはこれを、常にカメラが回るなかでイアンの「犯罪者の側面」が出てきたと表現している。

40日目:何でも1万ドルの店

40日目、じゃんけんで順番を決めて入ったのは2人専用の店だった。ジミーは2人の会話をすべて確認したうえで、欲しがりそうなものを並べていた。中身の分からないミステリーボックスから、普通なら1ドルのハンドボールまで、値段はどれも一律1万ドルで、支払いは賞金からしかできない。

レニーが買ったのはミステリーボックスだけだった。中身は2万ドルで、結果的に金を増やしている。イアンは買いすぎるとレニーが怒るのを気にしながらも、メラトニン、バリカン、アイマスク、色鉛筆、紙、チョコレートなどを次々に買い込んだ。「大金を使って刑務所に入った人間だから、いろいろ並んでいたら我慢できなかった」というのが本人の説明である。レニーは「本当に必要なら自分も1万ドル払って買っていた」と不満を示した。

それでもイアンの買い物は生活を変えた。1万ドルの色鉛筆で描いた絵を房に飾り、1万ドルの紙で紙飛行機を作り、1万ドルのバリカンで散髪した。レニーものちに、イアンが買った耳栓とメラトニンのおかげでよく眠れていると正直に認め、感謝している。

50日目:家族との面会と、「チクり野郎」

店でも買えないものが一つあった。家族との時間である。レニーは家族に会うか電話したいと話し、電話のためなら金を使うとも言っていた。

50日目、ジミーは提案の前に映像を見せた。イアンがズボンに本を隠す場面、本を外に放り投げる場面、本を持って平然と出ていく場面である。本来は50日目に2人の家族を無料で招待する予定だった。しかし規則が破られたため、家族に会えるのは1人だけとなり、しかも100日目まで面会はこの1回しかないという。

イアンは家族と会う権利をレニーに譲った。レニーは、図書館を譲った「お返しに自分を尊重してくれた」と受け止めた。ところがその直後、条件が追加される。レニーが家族と過ごしている間、イアンは独房に入らなければならない。隠していた本もすべて没収された。

レニーは子どもたちや妻と再会した。家族から元気をもらい、この場にいない家族も含めて全員に誇りに思ってほしいと、100日目まで頑張る決意を語った。独房のイアンは、レニーたちの楽しそうな声が聞こえるなかで「まるで犬だ」と怒りを募らせていった。

独房から戻ったイアンは、レニーに「チクり野郎のレニー」というあだ名をつけた。本の隠し場所を告げ口され、本の密輸はイアンの考えだと言われたと責めた。レニーは、ベッドの下はまだバレていなかったと反論した。イアンが、あの密輸は2人が協力できていた証拠なのに売られたと訴えると、レニーは「言葉には気をつけろ」と返した。この後2人の会話は目に見えて減り、イアンはチェスもバスケもやらなくなった。50日を過ぎたばかりで、イアンは「ひたすら家に帰りたい」と口にするようになる。イアンが出ていけば2人とも失格になるため、レニーは関係を修復する必要に迫られた。

60日目:3万ドルのテレビを拒否

60日目の提案は古いテレビだった。映画のビデオとボードゲームを含め、残り40日間、1日1時間使える。代金は3万ドルである。イアンは、1時間では映画1本も観られないこと、ラインナップが「50年代か?」というほど古く好みではないことを理由に、「かなりひどい取引だ」と断った。

テレビが運び出される直前、ジミーはチャンドラーにイアンを調べさせた。下着の中に物を隠していたらしく、ジミーは「前回ルールを破った時は同情を求めていたが、これ以上はダメ」として運び出しを続けさせた。イアンは「じゃあなテレビ、じゃあなタイタニック」と見送った。

この後、2人の状態はさらに悪化する。イアンは10日ごとにひどい目にあっている気がする、家族にも会えず電話もないと訴え、「心も体もボロボロだ」と語った。レニーも自分が短気になっていると認めている。ジミーは80日目に最大の提案を控えていたため、70日目には何も与えず、2人に溝を埋めさせることにした。

それでも関係は戻らなかった。イアンはレニーを「レナード、別名チクる囚人」とからかい続けた。レニーが「人生は素晴らしい」と士気を上げようとしても、イアンは「惨めになるだけだ」と返した。ついにはレニーのほうが、少しでも賞金を持ち帰れるなら今すぐ辞退すると言い出す。残り20日の時点で、企画は失敗しそうに見えた。

80日目:900キロの岩

80日目の提案は、目の前にある900キロの岩だった。岩の中には賞金の入った箱を開ける鍵が埋め込まれている。10日間、毎日1時間ずつ岩を割って鍵を取り出せば10万ドルを得られる。ただし挑戦するには、先に5万ドルを払わなければならない。ジミーは、成功するには2人の協力が必要だと付け加えた。2人は引き受けた。

最初の1時間、2人は休まず岩を叩き続けたが、ほとんど進まなかった。2日目以降、イアンは「行け! レニー」と盛り上げるだけになり、4日目まで傍観していた。落胆したレニーが「チームとして協力しなきゃ」とこぼすと、翌朝イアンの態度が変わった。レニーが疲れるとイアンが交代するようになり、大きな亀裂も入った。

それでも力任せでは限界があった。6時間目も進展はなく、毎日何百回叩いてもびくともしない。イアンは5万ドルを失ったら辞めるとまで言っていた。そこでイアンは、図書館の特権を使って岩に関する本を探した。まず「てこの原理」のページを破って持ち出し試したが、岩は重すぎて持ち上がらなかった。次に見つけたのは、岩の弱い部分にノミを当てるという方法だった。これで岩は真っ二つに割れたが、9時間目はそこで時間切れになった。

最終日、レニーは成功の見込みを五分五分と見ていた。2人は岩の芯を掘り出し、鍵を覆うコンクリートと格闘した。残り10分で鍵が出て、10万ドルを手にした。2人は「サツと詐欺師でやったぜ」と喜び合った。

90日目以降:誕生日、パソコンの窃盗、近づく距離

90日目には提案がなかった。99日目に過酷なチャレンジを用意しているためである。91日目はイアンの誕生日で、レニーがサプライズを用意した。イアンは、刑務所で誕生日を迎えるのは3回目だが、いいルームメイトがいて助かったと話した。

最後の10日間は、2人にとって予想外に最もきつい期間だった。やることが尽きたなか、イアンは図書館のパソコンを持ち出して房に「店を構え」、翌日には椅子も運び込んだ。ジミーは本来罰するべきだと考えたが、99日目が近いため見送った。イアンは、レニーが少し悪さをするのを楽しんでいて、自分にもルール破りを勧めてくると話す。2人は屋外時間を勝手に延ばすこともした。ナレーションは、警察官と犯罪者の距離を縮めたのが盗みだったことを「ドラマチック」だと評している。レニーは、柵の向こう側にいる人々の感覚を理解するために、警察官としてこの経験ができてよかったと語り、後悔はないと述べた。

99日目:48万ドルのボタン

99日目、ジミーは2人に外でも友達になれるかと尋ねた。2人とも「もちろん」と答えた。そのうえで最後のチャレンジが告げられる。2人は24時間、別々の独房に入る。独房にはボタンがあり、24時間以内にどちらかが押せば、その人はすぐに出られて、賞金48万ドルを独り占めできる。相手が独房に残っているかどうかは、タイマーがゼロになるまで分からない。

ジミーから「イアンは押すと思うか」と問われたレニーに対し、イアンは「俺なら先に押す」と言ってのけた。独房に入ったイアンは、48万ドルが手に入る赤いボタンを詐欺で服役した人間に託すのは賢いのか、そそられるに決まっていると独り言を言った。閉所恐怖症を自認し、残り時間を見ると不安になるからと、ゴミ袋でカウンターを覆った。

時間が経つにつれて、2人とも相手の取り分で何ができるかを考え始めた。イアンは、ボタン一つで出所時の50万ドルの賠償金を全額返せると考えた。レニーは、子どもの教育費、夫婦の新車、もう一軒の家を思い浮かべた。イアンは、面会で家族に会えず、独房ではレニーの倍の時間を過ごした自分のほうがひどい目に遭ってきた、だから賞金は自分がもらうべきだと考えるようになっていった。レニーは、イアンが24時間耐えられなければ「囚人としての側面は変わらなかった」ことになると言い、「裏切り行為にはうんざりだ」と語って、イアンが残っていることを祈りながら眠りについた。

100日目:カーテンの向こう

100日目、刑務所の2つのセクションはカーテンで仕切られていた。独房に残った人は中央に出てくるよう指示される。2人とも立っていれば賞金を公平に分け合える。1人しかいなければ、その人は「ただ100日間刑務所にいただけ」で何も得られない。

カウントダウンの後にカーテンが下ろされると、そこには2人とも立っていた。お互い裏切らなかったのである。2人はそれぞれ24万ドルを受け取り、駆けつけた家族とともに自由の身になった。