いびきは腸内環境の問題でもある:下川先生が語る睡眠時無呼吸のセルフチェックと「ベロトレ」

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概要

番組スタッフの三浦君は、家族から「怖い」と言われるほどいびきが大きい。それでも本人は「いびきは誰でもかくもの」と軽く考えていた。腸内細菌を研究する下川先生は、この考えをはっきり否定する。いびきや睡眠時無呼吸は睡眠の質を下げるだけでなく、腸内の酪酸菌を減らす要因にもなる、というのが下川先生の立場である。この回では、いびきと睡眠時無呼吸の違い、8項目のセルフチェック、測定アプリ、医療的な対処、自分でできる対策が順に語られた。

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「いびきを舐めてはいけない」理由

下川先生によると、疲れている日や飲み過ぎた日にいびきをかく程度なら問題は小さい。毎日のようにいびきをかく人は、腸内環境とも睡眠の深さとも強く連動しているという。症状が一歩進んだ段階では、翌日の食欲や太りやすさにも影響し、腸内環境も悪くなる。腸内環境が悪いと睡眠が悪化し、それがさらに腸内環境を悪くするという負のスパイラルにつながる、と下川先生は説明する。

下川先生は三浦君について、いびきのせいで睡眠の効率が4割程度まで落ちている可能性もあると指摘した。下川先生自身は、普段はいびきをかかないという。泥酔して記憶がないような日には盛大にかいていたと周囲に言われたことがあるが、それは例外的な場面だとしている。

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単純性いびきと睡眠時無呼吸の違い

下川先生は、いびきを睡眠時無呼吸症候群の「入り口」と位置づける。まず知るべきなのは、自分のいびきが単純性のものか、睡眠時無呼吸に進んでいるかだという。

仕組みは口笛にたとえて説明された。寝ているあいだは気道が狭くなる。口笛は唇をすぼめて通り道を狭くすると音が鳴るが、いびきも同じで、狭くなった気道を空気が通るときに音が出る。睡眠時無呼吸では気道が完全に閉塞し、呼吸が浅くなる低呼吸や、止まってしまう無呼吸が起きる。苦しくて目が覚める状態も含めて睡眠時無呼吸と呼ぶ、という説明である。下川先生は、いびきが大きい人は本来なら睡眠外来で診断を受けてほしいと述べたうえで、この動画の目的は悪影響を知ってもらい、自分がどうなのかを考えるきっかけにしてもらうことだとした。

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1700人規模の研究と、1万人超のデータ

いびきを取り上げた理由について、下川先生は腸内環境へのマイナスの影響が大きいからだと話す。いびきや睡眠時無呼吸がある人とない人を1700人単位で比べた研究があり、そこでははっきり差が出て、減っている菌があった。それがフィーカリバクテリウムなどの酪酸菌である。乳酸菌やビフィズス菌はよく知られているが、腸内で最もインパクトが大きいのは酪酸菌だと下川先生は考えている。

下川先生のグループは東京医科大学の永田先生と共同研究を行っている。自社の腸内フローラ検査のデータと合わせると1万人を超え、ショットガンシーケンスによる深いデータをこれだけの量持っているのはおそらく自分たちのグループだろう、と下川先生は見ている。

検査を受けた人から「これだけ食事に気をつけているのにショックだ」と言われることが時々あるという。下川先生は、腸内環境を決めるのは食事だけではないと答える。睡眠時間の長さや睡眠の効率も関わり、時間は足りていても深い睡眠が少ないケースがある。その原因がいびきや睡眠時無呼吸であることもある。運動不足も同じように腸内環境に関係する要素として挙げられた。

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8項目のセルフチェック

下川先生が紹介したのは、睡眠時無呼吸の可能性を見る8項目のチェックである。

  1. 大きないびきをかく
  2. 日中に疲労感や眠気がある
  3. 睡眠中の無呼吸を目撃されたことがある
  4. 高血圧の治療を受けている、または指摘されたことがある
  5. BMIが35を超えている
  6. 50歳を超えている
  7. 首回りが40cmを超えている
  8. 男性である

下川先生の説明では、3項目当てはまると重症の睡眠時無呼吸である確率が25%になる。そこから1点増えるごとに約10%ずつ上がり、4点で35%、5点で45%になるという。

三浦君の場合、大きないびきと日中の疲労感・眠気は当てはまった。無呼吸を目撃されたことはなく、高血圧の指摘もない。BMIは30を超えているが35には届かず、年齢も50歳未満である。首回りはシャツを作ったときに40前後の数字を見た気がするという曖昧な答えだったため、試しに丸を付けた。男性である点も当てはまる。首回りを除いても最低3点で、下川先生は見た目から4点、つまり35%程度ではないかと推測した。最近また太ったという話も出ており、このまま体重が増えてBMIが35に達すれば5点、45%になるという。

下川先生はさらに、隣でいびきをかいている夫がいる女性の視聴者に向けても話した。そうした夫は日中の眠気や疲労感がほぼ確実にあり、男性であることと合わせて3点に達するはずだという。3点以上の人には、この動画をきっかけに一度検査を受けてほしいと呼びかけた。

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ほかのサイン:朝の頭痛、口の渇き、夜間の尿

8項目以外のサインとして、起床時の頭痛や口の渇き、夜間に1〜2回トイレに起きることが挙げられた。三浦君は朝の頭痛が時々あり、夜間の尿もほぼ毎晩1回あると答えた。下川先生は、三浦君の年齢で前立腺の問題があるとは考えにくく、寝る前の一気飲みや飲酒の習慣もないことから、かなり怪しいと判断した。簡単な相談で済むと思っていた三浦君に対して、睡眠クリニックで診断を受けた方がよいレベルだと伝えている。

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アプリ「いびきラボ」で数値化する

一人暮らしや別室で寝ていて、いびきを指摘してくれる人がいない場合は、数値化を勧めている。紹介されたのは「いびきラボ」というアプリである。有料だが、すぐに解約すれば無料で使える仕組みがあるという。下川先生自身もすぐに無課金に切り替えたうえで、まず7日間ほど計測してみることを勧めた。

使い方は、寝るときにアプリのマイクボタンを押すだけである。いびきが大きければグラフが大きく振れ、スコアとして表示される。下川先生自身のスコアは低く、いびきはほぼなかったという。

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治療としてのCPAPと、睡眠効率の低下

本当に病気と診断された場合は、CPAPという医療機器がある。下川先生は、無呼吸になるところに外から無理やり空気を送り込むものだと説明した。CPAPを使っている知人はとてもよく眠れるようになったという。保険が効き、費用はだいたい月1万円弱になると下川先生は述べている。

睡眠効率への影響について、下川先生は次のような数字を挙げた。軽症の睡眠時無呼吸でも睡眠の効率は7割になり、1時間に5回無呼吸があるだけで、本人は7時間寝ているつもりでも実際は5時間程度しか寝ていないことになる。重症の場合は6割、あるいは4割まで下がり、5時間寝ても3時間分にしかならない、という例も示された。さらに、6時間睡眠を1週間続けると翌日の脳のパフォーマンスは泥酔状態と同じになるという話も紹介された。日本人の理想は7時間半程度とされるため、6時間睡眠でも毎日1時間半足りていない計算になる、と下川先生は指摘する。

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因果の向き:低酸素がなぜ酪酸菌を減らすのか

三浦君は、酪酸菌が少ないからいびきが出るのか、いびきが出るから酪酸菌が減るのかを尋ねた。下川先生の答えは後者で、今回の件については、いびきや無呼吸が原因で酪酸菌が減っている流れだという。

説明は次のとおりである。無呼吸で呼吸が減ると体は低酸素になる。酪酸菌は酸素を嫌う菌なので、低酸素ならむしろ増えるのではと思うかもしれない。しかし実際には、体は酸素が足りないことに反応して、体内の酸素を何とか高めようとする方向に動く。その結果、酸素を嫌う酪酸菌が減る。下川先生は、これを「ざっくり言うと」と前置きしたうえで、見落とされがちな盲点だと述べた。

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健康診断では見つからない病気

下川先生の知人で30代の経営者は、太っていないにもかかわらず、アプリのいびきスコアが100点中40点ほどあり、検査でおそらく中等度の睡眠時無呼吸と分かったという。下川先生は、想像以上に多くの人に起きていると考えている。

隠れ糖尿病や隠れ高血圧は、年1回の血液検査や血圧測定、人間ドックで見つかる。一方、睡眠時無呼吸は同じ生活習慣病のゾーンにあるのに、普通の健康診断では一切調べない。だから自分で早期発見する意義が大きい、と下川先生は話す。睡眠の質のために3万円の枕を買うなど周辺から固めても、6割、7割の睡眠効率になる無呼吸があるなら意味がない、とも述べた。

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対策1:減量と寝酒をやめること

対策の1つ目は減量である。下川先生は三浦君について、重症ではなく、BMI28以上の肥満を伴う軽症の睡眠時無呼吸ではないかと見ている。体重を落とせばBMIの項目が消え、首回りの脂肪も減って40cmの項目も消える可能性があるため、減量だけでチェック項目が2つ減るという。

2つ目は就寝前の飲酒である。寝酒をするだけで1時間あたりの無呼吸が2.33回増えるという。1時間に5回が基準とされるなかで、そのうち2回強がアルコールで上乗せされる計算になる、と下川先生は説明した。三浦君は酒を飲まないため、この項目は関係しない。

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対策2:効果が分かれるグッズ

下川先生は、いびきの大きい39人が自宅で3か月間取り組んだ研究を紹介した。ある方法で、いびき指数が99.5だった人が48まで下がったという。比較対象になったのは、多くの人が効くと思っている鼻腔拡張テープで、こちらはあまり変わらなかった。下川先生は、鼻に貼るテープはあまり意味がないらしいと述べている。

口テープについては、睡眠時無呼吸かどうか分からない状態で使うことは勧めないという。1時間に5回、10回と呼吸が止まっている可能性がある人が、さらに呼吸しにくくするのは単純に危険ではないか、というのが理由である。いびき防止のスプレーや枕については、質の高い研究がないため、効果があるとは言いにくいとした。

より手軽な方法として、横向きで寝ることも挙げられた。横向きで寝ると1時間あたりの無呼吸が1回強減るという。逆流性食道炎には左向きがよいという話にも触れつつ、根本的な解決ではないが、いびきや無呼吸が減ることは分かっているので、やらないよりやった方がよいと位置づけている。

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対策3:いびきを半分にする「ベロトレ」

研究でいびき指数をほぼ半分にした方法は、舌の筋トレ(ベロトレ)である。全部で10種類ほどあり、それぞれ10回から20回ほど行う。下川先生は細部は各自で調べてほしいとしたうえで、動画内でいくつかを紹介し、三浦君が実演した。

  • 舌を前に出し、口の中に戻しながら舌先で上あごをなでるように奥へスライドさせる(20回)
  • 舌全体を上あごに強く押し付けて3秒キープする
  • のどちんこが見えるくらい口を開け、上あご奥の柔らかい部分(軟口蓋)を持ち上げて1秒キープする
  • 舌先を下の前歯の裏に当てたまま、舌全体を下あごに押し付ける
  • 口を閉じて5秒かけて息を吸い、頬をすぼめて5秒キープする
  • 背筋を伸ばして真上を向き、舌を前にリズミカルに5回突き出し、鼻をなめるつもりで3秒キープする
  • 口に唾液をためて舌先を唇の間から出したまま飲み込む
  • 顔が天井と平行になるほど上を向き、天井にキスをするように唇を突き出す

三浦君は途中で「痛い」と言い、唾液の飲み込みは難しいと話した。一通り終えると首まわりが温かくなったという。下川先生は、今は柔らかいものを食べることが多いため、このあたりの筋肉はどんどん衰えると説明する。紹介した動きは、高齢者の口腔内マッサージでやってもらう内容と同じだという。高齢者にとっては誤嚥性肺炎が大敵で、嚥下に関わる筋肉が弱ると、食べ物が食道ではなく気道へ流れてしまう。その筋肉を鍛えるのと同じ運動で、いびきも半分にできるというのが下川先生の説明である。目安は1日1回、10種類を行うことだとした。

結論:まず8項目、次にアプリ、そして睡眠クリニック

下川先生がこの回で最も伝えたかったのは「いびきを舐めるな」ということである。手順としては、まず8項目のうちいくつ当てはまるかを確認する。それでも分からなければいびきラボで計測し、怪しければ睡眠クリニックを受診する。睡眠クリニックは最近増えており、受診は基本的に保険が効くという。

診断の結果、CPAPを使うことになるかもしれないし、まだ軽症だと言われるかもしれない。いずれの場合も、グッズだけですべて解決するほど甘くないことはデータで示されていると下川先生は述べ、減量とベロトレの継続を勧めた。腸活というとすぐヨーグルトが挙がるが、いびき対策も腸活の一つであり、いびきは酪酸菌の減少に直結している、というのが下川先生の締めくくりである。近くで寝ているパートナーのいびきがうるさい人には、この動画を無理にでも見せてほしいと呼びかけた。かなり堪えたと話す三浦君自身も、まだ診断を受けておらず、自分が単純性のいびきなのか睡眠時無呼吸なのかは分かっていない。