青汁1杯で野菜不足は埋まらない:食物繊維量とエビデンスから見た青汁の使い方

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概要

腸活を始めた聞き手は魚を食べるようになったが、野菜を食べる習慣がない。とんかつに添えられたキャベツの千切りでさえ、残したのをどう隠すか考えていたという。そこで調べて見つけたのが青汁で、日頃の野菜不足を青汁で埋めればカバーできると考えた。

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これに対して下川先生は「残念」と返す。先生によれば、青汁を作っているメーカーに罪はない。問題は、スティック1本で足りない野菜をすべて補えると思い込む消費者の側にある。先生はこれを青汁を否定する話ではないと断ったうえで、青汁を理解して賢く使うこと、そして野菜不足を補うにはどのくらいの量が必要かを、エビデンスをもとに説明した。

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市販の青汁1本に含まれる食物繊維

先生はまず、市販の青汁に含まれる食物繊維の量を比べた。キューサイの「ザ・ケール」は1本7gで食物繊維2.7g、ヤクルトの「私の青汁」は4gで1.3g、ファンケルの「1日分のケール青汁」は10gで1.3g、伊藤園の「毎日1杯の青汁」糖類不使用は5gで3.9gである。

先生は、青汁には余計なものがあまり入っておらず、それ自体は良いものだと評価する。ケールなどの野菜をそのまま食べるのは大変なので、フリーズドライにして栄養素を保ったまま摂ろう、という発想の製品だと説明した。

日本人はどれくらい野菜が足りないのか

次に先生は、実際の摂取量と推奨量の差を示した。健康日本21が定める1日の野菜摂取目標は350gである。ただし先生は、厚生労働省の基準はやや緩いと見ている。理想の数値をそのまま目標にすると現状との差が大きすぎるためで、塩分でもWHOの推奨量、日本の基準、実際の摂取量の間に同じような開きがあると例を挙げた。

先生によれば、海外の論文でよく示される野菜の量は1日450〜550gである。一方、日本人の実際の摂取量は250g程度にとどまる。先生は野菜不足をそのまま食物繊維不足と捉えており、腸活のチャンネルでこの話をする意味はそこにあると述べた。理想は450gに向けて200gほど増やすことだが、厚生労働省はまず100g増やして350gを目指そう、という段階的な目標にしている、というのが先生の解釈である。

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野菜不足を青汁で補うには何本必要か

野菜をフリーズドライにすると、重さはおよそ5分の1、物によっては10分の1になるという。そうすると、足りない100gを補うには粉末で約20g、先生が望ましいとする200gなら約40gが必要になる。

この数字と比べると、4gの製品ではまったく足りない。ファンケルの製品は10gと量が多いが、食物繊維は1.3gしかない。先生は、青汁には食物繊維がたっぷり入っていそうな印象があるが、実際はそれほど入っていないと指摘した。野菜の代わりにしようとすれば、お茶の代わりに一日中青汁を飲むような状態になってしまう。そのため、青汁に何を求めるのかをはっきりさせる必要がある、というのが先生の主張である。

1本10gの製品で計算しても、100g分を補うには2本、200g分なら4本が必要になる。先生は、1本でどうにかしようとせず、最低でも2本からと考えるべきだとした。

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青汁のエビデンスは意外に少ない

先生がここまで量にこだわる理由は、青汁の効果を示すエビデンスが意外に少ないからだという。

効果が報告された研究の一つでは、ケールのフリーズドライ粉末を1日14g使っており、そこに含まれる食物繊維は約5gだった。この臨床研究では便通の改善が確認されている。先生によれば、この研究で使われた量はそもそも多い。ザ・ケールの7gスティックなら2本でこの研究と同じ量になり、食物繊維もほぼ同じになるので、便通が良くなる可能性はあるという。

もう一つ先生が挙げたのは、1回26.25gの粉末を朝昼晩の3回、1日合計78.75gを摂取した研究である。これを糖尿病の人が12週間続けたところ、HbA1c、体重、摂取カロリーのいずれも有意に改善した。ただし、7gスティックに換算すると1日10本以上になる。先生の説明では、この量は生のケール約340gに相当し、ここでもおよそ5分の1になる計算だ。

こうした研究を踏まえ、先生は、青汁が良いと言える研究の多くはかなりの量を飲んでいると見ている。1杯で同じ効果を期待するのは、エビデンスから見ても難しいのではないか、というのが先生の考えである。

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腸内細菌への影響と、青汁が登場しなかった理由

聞き手は、腸内細菌に少しでも良い影響があるなら飲まない理由はないのではないかと尋ねた。先生によれば、1日14g(食物繊維5.1g)のケール粉末を使った先ほどの研究では、腸内細菌はそれほど変化しなかったようだという。

先生は続けて、青汁が腸にとても良いのなら、自分はサイリウムやサンファイバーではなく青汁を勧めているはずだと述べた。チャンネルを始めて約1年になるが、青汁を取り上げたのは今回が初めてで、それだけ自分は青汁にあまり関心がないのだという。

一方で、ケールそのものは良いと評価しており、サラダにケールを加えるのは良い方法だとした。生の野菜を大量に食べるのが難しい場合は、味噌汁を取り入れる、主食をもち麦に替えるなど、チャンネルで普段勧めている腸活の方法で不足分を補えばよい、というのが先生の提案である。

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野菜を食べる5つの理由

聞き手に「そもそも野菜を食べる意味は何か」と問われ、先生は野菜から得られるものを順に挙げた。

1つ目は食物繊維である。2つ目はビタミンとミネラルで、ビタミンC、ビタミンK、β-カロテン、カリウム、マグネシウムなどが摂れる。3つ目はポリフェノールなどのファイトケミカルで、カロテノイド、ケルセチン、ブルーベリーにも含まれるアントシアニンなどがある。先生はこれらが腸管バリアの維持に役立つと説明した。4つ目は、ブロッコリー、ケール、キャベツ、大根などのアブラナ科野菜に含まれる辛味成分のイソチオシアネートで、腸内環境に良いことが分かっているという。5つ目は見落とされがちな硝酸塩である。口から摂った硝酸塩から一酸化窒素が作られ、その働きで血圧が下がるといった効果があると先生は述べた。

先生は、これらを踏まえれば野菜は食べた方がよく、「青汁を飲んでいるから大丈夫」とはならない、という点が伝われば今回は十分だと語った。果物も含めて摂取量を増やしてほしいという。

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増やせば増やすほど良いのか:800gという上限

では野菜は多ければ多いほど良いのか。先生は、健康効果が伸びるのは1日800gまでで、そこで頭打ちになるという研究を紹介した。がんに対しては600g程度で頭打ちになるようだという。

2017年に発表された研究として先生が挙げたデータでは、果物と野菜を1日200g増やすごとに全死亡リスクが0.9倍、つまり約10%下がる。脳卒中では0.84倍で16%、心血管疾患では8%下がる一方、がんは約3%しか下がらない。先生はこの結果から、野菜とがんの相性が悪いとは言わないものの、がんへの影響は小さく、特に脳の血管の病気に対して効果がありそうだと解釈している。

上限はあるものの、日本人の摂取量は現状250g程度で、海外の論文は450〜550gを示している。先生は、あと200g食べるだけでもその分の恩恵を受けられることが分かっていると強調した。

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どの野菜をどう選ぶか

聞き手は、友人がボウル山盛り2杯分のキャベツの千切りを夕食代わりに食べるダイエットをしていたと話した。先生は、1種類の野菜だけで済ませるやり方は本当は避けたいと答えた。

その根拠として先生が挙げたのは、植物性の食品を週に30種類以上食べることに関する研究である。30品目以上の植物性食品を食べる41人と、10種類以下で毎回同じものばかり食べる44人を比べると、30品目を食べている人の方が明らかに腸内細菌の多様性が高かったという。よく言われる「30品目」にはこうした理由がある、というのが先生の説明だ。

そのうえで先生が勧めたのは次のような食品である。アブラナ科では、キャベツも該当するが、ブロッコリー、発芽したブロッコリースプラウト、ケールも良い。食物繊維やβグルカンの観点ではきのこ類、さらに色の濃い緑黄色野菜も挙げた。根菜類はオリゴ糖も摂れるとして、ごぼうやれんこんを勧めた。

先生は、ある本で1日にごぼうを2本食べるという苦行のような方法で花粉症を治した医師の話を読んだと紹介したうえで、今はもっと効率的な方法があると述べた。野菜は食物繊維のためだけに食べるものではないので、ビタミンやミネラル、ファイトケミカルも含めて幅広く摂ってほしいという。

もう一つ重要な食品として先生が挙げたのが豆類である。聞き手は最近枝豆をよく食べるようになり、以前の撮影で訪れたコストコではミックスビーンズを買ったという。そのコストコにも青汁が売られていたが、聞き手によると、先生は一度手に取ったものの棚に戻していた。先生は、実は自分はあまり青汁推しではないと認めた。

結論

先生の結論は、青汁自体は悪くないが、野菜不足の差を青汁1杯ですべて埋めるのは難しい、というものである。効果を示した研究はスティック2本分から10本以上に相当する量を使っており、市販品1本の食物繊維は1〜4g程度にとどまる。青汁を使うなら目的をはっきりさせ、最低でも2本を目安にすること。そして本来は、多様な野菜や果物、豆類を実際に食べる量を、現状の250g程度から200g増やすことが、先生の勧める方向である。