腸内細菌の専門家・下川先生が選ぶ「推し菌」5種と、それぞれを増やす食べ方

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概要

腸内フローラ検査を手がける下川先生が、自分の「推し菌」5種をランキング形式で紹介した回である。下川先生によれば、腸内環境を良くしようとするとき「なんとなくヨーグルト」「なんとなく発酵食品」では足りない。どの菌を増やしたいのかという目的地を持つべきだという。今回は、注目度は低いが重要だと考える菌に、テレビCMで知られる乳酸菌製品と対比して「地下アイドル」のたとえを使い、光を当てようとしている。進行役との掛け合いを交えながら、各菌の役割と餌になる食材が順に説明された。

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ランキングの前提:約3000件の検査データ

下川先生のチームが行ってきた腸内フローラ検査は、まもなく3000件に達するという。受検者の男女比はおおよそ男性55%、女性45%である。一人ひとりが持つ菌の種類を全員分合わせると、未知のものを含めて約2800種類になると先生は説明する。それぞれの菌について良い面と悪い面を調べてきたうえで、「本当に推していきたい」菌を選んだのが今回のランキングだ。

先生は、L-92やR-1のような菌も良いと思うと前置きしている。そのうえで、CMで流れる菌ほど売れていき、自分が推す菌は誰にも知られていない、と現状を表現した。菌を「キャラクター化」して見えるようにすれば、ある食品を食べることがどの菌のためになるのかが分かりやすくなる。先生はそれが視聴者にとっての利点だと考えている。

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1位:フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイ

1位は進行役が予想したとおり、フィーカリバクテリウム・プラウスニッツイだった。先生によると、腸内細菌の分野では、研究が進むと評価が覆る菌が珍しくない。悪いと思われていた菌に良い面が見つかったり、良いとされていた菌に悪玉の系統がいると分かったりする。これに対してこの菌は「デビューからずっと」評価が上がり続けているという。先生は、この菌がいるかいないかで健康な腸かどうかを判断してもいいのではないか、と言うほどの位置づけをしている。

役割は大きく二つある。一つは酪酸を作ること。先生は、乳酸菌やビフィズス菌などさまざまな菌がいる中で、今は「酪酸をどれだけ作れる体か」が非常に重要だと述べる。もう一つは、この菌が持つタンパク質に強い抗炎症作用があることだ。先生はこれを「お腹の中の消防署」「ムキムキのイケメン消防士」とたとえた。IBD(炎症性腸疾患)の患者ではこの菌が少ない人ほど再発や発症が起こりやすく、大腸がんの人でもこの酪酸菌が枯渇していると言われているという。

検査データでの実態についても触れた。数千人分を見ると、この菌がほとんどいない人も「まあまあいる」。一方で、全体の7割ほどは保有している。メジャーな菌ではあるが、占める割合は人によってかなりばらつくという。先生はさらに、老化を防ぎたいとき、腸のバリア機能を保って腸漏れを防ぎたいときにも、この「火消し役」がいないと厳しいと話す。この話題の中で、自身がInstagramで老けないための30項目を解説するサブスクリプションを行っていることにも言及した。

酸素との関係も説明された。人間の体には高酸素が良いというイメージがあるが、大腸の奥では酸素濃度が低いほうが望ましいと先生は言う。大腸菌の一部のように、感染時に下痢の原因になる菌は、酸素がまったくない環境では生きられず、中途半端に酸素がある状態を好む。プラウスニッツイが腸内の酸素を減らしてくれるので、そうした悪玉菌が定着しにくくなる。先生はこの菌を「スーパースター」と呼んだ。

増やすための食材として先生が挙げたのは、ごぼう、玉ねぎ、にんにく、アスパラガス、菊芋である。これらにはイヌリンという食物繊維やフラクトオリゴ糖が含まれる。ゴールデンキウイも「すごい」と評価した。サプリメントならイヌリンも選択肢になる。ただ先生は、イヌリンを一気にとるとガスが溜まりやすいので、あまり好きではないという。とる場合は少しずつ、というのが先生の勧め方だ。

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2位:ブラウティア・ウェクセレラエ

2位も進行役が当てた。ブラウティア・ウェクセレラエである。1位が「酪酸菌の王様」なら、こちらは「酢酸菌の王様」だと先生は位置づける。酢酸、コハク酸、乳酸などを出す菌で、この菌が作った酢酸を1位のプラウスニッツイが食べる。先生はこれをリレーにたとえた。アンカーが「消防署の男前」プラウスニッツイで、その一つ手前を走るのが「シュッとした細身」のブラウティアだという。

酢酸のほかにアミノ酸も多く作り、たとえば睡眠に関係するL-オルニチンも生み出すという。先生によれば、この菌が多い人は肥満とは逆の傾向にあり、糖尿病とも逆の関係にある。

食材として進行役がもち麦を挙げ、先生も同意した。先生の提案は、ご飯の3分の1をもち麦にし、1日2膳程度、精製された炭水化物をやめて全粒穀物に置き換えることだ。全粒粉のパンやパスタ、十割そば、豆を使ったパスタなども例に挙がった。先生はさらに、全粒穀物を食べれば精製炭水化物が減り、その結果、歯周病菌が腸に定着しにくくなる点を重要視している。歯周病菌が腸に定着すると炎症を生むので、その機会を奪う意味もあるという。

ブラウティア・ウェクセレラエのサプリメントはまだ存在しないそうだ。先生は根拠としてマウス実験を紹介した。高脂肪食を与えたマウスに、食事を変えずにこの菌を週3回投与しただけで、体重も体脂肪も減ったという。ただし市販品がない以上、今は食事で増やすしかない、というのが先生の結論である。

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アッカーマンシア菌を入れなかった理由

進行役は、ブラウティアと並ぶ「痩せ菌」として以前教わったアッカーマンシア・ムシニフィラが3位に来ると予想していた。しかし先生はこれを外した。

先生の説明はこうだ。アッカーマンシアは、欧米ではブラウティア・ウェクセレラエ並みに、いるかいないかで痩せやすさや糖尿病のなりにくさが変わると言われている。ところが日本人では、そもそも保有者が3分の1ほどで、持っている人でも占める比率がかなり少ない。自分たちの数千件のデータで調べても、アッカーマンシアの有無と痩せているかどうかはまったく関係がなかったという。

一方で、この菌の死菌を、もともと持っていない人に飲ませると効果が出ることは認めている。食欲が減るなどの体感が出たというデータもあるそうだ。ただ今回の「推し菌」は、日本人の腸にすでにいる菌の中から選んでいるので外した、というのが先生の整理である。先生はアッカーマンシアを海外の大物アイドルグループに、自分の推しを日本の「地アイドル」にたとえた。アッカーマンシアが劣っているわけではない、とも付け加えている。

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3位:ビフィドバクテリウム・ロンガム

3位はビフィドバクテリウム・ロンガムである。いわゆるビフィズス菌の仲間だが、先生は「ビフィズス菌なら全部スーパースター」という見方を否定した。同じ属にもビフィドバクテリウム・デンティウムという悪玉菌がいるので、属名だけでなく菌種まで見なければ意味がないという。その中でロンガムは、エビデンスがあり、全世代にわたって腸にいる菌として選ばれた。0歳から、記録上は最大104歳までずっといるとして、先生は「寄り添い型のアイドル」と呼んでいる。

役割は、糖を分解して酢酸を効率よく作ることで、その点ではブラウティアに近い。進行役に「痩せ菌なのか」と聞かれると、先生は「まだそうではない」と答えた。もう一つの重要な働きは腸内のpHを下げることだ。pHが高くなると、真菌であるカビの一種がはびこったり、悪玉菌が出てきたりしやすい。先生によれば、pHが0.5や1変わるだけで腸内は「全然違う世界」になるので、それを上がらないように抑え続けているのがロンガムだという。免疫や腸管バリアにも影響するとして、1位へのバトンをつなぐ第2〜3走者の位置にいる重要な菌だと説明した。

餌になるのは乳糖である。人間が分解しきれなかった乳糖が大腸に届き、ロンガムの餌になる。乳製品は悪く言われがちだが、先生は最近の見方は「そこまで悪くないのでは」という方向になっていると話す。先生自身は乳糖が苦手で、乳糖の少ないオイコスなどのギリシャヨーグルトを選んでいる。乳糖が大丈夫な人なら普通のヨーグルトも食べたほうがいいと述べた。発酵食品のほうがレベルは高く、乳糖量も牛乳より少ない。そのため、牛乳を積極的にとるべきかはいったん置いておき、ヨーグルトは毎日の習慣にしてほしいという。

ここで先生は注意点を挙げた。「ビフィズス菌をとればいい」と考えがちだが、外からとった生きたビフィズス菌は、ほとんどの場合、腸に定着しなさそうだという。ビオフェルミンをずっと飲んでいるのにビフィズス菌がほとんどいない人もあり得るとして、外から入れれば勝手に増えるわけではないと強調した。ほかに、納豆、豆腐、豆乳など大豆オリゴ糖を含む食品も良いとし、日本人はもともと他国よりビフィズス菌が豊富だとも述べた。先生自身はかつてビフィズス菌が少なく、乳糖不耐のため乳製品を片っ端から排除していた。しかし今は、とれるものは積極的にとるようにしているという。

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4位:ルミノコッカス・ブロミー

4位のルミノコッカス・ブロミーについて、先生は「これまでまったく光を浴びていない菌」だと紹介した。派手な働きはしないが、バスケットボールで点は取らないものの重要なポイントガード、パサーのような存在だという。この菌はレジスタントスターチを分解し、その成分をプラウスニッツイなど酪酸を作る菌へ「パス」する。アイドルグループでいえば、センターで輝く役ではなく、まとめ役のリーダーにあたるとたとえた。

レジスタントスターチを含む食材として、先生は次のものを挙げた。炊いてから冷ましたおにぎり、マッシュポテトやポテトサラダ、まだ熟していない青めのバナナ、それに温かい状態ではなく冷えた状態でサラダに入れたひよこ豆である。こうした食品でブロミーに餌を与え、その分解産物を酪酸につなげる流れだと説明した。

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5位:ロゼブリア・インテスティナリス

5位はロゼブリア・インテスティナリスで、これも酪酸菌である。役割はプラウスニッツイと似ているが、常にその陰に隠れている、と先生は言う。プラウスニッツイとロゼブリアは「二大酪酸菌」と呼ばれるものの、データで目立つのは毎回プラウスニッツイのほうだ。バスケットボールでたとえれば、点は取るがエースではない「常に2番手」だという。

それでも重要性は変わらないと先生は強調する。ビフィズス菌などから受け取ったものを酪酸に変える役割があり、病気があると一貫してロゼブリアが減るという。また、牛肉ばかりを5日間食べるような食生活を続けると、ロゼブリアは大きく減るとも述べた。

増やし方について先生は、ここまでの1〜4位のための食事をしていれば自然に増えると答えている。全粒穀物もそうだし、まだ挙げていなかったオートミールなどβグルカンを含む食品も関係がありそうだという。特に4位のブロミーから「パス」を受ける関係にあるので、ロゼブリアを直接狙わなくても、ブロミーを増やせばロゼブリアにパスが回っていく、という説明だった。

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検査結果の基準データの変更

終盤で先生は、自社の腸内フローラ検査の結果表示をリニューアルしたことに触れた。以前は、健康なボランティア100人に配った検査を基準にしていた。今回は、実際に購入した数千人分のデータを基準にしたので、より近い条件の人と比べられるようになったという。先生は、平均と比べて自分がどうなのか、食生活を変える前と後で今回の菌が増えたのかを、検査で確かめてほしいと話す。データが増えたことで、どんな食生活や生活習慣の人にどの菌が多いかという傾向を示し、他の人と比べながら助言できるようになるとも述べた。進行役は、それを次の企画にできれば面白いと応じている。

下川先生は最後に、今回の5種を「絶対に売れる地下アイドルたち」だと言い、ぜひ自分の腸でチェックしてほしいと呼びかけて締めくくった。