大人になっても足は速くなるのか――櫛部静二監督と三田翔平さんが語る市民ランナーの練習の組み立て方
PIVOT 公式チャンネル大人になってからでも足は速くなるのか。PIVOT SPORTSの後編では、元NHKアナウンサーの西川典孝さんが聞き手となり、城西大学男子駅伝部監督の櫛部静二さんと、子ども向けランニングクラブ「KIZUNA TOKYO」を主宰する城西大学OBの三田翔平さんに、市民ランナー向けの具体的な練習法を聞いた。前編で扱った「VO2max(最大酸素摂取量)」「乳酸性作業閾値」「ランニングエコノミー」という3要素を、市民ランナーがどう練習に落とし込めばよいかが主題である。両者に共通していたのは、数字や流行りの言葉にとらわれず、練習の目的を考え、自分の体を知ることが先だという立場だった。
40代・50代が多い市民マラソンの現状
西川さんはまず、走るビジネスパーソンが増えていることを示すデータを紹介した。2024年度のフルマラソン年間完走者は前年度から約2万人増えて33.6万人となった。週1日以上運動する大人の割合は、およそ10年で1.3倍になったという。フルマラソンの平均タイムが最も速いのは42歳で、完走者数が最も多い年齢は50歳だった。西川さんは、若い人がそもそもフルマラソンに出ないという事情もあるだろうと断りつつ、年齢が上がっても挑戦する人が多いと指摘した。サブスリー(3時間切り)の男性ランナーは10年で1.5倍に増えており、2012年度の3%から、最新データの2023年度には4.4%になった。
東京マラソン財団のスクールでも指導する三田さんは、自身の実感として、40代から50代の受講者が非常に多いと話した。走り始めるきっかけは、お腹が出てきた、健康診断の数値が気になったといったものが多く、いちばん手軽な運動としてランニングを選ぶ人が目立つという。そこに、この年代ならではのお金と時間の余裕が加わっている、と三田さんは見ている。
西川さん自身は36歳で、筋トレとランニングを組み合わせたフィットネスレース「HYROX」に出場した経験を持つ。HYROXは批判されているのも目にするが、出る側としては楽しく、運動することの良さを改めて感じたという。この体験は、後半の乳酸性作業閾値の話題で具体的なデータとして再び登場する。
「速さはお金で買う時代」――シューズ・タイツ・時計の進化
市民ランナーの増加を後押ししているものとして、三田さんはまずシューズを挙げた。40歳以上の受講者からは「速さはお金で買う時代だ」という声をよく聞くという。前編で話題になったVO2maxについても、食べるだけで数値が上がる可能性があるとされる製品が大塚さんから出ていることに触れ、お金を出して速くなれるならそうしたいという気持ちがあるのだろうと話した。それと並んで、SNSや情報番組を通じて新しい情報を取り入れる人が増えたことも大きいと三田さんは見ている。
前編で城西大学の低酸素環境でのトレーニングが紹介されていたことを受け、西川さんが市民ランナーには敷居が高いのではないかと尋ねると、櫛部監督は、最近は街のいたるところに低酸素ジムがあると答えた。実は西川さん自身も低酸素ジムでトレーニングしていたという。
櫛部監督は、カーボンプレートの有無でシューズは明らかに違い、履いて走ると「なんて楽しいんだ」と感じるはずだと語った。三田さんは、シューズもタイツも時計もデザインがかわいく、かっこよくなったと付け加えた。中学・高校で400mをやっていた西川さんは、きつくてただ走るだけと思われていた陸上がおしゃれなものになったことに驚いている、と率直に述べている。
タイツについて櫛部監督は、最近の製品は体のラインに沿ってアシストするように作られ、脚が上がりやすくなっていると説明した。城西大学の選手のなかには、骨盤を締めるベルトのような機能が付いたタイツを使っている選手もいるという。三田さんは、年配のランナーには骨盤に問題を抱える人もいて、そこを締めると安定して楽に感じる人が多いと述べた。筋肉の揺れによる炎症やけがを抑えられる点も大きいという。ただし、若い選手のなかにはサポートがないほうを好む人もいると留保しつつ、近年はタイツを履いて走る選手が多いと話した。
時計については、VO2maxをどう測ればよいかという疑問に対し、三田さんは、GarminやCOROSなど手持ちの時計でボタンを押せば数値が出ると説明した。スマートフォンと連動して自分の頑張りを記録できる点も大きいという。
ゾーン2は「疲労抜きジョグ」――練習の7割は楽に走る
本題に入り、西川さんは「ゾーン2」や「VO2max」といった流行りの言葉とどう向き合えばよいかを尋ねた。三田さんの答えは「あまり気にしないほうがいい」だった。大事なのは目的を考えて練習することであり、こうした数値は一つの指標にする程度でよい、というのが三田さんの考えだ。
三田さんによれば、ゾーン2は陸上選手が言う「疲労抜きジョグ」のイメージに近い。市民ランナーはジョギング中に、タイムが遅いから上げなきゃ、距離がまだ足りないからもっと走ろう、と数字に追われがちだ。しかしジョギングやロング走のいちばんの目的は、前編のランニングエコノミーの話にもつながるが、その時間をどれだけ楽に走れるかにある。ペースを意識すると頑張ってしまい、心拍数が上がりすぎる。「楽に走るから強くなる」のではなく、どれだけ省エネで走れるようにするかという意味で、ゾーン2を意識して走ることが大事だと三田さんは説明した。
トップ選手の1週間の練習のうち、楽に走る練習の割合を尋ねられると、三田さんはボリュームで7割程度だと答えた。週にポイント練習(強度の高い練習)が2〜3日あれば、残りの4〜5日は疲労抜きジョグにあてる。ポイント練習の中身は、インターバルトレーニング、坂ダッシュ、ペースランニングなど、ジョギングではない強度の高い練習だ。
三田さんは、一般ランナーもこの割合で考えてよいとした。市民ランナーはジョギングそのものが「トレーニング」になってしまい、いつも頑張るので疲れて回復できず、ポイント練習の質が上がらない。量を積もうとしても土台ができていないので、すぐに疲れてしまうという。時間が取れないためにやむを得ずそうなっている面もあると理解を示したうえで、週4日走れるなら2〜3日はゆっくりのジョグ、1日だけ強度の高い練習にするほうが、毎回頑張って走るより「絶対効果はある」と三田さんは述べた。
櫛部監督は、トレーニング学の視点から補足した。現在は強度をいかに高めて短時間でどれだけ能力を上げるかという考え方も言われていて、そこに低強度のトレーニングを組み合わせる「ポラライズド(二極化)」的なトレーニングが提唱されている。これは市民ランナーにもとても良いと思う、というのが櫛部監督の見解である。
最大心拍数をどう知るか――「220−年齢」は大ざっぱすぎる
強度を管理する前提として、ゲスト側は事前に「最大心拍数」を知っておく必要があると挙げていた。自分の最大の能力を把握しておくべきだという考えからだ。
最大心拍数は昔から「220−年齢」で求めると言われてきた。しかしこの式では同じ年齢の人は全員同じ値になってしまうため、大ざっぱすぎるという指摘があった。一方で、一般の人がいきなり全力で測定するのは倒れてしまう危険がある。
具体的な測り方としては、十分にウォーミングアップをしてから2分間の全力走を行うと最大心拍数が出やすいとされる。距離にすれば700〜800m前後、あるいは2分間か90秒ほどの坂道での全力走だ。最初からマックスで走り、それを3回繰り返すという。西川さんは、2分の全力走など20秒で精一杯になってしまい、あと100秒もやるのは無理だと笑いながら驚いていた。年齢的に筋力がついていかない人には危険でもあるため、プールで50mを全力で泳いで1分休む、を3〜5回繰り返す方法も紹介された。ただしこちらも楽ではない。
市民ランナーはどこまで妥協してよいのかという問いに対しては、最大心拍数を知ることは大事だが、正直ある程度の値でよいという答えだった。目安として示されたのが「208−0.7×年齢」という計算式である。この値を出発点にしてトレーニングを続け、実際の練習でそれを超えたら記録して更新していく。こうしておよその最大心拍数を把握し、時計に入力しておけば、自分の最大値に対してどの程度の割合でトレーニングしているかが表示されるようになる、という説明だった。
VO2maxを高めるには「天井」に当たり続ける時間を積み重ねる
VO2maxの鍛え方は、グラフを使って説明された。縦軸が酸素摂取量、横軸が運動開始から24分間の経過時間で、学生がよく行う2000m×4〜5本のインターバルをイメージしたものだという。インターバル中に酸素摂取量がグラフ上の「マックス」に到達し、そこにとどまっている時間(タイム・アット・VO2max)が、体が相当の刺激を受けている時間にあたる。この時間は長いほど良い。
最大酸素摂取量を改善したいなら、最大酸素摂取量が出現するポイントで練習しなければ効果は得られない、という説明だった。その例えとして挙げられたのがウェイトトレーニングである。100kgのベンチプレスを上げたいなら、100kgか、それより少し軽い重さで練習する必要がある。西川さんは「天井に当たり続けて、ようやく天井が高くなる」と言い換えた。
注意点として、かなり低い状態から運動を始めた場合、どれだけ必死にやっても最大酸素摂取量に到達するまで約2分かかるとされている。実際にはウォーミングアップをしているので必ずしもそうではないが、通常はそう言われている。そのため、2分頑張って終わってしまう練習では効果が得られにくい。200mのような短いインターバルでは最大まで届かないため、1000mや2000mのインターバルにして距離を伸ばす、という考え方になる。
短い距離で行う場合は、リカバリーを短くする。息が少し残っている段階で次の本数に入ると立ち上がりが速くなり、2分かからずに最大酸素摂取量相当に達することができる。例として、2000mを主として2分休むメニューや、学生が70秒を切るペースで走る400mのインターバルが挙げられた。400mでは2分に届かないが、不完全な回復のまま次を走ることで最大酸素摂取量に近い時間を積み上げていく、という意味合いだという。西川さんは「休みすぎると貯金が消える」と表現した。
一般ランナーが自分の練習に落とし込むなら、頑張って走る時間とレストの時間を同じくらいにするとわかりやすい、という提案もあった。たとえば200mを30秒で走り、30秒休み、また30秒走るといった形だ。
強度の目安は最大心拍数の93〜95%程度とされた。100%で走ると5分ほどで続かなくなってしまうからだ。最大に到達している時間を積算して15分程度は確保してほしいという。西川さんが「結構追い込まなきゃいけない」と反応すると、この値はその人自身の最大値に対する割合なので全力ではなく、95%以下に5%落とすだけでかなり楽になるはずだ、という答えが返ってきた。
乳酸性作業閾値――心拍数で2段階の強度を設定する
2つ目の要素である乳酸性作業閾値も、考え方は同じだという。狙いたい能力に関係する強度でトレーニングを行う。VO2maxの練習が最大酸素摂取量の少し下で刺激を入れるものだったのに対し、こちらはもっと低い強度で行う。具体的には最大心拍数の79〜85%と85〜91%という2つのパターンが示された。数字が高いほうが速度は速くなる。この範囲で走ることで閾値を刺激する、という説明だった。
サブスリーやサブ3.5を目指すランナーはどう考えればよいかと聞かれ、三田さんは、ランニングで行うならレペティションと呼ばれる練習などがこの領域に入ってくるが、筋力的に厳しい人も多いと話した。そのため三田さんのクラスでは、ランニングだけでなくサーキットトレーニングを取り入れ、筋肉に負荷をかけてから走らせることがあるという。乳酸は筋肉をどれだけ使ったかによって出てくる部分が大きいと考えているからだ。あえて筋トレをしてから走る、それこそHYROXのような形式が、乳酸性作業閾値を鍛えるうえで大事だと三田さんは述べた。
三田さんはさらに、フルマラソンで「30km以降に動かなくなった」という話をよく聞くと続けた。走り方の問題で太ももの前などに負担がかかり続け、グラフ上の緩やかな乳酸の上昇が徐々に急になり、最後は動かなくなる。効率のいい走りを身につけるエコノミーの観点ももちろん重要だが、あえて筋力に負担をかけた状態で走る練習も、一般ランナーにとって取り組みやすい方法になるのではないか、というのが三田さんの考えだ。
HYROXの心拍データが示したもの
ここで西川さんは、自身がHYROXに出場したときの心拍データを紹介した。平均心拍数は166、最高心拍数は197で、およそ100分間動き続けた。心拍ゾーンごとの滞在時間を見ると、ゾーン1はわずか1分で、ゾーン5が38分、ゾーン4が30分あった。合わせて70分近くをゾーン4・5で過ごしていたことになる。終盤はもはや走れずに歩いていたが、歩いても心拍数が下がらなかったという。筋トレを組み合わせるとこんなにきついのかと身をもって感じた、と西川さんは振り返った。
これに対して、HYROXは乳酸性作業閾値というより最大心拍数に近い高いところで行う競技であり、最大値付近でのトレーニングを大量にこなすことになる、という指摘があった。そのうえで、さらにその先にある「筋の緩衝能力」、つまり乳酸がたまってもどれだけ体を動かし続けられるかという能力が求められると説明された。
その能力を鍛える方法を聞かれると、答えは競技と同じ様式で練習を繰り返すことだった。具体的には階段ダッシュや坂ダッシュ、そして筋トレをしてから走ることを繰り返す。HYROXはまさにそういう競技なので、それを模した形の練習がよい、という説明である。
ランニングエコノミーと「真下に着地」の意味
3つ目の要素、ランニングエコノミーについて三田さんは、ランニングとはどれだけ力を使わずにスタートからゴールまでたどり着けるかを競うスポーツだと説明した。短距離ならどれだけ速く、マラソンなら自分のベストに近いタイムで走るために、効率よく走る必要がある。そのためにフォームが重要になる。ロング走を含むジョギングで効率のいい走りを定着させ、ドリル(動き作り)で正しい筋肉の使い方を意識していくことが求められるという。
西川さんは、着地について「缶を潰すように」と教わってきたが、そのイメージは正しいのかと尋ねた。三田さんは、ある意味では正しいと答えた。ただし真下に向かってというより、前に振り出した脚が戻ってきたところで着くイメージだという。前方から地面をかくように着く動きを「パウイング」と呼ぶが、その動きから入るとなかなかお尻に乗り込めない。そこで、止まった状態に近いドリルでまず真下に着いてお尻に乗り込む練習をする。膝が伸び、股関節も伸びた状態で着くのが、立っているときと同じく体重がいちばん安定する位置だからだ。
ただし、それをそのまま走りながらやろうとすると訳がわからなくなる。だからこそ、真下に落として乗り込むドリル、パウイングを意識するドリル、膝をスイングさせて前に運ぶドリルなどを組み合わせて定着させていく必要がある、と三田さんは説明した。走りは基本的に片脚に乗り込み、それをいかに効率よく前に運ぶかが重要になる。ドリルで動きを身につけ、それをジョギングに落とし込む。それを支える筋力が足りなければ筋力トレーニングで補い、接地時間の短さを追求するならスプリントを取り入れる、というように要素が連なっていくという。
三田さんによれば、ランニングエコノミーがうまくできている一般ランナーは非常に少ない。いまだに速く走るにはストライドを伸ばして遠くへ進もうと考える人が多く、足を体の前方に着いてしまう「リーチアウト」の走り方になりやすいという。
ドリルで神経系を整え、短い距離のスプリントから始める
フォームの話は奥が深いという西川さんに対し、簡単に言えばドリルで神経系を改善することが核になる、という説明があった。筋肉を動かすのは神経なので、ドリルによって自分の骨格や筋肉に合った正しい動きをインプットする。それが実際に走るときに記憶として残り、フォームになっていく。各要素は微妙につながっていて、スプリントも速く動くことで神経系を機能させる練習になるという。
自分のフォームがきれいではないので直したい、という相談に対しては、短い距離を走ったときの自分がいちばんきれいだと思いませんか、と問いかけるという。実際にそうであり、その走りをできるだけ持続させることが重要になる。だからまずスプリント練習をする。その前にドリルや動き作りで体を活性化させてから、実際にダッシュをする。距離は100mより短くてもよく、50mや60mで徐々に速度を上げていくところから始めると、市民ランナーにはよいのではないかという提案だった。
時計に頼りすぎず、ゾーンは体調を確かめる指標に
最後に改めてゾーン2の測り方を聞かれ、三田さんは、前提として時計に頼りすぎないことを強調した。時計に頼ると、自分がいま疲れているのか、心拍数が上がっているのかを自分で感じ取らなくなり、体と対話しなくなる。時計は、自分が余裕だと感じている状態が数値のうえでも余裕なのかを確かめるために使うほうが絶対にいい、と三田さんは話した。学生には、ジョギングのときはむしろ時計を使わせないこともあるという。
時計のメーカーによって算出方法も異なるが、最大心拍数を把握したうえで、その60〜70%程度を目安にし、それ以上にならない範囲で走ればよい、という助言もあった。三田さんは、ゾーン1だから駄目、ゾーン3だから駄目というわけではないと付け加えた。いつもどおり走って疲れたと感じ、時計を見たらゾーン3だった、それなら体が疲れているんだな、と判断する程度の指標にすべきだという。ゾーン2でなかったから走り直さなきゃ、という必要はまったくない、というのが三田さんの考えである。
西川さんが、走行距離だけを気にする人も多く、月100km、200kmといった数字で安心を買っているように思えると話すと、三田さんは、それ以前にまだやることがたくさんあると応じた。
市民ランナーへの助言――自分を「解剖」し、週末に強い練習を
三田さんは市民ランナーへの助言として、まず自分のフォームを一度客観的に見ることを挙げた。陸上競技は物理であり、加速する動きにブレーキがかかっていないか、うまく反発を得られているかがいちばん大事だという。自分の走りを解きほぐし、できていない部分はなぜなのかを探っていく、つまり自分自身を解剖して必要なところを見つけることが近道だと話した。三田さんが多いと感じているのはフィジカル面の問題で、アウターマッスルばかり鍛えてムキムキになり、走れなくなっている人も多く見てきたという。体幹をしっかりさせ、使うべき部分の筋力を使える準備をしたうえでフォームを改善していく。走る距離より先に、まず自分を知ることがいちばん大事で、数字と距離にとらわれすぎないことだと三田さんはまとめた。
目的の持ち方も話題になった。西川さんが、大会までと決めて走り、終わったら燃え尽きて走らなくなるのは「あるある」だと言うと、三田さんは、目標の大会を決めることや、毎回行きたくなるコミュニティを作ることが継続には重要だと応じた。三田さん自身は現役時代、箱根駅伝がすべてになっていたという。そのために周りが見えず、ただ頑張るだけで、自分の走りをひもとくことはできていなかったと振り返る。指導者の立場になった今、当時櫛部監督に言われていたことに「そうだよな」と思うことが多いという。
櫛部監督は、箱根は通過点だと考えていたと話した。大学4年間ですべてを教えきることはできないので、卒業後に花開いたほうがいいという考えだったという。ただ、実際には箱根がすべてで、その後は走らなくなる学生が大半であり、そうした選手には箱根に向けた指導をしてきたとも述べた。
櫛部監督は市民ランナーへの助言として、仕事などの制約があるなかでも週末は時間が取れることが多いだろうから、そこにポイント練習や強度の高い練習、あるいは長い練習を入れればよいと話した。目標がフルマラソンなら長く走ることが求められ、強度はさほど必要ない。ただしレースが近づいたら強度を上げ、VO2maxなどの上限を高くしてから試合に臨むことで、自分のレンジの幅を広げるのがよいという。
さらに櫛部監督が勧めたのが、坂ダッシュのように普段やらない練習だ。新しい刺激は非常に有効で、自分にできる範囲でダッシュをすると筋や神経が活性化し、エコノミーの改善にもつながる。動きが大きくなるので、ゆっくり走るときに余裕が持てるようにもなる。特にやったことがない人にはぜひ取り組んでほしい、と櫛部監督は話した。これを受けて三田さんは、前日に東京マラソン財団の「ONE TOKYOスクール」で、自分のクラスでも坂ダッシュをやったと明かした。
西川さんは、テーパリングや30km走は本当に必要なのかといったテーマも今後扱いたいと話し、箱根駅伝が近づいたら関連企画をやりたいと持ちかけた。ゲストの二人がこれを快諾したところで、この回は締めくくられた。
どうやったら速くなるのか。フルマラソンの平均タイムが一番速かったのが42歳。40歳以上の方がよく言われるのは、もう速さは今、お金で買う時代だみたいな。
まずゾーン2、VO2max。どういうふうに向き合ったらいいなっていうふうに思う? 僕としてはあんまり気にしない方がいいのかなと。その時間をどれだけ楽に走れるかっていう方が大事なんですね。市民ランナーの方のジョギングがトレーニングになっちゃうので、質が上がらないし。
最大酸素摂取量を改善したければ、その最大酸素摂取量が出現するポイントでやらなければ、意味が得られない。筋力に負荷をかけてから走らせたりとか、ドリルで神経系を改善するっていうのがやっぱり主だと思うので。まず自分自身を知るっていうところが一番大事かなと。あと数字と距離に囚われすぎない。目的をどう置くかって大事ですよね。
こんにちは。MCの西川です。大人になっても足は速くなるのか。市民ランナーの皆さん必見です。今日は聞いていきたいと思います。城西大学男子駅伝部監督の櫛部静二監督です。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そしてKIZUNA TOKYO、城西大学OBの三田翔平さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
前半ではランニングエコノミーなど、3要素というのを聞いたり、城西大が世界を目指すまでの過程というところを聞いてましたけれども、ちょっと市民ランナーにお話を寄せて聞いていきたいと思います。
最近、走るビジネスマンが増加中ということで、データを出してみても、2024年度のフルマラソンの年間完走者が前年度からおよそ2万人増えて33.6万人と。週1日以上運動する大人の割合というものも、およそ10年で1.3倍に増えてきたということで。あと、ハイロックスってご存じですか?
はい、もちろん知ってます。
僕、ハイロックスに出て。筋トレとランニングを掛け合わせて、なんかキラッキラしてるんで、よく叩かれてるのは見てるんだけど、それでも出る側としては楽しくて、運動するってやっぱすごいいいなっていうのは、36なんですけど、この年にして思い直したところもあって。どうやったら速くなるのかというところを聞いていきたいと思います。
いろんなデータを出してみるとこんなものが出ました。フルマラソンの平均タイムが一番速かったのが42歳になると。若い人が逆にフルマラソンに出ないからみたいなところは当然あるとは思うんですけれど、完走者の人数が一番多かった年齢も50歳ということで、年齢が上がっても挑む人が多いと。これ三田先輩、指導する中で、東京マラソンなども関わられてますけど、どう感じられてますか?
そうですね。まずそもそもマラソンに取り組もうと思うきっかけが、要はちょっとお腹出てきて、健康診断行って、ちょっと数値がやばいな。じゃあ一番楽なのは走るっていうところから始まって、ランニングを取り入れるっていう方が非常に多いなっていうのを、いろいろお話をさせていただく中で感じますね。さらに、お金の余裕も時間の余裕も出てくるっていう部分もあって。
私が東京マラソンの方で指導させていただいていても、42から50とかは非常に多いですね。
サブスリーランナーが10年で1.5倍に増えてるということで、2012年度が3%。男性ですから、2023年度のデータが最新になりますので、これで4.4%と。1.4%と見えますけど、これ結構すごい数ですよね。
そうですね。そんなに走る人多かったんだぐらいの感じなんですけど。
これ追い風になってるのは何ですかね? 一つはやっぱりシューズはありますか?
シューズはあると思いますね。やっぱりああいうメディアで出てくるシューズを履いてみたいなともあると思いますし、あとよく40歳以上の方が言われるのは、もう速さは今、お金で買う時代だみたいな。結構言われてる方も多くって。
先ほどのVO2maxの話でも、最近、大塚さんからゼロズっていう、食べるだけでVO2maxが、という可能性があるっていうようなこともあったりするので。もう皆さん、お金出して速くなれるのであれば、それがっていう部分もあったりはしますけど。それと並行してSNSとかも流行ってきたりとか、こういった情報番組で自分に取り入れたい、取り入れるみたいな、そういった情報の部分も大きいのかなというふうには思いますけども。
城西大学は先ほども酸素のお話されてましたけど、学生とか学校になればああいうもの導入できるのかなと思うんですけど、なかなか市民ランナーが使うにはちょっとハードル高いですか?
いや、最近は街の至るところに低酸素ジムってたくさんあるので。
あ、そうだ。確かに妹、低酸素ジムでトレーニングしてました。なんかめっちゃ追い込んでるんですよ、最近。
そういうのが好きな方は、本当にいいと思いますね。
そうか。最新科学みたいなところもやっぱ大事なんですね。あとギアっていう点でいうと、ほかにもタイツや時計などもなんかすごいですね。最近いろんなものですよね。
そうですね。それこそVO2max、どうやったら測れるのとかってなった時に、多分ご自身で持ってるガーミンさんやCOROSさんとか、そういうのでピッて押せば出てきたりもするので、そういったギアは非常に有効かなと思いますし。あと携帯と連動して、自分がどう頑張ったかっていうのができるっていう部分は非常に大きいかなと思います。
最近はこういうのがどんどん出てきて、走ることはきついとかつらいとかっていうのは先立つと思うんですけど、こういうのがあるので楽しくなってきましたよね。
確かに。例えばシューズなんか、カーボンありとないのと明らかに違うので。実際カーボンを履いて走ると、なんて楽しいんだっていう。
そうなります。感じますよね。
そうですね。あとはもうシューズもタイツも時計もそうですけど、かわいいしかっこいい。
確かに、おしゃれ。カラフルで、結構もう何でもありになってきましたね。ランニングしてるのが一個おしゃれであり、なんかちょっと最先端行ってます感が出てきてますよね。陸上、ずっと小中高とやってた身からすると、あんなきつくって、ただ走るだけって揶揄されてたものが、いつの間にこうなったんだみたいな感じするんですよね。
そうですね。しかも本当にジャージみたいなやつばっかりがあった時代からも、変わってきたなと思うと。
なるほど。あと真ん中のこれタイツですけど、タイツも最近増えましたよね。僕の時、ロングスパッツみたいなのを練習で、400mだったんで、そういう感じだったんですけど。
そうですね。最近は体の線に沿った形で、アシストするような形でタイツが作られているので、足が上がりやすくなったりとか。うちの選手でも、タイツに骨盤を寄せるタイツもできてたりとかして。
ちょっと待ってください。タイツに骨盤を寄せる?
寄せる、締めるっていう意味で。僕らが言うところの昔、腰ベルト、あれがついてるんですよね。
そうなんですか。
結構年を召されてる方は、骨盤に問題があったりとかする方っていらっしゃると思うんですけど、結構な割合で、ここを締めるとちょっと安定するので、楽に感じられるっていう人は多いと思いますね。
そうなんですね。どう、いるんじゃないの、それ。
そう思います。なので、あとはしっかりと締めたりとか、筋肉が揺れることによって炎症が起きて怪我しちゃうとかっていうのも、締めて抑えられたりとかするのは非常に大きいかなと。あとはレースをやってる若い子たちも、そっちが好きって子もいれば、むしろそういうサポートがある方はちょっと、っていう人もいるとは思うんですけど。ただ近年、やっぱタイツ履いて走ってる選手多いので、そこら辺は多く使ってる子が多いのかなっていうふうには思います。
じゃあ実際に、僕もちょっと走る身なので、いろいろ今世間で話題になっているものを解説していただきたいと思います。「教えて三田さん、どうやったら速くなれる」と題して聞いていきたいと思います。ゾーン2、VO2max。これ改めてどういうものなのかをまず説明していただきたいんですけど、まずゾーン2、VO2max、どういうふうに向き合ったらいいなっていうふうに思うんですか?
僕としてはあんまり気にしない方がいいのかな。
気にしない方がいい。あんまり気にしてないですよね。
とにかくその目的を考えて練習をするっていうのは大事だと思うんですけどね。
そうか。この単語だけに囚われすぎちゃってて、これを追い求めてることになってるって感じなんですかね。
一つの指標にしてもらうぐらいでいいかなと思ってて。要はゾーン2って、僕らでいうところの疲労抜きジョグみたいな、そういったイメージなんですよ。市民ランナーの方がジョギングをしてて、「今タイム遅いな、もうちょっと上げなきゃ」とか、「距離まだ全然行ってないな、もうちょっと走ろう」みたいな形で数字に追われちゃったりとかすると思うんですけども。
やはりジョギング、ロング走とかの一番の目的は、どれだけ楽に、先ほどのエコノミーの話でもありますけども、その時間をどれだけ楽に走れるかっていう方が大事なんですね。なので、ちょっとペースをとかってなってくると、頑張っちゃって心拍数が上がりすぎちゃってとかってなっちゃったりとかするので。とにかく楽に長く走るっていうところにおいては、ゾーン2っていうのは非常に重要かなと。
なので、楽に走るから強くなるじゃなくって、どれだけ省エネで走れるようにするかっていう意味では、ゾーン2を意識しながら走られるのが大事かなっていうふうには思いますけども。
これトップ選手とか含めて、1週間の練習って、楽に走るって大体どのぐらいなんですか? 練習の割合的には。
ボリューム的には7割ぐらいですよ。
7割ぐらい。
要は1週間あったとしたら、ポイント練習が2、3日あるとしたら、残りの4日、5日とかはもう本当に疲労抜きジョグ。僕らよく疲労抜きジョグって言って、ジョギングをして疲労を抜いていくってことを結構やったりするんですよ。ただ、市民ランナーの方のジョギングがトレーニングになっちゃうので、そうなってくると質が上がらないし、量と思っても、その土台ができてないんですぐ疲れちゃったりとかするっていうところに。
じゃあその3割で、全力っていうんですか、ポイント練みたいなのっていうのは、どういう練習が多いんですか?
例えばインターバルトレーニングだったり、坂ダッシュもそうですし、ペースランニングもそうですし。いわゆるジョギングではない、強度の高いトレーニングですね。
これはじゃあ一般ランナーも、トップランナーと同じぐらいの練習の割合で考えていくべきなんですか?
まずはいいと思いますね。
じゃあ一般市民ランナーは、7割、楽な練習って言ったらあれかもしれないですけど、楽に走れる練習でいいってことなんですね。
そう。軽くした方がいいですね。いつも頑張ると、先ほどの話で、もう疲れちゃって回復ができないので。ただ一般のランナーの方って時間が取れないっていうところもあると思うので、仕方なしにそうなっちゃってるのはあるのかなというふうには思うんですけども。
ただ週4とか、もし時間が取れるのであれば、2日とか3日ゆっくりなジョグで、週1日だけ強度の強い練習をするとか、そういった形にした方が、常にいっぱい頑張ってジョギングをするよりは絶対効果はあるかなとは思います。
トレーニング学でいうと、今は逆に強度をいかに高めて、短い時間でどれだけ高められるかっていうトレーニングも結構言われていて。かつ、低強度のトレーニングを組み入れるっていう、ポラライズド的なトレーニングっていうようなことで言われていて。そういうのは一般ランナー、市民ランナーの方もすごくいいと思いますね。
そうなんですね。そうなってくると、事前に出していただいた必要なもの、最大心拍数というふうにお伺いしてました。これ絶対やっぱり出す必要があるんですね。
とにかく自分の最大値、能力を知っておいた方がいいと思うんですよね。
これどういうふうに出していけばいいんですか?
通常は、昔からよく言われてる220引く年齢ってことで言われるんですけど、なかなか全ての人が年齢が一緒であれば同じってことになるので、そこはちょっと端折りすぎかなっていうふうには思うんですよね。ですので、また一般の人たちにおいては、いきなり全力で測定するっていうのはやっぱ危険ですよね。ぶっ倒れちゃうっていう。
そうですよね。
限界ですので。例えば具体的にいうと、2分間の全力走で結構出現するとかって言われてるんですけど。
2分間の全力走。800mとか、700m、800m、900、900はあれですかね。
700、800ぐらいの距離、または坂道を2分間ぐらい、あるいは90秒ぐらい。
地獄です。
それだけ心拍が一番高まるところって言われてるんですけど。
ちょっと本当に、ちょっとだけ僕は陸上やってたので聞いていいですか? それ、800mとか、2分の全力走って、初めからマックスで出すんですか?
もうマックスです。しっかりアップをして。
いや、それ2分だって動かないじゃないですかね。もう20秒ぐらいで精いっぱいですよね。そっからだからあと100秒やんなきゃいけないんだ。それ死んじゃいます、それ。
相当のっていうことですけど。800mを全力で走るっていう感じでやって、終わった時の最大心拍数。
そう。それを3回やるっていう。その最大値。
ちょっと待って。あれ1回じゃなくて3回ですか?
そうですね。
なんかハイロックスにつながるような話、ちょっとワクワクしてるかもしれない。あ、でもやはり初めて出るのか。
あと年齢として筋力がついていかないとかっていうのがあるので、やっぱり結構危険だったりもするので。例えばプールで50mを全力で泳いで、1分休んで全力でみたいなのを3回から5回。そっちも嫌なんですけども。
それも大変ですね。
それも大変なんですけども。
だから市民ランナーがやれそうなレベルだと、どの辺まで妥協できるんですか、これは?
だからこそ、ある種、最大心拍数を知るのはもちろん大事なんですけども、ある程度ぐらいで正直いいのかなと思ってるんですよ。どこを目指すかだと思う。
この計算式、用意してあるんですけど、208−0.7×年齢ってことで、0.7と年齢を掛けてもらって、208から引くと。
そうか。それが大体の目安に。
そうですね。これぐらいになると思うんですよね。その中でトレーニングしていく最中、最大値が超えた場合はそれを記録しておいて、およその最大心拍数を知っておくっていうのはいいと思いますね。
これができると、VO2maxに向けての数字が来ると。
そうです。時計に心拍数の最大値っていうのは入力するところがあると思うんですけど、それをしておけば、自分の最大値に対してどれぐらいの割合でトレーニングが行われてるかっていうのが出てくると思うんです。
これちょっとグラフも見ていただけますか?
ちょっと難しいんですけど、縦軸がVO2なので酸素摂取量ですよね。横軸が、運動を継続的に行っていく中で、スタートから24分間っていう軸ですね。これインターバルトレーニングをイメージしてるんですけど、トレーニングをしていくと、よく学生でやる練習ですね、2000m、4本とか5本とかあるんですけど、これをちょっとイメージしてもらうといいと思うんですが。
このトレーニング中に、上の部分ですね、マックスっていうところありますね。あそこに到達するトレーニングってことで、要はそれ相当なものが体に受けられていますよっていうことなんです。
Time at VO2maxっていうのは、その最大酸素摂取量に到達しました。ちょっと耐えてますよと。いわゆる耐えられた時間。
やっている、さらしてる時間ですね。
それが長ければ長いほどいいんですか?
そうです。トレーニングの目的でいうと、最大酸素摂取量を改善したければ、その最大酸素摂取量が出現するポイントでやらなければ、意味が得られない。
そうか。やっぱり天井にまでずっと当たり続けて、ようやくこの天井がまた高くなるってことですね。
そう。ウエイトトレーニングで分かると思うんですけど、100kgのベンチプレスを上げたければ、100kgか、もしくは100kgよりちょっと低いところでトレーニングする必要性がありますよね。
間違いないですね。
100kgはなかなか上がっていかないと思うので。
あと、最大到達まで約2分って書いてありますけど。
そうですね。こういったトレーニングをする上で、ちょっと覚えておいてもらいたいのは、ゼロから始めた場合、かなり低いところから始めた場合には、到達するのは2分はかかるって言われてるんですね。
どれだけ必死にやっても2分かかる?
そう。現実的にはウォーミングアップとかやってるので、そうではないかもしれませんが、通常こういったことで見ていくと、2分かかるということは言われています。
なので2分間頑張って終わるようなトレーニングだと、あまり効果が得られないっていう。200mインターバルとか、結構短いインターバルとかだとそこまでに行き切らないんで。なので1000mインターバルとか2000mインターバルとか、そこを長くするようにちょっと距離を増やすというところが。
だから200mやるんであれば、もう本当にリカバリーを短くしてね。
そうですね。また行かせて、行かせてみたいな。時間を短くする。
休みすぎると貯金が消えるというふうになってましたね。
そうですね。簡単に言えば、息が残ってる、まだ息が少し残ってる段階でまたやると、その立ち上がりがぐっと良くなるので、2分かからずに最大酸素摂取量相当に接することができるので。
例でいうと、2000mが主で、リカバリーを例えば2分休むとかっていうような運びなんですけど。右側は400になると距離が短いじゃないですか。400mって学生だと大体70秒切るぐらいで走るんですよね。となると2分到達しないので、じゃあ説明がつかないじゃないかということなんですけど、不完全な回復のまま走ると、それを積算していくっていう意味合いです。
きつさが蓄積されて、最大酸素量にどんどん伸ばせるってことですね。
そうですね。だから、どれだけ最大酸素摂取量相当に近づいて、それをどれだけ積算していくかっていう。
完全にそういうわけではないんですけども、一般の方が自分の練習に落とし込むとしたら、大体頑張って走る時間とレストの時間、同じぐらいにするとちょうどいいですね。200mだと30秒で、30秒、また30秒みたいなので。要は自分が頑張って心拍数がぶっと上がるその時間とレストの時間を、ある種合わせるとちょっと分かりやすいかもしれないですね。
なので、前のスライドを見ていただきたいんですけど、最大酸素摂取量を高めたければ、ここでいうと最大心拍数の93から95%ぐらいを目安にするといいんじゃないかなと。100%でいっちゃうと続かないので、大体5分ぐらいで終わってしまうものなので、できれば到達した時間を積算して15分ぐらいは行ってほしいなというふうに思いますね。
結構追い込まなきゃいけないですね。
でも、その強度はある程度95%以下に抑えれば、これはその人に対しての値なので、全力ではないですから。5%を少なくするだけでかなり楽になるはずですね。
もう一つ行きたいと思います。乳酸性作業閾値の鍛え方。これについては。
これも同じく、目的が乳酸性作業閾値を狙いたければ、これが関係してくる強度で行うっていうことですね。さっきの最大酸素摂取量は最大酸素摂取量に刺激を入れるっていうことで、そのちょっと下ぐらいをトレーニングでやるわけですよね。ここでは強度的にはもっと低いところで、具体的には最大心拍数の79から85%と、2パターン考えて、85から91%といった具合で。当然その数字が高い方が速度は速いんですけど。このようなイメージでやっていただくと、そこを刺激するってことになるので。トレーニングの目的は到達するってことですね。
これ三田先輩、サブ3とか3.5ぐらいのランナーだと、大体どう考えればいいんですか?
そうですね。もちろんランニングでやる、要はレペティションとか呼ばれるような練習とかがここら辺に入ってくるとは思うんですけども、なかなか筋力的に厳しかったりもすると思うんで。私のクラスとかではよく、ランニングだけじゃなくて、サーキットトレーニングって言って、要は筋力に負荷をかけてから走らせたりとか。
乳酸って筋肉をどれだけ使ったかで出てきたりする部分が非常に高いと思うので、あえて筋トレとかをして、要はそれこそハイロックスみたいなのが、どっちかというと乳酸性作業閾値を鍛える上では大事かなっていうふうには思っておりました。
僕、出たんですよ、それに。後でデータ取って今回ここに提示してるんですけど、平均心拍数166、最高心拍数197で、およそ100分これで動き続けてたんです。心拍ゾーンの滞在時間のこの色付きグラフは、ゾーン1が1分しかなくて、ゾーン5が38分。ゾーン4が30分あったと。だから70分ぐらいゾーン4、ゾーン5で。もう本当にきつくて。
これ心拍数が最後まで下がらなくて、もはや最後、僕ランニングじゃなくて歩いてたんで。でも歩いても落ちないんですよ。もうダメダメだみたいな。でもやっぱり筋トレと含めるとこんなにきついんだなっていうのは、身をもって体感しました、これ。
そうですね。乳酸が出る原因としては、かなり高強度で筋肉を動かすっていうのもありますし。あとはマラソンでいうと、30km以降動かなくなったみたいなことよく聞くじゃないですか。それは走り方が、太ももだったりとか、前ももか、そっちにとにかく負荷がどんどんかかり続けて、先ほどのグラフでいうところの緩やかなあれが徐々にぐっと上がっていって、最後、乳酸で動かなくなるみたいな形になってくるので。
もちろんエコノミー的な部分で効率のいい走りをするっていうのは重要だとは思うんですけども、あえて筋力に負担をかけてランニングしたりと。要はサーキットトレーニングとかって僕ら呼ぶようなものとかをやっていっても、そういった一般のランナーの方には取り組みやすい練習の方法になるのかなっていうふうには。
これは乳酸閾値っていうことよりも、どちらかというと、もう最大心拍数に高いところなので、最大値付近でのトレーニングをたくさんするんですよ。嫌だと思いますけど。
それをやんないといけない。
もっと超えて、筋の緩衝能力っていうのがあって。
筋の緩衝能力。
要は乳酸をためてもどれだけ動かせるかっていう、そういった能力なわけなんですけど。
それどんなトレーニングが必要になるんですか?
まさに同じ様式を模してやることが大事なんです。
もうこれ繰り返してやるしかないですか、じゃあ。
はい。具体的には階段ダッシュとか、坂ダッシュもそうなんですけど。筋トレをして走るっていうことを繰り返し行うっていう競技でもあると思うんで、それを模した形でやるのはいいと思いますね。
そうか。ちょっと考え、楽しくなりますね。ごめんなさい、ちょっと戻したいと思います。乳酸のお話がありました。そしてもう一つ、速くなるための3つ目の要素、ランニングエコノミー。これ三田先輩、教えていただけますか?
そうですね。やはり効率よく走るっていうことが非常に重要だと。ランっていうスポーツは、どれだけ力を使わずにゼロのところからゴール地点まで到達できるかっていうスポーツなので。それが短距離でいえばどれだけ速く、マラソンでいうとどれだけ自分のベストタイムに近いタイムで走る、要は効率よく走らなきゃいけないっていう意味で、フォームだったりとかが非常に必要になってくるので。ロング走、ジョギングを含む練習で、効率のいい走りを定着させていくと。
あとドリル、要は動き作りですよね。動き作りで正しい筋肉の使い方とかを意識しながら、動き作りをしていくっていう必要性もありますし。
接地とかって、缶を潰せみたいに僕はずっと聞いてたんですけど、あれはイメージ正しいんですか?
それはそうですね。ある種、真下にっていうよりは、戻ってきたのを潰すみたいなイメージではあるんですけども。
そう。真下って絶対無理ですもんね。だって前に行くわけですから。
要は真下に潰そう潰そうっていうのは、動き作りが必要なんですね。っていうのも、やはりお尻に乗り込む感覚っていうのが、要は前からつく動きをパウイングって言うんですけども、そういった動きからやろうとするとなかなかお尻に乗り込めないんですよ。
なので止まった状況に近いところの動き作りとかで、まずは真下につくようにしてお尻に乗り込む。要は膝が伸びて、股関節も伸びた状態でつくことが、やはり一番立位の状態と同じ、体重が一番安定する位置なので、そこに持ってくるっていうような動き作りとしては、真下に落とすっていうのはある種合ってるかなと思うんですけど。じゃあそれを走りながらやろうとすると、わけ分かんないことになっちゃうんで。なので複合的にやっていくことが大事。
なので動き作りが必要なんですよね。下に落とす、乗り込む動き作りがあれば、そのパウイングっていう動きを意識させる動きがあれば、膝をスイングさせて前に運ぶ動き作りがあればとか、そういったのをとにかくやって定着させていって。要は一歩ついた瞬間、マラソンもそうですし、走りっていうのは基本的に片足に乗り込む。どれだけ効率よく前に運べるかっていうことが重要になってくるので。
そういう意味ではドリルをしっかりして、それをジョギングで、いろんな動作をそこに落とし込んでいって。それが例えばスプリント、速くなってもそれができて、じゃあそれができるようになるためには、そもそもまずそれを支える筋力が必要だよねってなってきた時に、筋力トレーニングとかでちゃんと筋力をつけていく。
さらには5番目の接地時間の短さを追求するために、腱を使いましょうとか、そういった形になってくるので、非常に難しい部分ではあるんですけども。やはりランニングエコノミーとしてうまくできてる人っていうのは、一般ランナーの方は非常に少ないと思うので。
やっぱりいまだに、速く走るためにはストライドを伸ばす、遠くに進もうって考えの方が非常に多くて、要は足を前についちゃうとか、そういうのをリーチアウトって言うんですけども、そういった走り方をしてしまう方が多いので。
単純にフォームって僕ひとくくりにしちゃいましたけど、めちゃくちゃ奥深い話ですね。
そうですね。簡単にいえば、やっぱりドリルで神経系を改善するっていうのが主だと思うので。
神経系。
筋肉を動かすのは神経なので、ドリルによって正しいフォーム、自分が持ってる骨格、持ってる筋肉とすり合わせて動きをさせるには、そういったドリルとかでその動きをインプットする。そうするとそれが実際走る上で記憶されるので、そういったフォームになっていくっていうことですね。全て微妙につながっていて。
2番のドリルが、そういった神経を機能的にするっていうことと、あとスプリント。スプリントなんかも速く動かすので。実際よく言われるんですけど、「自分のフォームがあまりきれいじゃないのできれいにしたい。どうしたらいいですか」っていうようなことを言われるんですけど、一番手っ取り早いのは、「短い距離を走った時の自分が一番きれいだと思いませんか」っていう話もするんですよ。
あ、そうだなって。
実際そうなんですよ。なのでそれをできるだけ持続させるっていうことが重要だったりするので、まずはスプリント練習をする。その前にドリルだったり動き作りをして、活性化させて実際にダッシュをするっていうことですね。この100mでも、もっと本当は短くてもいいと思うんです。50mとか60mとか、だんだん速度を上げていくとか。そういうところから始めていくと、市民ランナーの人たちにはいいんじゃないかなと思いますけどね。
3つの要素を聞いてきて、VO2maxのお話も聞きましたので、最後にゾーン2のところを聞いて終わりにしたいと思います。ゾーン2のジョグは練習ではないという話を先ほどされてましたけれども、これ改めて、いろんな時計があって、どう測ればいいか分かんない人って結構多いじゃないですか。時計によるとは思うんですけど、これを三田先輩、どう考えればいいですか?
まず前提として時計に頼りすぎちゃうと、要は自分が今疲れてるのかなとか、心拍数が上がってるのかなとかっていうのを、こっちに頼っちゃって対話しなくなるんですよね。体に話しかけることをしなくなっちゃうんで。あくまで時計は今見た時に、「自分の今余裕っていう感覚は、数値としても余裕なんだ」みたいな形で確かめるために使った方が絶対いいかなというふうに思ってて。なので学生とかには、むしろジョギングの時なんかはもう使わせずに、っていうぐらいに言ってたりはするぐらいの感じではありますね。
確かにガーミンとかアップルウォッチとか、COROSとか、いろいろありますけれども、結構出し方もそれぞれ違いますもんね。
そうですね。ですので最大を知って、60から70%とかですね。それはもう計算されて出てくると思うので、それを目安にして、それ以上にならないように、以下にもならないようにっていうような範囲で走るのはいいんじゃないかなと思いますけどね。
しかもゾーン1も2も3も、いわゆるどこか超えたらゾーン2になってるだけであって、ゾーン1だからダメとか。
ゾーン3だからダメとか、そういうわけではない。なので自分の感覚と、要は今日いつも通り走って、疲れてたなって見て、「ゾーン3だった。ちょっと体疲れてるんだな」とか、そういうぐらいの指標にした方がいいのかなと。要はゾーン2じゃなかったからダメだ、もう1回走り直さなきゃとか、そんな必要は全くないかなっていうふうには。
なるほど。数字っていう意味でいくと、走行距離だけを気にする人たちも結構多いですよね。「100行った」。僕は100を目標にしてるんですけど。
「200行ったから」とか。そこじゃないよ、本質はっていうところですので。なんか安心を買ってるように思っちゃいますね、何キロ行ったみたいなのは。それよりも以前に、まずやることいっぱいまだあるかなというふうに思いますし。
分かりました。じゃあ最後に、市民ランナーの皆さんに、ちょっと速くなりたいという方に向けて。本当は多分、目の前で教えた方が絶対いろいろあるとは思うんですけど、何かアドバイスをいただけるとしたら、どんなメッセージがありますか? 一人ずつ聞いてもいいですか? 三田先輩から、市民ランナーの皆さんに。
まず自分のフォームを1回客観的に見て。やっぱりスポーツ、特に陸上競技は物理なので、ちゃんと加速した動きにブレーキがかかってないで、うまく反発ができてるかっていうところが一番大事だと思っているので。まずそこを、自分はどうなってるのかっていうのをひもといてみて、じゃあそれができてない部分は何でなんだみたいな。要はもう少し自分自身を解剖していって、必要なところを探っていくっていうところを、まず大前提にやった方が近道なのかなというふうに思いますね。
足りてない。
足りてない部分はそのところと、あとはフィジカル的な問題が非常に多いかなと。やっぱりアウターマッスルばっかりやっていて、ムキムキで走れないっていう人もかなり見てきてはいるので。もうちょっとコアの部分とかをしっかりとして、あとは使わなきゃいけない部分の筋力をしっかりと使っていくっていうところを、ちゃんとできるっていう準備ができて、フォームを改善していく。
なので走る距離っていうよりは、まず自分自身の走り方を解剖してやっていくといいかなと。そういうお手伝いが何かできればなと思うので。
また企画を。
いろいろあるんですけども、伝えきれない部分はあると思うので、まず自分自身を知るっていうところが一番大事かなと。あと数字と距離に囚われすぎないっていう。
目的をどう置くかって大事ですよね。それこそ箱根が全てみたいに思われるタイミングも、もしかしたらあったかもしれないですし。僕もあの大会までって思って、終わった後、全く燃え尽き症候群のように走らなくなっちゃうとか。あるあるですよね。
ありますね。なので一つ目標の大会を決めたりとか、あとは毎回ここに行きたいっていうコミュニティを作ったりとか、そういうのは一つ、続ける上では非常に重要かなっていうふうには思います。
三田先輩、走ってる時の目標は何だったんですか、最初は?
もう箱根が全てになっちゃってたんですよね。だからこそあんまり周りが見れないというか、そこに出るためにはどうしようって、ただただ頑張っちゃってたと。自分の走りをどうひもといてたかっていうと多分できてなくって、もうちょっとああしとけばよかったな、こうしとけばよかった、非常に多いんですよ。なのでそれこそこういう指導の立場にさせていただいて、櫛部さんが当時言われてたことが、ああそうだよなっていうことが非常に多いので。
当時から箱根が全てじゃないみたいな話はされてたんですか?
いや、もうそれこそ世界とかそういったところを。周りも強かった子が多かったんで。
もともとあれですね。箱根をそんなに大事にしてないって言い方おかしいですけど、そこまでだったですよね。
そうですね。箱根はやっぱり通過点。通過点で、その後、当然大学4年間だとこちらも全てを教えきれないっていうのがやっぱりありますんで、卒業して花開いた方がいいっていうようなことで。
活躍するに越したことはないんでしょうけれども、ってことですよね。
ただ実際、学生なので、箱根が全てで、それ以降走らないっていう学生が大半なんですよね。そういった選手にはやはり箱根でっていうようなことで、教えていましたけど。
そっか。じゃあ目標の立て方と、モチベーションの保ち方みたいなところも一個大事に。
そうですね。
分かりました。最後、櫛部さんいいですか?
まず市民ランナーの人たちは、やっぱり仕事があったりとか、いろんな制約があると思うんですね。多くの人はそれぞれだと思うんですけど。思うのは、やはり週末だったりは時間が取れると思いますんで、そこに我々でいうポイント練習だったり、強度の高いトレーニング、または長いトレーニングを行うっていうようなことでいいんじゃないかなと思います。
また目標っていうのがフルマラソンであれば、より長く走るってことは求められると思いますね。さほど強度は必要ないと思います。ただフルマラソンであっても、その中でも試合が近づいたら強度を高くすることとか、そういったことを意識して、いわゆる自分のレンジの幅を広げるっていう面で上限をもっと高くしておいて。VO2maxだったりもそうなんですけど、高くしておいて試合に臨むっていうのはいいと思います。
なるほど。
坂ダッシュだったり、日頃やらないようなトレーニング、要は新しい刺激っていうのは非常に有効だと思うんです。なので、よく市民ランナーの方と相談、会った時には。
坂ダッシュなんかいいですよっていうのを、やっぱり勧めるんですね。自分のできる範囲で結構なので、そこでダッシュすると筋の活性化、神経の活性化になってくるので、そういったことだったり、さっきのエコノミーだったりもありますし。
動きが大きくなるんですよね。ということは、ゆっくり走った時に余裕が持てるってことにもなるんで。特にやってない方は、ぜひやっていただければと思います。
ちなみに昨日、東京マラソン財団のONE TOKYOスクールっていうのがあったんですけど、うちのクラスは坂ダッシュやりました。
いいですね。いいですね。いいですね。
110本やってます。
そうですか。分かりました。本当は、テーパリングの話だったりとか、30km走は本当に必要なのかとか、僕はまだまだ陸上でいろいろ企画したいものがありますし。あと、すいません。あれだけ箱根が全てではないと言いながらも、視聴者の関心事として、箱根駅伝はとても興味が高い。なので、近づいてきたら、ぜひ箱根駅伝関連、いいですか?
ぜひぜひ。
良かったです。その時また表示員など聞かせていただければと思います。
しっかり考えておきます。
分かりました。ということで、今日はここまでにしたいと思います。櫛部監督、そして三田先輩、ありがとうございました。
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