経営コンサルの倒産・休廃業が過去最多になった理由を、美容外科医の高須幹弥氏はどう見るか

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概要

経営コンサルティング業の倒産・休廃業が過去最多になったというニュースについて、高須クリニックの美容外科医・高須幹弥氏が自身の見解を語った。高須氏の立場ははっきりしている。参入障壁の低さとAIの普及で淘汰が進むのは当然であり、「なんちゃってコンサル」は経営能力の乏しい経営者を相手にする情弱ビジネスだ、というものだ。後半では、自身が身を置く美容クリニック業界で見てきたコンサルの実態を具体的に挙げ、本当に優秀な経営者はそもそもコンサルを必要としていないと論じている。

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参入障壁が低く、「自称コンサルタント」が増えすぎた

高須氏がまず挙げる理由は、コンサル業の参入障壁が比較的低いことだ。弁護士、税理士、公認会計士、医師、歯科医師のように資格がなければできない仕事とは違い、コンサル業は「私はコンサルタントです」と名乗れば誰でも起業できる。経営、戦略、IT、人事、キャリア設計など分野は多岐にわたるが、何かを生産するわけではないので工場や機械といった生産手段もいらない。「今日からコンサル業を始める」と決めれば、そのまま比較的スムーズに始められてしまう。

その結果、自称コンサルタントが増えすぎて競争が激しくなり、生き残れない事業者が倒産や廃業に追い込まれている、と高須氏は見ている。

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AIでかなりのことが代替できるようになった

2つ目の理由として高須氏が挙げるのはAIの発達である。コンサルタントの主な仕事は、クライアント企業や市場、同業他社のデータを集めて解析し、方針を立てることだ。高須氏によれば、これだけAIが発達するとある程度のことはAIでできてしまう。

コンサルに頼めばお金を払い続けなければならず、無駄な出費が増える。それならAIで自分で解析するか、税理士や会計士に相談すればいい。優秀な税理士や会計士なら経営面のアドバイスもある程度してくれる。ただし高須氏は、税理士・会計士にも優秀な人とそうでない人、気が利く人と利かない人がいて、まったくアドバイスしてくれない人もいると付け加えている。

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大塚家具の騒動で揺らいだコンサルのイメージ

3つ目に高須氏が触れるのは、コンサル業そのもののイメージの悪化だ。例として挙げたのが大塚家具のお家騒動である。大塚久美子氏はもともとコンサル会社の社長だったが、大塚家具の社長になっても経営がうまくいかなかった。これを見て世間では「コンサルは本当に有能なのか」という声が出た、と高須氏は言う。

高須氏はここで素朴な疑問を重ねている。経営のプロなら自分で経営すればうまくいくのではないか。なぜ自分では事業を経営しないのか。コンサル業という事業の経営ではうまくいっているのに、他の事業を自分で経営するとうまくいかないのはなぜか。こうした疑問を抱き、「コンサルに頼んでも意味があるのか」と考える人が増えた、というのが高須氏の見方である。

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「なんちゃってコンサル」は情弱ビジネス

もちろんコンサルにも優秀な人と無能な人がいる、と高須氏は認めている。ただ参入障壁が低いため能力の低い「なんちゃってコンサル」も大量に出てきた。高須氏は、そうした人たちから順番に廃業・倒産していく流れになるだろうと予想する。

高須氏はさまざまな会社の経営者を見ており、うまくいっている人もいかない人も知っている。美容クリニック業界でも、開業医や多店舗展開している医師の中に成功例と失敗例の両方がある。そのうえで高須氏は、本当に優秀な経営者はコンサルを必要としていないと言う。新しいことを始める際に部分的にコンサルを入れることはあっても、根本的な部分には入れていない。

一方でなんちゃってコンサルは、言葉は悪いがと前置きしつつ、経営能力のない経営者をターゲットにしてお金を取っている情弱ビジネスだ、と高須氏は表現する。そうした業者がだんだん淘汰されているのではないか、というのが高須氏の推測である。また、経営がうまくいかずにコンサルを入れた会社やクリニックを見てきた経験から、コンサルを入れてもダメな人はダメだと感じるとも語っている。

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美容クリニック業界にはびこるコンサル

ここから話は高須氏が身を置く美容医療業界に移る。高須氏によれば、美容クリニック業界にはさまざまなコンサルがはびこっている。アカデミックというより商業主義的な美容外科学会(高須氏はJSASを挙げ、いわゆる「直美」の医師が集まる学会だと説明している)の商業ブースに行くと、経営コンサル的な業者のブースが多く出ている。

Instagramでも、美容クリニックを新規開業する人や、開業したもののうまくいかない人に向けたコンサルの広告がよく流れてくるという。高須氏自身は、興味を持って見ているから表示されるのだろうと述べている。対象は美容だけでなく、内科、皮膚科、精神科など他の診療科の開業医にも広がっている。高須氏の目には、美容外科医や美容皮膚科医、他科の医師たちが「カモ」になり、高い料金を払ってコンサルを頼んでいるように映るという。

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「SNSを活用しろ」は当たり前のことにすぎない

医師がコンサルを頼む理由は、患者が来ないことにある。患者が来なければ売上が上がらず、利益も出ない。そこでコンサルを入れると、「広告戦略が間違っている」「SNSマーケティングが必要だ」「Instagram、TikTok、YouTube、Xを活用して集客しよう」と言われる。高須氏はこれを、ごく当たり前のことを言っているにすぎないと評する。

高須氏はここで自身の経験を振り返っている。10年以上前、医師はほとんどSNSをやっていなかった。InstagramやTikTokはほぼなく、Twitterがあり、YouTubeが出始めたばかりで、SNSといえばアメブロが主流だった。美容外科医でもアメブロすらやっていない人が大半だったなかで、高須氏はアメブロを続けており、当時は美容外科部門で1位だったという。一部には「医者がSNSなどやるものではない」という風潮もあった。だからこそ当時は、SNSをやるだけで患者が来る時代だったと高須氏は言う。

しかし今は美容外科医が増えすぎ、一般の人もみなSNSを使っている。医師がSNSをやるのも、症例写真を載せるのも当たり前になった。患者は医師を選んで指名するので、SNSをやっていなければ選ぶ基準から外れてしまう。大学病院からの紹介や長年のリピーターがいる場合は別として、SNSをやらない戦略のクリニックはどんどん衰退しているのが悲しいが現状だ、と高須氏は語る。だからこそ、SNSマーケティングの話を聞くためにお金を払ってコンサルを入れている時点で、その経営者は「アウト」なのではないかと高須氏は考えている。

SNS以外にも、立地や内装、スタッフ採用といった論点がある。高須氏は、今は人手不足で特に看護師が足りず、募集をかけてもなかなか人が来ないと述べる。看護師側も「仕事が楽」「早く帰れる」「休みが取れる」「給料が高い」といった情報を持っていて少しでも条件の良いところを選ぶため、相当条件を良くしないと来てもらえないという。

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「スーパー直美」を講師に立てるコンサル

高須氏は以前、試しにそうしたコンサルの話を聞いてみたことがあり、話を聞きに行った他の医師からも感想を聞いている。多かったのは、当たり前のことをただ喋っているだけで、それが有料とは信じられないという声だった。有料のウェビナーで解説することもあり、その講師として登場するのがいわゆる「スーパー直美」だという。

高須氏の説明によれば、直美とは研修医を終えてすぐ美容医療に進む医師のことで、早く楽に稼ぎたい人がなる。多くの直美は、カウンセラーが値段を吊り上げてアップセルするような悪質なぼったくりクリニックチェーンに雇われていたり、そこまでえげつなくなくても、注射やシミ取りなど美容皮膚科系の安い施術ばかりやらされて不満を抱えていたりする。高須氏はそれを自業自得だとも述べている。

その中に、経営能力やSNS戦略に非常に長けた「スーパー直美」がいる。施術は埋没法だけ、注入だけといった範囲でも、SNSがバズって患者が集まり、売上も利益も出している人たちだ。高須氏の肌感覚では、直美全体の上位1〜2%ほどだという。彼らは雇われではなく開業し、それなりに有名になって稼いでいる。

美容コンサルはこうしたスーパー直美を講師に立て、「SNSやTikTokのショート動画を毎日上げてとにかくバズらせることが大事だ」「炎上してもいい。炎上すれば知ってもらえる」「そこから症例写真や自分の熱い思いを発信し、共感してもらえればいい」「炎上で100万人に名前を売れば、10万人くらいはファンにできる。残り90万人はアンチになるが」といったレベルの話をしているという。高須氏はこれを聞いて、正直「終わってるな」と思うことがあると語った。

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高須氏自身が講師に呼ばれた経験

高須氏自身も、美容コンサルから講師として呼ばれそうになることがあるという。「先生はバズっていて、マーケティング戦略に長けている。天才だからぜひお願いしたい」と頼まれるが、高須氏は「何を話すんですか」と返している。

高須氏によれば、このYouTubeチャンネルでも真面目な話はしているものの、実際に伸びているのはハゲ関連や堀大輔氏に関する話題などだという。そういう動画を上げろと講師としてレクチャーするのか、という話になってしまう。それでもコンサル側は、それが素晴らしい、どうしたら高須先生のようにやれるのか、他の医者には真似できない領域だ、と持ち上げてくる。高須氏は、そうした依頼は「そういうレベル」のものだと受け止めている。

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一番大事な「技術を磨くこと」を教えない

高須氏が最も問題視するのは、コンサルが一番大事なことを教えない点だ。美容外科医にとって本来最も大切なのは、SNSでバズらせることではなく、技術を磨いてレベルの高い治療や手術を提供することだと高須氏は言う。技術は日進月歩で、新しいテクノロジーも入ってくるので、常に勉強し修行し続けなければならない。

ところが経営コンサルタントは医師ではないので、そこがわからない。だから、修業もトレーニングもしていないのにSNS戦略だけに長けて集客できているスーパー直美を講師にして、レクチャーをさせる。高須氏によれば、そうした講師は若く、男性はイケメン、女性はとても可愛い人が多く、まずビジュアルが良くないとダメという雰囲気があるという。

では講義を聞いた開業医がうまくいくかというと、うまくいかない、と高須氏は言う。スーパー直美の成功はセンスによるものだと高須氏は考えている。もともとビジュアルが良く、トーク力があり、バズらせる才能を持っている。そうしたセンスや才能、努力のない人に説明しても真似はできない。結局うまくいかずに廃業し、大手クリニックの勤務医に戻る人が多い、というのが高須氏の観察である。

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「異常な症例」をトレンドとして勧めるコンサル

高須氏はさらに、コンサルが教える症例写真の見せ方にも強い疑問を呈している。症例を出すのは当たり前だが、コンサルは「見せ方が大事だ」と言い、トレンドに乗った症例を出すよう勧めるという。高須氏が例に挙げたのは、人中短縮で思い切り短くする施術が一部で流行っていること、肋軟骨を使って鼻先を思い切り出す施術が流行っていること、そして脂肪吸引のやり過ぎやマンジャロの使用でカリカリに痩せた女性の症例である。こうしたちょっと異常な症例を出せば、それに刺さる患者を集客できる、とコンサルは教える。

高須氏はこれを、教えてはいけないレベルの話だと批判する。本来の美の基準から外れたものを基準として打ち出し、それを良いと思う人を集め、そういう人が増えていけば、美の基準そのものがどんどんおかしな方向に向かってしまう。教えている内容が的外れどころか社会悪のようなコンサルも多く、こうしたものには絶対参加しない方がいいと思った、と高須氏は語った。

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成功する人とうまくいかない人の違い

高須氏は、集客力がありマーケティングに長けた人には天性の才能のようなものがあると見ている。センスが良く、頭が良く、それなりに努力家でもある。職人気質の人もいるが、思い切り努力して思い切り稼ぎ、思い切り遊びたいというタイプの人もいて、そういう人たちは気合いが入っている。常に自分でアンテナを張り、新しい情報を集めることを自然にやっている。

対してうまくいかない人は、ぼーっとしている人が多い、と高須氏は言う。楽して稼ぎたいだけで自分の頭で何も考えず、開業しても患者が来ないのでコンサルに聞いてみる。仮にコンサルの言うことが方向性として正しかったとしても、実践するには努力し続けなければならない。努力したがらない人はうまくいかないので、そもそも勤務医の方が向いているのではないか、と高須氏は考えている。

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腕とマーケティングは同時進行で

高須氏はマーケティングやSNSの重要性自体を否定しているわけではない。最も大事なのは患者のために質の高い治療を提供し、腕を磨き続けることだとしつつ、今の時代は腕を磨くだけでは患者が来ないことも認めている。

患者が来なければ手術の機会が減り、腕が衰えていく。逆に患者が多く来れば手術の機会が増え、センスのある医師はやればやるほどうまくなる。だから技術を磨くことと、マーケティングやSNS戦略を同時に進めなければ、今後の美容医療業界では生き残れないと高須氏は言う。

そのうえで高須氏の結論は、コンサルを入れるだけでは生き残れないし、本当に優秀な人たちはそもそもコンサルを必要としていない、というものだ。美容業界でそうなのだから、それ以外の企業にも同じことが言えるのではないか、と高須氏は話を締めくくった。