美容外科医・高須幹弥氏はなぜ「日本でこれ以上美容医療が広まってはいけない」と考えるのか

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概要

美容外科医として毎日多くの患者を診察・治療している高須幹弥氏が、ルッキズム(外見至上主義)について自身の意見を語った動画である。中心となる主張は、日本でこれ以上美容医療や美容整形が盛んになると、多くの国民が今より不幸になり、国力も低下して国益を損なう、というものだ。美容医療を生業とする立場からの発言である点を、話者自身が前提として示している。

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自分の商売が苦しくなっても広まらない方がいい

高須氏は、切開系の手術、ヒアルロン酸やボトックスなどの注入系、肌のレーザー、RF、HIFUといった照射系治療まで幅広く手がけている。そのうえで、常日頃から「これ以上日本で美容医療が広まらない方がいい」と考えているという。

美容医療が広まらなければ当然患者は減る。全国に数多くある美容クリニックの競争は激しくなり、経営は苦しくなる。それでも構わないから、これ以上は広まらない方がいい、というのが話者の立場である。

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供給過剰がコンプレックスを「作り出す」

話者がまず問題にするのは、美容業界の需給バランスだ。高須氏によれば、美容外科・美容皮膚科のクリニックは全国でどんどん増えており、美容医療を受けたいという需要も増えてはいるが、供給の増え方の方が圧倒的に大きい。需要より供給が多い状態だという。

そうなると、新たに開業する人や新たに美容外科医になる人は、患者を増やさなければ食べていけない。患者を増やす方法は、話者の見方では「コンプレックスを増やすこと」しかない。つまり、これまで日本人がコンプレックスと感じていなかったことを、コンプレックスとして感じさせる必要が出てくる。

高須氏はその具体例をいくつも挙げる。男性も短パンでスネ毛が生えていたら気持ち悪いから、みんなレーザー脱毛や永久脱毛をしなければいけない、という宣伝。成人の男女だけでなく子どもにも対象を広げ、高校生に「毎日アイプチしているとまぶたがかぶれるし時間もかかるから、埋没法や切開法をしましょう」と勧め、さらに中学生、小学生へと下げていく。小学生のモニターを募集して動画を撮り、それを宣伝に使えば小学生も整形したくなり、「キッズ整形」のようなものも生まれる、と話者は描写する。

痩身の分野でも同じ構図があるという。マンジャロなどの痩身治療、脂肪溶解注射、脂肪吸引について、「ちょうどいいスタイル」の基準をなるべく細い方へ寄せて宣伝すれば、普通の体型の人でも「あなたは太っている、もっと痩せないといけない」と思わされる。自分を太っていると思う人が増えれば、こうした治療を受ける人も増やせる。

高須氏はこうした状況をまとめて、今の美容医療業界は男性も女性も、後期高齢者も中学生も小学生も「みんな整形しましょう」と宣伝して国民のコンプレックスを増やし、整形させようとしている、と述べる。それくらいしなければ美容クリニックも生き残れず、みんながやらないような整形をやらせないと経営が成り立たない、というのが話者の見立てである。

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外見に時間と金を使うほど、中身を磨かなくなる

コンプレックスが膨らみ自尊心が低下すると、外見至上主義はさらに過剰になる。もっと外見を磨かなければ、可愛くならなければ、イケメンにならなければ、と考えるようになり、外見を磨くことに時間・労力・お金を使う。その分、中身を磨くことを怠るようになる、と高須氏は言う。

話者は、長期的に見れば外見よりも内面を磨く方がよほど大事だと強調する。理由は生産性である。工場で物を作る、技術革新を起こす、AIを進歩させるといったことは、いろいろなことを勉強し経験を積み、技術力を伸ばしてイノベーションを起こすことで実現する。外見ばかり磨いても生産性は上がらず、GDPもなかなか伸びない、というのが話者の論理だ。

もちろん、外見に使われたお金によって美容産業の規模は大きくなり、そこで稼ぐ人も増える。しかし高須氏は「それでいいのか」と問う。キャバクラ嬢、風俗嬢、ホストクラブのホストのように外見で売る職業の人が、頑張って働いて稼ぎ、そのお金で整形する。そうして産業の中でお金がぐるぐる回っても、新しいソフトやハードが生まれるわけではなく、国力が増強されることはない。外見を磨いて接客し、整形してお金を回すことは「先進国のやることではない」と話者は述べる。

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結婚・出産の減少から社会保障の圧迫へ

もう一つの経路として高須氏が挙げるのが少子化である。外見に自信がなくなって自尊心が下がれば、恋愛や結婚ができなくなる。また、外見を磨くことばかりに時間・お金・労力を使えば、結婚して子どもを育てる余力がなくなる。男女とも20代を過ぎ、30代、40代になっても結婚せず子どもを作らず、外見に投資し続ける人が増える。こうした影響で出生率が下がり、少子化が「多少なりとも」加速する、と話者は述べる。

少子化が進めば生産年齢人口は減っていく。一方で、団塊の世代、団塊ジュニア世代、さらにその下の世代も老いて、社会保障を受ける側になる。少ない労働者で多くの高齢者を支えることになれば、社会保障費が増え、現役世代の社会保険料が上がり、増税で手取りが減る。財政も圧迫され、国力はどんどん低下する、というのが話者の描く流れだ。

ただし高須氏は留保もつけている。出生率が伸びない少子化は「先進国病」であり、美容医療の問題を解決すればすべてが解決するわけではない、と認めている。そのうえで、今の日本は過剰なまでにルッキズムが広がっていると主張する。その原因としてはスマホやSNS、整形インフルエンサーの影響など多くのものがあるが、加えて美容クリニックが増えすぎ、患者を増やすためにコンプレックスを植えつけて需要を作ろうとしている、と話者は見る。その結果、「まだ可愛くならないといけない」「まだ不細工だ」「体重が40kg台ではまだデブで、30kg台にならないといけない」と思い込まされる人が出てくる、という。

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20年以上の臨床経験から見た「病んでいる人」の増加

高須氏は美容外科医として20年以上働き、さまざまな世代の患者を見てきた。その経験から、ここ数年で明らかにルッキズムが過剰になり、必要以上に外見を悩んで精神的に病んでいる人が増えていると話す。

具体的には、普通に見て外見に全く問題がないのに「この鼻が変なんです」「ほっぺの肉が変なんです」「目が細くて変なんです」と訴える人がいる。「写真を撮ったときに変な顔になる」「このシワがすごく目立つ」といった、写真を起点にした悩みも多い。高須氏はこれを「昔はいなかったような悩み」と表現する。必要以上に自分の外見を悩む状態を身体醜形恐怖症といい、そこから整形し、整形依存症になっていく人が明らかに増えている、というのが話者の実感である。こうした人はここ5年、10年で急激に増えたといい、これ以上美容整形が盛んになればもっと増えるのではないか、日本の未来は暗いのではないか、と高須氏は懸念を示す。

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韓国は「日本の未来」だという見方

日本で美容整形を受ける人の割合も増えており、高須氏の感覚では「韓国並みになっているかな」という程度に達している。このまま放置すれば本当に韓国並みになる可能性がある、と話者は警告する。

話者の説明では、韓国はアジア通貨危機のあたりから美容整形を国家プロジェクトとして推進してきた。外国人に対して付加価値税を免除する措置を一時期とり、外国人を韓国に誘致して整形させ外貨を稼ぐことを政府が後押しした。K-POPや韓流ドラマといった文化、さらにサムスン電子などの家電製品を海外に売り出すために韓国のイメージを良くする、という取り組みと全部セットで進められ、美容整形はその中の一つだった、と高須氏は位置づける。

高須氏は韓国の歩みにも触れる。自身の子どもの頃の韓国は軍事独裁政権で、その後民主化運動を経て民主化され、ソウルオリンピックがあり、資本主義が浸透して国民の暮らしが豊かになった。そしてアジア通貨危機の頃に美容整形を国家として推進する流れが生まれ、国内で整形が過剰に行われるようになった。今では多くの韓国国民が整形し、外見至上主義が過剰になっている、と話者は述べる。

さらに、韓国にはもともと結婚や就職で外見によって人を選ぶ、区別・差別する風習があり、それに学歴至上主義が加わっていると高須氏は言う。話者は「学歴至上主義と外見至上主義は必ず国民を不幸にする」と断言し、若者を不幸にして結婚する人が減り、出生率が下がると主張する。韓国の出生率は1を切り、今後消滅してしまうのではないかとまで言われているとし、これは「まさに日本の未来」だという。国内で美容整形を盛んにしたり推進したりすれば、外国人を誘致して多少の外貨は稼げるかもしれないが、国益・国力の低下という観点ではマイナスの方がはるかに大きい、というのが話者の考えである。

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美容医療に流れる医師と、他業種からの参入

供給過剰の背景として、高須氏は美容医療を目指す医師の急増も挙げる。「直美(ちょくび)」という言葉があるように、2年間の初期研修を終えてすぐ美容クリニックに就職する人が非常に増えた。ほかにも、ほぼ直美の人、半分直美の人、他科から転科する人、形成外科でトレーニングを積み専門医を取ってから美容に進む「王道コース」の人、皮膚科専門医を取ってから美容皮膚科に進む人など、さまざまな経路で美容医療の医師になる人が毎年すごい勢いで増えているという。

その理由について話者は、保険診療に魅力がないこと、単に楽して稼ぎたいという短絡的な動機など、複数の要因が複雑に絡み合っていると説明する。そのため問題は美容医療側だけにあるのではなく、保険診療側にもあり、両方を同時に解決しなければならない、と高須氏は付け加えている。

もう一つの供給源が他業種からの参入である。医師ではない、全く別の商売をしていた人が「美容医療は儲かる」と考え、直美の医師や看護師を大量に雇って事業を展開する。上に立つ人が医者ではないため医療倫理が欠けており、かなり無茶なことやぼったくりをしてでも金を稼ごうとする、本来の医療のあり方とは全く違う金儲け主義で全国展開する例もある、と話者は批判する。オンラインクリニックでAGAの薬やマンジャロを処方する、「美容睡眠外来」として睡眠薬を簡単にオンラインで処方する、といった手法も挙げている。

こうして美容医療に進む医師や参入者が増えて供給が増え、需要を増やすためにさらにコンプレックスを増やそうとする。高須氏はこれを「悪循環」と呼ぶ。

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結論:美容医療はこれ以上拡大しない方がいい

高須氏の結論は、これ以上美容医療・美容整形が日本で盛んになれば国力は低下し、国民も不幸になる、だから美容医療はこれ以上拡大しないようにした方がいい、というものである。美容外科医として自らの経営に不利になることを承知のうえで示された意見であり、具体的にどのような手段で拡大を抑えるべきかについては、この動画では語られていない。