日経平均急落の日に「平凡なインデックス投資家」が考えたこと:米CPI上振れ、戦争、AIバブルへの懸念

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概要

10月15日(木)の午後3時40分、高須幹弥氏は「緊急で」動画を撮り始めた。米国の9月CPI(消費者物価指数)が市場予想を上回り、FRBの利上げ観測が強まったことで、日経平均株価が大きく下げた日である。デイトレーダーや信用取引をする投資家が慌てるなか、話者は自分を「市場平均を取りに行くだけの平凡なインデックス民」と位置づけ、「何にも焦っていない」と語る。動画では、下落の原因をどう見ているか、なぜ長期保有の立場では気にならないのか、それでも何を最も恐れているのかが順に語られた。

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当日の値動きと話者のポジション

話者の報告によれば、日経平均の終値は6万425円で、前日比4.9%安だった(動画タイトルでは、取引時間中に一時3600円以上値下がりしたとされている)。TOPIXの下げ幅はそれより小さく2.38%安だったが、3999ポイントと4000を割り込んだ。

話者はこの日を「こういう日もある」程度にしか受け止めていないと言う。理由は自身の保有スタイルにある。S&P500とTOPIXをおおむね6対4の比率でコアとして持ち、そのほかに個別株やハイテク系の銘柄を少しずつ買っている。基本は買ったまま持ち続ける「ガチホ」であり、売買のタイミングを計ることはしていない。

焦るかどうかは投資家のポジションや立場で変わる、というのが話者の整理である。信用取引をしている人やデイトレーダーの中には、ライブ配信で冷や汗をかいたり「今こそ買い場だ」と叫んだりしている人もいるが、インデックス投資家は通常は損切りが不要だと話者は言う。代わりに、自分なりの長期のストーリーを考える。AI技術が進化しデータセンター投資が進む以上、多少のボラティリティはあっても長期的には右肩上がりだろう、という見立てである。今後10年、20年、30年以上保有する可能性が高いので、目先の上下よりも、そのときに世の中がどうなっているかの方に関心があり、心配もしているという。

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下落の原因:米CPIの上振れと利上げ観測

話者の説明では、下落のきっかけは米国の9月CPIが前年同月比3.7%上昇と市場予想を上回ったことだ。FRBのインフレ目標はおおむね2%程度だと話者は理解しており、それと比べると3.7%は高い。そのため今後利上げの可能性が高まったと市場が受け止めた、という整理である。

ただし話者は、このインフレの中身を重視する。物価上昇の主因はエネルギー、とくにガソリン価格の上昇であり、景気が過熱して需要が膨らむディマンドプル型のインフレではない、と話者は見る。ガソリン価格は前年同月比34.2%上昇だったのに対し、コアCPIは2.6%の上昇にとどまっている。原油先物も上昇し、恐怖指数と呼ばれるVIX指数も上がっているという。

ガソリン高の根本には戦争がある、というのが話者の解釈だ。一番の原因はイラン戦争で、中間選挙前になっても終わらず、選挙後に大きな攻撃が仕掛けられるのではないかという説もあると話者は紹介する。加えて、フーシ派とサウジアラビアの紛争が悪化し、ガソリン価格をさらに押し上げた。話者は、米国のインフレはコストプッシュ型の要因が大きく、今回の日経平均下落の根本的な要因は「戦争による」ガソリン価格の上昇だとまとめている。

そのうえで、景気過熱によるインフレではない以上、金利を上げれば景気を冷やしてしまう。それでも、これ以上物価が上がらないよう利上げする方針にFRBはなるだろう、と話者は見ている。

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なぜ半導体・AI銘柄が大きく売られたのか

話者によれば、金利上昇が予想されると、将来の成長を織り込んで株価が上がっている銘柄ほど下がりやすい。半導体銘柄、AI銘柄、ハイパースケーラーがその典型で、期待で株価が膨らんでいる企業ほど影響を受けやすいという。実際、フィラデルフィア半導体指数(SOX指数)は4.3%下落し、ナスダックも下げたと話者は伝える。

話者が主に保有するS&P500にもAI・半導体銘柄は多いが、それ以外の業種の企業も多く含まれるため、ナスダックやSOXほどは下がっていない。それでも下がってはいる、と話者は付け加える。

日経平均の下げが大きかったのは、アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシア、ソフトバンクグループ、レーザーテックといった半導体サプライチェーン関連の銘柄が大幅安となったためだと話者は説明する。一方で、医薬品や小売りには資金が向かっている銘柄もあり、TOPIXが日経平均ほど下げなかったのはそのためだ、という見方である。

ハイパースケーラーの資金調達にも話者は触れた。データセンター投資のための資金を集めている企業でも、FRBが利上げすれば高い金利を払わなければ資金調達できなくなる。それが関連銘柄全体を押し下げる要因の一つになっている、と話者は述べる。

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短期の見通しと「半導体を買う」という個人的見解

話者は、しばらくひと息ついて、戦争の影響が少し和らげば原油価格が下がり、株価もまた上がっていくと見ている。翌日には反発して少し上がるのではないか、とも予想する。

そのうえで、いまお金がある人はむしろ半導体銘柄を買えばいいのではないか、自分にお金があれば日本の半導体関連銘柄をいま買う、と個人的な考えを語った。ただし「まだわからない」「今後の動向は分からない」と繰り返し留保をつけ、投資は自己責任でと念を押している。

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本当の論点:AIデータセンター投資は回収できるのか

話者にとって、今日の下落よりはるかに大きな問題は別にある。Microsoft、Amazon、Meta、Google、Oracleといったハイパースケーラーが巨額のAIデータセンター投資を行っているが、その投資に見合う利益が今後出るのか、という点だ。話者自身は、長期的には採算が合うのではないかと考えている。

AIの普及そのものについて、話者は楽観的だ。一般企業の事務仕事、自動運転、医療、さらにフィジカルAIによる建築や製造の分野まで、AIが入り込んで社会は大きく変わり、企業の生産性も上がることは「間違いない」と話者は言う。生活は豊かになり、人手不足もある程度解消されていくだろうと見る。

しかし投資家の視点では、AI・半導体銘柄への期待が高すぎて株価が上がりすぎている、と話者は指摘する。巨額の投資が回収されなかった場合、企業業績が落ち、株価が下がる。話者はこれを「AIバブル崩壊」と呼び、自分の中で最も恐れていることだと明かした。

話者が想定する崩壊のシナリオは二つある。一つは、半導体やAIの進歩があまりに急速で、既存の設備がすぐに陳腐化し、これまでの巨額投資が回収できなくなるケース。もう一つは、高性能で安価な中国製の半導体が開発され、米国や日本の製品が売れなくなるケースだ。そうなればNVIDIAのGPUも売れなくなり、シェアと株価が下がり、それに連なる日本の半導体関連銘柄も下がる、と話者は連鎖を描く。

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米中競争と、株価を支える力への期待

それでも話者が長期的には楽観している理由は、米中のAI競争にある。AI開発とデータセンター投資をめぐって米中は激しく競っており、これは国家の威信をかけた勝負だと話者は見る。日本は米国側に寄っている。

米国は中国に負けられない以上、株価を下げてはいけない。そのためFRBと米国政府が一体となって株価を下支えし、企業業績を良くしようとするはずだ、と話者は考える。AI・半導体バブルが崩壊し、米国のハイパースケーラーを中心に日本の半導体銘柄まで低迷して中国に負ける、という事態は「あってはならない」ので、株価を上げにいってくれるだろうという見立てである。

話者が期待しているのは、米国が中国との競争に勝って世界のAIの覇権を握り、それに伴って日本の半導体関連銘柄の業績も拡大していく未来だ。それは10年、20年、30年先の話であり、だから今日のCPIによる利上げ観測で株価が下がったことは「あんまりどうでもいいこと」だと話者は言う。5年、10年経てば、今日の下落は長期的にはちょっとした出来事にすぎなくなる、という考えだ。

ただし話者は、AI・半導体関連に全力で投資しているわけではないことも強調する。幅広いセクターに投資して市場平均を取りに行くのが自分のスタイルであり、その意味でも今日の下落はあまり関係ないとしている。

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平凡な人がインデックスを選ぶ理由:示されたデータ

動画の終盤で話者は、過去のデータを見ても、平凡な人間はインデックスファンドをひたすら持ち続け、買い増し続けるのが一番だと考えている、と述べ、いくつかの数字を挙げた。

まず、米国の大型株アクティブファンドとS&P500を比べると、15年間でS&P500に勝てたアクティブファンドは10%だけで、残り90%は負けているという。プロのファンドマネージャーが運用しても指数に負けるのだから、個人が個別株で勝つ確率はもっと低い、と話者は推論する。

日本株についても、個別株を1銘柄選んで5年間でTOPIXを上回る割合は28.7%だと話者は紹介した。つまり日本の個別株を少しずつ買って運用するより、指数をただ持っている方が勝つ可能性が高い。ごく一部の優秀な人ならインデックスファンドに勝てるだろうとしつつも、デイトレーダーが長期的にインデックスファンドに勝つ割合は1%未満というデータもある、と話者は付け加えた。

話者自身は本業が美容外科医で、毎日株価や世界情勢を追ったり、チャートを見て売買を繰り返したりする時間はない。だから、TOPIXやS&P500など今後伸びそうな指数に賭けるだけでいいと考えている。今回の下落で慌てているデイトレーダーも、いずれにせよインデックスファンドに勝てる人はごくわずかだろう、と話者は見る。

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結び:今日の下落をどう受け止めるか

話者は最後に、今回の動きを「暴落」と呼ぶべきかどうかは分からないとしたうえで、信用取引で半導体銘柄を売買している人にとっては今日はヒヤヒヤする一日で、それこそ本業に支障が出るのではないかと述べた。一方、市場平均でいいと割り切ってインデックスファンドを持ち続ける自分にとっては、この下落は大きな問題ではない。

話者が未解決のまま残した問いは、AIデータセンターへの巨額投資が本当に回収されるのか、そして米中競争の行方がAI・半導体銘柄の高すぎる期待を正当化するのか、という点である。話者はそれが実現する未来を期待して長期投資を続けていると語り、視聴者にも意見を求めて動画を締めくくった。