エリクシールの新作化粧水は「シートマスク級の保湿」をどう実現したのか

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概要

皮膚科医の友利新が、SNSで話題になっているエリクシールの「シートマスク級」をうたう超保湿化粧水について解説した。友利は以前からエリクシールを「資生堂のボランティア」と呼んでいる。最新の技術を搭載しながら、ドラッグストアで手頃な価格で買えるからだという。今回の動画で友利が取り上げるのは、化粧水だけでシートマスクと同等の保湿を得られるかという問いと、資生堂がそれに対して用意した技術の中身である。

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秋冬の乾燥がエイジングにつながる理由

友利はまず、秋冬は春夏と違って外気が乾燥していると指摘する。もともと乾燥肌の人だけでなく、普段は脂性肌の人でも、なんとなく乾燥すると感じることが増える。そこで化粧水を重ね付けしたり、化粧水だけでは物足りないとシートマスクを使ったりする人も多い。ただ、使った直後は潤っていても、時間が経つと乾いてきたり、肌がカサついて艶がなくなったりすると感じる人も少なくないと友利は話す。

友利によれば、カサつきが進むとエイジングにつながる「負のスパイラル」に陥る。乾燥で最も問題になるのは、肌のバリア機能が低下することだという。バリア機能は、肌が潤っていることで外的刺激から肌を守り、内側から水分が逃げないようにしている。その意味で、バリア機能と潤いはほぼ同じものだと友利は説明する。

潤いが失われてバリア機能が下がると、外的刺激が入り込み、炎症が常に起きる状態になる。炎症はメラニンを刺激してシミの原因になり、真皮ではコラーゲンを壊す。つまり、乾燥そのものだけでなく、乾燥によるバリア機能の低下が炎症を引き起こし、それがシミ、シワ、たるみにつながる。だから乾燥させないこと、保湿を長持ちさせることがポイントになる、というのが友利の論理である。

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シートマスクと化粧水の差

これまでのスキンケアでは、化粧水を重ねてクリームで蓋をするのが定番だった。友利はクリームも大事だとしたうえで、クリームではなく「水」で肌を満たしたいという需要が多いと見ている。シートマスクが人気なのは、水分をぎゅっと入れて肌を潤わせたい人が多いからだという。

一方で、シートマスクは手間がかかり、長時間つけていると肌がふやけることもある。そのため、化粧水だけでシートマスク並みの保湿ができればいいと思う人は必ずいるはずだと友利は話す。

ただし、普通に考えれば両者の差は大きい。シートマスクは化粧水を染み込ませたシートを物理的に肌に乗せるので、液の量が違ううえに、シートが蓋の役割も果たす。友利によれば、化粧水の1回の使用量は1.5〜2ml程度だが、シートマスクには十数ml、場合によっては20mlほどの液が含まれている。化粧水を重ね付けしても液量ではシートマスクに遠く及ばず、物理的な膜もない。それなら無理なのではないか。この前提を覆すのが資生堂の技術だ、と友利は位置づける。

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「高保湿ロック処方」:液とシートの役割を1本に

今回の目玉技術は「高保湿ロック処方」である。友利の説明では、シートマスクの「液」の役割と「シート」の役割の両方を、1本の化粧水に入れたものだという。

液の役割については、そもそも化粧水なので対応できる。ただ、液量ではシートマスクにかなわないため、「量ではなく質で攻める」方針をとった。保湿成分を、従来の化粧水を100とした場合に170%程度という、過去最高の濃度で配合したという。友利が発表会で聞いた話では、資生堂の社内でも「そんなに入れていいのか、入れすぎではないか」とどよめきが起きたほどの濃度だそうだ。

シートの役割については、さすがに化粧水の中にシートは入れられない。そこで、化粧水を塗った後に目に見えないベールの膜を張るという発想をとった。これは二重の保護膜になっている。

1つ目は「補水ベール成分」である。薄い水性のネットワークが網目状に広がり、化学的に水分をしっかり抱え込んで補水ベールを作る。2つ目は油性のベール成分で、補水ベールの表面に薄い油膜を張り、シートの代わりに油膜で水分の蒸発を防ぐ蓋をする。補水ベールが水分を抱えるので少ない液量でも保湿でき、さらに油膜が高濃度の潤いを閉じ込めて逃がさない。友利はこれを、化粧水を塗るだけでシートマスクのような構造ができる仕組みだと説明する。

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実現を阻んだ2つのハードル

友利は、口で説明すると簡単そうで、他社もやっているのではと思えるほどだが、実際には2つのハードルがあったと話す。

1つ目は変色である。保湿成分は高濃度に入れるほど、時間が経つにつれて変色しやすくなるという。濃度を下げれば済むかといえば、それでは話が変わってしまう。補水ネットワークによって通常の化粧水より多くの水分を抱えられるとはいえ、今回のライバルは他の化粧水ではなくシートマスクだ。シートマスク級にするには保湿成分を減らすわけにはいかない。かといって、昨日まで無色だったものが使ううちに黄色くなっていくのでは困る。

そこで活かされたのが、資生堂がこれまで4MSKやレチノールといった不安定な成分を安定化させてきたノウハウだと友利は話す。その知見から変色を抑える成分を見出したという。具体的な成分は「秘伝のタレ」として教えてもらえなかったが、保湿成分の濃度を保ったまま変色を抑える成分を配合しているとのことだ。

2つ目はべたつきである。補水ベールで水を抱え、その上にワセリンのようなもので保護膜を作ると聞けば、べたつく化粧水ではないかと考える人もいるだろうと友利は言う。シートマスクの良さは、水分をぐっと入れるのでべたつきが少ない点にある。一般に保湿成分といえばワセリンやグリセリンなどで、これらが重さの原因になる。シートマスクをライバルとする以上、べたつきをなくす技術も必要だった。そこで膜を構成する油分を最適化し、べたつきにくい油分を選んで配合した。油分特有のべたつきはないが、油があるからこそ水分が逃げない構造になっているという。

この2つの技術によって、強い保湿膜を張りながらもべたつかず、内側からシートマスクをしたような状態になる、と友利は説明する。

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実際に使った感想

友利自身も製品を使ったという。話を聞いた段階ではかなりドロッとしたものを想像していたが、実際には意外とさらっとした使い心地だった。とろみのある化粧水ではニキビができることもあるが、この製品ではそうしたこともなさそうだと感じたという。保湿力と使用感の両方を兼ね備えた化粧水だというのが友利の評価である。

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コラーゲン研究「コラジェネシス」も継続

エリクシールといえばコラーゲン研究だと友利は言う。従来製品にも、コラーゲンの質を高めて量も増やす独自成分「コラジェネシス」が入っていたが、今回の化粧水にもコラジェネシスが配合されている。

友利の説明では、コラーゲンは生み出され、分解され、消化されるというサイクルを回すことで、繊維が太くしなやかになる。角層から表皮にかけてはシートマスク級の保湿でふっくらさせ、真皮ではコラーゲンの質と量を高めて内側からふっくらさせる。さらに肌全体にハリ感を持たせる設計になっている、というのが友利の解説である。

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どんな人に向いているか

最後に友利は、この化粧水が向いている人として次のタイプを挙げた。

  • 毎日シートマスクをしたいが、時間がない人
  • 秋冬になると、いつもの化粧水では物足りず、補水力に満足できない人
  • 保湿はしたいが、べたつくのがとにかく嫌な人。特にシートマスクを使うとプツプツができてしまう人
  • アルコールが苦手な人。今回の製品はアルコールフリーなので、シートマスクに含まれるアルコールが合わない人にも良いのではないかという
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結論:特別な成分より、蓄積した技術の組み合わせ

友利は、1本の化粧水に多くの技術を入れることで、乾燥から始まるエイジングのスパイラルを抑えつつ、エリクシールのお家芸であるコラーゲンケアも行う製品だとまとめた。説明すると簡単だが、その裏には技術的なハードルがいくつもあった。友利はそれを越えられた理由を、何か特別な成分を入れたことではなく、資生堂が培ってきた技術と研究力にあると見ている。改めてエリクシールは「資生堂のボランティア」だと感じたと述べ、日本の化粧品技術の高さを示す1本ではないかと締めくくった。