サンフランシスコ2年目、2000年生まれの起業家ヤン・ユンソク、AI採点ツールから「ビルダー認証」へ
EO Korea翻訳元 한국어
ペンシブ(Pensive)のヤン・ユンソク代表は、サンフランシスコで2年にわたり起業を続けている。この映像は、ヤン代表が大学向けAI採点プロダクトで米国の大学市場を切り開いた過程、会社を売却しかけた危機、そして新プロダクト「ビルダーズ(Builders)」で大手顧客企業を説得する数日間を追う。ヤン代表が投げかける問いは二つだ。売却という確実な選択肢があったのに、なぜ踏みとどまったのか。そして教育の会社になりたいのに、なぜ評価と人材マッチングから始めるのか。
大学向けAI採点から人材マッチングプラットフォームへ
ヤン・ユンソク代表によれば、ペンシブの最初のプロダクトは大学向けの採点ツールだ。AIエージェントが採点を手伝い、従来より5倍から10倍速く終えられるようにする。約1年半前にリリースし、現在は米国の100校以上の大学で使われているという。
二つ目のプロダクトは、このプラットフォームに蓄積されたデータを活用する。学生がオプトインして自分のデータを共有し、ペンシブが社内で開発したAIベースの評価(assessment)に合格すると、トップ企業の採用プロセスにそのままファストトラックでつながる仕組みだ。ヤン代表は、企業側にとっての価値は明確だと考えている。応募書類を10万件も受け取る会社なら、それをすべて審査しなくても、ペンシブが本当に優秀な人材を選んで直接つないでくれるというわけだ。この価値提案が的を射て、米国トップクラスの企業数社がパートナー兼顧客になったという。
なぜ米国だったのか
米国で起業した理由を、ヤン代表は「本当に単純に」説明する。最高の人材が集まる場所で、最も大きな仕事をしたかったのだという。サッカー選手なら誰もがプレミアリーグに、野球選手ならMLBに行きたがるように、優れた起業家なら誰もがシリコンバレーで起業したいはずだから、当然そこへ行くべきだという考えだった。この考えはある意味ナイーブで、高校時代から抱いてきたものだったと振り返る。
米国に来たときは知り合いが一人もおらず、米国で暮らした経験もなかった。すべてを賭けて若くしてやって来ただけに、投資家や周囲の人たちに、自分がなぜこの起業をするのかを率直にたくさん話したという。英語で話した部分は音声が一部不明瞭だが、幼い頃に授業を教えた経験が教育分野へとつながり、自ら作ったツールを持って学校に戻るとその学校が最初の顧客となって広がり始めた、という流れに聞こえる。
スケールしないことから:最初の10大学を開拓した方法
初期には「スケールしないこと(do things that don't scale)」をたくさんやったとヤン代表は語る。直接足を運ぶことが、投資対効果が最も高いと判断したからだ。たとえばこんなメールを送った。自分はペンシブを作った創業者で、来週UCLAに行くが、その日の空き時間帯はあと数枠しかない。一枠予約してくれればオフィスに直接伺って個別デモをお見せし、その学期の間は無料トライアルを提供する。いくつもの要素を組み合わせたこのメールのコンバージョン率は「非常に非常に高かった」という。
実際の移動も強行軍だった。日帰りで飛行機に乗って行き、Airbnbで一部屋借りて少し眠り、学校に行ってまた戻ってくるというやり方だった。こうしたGTM(市場参入戦略)で最初の10大学を獲得したと説明する。
営業自体は簡単ではなかった。技術畑の出身で、個人的に営業をした経験が一度もなかったからだ。最初はミーティングで自分が8割話し、2割しか聞かないという失敗を何度もした。経験を積むうちに、逆に8割聞いて2割話すべきだと気づいた。エンタープライズ営業でグループデモはいつ行うべきか、価格提案はいつ出すべきか、デモを早くやりすぎるとなぜよくないのか、といったことを経験から身につけたという。
2周年、2人から9人へ
オフィスには銅鑼が一つ掛けられている。祝い事があるたびに鳴らすもので、撮影当日はペンシブ創立2周年だったため、この銅鑼が鳴らされた。メンバーたちは英語で短く感想を述べ合った。6カ月ほど前に加わった仲間たちと歩んできた道のりに感謝を伝え、これからも良いものを作っていこうと語った。
ヤン代表によれば、1年半は2人で会社を回し、ここ6カ月で2人から9人に増えた。大きくなったチームを見るたびに、今でも感慨深いという。ただ、ヤン代表にとってはチームよりも、正式なオフィスを構えたことのほうが意味が大きい。1年半の間、リビングに机を6台並べて働いていたからだ。あるメンバーはインドにいたところをヤン代表を信じて合流したが、着いてみると「オフィス」は事実上の自宅で、騙されたと笑いながら振り返った。
新オフィスへの初出勤も感傷的なものではなかった。家具のないオフィスだったため、初日は組み立てだけで終わったという。仕事をしなければならないのに机がなく、Wi-Fiがなく、ウォーターサーバーもなかった。会議室にはテーブルも椅子もなく、床に座って会議をした。資金の潤沢な会社なら人を呼んで解決するだろうが、1時間あたり100〜200ドルかかることを考えると、呼ぶのはためらわれたという。
会社が終わりかけた瞬間:教育界の反発
この2年間、一歩間違えば会社を畳むところだった瞬間が「本当にたくさんあった」とヤン代表は言う。まず、AIを教育現場に持ち込むこと自体がセンシティブなテーマだった。教育は非常に人間的な領域であるため、AIを持ち込んで教師を置き換えようとしているという受け止め方が、特に初期には強かったとヤン代表は見ている。
挙げられた事例は二つだ。2023年、トップクラスのコンピュータサイエンス系大学の一つが、ペンシブが学生データを無断で使っているのではないかと問題提起した。そのうえで、全国の大学連盟の事務担当者たちに今後ペンシブと契約しないよう求めるメールを送ると言い、「君たちはもう終わりだ」と告げた。また、メールを送ったある教授からは、ペンシブのやっていることは1900年代に爆弾を作るのと同じであり、早く歴史の片隅に消えてほしいという返信を受け取った。
信頼していた投資家からの買収提案と競合の脅威
さらにつらかったのは、内部から来た脅威だった。ペンシブに投資し、毎月の投資家アップデートを受け取っていた、ヤン代表が信じて信頼していた人たちが、数百億ウォン規模の買収を提案してきた。そして、提案を受け入れなければ競合企業を立ち上げる可能性があることをほのめかした。相手はより多くの資本を持つ連続起業家たちだった。そのため、彼らが本当に競合を立ち上げたら勝てるのかを深く悩み、逃げ道はないかと考えたという。
当時、ヤン代表の前には別の選択肢もあった。Googleのリターンオファーがあり、Mercorという会社の最初の社員として加わるチャンスもあった。買収を受け入れれば、個人的に数十億ウォンの資産を得られる状況だった。しかし、そのお金があったら何をするかと考えてみると、「また起業すると思う」という答えが出たという。
この時期の苦しさは、仕事が多くて大変なのとは次元が違ったとヤン代表は説明する。仕事が多くて大変なら、もっと寝るか一日二日休めばいい。しかしこうした問題は一週間休んでも良くならず、結局は解決しなければ終わらない。最終的にヤン代表は、投資を受けられなくても売らずに続けようという難しい決断を下した。結果的に投資も受けられ、その相手は競合には乗り出さなかった。結果的にはうまくいったが、一瞬一瞬はかなり苦しかったと振り返る。
「振り返ったときに良いストーリーになる決断」
この過程でヤン代表が立てた基準は、「振り返ったときに良いストーリーになる決断をしよう」というものだった。今会社を売って一定の現金を得るエグジットよりも、アンダードッグとして紆余曲折を経て最後まで立ち向かったが結局敗れた、という話のほうが自分にとってはより満足のいくストーリーだという。自分がどんな基準で決断すべき人間なのかという確信を得てから、はるかに良い決断ができるようになったと思う、とヤン代表は評価する。
新プロジェクト「ビルダーズ」:マッチングプロダクトと評価プロダクト
チームミーティングでヤン代表は中期的な方向性を議論し、二つの道筋を示した。そのうちの一つは、ビルダーズが現役の在学生のための「AIネイティブ大学」のような役割を果たす方向だ。
ヤン代表の説明によれば、ビルダーズには二つのプロダクトがある。一つ目は、ペンシブが社内でビルダーを評価し、最も優秀な人材を米国のトップ企業につなぐプロダクトだ。二つ目は評価ツールそのものだ。ビルダーの能力を短時間でどう検証するかを考えるうちにAIネイティブな評価を作ることになり、人材をつなぐこととは別に評価だけを売ることもできるのではないかと考え、最近これを独立したプロダクトとして販売し始めた。
人の実力を評価することは本質的にかなり主観的だとヤン代表は認める。エンジニアリングのような比較的明確な領域でも難しく、今のようなAIネイティブの時代にはさらに難しい問題だと考えている。それでもチームの仮説はこうだ。何かをうまく作れる人は常に価値がある。コーディングがますます汎用的な技術(commoditized)になるにつれ、エンジニアだけでなく多くの人がエージェントを作り、自分の仕事を自動化するようになるだろう。だからこうした「ビルダー・メンタリティ」を持つ人を育てようという意味を込めて、ビルダーズと名付けたという。
顧客企業のテストで浮かび上がった問題①:優秀なエンジニアの不合格
撮影当時、ペンシブはある大手顧客企業にデモを提供しており、その会社のエンジニア数人が実際に評価ツールを試していた。前日には、顧客企業のエンジニアたちが自らテストを受けるセッションも行われた。
ここで困った事態が起きた。ヤン代表がしようとしていたピッチは、「このツールで合否を決められる」というものではなかった。4次、5次まで続く採用面接の最初のステップとして使い、多くの応募者を少数に絞り込めるというものだった。ところが、その顧客企業で成果が高いと評価されているエンジニアが、この試験で不合格の点数を取ってしまった。顧客企業からすれば、このスクリーニングテストは優秀なエンジニアまで落としてしまうと判断せざるを得ず、リスクが大きすぎると考えるのではないかとヤン代表は懸念する。
しかも、そのエンジニア本人が翌日のミーティングに出席する。本人が「自分はうまくやったのに、このテストがおかしい」と言ったら、返す言葉がなさそうだという。どうピッチすべきか、もしかするとその人はペンシブを試しているのではないか、と悩みながら、ヤン代表は「かなり頭が痛い」と打ち明ける。
顧客企業のテストで浮かび上がった問題②:新モデルがテストを通過する
もう一つ問題があった。前日にOpus 4.8がリリースされたのだが、このモデルがペンシブの作った評価ツールのテストケースをほぼすべて通過してしまったのだ。いつかこういう日が来るとは予想していたが、顧客企業とのミーティングを目前に控えて起きるとは思わなかったという。
この問題をめぐっては、開発チームとの間で認識が食い違う部分もあった。実験結果によって次に実行すべきことが変わる状況だったため、結果が本当にそう出たのか、自分が誤解しているのかを何度も確認したという。議論の末、チームはテストケースをさらに追加し、以前のモデル(4.7)と比較してみることにした。
この問題を解決できていなければ、翌日顧客企業から「Opus 4.8で実験してみたか、この評価をどれくらい通過できるのか」と聞かれたときに、きちんと答えられなかっただろうとヤン代表は考える。そうなれば顧客企業は、このチームが作った評価ツールが本当に良いツールなのかを大いに疑っただろう。だからこそ、そうした論理構造を立て直したという点で、前日の会議は非常に重要だったと評価する。
深夜0時直前のレポート修正
夜11時58分、3人がまだオフィスに残っていた。ほかのメンバーは翌日に締め切りがなく先に退勤したが、この3人にはその日のうちに終わらせるべき仕事があった。評価レポートの計算式で、89になるべきところに94と表示されるなど数字が合わず、原因を探していたのだ。
ヤン代表は、これはバグというより、レポートをその日に新しく作ったためだと説明する。評価には結局チームの主観が入る。だから、その主観がどれほど緻密か、そしてレポートがその緻密な主観をうまく反映しているかを確認し続けながら、直して改善していくプロセスなのだという。最終的に問題は見つかり、あとはどう直すかを考える段階にたどり着いた。
このミーティングが重要な理由も明かした。この顧客企業を獲得できれば、評価が年間数千件単位で売れる大型契約になる。また企業規模が非常に大きく、米国でエンジニアリングが最も革新的な企業の一つに数えられる会社であるため、良い「ロゴ顧客」を得ることにもなる。ぜひ一緒に仕事をしたいというのが最大の目標だとヤン代表は語る。
ミーティング戦略:点数より基準を説明する
退勤直前、チームは翌日のミーティングの流れをすり合わせた。まずヤン代表が評価を受けた全体的な印象と、レポートを受け取ったかを尋ねて、HR側との会話を始める。不合格になったエンジニアが「なぜ自分が不合格なのか」と聞いてきたら、メンバーのミンジュさんがレポート上のどの部分が足りなかったかを根拠に説明することにした。確認してみると、その受験者は実際に多くのミスをしていたという。ヤン代表は、価格の話は避け、1時間をまるごとこうした議論に使うほうがよいと述べた。想定されるエンジニアたちからの反論も事前にチェックした。翌日は9時に会議室に集まって30分間すり合わせをし、9時半にミーティングに臨むことにした。
ヤン代表が強調した原則は、チームの主観を明確に示すことだった。数百人の受験者を評価した結果として明確な基準が存在し、その基準に照らせばこの候補者は不合格である。したがって、基準そのものについて合意が得られれば、不合格も当然だという論理が成り立つと判断した。そのため、「不合格の点数を取った」という事実よりも、どんな基準を設けたのか、なぜ設けたのか、なぜそれがAIネイティブなエンジニアに必要なスキルなのかを強調したという。
ハーバードはなぜハーバードなのか:教育より先にクレデンシャル
ヤン代表が究極的にやりたいことは、学習と教育だ。それなのに、なぜ評価と人材マッチングから始めるのか。ヤン代表はハーバードを例に挙げる。ハーバードが本当に世界最高の教育を提供しているのかと問われれば、そうは思わないという。米国にはごく小規模な良い大学がたくさんある。それでもハーバードが最もよく知られ、優秀な人材に最も好まれるのは、「ハーバード」というクレデンシャルが発するシグナルのためだとヤン代表は見ている。
同じ論理で、「私たちが作ったAIチューターは本当に良い」とピッチするよりも、世界のトップ企業が求める人材像、その人材を評価する方法、そしてその評価を通過すれば企業につなげられるクレデンシャリングの力を持っている、と語るほうが正しいと考えている。ペンシブがそうした力を持つ一種のクレデンシャリング機関になってはじめて良い教育を提供でき、学生たちもプラットフォームを信頼して集まってくるだろう、というのがヤン代表の構想だ。
ヤン代表が描くブランドはこうだ。ビルダーズで評価を受けて「ビルダー認証(Builder certified)」のバッジを得れば、トップ企業にすぐつながることができる。書類選考の段階でフィードバックの一行もなく落とされたり、理由も分からないまま連絡が途絶えたりする経験はしなくて済む。こうした認識を得られれば、その次にはペンシブが大学の役割を代替できるのではないかと考えている、とヤン代表は語る。
ミーティングの後、そして最後の関門
翌日のミーティングは無事に終わった。ヤン代表は最大の成果として、顧客企業がこの評価を「面白く、しかも既存のツール(CodeSignalと聞こえる)よりもシグナルが強い」と評価した点を挙げた。それこそがチームが最も証明したかった核心だった。次のステップは、顧客企業のシニアエンジニアリングリーダーたちが集まる場で彼らを説得することであり、それが最後の関門になるだろうとヤン代表は言う。契約が最終的に成立したかどうかは、映像では扱われていない。
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