断面で見る電子部品の中身:ハイロックスの新型マイクロスコープでキャパシタから自作半導体まで観察する
イチケン / ICHIKEN電子工作YouTuberのイチケンが、ハイロックスのマイクロスコープ新機種HRX-02(ハイロックス提供)を使い、キャパシタ、インダクタ、抵抗、ヒューズ、水晶振動子、スイッチ、半導体、プリント基板を切断・分解して内部構造を観察した。2023年にも同社のマイクロスコープで動画を公開しており、今回は新機種の使用感も確かめる。部品ごとに「教科書通りの構造か」「なぜその形なのか」を読み解いていく。試料の多くは回転砥石で削って断面を作っている。
MLCC:容量と用途で変わる内部電極の配置
最初は、電気回路のほぼすべてに使われるキャパシタである。積層セラミックキャパシタ(MLCC)には、高誘電率系材料で静電容量を大きくしたX7R特性のものと、温度補償用材料で温度や電圧の影響を抑えたC0G特性のものがある。
1μF・耐圧450Vの2220サイズのMLCCでは、内部電極が層状に重なった教科書通りの構造が見えた。層間の距離は約16μmで、この短い距離をこの精度で重ねられるのは「とんでもない技術」だとイチケンは評価する。
耐圧500V・1nFのMLCCは、耐圧はほぼ同じで容量が1/1,000になる。こちらは左右の電極を単純に重ねるのではなく、中間にどこにもつながっていない電極が置かれていた。積層の密度も場所によって違い、上部が高密度、中央が低密度、下部が中程度だった。電極のない部分にも積層の跡がはっきり見える。電極の配置や密度には相当なノウハウがあるのだろう、とイチケンは述べている。
0.12pF・耐圧50VのC0G品では、電極同士の重なりがなく、内部電極が向き合うように配置されていた。イチケンは、重ねると容量が大きくなりすぎるため、向き合わせる構造で小さな容量を作っているのではないかと推測している。この部品は電極の色の違いが見やすく、外部電極は銅、ニッケルめっき、スズめっきの3層構造で、ここも教科書通りだった。
物理的に小さいMLCCとして、村田製作所の0201Mサイズ(0.25mm×0.125mm)も観察した。2024年まではこれが最小サイズで、現在はさらに小さい016008Mサイズ(0.16mm×0.08mm)も登場しているという。リールから出すと塵と見分けがつかず、手はんだはさすがに無理だとイチケンは話す。それでも内部はしっかりキャパシタの構造になっており、村田の技術力を示すものだと評している。
三端子コンデンサ:浮いて見える電極の正体
変わったMLCCとして三端子コンデンサも取り上げた。通常のMLCCよりESLが小さいのが特長で、内部電極がクロスするように重なっている。断面では左右の外部電極が内部電極につながり、中間には浮いているような電極が見える。上から見ると、この電極も別方向の外部電極につながっていることがわかった。
電解コンデンサとタンタルコンデンサ
導電性高分子アルミ固体電解コンデンサは、陽極、電解質、電解紙、陰極をロール状に巻いてアルミ缶に収めた構造である。電解コンデンサはどのタイプでも基本構造は似ているという。上から見た断面ではロール状の巻きが、横方向の断面では層の重なりがよくわかる。黒い紙状の部分に導電性高分子を電解質として染み込ませている。灰色のアルミ箔のうち、よくあるアルミ色の箔が陰極、アルミの両側を灰色の層で挟んだものが陽極である。陽極の灰色部分はアルミ箔を表面処理して作った酸化膜で、この膜が耐圧を確保している。陰極と陽極がはっきり見分けられることにイチケンは感心していた。
タンタルコンデンサも一種の電解コンデンサだが、電解質が固体である。中央にタンタルワイヤーが通り、四角い部分が誘電体の五酸化タンタルで、ここまでが陽極にあたる。その外側に固体電解質の二酸化マンガン、陰極のグラファイトと銀ペーストが重なる。映像ではわかりにくいが、四角い部分は多孔質で、そのためサイズの割に容量が大きい。特性は良いものの故障モードが短絡故障になるため、MLCCやポリマー系電解コンデンサへの置き換えが進み、最近は見かける機会も使う機会も減っているとイチケンは説明する。
PMLCAP:MLCCのように積層したフィルムキャパシタ
キャパシタの最後はルビコンのPMLCAPである。チップ形状だが分類はフィルムキャパシタで、一般的なフィルムキャパシタが巻いて作るのに対し、PMLCAPはMLCCのように積層して作る。特性が非常に良く、高級オーディオで使われることもあるそうだが、そのぶん値段は高い。断面で測ったフィルムの厚さは約1μmで、一般的なフィルムキャパシタのフィルム(数μm〜数十μm)と比べてかなり薄い。
新型マイクロスコープで変わった点
ここでイチケンは、前回の機種からの変更点を紹介している。まず、カメラとレンズユニットが一体になった高解像度カメラとレボルバーレンズユニットである。10〜80倍のマクロレンズと100〜500倍の対物レンズが標準搭載され、最大4本のレンズを取り付けて観察対象に合わせて切り替えられる。最高倍率は10,000倍だが、これは光学顕微鏡の限界ラインにあたり、実際に使ってみて実質的に有効なのは5,000倍程度だとイチケンは感じたという。
照明については、前モデルでは別に光源が必要だったが、新製品は光源とレンズが一体になり、光源の接続や調整の手間が減った。左手用コントローラも付属し、ズーム、フォーカス、ステージ移動、光源切り替え、ショートカット操作を手元でできる。以前は画面上のマウス操作が多く不便だったが、コントローラによって容易かつ直感的に操作できるようになったとイチケンは評価している。スタンドの脚には振動吸収機構が付き、高倍率でも振動を抑えて観察できる。このスタンドは従来のレンズとも組み合わせられる。本体はカメラ2台を同時接続でき、従来のカメラとレンズも使える。
インダクタ:コア形状と磁束の漏れ
スルーホールのドラム型インダクタは、I形状のコアに巻線を巻き、リード線部分にマグネットワイヤーをはんだ付けした構造だった。コイルを巻きやすい形状だが、磁束がコアの端から漏れ出すため、流す電流によってはインダクタ自体がノイズ源になる。使いどころやコア形状を選ぶ必要がある、とイチケンは注意を促す。
抵抗にそっくりなインダクタも、断面を見ると磁性体コアに巻線を巻いたI形状の構造で、ドラム型に近い。樹脂でコアと巻線が密閉されているため劣悪な環境にも耐えそうだが、見た目が抵抗と似ているので取り違えないよう注意したいという。
コアの内部にリード線を通す形状のものは、巻数1のインダクタで、フェライトビーズインダクタと呼ばれる。スイッチング電源など高周波ノイズを出す箇所に入れて、ノイズを吸収する用途が多い。
表面実装型インダクタ2種の比較では、マイクロスコープの画面分割機能と測定機能を使った。低倍率でマップを作っておくと、高倍率時にマップをクリックして目的の位置へ移動できる。銅線の周囲をなぞると断面積が表示され、定格電流が高い方は187,869μm²(約0.18mm²)、低い方は0.03mm²台の中ほどだった。細い方の巻線は外側と内側で太さが違って見えたが、これは研削時に圧力をかけすぎて線が伸びた可能性があるという。イチケンの説明では、定格電流は銅線の断面積と、正確にはコアの透磁率の電流特性などで決まる。インダクタンスについても、細い線は多く巻け、太い線は少ししか巻けないという巻数の違いが効いてくる。
樹脂封止型・メタルアロイ型と深度合成による空洞の測定
先ほどの表面実装品に似た別のインダクタは、巻線がフェライト粉末入りの樹脂で固められていた。空気より磁束が通りやすい磁路ができるため、外に漏れる磁気ノイズが減り、周辺部品への影響を抑えられる。
このインダクタには空洞ができていた。製造上のばらつきや気泡の混入によるもので、本来はないほうがよい。この空洞の深さを、マイクロスコープの深度合成機能と画像処理で測定したところ、約500〜600μmだった。カラーマップ表示で凹凸をひと目で確認することもできる。イチケンは、レンズなど光学系の精度、ステージなど機械系の精度、画像処理の組み合わせによってこうした測定が可能になっていると説明している。
メタルアロイタイプのチップインダクタは、巻線を磁性体材料で固めた構造で、磁性体自体が磁気シールドになるため外部への磁束の漏れが少ない。今回は入手していないが、積層して作るチップインダクタもあるという。
可変インダクタの調整機構
インダクタの最後は可変インダクタである。可変キャパシタに比べて使う機会は少なく、使うとしても無線系くらいだろうとイチケンは話す。ケースの内側と外側にフェライトコアがあり、その間に巻線がある。内側のコアにはネジが切ってあり、回すとコアが移動して外側のコアとの結合が変わり、インダクタンスが調整される。
抵抗器:トリミング痕と意外な多回転ポテンショメータ
1kΩの炭素皮膜抵抗は、白いセラミックの芯に炭素皮膜があり、左右に金属キャップ、全体をベージュの樹脂でコーティングした構造である。抵抗体をコーティングしたあと、レーザーや砥石でトリミングして抵抗値を作る。断面では芯と皮膜が等間隔に凹んでおり、これがトリミングの跡だった。抵抗の専門家に確認したところ、この製品は砥石でトリミングしているとのことだった。
見た目は炭素皮膜抵抗そっくりでも、断面がまったく違うのがソリッド抵抗である。中央の黒くうねった部分が、炭素と樹脂を混ぜて作った抵抗体だ。パルス耐性が高く、コイル状でないためインダクタンス成分が少ない。家電を分解しても見かけることは少なくなったのではないかとイチケンは述べる。
多回転タイプの可変抵抗器は、ネジと歯車が組み合わさっており、ネジを回すと噛み合った歯車が回る。歯車の下に抵抗体があり、歯車の裏の金属製板バネが抵抗体に接触する。イチケンは抵抗体を長くして調整しているのだろうと想像していたが、実際はネジと歯車で減速比を作り、移動量を小さくして細かく調整する仕組みだった。
セメント抵抗は耐熱性があり、大電力部分や放電用に使われる。外側はセラミックの焼き物で非常に硬いが、内部を固めたセメントはピンセットでつつくとボロボロ崩れるほど柔らかい。抵抗体はセラミックの芯に高抵抗の金属線を巻いたもので、金属線なのでよほどの大電力でなければ焼き切れないという。
チップ抵抗は、セラミック基板上の抵抗体皮膜を緑色の樹脂でコーティングした構造だった。樹脂を剥がすと黒い抵抗体にL字のトリミング跡が見える。レーザーで抵抗体を焼き飛ばし、縦方向のトリミングで大まかに、横方向で微調整する。
ヒューズ:交換性と、砂と穴の意味
ガラス管ヒューズは中の線が過電流で切れて電流を遮断する。線の太さは遮断電流で変わり、太いほど多くの電流を流せる。抵抗のように見えるヒューズも内部には同様の線があったが、基板にはんだ付けするタイプなので、切れたときの交換作業が大変になる。ホルダーのあるガラス管ヒューズのほうがメンテナンス性は高いとイチケンは述べる。
大電力ヒューズを分解すると、アークを消すための砂が入っていた。高電圧・大電流用のヒューズには砂が入っていることが多い。電流が流れる帯状の部分には穴がいくつも開いている。詳しい理由はわからないとしつつ、穴の部分は電流密度が高くなるので、そこで確実に切れるようにしているのではないか、とイチケンは推測している。
水晶振動子:メーカーで異なる音叉の形
水晶振動子は決まった周期の振動を作る部品で、クオーツ時計やマイコンのクロック生成に使われる。32.768kHzの時計用振動子は内部が非常に繊細で、缶から取り出す際に何度も壊してしまい、映像はその生き残りだという。音叉のような形の水晶の表面に金属薄膜がある。電圧を加えると目に見えないレベルで振動し、形状によって周波数が変わる。
シチズン製とセイコー製を、周波数も負荷容量も同じ条件で並べたところ、水晶の形状がかなり違っていた。イチケンは水晶振動子に詳しくないとしたうえで、どちらが優れているというものでもなさそうだと述べている。17MHzの振動子になると音叉形状ではなく、水晶の板の表裏に金属薄膜がある構造で、水晶の削り方や薄膜の形状にノウハウがありそうだという。
スイッチ:接点の表面処理とグリス
ディップスイッチの断面はほぼ想像通りで、白いプラスチックを動かすと金属に当たって接点が閉じる。プラスチックが当たる金属部分は色が違い、何らかの表面処理がされているようだった。擦れる部分なので、表面を滑らかにしてプラスチックと接点の消耗を減らしている可能性があるとイチケンは見ている。
トグルスイッチは、中央のプラスチックが動くと金属片が動いて導通する接点が切り替わる。プラスチック部分には滑りをよくして摩耗を抑えるためのシリコングリスのようなもの、金属接点には耐久性を高める目的と思われる透明なグリスが塗られていた。グリスを除いた接点は、滑らかだろうという予想に反してかなりデコボコしていた。
金属缶パッケージの半導体
半導体は中身の見やすさを重視して、金属缶タイプを選んだ。最近はエポキシ樹脂パッケージが多いが、缶タイプもまだ製造されており、密閉性が高く、熱を逃がしやすく、缶自体がシールドになるという利点がある。
ダイオードは缶の中央にシリコンチップがあり、缶内に伸びた足とワイヤーボンディングでつながっている。カソードはチップ上でもう1端子引き出せるようになっていたが接続されておらず、別パッケージの同製品ではカソードを2本引き出しているので、そのためのパッドかもしれないという。パッドには、完成後に半導体テスターのプローブを当てた際の傷が残っていた。チップの外周を緑色の線が1周しているが、イチケンはガードリングだろうかと推測するにとどめ、視聴者にコメントを求めている。
2回路入りのRFダイオードは、チップ側もリード側もウェッジボンディングだった。ワイヤーが白っぽいのでアルミワイヤーだろうとイチケンは見ており、最大20mA程度の用途に金ワイヤーを使うとコストが上がるからではないかと推測している。2つのダイオードでアノード側の配線の取り回しがわずかに違うが、RF特性への影響はリード線や基板トレースの長さのほうが支配的だろうという見方だった。
NチャネルMOSFETは、ゲート・ドレイン・ソースのほかに4本目のリードがあり、ケースにつながっている。チップは緑、紫、青、ベージュとカラフルに見えるが、これはチップ上の膜による光の干渉で、シャボン玉が虹色に見えるのと同じ原理だと説明している。
60V・15AのNPNバイポーラトランジスタは、チップもケースも大きく、ボンディングワイヤーも太い。昔のオーディオアンプの背面でヒートシンクに固定されている形状だ。チップ上では外側を囲むベース電極の中に、短冊状のエミッタ電極が交互に並ぶ。電流がチップを縦に貫通する構造のため、ケース自体がコレクタになっている。チップはケースにはんだ付けされ、発熱を効率よく逃がせる。
最後はテキサス・インスツルメンツのオペアンプLM201である。缶入りは他のパッケージより極端に高く、1個3,000円ほどするという。チップを見ると差動増幅の入力部、抵抗、出力段らしいトランジスタが見分けられ、データシートの回路図と見比べればレイアウトの対応がわかるだろうとイチケンは話している。
MEMSマイク
変わり種としてMEMSマイクも観察した。今回のものは大きめのサイズで、スマートフォンにはさらに小さいものが複数使われている。パッケージ裏の穴から空気の振動が入り、内部の膜を振動させる。丸いダイヤフラム部分はシリコン製で、音で振動すると静電容量が変わり、それを信号に変換する。センシングとA/D変換は専用ASICが担い、黒いエポキシ樹脂のようなものでポッティングされていた。シリコンで膜を作ってマイクにしてしまう点を、イチケンはなかなかすごい技術だと評している。
自作半導体チップを5,000倍で見る
半導体の最後は、オープンソース半導体コミュニティ「ISHI会」の支援を受けてイチケンが作ったオペアンプである。1つのチップを領域で区切って複数人でシェアしており、その一部がイチケンの回路だ。プロセスルールは0.6μm、チップサイズは1.8mm角で、価格はベアチップ20個で20万円ちょっとと、思ったより安かったという。
高倍率レンズではトランジスタレベルまで見えるが、拡大を進めると見えづらくなり、使えるのは5,000倍程度が限界だとイチケンは述べる。この倍率でも画像解析で表面の凹凸がわかり、メタルレイヤーのある部分が盛り上がっているのが確認できた。設計時に四角で開けたビアは、角が取れて丸くなっていた。薬品やガスで溶かすなどの工程でどうしてもエッジが丸くなるもので、実際に作ってみてそれがよくわかったという。
プリント基板の断面:6層とパッド・オン・ビア
最後にプリント基板の断面を見た。6層基板で、表面のレジスト、表層の銅箔、内層の銅箔、ガラス繊維とエポキシ樹脂のFR4基材がはっきり分かれている。縦方向の銅はビアである。
今回はパッド・オン・ビアを採用した。ビアの上に銅箔を載せられるため、高密度実装で助かる場面が多いという。そのためにはビア内部を充填する必要があり、映像の一方は樹脂を充填したもので、これにより表層の銅箔が凹んだり破れたりしない。もう一方は樹脂に銅粉末を混ぜたものを充填しており、樹脂のみより熱と電流が伝わりやすいが、値段は高い。大電流を流す用途や、基板の反対側まで熱をしっかり伝えたい場合に向いているとイチケンは説明している。
締めくくり
イチケンは、マイクロスコープは部品を分解して中身を確かめる用途のほか、製造現場で製品の細部の品質が保たれているかをすぐに確認する用途にも使えるとし、品質保証担当者、開発者、研究者にとって役立つ機会が多いだろうと述べて動画を締めくくった。本編中に残された問いとしては、ダイオードのチップ外周を囲む緑色の線の正体や、大電力ヒューズの穴の本当の理由など、イチケン自身が推測にとどめた点がある。
この動画はハイロックスの提供でお送りします。
こんにちは。今日はマイクロスコープを使って電子部品の中身を観察します。使用するのは、こちら、ハイロックスのマイクロスコープです。実は2023年にもハイロックスのマイクロスコープを使った動画を公開しています。今回は新機種が発売されましたので、電子部品の観察も兼ねて、マイクロスコープの使用感なども一緒に見ていきたいと思います。
マイクロスコープで観察するのは、こちらにあるような抵抗やインダクタ、積層セラミックキャパシタや半導体などの電子部品です。では、さっそく見ていきます。
まずはこちらの部品、電気回路にほぼ100%使われているキャパシタを見ていきます。キャパシタといってもいろいろあるのですが、今日は積層セラミックキャパシタ、MLCCです。そして電解コンデンサ、フィルムキャパシタ、タンタルコンデンサを見ていきます。
まずはMLCCです。MLCCにもいろいろ種類がありまして、高誘電率系の材料を使って静電容量を大きくしたX7R特性のものや、温度補償用の材料を使って温度や電圧による影響を少なくしたC0G特性のものもあります。今回はいろいろ用意したので見ていきます。
まずはこちら、1μF、耐圧450VのMLCCです。そのため、少し大きめの2220サイズとなっています。今回はこのように回転砥石を使って試料を作成しています。
実際にマイクロスコープを使って見ると、このようにMLCCの内部電極が層状に重なり合っています。教科書通りの構造となっています。層と層の間の距離はどうなっているかというと、約16μmでした。これだけの短い距離をこの精度で重ね合わせられるのは、とんでもない技術かと思います。
他のMLCCについても見ていきます。これは耐圧が500V、容量が1nFのMLCCです。先ほどと同じくらいの耐圧ですが、静電容量については1/1,000となっています。
中身はどのような構造になっているかというと、少し不思議な積層をしていますね。左右の電極を単純に重ね合わせるだけではなくて、中間にはどこにもつながっていない電極を用意しています。また積層の密度も場所によって異なっています。一番上が高密度、真ん中は密度が低く、下の方は中くらいの密度となっています。また、こちらのMLCCだと見やすいのですが、電極がない部分についても積層の跡がはっきりと見えています。ここら辺の電極の配置や密度、構造などは相当なノウハウがあるんでしょうね。
次はさらに静電容量を小さくしたものです。これは0.12pF、耐圧50VのMLCCです。温度特性はC0Gのものを使っています。内部についてはこんな構造になっているんですね。そもそもMLCCの電極同士の重なりみたいなものはなくて、内部電極が向き合っているような構造となっています。多分ですが、重ねてしまうと静電容量が大きくなりすぎてしまうので、このように向き合うような電極構造にして小さな静電容量を作っているのかなと思います。
このキャパシタについては電極の色が分かりやすいので、もう少し詳しく見ていきますが、銅、ニッケルメッキ、スズメッキの3層構造となっています。このあたりの構造については教科書通りとなっていました。
次はこちらを見ていきます。小さなMLCCですが、小さいのは静電容量ではなくて、MLCC自体の物理的なサイズが小さいものを見ています。村田製作所の0201Mサイズのものです。これはサイズとしては0.25mm×0.125mmのサイズであり、2024年まではこれが最小のサイズでした。ですが、現在はさらに小さな016008Mサイズ、0.16mm×0.08mmサイズが出てきています。
これ本当に小さくて、リールから出してしまうと、MLCCがそこにあるという状況が分からなくなります。普通に塵と間違えるレベルです。このサイズでは、人間が手はんだするのはさすがに無理ですね。
マイクロスコープで見るとこんな構造です。本当に小さいのですが、中身はしっかりとキャパシタの構造をしています。これだけ小さい部品をここまで作り込み出来るのは、村田の技術力の高さを物語っていると思います。
次は少し変わったMLCCを見ていきます。これは三端子コンデンサです。通常のMLCCと比べてESLが小さいという特長があります。構造的には、こちらのイラストのように内部電極がクロスするように重なり合います。実際に断面を見てみると、このように左右の外部電極が内部電極へつながっています。中間にある浮いているような内部電極については、実は上から見るとこのように外部電極へつながっています。このように特殊な構造をしたMLCCもあります。
次はこちらの電解コンデンサを見ていきます。これは導電性高分子アルミ固体電解コンデンサです。電解コンデンサの構造は、基本的にどのタイプの電解コンデンサでも似ています。陽極、電解液、電解紙、陰極がロール状になってアルミ缶の中に入っています。
実際の断面を上から見てみると、このようにロール状になっていることが分かります。横方向の断面を見てみると、このように重なりがよく分かります。黒い部分が紙みたいになっていて、そこに導電性高分子を電解質として使っています。
灰色の部分はアルミ箔ですが、よく見てみると陰極と陽極を見分けられます。よくあるアルミ色の箔は陰極、アルミを中心としてそれを灰色の層で挟み込んだような構造をしているのが陽極です。陽極の灰色部分については、アルミ箔を表面処理することによって作った酸化膜です。この酸化膜でアルミ電解コンデンサの耐圧を確保しています。それにしても、かなりはっきりと見分けがつきますね。
次はタンタルコンデンサです。これも実は一種の電解コンデンサです。皆さんがよく使うと思う電解コンデンサは電解質が液体ですが、タンタルコンデンサは電解質は固体です。内部構造はこのようになっています。この真ん中を通っているのがタンタルワイヤー、四角い部分が誘電体である五酸化タンタル、ここまでが陽極です。固体電解質の二酸化マンガン、陰極のグラファイトと銀ペーストといった構造です。
この映像だと分かりにくいのですが、四角い部分は多孔質構造となっています。そのため、タンタルコンデンサはサイズのわりには静電容量は大きいです。
タンタルコンデンサはキャパシタとしての特性は良いのですが、故障モードが短絡故障となります。そのため、MLCCやポリマーを使った電解コンデンサなど、他のキャパシタへの置き換えが進んでいます。最近は見かけることも使うことも少なくなっています。
キャパシタの最後はこちら、ルビコンのPMLCAPです。チップ形状のキャパシタですが、種類的にはフィルムキャパシタです。よくあるフィルムキャパシタは巻いて作っていくのですが、PMLCAPはMLCCみたいに積層して作っています。PMLCAP自体は特性がものすごく良いキャパシタでして、高級オーディオなどで使われることもあるそうです。ただ、その分値段は高いですね。
実際に断面を見てみると、このようになっています。層の厚さは非常に薄いです。フィルムの厚さはだいたい1μm程度です。よくあるフィルムキャパシタのフィルムの厚さは数μm~数十μm程度なので、PMLCAPは非常に薄いということになります。
ここでハイロックスの新製品のマイクロスコープについて少しだけ見ていきます。前回の製品と比べて変わったところがいくつかありますが、それらを紹介していきます。まずはこちらの高解像度カメラとレボルバーレンズユニットです。カメラとレンズユニットが一体となったものです。10~80倍のマクロレンズ、100~500倍の対物レンズが標準搭載されています。合計4つのレンズを取り付けられるようになったので、観察対象に合わせて適切なレンズを使えます。
レンズの最高倍率は最大で10,000倍ですが、10,000倍は光学顕微鏡の限界ラインです。実際こちらの製品を使ってみて、実質的に有効な倍率は5,000倍程度かなと思いました。
照明についても前の機種から進化しています。前のモデルでは光源が必要だったのですが、新製品は光源とレンズが一体となっているので、光源を調整したりとか接続したりといっためんどくささは減っています。
こちらの新製品は操作用の左手コントローラが付いてきます。これ結構良いです。左手でズーム操作やフォーカス調整、ステージの移動、光源の変更やその他ショートカット操作などができるようになっています。コントローラがない場合は画面をポチポチしてステージ移動やフォーカス調整をするのですが、マウス操作が結構多くて不便でした。専用コントローラが付いたことで、このあたりの操作性についてはかなり容易で、かつ直感的に操作出来るようになっています。
そして本体のスタンド部分についても変わりました。足の部分に振動を吸収する機構がついたので、高倍率レンズのときに振動を抑えた観察が出来ます。この台自体は従来のレンズと組み合わせて使うことも可能です。
また本体部分については、カメラを2台同時接続出来るようになりました。もちろん、これまで使っていたカメラとレンズを組み合わせて使うことも可能です。
次はインダクタを見ていきます。インダクタといってもスルーホール部品からチップ部品までいろいろあります。まずはスルーホールタイプのものから見ていきます。これはドラム形状のインダクタです。リード線の部分にマグネットワイヤーを巻いてはんだ付け、そしてコアには巻き線を巻き付けてあります。
当然断面も見ていきます。断面はこのようになっています。I形状のコアをしていますね。そこに巻き線が巻きつけてあります。この形状はインダクタのコイルを簡単に巻けるのですが、磁束がコアの端っこから漏れ出すような構造となります。そのため、流す電流によってはこのインダクタ自体がノイズ源となってしまいます。使いどこやコアの形状をしっかりと選ぶ必要があります。後で紹介しますが、磁束が外に漏れにくい構造のインダクタもあります。
次はこちらのインダクタです。一見抵抗のように見えるのですが、実はインダクタです。断面を見てみると、このように内部には磁性体のコアがあって、そこへ巻き線を巻くといった構造をしています。コアの形状はI形状ですので、先ほどのドラムタイプのインダクタと似ています。樹脂系の材料でコアや巻き線がしっかりと密閉されているので、劣悪な環境への耐性はありそうです。見た目が抵抗とかなり似ているので、抵抗と間違えて使わないようには注意したいところです。
次はこちら。こちらもインダクタですが、先ほどまでの形状とは違っていて、コアの内部にリード線を通すような形状をしています。実際に断面を見てみると、このように巻数1のインダクタとなっています。これはインダクタの中でも特にフェライトビーズインダクタと呼ばれるものです。一般的にはスイッチング電源などの高周波のノイズを出すところにこのインダクタを入れて、ノイズを吸収するために使うということが多いです。
次はこちらです。こちらは2つとも表面実装タイプのインダクタですが、違いはわかりますでしょうか。この2つのインダクタの違いは、定格電流とインダクタンス値です。一目見てみると、巻き線の太さが全く違いますよね。巻線が太いものが定格電流が高いもの、巻線が細い方が定格電流は低いものとなります。
ここで画面分割機能を使って、それぞれのインダクタを見ていきます。一度低倍率でマップを作っておきます。高倍率にしたときにこのマップをクリックすると、行きたい位置に移動出来るので便利です。まずは定格電流が高い方の巻線の断面積を見ます。こちらのマイクロスコープは面積の測定も出来まして、銅線の周辺を囲っていくと、このように面積が表示されます。187869μm²なので、約0.18mm²です。
定格電流の低い方も見てみます。同じように銅線の断面積を測定すると、約0.03mm²中盤です。よく見てみると、巻き線の外側と内側で太さが違いますよね。これについてですが、回転砥石でインダクタを削るときに圧力をかけすぎて、線自体が伸びてしまった可能性があります。
このように銅線の断面積と、正確には使うコアの透磁率の電流特性などによって、インダクタの定格電流が決まります。さらにインダクタンス値については、銅線の断面積が細いものについてはたくさん巻けるのに対して、銅線断面積の広いものは少ない回数しか巻けません。これらの違いもインダクタンス値に効いてきます。
次はこちらです。先ほど見た表面実装タイプのインダクタと結構似てる構造をしていますが、少しだけ違います。それは何かというと、巻き線の部分が樹脂で固められています。そして、この樹脂はただの樹脂ではなくて、フェライトの粉末が混ぜられた樹脂です。このようにフェライト粉末を混ぜた樹脂で覆うことで、空気中よりも磁束が通りやすい磁路が出来ます。つまり外に漏れる磁気ノイズが少なくなるので、周辺にある電子部品へのノイズの影響を少なくできます。
このインダクタをよく見てみると、空洞が出来てしまっています。これは本来あってほしくないものですが、製造上のばらつきだとか、あとは気泡が混じってしまったとかで出来てしまっています。この空洞の大きさがどれくらいなのかというのも、実は測定出来るんです。マイクロスコープの深度合成機能を使います。そのときに画像処理をすることで、奥行き方向のくぼみの深さを測定出来るということです。くぼみの部分の深さはどうなっているかというと、だいたい500~600μm程度です。カラーマップの表示も出来ますので、一目でパッと凹凸を見ることも可能です。このあたりはレンズなどの光学系の精度、ステージなどの機械系の精度と画像処理の組み合わせのおかげで出来ています。
次はこちらのインダクタです。これはメタルアロイタイプのチップインダクタです。内部を見てみると、このように巻線を磁性体の材料で固めたような構造となっています。磁性体自体が磁気シールドの役割をしていますので、外部に漏れ出す磁束が少ないのが特徴です。ちなみに今回は入手していませんが、チップインダクタには積層タイプのものもあります。積層していくことでインダクタを作るものです。
インダクタの最後がこちらです。可変キャパシタはよく使うかなと思うのですが、可変インダクタはなかなか使う機会ないんじゃないかなと思います。使うとしても無線系でもしかしたら使うかもとか、そんなところです。キャパシタの方が使う機会は多そうです。内部の構造はこのようになっています。ケースの内側と外側にフェライトコアがあります。その間に巻き線がある構造です。内側のフェライトコアにはネジが切ってあって、これを回すことでコアが移動します。そして外側のコアと内側のコアのコア同士の結合を変えて、インダクタンスを調整するというものです。なかなかよく考えてありますね。
次は抵抗を見ていきます。まずはこちら、電子工作をするときには必須の炭素皮膜抵抗です。いわゆるカーボン抵抗です。今見ているのは1kΩの抵抗です。こういうスルーホールの炭素皮膜抵抗は、もともと抵抗体がコーティングしてあって、それをレーザーや砥石を使ってトリミングして抵抗値を作っていきます。真ん中の白い部分がセラミックの芯、その上に炭素皮膜、左右に金属キャップがあって、全体をベージュっぽい樹脂でコーティングしています。セラミックの芯と炭素皮膜の部分が等間隔で凹んでいますが、これがトリミングした後です。抵抗のプロに聞いてみたところ、こちらは砥石を使ってトリミングしているとのことです。
次はこちら。通常の炭素皮膜抵抗っぽい見た目ですが、断面を見てみると全く違うものであることが分かります。これはソリッド抵抗です。真ん中の黒いグニャグニャしている部分が抵抗体です。炭素皮膜抵抗とは異なってソリッド抵抗は、炭素と樹脂を混ぜ合わせたもので抵抗体を作っています。特徴としてはパルス耐性が高かったり、コイル形状となっていないので、インダクタンス成分が少ないという特徴があります。電化製品など分解していても、このようなソリッド抵抗などはなかなか見かけることはなくなってきているんじゃないでしょうか。
次はこちらです。可変抵抗器ですが、その中でも特に多回転タイプの可変抵抗器です。実際に断面を見てみると、抵抗値を操作する歯車の部分とネジの部分が組み合わさって出来ています。このネジを回すことで、噛み合っている歯車も一緒に回るということです。歯車を外してみると、その下には抵抗体があります。歯車の裏を見てみると、金属の板バネのようなものがついていて、抵抗体と接触するようになっています。想像していた多回転の可変抵抗は、もっと抵抗体を長くしてそれで調整しているのかなと思ったのですが、想像と違いました。ネジと歯車で減速比を作ることで移動量を少なくして、細かく抵抗値を調整しているということです。
次はこちら、セメント抵抗です。耐熱性があるので大電力のところで使われたり、放電用の抵抗として使われることが多いものです。外部はセラミックの焼き物で出来ていて、内部はセメントで固められています。外の焼き物の部分は非常に硬いですが、セメントの部分はピンセットで突っつくとボロボロと崩れてしまいます。結構柔らかいです。内部の抵抗体の部分はどうなっているかというと、セラミックの芯に高抵抗の金属線が巻かれています。このように金属線で出来ているので、よほどの大電力を消費させない限りは焼き切れることはないです。
最後の抵抗はこちらのチップ抵抗です。チップ抵抗ですが、基本的にはセラミック基板の上に抵抗体の皮膜が乗っている構造となっています。この抵抗の場合は、その抵抗体の皮膜を樹脂でさらにコーティングして保護しています。今回の場合では緑色の樹脂でコーティングされていました。コーティングをさらに剥がしたものがこちらです。黒い部分が抵抗体です。抵抗値の調整はこの部分で、ちょうどL字のところがあります。ここで調整しています。もともとはこの部分にも抵抗体はあるのですが、レーザーで抵抗体を焼き飛ばして抵抗値を調整します。縦に入っているトリミングで大まかに抵抗値を調整して、その後に横にトリミングを入れることで抵抗値の微調整を行います。
次はヒューズを見ていきます。よく見るガラス管ヒューズはこんな感じです。中に線が入っています。過電流が流れると線が切れて電流の遮断が完了します。内部の線の太さは遮断電流によって変わっていって、太いほど多くの電流を流せるヒューズとなります。
ヒューズの形状にもいろいろあります。まずはこちらです。これは抵抗っぽく見えますけど、実はヒューズです。削って内部を見てみると、このように線があります。ここでもヒューズの原理がありまして、過電流が流れると中の線が切れると。ただ、このタイプのヒューズは基板にはんだ付けするタイプのものです。切れたときにはんだを外して、もう一回はんだ付けをするみたいな工程がかなり大変なものになります。ガラス管ヒューズのようにホルダーがあるものを使う方がメンテナンス性は高いです。
次はこちらの大電力ヒューズを見てみます。分解してみると中に砂が入っています。これはアークを消すための砂です。特に電圧が高くて大電流が流れるヒューズには、中に砂が入っていることが多いです。また電流が流れる部分については、不思議な形状をしています。基本的には帯状のヒューズですが、真ん中にボコボコ穴があいています。なぜこうなっているのか詳しい理由は分かりませんが、穴の開いている部分の電流密度は高くなります。この部分で確実に切れてほしいから、このような形状になっているのかなと考えています。
次に中身を見るのはこちら、クリスタルです。これは水晶振動子と呼ばれるもので、決まった周期の振動を作るのに使われる部品です。クォーツ時計に使われていたり、マイコンのクロック信号を作るのにも使われたりしています。
まずはこちらの水晶振動子です。これは32.768kHzのものです。時計用ですね。内部はものすごく繊細であり、缶から取り出すときに内部を何回も壊してしまいました。これはその中の生き残りです。内部はこのような形状をしています。音叉みたいな形状をしている水晶があって、その表面に金属の薄膜があるようです。
実際に振動子は電圧を加えると、目に見えないレベルで振動します。それを活用してクロック源とすることが出来ます。形状によって振動する周波数が変わるので、さまざまな周波数の振動子が作られています。
今見てきたのはシチズンのものですが、セイコーの振動子も見てみます。周波数も同じで負荷容量も同じですが、どうでしょうか。左がシチズンのもの、右がセイコーのものです。クリスタルの形状がだいぶ違います。同じような動作をするクリスタルでも、メーカーによっては形状はさまざまなんですね。水晶振動子についてはあまり詳しくはないですが、どっちが優れているとか、そういうものでもなさそうです。
次はこちら、さらに周波数の高い17MHzの水晶振動子です。音叉のような形状ではなくなって、単なる板の表裏に金属薄膜があるような構造となっています。この板は水晶で出来ているのですが、その水晶の削り方や薄膜の形状などにもいろいろノウハウがありそうな感じでしょうか。
次はディップスイッチです。単純に中身がどうなっているのか気になりませんかということで、断面を見ていきます。断面はだいたい想像していた通りの構造をしていました。白いプラスチックの部分をカチッと移動させると、それが金属に当たって接点を閉じるという動作です。可動する金属のプラスチックが当たる部分については、何か金属に表面処理がされているようです。だいぶ色が違っていますよね。この部分については擦れる部分なので、表面を滑らかにして、プラスチックや接点の消耗を少なくしている可能性があります。
次はこちらのトグルスイッチです。中身を開けてみるとこのような構造。真ん中のプラスチックが移動すると、接触している金属片が動いて導通する接点が変わります。プラスチックの部分には、滑りをよくして摩耗を抑えるためのシリコングリスのようなものが塗られていました。また金属接点部分については、接点の耐久性を高める目的と思われる透明なグリスが塗られています。グリスを取り除いた後の接点の様子はこのような状態です。接点となる部分は滑らかになっているのかなと思っていたのですが、意外にも結構デコボコとしています。
次は皆さんお待ちかねの半導体を見ていきます。今回は中身の見やすさ重視ということで、金属缶に入っているタイプの半導体を観察します。最近では半導体のパッケージはエポキシ樹脂でやっていることが多いですが、このような缶に入っている半導体もまだ製造されています。このような缶に入っている半導体は密閉性が非常に高く、熱を逃がしやすく、さらに缶自体がシールドになるというメリットがあります。
缶の中身を見てみると、このように中央部分にシリコンチップがあります。缶の外側に足が生えているのですが、この足は缶の内側にもつながっています。チップと足の接続はワイヤーボンディングです。こちらはダイオードなので、これがAnode、そしてこちらがCathodeです。Cathodeについてはチップ上でもう一端子引き出せるようになってはいますが、実際にはどこにも接続されていませんでした。パッケージ違いの同じ製品があるのですが、そちらではCathodeを2本引き出しているので、そのためのパッドかもしれないです。
このパッドの部分をよく見てみると、傷みたいのがありますよね。これは半導体が完成したときに半導体テスターで試験をするのですが、そのときにテスターから出ているプローブをパッドにこのように当てるのですが、そのときに出来た傷です。
シリコンチップ上に緑色に見える線が1周ぐるっとなっていますが、これは何でしょうね。ガードリングと呼ばれているものでしょうか。分かる方がいましたら、ぜひコメントをお願いします。
次も同じダイオードですが、こちらは2回路入りのRFダイオードです。先ほどと同じメーカーだからというのもあるかもしれませんが、見た目的にはあまり変わらないです。ワイヤーボンディングのやり方は、チップ側はウェッジボンディング、リード線側についても同じくウェッジボンディングでした。ワイヤーの色は白っぽいので、多分アルミワイヤーかなと思います。この線には最大で20mA程度を流しますので、金ワイヤーでやろうとすると高くなるとか、そんな理由でしょうか。
中身的には同じRFダイオードですが、よく見てみるとそれぞれで少し配線の長さが違ってるんですよね。こちら側のダイオードについては、Anode側の電極の取り回しが少し長くなっています。そういうところにもRF特性って効いてくるんでしょうか。微々たる違いではあるのですが、気にする人はもしかしたら気にするかもしれません。ただ、これについてはリード線の長さとか、あとは回路へ接続するプリント基板のトレースの長さとか、そちらの方が支配的なものかなと思います。
次はこちら、Nch-MOSFETです。この端子がそれぞれゲート、ドレイン、ソースです。パッケージを見てみると4つ目のリードがあるようですが、これはケースの方につながっています。先ほどのダイオードと比べると、少し複雑な形状をしています。
チップの色ですが、緑、紫、青、ベージュなど結構カラフルですよね。ただ実際にチップがこの色をしているというわけではなくて、チップ上に成膜された膜の光の干渉によって生じるものです。薄いもので言うとシャボン玉などが虹色に見えることがあるのですが、それと同じです。
次はこちら、NPNのバイポーラジャンクショントランジスタです。非常にデカいです。こちらは今まで見てきたものと比べて定格電力が大きく、60V、15Aのものです。そのため、シリコンチップのサイズも大きいですし、ケースのサイズも大きくなっています。昔のオーディオアンプの後ろ側を見てみると、ヒートシンクにこの形状のトランジスタが固定してあるみたいなことがあります。
実際、中身はこのようになっています。定格電力が大きいのでチップのサイズも大きいですし、ケースも大きくなっています。ボンディングワイヤーもかなり太いです。パワー半導体といった感じです。
チップのレイアウトも少し面白くて、短冊状の電極が交互に重なり合うようになっています。この場合では外側を囲んでいるのがベース電極、その中にある縞の電極がエミッタです。このシリコンチップの場合、チップを貫通するように電流が流れるので、このケース自体がコレクタとなっています。本当にパワー半導体のように縦型のチップとなっていて、チップ内を電流が貫通するような構造となっています。あとはシリコンチップとケースははんだ付けされているので、シリコンチップ上での発熱をケースに効率よく逃がせるようにもなっています。
缶に入っている半導体の最後はオペアンプです。これはテキサス・インスツルメンツのオペアンプのLM201です。缶に入っているものはその他のパッケージと比べて値段が極端に上がって、1個3,000円ぐらいします。
シリコンチップを見てみると、なんだかオペアンプっぽい回路だなあっていうのが分かりますよね。この部分が差動増幅回路の入力で、そしてなんか抵抗があるなとか、このあたりが出力段のトランジスタなのかな、といった具合です。実際のデータシートとこの映像を見てもらうと、回路図の対応でどういうレイアウトをしているのかというのが分かると思いますので、興味のある人は一時停止していろいろ確認してみてください。
次は変わり種の半導体としてMEMSマイクを見てみます。こちらはサイズ的には大きめのMEMSマイクですが、スマホにはこれよりもさらに小さなサイズのパッケージのMEMSマイクがいくつも使われています。こんな形状のものがマイクなのかって思いますよね。パッケージの裏側を見てみると穴が開いています。この部分から空気の振動が伝わって、内部にある膜を振動させます。
中身を開けてみると、このような構造です。この丸い部分がマイクのダイヤフラム部分です。この部分が半導体のシリコンで出来ています。シリコンの膜はこんな感じであるのですが、それが音で振動することで静電容量が変わります。その静電容量の違いを読み取って、それを信号に変換するわけです。
センシングやアナログからデジタルへの変換回路は、専用のASICが使われています。こちらの黒いエポキシ樹脂っぽいものでポッティングされている部分がASICです。このMEMSマイクについては、シリコンで膜を作ってそれをマイクにしてしまうという、なかなかすごい技術かと思います。
半導体の最後はこちら、自作半導体です。実はこのようなオリジナルのレイアウトのシリコンチップは自作できます。これは以前、オープンソース半導体コミュニティのISHI会の方のサポートで作ったオペアンプ回路です。1つのチップ内で領域を区切って、他の人と1つのチップをシェアしています。ちょうどこの部分がイチケンが作ったオペアンプの回路です。トランジスタのプロセスルールは0.6μmで、チップサイズは1.8mm角です。
価格は思ったよりも安くて、ベアチップ20個で20万円ちょいです。このチップの詳細については概要欄にあるリンクで動画としてまとめていますので、興味のある人はぜひチェックしてみてください。
高倍率のレンズを使って拡大すると、このようにトランジスタレベルで見えます。拡大していくとだんだん見えづらくなってきて、このあたりがやっぱり光学系の限界かなというところですね。だいたい5,000倍くらいが使える限界です。
実はこのレベルの拡大でも画像解析自体は出来まして、表面の凹凸具合が分かるようになっています。実際、メタルレイヤーがあるところなどは少し盛り上がっているのが分かりますよね。
あとは半導体同士をつないでいるビアの部分を見てほしいのですが、設計時点だとビアは四角で開けたのですが、少し形状が丸くなって角が取れていますよね。薬品とかガスで溶かしたりいろいろしているわけですが、どうしてもこのようにエッジが取れて丸くなってしまいます。実際作ってみると、このようになるんだっていうのがよくわかります。
そして最後の部品はこちら、プリント基板です。断面を観察します。プリント基板は上から見ることが多いですが、このように断面から見る機会って実はあまりないんですよね。
実際見てみると、このようになっています。今回は6層基板でやっています。このようにしっかりと6層になっています。一番表面にレジストがあって、その下に表層の銅箔があります。下の方には内側の層の銅箔があります。基材はFR4で、ガラス繊維とエポキシ樹脂です。
こちらの部分の縦方向に銅がありますが、これはビアです。今回のビアですが、パッドオンビアでやってみました。これはビアの上に銅箔を入れられるもので、高密度実装のときにパッドオンビアを出来ると非常に助かる場面が多いかと思います。
パッドオンビアはビアの上に銅箔を入れるので、ビアの中に何か充填する必要があります。今映っているものについては、ビアの中に樹脂を充填しているものです。これがあることで、表層の銅箔が凹んだり破れたりということはしません。
ここに充填する素材によっても、プリント基板の特性は変わります。こちらは樹脂に銅の粉末を混ぜたものを充填したものです。樹脂だけのものと比べると熱が伝わりやすく、さらに電流も流れやすくなります。ただ、その分値段は高くなります。電流を流すようなアプリケーションや、あとは基板の反対側まで熱をしっかりと伝えたい、そんな場合には銅のフィラーは良いですね。
今日はマイクロスコープを使って、電子部品など色々なものを観察してきました。実際に分解して中身がどうなっているのか確認する用途にも使えますし、また製造の現場などで、どれくらい細かい部分まで製品の品質が保たれているかというのをすぐに観察することが出来ます。例えば品質保証の担当者や開発者や研究者の方は、マイクロスコープがあると役に立つ機会は非常に多いかと思います。
もしハイロックスのマイクロスコープが気になる方がいましたら、概要欄にリンクがありますので、ぜひチェックしてみてください。
というわけで、もしこの動画が役に立ちましたら、高評価・チャンネル登録よろしくお願いします。何か気になることがありましたら、ぜひコメントも残してみてください。それでは、最後まで動画のご視聴ありがとうございました。
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