見た目はほぼ普通の眼鏡のスマートグラス「RayNeo iO」を使って分解する

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概要

多くのスマートグラスは外見がゴツく、かけていれば一目でそれと分かる。RayNeoから発売された「RayNeo iO Smart Glasses」は、スマートグラスでありながら見た目がかなりすっきりしている。電子工作系YouTuberのイチケンは、なぜこの外見が実現できているのかを、実際に使ったうえで分解して確かめている。

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外観と操作:細いフレームと物理ノブ

フレームはスマートグラスとしては細い部類で、イチケンが普段かけている眼鏡と並べても大きな差はない。耳にかける部分にはバッテリーなどが入っているため、そこだけは太くなっている。それ以外はほぼ普通の眼鏡と同じだという。

操作はタッチ式ではなく物理ノブで行う。ノブは回転する押しボタンで、押し込みにはクリック感があり、回転方向はクリック感なしでするすると回る。タッチ式は判定がうまくいかず思い通りに操作できないことがあるため、イチケンは物理ノブを好意的に評価している。一方で、指輪型のコントローラーで操作するスマートグラスもあるので、iOにもそうしたデバイスを出してほしいと要望も述べている。

スマートグラスによく付いているカメラとスピーカーは、iOには搭載されていない。イチケンは、これらを省いたからこそここまで見た目をすっきりさせられたのだろうと見ている。

表示領域は小さめ

ARの表示領域はそれほど大きくない。レンズを見ると、映るのは一部の範囲に限られている。イチケンはこれを長所と短所の両面で捉えている。AR表示が視界の邪魔にならない一方で、表示できる情報量は少なくなりがちだ。表示領域をもっと広く用意し、設定で調整できるようにしてほしいというのがイチケンの意見である。

ノブを回すと表示が切り替わる。本体のボタンから実行できるのは、音声メモ、ライブ字幕、ライブヒント、タスク、テレプロンプター、ライフログ、フォーカスである。各機能の細かい設定はスマホ側のアプリで行う。

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ダッシュボードとGoogleカレンダー連携

ダッシュボードにはToDoリスト、カレンダー、メールが表示される。カレンダーはGoogleカレンダー、メールはGmailと同期できた。ただしGmailはメールの冒頭部分が表示されるだけで、本文を読んだり返信したりはできない。そのためイチケンは、現時点ではGmail連携を使うメリットはないと評価している。

Googleカレンダー連携は有用だという。予定をその場のAR表示で確認できるうえ、音声で予定を追加できる。実演では「Hey RayNeo」と呼びかけ、翌日12時からのランチミーティングと13時からの企画会議を登録するよう指示した。予定はグラス上に追加され、Googleカレンダー側にも反映されていた。カレンダーに入れた予定をグラスから削除することはできない。イチケンはこれを安全側に倒した設計だと説明している。

使いにくい点もある。Googleカレンダー側で削除した予定がグラス側に反映されるまで非常に時間がかかる。イチケンの環境では、数十分から数時間経たないと反映されなかった。

音声メモとライフログ

音声メモはどのスマートグラスにもある機能だとして、紹介は簡単にとどめている。録音した内容を文字起こしし、要約やマインドマップを生成できる。マインドマップは編集も可能だ。

音声メモに似た機能としてライフログがある。会話や音声を検知すると自動で録音を始め、内容をメモする。基本的には1日中動作し続け、夜10時にその日のまとめを作成する。1日の振り返りに使う機能である。ただし試した日は会話が少なく、まとめはかなり意味の通らない内容になった。イチケンは、もう少し情報量がないと機能しないようだと述べている。途中で見ていた動画の音声も、まとめの材料として使われていたようだという。

スマホ通知の表示

スマホに届いた通知をAR上に表示することもできる。実演では、監視カメラからの通知、SwitchBotの通知、LINEの通知が表示された。イチケンはこれを良い機能だと評価している。

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ライブ字幕と翻訳

ライブ字幕は、相手が話した内容をAR側に文字で表示する機能である。実演では、イチケン自身の過去の動画(日置電機の高級デジタルマルチメーターDT4282と、Amazonで買った安価なテスターを比べる回)を再生し、日本語音声を日本語で表示した。英語の動画を英語で表示する例も示している。

翻訳機能もあり、日本語の動画を英語に、英語の動画を日本語に訳して表示できた。話す速度が遅ければ問題はないが、速くなると翻訳が追いつかなくなる。イチケンによれば、翻訳はグラス上では行われていない。音声データをBluetoothでいったんスマホに送り、そこで翻訳した結果をディスプレイに表示する仕組みのためだという。多少のもっさり感はあるものの、取りこぼさずにすべて翻訳してくれる点は評価している。

テレプロンプターとして動画撮影に使用

テレプロンプター機能もある。実はこの動画自体も、台本をテレプロンプターに読み込ませて撮影していた。普段の動画と比べて目線がやや泳いでいるので、気づいた視聴者もいるかもしれないとイチケンは話している。読み上げに合わせて自動でスクロールする点も良いという。イチケンは屋外で撮る動画でも台本を用意するため、この機能はかなり重宝しそうだとしている。

掛け心地、重さ、度入りレンズ

度入りレンズは追加費用がかかり、購入時に度数を入力する方式である。後付けのレンズではなく、レンズ自体が度入りのものになる。イチケンは撮影時にレンズを選べなかったため、コンタクトレンズを使って試した。

重さは実測で33.6g、耳にかける部分のシリコンカバーを付けると37.2gだった。スマートグラスとしては軽く、重さはほとんど気にならないという。シリコンカバーは付けなくてもよいと感じたそうだ。締め付けも気にならず、長時間かけていられる。下を向いても落ちないのは軽いからだと説明している。

締め付けの調整については、つるが金属製なので少し曲げて調整できる。ただしイチケンは、これはRayNeo公式としては非推奨のやり方かもしれないので真似しないほうがよいと断っている。レビューなので、視聴者がやらないことをあえて入れたという。

視界については、目からレンズまでの距離が近いため、フレームが視界に入り込むことはなく、視野が狭くなることもない。普通の眼鏡とほぼ同じだという。

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バッテリー持ちと充電速度

イチケンはバッテリー持ちを「かなり良い」と評価しており、普通に1日持つという。その理由として、iOは基本的に入出力のためのデバイスで、本体上で重い処理をしていないことが大きいと説明している。

充電速度も測っている。10分間の充電で残量が9%から41%に、合計20分では9%から67%まで回復した。バッテリーが切れても、充電しながら使うこともできる。見た目がおかしいことを除けば許容範囲だという。充電用の眼鏡ケースも用意されている。

スマホとネット接続への依存

iOは音声の入力とディスプレイへの出力を担うデバイスなので、スマホにつながっていないと使えない。スマホのネット接続もほぼ必須である。音声メモやテレプロンプターはネット接続なしでも動く。一方、文字起こしや翻訳が必要な機能はネット接続が必要になる。イチケンは、文字起こしを眼鏡でもスマホでも行っていないからだろうと推測している。

そのうえでイチケンは、全体としては普通に常用できるレベルのスマートグラスになってきていると評価している。必要なときだけかけるような使い方をしなくてもよさそうだという。

OSと自作アプリ、サブスク、データの扱い

他のスマートグラスではAndroid OSが動いていて、自作アプリを入れて動かせることがよくある。iOのOSは、説明書ではRTOS、アプリ上では「StrixOS」と表記されていた。動画制作時点ではSDKなどの情報が出ておらず、アプリを自作できるかは分からない。イチケンは使った感触から、作るとすればスマホ側で動くアプリになるのではないかと予想している。自作できると分かればコメント欄で追記するとしている。

料金面では、基本機能はサブスクなしで使える。月額サブスクに加入すると、選べるAIモデルが増える。今回のレビューはすべて無料プランで行っており、動画で紹介した機能は本体代金だけで使えるという。

録音データの扱いについては利用規約を確認した。イチケンは、音を扱うスマートグラスとしては標準的なデータの使われ方だと見ている。気になる人は確認したうえで検討してほしいとしている。

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分解:素材とヒンジ周り

フレーム部分はすべて金属製で、バッテリーケース部分だけがプラスチック製である。イチケンは眼鏡としての質感をかなり良いと評価している。部材同士のつなぎ目には防水のためにシリコン系の接着剤が使われている。本体はIP54の防塵防滴性能を持つ。

ヒンジ部分のカバーはプラスチック製で、外すと非常に高密度な設計が現れる。防水用の隔壁もあり、水滴が奥に入らないようになっている。ここにはMEMSマイクがあり、外したカバーにもマイク用の穴が開いている。マイクの下にある半透明の穴の奥には照度センサーが入っている。この穴を塞ぐとARディスプレイの明るさが抑えられ、明るくすると輝度が最大になる様子が実演された。

反対側のヒンジもさらに分解している。基本的にはフレキシブルプリント基板で構成されており、MEMSマイク、コネクタ類、マイクロLEDとそのドライバーが載っている。操作ボタンがある側には照度センサーも付いている。ユニットは動作する状態のまま分解できたので、マイクロLEDの光を直接映してみた。かなり明るく、直進性も強いようだという。

バッテリーと基板

これらのユニットへの電源は、耳の後ろに来るつるの先端部分から供給される。左右どちらにも同じバッテリーが入っており、容量は1個120mAh、合計240mAhである。つるも分解でき、薄いチタン板が貼り付けられている。内部ではフレキシブル基板がヒンジまで配線を伸ばしている。

バッテリーは四角形で、その裏にはさらに回路がある。片側にはMEMSマイクが実装されており、マイク系の回路ではないかとイチケンは見ている。反対側のバッテリーの下には比較的大きなICが両面に1つずつ載っており、「GigaDevice」の刻印があった。イチケンは、グラス全体を制御するICと通信系のICがこの基板に載っているのではないかと推測している。バッテリーケースはアンテナを兼ねていて、内部にアンテナパターンがある。基板側にもアンテナと接触する端子が実装されていた。

分解中に気になった点として、ヒンジ部分を通るフレキシブル基板の曲率が非常にきついことを挙げている。ヒンジを開閉するたびに基板が強く曲げられるため、フレキシブル基板にとってはかなり過酷な環境ではないかという。

レンズの二層構造

レンズは内側と外側の二層構造になっている。外側がマイクロLEDの光を受けてARを表示するレンズで、ガラス製である。そのため雑に扱うと割れてしまい、実際に割れた様子も映されている。最近の眼鏡はほとんどがプラスチックレンズなので、同じ感覚で扱うと割ってしまうことがあるだろうとイチケンは注意を促している。内側はプラスチックレンズで、レンズをはめ込めるスペースが用意されている。度入りを注文するとここにレンズが入るのではないかとイチケンは推測している。

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5つのマイクの配置

正面の、充電器のポゴピンが当たる部分にもMEMSマイクがあり、正面からの音を拾うためのものとみられる。この基板を外すと下にさらに部品があった。基板を無理に剥がしたため実装パターンごと剥がれてしまったが、取り出すと骨伝導用のデバイスだった。

まとめると、MEMSマイクは正面、左右のヒンジ、右後ろのバッテリー部分の計4つでマイクアレイを構成し、これに骨伝導マイク1つを加えた計5個のマイクが使われている。iOは会話中に相手の声と自分の声を分けて聞き取っている。イチケンは、重い音声処理をしているのではなく、骨伝導マイクとそうでないマイクを使い分けて区別している可能性があると推測している。また左後ろにはマイクが見当たらなかったため、左後方からの収音には弱いかもしれないと述べている。

分解で分かった設計の考え方

イチケンの結論は、RayNeo iOは基本的に「ディスプレイの付いた入出力デバイス」だということである。眼鏡の中では重い処理をしておらず、省電力なスマートグラスになっている。文字起こしなどの重い処理のために、音声データはスマホに送られ、さらにネット経由で外部のAIが使われる。この構成のおかげで電池持ちが良く、本体には必要最低限の機能しか載っていないので軽くできている。分解してその作りがよく分かった、とイチケンは締めくくっている。自作アプリに対応するかどうかは、動画の時点では未解決のまま残されている。