電力、インフレ、フィジカルAIから2026年の注目銘柄を探る:テスタ、馬渕磨理子、渡部清二の議論

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概要

マネーバラエティ番組「どっちで増やしまショー」が、2026年の生配信で語られた解説をまとめた総集編である。中心の問いは「2026年に勝負できる銘柄や業界はどこか」だ。経済アナリストの馬渕磨理子氏は日経平均の想定レンジとフィジカルAI関連の日本企業を解説した。会社四季報の分析で知られる渡部清二氏は、四季報のコメントに増えている言葉から「熊本の電力」と「インフレに強い企業」を取り上げた。投資家のテスタ氏は、壮大なテーマ株を実際にどう売買しているかを語った。後半では、TOPIX連動ETFの選択肢、暗号資産ETFの可能性、金・銀の急落についても議論している。

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日経平均の想定レンジ:上は6万円、下は4万5000円台と3万3000円

最初に、馬渕氏が持参した資料をもとに、日経平均の今期のレンジを確認した。馬渕氏によると、2026年度の日経平均のEPS(1株当たり利益)は3000円に乗る見通しで、PER20倍をつけると6万円台に入る。6万円は多くの市場参加者が予想している水準だという。

一方、馬渕氏は日経平均の落ち着きどころをPER15〜16倍とみている。何か起きれば4万5000〜4万6000円程度までは「全然下がる可能性がある」とし、そこは買い場になると述べた。さらに、トランプショックや関税ショックのような出来事が今年も起きればPER11倍の3万3000円まで下がるかもしれないが、それより下は分からないと話した。

指数の中身についても見方を示した。うまくいけば、半導体など日経平均への寄与度が高い銘柄が止まったり少し下がったりしても、出遅れていた普通の銘柄が上がっていく。そうなれば、同じPER20倍でも全体としてはもっと上がったと感じられる局面がありうる。馬渕氏は、そうした循環が起きる可能性は結構ありそうだとしている。

フィジカルAIとは何か:「脳」から「身体」へ

続いて、最近よく耳にする「フィジカルAI」を掘り下げた。番組では、今後は生成AIに代わってAIが現実世界で稼働するためのフィジカルAIが主役になる、という出演者のX投稿も紹介された。投稿では、NVIDIAのCEOがメカトロニクスで日本ほど優れた国はないと断言していることに触れ、ロボットなどの領域は日本企業の強みだとしている。鍵としてチタニウム企業を挙げていたが、馬渕氏は「チタニウムはちょっと難しい」として、まずフィジカルAIそのものの説明から始めた。

馬渕氏の説明では、これまでのAIは生成AIが中心で、ChatGPTのような「脳」をイメージすることが多かった。しかし最近は、脳からの指令でロボットのアームが動いたり、センサーが目の役割を果たしたりと、AIがさまざまな場所に普及している。2026年は、脳の部分だけでなく、現実世界で人と一緒に働くロボットやセンサーが本命になるのではないかと言われているという。

脳の部分を支配しているのは残念ながらアメリカで、日本がそこで勝負するのは難しい、と馬渕氏は言う。一方でNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、AIが脳から身体に移るフィジカルAIの段階では日本が強いと、2年前の2024年に発言していた。馬渕氏によると、それを見据えてNVIDIAは多くの日本企業と提携している。

人間の身体に当てはめると見える関連銘柄

馬渕氏は、ロボットを人間の身体に見立てて関連企業を整理した。骨格にあたるのがファナックや安川電機で、直近でかなり上がっているという。血管にあたる部分はローツェ、コロコロ回るベアリングは日本精工で、これらも上がっている。大動脈と捉えるなら、物の流れ全体を統括するシステムを手がけるダイフクが当てはまるのではないかとした。

ほかにも、腱にあたるのはリニアガイドを作るTHK(馬渕氏はDOEが高い会社だと紹介した)、目やセンサーはキーエンス、関節はハーモニック・ドライブ・システムズやナブテスコだという。皮膚にあたるパッケージングの分野でも企業名が挙がり、こうして当てはめると関連企業はいくらでも出てくる。馬渕氏によれば、これらはすでに動き始めているという。

日本はロボットに強いのでは、という問いに、馬渕氏は「強いんですよ」と答えつつ、中国がすでに追い抜いてきていると指摘した。中国は国家としてロボットに日本の2倍ほどの資金を投じているため、フィジカルAIの分野でも日本の立場は安泰ではない、というのが馬渕氏の見方だ。

四季報に見るAI:「取り組む」から「搭載」へ

渡部氏は、四季報のコメントからこのテーマを見た。今回の四季報ではAIに触れたコメントが500件以上あり、その用途が具体的になっているという。例として、AIスマートグラス、AI受付機、AI面接、AI社員、AIエージェント、AIアイドルなどを挙げた。渡部氏は、広い意味ではこれらはすべてフィジカルAIだろうと述べた。「フィジカルAI」という言葉そのものも四季報に出てきてはいるが、まだ少数だという。

渡部氏は、ヒット数がここまで多くなった言葉を「顕在テーマ」と呼ぶ。それでもAIは3か月前と比べてまだ16%増えているので、テーマとして「生きている」と評価した。約3900社のうち500社超にAIの記述があり、しかも以前は「AIに取り組む」「AIを活用」といった曖昧な表現だったのが、「どこそこに搭載」という書き方に変わった。渡部氏はこれを、実装として一歩進んだ変化だと捉えている。

急上昇ワード「熊本」が示す電力インフラ

渡部氏がもう一つ驚いたと話したのは、3か月前からの増加率で見たワードだ。短期間で関心が急に高まったテーマを示すこの指標で、なぜか「熊本」が80%増えていた。

熊本と聞いてすぐ思い浮かぶのはTSMCの半導体工場だが、渡部氏によると、四季報のコメントをつなげていくと複合的な動きが見えてくる。関連するキーワードは半導体産業のほかに、再生可能エネルギー、蓄電池、系統用蓄電の4つだという。

渡部氏はこれらを次のように結びつけた。熊本は「シリコンアイランド」九州の中心で、半導体工場は大量の電気を使い、停電も許されない。そのため電力インフラを充実させているらしい。特に鍵になるのが蓄電池だ。系統用蓄電とは既存の電線網につないで電気を売れるかどうかという話で、2022年12月から売れるようになったという。安いときに充電して貯め、高いときに売る。これによって安定した電力を作っているのが、いまの熊本の状況だろうと渡部氏は推測する。

電力を自由に出し入れできるようにすることは日本の課題でもあり、出演者からは「夢がある」という声が出た。渡部氏は、同じことが北海道など全国でも起きると思うと述べた。電気がなければ何も作れず、フィジカルAIも動かない、という点で出演者の意見は一致した。

地味ながら注目されているのが電気工事会社である。株価が大きく上がっている企業もあり、渡部氏によれば、2030年目標の中期計画を2025年度に達成してしまったというコメントもあった。取材を受けたある人の話として、友人が勤める電気工事会社では、社員が入社以来こんなに忙しいのは初めてだと話していたという。渡部氏は、そこには防衛も絡んでいると付け加えた。どこの会社かと聞かれると「ちょっと言えません」と答え、スタジオの笑いを誘った。

テスタ氏の扱い方:壮大なテーマほどチャートで短期に

テスタ氏はフィジカルAI関連で何か仕込んでいるのかと質問されると、買ってはいるが、値動きの激しい銘柄なので、どちらかといえばチャートを見て買っていると答えた。例として、番組で名前が出たローツェについて、窓を開けて高値を抜けた動きを見て強いと感じ、買ったり注目したりしたという。チャートが崩れたら売ると決めており、値動きの激しい銘柄は短めの時間軸で扱うことが多いとした。

理由の一つとしてテスタ氏が挙げたのは、テーマが壮大なほど関連銘柄が分散し、資金も分散することだ。そうなると個々の銘柄のパフォーマンスが弱くなり、長期で持つのが難しくなる。それより、絞り込んで今強いものに乗るほうが、結果として効率が良くなることがあるという。

売り時の難しさについても説明した。短期ならチャートが崩れた時点で売れる。しかし半導体株などを長期で持つと、途中で「本当にもう終わった」ように見える動きで振り落とされることがある。実際にはそこがまだ押し目だった、ということもある。長期目線で「終わった」と思って売ると、次に高くなったときに買い直せないことが多い。一方、強いときに買い、弱くなったら売るという短期の考え方なら、売った値段より高くても何度でも買い直せる。テスタ氏は、どういう考え方で臨むかによってテーマ株の特性を生かせるかどうかが変わると述べた。

レアアース:ボラティリティはあるが面白い分野

馬渕氏はほかの注目分野としてレアアースを挙げた。日本は南鳥島沖でレアアースの採取に取り組んでいる。また双日は昨年10月から、オーストラリアで採れたレアアースをマレーシア経由で輸入しており、馬渕氏によれば日本初の取り組みだという。

馬渕氏の整理では、レアアース関連には複数の切り口がある。南鳥島関連の企業、家電製品などから国内でレアアースを回収するリサイクル、そして双日のように資源の権益を取る企業である。値動きは大きいものの、まあまあ面白い分野だと思っていると話した。

インフレ銘柄:「単価上昇」と「客数増」が同時に出る企業

渡部氏がもう一つ注目しているのは、インフレに強い企業だ。スーパーに行くと何もかも高くなったと感じる、という出演者の実感に対し、渡部氏は、お米は1年前からほぼ倍になったと応じた。

渡部氏が四季報でインフレ銘柄を探すポイントは、コメントに「単価上昇」と「客数増」の2つが入っていることだ。これまでのデフレ銘柄は、単価を下げて客数を呼び、そのモデルを大量に出店していく企業だった。単価を下げれば人が来て、回転し、お金ができたら店舗を増やす、というのがデフレ期の典型だったという。その後の時期には、単価を上げれば客数が減るのが普通だった。しかし今は、単価が上がっているのに客数も増えているというコメントが大きく増えている。

しかも、そうしたコメントは高額消費の企業よりも、一般的な価格帯の企業に出ているという。渡部氏が挙げたのは吉野家、松屋、ジョイフルなどだ。例えば50円の焼き鳥を55円にすれば値上げ率は10%だが、元の値段が安いので、50円や100円上げても安いままで、値段を倍近くにできてしまう。鳥貴族もかつては280円均一だったものが今は390円前後になっているが、それでも安い。こうした企業が増えているので、「単価上昇」と「客数増」の両方が書かれた企業を探すとよい、というのが渡部氏の提案である。

高市政権で株高を見込むならETFでもよいか

視聴者からは、高市政権で株高になると考えても個別株に落とし込むのが難しい場合、日経平均連動のETFを買うのもありか、という質問が寄せられた。

馬渕氏は「ありです」と答えた。高市銘柄とされる防衛、セキュリティ、造船、半導体・AIはいずれもテーマ色が強く、値動きが激しいので難しいと感じる人も多いだろうという。テスタ氏も半導体は難しいと話していたことに触れたうえで、馬渕氏は、自分も下がったら買っていくが、TOPIXのほうがまだ割安だと述べた。

TOPIXについて馬渕氏は、約1700銘柄が採用され、225銘柄の日経平均とは違って時価総額ベースで算出される、もう一つの日本株の代表指数だと説明した。日経平均は歴史が長いため有名で重宝されているが、日本株の実態をより表しているのはTOPIXだと言われることもあるという。ETFは十分選択肢になり、日経平均とTOPIXの両方を持つのもありかもしれないとした。

テスタ氏も、アメリカの選挙のように市場全体が大きく動くときは、個別株より日経平均先物を取引することが多いと話した。どの銘柄かは分からないが全体はこう動くだろうと考えるときには、そうした指数系の商品は良いという。

日本でもビットコインETFは生まれるか

暗号資産については、馬渕氏が日本でのETF誕生の可能性を解説した。アメリカではビットコインETFが上場し、その後ビットコインの価格は上がっていった(現在は下がっていると馬渕氏は補足した)。ETFはビットコインの値動きに連動する金融商品として組成される。

日本ではまだ実現していないが、馬渕氏は数年後にはビットコイン価格連動のETFが日本でも上場する可能性があるとみる。そうなれば1000円程度からでも買えるようになり、税金も、現在は雑所得として最大55%かかるものが、普通の金融商品と同じ20%になりそうだという。ただし規制緩和が必要で、そうした議論が進んでいる段階だと説明した。

金・銀・暗号資産の急落はなぜ起きたか

先日、暗号資産や金、銀が急落した理由について、テスタ氏らは、金や銀は上がりすぎて実態よりかなり買われており、人気が出すぎた反動で調整が入ったとみる。特に銀のように普段は流動性がそれほどないものに世界の注目が集まると、一気に資金が入り、投機的な値動きになるという。

馬渕氏はきっかけとして、次のFRB議長にウォーシュ氏が就きそうだという観測を挙げた。ウォーシュ氏は以前、利上げに積極的なタカ派だったとされる。タカ派の議長が誕生すればアメリカの高金利とドルの魅力が続くのではないか、と市場は一瞬考えた。それまでは、ドルの価値が下がると考えてゴールドやビットコインに投資していたので、そこで「ドル高か」となり、売りのきっかけになったのだろうという。ただ、その後はウォーシュ氏がタカ派かどうかよく分からない、どうせ利下げするだろうという受け止めに戻っている。馬渕氏は、きっかけは作ったものの過熱感があったから売られやすかったのではないか、と整理した。ドルと金の間には多少反比例の関係があるとも説明した。

銀については、半導体向けの需要もあるため、相当量が必要になるのではないかという思惑があり、それが上昇に勢いをつけた面もあるという。出演者の一人は、銀が大きく動いたおかげでデイトレードがとてもやりやすかったと話した。デイトレードのほか、少し持ち越すこともあったといい、銀のETFや信託といった商品で取引できると説明した。

金をどう持つか:テスタ氏の「1%のリスク」の考え方

今後の金・銀の見通しを問われたテスタ氏は、金は本来、有事に避難するための資産であり、歴史的に見ても最近の上昇ペースは速すぎるので、いずれ止まると思うと述べた。一方で、長い目で見れば金はずっと上がっていくと思うので、暴落のような場面があれば少しずつ拾いたい気持ちにはなるが、高いところでは買いたくないという。

テスタ氏はさらに、歴史的には配当がしっかり出る大型株などのほうが、配当込みのパフォーマンスは良くなるはずだと話した。テスタ氏自身が金を持つのは、「もしも」のときのためだという。99%起こらないことの残り1%のリスクに備えるかどうか、という問題である。テスタ氏の場合は1%でも破産するリスクは取らないほうがよいので、そこに備えている。しかし資産が100万〜300万円程度の人が、残り1%に備えるために資産の3分の1を金に回す必要があるかといえば、それは違うだろうという。

テスタ氏は、短期取引で資産をどんどん増やしている段階の人は、そうした保険をかける必要はないとした。資産が大きくなり、その額を確実に減らしたくないという段階になったら、金を持つのもよい。何を選ぶかは、それぞれの資産状況とのバランスで決まる、というのがテスタ氏の考え方である。

財務省官僚との意見交換で出た話

番組後半の出演者のXポストを振り返るコーナーでは、馬渕氏が財務省の官僚と意見交換をした件を報告した。片山財務大臣に続き財務省の職員と会い、個人投資家に近い立場から国民の感覚やニーズを伝えたという。

馬渕氏によると、主計局の幹部からは「日本は成長するために投資をします」という言葉があった。財務省には緊縮のイメージがあるかもしれないが、片山財務大臣と高市総理の考え方に基づき、成長のために投資をするという話が最初に出たという。馬渕氏は、個人向け国債をもっと充実させてはどうかと提案した。生まれたときからみんなが日本国債を持ち、きちんとリターンがある世界観はよいのではないか、という趣旨だ。これに対し理財局の担当者からは、個人向け国債の販売に力を入れているという話があった。金融を担当する職員からは、暗号資産やステーブルコインといった新しい金融の形についての話も出たといい、馬渕氏は先ほどのビットコインETFの話題に近い内容だったと紹介した。官僚の間で国民にメッセージを届けていきたいという動きがあるようだ、と馬渕氏は話した。

「思い出を作る」ための企画案

最後に、馬渕氏が今後やりたいこととして、以前テスタ氏から受けた助言を紹介した。忙しすぎて記憶が残らない馬渕氏に対し、テスタ氏は、人生を長く感じられるように思い出を作ったほうがいいと勧めた。思い出を作る相手がいないという馬渕氏に、テスタ氏が番組のみんなでどこかに行こうかと提案したという。

テスタ氏は、同じことばかりしていると思い出に残らないから時間が早く感じられる、と改めて説明し、バンジージャンプのような刺激的な体験を提案した。馬渕氏は「無理です」と断り、癒し系がいいと返したが、テスタ氏は、ぬるい癒し系では記憶に残りにくいと譲らなかった。スカイダイビングといった案も出たが、何をするかは決まらないまま番組は終わった。