吉村洋文と石丸伸二が語る「政治屋の一掃」と副首都構想、そして福岡市長選

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概要

ジャーナリストの須田慎一郎が、大阪・長堀橋にある日本維新の会本部を訪ねた。相手は維新代表で大阪府知事の吉村洋文と、福岡に拠点を移してネットメディアの九州支局長を務める前安芸高田市長の石丸伸二である。対談では、不祥事に揺れる福岡県議会、沖縄県知事選とメディアの変化、副首都構想、議員定数削減、維新の入閣、規制改革、そして高島宗一郎市長の退任で行われる福岡市長選までが話題になった。全体を通して二人が強調したのは、政治家であり続けること自体を目的にせず、必要だが反発の大きい改革に踏み込むべきだという考え方である。

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1:31

福岡に移った石丸伸二と、統一地方選への視線

石丸の肩書きは、東京に本拠を置くネットメディアの九州支局長だ。福岡にスタジオを構え、九州の情報を域内で共有しながら全国に発信する取り組みだという。支局はほかにもあり、最近は新潟にもできた。実際に住んでみると東京との違いは大きく、東京にはいない人材が福岡・九州にはたくさんいると感じていると石丸は語った。

須田はさっそく、来年の統一地方選挙を意識した移住ではないかと切り込んだ。石丸は「可能性は排除できない」としながらも、その意識はないと答え、あくまでメディアとして九州を、そして九州から日本を盛り上げたいのだと説明した。

3:02

維新の福岡県議会への挑戦と「政治屋の一掃」

日本維新の会は、不祥事に揺れる福岡県議会の選挙に相当数の候補者を立てると宣言している。吉村によれば、石丸が掲げた「政治屋の一掃」という言葉には強く共感しており、いつか東京でやってほしいとさえ思っていたという。いまの福岡県議会を見ると、まさにその一掃が必要な状況だと吉村は言う。これまでは高島市長の改革や街づくりが目立っていたため議会の問題は見えにくかったが、それが表に出てきて「これはおかしいのではないか」と感じるようになった。

吉村は大学時代、18歳から23歳までの5年間を福岡で過ごした。福岡が大好きで、人は優しく、食べ物はおいしく、固有の文化と個性があり、副首都を目指してほしいとも考えている。だからこそ議会の現状に腹が立つのだという。

須田は、石丸と維新には共通点があると指摘した。空気を読まず、攻撃的で、「足して二で割る」ような政治屋らしさがない。吉村は「僕は似てると思う」と応じ、「ちょっと嫌われるしね」と付け加えた。イデオロギーや政策面ではなく、キャラクターと嫌われやすさが似ているという話になり、須田は今後の共闘もありうるのではないかと水を向けた。

5:58

沖縄県知事選の結果をどう見るか

続いて話題は沖縄県知事選に移った。須田は、辺野古移設に強く反対してきた勢力から容認の立場へと県政が切り替わったことを、民意の大きな変化と位置づけた。

石丸はまず、選挙結果は民意の表れであり、自分の立場から是非を言うものではないと断ったうえで、メディアの取り上げ方が変わったように感じると述べた。これまでの選挙では基地問題への強いスタンスが報じられてきたが、今回はそこにあまり焦点が向けられず、それが結果につながったのではないかという見立てである。須田が、県として打つ手がなくなったからなのか、それとも3月に起きた辺野古での船の転覆事故のためなのかと尋ねると、石丸は事故の影響はあると答えた。問題は依然として解決しておらず、まだ説明されるべきだと考えており、地元に限らずメディアの姿勢が選挙に何らかの影響を与えた印象があるという。

候補者の応援で何度か沖縄に入った吉村は、報道の中身と県民の実際の思いには隔たりがあると現場で感じたと語る。転覆事故については、ずさんなやり方で女子高校生が命を落としたことは許せないとし、当時から批判してきた。そのうえで、事故後の記者会見でも頭を下げず、謝り方にも誠意が感じられなかったことの方がもっとおかしいと述べた。基地問題について県民は複雑な思いを抱えているが、運動をしているいわゆる左派の人々が県民の代表のように見られていることについて、「こういう思想の人たちと一緒にやっているわけではない」と感じた県民も多かったのではないか、というのが吉村の見方である。

吉村がもう一つ挙げたのは経済だ。沖縄の県民所得は47都道府県で最下位が続き、子どもの貧困率は全国平均の約2倍だという。安全保障も大事だが、経済を活性化して給料を上げることに目を向けてくれる知事を選びたいという県民の思いが、選挙戦の中で右肩上がりに高まっていったのではないかと吉村は振り返った。

情報空間の独占が崩れた、と須田は見る

石丸は逆に須田に問いかけた。沖縄に限らず、日本全体で左派・リベラルが調子を崩しているのではないか。理想は分かるが、県民所得のような実生活をなんとかしてほしいという方向に人々の意識が寄っているのではないか、と。

須田は二つの要因を挙げた。一つは、新聞・テレビによる情報発信の独占が崩れたことだ。報道されないことは世の中に存在しないかのようになっていたが、SNSやYouTubeの登場で対論が出てきて、有権者が初めてどちらが正しいかを選べる環境が生まれたと須田は言う。沖縄ではそれが特に顕著だったと須田は語る。コンビニで新聞を買おうとしても琉球新報と沖縄タイムスしかなく、日経新聞は現地印刷で当日付けがあるものの、本土の新聞は1日遅れで届く。情報空間が完全に独占されていたところにSNSとYouTubeの流れが来た。そこで地元メディアが「情報発信の9割が本土から」と被害者意識を示したことに対し、須田は「あなた方がやってこなかったからだ」と反論したいという。もう一つの要因は経済問題で、働いても生活が良くならない。国民民主党が「手取りを増やす」で一時伸びたのも、生活の苦しさの表れだと須田は見ている。

石丸は「オールドメディア」という表現は好きではないと述べた。ネットメディアは新しく出てきたが、既存メディアが古くて終わっていく存在だとは思わない。むしろ強かったのであり、これからどうなるかは本人たち次第で、民主主義のために光であり続けてほしいという。ただ潮目が変わったことは認め、従来の報道のあり方では世論は作れなくなり、もっと自由に、ネガティブに言えば混沌としてきているとも感じている。だからこそ政治の情報を紹介する立場の人間は気をつけなければならない、と石丸は語った。

記者会見は「質問がなくなるまで」

須田が、維新は結党以来メディアと戦ってきたように見えると振ると、吉村は橋下徹の時代からメディアとぶつかり合ってきたと認めた。ただ、それは悪いことではないという。維新は会見で質問をすべて受け、質問がなくなるまで続けることを今も続けている。腹が立つことも多いが、その向こうにいる有権者が情報を受け取って判断するのだから、メディアの役割は大事だと吉村は話す。

石丸も長時間の会見を続けてきた理由を「吉村さんと全く一緒」と答えた。都合が悪くなったから、面倒だからと打ち切るようなら政治に関わってはいけないと考えていた。メディアは変わったかと問われると、思い込みかもしれないと前置きしつつ、自分が関わったメディアについては「180度ではないが、23度ぐらい」は、公平中立さやスピード感、報じない自由の使い方といった点であるべき姿に近づいたと感じているという。

須田は、自身が新卒で受けたこともある中国新聞を例に出した。日本最大級のブロック紙で、地元で絶対的な自信と影響力を持っていた中国新聞と石丸がやり合う姿を「すごいな」と見ていたという。石丸は、やりたかったのではなく、誰もやらないなら誰かがやらなければならないと思っただけで、返す刀もあり、しんどかったと振り返った。

吉村も、質問がなくなるまでの会見は本当に大変だと語り、あるフリージャーナリストの例を挙げた。国民民主党の会見に出入り禁止になったから来たと言って、兵庫県の斎藤元彦知事や国民民主党の玉木雄一郎代表に関する質問を吉村にぶつけてくる。本人たちに聞いてくれと思うこともあるという。それでもメディアがあり、その裏に知る権利があるのは民主主義として健全だと吉村は言う。今は発信者側にもYouTubeやSNSという反論の手段があり、言論空間は広がっていると評価した。

18:30

「税金をパクパク」――福岡県議会への批判

福岡県議会の問題について、吉村の率直な印象は「こんなことまだやってんの」だった。県民の税金を「パクパクむしゃむしゃ食っているように見える」と吉村は言う。県議の吉松氏が、議長になるのに2000万円が必要だと告発した件については、受け取った側は否定しているとしつつ、古い議会だと感じたという。

吉村がさらにおかしいと直感したのが海外視察だ。3年で23回、4年連続でハワイ、パリにも行っている。その後もタイタニックのポーズをとっていた、ネクタイを頭に巻いて踊っていたといった話が次々と出てきた。それが県民のためにどれだけなっているのかの説明はなく、円安で県民が簡単に海外に行けない中、その人たちの税金で行っている。維新が報酬3割削減や退職金をめぐる改革など「身を切る改革」を続けているのは、税金で成り立っていることへの意識からだと吉村は強調した。

さらに、議員が匿名の「裏アカウント」で吉村を批判していたことも明らかになった。吉村は「福岡は副首都になれないのではないか」と問題提起をしたのであり、それは副首都になってほしいからこその発言だったという。昔の武士は名を名乗ってから戦ったのに、議員が別アカウントで文句を言うのは「ダサい」と吉村は切り捨てた。

22:41

機能しない二元代表制と地元メディアの責任

福岡に住む石丸は、蔵内元県議会議長が「海外旅行はこれからもやる」と言い間違えた件に触れ、本気でそう思っているのではと疑いたくなるほどで、ギャグに見えたと語った。県議会は二元代表制において執行部を監視する役割を持つが、これでは監視できていないのではないかという。

石丸がもう一つ問題にしたのは地元メディアだ。半年ほど前から急に「県議会のドン」といった表現が報道に現れ、自分たちが悪を倒すというような姿勢になったと石丸は感じている。しかし、それはみんなが昔から知っていた話であり、むしろ5年、10年、もっと長い期間見逃してきたのではないか。今回の報道で何か表彰を受けたとも聞くが、功績を誇るよりもこれまでの不届きを恥じるべきではないか、というのが「メディアに厳しい」石丸の意見である。

須田は、議長が好き勝手できたのはそれに予算をつけてきた知事がいたからでもあり、二元代表制はまったく機能していなかったと指摘した。石丸も、その関係だけを見ると持ちつ持たれつだったのではないかと受け止めている。

大阪の二元代表制は機能しているのか

では大阪はどうか。吉村は「全然機能している」と答えた。そもそも大阪維新の会は、大阪で二元代表制が機能していなかったから生まれたのだという。橋下が知事になって改革しようとしたとき、予算や条例の承認権限を持つ議会が古いままでは改革が進まないことに気づいた。そこで議会ごと改革派に変えようとしたのが出発点で、吉村自身も2011年に民間から加わった。改革を進めるには知事と議会が車の両輪として変わる必要があり、府民・市民の支持でそれを実行できたと吉村は語る。同時に、自分たちが古い勢力のようになってはいけないとも述べた。知事や市長がすべてを見ることはできないので、維新の議員が役所のおかしな点を指摘するなど監視の役割も果たしているという。

石丸は「少し意地悪な見方」と断ったうえで、年明けの出直しダブル選挙の際に府議会・市議会が止めようとしたことを挙げ、それぞれの立場で意思表明をする組織として機能していると思ったと述べた。須田も、来年に統一地方選があるのになぜ今やるのかとブレーキをかけようとしたのは、まさに二元代表制の機能だと見る。

吉村は、政治家は何のために政治をしているのかと常に考えているという。道のないところに道を作るのが政治家の仕事で、単に政治家であり続けるだけなら意味がない。副首都法案に挑戦するチャンスが少しでもあるなら動くべきで、否決される可能性が高いと言われても物事を動かすのが政治の役割だと語った。高島市長が同じ政治を続けても意味がないとして退任を決めたことにも触れ、何もせず問題提起もしなければ人気を保って選挙にも通りやすいかもしれないが、賛否のある必要なことを提起して道を開くのが政治家の役割だという。「暴走」と思われることについては異を唱えたいとした。

29:37

石丸は副首都構想に「めちゃくちゃ期待」

副首都構想について問われた石丸は、一言で「めちゃくちゃ期待している」と答えた。銀行員でアナリストをしていた10〜20年前から、都道府県ではなく道州制くらいのブロックにした方がいいと考えていたという。しかし都道府県を廃止すれば首長と議員がすべていなくなるため、誰も賛成せず、自分が生きている間には無理だろうとも見ていた。そこで地方に核を作っていく副首都は、自身が東京都知事選で訴えた「多極分散」「多極成長」につながる手であり、いわば「第3の道」だと石丸は評価する。

結局は大阪に副首都を持ってくるための構想ではないか、という須田の意地悪な見方に対しても、石丸はそうは見ていないと答えた。吉村が以前から言っているように、条件を満たせばどこでもなれる仕組みになっており、福岡も県と北九州市・福岡市の連携協約によって可能だと理解しているため、その批判はバイアスのかかった表現だと受け止めるという。吉村は、そうした批判は野党もメディアも言っていて耳には入るが、日本の成長に資するという信念でやっているので大したことではないと述べた。

32:02

吉村が描く副首都――バックアップと経済の二本柱

吉村の構想の出発点は東京一極集中のリスクだ。東京の力をそごうとは思っていないが、あまりに集中しているため、東京のリスクがそのまま日本のリスクになっている。それなのに当事者である日本人が意識していないと吉村は言う。根拠として吉村が挙げたのは、ケンブリッジ大学の研究機関による世界の都市リスク調査と、ドイツ・ミュンヘンの大手再保険会社の分析で、いずれも東京のリスクが最も高いとされているという。

副首都の柱の一つはバックアップだ。吉村は、これは省庁の移転ではないと強調した。首都圏が大きく被災したときに、こちらで省庁が稼働できるようにしておくという考え方である。民間ではすでにそれができているとし、東京証券取引所が機能しなくなった場合に大阪の取引所でバックアップする仕組みがあり、訓練もしている。NHKも大阪局でバックアップする体制がある。それなのに政府にはその仕組みがないのはおかしい、というのが吉村の主張だ。

もう一つの柱が経済である。一極集中の東京と並ぶような経済圏を日本に複数作る。アメリカは州ごとに税の仕組みが違い、ドイツも連邦制だ。吉村は自らを道州制論者だとし、副首都に独自の税や規制緩和、インフラ強化ができる仕組みを持たせ、そこが日本の成長を引っ張る姿を思い描いていると語った。

福岡もその有力な候補だと吉村は言う。九州の中心にあり、九州は人口やGDPで見ればヨーロッパの一国に匹敵するのに、北海道と同じ全国一律の仕組みで運営されているのはおかしいという。九州で生まれた子どもが夢を地元で叶えられるようにしなければ、若者はみな東京に行ってしまい、人口減少社会では最後は先細りしかない。福岡を核に、九州単位で経済的にやりたいことができる仕組みを作るべきだと吉村は主張した。

36:53

「根詰まりした観葉植物」――石丸の東京一極集中論

石丸は吉村の構想と「かなり重なる」と答えた。特にバックアップの観点では、地震を想定した場合、大阪よりも福岡の方に優位性があるのではないかと見る。成長拠点としては福岡も大阪も十分になりうるという。

ただ石丸はさらに踏み込み、ゆくゆくは省庁の移転も考えた方がいいと述べた。バックアップだけではメインとサブに分かれ、結局みんなメインにいたがる。大企業の本社も同じで、自身が勤めたメガバンクも3行すべてが丸の内周辺に集中している。何かあったときに危ないし、関西発祥の銀行なら大阪に戻って西でビジネスを展開する方がいいのではないかという。金融はそう簡単ではないとしつつ、北海道だけで市場を作って支配しているドラッグストア企業の例も挙げ、それぞれの地域で活動するために省庁の機能も徐々に移すのはありだと語った。

石丸は観葉植物にたとえた。家の中で育てていると根がぎちぎちになり、成長しなくなる時が来る。今の東京はそれではないか。株分けして土を入れ替え水をやれば東京自身もまた伸びるし、他の場所でも木が育てば最終的に大きな経済圏になり、国内に健全な競争が生まれる。それは東京を含めた日本のためになると石丸は言う。

なぜ副首都構想は反対されるのか

これほど理にかなっているように聞こえる構想に、なぜ維新しか取り組まず、他党は反対するのか。須田の問いに吉村は、日本の政治が中央集権の発想だからだと答えた。永田町が一番偉く、各党の本部もそこにある。国会議員は地方分権を口では言うが、吉村から見れば村おこし・街おこし程度の政策にとどまり、規制や税といった本質には手を付けない。吉村は自立する個人、自立する地域、自立する国家が好きだといい、地方にはもっと力があると考えている。

維新は大阪で生まれ、大阪に本部を置き、身を切る改革を続けている。吉村は自分たちが座る応接セットを指し、隣はパイプ椅子だと笑った。地方から生まれた政党だから地方分権の感覚が染みついており、提案もできるという。しかし与党として法案を進めようとすると、永田町は政局で動く。本当に日本のことを考えればどの政党でも大事なはずの話が、「維新が言うから」「吉村が嫌だから」「大阪から偉そうに言うな」という空気で潰されると吉村は語り、自分の人間性に問題があったと自嘲してみせた。自民党の中にも高市総理を引きずり下ろそうとする動きが見え隠れすると述べ、永田町は難しいところだと語った。

議員定数削減と国会の慣習

議員定数削減について石丸は、強く反対はしないと述べた。国際比較の数字から見て日本の国会議員が多すぎるとはあまり思っていないが、質を高めるために削減してみることには賛成するという。須田は、自民党議員の多くが嫌がる政治的コストの高い政策をわざわざぶち込むのはさすがだと評した。吉村は「高市政権をぶっ壊そうと思っているだけ」と冗談を言ったうえで、高市政権は公明党が離れた後に生まれ、26年間の自公政権でできなかったことをやるためにあると説明した。自民党内に何を言われても、高市総理には信念を突き抜けてほしく、維新はそのアクセル役になりたいのだという。

須田は国会改革にも話を広げた。国会運営は慣例に縛られ、日程は全会一致が前提とされ、委員長職権で進めれば少数意見の無視だと野党が反発し、強行採決のイメージを恐れた与党が折れる。総理が全閣僚出席の委員会に呼ばれ、NHKが中継するのも野党の見せ場作りではないかと須田は言う。定数削減は支持する有権者が多いが、通常の手順では実現しない。唯一の手は衆議院での再可決で、それをやればこれまでの国会運営の慣習をすべて壊すことになるが、須田は壊すべきだと考えている。

石丸は一度壊してみるのは興味深いチャレンジだとしつつ、別の懸念を口にした。定数削減を取り下げさせるために、野党が副首都法案を人質にとっているのではないか。そうだとすればコストが大きすぎ、定数削減より副首都の方が明らかに日本の役に立つという。

吉村によれば、副首都関連法案はすでに成立している。一方、定数削減法案は野党が潰そうとしている。定数削減は自民と維新の連立合意であり公約でもあるのに、国会では審議の順番をめぐる日程闘争に使われる。「定数削減を先にやるなら皇室典範の審議はやらない」といった具合で、皇室典範の改正を通したい議員は自民党にも多く、維新も当然通したい。吉村は、野党が来ないなら来ないで審議を進めればいいとの考えだった。須田は、定数削減を次の国会に回すなら副首都法案の審議には協力するという取引で、二つがワンセットで動いたと指摘し、吉村も野党側が当初そう言っていたと認めた。そのうえで吉村は、定数削減を取り下げたわけではなく、この臨時国会でやり切りたいと述べた。法案が日本にとってプラスかどうかではなく、別の論理で物事が進んでいることに須田は不満を示した。

須田が石丸に維新と組んで政治をぶち壊すほどの動きを期待すると、石丸は自分が加われば不協和音にしかならないと返した。須田は、維新ももともと不協和音で、公明党の方がおとなしかったのだと笑った。

維新の初入閣はなぜ「調整型」だったのか

石丸は、維新初の入閣で、馬場伸幸や藤田文武のような攻撃的な人物ではなく、調整型とされる中司氏が選ばれた狙いを尋ねた。吉村は、候補者はみな経験豊富で突破力もあるが、最終的に人事を決めるのは総理だと答えた。中司氏は調整力があり、自民党からも維新からも信頼が厚いという。

吉村は入閣までの経緯も明かした。連立当初は内閣に入っていなかった。入るべきだと主張したのは遠藤敬で、馬場や松井一郎は、自民党は老練な政党で経験のない維新がいきなり入閣するのは無理だと反対した。吉村は代表として、与党経験がない中で定数削減など党対党で進めるべき法案や議員立法が多く、入閣すれば戦力が分散すると判断し、当初は入閣を見送った。ただ、連立である以上、内閣に入って政策の責任を共有するのが本来の筋だとも考えていた。その後、約10カ月の経験を積み、さまざまな法案が通り、何より選挙で連立政権が国民の審判を受けたことが大きかったという。審判を経た以上は内閣に入るべきだと判断したが、副大臣や政務官も含めて誰も経験がない中でのスタートであり、まだゴールではないと吉村は強調した。

須田は、馬場と藤田が「身体検査」に引っかかったという噂について単刀直入に尋ねた。吉村は、調査はするものの引っかかったわけではないと思うと答え、総合的な判断で最後は総理が決めることであり、今後の内閣改造もあると述べた。

吉村は今回の改造内閣について、官僚出身者が多く、主要ポストを据え置いた「ディフェンシブな人事」だと評した。支持率が高い中での改造で、高市総理が政策を実行しやすい体制はすでに取れているからだという。一方で国会対策の人事からは、国会改革を進めたいという意志を強く感じたとした。須田が、馬場や藤田なら国会答弁で言わなくていいことを言ってしまうだろうと茶化すと、吉村は自分も含めて維新は「オフェンシブ」であり、藤田には喧嘩腰になるなと言っていると認めた。

臨時国会の争点

定数削減について吉村は、前の国会で出した1割削減の法案が継続審議になっており、どう審議するかは遠藤や村井が中心となって野党と協議すると説明した。代表としての意思は、この臨時国会中にやり切ることだ。会期が短いという須田の指摘には、以前から延長してでもやればいいと主張してきたと答え、きちんと結論を出すべきだと述べた。もう一つやり切りたいのは消費税減税だという。

これに対し石丸は、政治的コストが高いのだから、ここで無理をしなくてもいいのではないかと述べた。普段より攻撃的でないと須田に突っ込まれると、もっとやってほしいことがたくさんあるからだと答えた。

55:55

石丸が維新に求める規制改革

石丸が期待するのは、中司氏が担う規制改革である。自民党が苦手とする分野をどんどん議論に載せるのが維新の存在意義だと考えている。小さなところではライドシェアだ。石丸はタクシー業界の関係者が230万人いるという数字を挙げ、大事な団体であることは分かるが、恩恵を受ける国民の方がどう考えても多く、他国を見てもなぜまだ止まっているのかと疑問を呈した。

もう一つは、自身にとって思い出のある農政だ。日本の農業は国際競争力がほとんどなく、高い関税や直接支払い、補助金で守りすぎているというのが石丸の見方である。農家自体も減っている中で、競争を促して競争力を高めなければ日本はどうにもならなくなると訴えた。須田も、補助金や租税特別措置の見直しを「ばさばさやってほしい」と加えた。

吉村は、経済成長のための投資には賛成だとしつつ、効果がないものや業界団体への配慮で続いているものは切るべきだと応じた。担当は片山大臣だが、連立合意で「日本版DOGE」と呼ばれる仕組みを作っており、租税特別措置のような隠れ補助金を歳出改革で削っていくという。自民党は献金を受けて選挙をしているので、献金元に配慮するのは当然で、それによって規制が守られる。維新は献金を受けていないから、それができるというのが吉村の説明だ。

ライドシェアについて吉村は、万博の前から認めてほしいと訴えたが、出てきたのは「日本版ライドシェア」という意味不明なもので、壁の厚さを実感したと振り返った。そこで来年は副首都で進めればいいと考えている。全国一律では難しいことを副首都でできる法律にし、副首都整備計画では知事の意見を尊重しなければならないという立て付けにした。副首都でまず規制改革を行い、成功事例を増やせばいいとし、ライドシェアも大阪でやればいいという。

農業については北海道の鈴木直道知事との話を紹介した。広大な土地がある北海道で無人の自動運転トラクターを公道で走らせようとしたら認められなかったなど、規制が多いという。それを突破すれば北海道の農業の力が上がり、それは日本の農業の力、ひいては安全保障上重要な食料自給率の向上につながると吉村は語り、北海道の副首都化についても鈴木知事と話しているという。

全国レベルで中司氏に取り組んでほしいのは自動運転だと吉村は言う。タクシー業界はライドシェアには反対しているが、自動運転には反対していない。運転手の雇用を守ると言っていたはずなのに、雇用を必要としない自動運転は自分たちが率先してやるというのは論理として分かりにくいと吉村は首をかしげつつ、反対がないなら政治的コストは低いと見ている。万博でも技術の向上は示されており、ロボタクシーやバス、トラクター、ドローンによる配送など可能性は高いという。ただしタクシー会社だけにやらせては競争が生まれず料金も下がらないので、それ以外の事業者に参入させることが大事だと強調した。須田は二種免許の必要性にまで踏み込むべきだとし、戦後の規制には政官業の癒着の構図があると述べた。

1:02:02

「バッジ依存症」と政治家の引き際

須田は、橋下徹も松井一郎も、この業界で食べていこうとせず自らやめていったと指摘した。吉村も、政治の席にしがみつく「バッジ依存症」の政治家が多すぎると述べた。議員であり続けることが自己目的化すると、国や地域のためが二の次になる。定数削減も、かつて公約に掲げた政党が今は絶対に嫌だとなっている。維新はバッジに依存しない政党であり続けたいと吉村は語った。

石丸も政治家という仕事にこだわりはないと答えた。政治家になりたかったわけではなく、あくまで目的のための手段だという。高島市長が任期限りでの退任を自ら会見まで開いて表明したことについては、その潔さがこれからのスタンダードになってほしいと述べた。石丸は高島氏と対談したとき、本当は続けたい気持ちもにじんでいたと感じたという。市長を務めた自分にも職業としての愛着は分かるが、市のために長い目で見ればそれではいけないということもよく分かる。自ら区切りをつけたことは手本になると評価した。

話はそこから恋愛リアリティ番組に飛んだ。須田は高島市長に、市長をやめても恋愛リアリティ番組には出ない方がいいと言っておいたと冗談めかした。対談では、その番組を毎週見ていて応援しつつも「やめておけ」と思っていたという話も出て、石丸には政治の世界で頑張ってほしいという声が上がった。恋愛リアリティ番組と政治のどちらを取るかと聞かれた石丸は、悩むことなく政治であり、優先順位がまったく違うと答えた。

石丸伸二はどこへ向かうのか

石丸は、福岡移住には思惑があったのではないか、市長選や県議選に出るのではないかと言われることについて、今から過去を振り返るとそう見えるだけだと説明した。移住を決めた時点では、高島市長は続けると思っていたし、県議会の問題も表に出る前だった。因果関係も時間の流れも逆であり、純粋に九州支局長として情報を発信したいという思いで福岡に来たという。

政治家に戻りたいのか、自分に何が向いているのかを探しているのかと問われると、石丸は「両方」と答えた。政治に関わる仕事はこれからもやっていきたいが、安芸高田市長選に出たときから、自分が何に使えるのかを決め打ちせずに探し続けており、今も迷っているというより、どうすれば少しでも世の中の役に立てるかを考えている状態だという。

1:07:16

福岡市長選で共闘はあるか

ここで吉村が、視聴者がもやもやしていることとして逆に質問した。石丸が福岡に行ったときは県議会の問題もなく、高島市長も続けるだろうという状況だった。しかし状況は変わり、県議会は変えなければならず、石丸の言う政治屋の一掃が必要になった。そして副首都を目指す高島市長がけじめをつけて退任し、市長選が行われる。福岡市長選はどうするのか、と。

石丸は真面目に答えるとして「可能性はゼロではない」という認識を示した。吉村が即座に「応援します」と返すと、石丸は九州で攻勢をかける維新なら当然候補を立てるのではないかと思っていたと驚いてみせた。吉村は、石丸が出るなら応援しようと思っていると明言した。高島市長の改革を近くで見てきた世代であり、福岡に副首都をやってほしいという吉村の思いと近く、政治屋の一掃という考えも近いからだという。石丸が出るかどうか分からない中で、いい候補者がいれば維新として立てたいとしつつ、高島市長の改革を本気で継ぎ、熱量を持って副首都に取り組み、県議会改革にまで踏み込むような人がいれば応援したいと述べた。須田は、維新が石丸を推せば「ガラガラポンしすぎ」かもしれないと茶化した。

1:09:54

高市政権の評価と、若い世代への期待

最後に話題は高市政権に戻った。須田は、自公から自維へと連立の枠組みが変わったことで、高市総理の一番いいところが出てきたのではないかと見ている。政治屋の一掃や既得権益の打破、身を切る改革といった「青臭いこと」を言い続けてきた維新と組んだからこそ、ここまで進めたという見方だ。吉村もその通りだとしつつ、もっと先に進めばいいと述べた。

石丸は、最初の高市政権の時から大きな期待を持って見ていると答えた。維新が加わり、今回入閣もしたことの推進力としての意義は数以上に大きいと考えている。経済政策については気になった時期もあったが、「責任ある積極財政」も含めて市場はひとまず消化できたのではないかという。金利は上がっており住宅ローンが大変だという報道もあるが、短期から長期にかけてのイールドカーブを見る限り、市場がそれほど財政を懸念しているようには見えないと石丸は分析した。市場との対話をうまくこなし、成長戦略を維新の規制改革・制度改革とともに進めれば、うまくいくのではないかと見ているという。須田は、もっと批判するかと思ったら前向きで、市長選を意識して大人になったのではないかとからかった。

対談の締めくくりは世代の話だった。吉村は51歳、須田は65歳だ。須田は、65歳になると介護保険証が紙で送られてきて、自治体からは認知症テストの案内が届き、年だと言われ続けて働く意欲を失うと嘆いた。吉村は、状態ではなく年齢で区切ること自体がおかしいと応じた。須田は高市総理と同い年であるとしたうえで、昭和から積み上げてきたものの中には無駄で非効率な部分もあり、しがらみのある自分たちの世代が変えるのは難しく、40代・50代が中心になるべきだと語った。

吉村は、G7やG20では40代・50代の首相や大統領が普通にいたと振り返り、日本の状況には疑問があるという。新しい沖縄県知事も40代で、吉村自身も大阪市長になったのは40歳だった。人はどうせいつか死ぬのだから、一番力があり生産性の高い時期の一定期間を公に尽くしてほしい。日本に生まれ育ててもらい、日本がしんどいと思うなら、一生とは言わないまでも一定期間それを変えるために尽くしてほしい、特に能力の高い石丸にはそうしてほしい、と吉村は語った。須田は「まもなく出馬会見になるかな」と水を向けたが、石丸が福岡市長選に出るかどうかについて、対談の中で答えは示されなかった。