暴落時に買いたい高配当株5選 児玉一希氏が語る「高配当×高成長株」の選び方と売り時

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概要

株式投資家の児玉一希氏が、聞き手の佐田志歩氏の質問に答える形で、配当を受け取りながら株価の成長も狙える高配当株の選び方を語った。高配当株投資は初心者向けに見えるが、気をつけるべき落とし穴もある。そのうえで児玉氏は、配当性向の低い成長企業を条件に挙げ、こうした銘柄を高い利回りで買えるのは暴落時だと説明する。動画の後半では、暴落が来たら投資を検討したい5銘柄と、保有株の売り時の考え方が示された。

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選定基準1:利益率とキャッシュフローの改善

児玉氏が最初に挙げた基準は、利益率とキャッシュフローが改善していることだ。利益率は売上高に対して利益がどれだけ残ったかを示す。利益率が高ければ稼ぐ効率が良く、得た利益を人材採用、設備投資、配当など多くの使い道に回せる。業界によって水準は異なるが、児玉氏は本業の利益である営業利益率と、すべてを差し引いた後の純利益率を見ているという。

児玉氏によれば、株価が上がるのは今よりも良くなるときだ。現在の良し悪しよりも、未来が良くなるのか悪くなるのかが株価の評価に直結する。そのため、高配当株の中でも利益率が改善している会社は魅力的だと語った。

キャッシュフローについては、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、フリーキャッシュフローを見ている。業績の数字は取引が成立した時点で計上されるが、お金が入るのは別のタイミングになる。児玉氏は、動画に出演しても出演料はすぐには入らず、翌月に請求書を出してさらにその先に入金される、という例で説明した。営業キャッシュフローが高い会社は、帳簿上の数字だけでなく現金がしっかり手元に入っている。現金があれば、すぐ投資に回せるスピード感が出る。

投資キャッシュフローについては、マイナスであることを評価する。工場を建てたり株を買ったりすれば現金が出ていくのでマイナスになり、株を売却すれば現金が戻ってプラスになる。事情は会社によってさまざまだが、マイナスであることは一般的に設備投資をしっかり行っていると解釈でき、将来の利益につながるという。営業キャッシュフローから投資キャッシュフローを差し引いたフリーキャッシュフローは、自由に使えるお金を表す。米国の成長株でも重視される指標で、対談では、ハイパースケーラーの株がもたついているのはフリーキャッシュフローの悪化で「これ以上投資できないのでは」と懸念されているためだという話も出た。児玉氏が狙うのはその逆で、フリーキャッシュフローの改善を株価の上昇要因の1つと見ている。

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選定基準2・3:配当性向が低く、売上が増えている

2つ目の基準は配当性向が低いことだ。高配当株ではあるが、配当性向は高すぎないほうがよく、児玉氏は30%未満が理想だとする。最近の上場企業は40%を出すところもあり、平均はおそらく37%程度なので、もう少し高めに見てもよいかもしれないと補足した。大事なのは、利益を配当として配り切るのではなく、配当を出しつつ事業成長のための投資にもしっかり使っていることだという。

佐田氏は、配当性向は高いほうが良いと逆に思っていたので目から鱗だったと反応した。児玉氏は、配当性向が低い会社は当然利回りも低くなりやすいと続けた。だからこそ、こうした銘柄を高配当の水準で買うには暴落時を狙うことになる、という点で話がつながる。

3つ目は売上の増加で、ビジネスが拡大しているかどうかを見る。児玉氏は、ベンチャー企業に限らず、NTTのようなインフラ企業でも、利益の大元は売上なので、どの成長段階の会社でも重要なポイントだと述べた。

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選定基準4:チャートの下値が切り上がっている

4つ目はテクニカル面で、チャートの下値が切り上がっていることだ。長期投資の目線なので日足や分足ではなく、週足で5年程度のチャートを見て、なんだかんだ上昇しているかを確認する。下落局面で切り返したポイントが、前回の暴落時の安値よりも高い位置にあるかどうかを見る。

例として、佐田氏が最近毎日トレードしているアドバンテストのチャートを確認した。日足では7月以降なかなか上がらない展開だが、週足で見るとガタガタしながらも局所的な安値が切り上がっている。児玉氏は、明らかに数年に1回の暴落だと思える日に、下値が前回の暴落を下回っていないかをよく見るという。今ならイラン情勢で大きく下げた3月の日や、昨年の急落局面より上にいるかが目安になる。日経平均についても、当時は6万円を割るかどうかという水準だったが、金利が上がり雰囲気が悪い今も6万円は割っていない、と児玉氏は指摘した。厳密に移動平均線を見るわけではないが、株価が切り上がっていることは買われているという事実なので、それを重視するという。

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選定基準5:従業員数が増えている

5つ目は従業員数の増加だ。AIの時代でもあり、人件費の増加はコスト増の要因になるので注意は必要だと前置きしつつ、児玉氏はこの指標も見ている。過去の従業員数の推移は、マネックス証券の銘柄スカウターなどで確認できるという。

児玉氏は、自身も会社を経営していて人の採用はリスクが高いと感じている。だからこそ人を増やせる会社は先行投資に踏み切れるほど強気であり、強いと考える。自社採用ではなくM&Aで従業員が増えるケースもあり、いずれにしてもアグレッシブに事業を進めている会社だと客観的に判断できるという。

佐田氏が、大企業では人を減らして効率化を図ることもあるのではと尋ねると、児玉氏はそれも十分ありだと答えた。実際、メタやAmazonはリストラを発表すると株価がかなり上がるという。ただし、これから成長する株を狙うなら売上や利益額の規模の拡大が必要なので、大型株よりも中小型株で、従業員数の増加が1つの目安になるという整理だ。

一方で留保もある。コンサル会社のように従業員を増やすと、1人当たりの売上や利益が下がりやすい。児玉氏はM&A仲介業界の銘柄にも投資したことがあるが、この業界は参入しやすく大手でも苦戦するケースが多く、利益効率の悪さから株価が評価されないことが起こるという。人を増やせばよいわけではないので、1人当たりの利益や、それを保てるだけの優位性も見るとよいと述べた。

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選定基準6・7:設備投資の増加とEPSの上昇

6つ目は設備投資の増加である。配当だけを出す低成長株ではなく、配当を出しながら成長にもお金を使っている会社は、なんだかんだ伸びると児玉氏は語る。

7つ目はEPS(1株当たり利益)の上昇だ。株価にはEPSが関わってくるので基本的な指標になる。自社株買いで分母を減らしてEPSを上げるケースもあるが、できれば利益額そのものが伸びているかが大事だとした。

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スクリーニングの4条件

これらをすべて満たす銘柄を探すのは難しそうだという佐田氏の問いに、児玉氏はスクリーニングの条件を示した。代表的な大型株よりは知名度が少し落ちる中型株が中心になるが、市場はプライムでもスタンダードでも構わないという。

1つ目の条件は時価総額500億円以上だ。100億円以上などに緩めることもできるが、小型すぎると売買代金が少なく、大きな資金が入りにくいため、力強い株価上昇につながりにくい。機関投資家がぎりぎり買ってくるかもしれないサイズとして、やや広めに500億円以上に設定している。

2つ目は自己資本比率40%以上で、最低限の財務的余裕を求める条件だ。時価総額の小さい銘柄は伸びる可能性がある一方、大企業に比べて財務が脆弱な部分が大きい。自己資本比率が低いと借入金が多く、金利上昇で利払い負担が増すリスクもある。設備投資には借入れも必要という考え方もあるが、バランスを考えて平均程度の40%はあったほうがよいと児玉氏は考えている。

3つ目は、売上高と営業利益の5年程度の年平均成長率が3%以上であることだ。最低限、増収増益で来ていることを確認する。高成長を求めるなら5%以上に厳しくしてもよい。ただし成長率が高すぎると株価に一気に織り込まれてしまう。佐田氏がトレードする銘柄のように前年比プラス100%などになると、素晴らしいが株価が急騰して手を出しづらく、そもそも高配当ではなくなるという。この条件でも2桁成長の銘柄は出てくるが、いったん広く拾い、ビジネスモデルなども見て判断するという。

4つ目は配当性向30%未満で、配当は出しても出しすぎないでほしいという考え方に基づく。佐田氏は、これらを満たす銘柄を買うチャンスは暴落時でないとなかなか来ないとまとめた。

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暴落時に買いたい銘柄1:日本取引所グループ(8697)

ここからは、成長性の基準からいったん離れ、9月末の権利落ちも控える中で、暴落が来たら投資候補として見ようと考えている5銘柄が紹介された。

1つ目は日本取引所グループ(JPX)だ。日本株をやるなら通らざるを得ない取引所で、株式市場の株高の恩恵を受ける銘柄だと児玉氏は説明する。市場全体が暴落したときは、思い出したかのようにJPXを買うと言い、チャートも市場の動きに連動しているという。

今後上がるかどうかは分からないとしつつ、児玉氏は収益構造に注目する。JPXは売買手数料で多くの利益を出しているため、インフレが進み日経平均が上がれば、同じ参加者数・同じ株数の取引でも株価が高い分だけ売買代金が大きくなる。最近は増配もしており、資料作成時点の利回りは3%台半ばだという。配当性向は70%程度で安定株の側面が強いが、上場企業に対して資本効率や株価を意識するよう求めることができる立場にある。この取り組みは長期的なもので、まだ進めている最中なので、上場企業の株価上昇も構造的に見込みやすく、強制的な金融緩和のような面もあると児玉氏は表現した。暴落時に初心者が検討しやすい銘柄だとしている。

銘柄2:東京海上ホールディングス(8766)

2つ目は東京海上ホールディングス。児玉氏は、日本だけでなく世界でもトップ3に入る損害保険会社で、バフェット氏が買ったことでも注目されたと紹介した。

保険会社の良さとして、児玉氏は2点を挙げる。1つはキャッシュフローの安定だ。ものを作っているわけではなく保険料が毎月入るので、仮に事業が少し傾いても配当を出しやすい。もう1つは金利上昇への強さだ。保険会社は預かったお金を債券で運用しているため、金利が上がれば利回りの高い新しい債券で運用でき、運用収益が上がる。保有中の債券の価値は下がるが、保有株を売却して債券の売却損に充て、資金を作って利回りの高い債券に投資し直すこともしているという。

さらに株式分割が予定されており、児玉氏によれば15分割で、現在100株80万円ほどの価格が、100株5〜6万円程度、1株なら500〜600円程度で買えるようになる見込みだ。佐田氏が、分割しすぎると需給が悪くなるイメージがあると指摘すると、児玉氏もその懸念は持っており、どこで買うかは難しいと認めた。ただ、単価が下がれば買い下がりがしやすく、含み損になっても買い増して取得単価を下げ、配当利回りを上げやすいという。

加えて、取引先との付き合いで持っている政策保有株の売却を3年ほど前から進めており、計画はまだ半分だと児玉氏は説明する。これまでに配当金はかなり増えているが、売却益の一部をさらに配当に回す余地がある。海外でM&Aをしながら事業を拡大しているため、成長性も見込めるとした。

銘柄3:センコーグループホールディングス(9069)

3つ目はセンコーグループホールディングスで、佐田氏は初めて聞いた銘柄だという。東京の湾岸の倉庫街で見かける物流会社で、主に企業物流を手がける。例えば積水化学工業や積水ハウスの製品、つまり化学物質や建築資材の物流を担い、食品の冷凍物流なども行っている。

物流企業にそこまで成長性があるのかと思われるかもしれないが、児玉氏によればM&Aで事業を多角化しており、食品容器メーカーや外食店などにも広げ、海外を含めて事業展開しているという。児玉氏は何年も前からYouTubeで取り上げており、当時は利回り4%程度だったが、今は2%程度に下がっている。暴落すればそれなりの利回りになるとし、「攻めの高配当銘柄」と位置づけた。

強みとして児玉氏が挙げたのは、積水化学や積水ハウスのような固定された大口の取引先があることだ。景気が悪くなったりAmazonでの買い物が減ったりしても、それで儲からなくなる構造ではなく、その基盤を背景に拡大を続けている。株価はゆっくりだが、4年ほど前に投資していれば3倍以上になっていると述べた。

銘柄4:NTT(9432)

4つ目はNTTだ。佐田氏が、レンジを抜けて株価が上がり配当利回りが低くなっているのではと尋ねると、児玉氏はNTTを高配当株というよりストーリーの面白さで選んだと答えた。

児玉氏の説明では、NTTは人気銘柄ゆえの需給悪化や通信事業の伸び悩みがあったが、最近、NTTのIOWNが自衛隊の中核技術になった。AIを使った防衛には膨大な通信や電力が必要になるが、IOWNで大幅にコストダウンでき、国防・国策の銘柄になったという見方だ。IOWNはこれまで海外や一部で実験的に使われていたが、いよいよ中核に入ったことで、防衛株としての期待もあると児玉氏は見ている。

さらに、金利上昇で景気後退のリスクが出てくる中で、NTTはガチガチのディフェンシブ銘柄だと児玉氏は言う。景気が悪いからといってスマホを使わなくなるわけではない。数カ月前から株価が上がっていて不思議に思っていたが、今の景気サイクルの中で強くなっている面もあると推測した。

この銘柄は暴落を待つ必要があるのかという問いに、児玉氏は今の利回り水準も悪くないと答えた。10年以上増配を続けており、取得単価に対する将来の利回り改善は期待できる。暴落してもそこまで下がらないだろうという。以前は150〜160円のレンジだったが、理想を言えば130円台後半まで落ちれば良い利回りになる。ただしそこまでは行かなさそうなので、利回り3.5%程度で良しとするという。これまではデータセンターなどの先行投資で株価が悪い時期が長かったので、ここから高値を取っていく成長ストーリーに賭ける、性質の違う銘柄だという位置づけだ。株価170円程度なら1万7000円ほどで買えるため、分散して細かく買いやすい点も挙げた。

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銘柄5:ライト工業(1926)

最後はライト工業だ。日本のインフラ保全を担う土木会社で、高速道路の山間部などで見かける、コンクリートで固められた斜面「法面」のトップ企業だと児玉氏は紹介した。法面は土砂崩れを防ぐための補強である。ほかにも建物を建てる前の地盤改良工事など、特殊な土木に強みがある。

児玉氏は、日本では新しく建物を建てるよりも、今あるインフラをいかに守り修繕するかが重要な局面になっていると指摘する。政府も国土強靱化計画で2026年から5年間に20兆円の予算を投じると言われており、仕事がなくならない。特殊土木で技術力を持ち、配当金を減らしておらず、利回りは4%近くあるという。

佐田氏は、建設・土木株は昨年大きく上がったが、今年は原油高と金利高で逆境に見えると問いかけた。児玉氏の答えは「だからいい」だった。資材コストや人件費の上昇、人が集まらないといったリスクはもちろんある。しかしインフラ保全は、人がいない、コストが高いという理由でやめられるものではなく、安全のためにやらなければならない。そのため他の建設業より仕事が途切れにくい安定性があると見ている。

佐田氏が、都市開発中心の建設会社が建設費高騰で話題になっていたのとは性質が違うのかと確認すると、児玉氏は同意した。決算を見ると工事件数は少し減っており、今の状況が良いわけではない。ただ株価上昇を狙うなら、今良い株を買うよりも、今は悪いが状況が変われば相対的に良くなるという変化のある銘柄を狙うべきだというのが児玉氏の考えだ。なお、5分割の株式分割も予定されており、9月以降は1000円以下で買えるようになる見込みだという。

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売り時の目安:投資ストーリーの変化

最後に佐田氏は出口戦略を尋ねた。児玉氏はYouTubeを5年続けており、当時取り上げた銘柄が上がって売り時の相談が大量に来るという。答えは人によるとしたうえで、いくつかの目安を示した。

1つ目は、配当の根本になる成長が止まっていないかだ。高配当株として持つ以上、配当の安定、できれば増配が必要になる。業績の数字や、その源泉である優位性が変わってきたら売却を考えてもよいという。児玉氏自身の例として、YouTubeでよく取り上げていた建設機械の会社を挙げた。世界的に建設機械の需要が増え販売が伸びるという仮説で投資したが、思いのほか伸び悩んだため、他の高配当株に投資したほうが効率が良いと判断し、2倍ほどになったところで売った。結果として株価はその後も上がっているが、業績成長は見たところあまり伸びていないという。自分の当初の投資理由を把握しておき、それと違ってきたら売る、つまりストーリーが変わったときが1つのポイントだとした。

2つ目は、ポートフォリオで株の比率が高くなりすぎたときだ。投資額に対する株の割合や、全資産ベースでの株の割合を見る。好調でも株が多すぎる場合は多少売ってもよいという。理由は現金余力がなくなるからだ。児玉氏は、資金が少なかった頃、現金化しなければと焦り、売らなくてよいところで売ってしまったことがあると振り返った。精神的な判断ミスを起こしやすくなるので、どんなに調子が良くても現金は少なくとも20%持つよう勧めている。株価上昇で結果的に現金比率が下がった場合は、優先順位の低い高配当株を少し利益確定して現金化し、自分の中でリバランスする。そうすれば安定して投資を続けられ、利益も確保できるというのが児玉氏の結論だった。