日経平均3300円安と「悪い円安」論:村上尚己氏が語るAIブーム、円安、日銀利上げの見方

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概要

日経平均株価は一時7万円台を回復したものの、この日の終値は約3300円安となり、今年最大の下げ幅を記録した。きっかけとして市場で「コアウィーブ・ショック」と呼ばれた米国発の動きがある。この下落は何を意味するのか。そして、メディアで広く語られる「悪い円安」論は正しいのか。フリーアナウンサーの野沢春日氏が聞き手となり、アセットマネジメントOneのエコノミストで、BNPパリバ証券、ゴールドマン・サックス証券、マネックスなどでエコノミストを務めた村上尚己氏に話を聞いた。

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村上氏の立場ははっきりしている。今回の急落は米国のAIブームへの期待と失望が繰り返される中の調整であり、米国経済全体の崩れを示すものではない。現在の円安は日本経済の追い風であって、為替を理由に日銀が利上げを急ぐことのほうが危うい、というものだ。

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年初から4割近く上昇した後の調整

村上氏はまず、日経平均の上昇幅を確認する。昨年10月から大きく上がり、年初来でもすでに4割近く上昇していた。そのため、この日の4〜5%程度の下落は1日の調整として「仕方ない」と見る。

日経平均は日本株全体を表す指数というより、半導体関連など大型の値がさ株の値動きに左右されやすい。いまの相場の中心テーマは米国を中心としたAIブームで、AIの勝ち組企業が儲かれば関連株が上がる。日本ではその受け皿が半導体関連企業になる。夏ごろには半導体やAIへの期待がしぼみかけて大きく調整し、一度7万円台に乗せた後も6万円台に戻っている。村上氏によれば、夏以降は「AIへの期待」と「失望」が細かく繰り返されてきた。この日はその「失望」の側が出たという位置づけである。

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コアウィーブ・ショックの中身

コアウィーブについて、村上氏は個別企業としてはそれほど深く見ていないと前置きしたうえで、米国市場の構造から説明した。米国には、AIブームに乗った新興企業や、データセンター関連に資金を出す企業が数多くある。コアウィーブはその一社で、前日の米国市場では株価に加えて、発行している社債の価格も急落した。会社側の発表を受け、大規模な資金調達をした借金を本当に返せるのか、疑念を持たれたためだという。この1社のニュースをきっかけに米国のAI関連株が売られ、半導体株指数のSOXも5日続落した。

村上氏は、こうした動きは夏ごろから起きていると指摘する。借金とAI企業を組み合わせた懸念は、その頃から出始めていた。米国の社債市場は日本よりはるかに広く、デフォルトリスクのある高リスクの社債も多い。リスクの高い企業もこの市場で資金を調達している。そのため「この企業は3年後に返せなくなるのではないか」という懸念が広がれば、市場は当然反応する。ただし、一部の企業がそうなったからといって全体に広がるかどうかは「別の話」だと村上氏は言う。今回の下げが今後ドミノ倒しのように続く動きかと問われると、「ないと僕は思ってます」と答えた。

もちろん市場には別の見方もある。懸念は二つあるという。一つはAI関連投資が行き過ぎているのではないかという点。もう一つは金利水準だ。社債の金利には信用リスクが上乗せされているが、ベースとなる金利はFRBの利上げで5%近くまで上がっている。この金利水準で返済できるのかという疑問である。村上氏は、金利上昇の影響が一部で出てくるのは避けられないとしつつも、それが米国経済全体や米国企業全体に広がるかどうかは分けて考えるべきだとした。

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CPI上振れとFRB、債券市場の見方

野沢氏は、前日に発表された米CPIの上振れを挙げ、さらなる利上げで半導体・AI関連が一段と締め付けられるのではないかと問うた。村上氏は、単月では確かに上振れたと認めつつ、FRBの利上げはあと1回、時期は今月より12月と見ている。FF金利はすでに5%を超えており、2022〜2023年のようにインフレが再び大きく振れる可能性は「すごく低い」と考えている。米国の金利は相当高くなっており、インフレは抑制されていくだろうという見立てだ。FRBも経済を失速させるような利上げは望んでおらず、いまはそういう局面ではないと認識しているはずだという。

長期金利はさまざまな要因で夏以降すでに上がっている。村上氏は債券市場を見ていると、金利上昇の材料は「出尽くした」ように感じると話した。金利が高いということは債券価格が安いということであり、割安に見える。いつ買い戻すかを考える債券投資家が増えている、というのが村上氏の感触である。

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株から債券へ資金は移るのか

野沢氏は、これをきっかけに投資家が株から債券へ資金を移す動きが起きないかを気にしていた。村上氏は、起きるとすれば米国発だろうと答える。米国の特徴は、株のバリュエーションがここまで上がっても、5%の金利が並存していることだ。日本の感覚なら、預金金利が5%あれば株は持たないだろう。しかし米国では、5%の金利があっても株のアップサイドを見て投資する人がまだ多い。

資産配分が大きく変わるのは、経済全体が崩れて景気が後退局面に入ったときだと村上氏は説明する。そのとき株価は下がり、FRBは利下げに転じ、金利が下がって国債価格が上がる。問題はいまがその局面かどうかだが、村上氏は「まだ全然そこに至ってない」と見る。米国の金融市場でも、米国経済全体に悲観的な人は相当少ないという。現在の金利水準でもAIブームが続くなら経済成長は持続可能だ、というのが村上氏の考えである。FRBは利上げしすぎで米国経済はすぐ失速すると主張する人も少しずつ出てきているが、村上氏はその可能性は低いと考えている。

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現在の円安水準は「ほどほど」

話題は円安に移る。2021年ごろに100円台だったドル円は、現在158円前後、160円をうかがう水準になっている。YouTubeでも「円安は悪いのか」と題した動画が増えている。村上氏は2025年に、この問いを扱った本を出している。

村上氏は為替を米国中心に見ている。世界の金融市場の流れは米国で決まるからだ。米国経済が強く、FRBが利上げをしている。日本も株価は大きく上がり、金利も30年以上ぶりの水準になったという意味では米国に追いついてきている。それでも為替レートは日米の相対的な力関係、言い換えれば金利水準で決まる。そう考えると、150円台は「安すぎもしないし、高すぎもしない」ほどよい水準だと村上氏は評価した。

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物価高の原因は円安だけではない

野沢氏は、「株高不況」「円安貧乏」という言葉もあるように、株高の恩恵を消費者が実感できていないのではないかと反論を向けた。輸入物価の上昇で食品から燃料まで値上がりしており、やはり円安は悪いのではないか、という問いである。

村上氏は、通貨安を「貧しくなること」と直感的に結びつけてしまうのは理解できるとしつつ、為替は誰かが操作して決めるものではなく、日米の経済状況を反映して決まるものだと強調する。そのうえで、日本の物価上昇は欧米のインフレとは性格が違うと述べた。値上がりしているのはガソリンや食料品など身近なものだ。スーパーで2〜3割、物によっては倍近くになっているのは生活者にとって大変なことで、その感覚はよく分かっているという。

それでも村上氏は、価格上昇の出発点は円安ではないと説明する。2022年のロシアによるウクライナ攻撃で原材料価格が上がり、食料品の生産がうまくいかなくなり、天候不順も重なった。円安がなかったとしても、こうした価格上昇は避けられなかった。円安がその上昇を2〜3割ほど上乗せしているのは確かだが、円安だけが原因ではなく、根本的な問題でもないというのが村上氏の整理である。

では円高ならよかったのか。村上氏は、いまの日米の経済状況や金利水準のもとでドル円が110円や120円だったら、日本企業の業績はこれほど良くなく、株価もまったく上がっていなかったと見る。日本株が米国株のリターンについていけているのは「ほとんど円安のおかげ」であり、これは自分だけの意見ではなく、株式市場に参加するプロの投資家の共通認識だという。円安がなければ、今年7万円で盛り上がった日経平均は、おそらく3万円程度だっただろうと村上氏は推測した。為替は、経済全体や株式市場を含む全体のバランスで考えるべきだというのが村上氏の主張である。

17:00

「悪い円安」報道への批判

村上氏は、為替の水準だけを見て生活実感と結びつけ、「良くないことだ」とする議論について、メディアが円安を分かりやすい悪者に仕立てて報じているにすぎないと批判した。主婦や高齢者が主な視聴者の生活情報系のワイドショーが、スーパーの値上がりを取り上げるのは仕方ないと認める。問題視するのは、本来クオリティペーパーであるべき経済新聞までが、3年ほど前から「悪い円安」のキャンペーンを張ってきたことだという。

「通貨が安くなる=国が貧しくなる」「円安は日本の衰退の象徴だ」という議論は「全くロジカルじゃない」と村上氏は言う。ドル円がずっと100円や110円でよかったのかと問えば、株式市場に携わる人間なら「それでは日本経済は耐えられなかった」と答えるはずだ。こうした視点を欠いた報道に危機感を抱いたことが、昨年本を書いた理由だという。

19:50

円高がデフレを招いた歴史

村上氏は長期的な視点も示した。購買力平価で見れば、いまの円は相当割安だ。ただしそれは日本の弱さというより、米国の経済成長が強く金利も高いためにドル高になっている面が大きい。そしてそれは日本にとって追い風だという。

村上氏が振り返るのは1980年代までの日本経済である。日本が強かったのは、円がやや安めで推移し、日本企業が価格競争力を持って輸出を伸ばしたからだ。それが行き過ぎた面はあるものの、1985年のプラザ合意以降は反動が大きすぎ、円高が進みすぎた。1995年ごろにドル円が80円まで行ったことが「デフレの始まり」であり、「あれが全ての間違いだった」と村上氏は語る。そこからアベノミクスが始まるまで、円高とデフレが続いた。

だから村上氏は、円高すぎるのと円安すぎるのとどちらかと問われれば、円安すぎるほうが「実はお得」だと言う。海外旅行が割高で楽しめないのはその通りだが、1995年からおそらく2012年までの、日本の身の丈に合わない円高のほうが異常だった。いまは経済成長をやり直す局面であり、世界市場で勝つには価格競争力の点で通貨は安いほうがよい。日本は米国に追いつくために力を蓄えている途中で、円安の追い風を受けているからこそ企業がようやく復活してきている、というのが村上氏の見立てである。

23:08

実質賃金が上がらない本当の理由

野沢氏は、それでも賃金を通じた恩恵はまだ届いていないのではないかと尋ねた。村上氏はその点を認める。春闘の賃上げ率はここ2年ほど5%で、ボーナスを除く一般の給与はようやく2〜3%上がるようになった。しかし物価も2〜3%上がっているため、実質賃金は上がっていない。普通の人の生活水準が豊かにならないのは「しょうがない」状況だという。

ただし村上氏は、問題は円安ではなく、日本経済が米国のように成長していないことだと強調する。日本も米国のように実質2%成長は可能だと村上氏は考えている。しかしコロナ禍後の2021年のリバウンドを除けば、2022年以降の日本の成長率は0.5%程度にとどまる。これでは実質賃金は上がらない。円安の恩恵で企業部門と政府部門だけが儲かっているのが一番の問題であり、いまは企業が競争力を取り戻し、日本経済が実質1%成長に戻る過程にある。経済をよく理解している高市氏が首相になり、そういう時代になりつつある、と村上氏は見ている。

24:51

為替介入と高市政権のバランス

先月、日銀は利上げを行った。野沢氏は、日米金利差の縮小が円安是正を狙った動きにも見えると問いかけた。日銀の目標は物価だけで、賃金は目標にしていない。高市氏周辺からデュアルマンデート的な考えが出ているとの話題には、村上氏は高市氏本人は厳密にはそう言っておらず、ブレーンがそう考えている可能性はあると補足した。

村上氏は、高市政権がこの1年で為替介入を行ったことについて、バランスを取った結果だと読む。高市氏を含め、政権の基本的な考えは円安について村上氏と同じだろうとしつつ、円安すぎることで大きなデメリットを受ける人の声は大きくなる。160円という水準は日本経済には追い風でも、悪影響を受ける人の割合や声が大きくなりすぎると政権は考えたのではないか、というのが村上氏の推測だ。

さらに村上氏は財政面の事情も挙げる。高市政権は「責任ある積極財政」を掲げ、食料品の消費税減税とその財源が課題になっている。為替介入で米国債を売れば円ベースで大きな利益が入るため、それを使いたいという思いもあっただろうと村上氏は見る。介入自体は必要なかったと考えているが、政府としては150円でも十分円安なので、その水準で経済回復を進めようとしているのだろうと理解を示した。

村上氏は、いまの日米関係のもとでは150円程度が適正だとする。ただし円安がずっと続くと言っているわけではない。日本が米国並みに成長し、金利水準が米国に近づけば、いまの安すぎる水準は自然に修正され、円高方向に向かうという。

28:27

「為替のための利上げ」への懸念

村上氏が心配しているのは、「日銀が利上げすればいい」という議論である。ベッセント氏の発言をめぐっては、日本の政策がけしからん、日銀は利上げしろと言ったかのように伝えられた。しかし村上氏によれば、本人はそこまで言っておらず、オールドメディアが切り取って伝えたものだという。

利上げをすれば一時的に円安が止まり、円高になるかもしれない。しかし問題は、その利上げや円高に日本経済が耐えられるかどうかだ。日銀の利上げペースはゆっくりだと言われるが、すでに政策金利を1.2%まで上げており、村上氏は「早すぎる」と考えている。為替を動かすために利上げする中央銀行はなく、経済学的にも許容されない。植田総裁もそれは分かっているはずだという。

金融政策の目的は2%インフレの安定であり、そのためには供給力に見合った需要の伸びを伴う十分な経済成長が必要だ。村上氏は日本の成長率は最低でも1.5%は必要だと考えている。そこに達していない中での利上げは時期尚早ではないか、というのが村上氏の個人的な見方である。米国が2%成長しているのは個人消費が2%以上伸びているからで、日本では個人消費が増えておらず、今年に入ってブレーキもかかっている。日本がそうした状況に近づけば利上げに問題はないが、いまはそうではないという。

野沢氏が、高市政権下で就任したリフレ派の佐藤審議委員が10月利上げを容認したと受け止めたと話すと、村上氏はそれを否定した。佐藤氏の発言は「方向は利上げ、ペースはその時々で考える」というニュアンスであり、ヘッドラインの切り取り方の問題だという。村上氏自身も、2〜3年後には日銀は利上げしているだろうと考えている。1%台の金利は低すぎ、日本経済が復活して2%インフレで安定すれば、2%程度の金利もあり得る。ただしそれは成長を見定めてから行うのが通常の金融政策であり、為替安定のために利上げするというロジックは危ういと村上氏は述べた。

メディアについては、高市政権を批判する記事ばかりに見えると指摘した。ジャーナリストは幅広い意見を紹介し、それぞれの発言の意図を正確に伝えるべきで、都合のよい部分だけをヘッドラインで強調するのはよくないと批判した。

34:28

「ビハインド・ザ・カーブ」という言葉

野沢氏が国内で多用される「ビハインド・ザ・カーブ」という言葉を挙げると、村上氏は、定義が明確でないまま、格好いいから使われているだけではないかと切り捨てた。日銀の利上げがゆっくりだったのは確かだが、「遅すぎる」というのは思い込みだという。ファンダメンタルズを見る立場からすれば、むしろ今年の、特に9月の利上げは早すぎるように見える。自分が間違っている可能性もあると断りつつ、そう述べた。

債券市場の参加者も、ファンダメンタルズを見ずに国債金利の動きだけで語っていることが多いという。仮に利上げを急いだ結果、長期金利がこれ以上上がらず下がっていくなら、ビハインド・ザ・カーブとは逆の、引き締めすぎをしている可能性も十分ある。ふわっとしたフレーズで日銀に利上げ圧力をかけたい人がオールドメディア中心に多いが、それは円安が悪いという思い込みから来ているのではないか、と村上氏は見る。そうした論者の多くは、実際にポジションを取って勝負しているわけではないとも付け加えた。

37:41

村上氏が描く最悪のシナリオ

日本経済の最悪のシナリオを問われると、村上氏は、何らかのアクシデントで高市政権が交代し、プライマリーバランス黒字化を最優先する前の政権の政策に戻ることだと答えた。そうなれば日本はデフレに戻ってしまう、と村上氏は考えている。

村上氏はアベノミクスを「大成功」とは見ていない。効いたのは金融政策だけで、財政政策は消費増税を2回行い逆効果だった。それでも金融政策だけで株価水準は変わり、失業率は2%台になり、多くの人が恩恵を受けた。その後、岸田政権・石破政権で逆回転し、高市氏がそれを元に戻している。それを気に入らず、また元に戻そうとする人が日本にはなぜか多いと村上氏は語り、「深い闇を感じる」とも述べた。一方で、安倍政権が長期政権になったのは経済政策がうまくいったからであり、それは自民党内でも共有された経験なので、普通に考えれば間違えることはないだろうと見ている。

40:14

消費税減税後のシナリオと円高の条件

来年4月からは、2年間限定で食料品の消費税減税が予定されている。効かないと言う人もいるが、村上氏は「効きますよ」と答えた。実質ベースで消費が1%程度増え、実質賃金も1%近い水準で安定し、少しは豊かになったと感じられるようになるだろうという。経済成長率が1%程度に高まれば、日銀は政策金利を2%程度まで上げていく。そうなればドル円が150円台ということはおそらくなく、「わかんないですけど」と断ったうえで、130円や140円に戻る方向ではないかと述べた。

だからこそ、いまの円安が嫌だと思うなら、まず経済成長を徹底する政策を支援すべきだというのが村上氏の主張である。円だけを先に円高に持っていけば、成長を邪魔してしまう。国力がつき、企業が力をつけ、供給力が増えた結果としての円高が最善だ。そうなれば海外旅行もいまほど割高ではなくなり、実質賃金も少なくとも1%上がっている世界になる、と村上氏は描いた。

42:28

目の前の相場とどう向き合うか

最後に相場との付き合い方を問われると、村上氏は、いまの株式ブームは米国発のAIブームであり、その見極めが重要だと答えた。そこは専門家の間でも議論が分かれ、日本というより米国のAI関連ニュースをつぶさに見ていくしかないという。

村上氏個人の考えでは、このブームは10年や20年に1度ほどの歴史的なインパクトを持つ。1990年代後半のITブームとさまざまな点で似ており、いまどの位置にいるかを日々考えている。村上氏の判断では、まだブームの中で「踊れる局面」だという。ドットコムバブルが崩壊した2000年のようなことが来年すぐ起こる可能性は低いと見ているが、それはあくまで自分の予想であり、リスクを取っている投資家はそこをしっかり見ていく必要があると付け加えた。

コアウィーブのような社債の動きは注視すべきだが、それがドミノ倒しになるとは考えていない。村上氏は、日々の値動きに振り回されないことが重要だと強調する。この日のような下げは夏以降何度も繰り返されてきた。日経平均は年初からすでに3〜4割上がっており、そこからさらに3〜4割上がるのは普通ではない。7万円台を維持できるはずがなく、この日の6万5000円前後から年末に6万円を割っても、まったくおかしくないという。年初の5万円から2割上がれば6万円であり、それで「全然オッケー」だというのが村上氏の見方だ。韓国株のように大きく動く市場と同様に、日経平均ももはや指数というより個別株、つまりIT・AIブームのバロメーターのようになっている。だから日経平均の上下に振り回されすぎないほうがよい、と村上氏は締めくくった。