基準を下げて人を埋めるか、人材密度を守るか:ハン・ギヨンが答えたリーダーの採用の悩み3つ
EO Korea翻訳元 한국어
「ハン・ギヨンの羅針盤」の今回のエピソードは、リーダーにとって最も重要な仕事として採用を取り上げる。ハン・ギヨンは自身の経験を根拠に挙げる。人材採用を誤るとできることはあまりなく、逆に採用がうまくいけば思った以上に多くのことを成し遂げられたというのだ。だからこそ彼は採用をチームビルディングの中心に置く。エピソードは、新米リーダーたちから寄せられた3つの相談に答える形で進む。人手不足で採用基準を下げるべきか悩む創業者、自分より優秀な経験者の応募者が怖い新米チームリーダー、期待値の高い新人をどうオンボーディングすべきか悩むチームリーダーの相談だ。
1つ目の相談:「お願いだから誰でもいいので採ってください」
ニックネーム「ファウンダーモード」から寄せられた相談のタイトルは「採用、もう妥協すべきでしょうか?」だ。相談者は10人規模のスタートアップを経営している。仕事は山積みなのに人がおらず、既存のメンバーがその重荷をすべて背負っており、オフィスの雰囲気は「氷河期そのもの」だと表現した。耐えかねたメンバーたちは、いま必要なのは天才ではなくそこそこの人だとして、誰でもいいから採ってほしいと懇願している。相談者は正直なところ揺れていると打ち明ける。初期メンバーが築いてきた高い基準を崩せば会社のカラーが薄れるのではないかと怖いが、人材を待つことが見る目だと信じていたのが、実は自分の意地であり、そのせいでメンバーが犠牲になっているのではないかと問う。
ハン・ギヨンは、この質問はスタートアップの創業者から非常によく寄せられる質問だと語る。いまは仕事が多すぎるから、一人でも多く採れば仕事が減るのではないか、採用の基準を少し下げても構わないのではないか、という悩みだ。
基準を下げるなら、まず成熟したチームで試してみる
ハン・ギヨンの最初の提案は、ある程度実験してから判断せよというものだ。複数のチームのうち人材密度が十分で成熟したチームを選び、そのチームで基準を少し下げて一人を採用してみるよう勧める。その結果何が起きるかを確かめ、そこで学んだことをもとに他のチームへ広げていこうというのだ。人材密度が高く成熟したチームであれば、賢くてコーチング可能なジュニアを採用しても十分に成長させられる可能性があると彼は見ている。
彼が付け加えたもう一つのポイントは、誤った採用で一度苦労してみるべきだということだ。そうして経験してみれば確実にわかるようになり、それ以降は採用の基準がぐっと上がると彼は言う。
増員の要望は感情ではなく根拠で判断すべき
ハン・ギヨンは、チームから人が必要だという話が出たとき、それをあまりに感情的に受け止めて採用してはいけないと警告する。彼によれば、人はいつも「もっと必要だ」と言うものだ。だからこそ基準が明確でなければならないと強調する。「こういう仕事をする人を採用すれば、我々の指標がこう変わる」という根拠が必要だというのだ。「私たちが毎日遅くまで残っているのが見えないんですか?」といった理由で採用を始めると、人を採り続けなければならなくなると彼は言う。
彼は、投資対効果、つまりROIの高くない仕事をするために人を採用するケースもあると指摘する。そうした場合は、人を採用する代わりにその仕事をしないことが正解かもしれない、というのが彼の見解だ。
人材密度が下がるとコミュニケーションコストが上がる
ハン・ギヨンは、この相談の核心を人材密度で説明する。人材をどう定義するかによって異なるが、彼の観点では、人材とは姿勢と能力の両方を備えた人だ。姿勢の良い人は説得にかかるコストが少ない。彼は、スタートアップは基本的に毎日方向が変わる組織だと言う。方向が変わるたびにリーダーが一人ひとりのもとへ出向いて説得しなければならないとしたら、当然スピードは落ちる。
彼は、人材密度が下がるような形で採用すると、組織がどんどん専門分化していくと説明する。そうして入ってきた人たちは、非常に明確に定義された小さな単位の仕事をしようとするが、会社の方向が変わるとその仕事が不要になるケースが生じる。彼の観察によれば、一つの仕事に執着する人ほど平均的に人材密度が低く、変化を恐れることも多い。そうしているうちに意図せず人数が増え、彼が「最も恐ろしいコスト」と呼ぶコミュニケーションコストが上がっていく。ハン・ギヨンは、スタートアップの成長痛のほとんどは、このコミュニケーションコストが上がることで生じると語る。
2つ目の相談:優秀な経験者の応募者が怖い新米チームリーダー
2つ目の相談は「優秀な経験者の採用が怖いです」というタイトルだ。チームを任されて間もない新米チームリーダーである相談者は、面接官の席に座っている自分が恥ずかしいという。自分が憧れていた会社出身で経験豊富な応募者が来ると、質問をしながらも手に汗がにじむ。あとで自分の言うことを聞かなかったらどうしよう、メンバーが自分よりあの人を信頼したらどうしよう、という考えが頭を支配する。そのため、多少物足りなくても管理しやすく従順な人のほうへ、つい気持ちが傾いてしまうと告白する。自分より優れた人たちでチームを作るのがリーダーの器だというが、自分の器は醤油皿ほどしかないのかと問う。
ハン・ギヨンがまず思い浮かべたのは、相談者がインポスター症候群に陥っているかもしれないという点だ。自分は運が良くてこの席に座っているだけで、面接に来る人たちは自分よりはるかに優秀だ、という考えに陥りやすいというのだ。
第一印象や表面的な経歴に振り回されない
ハン・ギヨンは、人は一緒に過ごしてみるまではわからないとして、第一印象に左右されないよう強調する。履歴書を見て良さそうだと感じたり、第一印象が気に入って判断したりすると、力不足の人、あるいはチームに合わない人を採用する確率がぐっと上がるという。また、外見的なものばかり見ていると、本当にチームに必要な人材を逃してしまうこともあると付け加える。
彼が語る良い採用の基本は、人をあまりに早く判断せず、面接の時間中は質問することに集中することだ。そのうえで、この人がいまの自社のステージに本当に必要な人なのかを判断すべきだという。職歴や学歴といった外形だけを見て採用すると、採用を誤る確率がはるかに高くなる、というのが彼の主張だ。
能力と姿勢を同時に見よ
面接の結果、本当に自分より優秀な人だと判断したとき、ハン・ギヨンは2つのことを同時に見るよう言う。一つは、その人の技術的な経験と能力がいまの自分たちに必要かどうか、もう一つは、前向きな姿勢を持ち、変化しようとする意志があるかどうかだ。彼は、いまのように急速に変化する世の中では、変化を恐れたりネガティブだったりする人がコミュニケーションコストを押し上げるという悪影響を及ぼすと見ている。だから、能力がいくら優れていても姿勢が伴わなければあまり役に立たないというのだ。短い面接時間の中で判断するのは簡単ではないが、どんな能力とどんな姿勢を持った人なのかをしっかり見極めようと努めるべきだと彼は助言する。
恐れに対する彼の答えはシンプルだ。リーダーが楽になり組織が成長するためには、結局は人材密度が上がる方向で採用しなければならず、当然、自分より賢い人が入ってきてこそ自分の仕事が楽になるというのだ。その人が自分のポジションを奪うかどうかは後で考えればいいと彼は言う。何よりも、一緒にチームの能力を高め、パイを大きくする仕事をすべきだというのだ。
3つ目の相談:期待値の高い新人が失望して辞めてしまわないか心配なとき
ニックネーム「リトルムーン」から寄せられた「天才を引き留める方法」という相談は、スタートアップのチームリーダーの悩みだ。今回採用した新人は、一つ質問を投げかけるだけで本質を見抜き、姿勢まで完璧だ。問題は、この新人に与える最初の業務だ。現実的には、新人は基礎的な業務から学びながらチームのスピードに合わせなければならないが、その業務が新人の能力に比べてあまりに些細で退屈だ。相談者は、新人が「たかがこんなことをするためにここに来たのか」と失望し、1か月で辞めてしまうのではないかと心配している。期待値の高い新人が初日から失望しないようにするための、現実的なオンボーディングの方法を尋ねている。
ハン・ギヨンはまず、これは贅沢な悩みであり、運が良いと前向きに考えるよう言う。そのうえで、相談者が新人の期待値は高いだろうと自分で仮定している点を指摘する。新人が実際にどう考えているかは、まったく逆かもしれないというのだ。自己肯定感が低いかもしれないし、自分の能力がどの程度なのかまったくわかっていないかもしれない。だから自分なら、こうした心配をする前にメンバーとたくさん話をしてみるという。このメンバーが持っている期待は何か、キャリアで何を成し遂げたいのかを知るようにせよというのだ。
オンボーディングの核心:最初の90日で小さな成功を一つ
ハン・ギヨンは、能力に関係なく最も重要なのは最初のボタンをきちんと掛けること、つまりオンボーディングだと語る。彼は採用の頂点は良いオンボーディングによって完成すると考えており、オンボーディングを「最初の90日間で小さな成功を一つ収めさせること」と定義する。そうすることで本人は効力感と自信を得て、周囲の人たちもこの人は仕事をやり遂げる人だという印象を持つというのだ。
彼は、最初からあまりに難しい仕事を与えて新人を苦しめる理由はまったくないと言う。自分なら、どんな業務であれ、新人ができるだけ早くやり遂げて自信を得て、周囲から認められるような形で進めるという。そのうえで対話を続けていき、本当に期待どおり優秀であれば、より挑戦的な業務を与えればいい。ただし彼は、人の性格によっては、能力があるからといって常に挑戦的な仕事を望むわけではないと付け加える。それは本当にわからないことなので、対話を通じてその人の性格に合わせて挑戦の大きさを少しずつ広げていく必要があるかもしれないと言う。
シニアほどオンボーディングが重要な理由
ハン・ギヨンは、オンボーディングはシニアであるほど重要になると主張する。シニアには周囲の期待がより高く、入社後により早く、より大きな成果を示さなければならない。ところがオンボーディングがうまくいかないと、会社の仕組みに溶け込むまでに長い時間がかかる。
彼は、このとき文脈を十分に提供し、適切な挑戦を与えなければ、見当違いな仕事をするシニアがはるかに多いと語る。本人はすでに多くを知っていると思い込んでいるため、この仕事をなぜやるべきなのか、どこまでやるべきなのかを確認せず、前の会社でやっていたやり方で仕事をするというのだ。彼の経験上、あとになって見ると本当に不要な仕事をしている人が多いという。
昇進やマネージャーの交代もオンボーディングだ
ハン・ギヨンは、オンボーディングを新しい会社に転職する場合だけに限定しない。昇進したとき、新しいレベルで最初の3か月間にどう振る舞うかが、そのレベルで認められるかどうかを決めると彼は言う。同様に、上のマネージャーが替わることも、ほとんど転職したのと同じだと見ている。だから、オンボーディングは転職のときだけ重要なのではない、というのが彼の結論だ。
結論:自分の保身を守る管理者か、チームの成長に責任を持つリーダーか
ハン・ギヨンは、今回のエピソードを貫く核心を一つにまとめる。リーダーとは自分の能力を証明する人ではなく、自分より優れた人たちを集め、彼らが思う存分走り回れるグラウンドをつくる人だというのだ。目の前の仕事に追われて基準を下げたくなったとき、自分より賢い人の前で萎縮してしまうときには、そのたびに「自分は自分の保身を守る管理者なのか、チームの成長に責任を持つリーダーなのか」を自らに問いかけてみるよう彼は勧める。彼にとって採用とは、この問いに答える最も正直なプロセスだ。
彼は、キャリアを歩み始めたばかりの人たちにも一言を残す。会社を選ぶとき、そこで何をするかも重要だが、誰からフィードバックを受けて成長できるかもぜひ確認してみてほしい、ということだ。
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