人型ロボット「Phantom MK-1」の迫撃砲デモと米軍のヒューマノイド計画
USA Military Channel 2迫撃砲弾を掴んで運ぶ、全身を黒い外装で覆った人影がある。米国のロボット企業Foundationが開発する人型ロボット「Phantom MK-1(ファントム・マーク1)」だ。動画によれば、同社は2026年5月、このロボットが迫撃砲を発射するデモを行った。見た目は映画のロボット兵そのものだが、Foundationはこれを単なるデモ用として作っているわけではない。動画は、なぜ戦場向けのロボットを人型にするのか、Phantomはどこまで実用に近づいているのか、そして米陸軍が人型ロボットに何を求めているのかを解説している。
防衛用途を掲げる量産型ヒューマノイド
動画によると、Foundationは開発方針として、防衛分野でも使える人型ロボットを開発すると宣言しており、米国防総省との協力も掲げている。Phantomは同社が初の量産型ヒューマノイドと位置づけるロボットである。
紹介された仕様は、身長180cm、体重80kg。全身で29の動きを個別に制御でき、腕や脚を複雑に動かせる。移動速度は秒速1.7mだという。
Foundationの設立は2024年5月で、脚を備えたPhantomが最初の一歩を踏み出したのは2025年3月だった。その後、歩行だけでなく、物を掴む、運ぶ、持ち上げるといった動作へと開発を広げている。さらに頭脳となるAIの開発も進めており、Phantomの認識・学習・自律動作につなげるため、実世界で物がどう動くかを予測するAIを目指しているという。
なぜ人型なのか
戦場で使うロボットをわざわざ人間と同じ形にする理由について、動画は「理由はロボット側ではなく私たちの周りにある」と説明する。階段、ドア、車両、工具、荷物など、人間が活動する場所は人間の体に合わせて作られている。Foundationも「世界は人間のために作られている」という考えから、人間の環境に機械の側を合わせる方針を示している。
同じ点は米空軍も指摘しているという。動画によれば、米空軍は2024年、人型ロボットの活用について、ロボットに合わせて施設や作業工程を変えると費用や手間が増えると指摘し、人間向けに作られた環境をそのまま使えることが人型ロボットの大きな利点だと考えている。しゃがんで床の物を拾う、両腕で荷物を持つ、体を傾けてバランスを取るといった人間と同じ動きによって、既存の作業環境をそのまま利用できる可能性がある。
Phantomの迫撃砲デモは、この利点を分かりやすく示すものだと動画は位置づける。人型であれば、ロボット専用の装備を用意せずに人間用の兵器や工具をそのまま使えるためだ。
デモで示されたことと、示されていないこと
ただし動画は、この映像でPhantomが自ら標的を選んで攻撃しているわけではないと注意を促している。現在のデモで確認できるのは、迫撃砲弾を装填する動作までだという。
そもそも自律型兵器には、誤認や誤作動をどう防ぐか、攻撃の判断をどこまでAIに任せるのかという大きな課題がある。米国防総省も自律型兵器について、人間が適切に判断できる仕組みや十分な試験を求めていると動画は紹介している。
戦場ロボットの現状とウクライナでのテスト
一方で、戦場でのロボット利用そのものはすでに進んでいる。動画では、中国で銃を搭載した四足歩行ロボットが演習に登場したこと、ウクライナでは機関銃を載せた地上ロボットが実戦運用されていることが紹介された。ただし、人型ロボットが武器を使って実際に敵と戦った事例はまだ確認されていないという。
動画はPhantom MK-1を「まさにその一歩手前を目指している存在」と表現する。実際、2026年2月には2体がウクライナへ送られ、前線での偵察支援などがテストされている。開発はすでに実際の戦場環境へと進んでいる、というのが動画の見立てだ。
米陸軍の公式コンペ「xTechHumanoid」
米陸軍も人型ロボットの軍事利用に向けて動き始めている。現在進めているのが「xTechHumanoid」という公式コンペで、目的は民間で進歩する人型ロボット技術を、兵士とともに行動できる「軍事化されたヒューマノイド」へ発展させることだ。動画によれば、9月時点で10チームがファイナリストとして残っており、米陸軍と国防総省の専門家による最終実験が行われる計画だという。
なお、Phantom MK-1はxTechHumanoidとは別のプロジェクトで、Foundationは現在のファイナリストには入っていない。ただしFoundationは米軍と無関係ではなく、米陸軍や空軍などと、人型ロボットを補給や整備に活用する研究開発を進めている。同社の米軍関係の政府契約は合わせて7,300万ドル規模とされる。現在は偵察や補給などが中心だが、Foundationは武器を扱う戦闘用途の開発も進めていると動画は伝えている。
米陸軍が人型ロボットに求める能力
米陸軍が人型ロボットに想定している任務は、警備、偵察、危険物への対応、補給や整備などである。さらに将来は、人間の部隊と一緒に行動し、攻撃や防御といった戦闘任務に使うことも想定している。そのため、音声命令の理解、脅威の認識、情報共有に加え、5.56mm弾への防護なども目標に含まれているという。
動画はここでも、これらは現時点ですべて実現している性能ではなく、米陸軍が将来の軍事用ヒューマノイドに求めている能力だと断っている。
結び:ロボット兵器の新しい姿
現時点でPhantom MK-1が米軍に正式採用されたわけではない。しかし一方では民間企業が人型ロボットに迫撃砲を扱わせ、ウクライナでのテストを公表し、他方では米陸軍自身が「軍事化ヒューマノイド」の名で、偵察や警備だけでなく戦闘環境を想定した要求まで公開している。
これまで戦場のロボットといえば、ドローンや無人車両、歩行ロボットが中心だった。動画は、そこに新たな姿のロボットが加わろうとしているとし、次に兵士とともに戦う機械は、もしかすると兵士と同じ姿をしているのかもしれない、と締めくくっている。
迫撃砲弾を掴み、砲口へ運ぶ人影。これは全身を黒い外装で覆われた人型ロボットです。名前はファントム・マーク1。
2026年5月、ロボット企業ファウンデーションは、このロボットが迫撃砲を発射するデモを行いました。
一見すると映画に出てくるロボット兵そのもの。しかしファウンデーションは、これを単なるデモ用のロボットとして作っているわけではありません。同社は開発方針において、防衛分野でも使用できる人型ロボットを開発すると宣言しており、アメリカ国防総省との協力も掲げています。
ファントムは、ファウンデーションが開発した初の量産型ヒューマノイドと位置づけるロボットです。身長は180cm、体重80kg。全身で29の動きを個別に制御でき、腕や足を複雑に動かすことができます。移動速度は秒速1.7mです。
ファウンデーションが設立されたのは2024年5月。足を備えたファントムが最初の一歩を踏み出したのは2025年3月でした。その後は歩くだけではなく、物を掴む、運ぶ、持ち上げるといった動作へと開発を広げています。
さらに頭脳となるAIも開発しています。ファントムの認識や学習、自律動作につなげるため、実世界で物がどう動くのかを予測するAIを目指しています。
では、なぜ戦場で使うロボットをわざわざ人間と同じ形にするのでしょうか? 理由はロボット側ではなく、私たちの周りにあります。建物の階段、ドア、車両、工具、荷物。人間が活動する場所は、人間の体に合わせて作られています。
ファウンデーションも、世界は人間のために作られているという考えで、人間の環境に機械側を合わせる方針を示しています。そして同じ問題をアメリカ空軍も指摘しています。
アメリカ空軍は2024年、人型ロボットの活用について、ロボットに合わせて施設や作業工程を変えると費用や手間が増えると指摘しています。そのため、人間向けに作られた環境をそのまま使えることが、人型ロボットの大きな利点だと考えています。
人型なら、しゃがんで床のものを拾う。両腕を使って荷物を持つ。体を傾けてバランスを取る。こうした人間と同じ動きによって、既存の作業環境をそのまま利用できる可能性があります。
ファントムの迫撃砲デモは、その利点を分かりやすく示しています。人型ならロボット専用の装備を用意せず、人間用の兵器や工具をそのまま使えるためです。
ただし、この映像ではファントムが自分で標的を選び、攻撃しているわけではありません。現在のデモで確認できるのは、迫撃砲弾を装填する動作までです。
そもそも自律型の兵器には、誤認や誤作動をどう防ぐか、攻撃の判断をどこまでAIに任せるのかという大きな課題があります。アメリカ国防総省も、自律型兵器には人間が適切に判断できる仕組みや十分な試験を求めています。
一方、戦場でのロボット利用そのものは、すでに進んでいます。中国では銃を搭載した四足歩行ロボットが演習に登場し、ウクライナでは機関銃を載せた地上ロボットが実戦運用されています。ただ、人型ロボットが武器を使って実際に敵と戦った事例は、まだ確認されていません。
ファントム・マーク1は、まさにその一歩手前を目指している存在と言えます。実際、2026年2月には2体がウクライナへ送られ、前線での偵察支援などがテストされています。開発はすでに実際の戦場環境へと進んでいます。
また、アメリカ陸軍も人型ロボットの軍事利用に向けて動き始めています。現在進めているのが、xTechHumanoidという公式コンペです。
目的は、民間で進歩する人型ロボット技術を、兵士と共に行動できる軍事化されたヒューマノイドへ発展させることです。9月現在、10チームがファイナリストとして残り、アメリカ陸軍と国防総省の専門家による最終実験が行われる計画です。
なお、ファントム・マーク1はxTechHumanoidとは別のプロジェクトで、ファウンデーションは現在のファイナリストには入っていません。
ただ、ファウンデーションは米軍と無関係というわけではなく、アメリカ陸軍や空軍などと、人型ロボットを補給や整備に活用する研究開発を進めています。同社の米軍関係の政府契約は、合わせて7300万ドル規模とされています。
現在は偵察や補給などが中心ですが、ファウンデーションはさらに武器を扱う戦闘用途の開発も進めています。
アメリカ陸軍が人型ロボットに想定しているのは、警備や偵察、危険物への対応、補給や整備などです。さらに将来は人間の部隊と一緒に行動し、攻撃や防御といった戦闘任務に使うことも想定しています。
そのため、音声命令の理解や脅威の認識、情報共有に加え、5.56mm弾への防護なども目標に含まれています。ただし、これらは現在すべて実現している性能ではなく、アメリカ陸軍が将来の軍事用ヒューマノイドに求めている能力です。
現時点でファントム・マーク1が米軍に正式採用されたわけではありません。しかし、民間企業が人型ロボットに迫撃砲を扱わせ、ウクライナでのテストを公表。もう一方では、アメリカ陸軍自身が軍事化ヒューマノイドという名前で、偵察や警備だけでなく、戦闘環境を想定した要求まで公開しています。
これまで戦場のロボットといえば、ドローンや無人車両、歩行ロボットが中心でした。そこに今、新たな姿のロボットが加わろうとしています。次に兵士と共に戦う機械は、もしかすると彼らと同じ姿をしているのかもしれません。
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