輸送機C-2から生まれた電子戦機XEC-2:EC-1とYS-11EAの後継と「スタンド・オフ」妨害
USA Military Channel 2航空自衛隊の輸送機C-2をベースにした、独特な形の機体がある。人や物資は運ばず、相手が使う電波を狙う。航空自衛隊が開発を進めているスタンド・オフ電子戦機XEC-2である。動画は、なぜ日本がこれほど大きな電子戦機を必要としているのかを問い、前任の2機種、機体の選定理由、妨害能力、開発状況を順に解説している。
前任機その1:「カモノハシ」と呼ばれたEC-1
XEC-2より前には、EC-1とYS-11EAの2機種が使われてきた。動画によると、両機は役割の異なる電子戦機として長く並行して運用されてきた。
EC-1は国産輸送機C-1を改造した機体だ。機首や機体後部にアンテナ用の大きな構造を追加しており、その独特な姿から「カモノハシ」と呼ばれることもあった。レーダーなどを妨害する電波妨害装置を搭載している。
ただし動画は、EC-1の主な目的は実戦で敵を妨害することではなく、味方の訓練支援だったと説明する。EC-1が敵役として妨害電波を出し、地上のレーダー部隊などが妨害を受けた状態でも正常に任務を続けられるかを訓練する。つまり電子戦訓練で敵の妨害役を担う機体である。1986年に部隊での運用が始まり、装置の能力向上を重ねながら、およそ40年間使われた。
前任機その2:YS-11EAと、名前の似たYS-11EB
もう1機種のYS-11EAは、国産機YS-11を改造した電子戦支援機で、通信妨害装置を搭載し、電子戦訓練などに使用された。部隊での使用開始は1993年で、約30年運用された。動画によれば、EC-1とともに老朽化が進み、2024年度に運用を終えた。
動画は補足として、よく似た名前のYS-11EBにも触れている。こちらは周囲の電波を収集・分析する電波情報収集機で、EAとは役割がまったく異なる。YS-11EBの後継はXEC-2ではなく、同じくC-2をベースに開発されたRC-2である。
2機の統合にとどまらない理由:データリンクの存在
動画は、XEC-2をEC-1とYS-11EAが担ってきた電子妨害の能力を新しい1機種にまとめ、さらに発展させた機体と位置づける。ただし単に2機の能力を1つにしただけではなく、電子戦を取り巻く環境そのものが大きく変わったと述べる。
現代の航空戦では、レーダーや無線通信だけでなく、戦闘機や早期警戒機、地上部隊などがデータリンクで大量の情報を共有している。ある航空機が見つけた目標を別の航空機がすぐに知ることができ、そうしたネットワークが現代の航空作戦を支えている。そこでXEC-2では、新たにデータリンクも妨害対象に加える。
なぜC-2なのか
母機に選ばれたのは、C-1よりはるかに大型の輸送機C-2である。C-2を開発・製造したのは川崎重工業で、スタンド・オフ電子戦機についても機体改修や試作、現在の性能確認試験などに関する契約を同社が担っていると動画は伝える。
C-2を選んだ大きな理由の一つとして挙げられているのは、大型の電子戦装置を搭載できる機内スペースと電力などを確保できることだ。XEC-2の全長、全幅、全高、最大速度はC-2輸送機とほぼ同等とされている。
「スタンド・オフ」の意味と段階的な能力
従来機との大きな違いが「スタンド・オフ」である。XEC-2は相手の防空網のすぐ近くまで入って妨害するのではなく、脅威圏外から強力な電波妨害を行うことを目的としている。
現在の第1段階の開発では、データリンク妨害と音声通信妨害という2つの妨害能力が予定されている。妨害だけでなく、対象となる電波を収集する機能も開発中だという。
XEC-2はこれで完成ではない。第1段階の開発を終えた後、レーダー妨害能力を追加する計画が示されている。通信、データリンク、レーダーという、相手が航空作戦に使う複数の電波を脅威圏外から妨害する航空機へ発展させていく計画である。
開発状況と今後の計画
動画によると、開発はすでに実機を使う段階に入っている。2026年6月、航空自衛隊初のスタンド・オフ電子戦機が岐阜基地の飛行開発実験団に配備された。ただしこれは実戦部隊への本格配備ではなく、新しい機体や装備の試験・評価を進める段階だと動画は強調する。
防衛装備庁の最新の計画では、開発はおおむね計画通りに進んでおり、2027年度から運用を開始する予定とされる。計画上、最低限必要な機数として4機が想定されている。
試験が始まったばかりの機体
動画は最後に、XEC-2はまだ試験が始まったばかりの機体であり、戦闘機のように前線で目立つ存在ではないと述べる。それでも、相手の情報共有を乱し、味方が動きやすい環境を作る電子戦機は、これからの航空作戦でますます重要になっていくという見方を示す。C-2から生まれたこの異形の電子戦機が日本の電子戦をどこまで変えるのかという問いを残し、XEC-2が今後の航空自衛隊の新しい電子戦能力を担っていくと締めくくっている。
レキリスレ
この変わった形をした航空機。ベースになっているのは航空自衛隊の輸送機C-2です。しかしこの機体の仕事は人や物資を運ぶことではありません。相手が使う電波を狙います。
離れた場所から電波による妨害を行う、航空自衛隊が開発を進めているスタンドオフ電子戦機XEC-2です。相手の脅威圏に深く入り込まず、離れた空域から通信やデータリンクを妨害する。そして将来はレーダーまで妨害対象に加える計画です。なぜ日本はこれほど大きな電子戦機を必要としているのでしょうか?
まずXEC-2より前に使われてきた2種類の航空機を紹介します。EC-1とYS-11EAです。この2機は役割の異なる電子戦機として長い期間並行して使用されてきました。
まずEC-1。ベースは国産輸送機C-1です。C-1を改造し、機首や機体後部に大きなアンテナ用の構造を追加。この独特な姿からカモノハシと呼ばれることもありました。EC-1にはレーダーなどを妨害するための電波妨害装置が搭載されています。ただし主な目的は実戦で敵を妨害することではなく、味方の訓練を支援することでした。
EC-1が敵役となって妨害電波を出し、地上のレーダー部隊などが妨害を受けた状態でも正常に任務を続けられるかを訓練します。つまり電子戦の訓練で敵の妨害役を担当する航空機です。EC-1は1986年に部隊での運用が始まり、その後も装置の能力向上が行われ、およそ40年間にわたって使用されました。
そしてもう1つがYS-11EAです。こちらは国産機YS-11を改造した電子支援機で、通信妨害装置が搭載され、電子戦訓練などに使用されました。1993年に部隊での使用が始まっています。その後YS-11EAは約30年にわたって運用されましたが、EC-1と共に老朽化が進み、2024年度に運用を終了しました。
ちなみにYS-11にはもう1つ、よく似た名前のYS-11EBというものがあります。こちらは周囲の電波を収集、分析する電波情報収集機です。EAとは役割が全く異なり、YS-11EBの後継はXEC-2ではなく、同じC-2をベースに開発されたRC-2です。
EC-1とYS-11EA。この2機が担ってきた電子妨害の能力を新しい1機種にまとめ、さらに発展させたのが新しいスタンドオフ電子戦機XEC-2です。ただし2機の能力をそのまま1つにしただけではありません。電子戦を取り巻く環境そのものが大きく変わっています。
現代の航空戦ではレーダーや無線通信だけではありません。戦闘機や早期警戒機、地上の部隊などがデータリンクを使って大量の情報を共有します。ある航空機が見つけた目標を別の航空機がすぐに知ることができる。そうしたネットワークが現代の航空作戦を支えています。そこでXEC-2では新たにデータリンクも妨害対象に加えます。
母機に選ばれたのはC-1よりはるかに大型の輸送機C-2。C-2を開発、製造したのは川崎重工業です。スタンドオフ電子戦機についても川崎重工業が機体改修や試作、現在の性能確認試験などに関する契約を担っています。C-2を選んだ大きな理由の1つが、大型の電子戦装置を搭載できる機内スペースと電力などを確保できることです。XEC-2の全長、全幅、全高、最大速度はC-2輸送機とほぼ同等とされています。
そして従来の機体と大きな違いがスタンドオフです。XEC-2は相手の防空網のすぐ近くまで入って妨害するのではなく、脅威圏外から強力な電波妨害を行うことを目的にしています。
現在開発されている第1段階では、大きく2つの妨害能力が予定されています。1つがデータリンク妨害、もう1つが音声通信妨害。妨害だけでなく、対象となる電波を収集する機能も開発されています。
さらにXEC-2はこれで完成ではありません。第1段階の開発を終えた後、レーダー妨害能力を追加する計画を示しています。通信、データリンク、そしてレーダー。相手が航空作戦を行うために使う複数の電波を脅威圏外から妨害する航空機へと発展していく計画です。
開発はすでに実際の機体を使った段階に入っています。2026年6月、航空自衛隊初のスタンドオフ電子戦機が岐阜基地の飛行開発実験団に配備されました。ただしこれは実戦部隊への本格配備ではありません。飛行開発実験団で新しい機体や装備の試験評価を進める段階です。
防衛装備庁の最新計画では現在の開発は概ね計画通り進行。2027年度から運用を開始する計画です。また計画上は最低限必要な機数として4機が想定されています。
XEC-2はまだ試験が始まったばかりの機体です。戦闘機のように前線で目立つ存在ではありません。それでも相手の情報共有を乱し、味方が動きやすい環境を作る電子戦機は、これからの航空作戦でますます重要になっていきます。C-2から生まれたこの異形の電子戦機が日本の電子戦をどこまで変えるのか。XEC-2はこれから航空自衛隊の新しい電子戦能力を担っていくことになります。
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