「スマホの次」になるか 堀江貴文がAIグラスとバッテリーの持つウェアラブルを語る

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概要

ホリエモバイル側の聞き手が、Ray-Ban MetaなどのAIグラスを持ち込み、「AIグラスはスマホの次になり得るのか」を堀江貴文に尋ねた回である。この回から、動画の内容は通信プランのキャンペーン紹介だけでなく、デバイスやトレンドを堀江が語る形式に変わった。議論はAIグラスの使い勝手から始まり、Apple Watchの電池持ち、Appleの設計思想、堀江が「スピントロニクス」と呼ぶ省電力技術、ペット用ウェアラブルの商品企画、ロボットの普及へと広がった。堀江の立場ははっきりしている。AIグラスはまず眼鏡をかける人にとって確実に便利な道具であり、普及の鍵は用途を絞ることと電池の持ちにある、というものだ。

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2種類のAIグラスを1日使った聞き手の感想

聞き手は今回の取材のために、初めてAIグラスを2種類買った。1つは音声だけでディスプレイのないRay-Ban Meta、もう1つは字幕で「Even G2」と表記されている、視界に情報を表示するタイプである。堀江はRay-Banではなく、Oakley版のMetaグラスを持っている。

聞き手は撮影の前に丸1日使ってみた。打ち合わせに出て、マンションの内覧にも行った。内覧の様子を撮るのに「めっちゃ便利」だったという。ビデオ通話では、自分の目線の映像がそのまま相手に映った。Even G2を堀江にかけてもらうと、時刻やスケジュール、株の銘柄が表示される。ただ、外から見ても表示が出ているかどうかは分からない。堀江は、分かってしまったらまずいだろうと返している。

堀江が挙げた使い道の1つがカンペである。講演中に次に話す内容を表示しておけば、原稿に目を落とさずに聴衆の目を見て話せる。堀江自身はもともと原稿を見ないので必要ないと言う。試験のカンニングにも使えるだろうが、やってはいけないと付け加えた。

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Apple Watchが普及した一方で、堀江は使わなくなった

堀江は、Apple Watchがここまで普及するとは最初は思っていなかったと振り返る。気づけば皆がつけ始め、巨大な市場になった。聞き手は通知の確認や、新幹線に乗るときのSuicaに使っている。これに対し堀江は、それならスマホで足りると返した。

堀江がApple Watchを使ってきたのは、アドベンチャーレース、トライアスロン、ロードレースのような移動系のスポーツのときだけだ。コンパスや時間を見るためで、最初はApple Watch Ultraを使っていた。しかし電池の持ちが悪いのでやめ、今は1週間以上持つガーミンを使っている。Apple Watchは1日程度しか持たない。堀江はその原因を、ディスプレイの電力消費と使っているチップの問題だろうと推測する。

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「保守的でもあり先進的でもある」Appleの設計

ここから堀江は、Appleの設計は保守的な面と先進的な面が一致しているとも、していないとも言えると話し始めた。

先進的な例として最初に挙げたのがインターフェースである。かつてのパソコンは、ハードディスクの接続にSCSIを使っていた。堀江によれば、業界に先駆けていち早くUSBを標準化したのはAppleだという。その後、USBの規格がAppleの求める仕様に届かなかったため、独自規格のLightningを採用した。USB-Cが登場し、Appleの求める充電性能や高速通信に対応したことで、今はAppleもUSB-Cに統一された。堀江は、Appleは本当はUSBすらなくしたいが、それに足るデバイスがまだないのだろうとも述べている。

もう1つの例が筐体の作り方である。PDAやパソコンは、ザウルスの時代からMacBook Airが出るまで、プラスチックの射出成形が主流だった。金型を1つ作れば量産でき、1個あたりのコストが劇的に下がるからだ。これに対しiPhoneは、今も5軸のマシニングセンターでアルミの板から削り出し、それで強度を出していると堀江は説明する。ゴリラガラスの採用も同じ流れに入るという。

一方で、カメラや折りたたみスマホのようなスペック競争には弱いところがある。それでも最近はCPUやGPUまでAppleが自社で作っているので、強くはなってきた、というのが堀江の評価である。

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スピントロニクスで電池が持つようになる、という堀江の説明

それでもApple Watchの電池が持たないのは、日本発の技術である「スピントロニクス半導体」をおそらく使っていないからだ、と堀江は言う。プロセッサーのオンメモリ処理に電流を使いすぎている、というのが堀江の見立てである。

説明はフラッシュメモリの歴史から始まった。株価が上がっているキオクシアのNANDフラッシュメモリは、日本人が開発した半導体メモリである。それ以前の記憶装置は、磁気テープやフロッピーディスクからハードディスクへと大容量化してきた。しかしハードディスクは回転する駆動部品を持つので、消耗しやすく振動に弱い。持ち歩きには向かなかった。

それでもフラッシュメモリはなかなか普及しなかった、と堀江は言う。メモリが消えれば、バックアップのないデータを失うので死活問題になる。初期は歩留まりも信頼性も低かった。最初にまともに採用されたのはUSBメモリだった。USBメモリは一時的なバックアップの用途なので、最悪消えても構わないと考えられたからだ。そこで実績を積み、ハードディスクを置き換えても大丈夫だと分かった。今ではノートパソコンもタブレットもデータセンターもフラッシュメモリになった。

スピントロニクスはこの系統の技術だと堀江は位置づける。「スピン」は磁気のことで、電流ではなく磁気を使って記憶する。磁気記憶の利点は、電源を切ってもデータが消えないことだ。これをプロセッサーの中に入れたのがスピントロニクス・プロセッサーである。処理していないあいだは状態をスピンのメモリに一時記憶して休み、必要なときだけ起きて電流を流して処理し、また記憶して眠る。起きたり眠ったりを繰り返せる設計になっている、と堀江は説明した。

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Fitbit Airと「人間の動きは100Hzで足りる」という議論

その実例として堀江が見せたのが、Googleが買収したFitbitの新しいデバイス「Fitbit Air」である。非常に軽く、バンドは速乾性で、マジックテープは強力で劣化しない。ディスプレイは一切なく、データはBluetooth経由でGoogleのヘルスケアアプリで見る。睡眠などがきちんと記録される。堀江はこれを、たぶん究極のウェアラブルだと評した。

手元の個体は2日間充電していないのに残量が81%あり、1週間程度は十分持つという。充電はクリップ状の器具を挟んで行う。堀江は、電池が持つようになったのはスピントロニクス半導体のおかげで、Apple Watchにはおそらくまだ搭載されていないと話す。搭載すれば劇的に持つようになるはずだという。ガーミンにはもう入っており、堀江のガーミン(エンデューロと言っていた)は、GPSをオンにしたモードでも1週間以上持つとしている。

堀江はここで、処理の速さと必要な頻度の違いを指摘した。今のプロセッサーはギガヘルツ、つまり1秒に10億回単位で動いている。しかし人間の動きはせいぜい100Hz程度で、脈拍もその程度のサンプリングで足りる。だからセンサーはサンプリングの瞬間以外は動かなくてよい。データを磁気で保持しておけば、電流を流すのはサンプリングのときだけで済む。デバイスで点滅しているLEDは、脈拍の計測用だろうと堀江は言う。これまでは無駄に通電し続けていたから1日しか持たなかった、という理屈である。

堀江は、スマートグラスもおそらく同じだと続ける。人間の目に見える分だけ表示すればよく、1秒30コマ程度で十分である。それ以外は電源を切っておけばよい。それがプロセッサーのレベルでできるようになったので電気が持つようになった、と説明した。

充電頻度の差は使い勝手を大きく変える。堀江はFitbitをバージョン1から買ってきたが、1日1回の充電は面倒だった。週1回であれば、たとえば車で移動している間に車内で充電すればよい。歩いていないので記録を取る必要もない。バッテリーの容量が小さいので、充電もすぐ終わる。堀江は今これをずっとつけており、つけていることを忘れるほど気にならないという。指輪も時計も気になる性分だが、これは全く問題ないそうだ。

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リング型デバイスと、ペット用ウェアラブルの構想

話はリング型デバイスに移る。聞き手は、Ouraが今大きく伸びており、空港や量販店など、どこでも売り場を見かけるようになったと言う。聞き手自身は買ってみたが違和感があって外してしまった。堀江も指輪が気になる側の人間で、リングはやらない。

堀江は、日本で作られている「Oura」のようなリング型デバイス「ソクサイ」(字幕表記は「SOXAI」)の関係者と最近話をしたという。Fitbit Airのようなバンド型を作ってくれるなら自分もやる、と伝えたところ、堀江のプロデュースで1つ作ろうかという話になった。そこで堀江は、それなら犬用も作ればいいと提案した。

聞き手はペットショップを200店舗運営しており、この話に強く乗った。ペット用GPSは、流行りそうで流行らなかった分野だという。聞き手はCESで毎年展示を見て、問い合わせたり、深圳のファブレス企業に試作を頼んだりと何度も試してきた。しかし、充電が面倒で、デバイスが大きくなってしまう点がずっとネックだった。冷静に考えればペット用に画面はいらないので、Fitbit Airのようなものをそのまま首輪にすれば十分だと、この場で思ったという。

構想は具体的に進んだ。Apple Watchに他ブランドとのコラボ品が多数あるように、ブランドとコラボしたかわいい首輪を作る。ペットショップにはありきたりの首輪しかないからだ。堀江は、リードが充電器を兼ねる形を提案した。聞き手はこれを天才的だと評し、オンラインと全国200店舗のペットショップで販売したいと話した。堀江はほかにも、猫の顔写真をAIで解析して病気が分かるサービスの会社に出資した話を挙げ、ユーザーが多いと紹介している。ただし堀江本人は、ペットには「全くない」と言い切るほど興味がない。

Fitbit Airの価格は1万6800円である。聞き手は、ホリエモバイルのユーザー向けに保険込み月額700円程度でバンドル販売する案を出した。壊れても直せるからだ。堀江は、ソクサイと一緒に作るものを売るのもよいと応じた。

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AIグラスの実用場面:撮影、音、通話、翻訳

AIグラスの話に戻ると、堀江はRay-Ban Metaのようなタイプはビデオ撮影に向いていると評価する。撮影していることがほとんど分からないからだ。堀江自身は、スノーボード中の撮影にGPXデータと組み合わせて使うつもりでいる。「Hey Meta」と呼びかければ動き、スマホを取り出して「Hey Siri」と言うよりずっと楽だという点で、2人の意見は一致した。

翻訳機能もあるが、聞き手が試したときは日本語に対応しておらず、スペイン語などしかなかった。堀江はそのうち出るだろうと見ている。

2人が特に評価したのは音質である。堀江は、MetaのスマートグラスはどれもL音が非常によいと言う。聞き手も、普通のイヤホンに匹敵するうえに耳をふさがないので楽だと話した。音漏れは多少あるが、あまり問題にならない程度だという。電話もボタン1つでそのまま自然に話せ、スムーズだった。聞き手が度付きレンズにできるのかを尋ねると、堀江は普通の眼鏡として使えるので眼鏡派の人には良いと答えた。

映像の再生に特化したものとしてはXREALがある。堀江は案件動画で何度も扱ったことがあり、非常によいと評価している。

17:48

タイピングは不要、用途を絞って使い分ける

聞き手が「AIグラスではタイピングができない」と指摘すると、堀江はそもそも必要ないのではないかと返した。音声認識が非常に良くなったからだ。少し前までは認識結果をいちいち直す手間があったが、今は話した内容をそのまま渡し、議事録にしてほしいと頼むこともできる。会議の議事録のまとめは完全にできると堀江は見ている。

この分野でMetaが先頭を走っているのかと聞かれると、堀江は直接は答えなかった。各社とも何でもかんでも載せると電池が持たなくなるので、用途を絞っていると指摘した。サングラスと眼鏡を持ち分けるように、何種類かのスマートグラスを使い分けていく形になる、という見方である。聞き手はこれを、Ray-Ban Meta、Oakley Meta、Even G2を用途で使い分け、映像特化型としてXREALがある、と整理した。

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誰が使うのか:眼鏡派と老眼の世代

普及の見通しについて、堀江は眼鏡をかけている人は絶対に使うだろうと言う。ディスプレイも、この程度の小ささのほうが邪魔にならず、かえってよい。デザインも洗練されてきており、Oakley Metaはスノーボードで使えるようなかっこいいデザインになっている。

眼鏡をかける人はそもそも眼鏡を気にしない、と堀江は言う。一方で聞き手は眼鏡が苦手で、30分かけているだけでも気になる「絶対につけたくない派」である。堀江が挙げたもう1つの層が、老眼になりつつある団塊ジュニア世代である。

その関連で堀江が紹介したのが、ViXionのスマートグラスである。液体レンズの技術を応用しており、内部に特殊な液体を入れた人工レンズを伸縮させてピントを調整する。最新版は従来モデルよりレンズ面積が約2.4倍になり、見える範囲が広がった。価格は10万円ほどするが、その分くっきり見える。老眼でプラモデル作りなど細かい作業に困る人や職人に、よく買われているという。

聞き手は、AIグラスはスマホを置き換えるものではなく、スマホを補完する外部デバイスとして進化し、使う人は使って一定の市場になるというイメージかと確認した。堀江はこれを否定せず、ViXionのような例も挙げながら、スマートグラスには種類がある、と話をつないでいる。さらに、スピントロニクスのような技術で充電の頻度が下がれば、より使いやすくなるという見方を示した。

24:45

カメラ付きグラスはキューバで没収されかけた

探偵が眼鏡型カメラで隠し撮りをする場面と同じだ、と聞き手が言うと、堀江は自身の体験を話した。キューバに入国する際、XREALを没収されそうになったという。堀江によれば、XREALはMetaのグラスのように外を撮影する機能もついている。そのため、スパイではないかと疑われた。

この種の国では入国時に手荷物検査をあまりしないものだが、キューバではされた。なぜ検査をするのかと思っていたら、こうした機器を見つけるためだった、と堀江は振り返る。持ち込み不可として預かると言われ、厳重に包まれて引換証のようなものを渡された。その手続きに1時間ほどかかった。出国時に返してもらおうとすると、ずいぶん待たされ、かなり奥まで取りに行かされ、また1時間ほどかかった。最終的に取り戻したが、キューバやロシアには持って行かないほうがよく、中国も一応気にしたほうがいいと注意を促している。

ちなみに聞き手は、この日AIグラスをかけたまま何人にも会ったが、誰にもカメラだと気づかれなかったという。

21:41

店舗での販売と通信との相性

聞き手は、スマートグラスとウェアラブルのコーナーを、自社の携帯ショップ、ペットショップ、ドン・キホーテ内の店舗に作る構想を語った。携帯電話の乗り換えはなかなか難しいので、先にこうしたデバイスを契約してもらい、後からモバイル回線を乗り換えてもらう流れもありうるという。堀江もそれはありだと応じ、これらのデバイスは通信と非常に相性がよいと述べた。聞き手は、今後ホリエモバイルのオプションにしていきたいとしている。

22:16

ロボットは「人手が足りない仕事」から入る

最後にロボットの話題が出た。堀江は、人々がどういうタイムラインで使い始めるのかには関心があると言う。ただし今、人の値段より高いロボットを買うかと言われれば買わないだろうとも述べた。

変化は採用が難しい仕事から起きる、と堀江は見ている。例として挙げたのがファミリーレストランの配膳ロボットである。あれも一種のロボットだが、人型である必要はない。レジについても、アメリカはほぼセルフレジで、日本でも増えている。席でQR決済する仕組みも広がり、人はだいぶいらなくなってきた。堀江は、人をいらなくしたいというより、本当に人が足りなくなっているので不可抗力だと強調した。配膳やレジ打ちのような仕事からなくなっていき、その次に自動車の組み立てのような付加価値の高い作業で使われるようになるという見通しである。形態は人型か、人間の作業はほとんど手で行うので手だけ人型、というものになるかもしれないと話した。

28:36

締めくくり:堀江自身は眼鏡派にならない

聞き手はAIグラスを手に、身近な店舗でもコーナーができ始めているので試してほしいと呼びかけた。また、堀江にデバイスを語ってもらうと知らない知識が次々出てきて楽しいので、来月もこの種の企画を続けたいと述べた。

冒頭で眼鏡が似合うと言われた堀江本人は、自分は顔が濃いので眼鏡は合わないと言う。眼鏡をかける人はたいてい顔の薄い人だ、というのが堀江の言い分である。眼鏡派になってはどうかと勧められても、「絶対ならない」と答えた。AIグラスは眼鏡をかける人や老眼の人には確実に便利だと評価しながら、自分では使わない、というのが堀江の結論だった。