『VIVANT』プロデューサー飯田和孝が語る、日本のテレビドラマが世界と戦うための「時間」の使い方
TBS CROSS DIG with BloombergTBS CROSS DIG with Bloombergの「1on1」で、竹下隆一郎がTBSのドラマプロデューサー・飯田和孝に話を聞いた。テーマは「世界と戦う日本発の作り方」である。竹下は、政府がコンテンツ産業で2030年代に20兆円を目指すと掲げていることに触れ、ドラマの考察文化や、Netflix時代にテレビドラマが通用するのかを問いかけた。飯田は『VIVANT』の制作を通じて考えてきたことを整理したいと応じた。話は作品の考察から、テレビドラマの強みと弱み、海外展開の壁、制作体制の改革へと進む。最後に飯田が強調したのは、お金を増やすことより「時間を確保すること」だった。
シーズン2で考察が増えた理由
竹下はまず、第1シーズンと比べて現在のシーズン2のほうが視聴者の考察が多いのではないかと尋ねた。飯田は、前作のときから「考察ドラマではない」と言い続けてきたと前置きする。そのうえで、シーズン2は前作から続く物語であることを軸として打ち出している。そのため視聴者は、前作で回収されなかった事柄が今回すっきりするのではないかと期待しながら見ている。飯田は、考えながら見る姿勢が視聴者の間に根付いているという感覚を語った。
竹下は、ネタバレを避けながら、長野専務や新庄の正体がシーズン2で明かされていく展開はシーズン1の時点から考えていたのかと聞いた。飯田によれば、長野専務や新庄についてはシーズン1から考えていた。長野は第1シーズンでは野崎との取調室の場面で終わっているが、そのときから別班という設定だった。後で回収するために、演じる俳優もその計算を持って微妙な演技をしていたはずだと飯田は話す。
竹下は、ナイツの塙宣之らがYouTubeで発信している考察も紹介した。塙の説は、日曜劇場は過去作で家族愛をテーマにしてきたこと、登場人物の行動の根に野崎や乃木への思いがあること、今回AIが登場することを踏まえ、物語の軸は「AIではなく愛だ」というものである。飯田はこれに直接の答えを示さなかった。ただ、ドラマの基本は「主人公が何かをする物語」であり、伏線や考察と呼ばれるものはそこに付く枝葉だと説明した。人間がどう作用し合い、自分がどう変わっていくかがドラマの醍醐味であり、愛や感情、心は『VIVANT』でも軸になっていると述べた。
「心のままに動く人々」と、乃木とFの二重性
『VIVANT』のテーマを一言で言うと何かと問われ、飯田はシンプルに言えば乃木憂助の冒険の物語だと答えた。感情面では「心のままに動いている登場人物たちの生き様」だという。登場人物はみな自分の心に素直に向き合い、それを行動に表している。それが裏切りになることもあれば、正面から気持ちをぶつけることになる場合もある。飯田は、今の社会や組織の中でありのままに動くのは難しいと話す。自分もそうありたいと思っており、気持ちいいほど心に素直に生きる登場人物の姿が視聴者を勇気づけることにつながればと考えている。
竹下は、優秀な別班員でありながら会社では上司に色々言われるサラリーマンでもある乃木の姿が、視聴者の共感を呼んでいるのではないかと述べた。飯田も、誰もが置かれた環境の中で戦い、抗い、ときには乗っかっていくのが人間の一生であり、普段はさえないサラリーマンである乃木の姿は視聴者が自分ごととして受け取れる要素になっていると応じた。
竹下が面白いと指摘したのが、乃木の中にFという別人格がいる構造だ。飯田は、キャラクター設定の段階でこだわった点を説明した。乃木の裏には別班員としての顔がある。もし普段の実直なサラリーマンの姿が演技だったとしたら、視聴者はがっかりするのではないか。そこで、演技ではない形にするにはどうすればよいかを考え、別の任務を担うもう一人の存在としてFを置いた。どちらかが偽りでどちらかが本物なのではなく、どちらも本物である。幼少期の体験からもう一人の自分を作り出し、Fがいることによって乃木も乃木でいられる。両方とも真実であることがこのキャラクターの妙だと飯田は語った。竹下は、劇中で長野専務が乃木に演技がうまいと言う場面があり、視聴者も騙されているのではと疑うが、そうではないと分かるエピソードがあることが一つの軸になっていると受け止めた。
同じ時間に見るというテレビの強みと、複雑さという両刃
話題はテレビドラマの価値に移る。配信やYouTubeが広がる中で、テレビドラマの良さはどこにあるのか。飯田は、考察が盛り上がる最大の要因は、決まった時間に同じものを見る人が圧倒的に多いことだと答えた。世帯視聴率10%で1000万人と言われる規模の人が、同じ時間に同じものを見る。いつでも見られる配信ドラマとは、見るタイミングが揃う点で異なる。21時からリアルタイムで見た人が次々に発信するため、乗り遅れたくない、ネタバレを先に聞きたくないという気持ちが働き、それが文化のようになっている。これはテレビだからこそだと飯田は考えている。
一方で飯田は、韓国のクリエイターから聞いた話も紹介した。日本のドラマは複雑なものが多く、それが海外に出る際の障壁になるのではないか。海外市場ではよりシンプルなストーリーやキャラクターが受け入れられることが多い、という指摘だった。そこで今回のシーズン2は、基本的には別班を奪還しに行く話という軸に立ち返ればシンプルな構造になっている。この点は第1シーズンより意識している部分かもしれないと飯田は言う。
竹下は、テレビはもう駄目だというステレオタイプもある中で、日本のドラマはシンプルではないところが特徴なのかと聞いた。飯田は特徴だと認めたうえで、事情を説明した。シンプルな作品は、今の指標である視聴率になかなか反映されない。毎回この時間にリアルタイムで見たくなるものを作ろうとすると、構成やストーリーを緻密に組むことになり、それが結果として好評につながっている。海外向けのシンプルさと国内での視聴率は裏腹の関係にあり、そこはまだ分析しきれていない部分だという。
予算は通常の倍、それでもNetflixの5分の1
竹下が『VIVANT』の制作費を尋ねると、飯田はネット記事に出ている数字には触れず、通常のドラマと比べて予算はおおよそ倍という感覚だと答えた。億単位がかかることもあるのかという問いには、あると思うと応じた。ただし聞くところでは、それでもNetflixのオリジナルドラマと比べると5分の1程度で、作品によって当然違うという。
この差は埋まるのか。飯田は、現状のスキームでは難しいと見ている。差を埋める努力、つまりテレビドラマの価値を示し続けることは続ける。それと同時に、今の予算でもより深いものを作れるのではないかと考えている。
具体的な工夫として飯田が挙げたのは、制作期間を十分に取ることによる効率化だ。テレビドラマの撮影期間は大体4か月で、5か月取っているチームはそれほど多くないと飯田は話す。その中でエピソードを順番に撮っていくのが従来のやり方だった。『VIVANT』では前作のときから撮影前に台本が全部揃っていた。そのため、黒い印象の公安・野崎のセットであれば、3日間ほどかけて全話分のそのセットの場面を撮り続け、終わったらセットを壊して次を組むことができる。ロケーションでも、たとえば丸菱商事の場面を第1話から最終話まで、あるだけまとめて撮る。何日も行き来しなくて済むので、車両費や人件費、現場でかかる費用を削れる。そうして浮いたお金を映像品質の向上に回すというバランスの取り方ができるようになってきたという。
2010年代後半から感じていた制作現場の限界
竹下は、『ドラゴン桜』『マイファミリー』『アンチヒーロー』『御上先生』などを手がけてきた飯田に、制作の仕方を変えたいという問題意識は以前からあったのかと尋ねた。飯田は、『ドラゴン桜』以前の2010年代、コロナ禍を分岐点とするそれ以前の時期を振り返った。『半沢直樹』『陸王』『天皇の料理番』などに携わっていた頃、撮影スケジュールと放送がどうしても近接していた。納品というデッドラインに向けて作業するが、ぎりぎりになると詰めきれない部分が出てくる。テレビが4Kや有機ELなど高性能になるにつれて、画面の隅々まで詰めないと粗が目立つようになった。間に合わせる作業では立ち行かなくなると、2010年代後半から2020年に近づくにつれて少しずつ感じていたと飯田は語る。
アゼルバイジャンで聞いた「字幕が追いつかない」という声
シーズン1はNetflixで世界配信された。海外での反応について問われた飯田は、アゼルバイジャンでの撮影時の経験を語った。現地ではアゼルバイジャン語の字幕は出ておらず、英語字幕で見ることになる。ところが『VIVANT』は俳優のセリフ回しが速い。飯田によれば、これは特別なことではない。黒澤映画など昔の日本の作品もセリフは速く、海外作品も速い。むしろ近年の日本のドラマが特に遅いという印象があり、『VIVANT』では意識的にセリフを速くしている。その結果、英語字幕を追いかけられないという声を現地のスタッフから聞いた。
海外作品や韓国の作品には必ず吹き替えが付く。言語レベルの差や教育格差は世界中どこにでもあり、字幕を読めない人、文字を学ぶ機会がない地域の人もいる。耳から入る情報のほうが明らかに多くを伝えられる。第1シーズンは世界配信まではできたが、吹き替えはまだだ。Netflixのオリジナル作品は吹き替えが付いて世界に回っていくが、テレビドラマはまだその段階にない。いつか実現できればよいと考えており、そこが課題だと飯田は述べた。
強みは内面の描写、そして「今の日本」への関心
では日本のテレビドラマの強みは何か。飯田は、内面を深く描けることだと答えた。見た目の派手さよりも、『VIVANT』も実は繊細に描いている。日本人だからこそ作れる感情の機微やセリフが強みになる。もう一つは、これだけ多くの観光客が日本を訪れているという事実だ。建物、場所、食べ物、人など、日本への興味は当然ある。それを「見せます」と打ち出すのではなく、世界観としてそこにあるものの中で人物がどう動くか、その内面に深く掘り下げていく。そこに可能性があるのではないかと、自分の中だけの考えだと断りつつ「おぼろげながら」思っていると語った。
実在が知られていない「別班」だからこそ広がる想像の余地
竹下は、不利な点もあると指摘した。『007』や『ミッション:インポッシブル』に出てくるCIAやイギリスの情報機関は世界中に知られ、現実にテロと戦っている。一方、日本の別班は世界で知られているわけではなく、日本がテロ組織と戦う話は、良し悪しは別として国際政治的にはリアリティが薄いのではないか。
飯田はMI6のように、長く公には認められていなかった組織がある時期に認められた例に触れ、そうした組織は身近に感じられる面があると認めた。そのうえで逆の見方を示す。別班は、あるのかもしれない、あってほしいと思えるものだからこそ、ヒーロー化できる部分がある。飯田は子どもの頃アニメーションが大好きで、少年ジャンプのヒーローに憧れた。こういう人がいてほしいと思える妄想を膨らませる余地が、別班という組織にはある。
さらに飯田は、現代は情報があふれ、技術の発展で何でもすぐに調べられる。その中で想像や妄想、空想をする余地や時間は失われつつあると話す。フィクションだからこそ、こういう人がいたらいいのに、あの人は別班かもしれない、と思いを馳せてもらえる。劇中で乃木が長野専務に、年を取ったらどうすればいいのかと尋ね、長野は地位を得て組織を動かすことだと答える。そう考えると、どこかの企業の役員もそういう人かもしれない。CIAのように「こういう人」という具体像がないからこそ想像の余地が無限に広がり、それがデメリットを補って余りあると飯田は考えている。
竹下はインテリジェンス・コミュニティの関係者から聞いた感想も伝えた。その人は『VIVANT』を見ているが、防衛省は出てきても内部の組織図までは踏み込んでいないと言っていた。官房長官や内閣の構造を描いた『シン・ゴジラ』とは違う。これは意図的なのか。飯田は戦略的に説明を避けていると答えた。細かく描くと型にはまり、ドラマのスケール感が狭まってしまう。設定を説明する場面は実はあまりなく、物語が進む中で視聴者が自然と理解していくのがよくできた物語だと考えており、今回もそれを目指しているという。
世界に出たいが、第一は国内の視聴者
シーズン3があるとしたら、もっと世界に出ていきたいのか。飯田は、より多くの人に見てもらいたい思いは当然あると答えた。ただし第一は、日本の視聴者に深く見てもらい、愛してもらうことだ。テレビドラマである以上、それはずっと揺るがないと述べた。そのうえでアジアや世界に到達できればと考えている。
『SHOGUN 将軍』に感じた悔しさ
竹下は、Netflixが昭和や平成の昔の日本を題材にした作品を多く手がけ、それぞれ面白いと認めつつ、今の日本を描いたコンテンツがもっと世界に出てほしいと語った。例として、ジェンダーや政治の問題を描いた『エルピス』を挙げ、『VIVANT』もフィクションでありながら今っぽいと述べた。
飯田は、『SHOGUN 将軍』が賞を取ったとき日本中が沸いたことを振り返った。すごいと思うと同時に悔しさもあった。海外から見た日本は、時代劇、忍者、昭和といったイメージがまだ根付いている。『SHOGUN 将軍』も『忍びの家』も自分も大好きで面白かったと言う。そのうえで、テレビ局が作るものとしては、日本社会の今を捉え、それを表現しているもので勝負することが最も目指したい部分だと語った。
まず変えるべきは制作体制
決まった時間に見る視聴者を相手にしていた時代から変わった今、内容を変えるのか、プロモーションを変えるのか。飯田は、どんなものが海外で受け入れられやすいのかはまだ分からないと率直に認めた。そのうえで、現実的に分かっていてできることは制作体制の変革だという。
『VIVANT』は撮影前に台本がすべて揃い、準備が整った状態で撮影に入ったが、すべてのドラマがそうなっているわけではない。まずは撮影前に全話の台本があり、放送前に全撮影が終わっている状態を目指す。現在、連続ドラマ10本の撮影期間は大体3.5〜4か月だ。飯田は5〜6か月かけて10本を撮るのが理想だと考えている。準備期間を十分に取り、1日の撮影分量を減らし、そのぶん品質を上げていく。それを続けるには撮影期間を延ばす必要がある。
従来はオンエアの2か月前に撮影を始めるのが普通だった。すると放送が始まっても撮影が続き、編集やポストプロダクションも重なっていく。デッドラインが決まっているので、間に合わせるための選択肢しか取れず、「回す仕事」をずっとしてきたと飯田は話す。技術、美術、プロモーション、グッズ、イベントのチームなど、それぞれが企画の軸に対して自分がどう貢献できるか、得意分野をどう持ち込めるかを考える時間をきちんと作る。準備したものを現場で発揮し、その後にプロモーションなどに取りかかる。そうした時間を確保することで総合力が上がると考えており、個人としてこれから突き詰めていきたい制作体制だと語った。
竹下が、ビジョンを共有したうえで現場から下からアイデアが出てくることが海外での通用につながる流れか、と確認すると、飯田は自分個人の海外についての知見は限られていると答えた。技術、美術、プロモーション、俳優など、それぞれが勉強してきた知見を持ち寄るには、みんなに裁量を持たせる必要がある。そうなると海外を知っている人、勉強している人がチームの中で意見を出しやすくなる。それが正解の道かは分からないが、少しは近づけるのではないかと飯田は述べた。
『国宝』のキービジュアルと、日本の「独特さ」の可能性
飯田が目から鱗だったと語るのが、タイでのプロモーションに向かう際にグローバルビジネスの担当者から聞いた話だ。映画『国宝』を海外に売る際、国ごとに異なるビジュアルを使っていたという。業界の人には当たり前かもしれないが、ドラマだけを作ってきた飯田にとっては、キービジュアルを1つ作ってそれで勝負するのが普通だった。それがスタンダードではないと知った。海外に出る戦略として考えるなら、キャスティングよりさらに前の段階で、この国向けにはこのビジュアルを作ると決め、最初から関係者と話しながら進められる。それも時間があればこそできる。『VIVANT』は1年以上かけて進めてきたからこそ様々な試行錯誤ができ、それがプロジェクトの財産になると飯田は考えている。竹下は『パラサイト 半地下の家族』も国によってポスターが違うが、格差社会や貧困というテーマは共通しており、ビジョンさえしっかりしていれば表現が変わっても伝わるのではないかと応じた。
飯田はさらに、海外に見せるために作品を合わせる必要があるのかという疑問にも触れた。ある人から、『パラサイト』は韓国の格差社会を深く描いてアカデミー賞を取ったと聞いた。ならば日本のドラマを海外向けに変えることが本当に必要なのか。むしろ日本のコアな部分、海外の人が面白がる部分に入り込んでいくことも一つの突破口ではないかと考えるようになった。
飯田が例に挙げたのは、自身が『御上先生』を手がけていた頃に話題になった、山崎エマ監督による日本の小学校を描いたドキュメンタリーだ。前へ倣えや集団登校、合唱、児童による掃除など、日本では普通のことが海外の人には面白く、珍しく映った。日本の教育の仕組みは独特だと聞いたという。そうした部分を突き詰めることが海外に出る要素になるかもしれない。どんなことに挑戦するにも時間があれば少しずつ変わっていく、と飯田は語った。一番難しいのは時間を確保することだとも付け加えた。竹下は、『VIVANT』で社員が社員証を下げてずらりと並ぶ場面なども、海外から見れば日本らしく映るかもしれないと述べた。
照明20人の現場で見た「人数のメリット」
海外ロケで人数の違いを感じるかと問われ、飯田はプロデューサーの数も違うが、最も違うのは照明部だと答えた。日本では大体4〜5名で、5名いれば多いほうだ。海外では照明だけで20人ほどいると最初に聞いたときは驚いた。ただし役割が細分化されていて、機材の運搬などを分担している。機材も日本のテレビドラマではあまり見ないものが使われていた。韓国ドラマなどを見ると、ライティングや色味がやはり違う。その差は時間、機材、撮影の仕方によるもので、明らかに違うと飯田は言う。
タイでの撮影では、カメラを線路のようなレールに乗せて平行移動の映像を撮る場面で、飯田が見たことのない機材にカメラマンが乗っていた。驚いたのは、それを組み立てるチームの俊敏さと連携だった。人数がいることで機材のセッティング時間を減らし、撮影そのものにかけられる時間を多く生み出している。人数の多さは映像品質だけでなく時間の確保にも効いているのだと強く感じたという。
『VIVANT』を変化の「突破口」に
竹下は、取材で日本企業の経営者に話を聞くと、人の配置、つまり誰をどこに置くかがうまくいっていない例が多いと述べ、ドラマの現場ではどうにかなるものかと尋ねた。飯田は、ドラマにおいてはどうにかなるようにしたいと答えた。ただ、声を吸い上げて全体で共有すれば変わるのかについては、難しいところがあると認めた。変えようとしても変わらない時代が長く続いてきた。だからこそ、今こういうことが起きていて、こうすればこういう良いことがある、と粘り強く訴えていく。『VIVANT』はその試金石であり、変えるための突破口、あるいは砦と言える位置づけに置いていると飯田は語る。
まずは結果を出すことが大事だが、一過性であってはいけないとも飯田は言う。前作がある程度好評だったからこそ今作で様々なことを試せているのは紛れもない事実だ。だが多くのドラマは1作目であり、同じ施策を組めるかどうかは今後の課題になる。今回何がうまくいき、再現性があるから次もやるべきなのか、何が『VIVANT』だから可能だった特殊なものなのか。プロジェクトのメンバーはそれを総括して次につなげる義務があると飯田は考えている。別の1作目で同じことを試して成功すれば、再現性のある施策になり、やがて当たり前になっていく。そうなればよいと語った。
飯田は、自分はテレビの代表といった立場ではないと断ったうえで、テレビ局が作るコンテンツの力は計り知れないと述べた。『VIVANT』に限らず、スポーツイベントや大晦日のNHKの番組のように、多くの人が見るコンテンツであることは今も変わらない。業界としてもう一度、という動きのきっかけになればいいと話した。
竹下は、バラエティは長く続けながら試行錯誤できるが、ドラマは放送枠が決まっていて大変だと指摘した。飯田も、1回のクールにすべてを注ぎ込まなければならず、タイミングも重要だと応じた。だから成功例のある戦略に偏りがちになるのはドラマの宿命だという。勝ち筋の中で何が本当の要素だったのかを抽出し、そこから膨らませる新しい施策を試せるとよいが、それには勇気と理解が必要だと語った。
オリジナル作品の難しさと、企画段階でのAI活用
竹下は、漫画原作も好きだとしたうえで、『VIVANT』のようなオリジナル作品はプロモーション面でリスクがあるのではないかと尋ねた。ノベライズ本やコラボ商品を手に、まだ始まっていないドラマには企業も乗りにくいのではないかと問う。飯田は、今回の企業コラボはシーズン1があったからこそだと認めた。原作が売れていれば乗れることが担保されるが、オリジナルの場合は、台本と企画書の文字からどんな作品になるのかを理解するのも理解させるのも難しい。キャスティングでも各種施策でもプロモーション戦略でも同じで、社内でさえ、オリジナル企画を出したとき、企画を決める部署の人たちが同じ絵を描けるわけではない。
飯田は話がずれると断りつつ、そこにAIの進化を活かせると話した。実際の撮影前でも、どんな画になりどんなビジョンになるかを企画提案の段階で見せられるようになってきている。監督の仕事でも、こういう画面にするという絵コンテを絵にしやすくなっており、ビジョンの共有はしやすくなっている。そうしたものをより活用していくことが大事だという。TBSはオリジナル作品にこだわっており、そこで勝負できる輪を広げていきたいと語った。
湖池屋とのコラボに見た「理念での共鳴」
竹下は、CROSS DIGにもブランデッドコンテンツの営業部隊があることに触れ、今の企業は流行っているから乗るのではなく、作品のビジョンと深いところでつながる必要があるのではないかと述べた。飯田も、湖池屋はヒット作に乗ろうという感じではなく、理念や、日本の良いものを世界に届けようという挑戦に乗ってくれた感覚があると話す。打ち合わせは昨年から長く重ねてきた。湖池屋の社長がシーズン1を見てくれていて、ぜひということで実現したという。
飯田が驚いたのは、社長自らが打ち合わせに出てきたことだ。TBSのドラマチームと商品化チームに対し、湖池屋側は社長と若い社員が並んだ。入社3年目の社員が、アゼルバイジャンで野崎が手にしていたケバブ、それと対になる乃木側は島根をイメージした味、というコンセプトをプレゼンした。社長がもっとこうしたほうがいいのではと口を挟むと、その社員が「社長、それ違います、こうですよ」と返したという。飯田は、こうした企業とコラボできることに『VIVANT』がやる意義を感じると語った。VIVANTはフランス語で「生き生きと」という意味を持ち、今自分は生き生きと生きられているかという問いにも通じる、とも述べた。
竹下は、ファミリーマートが大谷翔平をおにぎりの広告に起用しているのも、大谷が日本から世界へという象徴を担っているからだと指摘し、これからのプロモーションは売れるものに乗るより理念を考えながら進むのではないかと述べた。
時間を生み出すことは、お金を増やすより大事だ
締めくくりに竹下は、今回の対話で「時間」が一つのテーマだったと述べ、どの業界にとってもグローバルでどう勝つかは課題だが、時間をかけることは一つのヒントだと感じたと語った。
飯田は、お金を増やすことよりも時間を確保することが大事だと答えた。時間は生み出せると考えている。たとえばコンビニとのタイアップは、通常のドラマで持ちかけると、コンビニ各社は1年前から綿密に戦略を組んでいるので入り込めないと言われることが多い。付け焼き刃では絶対にできないことが、今回は時間があったからできた。
ただし今回分かったこともある。プロジェクトの初期、飯田自身を含め、関係者は時間があることに慣れていなかった。1年あっても、1年前に何をすればいいのかが分からない。いつも「時間が足りない」と言っていた自分が、時間があるからこそ今何をすればいいのかと戸惑ったという。今回は、プロモーションを担う人たちが、この期間はこうする、放送直前はこうする、と1年間の戦略を綿密に組んでくれたことで様々な施策が実現した。
それでも飯田は、1年という時間を与えられれば全部が成功するわけではないと見ている。まず時間があることに慣れ、時間をかければこれができるから、こうしよう、と考えられるようになる。それが自分の体感としてスキームになるには、おそらく2回、3回の試行が必要だという。その難しさを感じると同時に、繰り返していくことが本当に大事だと強く感じた、というのが飯田の結論だった。
CROSS DIG 1on1、始まります。今回のテーマは、世界と戦う日本発の作り方です。早速ご紹介しましょう。ドラマプロデューサーの飯田和孝さんです。お願いします。
よろしくお願いします。
飯田さん、初登場ということで。普段CROSS DIGはいろんな海外のゲストとかエコノミストとか呼んでるんですけど、社内にも面白い人たくさんいるなって。私、2年ぐらいになるんですけど、今日それでお呼びしました。
非常に過去のラインナップを見て恐れ入っております。VIVANTを通して、僕なりに考えているドラマ作りのことだったりとか、そういったことが今日、自分なりにも整理できればいいなと思って。
お願いします。私ももちろん見てるんですけど、同じTBSの人に聞くっていうよりは、コンテンツ産業って日本って、政府も20兆円を2030年代に目指すとか言ってますし、あと考察文化。これはやっぱりドラマの考察文化だし、あとテレビドラマってこのNetflixの時代に通用するのかとか、そんな話もどんどん聞いていきたいなと思います。
ありがとうございます。
まず考察なんですけど、1ももちろん見てたんですけど、1と比べて今のシーズン2の方が、皆さん、これ見てる方も多分VIVANT見てると思うんですけど、考察する回数多くないですか?
やはり前作から、考察ではないって言い続けてはいるんですけれども、前作からの続きの物語だよっていうことは、今回第2シーズンの軸として打ち出しているからこそ、おそらく前作で回収されてないいろいろなことが今回すっきりするんじゃないかっていう、そういう見方をしてくれているので、すごく根付いている。だからこそいろんな人が考えながら見てくれてるっていう、そういう感覚がありますね。
今日はあんまりネタバレしない感じでなんとか喋りたいんですけど、例えば専務が実はそうだったとか、新庄とか、あれってシーズン1の時からもう考えてたんですか? シーズン2でどんどん回収されるので、ひょっとしたらもう1の時から続編を考えてたんじゃないか。
あれはもう長野専務だったり新庄っていうところは、当然1から考えていたというところですね。長野に至っては、第1シーズン、野崎さんとの取り調べ室っていうところで終わってるはずなんですけど、あの時からもう長野専務は別班ですので、そこを後で回収するためにっていう。そういったことから小日向さんもその計算を持ってやられている。多分、微妙なところの演技をされてると思うんですけども。
あとはいろんな考察見てるんですけど、大島育宙さんとか、あとナイツの塙さんのYouTubeとか見ました?
もうお世話になっております。
すごいいい考察してて、みんな薫さんがちょっと怪しいみたいな話もしてあるんですけど、一応、これ日曜劇場ですと。過去のリブートとかギフトとかあって、あと家族愛がテーマなので、さすがに薫さんはないだろうと。
あとは、堺さんが三役で中国の方を演じてますけど、龍も野崎が好きだったりとか、あと新庄も、タイで企業家の人をちゃんと守ってんのも愛だったりとか。今回AIも出てくるじゃないですか。だからAIではなくて愛なんだっていうのが塙さんの考察です。さらに大塚愛さんも出演されましたし。だからどんどんそうやって考えると、そうかなと思ったり。
なるほど。基本的にドラマっていうのは、主人公がまるまるする物語っていうのがドラマの基本だと思っていて、そこにいろんな枝葉がくっついていって、今回で言うと伏線とか考察というふうに言われてますけれども、やはり人間がどう作用して影響していって、さらに自分がどう変わっていくかみたいなものがドラマの醍醐味だったりすると思うので、当然そこに愛だったり、感情とか心みたいなものはVIVANTでも軸になってきているとは思ってます。
飯田さん、プロデューサーに聞きたいんですけど、VIVANTのテーマって一言で何ですか?
これは非常にシンプルに言うと、乃木憂助の冒険の物語っていうのがシンプルな話だと思うんですけど、感情面のことでいくと、心のままに動いている登場人物たちの生き様っていうところかなとは思ってます。
乃木さんだけはっていうか、乃木さんがやっぱりピュアじゃないですか。素朴で、もうこれだけは変えないってことなんですかね。
これは変わらないとこですね。もしかしたらこれ言うといいヒントになっちゃうかもしれないですけど、このVIVANTに出てくる登場人物たちって皆さん、自分の心に素直に向き合って、それを行動に表している。それが裏切りということかもしれないし、正面から気持ちをぶつけるということだったりするかもしれないし、そこがすごく根底にあって。
自分の心に素直に向き合って、それを怒りだったり表現することって、非常に生きてる上では難しいことだと思うんですね。特に今の社会だったりすると、組織の中に皆さんいらっしゃって、そこでありのままに動くって難しいと思うんですけれども、こういうふうにありたいなって僕も思ったりするんです。そういったことが、このVIVANTの登場人物たちはみんな気持ちいいほど自分の心に素直に生きているっていう。それがこのドラマを通じて視聴者の方に感じていただけると、勇気づけることにもつながるのかなって思ったりはしてますね。
面白いですね。乃木さんはすごい優秀な諜報員というか、別班でありつつサラリーマンっていうのは面白くて、やっぱり一度丸菱商事に入ると、上司から部長からいろいろ言われたりとか、その辺も共感ポイントなんでしょうね。本人もいろんな世界を股にかけて活躍してる人も、サラリーマン的な苦しみがあるみたいな。
それぞれのポジションだったり、自分の置かれてる環境っていうものに皆さんやっぱり戦って、抗って、乗っかっていくのが、人間の一生、多分それが続いていくと思うので。乃木憂助に関しては、普段あんな冴えないサラリーマンである人が、皆さんどこか自分ごとにしていただける要素にはなってるのかなって気がします。
やっぱり嫌な上司いるじゃないですか。そこに立ち向かっていく、半沢もそうだったと思うんですけど、やっぱりVIVANTが面白いのは、乃木も怒ったりするんですけど、もう1人、Fっていう別人格が、乃木さんも普段言えないことが言えるっていう、複雑になってるのが面白いなって。
そう。半沢とは違うのは、裏に自分が別班であるっていうところの本人、乃木憂助がいるんで、Fがいるんですけれども、そこが嘘になってしまわないような設定を考えた時に、普段、従事しているのが演技であると、すごく視聴者の方はがっかりされるんじゃないかという。だからそこが演技ではないとしたらどうすればいいかっていう時に、もう1人のFという存在が別の任務もあって、普段は乃木。だからどちらかが偽りでどちらかが本物ではなくて、どちらも本物であるっていうところが、最初のキャラクター設定の時にこだわった部分。
それは面白いですね。それはすごく視聴者も安心するし、乃木をまさに私、好きになりましたね。例えば長野専務も、乃木が別班で知らなかったけど、お前演技うまいなみたいなシーンがあったと思うんですけど、その分みんな思うんですよ。こんだけすごい別班なんで、普段の冴えないサラリーマンでさえ演技なんじゃないか、つまり視聴者も騙されてんじゃないかと思うんですけど、そうじゃないっていうエピソードとかシーンがあるので、そこは1つ軸になって。
そうですね。そこは偽りなく彼はいる。だけど、幼少期の体験からもう1人の自分を作り出し、Fがいることによって乃木憂助も乃木憂助でいられるという。だから両方とも真実っていうところが、このキャラクターの本当に妙かなと思います。
なるほど。わかりました。考察はこの辺にしてというか、多分皆さんの方が深い考察、私なんかよりできてるので。今日この話したのは、私自身が聞きたかったっていうのもあるんですけど、やっぱり考察って日本のドラマの見方を変えたと思うんですよね。当然、飯田さんはテレビのドラマなんですけど、Netflixあるじゃないですか。あと配信が出てきて、このCROSS DIGはYouTubeなんですけど、どんどん出てくる中、テレビドラマの良さってどこですか? あとは考察文化によって、テレビドラマって今後どうなっていくと思いますか?
考察が行われる一番の要因は、テレビドラマが決まった時間に、視聴率が世帯で10%だと1000万人って言われてますけれども、同じ時間に同じものを見る人の圧倒的に人口が多いっていう。それを配信ドラマのようにいつでも見られる、それぞれタイミングが違うものとはやっぱり違う。それはテレビの要素であるかなと思います。
同じ時間帯に、9時からリアルタイムで見た人がどんどん発信していくので。
なるほど。
それでみんな乗り遅れたくないだったりとか、ネタバレを聞きたくないっていうところで、文化的になっているっていうのはあるのかもしれないですね。やはりそれはテレビだからこそのことだと思ってます。
ただ一方で、これは韓国のクリエイターさんの話を聞いた時に、日本のドラマっていうのは割と複雑なものが多くて、そこの複雑なものがより海外に向けてっていう時に、少し障害になる、障壁になるんじゃないかということはおっしゃっていて、よりシンプルなストーリーだったりとかキャラクターみたいなものが、海外市場では受け入れられることが多いっていうのを聞いてまして。
なので今回のVIVANTの第2シーズンっていうのは、よりシンプルに、この主人公、基本的に今の放送、第18話までですかね。これは配信される時にはなんですけど、基本的には別班を奪還しに行く話っていうことに立ち返っていただくと、すごくシンプルではある。
確かに。
そこの軸は、もしかしたら前回、第1シーズンよりは意識されている部分かもしれないですね。
なるほど。面白いですね。一般的なステレオタイプを含めて、もうテレビなんてダメだ、ゴミだみたいに言われてて、どんどんNetflix出てるじゃないですか。日本が遅れてるっていう論もあるんですけど、日本のクールってやっぱり複雑で、すごくシンプルじゃないってとこあるんですよね。それいいか悪いかとして、そこが特徴なんですかね。
特徴だとは思います。だからすごくシンプルなものが、なかなか今、指標でいくと視聴率という指標に反映されなかったりします。やはり毎回この時間にリアルで見なければいけないんだ、見たくなってしまうっていう、そういったものを作るとなった時に、構成だったりとかストーリーの、複雑というかいろいろ緻密に組まれている感じ、それが結果としてすごく好評なのかなっていうふうに思ってるんですね。おっしゃったように、すごく裏腹な部分が、もしかしたらそこはまだ分析しきれてない部分ではあるんですけど。
このVIVANT自体が日本のテレビドラマを変えようとしてるのを感じるんですよね。例えばドラマって、1話どのぐらいが相場で、これ言える範囲ですけど、VIVANTはこのぐらいかけてるって、比較するものってありますかね?
そうですね。よくネット記事で数字が出てますけれども、皆さんのご想像というところだったりするんですけど、通常の我々がやるドラマに比べて、大体予算的には倍ぐらいある感覚ではあります。
それはもう割と億単位とかかかることもある。
あると思います。ただ、聞くところによるとNetflixのオリジナルドラマとかに比べると、やっぱりそれでも5分の1だったりとか、ものには当然よりますけども、そういう話を聞いたりするので、そこの差というか、そこをどう埋めていくかっていうところはあるかなと思ってます。
その差、埋まるんですか? まず制作費の差、あとはNetflixだと世界に配信するとか、いろいろ先進的なことやってると思うんですけど、この差って埋まっていくと思いますか?
非常にこれは難しいところであるんですけれども、現状のスキームでいくとなかなか難しいかなと思ってます。ただ、そこの差を埋めるということをもちろん努力していく。それはテレビドラマの価値というのを示し続けるっていうことではあるんですけど、それとともに僕が思っていることは、今の予算であったとしても、より深いものを作れるんじゃないかっていうところは思ってます。
例えばどんな点を工夫してるとかありますか? VIVANTの作り方。もちろん予算は普通のテレビドラマと比べたら多いけど、Netflixと比べたらまだ少ないじゃないですか。限られた予算の中で工夫してるとこってありますか?
当然、映像品質だったりとか、そういったものの差はこれでも出てくるとは思ってます。ただ、期間をしっかりと取ることによって、より効率的に撮影ができるようにはなってます。
例えばテレビドラマの撮影期間で大体4ヶ月、長くて5ヶ月取ってるチームがおそらくそこまでないという中で、その中で順々にエピソードを撮っていくっていうのが従来だったんですけど、前作の時も台本が全部撮影前にありましたんで。それで言うと、公安の野崎さんのセット、黒い印象があると思うんですけど、そこで大体撮影で3日間ぐらい、その3日間、とにかく公安のセットをやり続けるっていうことをできるんですね。そうすると、そこの期間をそれにやって、セットを壊して次のを組むっていうことができる。
ロケーションでも、例えば1話から最終話、ある限りの丸菱商事のシーンをまとめて撮る。そうすると、何日も行って帰って、当然車両費だったりとか人件費とか、現場でかかってくる費用だったりとか、そういったこともカットしていけるので、効率化をすることによって、より映像品質とかクオリティアップにお金を使うっていう。そういうバランスの取り方というか、そういったことはできるようになってきてるかなとは思う。
なるほど。これ、飯田さんのご経歴見ると、ドラゴン桜とかマイファミリーとかアンチヒーローとか御上先生とか、いろいろやってるじゃないですか。ずっとそういう問題意識ってあったんですか? ドラマの作り方を変えていこうとか。
そうですね。やはり2010年代、それこそドラゴン桜以前、コロナを分岐点かなと思うんですけど、それこそ半沢とか陸王とか、天皇の料理番とか携わってきた時に、撮影スケジュールと放送というものがどうしても、結構になってしまうということは当然あって。そういった時に、当然その納品というデッドラインに向けて作業をするんですけども、どこかギリギリになってしまうと、なかなか詰めきれない部分だったりとか出てきていて。
やっぱりよりテレビが、4Kとか量子ドットとか、いろいろ高性能になってくると、隅々にわたるところまで詰めていかないと、考察ではないですけど。
目立っちゃいますよね。
そう。そうすると、なかなか間に合わせていける作業っていうところでは、ちょっと立ち行かなくなってくるっていうのは、なんとなく2010年代後半ですかね。20年に近づくにつれて感じているっていうところがずっとあって、徐々に徐々にという感じかなと思ってます。
なるほど。あと前回のシーズン1はNetflixで配信されて、シーズン2はまだわからないんですけど、VIVANTをNetflixで世界配信したこと、あるいは普段飯田さんっていろんな海外のトレンドとか、いろんな人に評判を聞いたり、そういうのをウォッチされてるって聞いたんで。
アゼルバイジャンの撮影に行った時に、当然アゼルバイジャン語の字幕は出てない、英語で皆さん見るんですけど、このVIVANTの特性上、俳優のセリフ回しが早いんですよ。やはりこれって特別なことというよりは、日本の昔のドラマ、例えば黒澤映画だったりとか、そういったものってすごくセリフが早いんですよ。
確かにそうですね。
そうなんです。そこのテンポに慣れているというか、海外もセリフ早いんですよ。日本のドラマが特段ちょっと遅いという印象があって、意識的にセリフは早くなってる。そうすると、英語っていうものが、字幕を追いかけられないっていう声をアゼルバイジャンのスタッフから聞いたりしてて。
海外作品だったり韓国の作品って、必ずあれがつくんですよね、吹き替えが。当然、言語レベルの差もあるし、教育の格差は世界中どこ行ってもあると思うんで、そういったところで文字が読めない方、文字の学習ができない地域の人たちもいる。その中でそれを打破していく。当然第1シーズンで世界配信はできたんですけど、やっぱり吹き替えだったり、音声として耳から取り入れる情報っていうのは、明らかに分量は多くできるので、そこが今後、いつか実現するといいなと思ってて。
それは日本のドラマが、Netflixのオリジナル作品とかは海外の言語の吹き替えがついて回っていくんですけど、まだテレビドラマはそのレベルというか、その段階にはなってないんで、そこが課題感としてはある。
逆に強みって何ですか? 日本のテレビドラマ。
日本のテレビドラマの強みっていうのは、より深く内面を描けるっていうところなのかなっていうふうに思っていて、見た目の派手さとかそういったところよりも、実はVIVANTもすごく繊細に描いていく。これは日本人だからこそ作り上げられる感情の機微だったりとか、セリフだったりとか、そういったところっていうのは強みになりますし。
あとは、海外の人がこれだけ日本に来るお客様が多いということは、日本に対する興味っていうのは当然あると思うんです。そこは日本の、例えば建物だったり、場所だったり、食べ物だったり、人だったり、そういったものへの興味っていうのは当然あるというところで、そういったところをよりしっかりと表現していく。それが見せますよっていうところよりは、世界観としてそこにあるっていう。その中でどういう人物が動いていくか、その内面にすごく掘り下げていくものっていうのが、僕の中だけですけども、可能性としてあるのかなって、おぼろげながら思ってます。
一方で、不利なとこもあると思ってて、例えば007とかミッション:インポッシブルとか、CIAとかイギリスの諜報機関出てくるじゃないですか。これは世界中の人が知ってるし、リアルに世界のテロと戦ってるっていう現実があると。いいか悪いか別に、日本の場合は自衛隊とか、そういうところにあるとされる別班も、別に世界で知られてるわけじゃないし、日本がテロ組織と戦っていくっていうのは、これもいいか悪いか別として、国際政治的にはあんまりリアリティがないじゃないですか。この辺の難しさって感じたりしますか?
やはりおっしゃったようにMI6だったりとか、実はずっと認定されてなかったけれども、ある時認定されたみたいな、ありましたみたいなことがあって、そこはより身近に感じるっていう部分で、皆さんあると思うんですけど。逆に、あるのかもしれない、あってほしいなというものだからこそ、よりちょっとヒーロー化できる部分があるかなと思っていて。
僕はすごくアニメーションが大好きな子供だったんですけど、そういうヒーローに対する憧れ、少年ジャンプだったりとか、その時代、欲しいなと思えることだ。そこの妄想を膨らませる余地が、やはり別班という組織に関してはあるんですね。
ただ、かたや現代、いろんな情報がありますし、いろんな技術が発展して、物事が簡単に出てくる、リサーチとして情報も出てくる中で、やはり想像とか妄想とか空想をする余地って、だんだん失われてきて、それをする時間って少なくなってきてるような社会だと思うんです。そこで、フィクションであるからこそのメリット、そこに皆さんが思いを馳せてくれて、こういう人がいたらいいのにな、あの人別班かもしれないって。
身の回りの、それこそさっき専務が別班であるっていうことが、長野専務が、この年を取った時にどうしたらいいんですかって乃木さんが質問した時に、やっぱり地位を得て、そこで組織を動かすことをすることだって言ってた。そういったことで考えると、もしかしたらどこかの企業の方はそういう人かもしれない。体力がなくなって、自分の情報力を使って出世してるかもしれないです。
かもしれない。
なのでそれって実は、例えばCIAはこういう人っていうのが、別班はこういう人がないからこそ、想像の余地が無限に広がっていくっていうところは、デメリットを補填して余りあるところかなっていう気はします。
なるほど。今日、飯田さんにお会いする前に、私も数少ないインテリジェンスコミュニティの人に話を聞いて、その人VIVANT見てたんです。見てるんですけど、微妙なとこで踏み込んでないって言ってて、防衛省とか出てくるんですけど、そんなに中の組織図とかが出てこないと。例えばシン・ゴジラとか、官房長官とか出て、内閣の構造とか出てきて、そういうシーンが多いじゃないですか。でもVIVANTはそこまで行かないんですよね。それはわざとですか?
はい。細かく描くことで型にはまっていくというか、ドラマのスケール感っていうのがすごく狭まってしまうから、そこの説明はせずに。
これは戦略的に。
せずに、物語をとにかく進めていく。ある種、別班ですし、別班組織の話ではあるんですけど、設定を説明するシーンってあまり実はなくて、ストーリーが進んでいく中で知識としてだんだん理解していく、自然と理解していくところが、物語としてはよくできているものだとは思っていて。今回のVIVANTに関しても、ストーリーが進んでいく中でだんだんわかってくるっていうところが、目指してるところですかね。
なるほど。もう1回このテーマを世界の戦い方に戻すんですけど、今後、このシーズン2とかわかんないですけど、シーズン3とかどんどん作っていくとしたら、どんどん世界に出ていきたいっていうのはあるんですか?
やはりより多くの人に見ていただきたい思いっていうのは当然あります。ただ、日本の国民の皆さん、視聴者の皆さんに、とにかく深く見ていただきたい、愛していただきたいっていうのが第一で、それはもうずっと揺るがないことかなと思ってて。それはテレビドラマである以上、外せないことだとは思ってますね。その上でより多くの人っていうところで、アジア、世界に向けてっていうところが到達できればっていうふうには思ってますね。
そうですよね。私もTBSに限らずですけど、日本のコンテンツって外に出ていってほしいなと思ってて、VIVANTもタイでイベントやったりして、タイでも広まっているし、もっと出てほしいなと。これ別にNetflixをディスってるわけじゃないんですけど、昭和とか平成の昔の話をよく最近Netflixが取り上げてて、めちゃくちゃ面白いし、細部が面白いみたいに思うんですけど、やっぱり今の世界、日本を描いてるコンテンツが出てほしいなと思って。
例えばエルピスとか、本当にジェンダーの問題とか政治の問題とか、めちゃくちゃ描いてるじゃないですか。VIVANTもフィクションとはいえ、今っぽいじゃないですか。これをもっと出していきたいなとは思ってるんですよね。その辺感じませんか? 今の日本を描いてるコンテンツがもっと世界に広まるというか。
そうですね。これは、エミー賞をSHOGUN 将軍が取った時に、すごく日本中は湧いたと思うんです。その時、僕もすごいなって思うと同時に、ちょっと悔しい思いがあって、やはり海外から見た日本っていうのが、例えば時代劇だったり忍者だったり昭和の時代とか、そういったところっていう意識がまだ根付いてるっていうところ。
それ嬉しいんですけどね。将軍とか、あと忍びの家とかも好きなんですけど。
僕も大好きです。忍者とかも僕も大好きなんですけど、将軍も面白かったんです。と同時に、テレビ局が作っていくものとしては、今を捉えているもの、日本社会の今を如実に表せているものっていうところで勝負できることが、一番目指したい部分ではあるかなと思います。
かつて、今もそうですけど、決められた時間に見ているっていう視聴者を相手にしてた時代から変わったじゃないですか。これはみんなが知ってることで、じゃあ内容を変えていくのか、あるいはプロモーションを変えていくのか。まずどうやって変えていきますか、飯田さん。
これ一概に、僕も模索途中で、どういうものが外に出ていくために受け入れられやすいのかっていうのは、まだわからないというか。ただその中で、まず現実的にわかっていることで、できることでいくと、やっぱり制作体制ですよね。
変化させていくことで、さっきちょっと挙げましたけれども、VIVANTは撮影前に全部の台本があって、準備が全部できてる状態で入っていくっていうのがありますけれど、まだまだ全部のドラマがそういう状態ではないというところがあります。まずは撮影前に全部の本があって、放送前に全部の撮影が終わっていて、っていうところをまず目指す。
今、撮影期間が大体、連ドラの10本だと3.5から4ヶ月ぐらいで作っているんです。ただ理想を言うと、それが5ヶ月から6ヶ月をかけて10本を撮るっていうところが、理想の状態かなというふうには思っていて。それで何ができるかというと、当然準備をしっかりする期間があって、撮影の1日の分量をどんどん減らしていく。そうすると、そこに対する品質をどんどん上げていく。それが続けられるためには、もう少し撮影期間を伸ばして、質を上げていくっていうところがまず大事であるっていうこと。
大概オンエアの2ヶ月前から撮影が始まるっていうのが普通だったんですね。そうするとだんだんクロスしてきて、オンエアが始まってて撮影してて、編集とかポスプロも。そうなってくると、全員が、どういうことをここで表現したいかっていうものの表現が、それぞれできない状態。つまりデッドラインがもう決められてるから、そこに間に合わせるためにはこの戦略で作るっていうことで、選択肢が限られてる。回すことになっちゃうから、回す仕事っていうことをずっとしてきた。
だけども、技術も美術もプロモーションも、それからグッズだったりイベントチームだったり、そういったみんなが自分の考えを、1つ企画に対する軸はあるんで、その軸に対して自分がどう貢献できるか、どういう力を発揮できるか、自分の得意分野をどう持ち込めるかっていうのを考える時間をちゃんと作って、その準備がちゃんとできて、それを現場で発揮する。ものができた後のプロモーション、その他のことにするっていう時間をちゃんと取ることによって、総合力が上がっていくと思うんですね。そういう制作体制が、僕個人としては求めていく、これから突き詰めていきたいところかなと思ってます。
なるほど。飯田さんは当然プロデューサーだから偉いんですけど、ただビジョンはみんな共有してる。例えばこれは、乃木さんが、純粋な人が突き進んでいく物語だっていうビジョンは共有した。あとは下からアイデアが出たりとか、このシーンはこういうふうにやりたいみたいなのが出てくるようになると、コンテンツが良くなるし、結果的に海外でも通用していくみたいな、そういう流れですかね。
気がしてて、海外で何が通用するって、僕個人の意見って微々たるもので。ただ、例えば技術セクションの人は、いろいろ知見を得て、技術に特化した勉強してますし、美術もそうだし、プロモーションもそうだし、俳優ももちろんそうだし、それぞれが勉強してきた知見を持ち寄っていくためには、やっぱりみんなに裁量を持たせてやる。そういうふうになっていくと、海外を知っている人、勉強してる人が、よりチームの中で多く意見を出せるようになると、これが道かどうかわからないですけど、少しは近づけるのかなっていう。
でもそれはすごいピンときますね。これが伝家の宝刀だ、これが答えだっていうよりは、みんなが自然と入ってくる海外の情報を持ち寄っていけばいい。だんだん積もってきて、大きなパワーになりそうですね。
そんなことはすごく受けてて、この前、タイのプロモーションに行く時にグローバルビジネスの人と話して。そん時に、多分これを聞いてる人は、いや当たり前でしょって思うことかもしれないんですけど、ドラマだけやってる僕からすると目から鱗だったのは、国宝っていう映画があったじゃないですか。
大好きです。
僕も大好きです。それを海外に売る時に、例えばここの国ではこのビジュアルで売る、ここの国にはここのビジュアルで売る。国ごとにビジュアルが違うっていう。それが当然なんです。僕らはキービジュアルを1個作ったら、それで全部勝負しようとしてる。でもそれって、それがスタンダードじゃないんだっていうことを、そういう話を聞くと知ることができたんです。
それでまた時間の話に戻るんですけど、それが海外に出る戦略だとするならば、俳優さんとかキャスティングとかをする、もっと以前の段階で、この国に売るためにキービジュアルをいくつか作ります。このビジュアルはこういきますっていう、そういうことをやりますんでよろしくお願いしますっていうことを、最初から話しながら進められる。それは時間があればこそできる。
VIVANTも1年以上かけてやってきたからこそ、何かとこの施策を、今回は成功目的も当然あるんですけど、いろんなことの試行錯誤を全部できることが、VIVANTのプロジェクトの財産になるのかなと思っていて。
やっぱり時間ですか。
時間、大事です。
確かにパラサイトとか見てると、国によって違いますよね。家の家族の描き方とか、ポスターとか。ただテーマは似てるというか、格差社会とか貧困。だからビジョンさえしっかりしてれば、多分、表現の仕方が変わっても伝わるような気がしますよ。
そんな気がしてて、当然、文化も宗教も違う国に売っていくところで、だけどコンセプトは変わらず。あとパラサイトの例でいくと、海外に見せるために合わせる必要があるのかって思っていたんですけど、ある人から話を聞いた時に、でもパラサイトとかって、韓国の格差社会をとにかく深く描いていくものがアカデミー賞を取る。
ってことは、日本のドラマを海外向けに変革させていくことが、果たして必要なのかどうかでいくと、より日本のコアな部分とか、海外の人が面白いよねって言ってくれる部分とか、そこにぐっと入り込んでいくっていうことも、1つ突破口としてあるのかなと思っていて。去年、御上先生っていうドラマをやった時に、ちょうどその時、アカデミー賞の外国語ドキュメンタリーかなんかで、日本の小学校の話。
山崎エマ監督ですかね。
日本の小学校はすごく前ならえとか一斉登校とか、それが海外の人には面白く、すごくおかしく映った。
そうです。合唱とか掃除をしてるとか、そういうのが普通のことですから、小学校でも。それが珍しかったというか。
そう。それを聞いた時に、面白がれる。独特なんですよね。おそらく日本の教育の仕組みっていうのも独特だっていうのを聞きましたし、そういったところを突き詰めていくことが、海外にもしかしたら出られる要素もあるのかなとか。いろんなことをトライするにも、やっぱり時間っていうものがあると、少しずつ変わってくるのかなっていう気がしてます。一番難しいですけどね、時間を確保するっていう。
そうですね。ただ日本、VIVANTも商社でみんながずらっと並んで、社員証をぶら下げてるのは、もしかしたら日本っぽいというか。
いいかもしれないですね。
そうか。人数とかどう思いますか? 海外ロケに行って、かけてる人数の違いって感じますか?
プロデューサーの数も違いますし、一番、あと照明部。ライティングチーム、日本だと大概4、5名。5名いると多分多い。海外の撮影の時に照明が大体20人とかいるのが、最初聞いた時にそんな来るのって思ったんですけど。
照明の方だけ20人。
でもそこはいろいろ細分化されてて、機材を運んだりとか。機材も当然、日本のテレビドラマではあまり見たことないものだったりするんですけど、そういったものが使われていて。当然、海外の例えば韓国のドラマとか見ると、ライティングだったり色味みたいなものがすごく。
海外、色味が違うと思いますね。
そこの差があって、そこは当然、時間と機材と撮影の仕方っていうところが明らかに違うんですけど。そこの照明部の人数の多さだったり、あと特殊機材。タイに撮影に行った時に、レールという、カメラがこう。
線路みたいなやつみたいな。
乗っけて動く、映像として横に平行移動する映像とかを撮ったりする時にやる、そこの機材も、僕は見たことのないものにカメラマンが乗っかってやってたんですけど。何がすごいって、そこの組み立てとかをする部隊の俊敏性と連携みたいなのがすごくて。
なるほど。
そういったことが、人がいるからこそ、撮影にかけられる時間をより多く捻出するために、機材セッティングとか、そこの時間をとにかく減らしていくということで。人数がいることのメリット、当然映像品質にもあるんだけれども、時間の確保とかそこにも影響してるんだっていうのは、すごく感じたところですかね。
なるほど。これの話にこだわりたいのは、私も普段いろんな日本の企業取材とか経営者に話を聞くんですけど、ここなんですね。人のアロケーションっていうか、どこに誰を配置するのかっていうのが、ドラマに限らずうまくいってなかったりとか、本当に欲しいところにあんまりいなかったりとか。なんとかなるものなんですか? それともどんな感触ですか?
そこはドラマにおいては、なんとかなるようにはやりたいなと思っているんです。ですけど、これはどうなんですかね。いろいろな声を吸い上げて、しっかりと全体で共有することで変わっていくのか。そこは非常に難しいところはあると思ってます。
ずっと変えようとするということが変わってない時代っていうのがあるわけで、今こういうことが起きて、こういうことが必要なんです。こういうことをするとこういういいことがあるっていうことを、もう丹念に訴えていく。VIVANTだったりとか、そういったことはこれが施策になっているので、VIVANTというものが、このプロジェクトの意義っていうのは、そういう変えるための突破口というか、砦と言えるかもしれないですけど、そういう位置づけには置いてたりします。
なるほど。確かにVIVANTがあれば、経営も文句言えないというか。その中でこんなことやりました、うまくいきましたとか、今までとこういうふうに変えたけど、実はこっちの方が効率良くないですかとか、それが言いやすくなるってことですね。
言いやすくなるように、まずは結果を出す。それが一過性ではいけないと思ってて、当然前作があって、前作がある程度好評だったからこそ、今作でいろんなことが試せてるっていうのは、これは紛れもない事実だったりするんです。大概ドラマは1本、1本目っていうものが大概なので、そういったものに対して同じような施策を組めるかどうかっていうところは、今後の課題になってくるんですけど。ただ、いかに今回こういうことでやれました、なのでこれは再現性があるので、次もぜひやるべきです。
これはちょっとVIVANTというものだからできた、特化したユニークなものですっていうのは、僕ら今プロジェクトにいるチームのメンバーは、それをちゃんと総括して次につなげていく義務があるとは思ってて。それがまた次の何か、1発目のものでもやって、それが成功したってなると、それがどんどん再現性あるもの、施策になってくる。それが当たり前になってくるといいなと。少しずつ変わって、他の局も変えて、日本のコンテンツが底上げ……。
なんか突破ありそうですよね。
とは思ってます。やっぱりテレビドラマっていうか、テレビ局が作るコンテンツのパワーっていうのは、本当に計り知れないもので、可能性が本当に。全然テレビの代表でもそんな身分でもないんですけども、その可能性があるっていうのは、やっぱりこのVIVANTもそうですし、スポーツイベントだったり、NHKの大晦日の番組もそうですし、すごく見るコンテンツであるっていうことには、いまだ変わりのない事実だと思うんで。そこを業界としてもう1度となれるように、きっかけになるといいなっていうのは思ってますかね。
でもバラエティと比べて、どっちも大変ですけど、バラエティだったら長く続けることで試せたりするじゃないですか。ドラマって大変ですよね。枠が決まってるので。
そうですね。だからそこに全てを注ぎ込むというか、タイミングも大事ですし。今回、それこそさっき、長く1年間あったんで、いろんなプロモーション施策を試してこれたけれども、やはりこの1回に全てを、勝ち筋のものをその前にして投入する作業は非常に難しい。だからどうしても成功例があるものの戦略に偏りがちなのは、多分ドラマの宿命であり、そこをどう打破していって。
そうですよね。
勝ち筋の中の何が本当に要素だったのかっていう、そこのキーの部分っていうのをちゃんと抽出して、じゃあこのキーのものからちゃんとそこを膨らませていける新しい施策みたいなものをやれるといいんですけど。そこにはやっぱり勇気と理解と、いろいろ必要かなと思ってますね。
私も漫画の原作とか大好きなんですけど、やっぱりオリジナル、VIVANTもオリジナルですけど、あるといいですよね。ただその分リスクというか、今日ちょっと話いかなかったんですけど、プロモーション、こういう本のノベライズもあるし。これ何ですか、湖池屋の。こういうのをちょっと買ってきたんですね。これ、鳩サブレーとかあるんですけど、企業の方も始まってないドラマだったら乗りにくいじゃないですか。だからそれ大変ですよね、このプロモーションって意味でも。これ見て、なるほどなってなるんですけど、ワンがあったからってのありますよね、シーズン1。
おっしゃる通りで、ワンをすごく、社長はじめ、社長が見てくれていて、それでぜひということであって。それはあったからこそで、これもやっぱり時間というのがすごく、かなり長い、昨年から打ち合わせをさせていただいてるものだったりするんですけど。なかなかやっぱり、見たことのないもの、オリジナル。原作がやっぱり売れていれば乗っかれるっていうことは担保されてる。
これはもうキャスティングにしろ、いろんな施策にしろ、多分プロモーション戦略にしろそうだと思うんですけど、オリジナルのコンテンツで、この台本と企画書の文字から『どんなものになるんですか、これ』っていうのを、なかなかやっぱり理解するっていうことが非常に難しいし、理解させることも難しい。だからそこに乗っかってもらうことは、非常に多分さらに困難を極める作業で、社内ですらやっぱりオリジナルコンテンツの企画書を出した時に、その企画を決める部署の方々がみんな同じイメージというか、絵を描けるわけではないので。
そうですね。『何だ、VIVANTって』みたいになっちゃいますね。
そうなんです。そこは非常に難しいかなと思っていて。ただ、これちょっと話ずれちゃいますけど、そこには今AIの進化とかあるんで、例えばそういうものを使って、実際の撮影はまだだけれども、こういう絵になって、こういうビジョンになりますっていうことを、企画提案の段階で見せられるようにはなってきてるんですよ。
現に助監督の仕事も、こういう、原稿って言って、監督にこういう画面にしますとかっていうものも、実際絵にしやすくなってるんで、ビジョンの共有っていうのはしやすくなってるんですよね。そういったことをより活用していくことは大事かなと思って。やっぱりオリジナルはすごく……。ですけど、やはりオリジナル作品っていうものには、弊社こだわっているところではあるので、そこでどれだけ勝負できるかっていうところの輪は広げていけたらいいなとは思って。
確かに、VIVANTも突入する時、図作ってくれますもんね。みんな、こんな感じなんだみたいな、作戦のために。そうなんです。乃木さんのセリフを補完してくれるようなところっていうのは、あれはすごく理解の助けにはなってるとは思うんですよね。
あと、CROSS DIGもブランデッドコンテンツっていう営業部隊あるんですけど、今の企業さんって、多分湖池屋さんも、VIVANT流行ってるから乗せようっていう話じゃないじゃないですか。深いところでVIVANTが持ってるビジョンと、湖池屋さんの、これってもう一面なので顔じゃないですか。なんかその深い理解も大事ですよね。単に儲かるからやりますとかじゃないじゃないですか。今の企業さんって深いところでつながってなきゃいけないっていう。
すごくヒットしてるものに乗っかろうという感じではなくて、理念だったり、この日本のいいものを世界に届けようだったりとか、そういう挑戦とか、そういったものにすごく湖池屋さんは乗っていただいた感じがすごくあって。湖池屋さんに行ってすごくショッキングだったのは、社長が自ら打ち合わせに出てくるんですね。これちょっと言っていいかどうか、ちょっと確認なんですけど。社長が自ら出てきて、こちらの我々と商品化のチームと行って、向こうにずらっと若い社員と社長が。こうやって、ああ、みたいな。
すごいですね。
それでその入社3年目の社員の人がプレゼンテーションして、これ、野崎、アゼルバイジャンの、トルコからのあれですけど、野崎が持ってるケバブというものがいいと思います。これと対になる、一緒に発売されてるのは乃木ののり塩で、乃木さんの方は島根の宍道湖っていうイメージを取れたのりっていう。ここでこういうコンセプトでこれをやりたいと思いますって言った時に、社長が『これ、もっとこうした方がいいんじゃねえか』ってその社員に言うんですよ。その時に、2、3年目なんですよって言ってたから、『いや、社長、それ違います。こうですよ』って言うんですよ。
すごいですね。
ちょっと話ずれちゃいましたけど、そういう企業さんとコラボレーションできるというのは、すごくやっぱりVIVANTがやる意義もあるし。福澤さんがインタビューでよく言ってますけど、『今、自分はVIVANTに生きられているか』。生き生きとって意味があるんですよね、フランス語で。だからそういった企業とコラボレーションしたりとかも、すごくありがたいところですね。
すごい分かります。今日のテーマが日本のコンテンツはどう世界に行くかなんですけど、例えばファミリーマートとかも大谷翔平をおにぎりに使ってるのも、やっぱりあれは日本から世界へっていう象徴を大谷さんが担ってるからで。これからのプロモーションって、売れるものに乗っかろうっていうよりは、こういう時代なんで、多分理念を考えながらやっていくと思うんですよね。
今回、もうそろそろ終わりなんですけど、やっぱり時間っていうのが1個テーマだなと思いました。これが解決策だ、これが日本のコンテンツは勝てるとかで、見てる方の業界も、グローバルでどう勝てるかっていうのはどんな業界もテーマだと思うんですけど、やっぱり時間をかけるっていうのは1個答えというか、ヒントかなとちょっと思いましたね。
そうですね。時間の捻出はできると思うんです。お金を増やすこととかよりも、やっぱり時間を確保するってことは大事だと思ってます。そうすることによって、コンビニタイアップも、大概通常のドラマだと『コンビニできませんか』って言った時、『もうコンビニさんは1年前からやってないと』なんていうことがよく。すごい密なスケジュール。
そうです。やはりすごく密に戦略をコンビニ各社やってるので、そこに入り込んでいくのって、付け焼き刃だと絶対できないことが、今回はその時間があることによってできたことなので。そこはすごく時間というところがキーになることは間違いないというのと、今回分かってきたのは、時間を今回かけてやれるってなった時に、今この時間をかけたことがすごくメリットとなってるんですけど、その当初、プロジェクトの最初の方は、時間があるということに慣れてないんです。これ僕も含めてなんですけど。
面白いんですね。なるほど。
1年間あります。1年間あるんだけど、1年前に何をやればいいかというところが、なかなか動き始めというか。
かえって難しいね。
はい、そこなんです。これドラマ作りにおいても、『いや、もう時間足んないよ』っていつも言ってた自分が、時間があるから『今何やればいいんだ』ってなってしまうっていう。でも今回は、プロモーションを担ってる方だったりとかも、時間がある、1年間あったらこの期間をこうしよう、この期間こうしよう、この期間こうする。放送直前はこういう期間に当てるっていう戦略を綿密に組んでくれたことによって、今回のいろんな施策ができているんですけど。
そういった時間の使い方の、まずは時間があるということに慣れる。時間がかけられたらこれができる、だからこうしようっていう、そういったことを。これは多分時間が1年与えられたら全部が成功するかというと、多分2回、3回の施策を経て、やっとそれが自分の体感として、スキームとして確立されてくると思うんで。そこの難しさは感じたと同時に、やっぱり繰り返していくことが本当に大事なんだっていうのは、強く感じた部分ですね。
分かりました。ありがとうございます。時間がある、確かにちょっと自分を考えてみますね。有限な分、どうしたらいいのかっていうところから。本当にぜひまた来ていただいて、お話を聞いていきたいと思います。
ということで、CROSS DIG 1on1、以上となります。皆さんぜひチャンネル登録と、高評価お願いします。あと概要欄に、CROSS DIGで出してるニュースレター書いてますので、私、竹下と、アナウンサーの篠原さんと、ビジネスエディターの中川さん書いてますので、概要欄から登録してください。あとCROSS DIGのXのフォローもお願いします。ということで以上となります。今日はドラマプロデューサーの飯田和孝さんとお届けしました。どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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