AI、社会主義、宗教から読むアメリカ中間選挙 三牧聖子・加藤喜之が語る「A面」の裏側
TBS CROSS DIG with BloombergTBS CROSS DIGの番組「BACKSTAGE AMERICA」は、ニュースでは見えにくいアメリカの思想的な「B面」を、本や映画、音楽といった「杖」を手がかりに読み解いている。今回のテーマは11月3日に投票が行われる中間選挙だ。下院の全議席と上院の3分の1が改選され、トランプ政権が維持されるのか、加速するのか、減速するのかが問われる。
ゲストは番組初の出演となる同志社大学大学院教授の三牧聖子さん(アメリカ政治・外交)で、立教大学教授の加藤喜之さん(思想史・宗教学)と、TBS CROSS DIGの竹下隆一郎さんが進行役を務めた。3人は共和党の赤か民主党の青かという勝敗の予想にはとどまらず、「AIと物価高」「地下水脈に流れる社会主義」「キリスト教ナショナリズムと主流派教会」の3つを軸に、選挙の裏で何が動いているのかを論じた。
突然争点になったAIとデータセンター
竹下さんは、AIが中国との競争やアメリカ経済の次の原動力と位置づけられ、トランプ大統領が規制緩和を進めてきたと整理した。そのうえで、建設中を含めると全米にデータセンターが約4,800あり、各地で住民が困っているという問題を提起した。
加藤さんはまず数字の扱いに注意を促した。データセンターには携帯電話向けのものなど様々な種類があり、問題になっているのは数十メガワットから100メガワットを超える大型のAI用施設で、その数は「おそらく100いくつ」だという。4,700や5,000といった数字が出回り、アメリカ中にこうした施設が乱立しているように受け取られがちだが、実態はそうではない。ただし大型施設は、水の汚染、電力網の逼迫、既存インフラへの負荷によって、地域の共同体に相当な圧力をかけている。加藤さんの説明では、現在およそ100が稼働中、120が建設中、160が計画中である。「大きく美しい法案」でデータセンター建設に多額の資金が充てられることが決まっていたため、急な変化に人々が戸惑い、それが選挙で争点として使われている。これが加藤さんの見る構図で、少し距離を置いて見るべきだという。加藤さんはまた、AI競争にブレーキをかけるべきかどうかで、民主党と共和党の双方の内部が割れており、共和党の地域レベルでもデータセンターを止めようとする動きがあると指摘した。左右の対立には還元できない問題だという見方である。
三牧さんは、AIと物価高を並べたテーマ設定そのものに意味があると述べた。AIの発展を否定する人はほとんどいない。問題は、マイナス面を誰がどれだけ引き受けるのか、AI企業にもたらされる莫大な利益が本当に人々に還元されるのか、という点にある。三牧さんの見方では、共和党には規制を好まないAI業界から相当な資金が流れ込んでおり、業界がトランプ大統領を支援して規制を抑え込もうとする構図が、この中間選挙で見えてきている。
「米中競争」の論理と市民の生活
三牧さんは、米中競争をめぐる世論の変化にも触れた。アレックス・カープの『テクノロジカル・リパブリック』のように、AIを米中競争の最前線とみなして絶対に優位を保つべきだとする議論はある。しかし世論を見ると、中国がそれほど好きではないにしても、2000年代のように全分野で覇権を握るべきだという空気ではなくなっている。三牧さんによれば、覇権や米中競争の名のもとに莫大な資金がそちらへ流れ、人々の生活の底上げや社会保障は20数年にわたって後回しにされてきた。先日のトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談が宥和的だったことも、その空気を映しているという。
米中競争で「絶対に負けられない」と最も声高に主張しているのはAI・テック業界だ、と三牧さんは見る。市民も米中関係に関心がないわけではないが、競争のためにデータセンターが次々に建てば、水や騒音の被害を受け、電気料金も上がるかもしれない。そこで生活も大事にしてほしいという声と業界の論理がせめぎ合っている。三牧さんはさらに、データセンター反対の動きを中国による情報戦・認知戦の結果とみなす言説に注意を促した。中国がそうした工作を試みている可能性と、住民が抱く正当な懸念とは区別して扱う必要がある。反対しているのは環境意識の高いリベラル層に限らない。慣れ親しんだ景色が失われることを嫌う保守層も含め、超党派で反対が多数になっているという。
加藤さんは、トランプ大統領が集会で中国について語る内容を拾ってみると、大豆を売るといった生活に直結する話が多く、対立路線はあまり取っていないと述べた。習近平氏を「いい人」と評するような大衆受けする発言もある。一方で、AI規制の動きは中国の思惑によるものだという話がまことしやかに語られており、それはAI推進派が広めている言説かもしれない。加藤さんは、現実に起きていることと選挙向けに語られている言説とを区別すべきだとし、中間選挙後にもこの問題が議論され続けるかどうかは怪しいと述べた。
AIへの恐れと規制をめぐる攻防
竹下さんは、隣の土地にデータセンターができる恐怖とは別に、AIそのものへの恐れが選挙に影響していないかと問うた。三牧さんは、データセンター問題以前から雇用を奪うという懸念があったと答えた。技術発展を歓迎していそうな若者層ほど反対が強く、大学の卒業式でグーグルのピチャイ氏のようなテック業界の人物が登壇すると学生が退出して抗議する例もあるという。データセンター自体もあまり雇用を生まない。最近では、人間が制御できない「超知能」が生まれるのではないかという不安も広がっている。
業界内部からも自主規制を求める声は出ている。しかし三牧さんは、開発している当事者による規制では意味のある規制にならないという見方がアメリカにはあると説明した。バーニー・サンダース氏ら民主党左派は、実際に損害を受ける市民の声を規制に反映させるべきだと訴えており、企業が自ら規制を言い出すのは民主的な統制を避けるためではないかという疑念もある。市民の声をどこまで反映させられるかが、データセンター以外も含めた大きな争点になっていると三牧さんは見る。
「マスキズム」とフォーディズムの違い
加藤さんは、伝統的な製造業なら大工場を作って人を雇い、中間層を育てることができたと述べ、イーロン・マスク氏の事業と対比した。マスク氏のxAIがテネシー州メンフィスに置く大型データセンター「コロッサス」は、ほぼ自動化されていて人をほとんど雇わず、巨大な建物だけができて土壌が汚染されている。加藤さんによれば、それは今年7月のロイターの調査でも明らかになった。トランプ政権は関税で製造業を呼び戻し、表向きは労働者のためと言っているが、トランプ大統領と最も親しいマスク氏はその反対の方向へ進んでいる。この点はあまり知られておらず、もっと知られるべきだという。
ここで三牧さんが「杖」として紹介したのが、歴史家クィン・スロボディアンとテック批評家ベン・ターノフによる『マスキズム』である。三牧さんの紹介では、20世紀のフォーディズムは大量生産によって労働者を消費者としても豊かにし、それで社会の平穏を保つ体制だった。これに対しマスキズムは、労働者に十分な賃金を払い生活を安定させることを、そもそも目指さない。富は一部の業界に集中し、人々は不満を抱えたままになる。そこでマスク氏やトランプ氏は、生活が良くならないのは移民やマイノリティのせいだという「シンボル操作」を、Xのような巨大な影響力を持つプラットフォームを通じて行い、批判が自分たちに向かないようにする。三牧さんは、フォーディズムを理想化してはいけないと断ったうえで、格差を是正しようともしない富裕層がいる世界を描き、そこからどう抜け出すかを示唆する本だと評した。
加藤さんは、この本がマスク氏の評伝でもある点に注目した。幼少期に日本のアニメやメカに親しみ、インターネットにのめり込んだこと。環境問題を重視したオバマ政権期に電気自動車で補助金を得たこと。2020年ごろまでは比較的穏健でリベラルな面もあったこと。それがコロナ禍のカリフォルニアの規制やリベラル派からの攻撃を機に反動化し、トランプ氏を支援してツイッターを買収するに至ったこと。一人の人間がアメリカと世界をここまでかき乱す過程が時系列で分かるという。
三牧さんはマスク氏と国家の関係も強調した。社会保障を受ける人や移民を「国家に依存している」と非難する一方、マスク氏がトランプ政権に民間人として入り込んで最初に手がけたことの一つは人道支援の解体だった。しかし自身の事業は国家の補助金や契約に大きく依存しており、政府効率化省がNASAを削減して自社のスペースXを入れるといった、国家と企業の共生関係が肥大化した権力を生んでいる。リベラル政権下ではEVで、現政権下では別の形で、そのときの政権に寄り添っており、ある意味で一貫しているというのが三牧さんの見方だ。
加藤さんは、それでも単純には批判しきれない難しさがあると付け加えた。私たちはAIを使い、技術革新の恩恵も受けている。巻末の解説にも、その魅力を認める記述があるという。科学技術の発展を止めればよいわけではない。それでも、自己利益を追求する人物が巨大な力を持ち、共同体や人類を壊し始めたとき、国際刑事裁判所(ICC)も国連も止められないなら誰がどう止めるのか。加藤さんはこれを大きな課題として挙げた。竹下さんは、2010年のティーパーティーのように選挙は新しい潮流を生むとし、今回の中間選挙は「マスク的なもの」が今後どうなるかの試金石になると述べた。
民主党の三つの潮流と、社会主義への「アレルギー」の後退
2つ目のテーマに入るにあたり、竹下さんは雑誌『外交』に掲載された渡辺将人さん(慶應義塾大学)の分類を紹介した。民主党には、社会主義的・反大企業的な「新世代左派」、伝統的な「労働者派」、そしてエズラ・クラインらの『アバンダンス』に代表される、住宅や学校が建たない「不足」を問題にする潮流の3つがあるという整理である。
三牧さんは、アメリカがもともと「我々は豊かで機会に溢れているから、ヨーロッパのような社会主義は要らない国だ」と自己規定してきたと説明した。冷戦が始まると社会主義は敵の体制であり国家統制経済だというイメージが植え付けられ、長く忌避されてきた。しかし「社会主義は要らない」と言っている間に、アメリカは先進国でほぼ唯一、国民皆保険のない国になった。社会主義を拒む言説は、現状を変えたくない権力者の言説ではないか。その対抗概念として、ソ連型の統制経済ではない「民主社会主義」が出てきている、と三牧さんは見る。民主社会主義は経済成長を否定しておらず、経済だけの話でもないという。
その象徴として三牧さんが挙げたのが、ニューヨークのマムダニ市長だ。マムダニ氏がよく語るのは労働者の尊厳である。住んでいる地域の政治に自分たちの意見を反映してほしい、すべてを上層の豊かな人々の経済的利害で決められたくない、という訴えであり、労働者の発言権という意味では民主主義の主張でもある。三牧さんは、今のアメリカでこうした潮流が出てくるのは必然だったと述べた。
「経済か文化か」を超える新世代と、ガザの問題
加藤さんは、渡辺さんの論考が指摘する新世代左派の重要な点として、民主社会主義的な経済政策を掲げながら多様性も諦めていないことを挙げた。さらに、彼らが勢いを得た背景にはガザ以降のイスラエル問題があり、民主党がなかなか一致できない点だと述べた。アメリカ社会には白人至上主義や優生主義的な発想が底流にあり、日本人には見えにくい経済以外の要素が経済にも大きく影響している。エル=サイード氏らはそこにも切り込もうとしていると加藤さんは見る。
三牧さんは、トランプ大統領が関税の果てに戦争まで始めたことで反トランプ票が民主党に集まり、民主党は今勢いがあるものの、党自体はそれほど信頼されておらず支持率も高くないと指摘した。理由の一つは、民主党が文化面のリベラリズム、つまりCEOに女性を増やすといった見えやすく、既存の権力構造は変えない「見せかけの多様性」に力を入れてきたことにある。人々はそれに疲れ、経済なら共和党の方がやってくれると流れた。しかしその期待も裏切られた。三牧さんは番組の過去回での2人の議論を引き、実際には人種的・性的マイノリティが様々な差別によって生活面でもより苦しい状況にある以上、経済か文化かの二者択一ではなく、その組み合わせこそが重要だと述べた。新世代左派はその点を理解し、民主党を分断してきた二項対立を乗り越えつつあるという。
イスラエル問題について三牧さんは、2023年にハマスの攻撃をきっかけに始まった軍事行動で7万4,000人が亡くなり、ヨルダン川西岸では入植という名の暴力が加速していると述べた。若い世代は圧倒的にパレスチナ支持で、民主党支持者ではパレスチナへの共感がイスラエルへの共感を「トリプルスコア」ほど上回っているという。生活の底上げが必要なのに、イスラエル支援になると巨額の軍事援助が自動的に約束され、「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ大統領さえ軍事支援をして一緒に戦争まで始める。人道的な関心と、自国を立て直したいという関心の双方から、無条件の支援体制を見直すべきだという動きが若い世代を中心に広がっていると三牧さんは見る。
左派が台頭すると党はまとまらないのか
加藤さんは、民主党は派閥ごとに寄付者や利害関係者が異なると指摘した。エル=サイード氏が新世代左派の路線で州レベルでは勝てても、新世代に近いタラリコ氏、オハイオ州のシェロッド・ブラウン氏のような伝統的な労働者派、アバンダンス派や新自由主義的な人々は、全国で見ればばらばらだ。そこで加藤さんは、中間選挙で勝ったとしても2028年に向けてまとまれるのかと問うた。
三牧さんは、「左派が台頭すると本選で勝てない」という主流派の言説そのものを問い直すべきだと答えた。中道派は、イスラエルとの関係は重要だから軍事支援は続ける、国民皆保険は良いが財源がないと言う。しかしその結果、国民の少なくとも半数が、医療費の請求が怖くて本当は行きたい医療機関に行けない状況にある。国連総会で各国がイスラエルを批判する中で支援を続けることも、アメリカの外から見れば異常に映る。三牧さんの考えでは、「急進的」とレッテルを貼られる側の方がむしろ真っ当なことを言っており、「急進的すぎる」「理想主義的すぎる」というレトリックは、相手の正統性を奪うために使われている。世論調査では、民主党支持者の間で社会主義的な方向を望む声が強いことも分かっている。そのため変化を問われているのは主流派の側だ、というのが三牧さんの結論である。
その兆しとして三牧さんが挙げたのが、オバマ元大統領がエル=サイード氏の応援に入ることだ。エル=サイード氏はオバマ氏の医療改革を不十分だと批判してきた人物だが、オバマ氏はこの間の人々の求めるものの変化を見て、左派の主張に見るべきものがあると考えたのだろうと三牧さんは推測した。加藤さんも、オバマ氏がテキサスでタラリコ氏とタコス店を訪れたこと(竹下さんによればトルティーヤも焼いていた)に触れた。さらに、カンザス州で信徒2万4,000人ほどを抱える教会の牧師アダム・ハミルトン氏の陣営に、民主党側から500万ドルほどの資金が投じられようとしているとし、中道派も新しい候補を支えなければならないと考えている表れかもしれないと述べた。
剥がれ始めたMAGA支持と、文化戦争に頼る共和党
共和党側について竹下さんは、同じく『外交』で読売新聞アメリカ総局長が示した4分類を紹介した。トランプ氏への忠誠心が高い「MAGA派」、進歩的価値観に反発する「反ウォーク保守派」、伝統的で穏健な「主流派共和党員」、消去法でトランプ氏を選んだ「消極派」である。
三牧さんは、トランプ大統領は重大な裏切りをしたと述べた。ブッシュ政権もオバマ政権も中東の軍事介入から抜け出せず、国内がなおざりにされた。だからこそ「戦争をしない」ことがトランプ氏の最大の公約だったのに、地域大国イランと戦争を始め、ホルムズ海峡を開けられない状況になっている。労働者を救うと言いながらマスク氏やAI、暗号資産といった特定業界と結びつき、自身の資産もこの1〜2年で大きく増えた。三牧さんによれば、理念からトランプ氏を支持していた人は「トランプはMAGAを捨てた」「イスラエル・ファーストになった」と批判して離れつつある。何があっても支持する信仰崇拝的な層は残るものの、支持は「剥がれ始めている」という。
加藤さんは数字を挙げた。2026年8月の世論調査によると、共和党支持者のうちMAGA派を自認する人は、イラン戦争開始直後の3月には77%だったが、8月には68%に下がった。依然として高い数字ではあるが、岩盤とされてきた層も少しずつ離れ始めているという。加藤さんはまた、かつて共和党を支持していた時期もある穏健中道のハミルトン氏を、共和党系の議員が支持する例が出てきていると指摘した。
三牧さんは、ハミルトン氏のように文化的なイデオロギーを前面に出さず、物価と生活の問題を訴える候補なら共和党支持者も乗りやすいと述べた。一方、トランプ大統領は自ら始めた戦争でディーゼル燃料などの物価を悪化させており、共和党は物価高を訴えにくい。そのため今回は共和党の方が「あいつらはウォークだ」と文化戦争に頼り、民主党の方がウォーク色を消そうとしているという逆転が起きている。バンス副大統領が「キリスト教の白人の国であることを思い出すべきだ」という趣旨の発言をしているのも、それしか訴えられることがないからだと三牧さんは見る。
矛盾の結節点としてのバンス
三牧さんは、バンス副大統領は本心ではイラン戦争に反対だったと思うが、副大統領として止められなかったと述べた。著書『ヒルビリー・エレジー』では、自分はエリートに騙されて戦争に行かされたとまで書いている。さらに、ヘグセス国防長官が示した強硬な措置(トランプ大統領はまだ決定していないという)は、カトリックの教えが禁じるものだと三牧さんは指摘した。カトリック信仰を前面に出してきたバンス氏が、次の選挙に向けてこれらをどう語り修正するのか、あるいはできないのかが問われるという。
竹下さんはバンス氏を「矛盾の結節点」と表現した。貧困地域の出身でありながら今は政治エリートであり、パトリック・デニーンと近く伝統や共同体を理解する一方で、ピーター・ティールとも近くテックを知っている。トランプ氏の副大統領でありながら、トランプ氏から離れつつある共和党員の気持ちも分かる。
加藤さんは、マスク氏とティール氏の考えは同じではないと断ったうえで、科学技術を加速させて世界を良くしようとする世界観では両者は近いと述べた。これをデニーンの新著『リベラリズムからの体制転換』と並べて読むと、科学技術、経済、人間観、文明観のすべてで対極にある。バンス氏が自分の中でそれをどう折り合わせているのか、大統領になった場合にそれを包括的な世界観として市民に語れるのかは謎だという。カトリック信仰についても、バンス氏はレオ14世の平和路線と明確に対立している。レオ14世が教皇になる前のロバート・プレボスト時代には、移民問題をめぐってツイッター上で論争もしていた。新著『Communion』を読むと、19世紀末から20世紀初頭のカトリック社会思想の影響を受けた労働者目線は確かにある。ただ、それとも違う部分があり、どの資源をどう使って今後進むのかはまだ分からないと加藤さんは述べた。
三牧さんはAI規制にも触れた。レオ14世は明確に規制派で、企業に任せてはならないという立場だ。最近、アンソロピックとAIの意識をめぐる話が報じられた際も、教会側は、AIと人間は違うという立場を強調したという。規制を開発企業に委ねられないとするカトリックの立場と、米中競争の観点から規制に反対するトランプ政権との間で、バンス氏は自身の信仰も絡んで難しい立場に置かれる。三牧さんは、信仰と市民の視点からAI規制にもっと取り組んでほしいと述べた。
主流派教会とは何か
3つ目のテーマについて加藤さんは、まず「主流派教会(メインライン)」を説明した。どの町にもあるメインストリート沿いの大きな教会を指す呼び名である。1920年代、主流派教会がリベラル化したことに反発し、反近代的な原理主義を掲げて出ていった流れが、加藤さんが著書で扱う福音派の源流にあたる(福音派という名称自体は1940年代以降のもの)。主流派はその後も、慈善活動や共同体づくりを広く行い、移民にも比較的友好的な教会として続いてきた。
数で見ると、キリスト教ナショナリズムを支持しがちな白人福音派は全人口の約13%、白人主流派プロテスタントも約13%で、ほとんど変わらないと加藤さんは述べた。対談本の152ページで三牧さんが紹介した木村氏の論考「見えないリベラル派」が書くように、際立った存在の方が注目を集めやすいため、福音派やキリスト教ナショナリズムばかりが取り上げられてきた。三牧さんはこの点について、メディアもヘグセス氏の発言のような扇情的なニュースを追いがちで、貧困に向き合う宗教コミュニティの地道な取り組みが見えなくなっていたと振り返った。
加藤さんによれば、主流派教会は第2次トランプ政権が宗教的言説と政治権力を組み合わせることに当初から反対しており、2025年2月に信仰局が設置された際にも反対した。政教分離と個人の信教の自由を擁護する立場にある人々だという。
タラリコと「社会的福音」の系譜
主流派の流れから政治の表舞台に出てきた人物として、加藤さんが注目してきたのがテキサス州上院選に挑むジェームズ・タラリコ氏だ。竹下さんは、タラリコ氏の当選が実現すれば同州で約30年ぶりの民主党上院議員になる可能性があると紹介した。加藤さんが調べた範囲では、日本でタラリコ氏が語られたのは2025年1月ごろにテキサスでの論争が伝えられたのが最初で、その次が出馬表明を受けた同年9月の加藤さん自身のツイートだったという。その後11月ごろから新聞などが報じ始め、タラリコ氏は今年の上院予備選で勝利した。
タラリコ氏は主流派である長老派の牧師を志して神学校にも通った人物で、「社会的福音」の伝統に立つ。加藤さんの説明では、この伝統において隣人愛は個人間の問題にとどまらず、より平等で再分配の行われる社会構造を求めるものになる。カリスマを持ち、キリスト教の言葉でそれを語れる政治家は相当珍しいという。カンザス州のハミルトン氏、ルター派の影響を強く受けたアイオワ州知事選のロブ・サンド氏など、下院レベルでもこうした流れが出てきており、トランプ氏が利用してきたキリスト教ナショナリズムへの対抗軸になっていると加藤さんは見る。
社会的福音は、20世紀初頭にウォルター・ラウシェンブッシュらが唱えた流れだ。加藤さんの紹介では、ラウシェンブッシュは、旧約の預言者たちが寡婦や孤児など生活の苦しい人々を顧みず贅沢をする王たちを批判したことに注目した。1世紀の初期キリスト教も経済問題に働きかけていたし、加藤さんが「12世紀ごろ」と語ったフランシスコ会の動きも、始まりつつあった資本主義の歪みへの抵抗だったという。経済が宗教から切り離され個人の問題とされたのはごく近年のことで、福音派や原理主義は信仰を魂の問題に限定したがるが、それだけでは本質的にキリスト教ではない。タラリコ氏はそうした議論を進めている人物だと加藤さんは位置づけた。
共和党支持層に届くかについて、加藤さんは慎重だった。白人福音派やMAGAの岩盤層は、ジェンダー問題があるため彼を拒むだろう。バンス氏もテキサスの共和党大会で、タラリコ氏が複数のジェンダーの存在を認めていると攻撃し、距離を取らせようとした。それでも経済と分配の問題からタラリコ氏に共感するプロテスタントは確実にいて、とくにヒスパニックに多い。カトリックやプロテスタントのヒスパニックが、移民政策でやりすぎたトランプ氏への批判として彼を受け入れていると加藤さんは見る。
開かれた共同体と、文化戦争から逃げない新世代
竹下さんは、タラリコ氏のような宗教的な語り手と、オカシオ=コルテス氏やマムダニ市長ら新世代左派は連携していくのかと問うた。三牧さんは共通点の方が重要だと答えた。共同体というと保守のイメージがあるが、バンス氏は「オルド・アモーリス(愛の秩序)」というキリスト教の概念を用い、まず家族、そして同心円状に広がる共同体を優先するという排他的な共同体観を示した。これに対し前教皇フランシスコも現教皇レオ14世も異を唱えた。タラリコ氏もマムダニ氏も共同体を語るが、それは開かれた共同体であり、性的マイノリティや異なる信仰を持つ人も隣人として一緒にコミュニティを作るという考え方だ。オカシオ=コルテス氏もカトリックで、信仰を前面には出さないものの、この点で一致しているという。
三牧さんはさらに、新世代左派がジェンダー問題から逃げないことを特徴として挙げた。ハリス氏は約3か月の選挙戦で、攻撃を恐れてトランスジェンダーの問題をほとんど語らなかった。これに対しタラリコ氏は、共和党はトランスジェンダーやムスリムに敵意を向けさせようとするが、本当の問題は富の格差と富裕層との非対称な権力関係だと語る。ムスリムであるエル=サイード氏も、問われればトランスジェンダーの問題をしっかり語る。旧世代が文化戦争を恐れて避けてきた課題に向き合う、足腰の強い新しい左派だと三牧さんは評した。
加藤さんは、結果を見ないと分からないと留保した。そのうえで、多様性を語りつつ経済を重視し、それがキリスト教の教えに根ざしていると言えるタラリコ氏やハミルトン氏のような人物が出てくれば、「東西海岸のエリートの文化的問題」というイメージを崩せるかもしれないと述べた。ハミルトン氏は、自分は牛肉も食べるしカンザスが大好きだと語り、ハリス氏ら全国区の民主党政治家には来ないでほしいという趣旨のことまで言っているという。ただしアメリカでは世俗化の勢いが強く、とくに主流派教会の衰退は速い。その衰退とこうした新しい政治家の台頭がどう絡み合うかは、今後を見なければ分からないと加藤さんは述べた。
宗教保守と移民政策
竹下さんは、トランプ氏を手段として支持してきた宗教保守の思いが変わってきているかを尋ねた。加藤さんによれば、白人福音派の投票は2016年、2020年、2024年といずれも8割を超えてトランプ氏に向かったが、二択しかない中で仕方なく投票した人も含まれる。ピュー・リサーチ・センターが新たに示した指標では、信仰を最優先する「フェイス・ファースト」型の人が約12%おり、この層は強くトランプ氏を支持している。右派と宗教を結びつけた層は歴史が長く、簡単には離れない。一方、それ以外の保守的な信仰者については、民主党に移るというより投票に行かなくなる流れが生まれていると加藤さんは見る。だからこそ福音派系のロビー団体は、今回勝たなければ終わりだと危機を煽って投票を促している。
三牧さんは、ここまで話題に出ていなかった移民政策を挙げた。合法的な滞在資格のない移民をすべて強制送還するという公約は当初多数派に支持されていた。しかしこの2年間、移民当局ICEの取り締まりは暴力的に行われ、抗議する市民や対象者の死傷も相次いだ。2024年にトランプ氏の当選を助けたヒスパニックは、外見だけで合法か違法かを疑われ、不当に取り締まりの対象になることに怒っている。ペルーで移民や貧困者の救済に携わったレオ14世も移民の権利を強く主張しており、信仰に照らしても非人道的だという受け止めが広がっていると三牧さんは見る。移民政策は今では不支持が支持を大きく上回り、トランプ政権の主要政策はすべて不支持が上回っている状況だという。ヒスパニックの多いテキサスなどでは、この票が中間選挙を占う重要な要素になる。
日本にとっての意味 「アメリカはもう絶対的な存在ではない」
竹下さんは最後に、20世紀のアメリカ的な秩序が終わり、21世紀も4分の1が過ぎた今、この変化が日本にとって何を意味するのかを問うた。
三牧さんは、国際社会はイラン戦争をきっかけに多極化が進んでいると述べた。トランプ政権は昨年の国家安全保障戦略で、アメリカは巨人アトラスのように世界中へ出ていって同盟国を守る存在ではないと明言した。竹下さんが、オバマ氏も「世界の警察官ではない」と言ったのとどう違うのかと尋ねると、三牧さんは、当時は9.11の衝撃がまだ残り、国内の矛盾もここまで露呈していなかったと答えた。その後20数年のテロとの戦いでアメリカは疲弊した。イラン戦争では高額な兵器を大量に使い、元の態勢に戻すには数年かかる。失われたのは物質だけではない。いきなり戦争を始め、ホルムズ海峡が封鎖されても自分たちでは開けられない。アメリカは覇権を放棄しただけでなく、秩序をかき乱す存在にもなっていると三牧さんは見る。各国はアメリカとの関係を重視しつつも依存は危険だとして、中国との関係改善やカナダのEU準加盟など外交と経済の多元化を急いでいるが、日本の動きは鈍いのではないかという。
三牧さんが試金石として挙げたのは、収録の数日前にトランプ政権が国際刑事裁判所そのものに制裁をかけたことだ。日本はICCを長く支え、現在は日本人の赤根智子氏が所長を務めている。法の支配のために支える理由はいくつもあるのに、アメリカが相手になると及び腰になる。三牧さんは、トランプ政権を「A面」とすれば、国際法を大事にし、諸国と協調して生きていきたいアメリカという「B面」も現に存在すると強調した。ICCがネタニヤフ首相に出した逮捕状について、ニューヨークに来たならマムダニ市長が逮捕すべきだという世論が5割ほどあり、反対を上回っているという。三牧さんは、A面とB面が入れ替わりうる国であり、長期的には撤退していく国でもあるアメリカを見据え、日本も他国との関係を再構築する準備をすべきだと述べた。
加藤さんは、戦後81年、日本人は良いアメリカを見てきたと述べた。年配の人と話せば、アメリカのポップカルチャーや映画、音楽、ファッションは素晴らしいという話になり、それはその通りだ。しかし近年起きていることは本質的に違うと一人ひとりが理解し、そのうえで唯一の同盟国とどう付き合うかを地に足をつけて考えるべきだという。加藤さんが参照したのは、高市首相も師と仰ぐ安倍元首相の戦後70年談話だ。そこでは第2次世界大戦の背景として経済のブロック化が書かれている。各国がそれぞれ覇権を求めてブロック化が進めば、日本はアメリカにとって「使えるものは使う」対象になり、データの問題も含めてアメリカ主導の秩序が本当に日本の利益になるのかが問われる。右か左かとレッテルを貼り合っている場合ではなく、「オールジャパン」で、アメリカとも中国とも良き隣人として付き合う21世紀のあり方を考えなければならない、と加藤さんは訴えた。
3人が選んだ「杖」
番組の最後に、3人がそれぞれ議論の手がかりとなる「杖」を紹介した。
三牧さんの1冊目はジョージ・オーウェル『動物農場』(山形浩生訳)である。三牧さんによれば、オーウェル自身は民主社会主義者だった。原作では、人間を追い出して革命を起こした動物たちの中で豚が権力を握って新たな階層が生まれ、最後は人間と豚が宴会をする様子を他の動物たちが眺める場面で終わる。平等を求める革命が新たな権力関係を生んでしまうことを批判しつつ、経済的な平等は大切だという立場から、ではどうすればよいのかを問いかけた作品だった。しかしCIAが関与した映画版では人間は出てこず、動物たちが豚の指導者を倒すところで終わる。共産主義独裁を倒せという話に変えられ、資本主義の問題とオーウェルの問いが抜け落ちた。今のアメリカで問われているのは、新たな権力関係を生まない民主的な社会主義をどう実現するかであり、オーウェルが残した問いそのものだと三牧さんは述べた。
2冊目は先述の『マスキズム』だ。富裕層が情報も握って文化闘争を煽り、マスク氏のように移民やマイノリティに攻撃されているという被害者意識を前面に出す。被害者と加害者が転倒した現代社会の構図を問い直すための必読書だと三牧さんは位置づけた。3つ目はラッパーのマックルモアの曲「Hind's Hall」である。コロンビア大学の学生たちが、ベトナム反戦運動の拠点にもなったハミルトン・ホールを、車中で300発以上の銃弾を受けて亡くなった6歳のパレスチナの少女ヒンドにちなんで改名した出来事を歌った曲で、当時は称賛と「反ユダヤ主義だ」という批判の両方があった。三牧さんによれば、先日マックルモアがエド・シーラン氏のコンサートで「フリー・パレスチナ」と発言して会場の所有者にツアーから外された際、他のツアーメンバーも降板し、世界的に彼を支持する声が上がった。この2年でアメリカを含む国際世論が変わったことを実感したという。さらに三牧さんは、自身が解説を書いたバーニー・サンダース『寡頭制と闘え!』も紹介した。85歳で全米ツアーを続けるサンダース氏は、同性婚を早くから支持し、同性愛者の軍人を罵倒した議員を問い詰めたこともある性的マイノリティの擁護者でもある。マイノリティを守る運動と富の独占を変える課題がつながっていることが分かる本だという。加藤さんは、マスク氏一人の富が膨大であることや、世界に約3,000人いる10億ドル長者のうちアメリカに900人以上がいる一方、日本は40人ほどしかいないという本書の数字を挙げ、日本では実感しにくいアメリカの格差の文脈が分かると補足した。
加藤さんは、2022年に亡くなったアメリカ研究者・中山俊宏さんの『アメリカ知識人の共産党』を挙げた。社会主義や共産主義が反共リベラル知識人によってどう語られてきたかを描いた難しい本だが、なぜ今社会主義なのかという現代的な問いにもつながるという。2冊目は社会的福音を唱えたラウシェンブッシュの『キリスト教と社会の危機』(2013年、新教出版社)で、タラリコ氏やハミルトン氏につながるキリスト教左派の系譜が見えると加藤さんは述べた。3つ目は渡辺将人さんが民主党の諸潮流を論じた『世界』11月号の論考で、トランプ後の世界を考える手がかりになるという。
竹下さんは、ニューサム知事、オカシオ=コルテス氏、バンス副大統領、ルビオ氏が表紙を飾る『外交』Vol.99と、三牧さんの『戦争違法化運動の時代』を挙げた。戦争の違法化や平和運動は理想主義に見えるが、それを現実の法律に落とし込もうとする点ではリアリストの営みであり、市民運動と学問、法律、行政が結びつくダイナミズムが分かる本だという。竹下さんは、国際法が「A面」だった時代があったことが改めて分かる本だと語り、3冊目には加藤さんとの共著『日本人が知らないアメリカ』を挙げた。
3人の議論は、中間選挙の勝敗予想にはとどまらなかった。AI資本と国家の関係、民主社会主義の台頭、主流派キリスト教の再登場といった動きが選挙を通じてどこまで表に出てくるのか。そして「A面」と「B面」が入れ替わりうるアメリカと日本がどう付き合うのか。どちらの問いも、選挙結果を見るまでは答えが出ていない。
バックステージアメリカ、始まります。一緒にお届けするのは立教大学文学部教授の加藤喜之さんです。お願いします。
お願いします。どうも。
そして今回は番組初のスペシャルゲスト、アメリカ政治と外交の専門家である同志社大学大学院教授の三牧聖子さんです。お願いします。
よろしくお願いします。
初の。ありがとうございます。ありがとうございます。スペシャルゲストです。三牧さんを呼べっていうコメントがめちゃくちゃ多いので、皆さんの期待に応えて。
今日、でも緊張しますね。やっぱりこう、2人が作ってきた世界に、ちょっと今お邪魔させていただいてるっていう感じですね。
全然もう。
ということで今触れていただいたように、この番組はアメリカの裏側、バックステージを、視聴者の方が手に取りやすいこういう本とか映画とか、あるいは音楽とか、3つの杖を基盤に、アメリカの思想から読み解いていく番組です。そして今日、三牧さんに来てもらったので、テーマはアメリカ中間選挙です。来ましたね。
11月3日に中間選挙があるんですが、アメリカの議会っていうのは下院と上院がありますと。今回の中間選挙では下院の全ての議席と上院の3分の1が争われると。これが選挙によって変わると、今後アメリカ政治がどうなるのか。トランプさんの政権は維持されるのか、あるいはもっとさらに加速されたりとか減速するのか。
それと、やっぱりこういう中間選挙ってニュースターが出てくるので、今日の番組ではあんまり日本人が知らないアメリカの政治家の名前、タラリコさんとか、エルサイードさんとかも出てくるので、こうやって中間選挙を読み解けばいいのかとか、あるいはアメリカにはこんなスターがいるのかってことが分かると思います。
3つのテーマで今日はお届けします。1つ、争点はAIと物価高。2、地下水脈に流れる社会主義。そして3、キリスト教ナショナリズムと主流派教会ということです。かなりテーマ濃いですけど、まず三牧さん、本当にありがとうございます。来てもらって。
いや、もう本当に今日やっぱりちょっとまだ緊張してます。2人の世界にどう入って。始まる前はすごいガンガン話してたんですけど。
どうやって三牧さんの言葉を抑えるかっていうことを、私ミッションにした。
いや、もう杖を考えてる時から、やっぱり今までの杖の蓄積を感じて、ちょっと自分の杖がこの中に加わるってこと。でも嬉しいですね。
そして、当然のことながら選挙なので、共和党が多数維持するのか、民主党が多数奪還するのか、上院ですね。赤か青かも重要なんですけど、やっぱりこのバックステージならでは、単に若いとかだけじゃなくて、新しい政治を運んでくる、そういう選挙候補の台頭とか、どういうアメリカがその新しいアメリカに対抗してるのか。その辺り、ぜひちょっと2人と。
民主党、共和党じゃ分かんないアメリカ、見えないアメリカを探っていくという。加藤さん、どうですかね?
そうですね。政治回でも結構その辺りの構造の変化みたいなものを話してきて、民主党も変わりつつあるし、共和党もMAGA派に移っていった理由みたいなのがあって。その中から複数のニュースターって、もう結構ニュースターって言ってもいいところで議論されてるし、我々も話してきたし、三牧さんも多分いろんなところで話していて。タラリコとかエルサイードとか、面白いキャラも確かに出てるんですけども、ある程度知られてるんだけども、もう少し深掘りしてね。社会主義のこと、宗教のことは少し私も話せることがあるので、その辺の側面からもう少し全体的に見て、こういうニュースターがどういう役割を果たしてるのか、その辺も話せたらいいかなと思います。
ちょうど1年くらい前に、私、加藤さんと昨年知り合ったんですけど、その時からタラリコ、タラリコって言って、多分日本では最初にタラリコを全国的な放送に載せたと。その時から注目してきて、彼のこの1年間の変化等も、宗教、さらにはそうした民主社会主義的な動きってところから見てきたので、今日はちょっと深掘りというところに。
もうどんどんどんどん深掘りしていきます。あと今日は、バックステージアメリカの視聴者さんにお礼を言いたくて、なんと、この本になりました。なんと。
本当にありがとうございます。
いや、これ本当に最初、番組始まった直後から進めてるプロジェクトで、本当、コメントを皆さん書いてくれるので。
いや、熱いですよね。
これに励まされて、やっとこの、見てください、この太さ。
すごい厚みです。皆さん、これでお手元のね。
そう、今日発売日なんですよ。もう皆さんお手に取ってますよねっていうところで。349。三牧さんにはちょっと早めにお届けしたんですけど、どうですか? これどうでしたか?
本当やっぱり動画で見て、しかもその動画を巡ってコメント欄を通じた、いろんな本当に対話、会話で、さらにこういうテーマやってほしいですね。で、でもやっぱり動画とはかなりの加筆がありますし、これほとんどもう書き下ろしになってるっていう感じも。それはちょっと言い過ぎ?
ありがとうございます。ありがとうございます。
いや、もちろん動画を見てる方ですね、手に取ってもらいたいです。もうこれ動画で見たっていう内容では、それをさらにやっぱり。
めちゃくちゃ膨らましてますからね。
やっぱり字で追えると、自分の思考も活性化しますよね。まさに中間選挙でアメリカの政治、当然アメリカの政治が変わると我々もいろいろ認識を変えたりしなきゃいけないので、ぜひ今、10月16日に発売されたことも本当に絶妙な。お2人が超過密スケジュールの中、中間選挙が迫る今出したっていうのは素晴らしいと思います。
本当に皆さん買ってください。これもうすごい血と汗と涙の。
そう。手に取りながら、この動画もいろいろね。本を片手に、目は動画を見て、耳は我々の話を聞いてっていう。
忙しい時代ですね。加藤さん、どうですか?
でも結構、やっぱり政治っていうチャプターもあるんですけど、アメリカの今の政治って政治だけじゃ全然見えてこないし、大きな地殻変動が起きてるので。その地殻変動を、軽い題材であるファッションとか食からも分かるような形になってるので、動画を見られてない方でも、まず本から読んでみようっていう方もいらっしゃると思うので。さらにここを見ていただきたいのが、章の冒頭に毎回QRコードをつけていて、ここからこれスマホでやると、動画のエピソードに。
これ加藤さんのアイデアなんですよ。すごい。
画期的です。文春新書でそういうのが以前あったんですけど、それを真似てですね。
だから本読んでたら、ここちょっと確認したいなってあったら、もう3秒で行けるっていうことですし。さらにやっぱり政治そのものの考えを豊かにしてくれる話。ファッションにしても音楽にしても、実は本当に政治っていうものと切っては切り離せないっていう話ですので。ヘビーな話から軽めの話も入ってるんですが、実は全てが政治に結びついていて、やっぱり政治っていうものに突き当たるって、そういう読後感もある本ですね。
いろいろついてますけど、何かあるんですか?
今回は迷いに迷って、とりわけここはぜひ皆さんと一緒に読みたいなと。もう皆さんお手元の152ページから。
買ってくださって持ってるという前提でお話しした。
いやいや、そうじゃなくても一緒にやろうよっていう、レッツって感じなんですが。152ページの、この「見えないリベラル派」。今日もおそらく話に及ぶというか、もう話に出てきたテキサス州の上院で、30年ぶりに民主党から上院議員が出るかもしれない。これはもちろんテキサスのいろんな変化もあるんですが、やはりジェームズ・タラリコという非常に特異な政治家の台頭っていうものと合わさって、そういう可能性が生まれてると思うんですが。
私たち、それは加藤さんの貢献も大きいんですが、トランプ政権で非常に福音派、ヘグセス国防長官ですね。さらにそういった信仰が戦争とか移民排除と結びついて、宗教って争いを、排除を生むっていう、どうしてもそういう固定観念で。加藤さんの本はその固定観念を問い直す本でもあったと思うんですが、ここで紹介されてる木村さんの「見えないリベラル派」で、これに基づく2人の議論は、寛容とか多様性とか、みんなで一緒にやっていこう、異なる他者も一緒にやっていこうと、そういう伝統が脈々とある。
けれども私たちはどうしても、宗教が暴力とか排除とか、そういう劇的な政策に結びついてるところだけピンポイントで注目してしまうと。それは私たちの問題でもあるし、どうしてもメディアも、ここでヘグセスさんこんなこと言いましたみたいな形で、扇情的なニュースになるものを扱ってしまう。
そう。なので貧困に向けた宗教の地道なコミュニティの試みとか、そういったものが見えなくなっているよって。これはメディア論としても非常に気づきがあって、私たちも、そういえば私たちが今宗教を見る目が問い直される。ニュースバリューっていうか、ニュース性ばっかり追ってたなっていうのを問い直される、非常にここが貴重な対話ですね。152ページ。
152ページ。ありがとうございます。あとがきを読んでほしいですね。これ加藤さんがあとがき書いてるんですけど。
熱いです。これはもうここだけを切り離して売ってもいいと思います。別冊で。これちょっと本当に皆さん買って読んでください。私これ、原稿になる前にLINEで送ってくれたんでしたよね。もう熱かった。
でもこれにこうして書かれたら、竹下さんの「はじめに」も。
「はじめに」書くつもりなかったです。あとがきがあまりにも熱いから、もう勢いで「はじめに」を書いたんで、ちょっと「はじめに」と「あとがき」、皆さんここで。
それはもう本じゃないと読めない。
そう、読んでください。そこが本の良さ。文春新書から出てます。
ということで、ちょっと本編に入りますね。まずこの1点目の「争点はAIと物価高」ということで、突如このAIがやっぱり中間選挙の争点になってきたと。AIというのが中国に対抗したりとか、あとアメリカ経済の次のドライバーというかエンジンになるっていうことで、トランプさんは規制緩和寄りなんですね。どんどん盛り上げてる。
ただデータセンターを作んなきゃいけないので、全米各地になんと建設中のものも含めて4800ぐらいあるんですよ。だから、ところにできてしまうと住民が困ってしまうと。まずこの辺、加藤さんどう思ってますか?
そう、そこまずちょっと注意しなくちゃいけないんで。AIのいわゆるデータセンターっていうのはいろいろあるわけですよね。使われる電力もいろいろだし、いわゆる携帯電話用のデータセンターっていうのもあって。問題となってくるのは数十MWから100MW以上の大型の、いわゆるAI用のデータセンターで、これはおそらく100いくつだろうと。
もちろんそれはそれで大きな問題を引き起こしていて、水の汚染であったりとか、エネルギーを非常に多く使ってしまうので、グリッドが逼迫してしまう問題であったりとか。既存のインフラの中で使われているので、その地域共同体への相当なプレッシャーがかかってるっていうのが今の問題。だから4700、5000とかっていろんな数字が出ていて、あたかもアメリカ中にこういうデータセンターができていて、それが問題だと思われがちなんだけど、そうではないと。まず量的な数字はちょっと整理しといた方がいいっていうのが1つ。
とはいえ、AI競争に少しブレーキを踏むべきなのか、そうではないのかっていう派閥にも分かれてるので、アメリカの中でも相当、これはもう民主党、共和党の中でも割れてるし。何なら共和党の中でも地域の規制をかけて、AIデータセンターを作らせないように、あるいは一旦止めようとしてる流れもできてるので。これはただ右左の問題でも民主党、共和党の問題でもないのかなと思います。
確かにデータセンターが数だけ今強調されてますけど、実際はもうちょっと正確に把握しなきゃいけないのと、あと一旦できると電気代が上がるんじゃないかとか、牧場の近くにできちゃうと牧場って水が大事なので、データセンターができちゃうと迷惑をかけるんじゃないかって思われてるんですけど。その辺、三牧さんどう見てますか?
そうですね。やっぱりこのAIと物価高って持ってきてるのがすごいいいなと思いまして。それはAIがどんどん発展していく、このこと自体は誰もが肯定することなんです。ですが、要はそのマイナス面を誰がどれだけ引き受けるのか。さらにAI開発って、もちろんAI開発企業には莫大な利益になるわけですけども、その利益が本当に人々に還元されるのかと。これは今アメリカに広がる格差の問題もあってですね。
トランプ大統領がAI規制に非常に否定的なのは、今回共和党に入ってきてるお金も相当AI業界から入ってきてると。つまりAI規制を好まない企業たちがトランプ大統領を支援して、何とか共和党を善戦させて規制を抑えようとしてる構図っていうのは、やっぱり中間選挙で見えるわけですよね。
やっぱり今AIっていうのはもう米中競争の最前線で、アメリカはこれに絶対優位を保たなきゃいけないと。アレックス・カープなんかの『テクノロジカル・リパブリック』もそういう議論なんですが、人々の世論を見ると、確かに中国、別にそんな好きじゃないと。でもかつて2000年代みたいに、アメリカもどの分野でも絶対覇権を握らなきゃいけないんだっていうことで、アメリカの覇権っていうとそこにもう法外なお金とかが流れていって、結局人々の生活の底上げとか社会保障は常にないがしろにされてきたと。もう20数年、覇権とか米中競争で生活がないがしろにされた20数年だったんですね。
世論を見ると、中国と全部争っていけないよねと。この間のトランプ大統領の米中首脳会談自体、とっても融和的だったわけですよね。中国と競争するところはするけど、融和するところはして、全部で争いませんよっていうのが今のアメリカの。
それちょっと面白いですね。米中が喧嘩するとか争ってるって思いきや、実は一般市民のレベルでは、ちょっと仲良くしようよみたいなのもあるってことですか?
仲良くしないと、もうアメリカの生活も、全部米中競争で負けられないっていうふうにお金がそっちに流れていってしまうと。実際今、米中競争に関して一番声高に絶対負けられないって言ってるのは、やっぱりAI、テック業界の人たちの声は非常に大きいと。
ただ市民は、でもそうは言っても、じゃあどんどん競争のためにデータセンターがガンガン建つってことになったら、自分たちは水とか騒音被害もありますし、電気料金も高くなるかもしれない。エッセンシャルなものを失うと。この人々も米中の競争に全く関心がないわけじゃないんですが、やっぱり人々の生活、こっちも大事にしてほしいという、そういう意見のせめぎ合いですね。
なるほど。加藤さんどうですか?
そうですね。実際、米中の関係に関して、トランプさんの集会での言説を少し拾ってみたんですけど、例えば大豆を売るとか、そういう生活に直結してる問題をそこで披露して、あんまり対立路線は取ってないんですね。習近平っていうのはいい人でね、みたいな、ちょっと大衆受けするようなことを言ってみたりとか。だから民衆レベルで見ると、中国を大国、覇権国家として意識してるっていう感覚はあんまりないと。
ただ今回よく言われてるのは、このAI規制の動きっていうのが中国の思惑だみたいな、まことしやかに語られていたり。それはもちろんAIを促進したい人たちが語っていることなのかもしれないですけど。だから現実レベルで起きてることと、今選挙だから語られてるディスクールの違い、言説の違いみたいなのも多分踏まえなきゃいけなくて。中間選挙が終わって議論されるのかどうかって怪しいところがあると、私は思うんですけどね。
今のデータセンターに反対する住民の意見っていうのは、そうしたら米中競争、AIで競争してるわけなので、中国が認知戦を仕掛けてるんだと。実際に中国がそういう情報戦、認知戦をやろうとしている、あるいはやっているということと、住民が本当にデータセンターに懸念を抱いて、これ必ずしも環境意識が高いリベラルだけじゃなくて、やっぱり保守的な人たちも、データセンターがガーンって建つことになっちゃった。
自分たちが知ってる景色が全部なくなって、生活もどうなるか分かんないってことで、結構超党派でこのデータセンターは反対が多数になってるんですね。なので、そういう米中競争の文脈の情報工作によって、市民の本当に妥当な懸念とか、正当なデータセンター反対運動みたいなのが、あの人たち情報に踊らされてるっていう見方がされてはいけないなと。これ両面丁寧に見ていかなきゃいけない。
でも加藤さんおっしゃる、突然論点化したっていうのもありますよね。うまくネタを拾われたという。
それが1つあって、もう1つは「大きく美しい法案」の中で相当なお金がこのデータセンター建設にも使われることが決まっていたんですよね。なので今、100が大体稼働中で、120建設中で、160計画中なんです。だからすごい勢いでデータセンターができていて、その変化にちょっと人々は戸惑って、さらにそれを争点、政策上の点として中間選挙に使ってるっていうのが多分構造なので、距離を置きながら見た方がいいんじゃないかなと思いますね。
実際AIって、このデータセンターができることによって、例えば牧場の人、テキサスとかデータセンターが今できてるので、その人たちの何か嫌だなっていう感じもあると思うんですけど。もっと広い、人間がどうなるんだろう、こういう嫌悪感って今出てきてると思いますか? 選挙、どう思いますか? 実際の隣の庭にデータセンターができるっていう恐怖と、AIに対する恐怖、2つあると思うんですよね。
このデータセンターの前から、やっぱりAIに関しては雇用を奪うという問題ですね。なので若者層ほど、技術発展を喜んでるのかなと思いきや反対が強いっていう。大学の卒業式とかでテック関係の人とかが、Googleのピチャイさんとかが来ると、みんな退出して抗議しちゃうみたいな。
雇用を奪って、データセンターも雇用を生まないわけですよね。トランプ大統領がいつも言ってるような雇用を回復しようって話でもないので、まず雇用の問題があると。やっぱり最近もう、AIが本当にこれから人類どうなっちゃうのと。超知能という、もう人間が制御できないものになってしまうんじゃないかと。
ここでAI業界からも、自分たち規制しましょうみたいな声があるんですが、やっぱりアメリカでそもそも、自分たちが開発してる人たちが規制しても有意義な規制にならないと。民主党の左派、バーニー・サンダースなんかは、とにかく民主的な、実際に損害を被る市民の声をAI規制に反映していかなきゃいけないと。規制のあり方を巡る攻防が起きてると。企業に本当に任せていいのかと。
むしろ企業が今、規制しますって言ってるのは、そういう民主的な統制を避けるために言ってるんじゃないかってことで、やっぱり今後の開発のあり方、どれだけ市民の声を反映させられるかが非常に大きな争点になってると思いますね。データセンター以外も。
確かにAI企業が自分たちで規制してもちょっと信用はできないですよね。本当に自分たちでできるのかっていう。
やっぱりそれだけの不信を生み出すような企業のあり方があるってことだと思います。
製造業であれば大きな工場を作って人を雇用して、中流の発展につなげることはできると思うんですけど。例えば今回、この本を三牧さんが出してくれてましたけども、イーロン・マスクの存在がすごく重要で。例えばマスクが作ってるxAIっていう会社のコロッサスっていう、1つの大きなデータセンターがテネシー、メンフィスにあるんですけども、ほとんどオートメーション、機械化されていて、人を雇わず巨大な建物だけできて、土壌汚染されていくっていう状況が、今年の7月のロイターの調査でも分かってる。それがもう明らかになってるわけですよね。
なので従来型の、いわゆるアメリカファーストで製造業をアメリカに持ってきて、だから関税を高めてみたいな、表面上は庶民のため、労働者のためにやってるけれども、トランプさんが一番仲良くしてるマスクさんなんかは、むしろそれと反対の方向を進めてるっていうのも多分あんまり知られてないし、もっと知らなきゃいけないことなのかなと思いますね。
いや、さすが10回やってるので、杖の出し方が巧みだなと思ったわけなんですが。このクィン・スロボディアンという歴史家と、テックライターのベン・ターノフが書いた、これ『マスキズム』ですね。非常に早く翻訳されて、これは本当にぜひ、私たちが生きてる世界ってどういう世界なんだってことを本当に考えさせられる本で。マスキズムっていうのは、もう新しい名前をつけないと今起きてることは理解できない。
マスク主義。昔はフォードだったんですね。マスキズム、フォーディズムと対比させて。フォーディズムっていうのは大量生産して、さらに労働者を消費者としても豊かにして、労働者を満足させることによって社会的な平穏を保つっていう、そういう体制だったんですが。現代、21世紀に現れたマスクさん、マスク主義っていうのは、もう労働者を満足させる、労働者に十分な賃金を与えて生活を安定させるということを、もうそもそも目指さないと。
マスクやそういったテック業界、一部の業界に富は集積していて、人々は不満を抱えたままなんですね。なのでイーロン・マスクやトランプはシンボルを操作すると。あなたの生活が悪いのは移民のせいなんだとか、マイノリティのせいなんだと。常に彼の場合、Xに膨大な、すごい影響力、そういったプラットフォームを通じて、あなたの生活が改善しないのはこの人たちのせいなんですと。トランプや私はあなたを救うんですと。
情報操作やシンボル操作で人々を常に争わせて、自分たちに批判が向かないようにすると。フォーディズムもあんまり理想化してもいけないですけれども、21世紀のマスキズム、我々が生きてる世界っていうのは、もう富の格差を是正しようともしない一部の富裕層がいる、そういういびつな世界を描いている作品で。そこからどう抜け出すかってことに関しても示唆的な作品です。
これを読むと、いかにイーロン・マスクが一般市民のウェルビーイングに興味ないか分かりますよね。つまりトランプと結びつくことによって、トランプにはアメリカにどんどん投資すると。ここまで聞くとアメリカの人たちはおそらく、自分たちの暮らしなんだと思うんですけど、フォードみたいにたくさん自動車を作って、いずれそれが労働者に波及されて、労働者も車を買えるようになるとは全然違うことをやってますよね。同じ車を作ってるので、何となくアメリカ人のためにやってるように見えるんですけど、全然違う。
にかいないのに、マスクさんみたいな巨大テックに行ってるってことも何か分かる。
興味深いのはその変化なんですよ。この本、マスクさんの伝記でもあるので、マスクさんが幼少期から、例えば日本のアニメに親しんでいてメカが好きだったりとか、インターネットにはまってっていう傾向から、例えばオバマ政権なんかは環境問題をすごく重要視していたので、そういう形でEV、電気自動車っていうのを作って、そこで補助金をもらってみたいな。最初は2020年ぐらいまでは比較的穏健だった、リベラルだった部分もあるし。もちろん元々の彼の考えっていうのは、白人至上主義的な部分もあったんだけど、そういうところが前面にも出てこなくて。
でも22年、20年ぐらいからの、例えばコロナ中のカリフォルニアでの規制であったりとか、そういったリベラル派の攻撃に対して、すごい彼は反動主義的になっていって、トランプさんを支援し、Twitterを買いみたいな。その変化もですね、1人の人間がアメリカ、そして世界というものをこれまでかき乱してしまうのかっていうことが、時代を追って分かるので、すごくおすすめかなと思いますね。
2人言及されたように、彼は実は非常に国家に、ある意味依存、共生しているわけですよね。
めちゃくちゃ依存してますよね。
でも彼は、そうした社会保障を受けて、保護を受けている人や移民等を、国家に寄生して依存して。彼が最初にトランプ政権に深く民間でありながら入り込んでやった最初のことの1つが、人道支援の解体だったんですよね。彼らはアメリカの富に依存していると。
でも実は自分は、そのビジネスを発展させる過程で非常に国家の補助金とか国家契約とかで。結局イーロン・マスクの政府効率化で削減したNASAとか解体して、自社スペースXを入れたりとか。実は国家と企業の共生関係、これは非常に肥大化した権力になっていて、そうした時代の民主主義はどうあるのか。リベラル、保守に寄ってるように見えるけど、ある種一貫していて、その時の政権に、リベラルの時はEVとか、依存してものすごい権力、富、ビリオネアですね、もう長者、億万長者になっている。やっぱり現代の世界、このマスクさん個人の糾弾じゃなくて、やっぱりこうした存在を生み出す世界を考えさせられる本ですよね。
何かすごく面白いし、多分問いとして我々が突きつけられてるのは、とはいえ科学技術が好きな部分もあるし、イノベーションとか面白いとか、AIを我々は使って、その恩恵も受けてたりするので、必ずしもただただ批判ができないところが難しい。一番最後に斎藤幸平さんが解説を書いてたりするんだけど、そこでもテスラが魅力的みたいなことが書いてあって、そういう部分は否めなくもないわけですよね。
今の我々が生きてる時代もそうですけど、様々なテクノロジーが人間の生活を良くしていったっていうのもあり、もちろんそれが行き過ぎてしまった時にどうなるのかっていう問題はあるけれども。だから技術とか科学の発展っていうのを、じゃあやめればいいのか、止めればいいのか、そういうことでもなかったりするし。その中にイーロン・マスクとかドナルド・トランプとか、非常に特殊な人間が、そして自己利益を追求するような人たちが出てきた時に、それを止めるような仕組みはどこにあるんだろうか。
絶大な力を持ち過ぎてしまった人が共同体とか人類とかを破壊し始めた時に、それこそICCも止められない、国連も止められないってなると、じゃあ誰がどのように止めていくことができるのかっていうのも、すごく1つ大きな課題なのかなと思いましたね。
民主主義論ですよね。現代の民主主義論。結構救いはないんですが、まずは絶望して、みんな一緒に民主主義について考えましょうという。
中間選挙はAIがどうなるのかな、あるいは大きく言うと、このイーロン・マスク的なるものがどうなるのかっていう試金石だと思うんですよね。もちろん共和党が勝った、民主党が勝ったっていうのも大事なんですけど、選挙って新しいトレンドを作るじゃないですか。2010年のティーパーティーとか。なのでここでみんながマスク的な経済をどう思うのかっていうのを、ちょっと注目したいなと思います。
ちょっとここでAIの話を一旦置いといて、2つ目の地下水脈に流れる社会主義っていう話に行きたいと思います。これ最初ちょっと三牧さんに聞きたいんですが、その前に整理の意味も込めて、この『外交』っていう雑誌で、慶應大学の渡辺将人さんが民主党を3つに分類してて、これすごく整理できたなと思いました。
1つ目は新世代。本当に社会主義とか反大企業とか、新しい左派ですね。2つ目が労働者派。これは結構伝統的な民主党っぽさがありますね。そして3つ目がアバンダンス。これ、ニューヨーク・タイムズのエズラ・クラインがまさに『アバンダンス』っていう本も出してますけど、足りないんだと。普通に生活することが不足しているとか、あるいは学校、住宅とかができないっていう、そういった3つの主流があると。
まずこの3つの主流についてどう思ってるのかと。社会主義、新左派とも言われてますけど、なぜこういうふうに出てきたのか、ちょっと解説いただいてもいいですか?
やっぱり渡辺さんの分類、とっても見事なんですけども。社会主義って、アメリカはそもそも我々はとにかく豊かな国なので、そういったヨーロッパとか他の国みたいに社会主義的な革命とかいらないんだと。みんな豊か、普通に自由に機会があふれてるので豊かなので、社会主義はいらない国なんだっていうのが自己規定だったんですね。
さらに米ソ冷戦が始まったことで、社会主義っていうのは敵の体制なんだっていうことで、ますます社会主義、とりわけそうした国家による統制経済みたいなイメージが植えつけられて、長い間やっぱり社会主義っていうものはタブー視されてきたんですが。しかし、なぜ今日ここまで民主、民主って大事ですよね、ソ連的な統制経済じゃない。でもやっぱりアメリカに社会主義は大事なんですよと。
社会主義はいらないんだって言ってる間に、先進国でほぼ唯一、国民皆保険もない国になってきて。アメリカは資本主義なんだって、これはやっぱり権力者の、現状を変えたくない人たちの言説なんだって。この対抗概念として、やっぱり社会主義が出てきていると。先ほどの分類ですね、民主社会主義っていうのは全部の視点があると思います。決して経済成長を否定してるわけではないし、別に経済の話だけではないと。
例えば一番今、民主社会主義のアイコンになってるのはニューヨークのマムダニ市長ですけども、彼がやっぱりよく語るのは労働者の尊厳ですよね。例えば、住んでる地域にしても、ちゃんと自分たちの意見を政治に反映してほしいと。全部が全部、上の方の豊かな人たちの経済的利害で決められたくないっていう、そういう尊厳の訴えでもあるし、もっと労働者に発言の権利っていう意味では、民主主義の主張でもあるという。本当に今のアメリカにおいて、こういう市長が出てくるのは、ある意味私は必然だったのかなと思いますね。
加藤さん、どう思いますか?
そうですね。三牧さんにもお伺いしたかったし、議論したかったなと思った点は、渡辺将人さんが挙げてた新世代の重要なポイントとしては、確かにそういう民主社会主義的な経済政策と同時に、彼らは多様性も諦めていないし。何なら、なぜ彼らが勢いを持ったかっていうとイスラエルの問題があると。今回特にガザの問題があった以降のイスラエルの問題があって。いわゆるダイバーシティの問題とか、イスラエル、ここはやっぱり民主党がなかなかうまく一致できない点だと思っていて。
でもやっぱりアメリカの社会って、番組の中でもすごくいろいろ語ってきたし、それこそこの『マスキズム』もそうだし、先ほどの『テクノロジカル・リパブリック』もそうですけど、どこかでやっぱり白人至上主義、優位主義みたいなところが出されてるわけですよね。そういう我々日本人からするとよく分からない、この経済以外の側面が経済に大きな影響を与えていて、そういう部分にもエルサイードなんかは切り込もうとしてる。さらにそこに世代の問題が入って、その辺どう考えます?
これについては、ちょっともう紹介の時間が足りなかったんですが、この本に収められた最後の回、動画だと10回目のお2人の議論の中に極めて重要な論点があって。今、トランプ大統領が関税の果てに戦争まで始めて、反トランプということで民主党に信任が集まってきて、民主党が今は勢いあるんですが、決して民主党自体がそんなに信頼されてるわけじゃないし、支持率が高いわけでもないんですね。
その大きな理由としては、やっぱり文化面のリベラリズムを一生懸命やってきたと。多様性でCEOに女性を増やすとか。多様性って言っても底上げ的な多様性じゃなくて、見えやすい、しかも既存の権力構造には変更がないような、ちょっと見せかけの多様性ばっかりやってきたんじゃないかと。言葉の言い方を変えて、多様性的に振る舞うとか、そういう見せかけの多様性にみんながもう怒って疲れて、経済政策、じゃあもう共和党の方がやってくれるんじゃないかと流れたと。今、でもそういうふうに共和党に託した期待も見事裏切られたというところで。
お2人の議論っていうのは、実は経済か文化かって話じゃないんじゃないか。実際にアメリカ社会では人種的マイノリティ、性的マイノリティ、暮らしの面、生活の面でも、様々な差別によってより大変な面はあると。そこは別に経済だけやればいいとか、多様性、差別の問題だけやればいいってことじゃなくて、そこの組み合わせが大事なんじゃないかってことですよね。それがやっぱり今のこの新世代派にはとても理解されて、これ別に排他的にどっちかやんなきゃいけないことじゃなくて、どっちも大切だと。経済問題をやるにしても多様性の視点です。
様々な差別、抑圧がどうやって生活苦に作用してるのかっていう視点もとても大事だっていう、本当に今まで民主党を分断させてきたような、文化か経済かどっちで行くかみたいな、そういう二項対立をある意味乗り越えた存在。
やっぱりイスラエルの問題っていうのは、これはまずイスラエルがずっとパレスチナ人に対する抑圧、殺害をしてきたんですけども、2023年の軍事行動がハマスの攻撃をきっかけに始まって、その時にはイスラエルに対する圧倒的なシンパシーもあったんですが、直接死だけでそれから7万4000人亡くなって。ヨルダン川西岸でもうどんどん入植という名の暴力が加速していると。アメリカがやっぱり覇権国でなくなる分、世界の弱者に共感しやすくなってるっていうのはあると思うんですよね。
非常に若い世代はパレスチナ人支持が圧倒的で、今アメリカ全体で見ても、もうパレスチナ支持が強くなってますし、民主党に至ってはトリプルスコアくらいで、民主党支持者はパレスチナに共感を寄せるようになってると。さらにやっぱり、これだけアメリカが大変だと、生活を底上げしなきゃいけないのに、イスラエル支援ってなると、イスラエルとアメリカの政治的な力学によって法外な軍事支援がもう自動的に約束されてると。
これ、アメリカファーストって言ってたトランプ大統領も、イスラエルってことになると、もう法外に軍事支援して一緒に戦争まで始めちゃう。これは私たちの生活を取り戻すためにも、この無条件の、イスラエルがいくら暴力やってても、殺害、ジェノサイドやってても支援するっていう国家の体制を変えなきゃいけないと。人道的な関心や、アメリカをちゃんと立て直そうって、いろんな関心が今やっぱり、アメリカ、イスラエルとの関係は根本的に見直さなきゃいけないんじゃないかっていう、特に若い世代にそういう動きを生み出してますね。
その世代間の争いで、しかも渡辺さんの論文に書かれてるように、派閥がこれだけ大きく分かれていて。アバンダンス派には確かにそういった多様性を認める部分もあるはあるんだけれども、でも結局そこでは寄付者が違うし、いわゆるステークホルダーが違っていて。今回は確かに州なので民主党が勝ちやすいと。それぞれの州で、例えばエルサイードが新世代左派的な方面を打ち出しても州の中では勝てるかもしれないし、タラリコがこういう宗教の問題をやって。彼もどちらかというと新世代に近いですよね。民主社会主義的な経済を取りながらも、ジェンダー問題とかきちんと言う。
そういう人たちがいる中、例えばオハイオなんかのシェロッド・ブラウンみたいな従来の労働者的な感覚を持った人、さらにそうではないアバンダンス派、あるいは新自由主義的な傾向を持ってる人たちっていうのは、全国で見ると結構バラバラじゃないですか。一旦これ、例えば今回の中間選挙で民主党が下院も勝ち、上院、これ分からないですけど、勝ったとしても、バラバラが実際28年でまとまっていくのかっていうのは、その辺りちょっと聞きたいなと思ったんですけど。
常に左派が台頭すると、左派は本選で勝てないというふうに、もう民主党の主流派から異議が出る状況だったんですが、やっぱり私、この状況にあって、アメリカ国内外の状況は何
何が急進で何が中道かって、根本的なことだと思うんですね。例えば今、民主党の中道派は、何やかんや言ってもイスラエルとの関係は重要だから、軍事支援は続けると。国民皆保険はいいけど、お金がないから、そこまでできないですというのが、言われてる側ですね。そうやってずっと国民皆保険が後回しにされていた結果、今アメリカで、少なくとも国民の半数が、本当は行きたいけど医療費の請求が怖くて行けないという状況がある。これ、若い子ほどそうですね。さらに、これだけイスラエルが虐殺して、国連総会でもみんなイスラエルを批判して、そういう状況でもイスラエル支援をするのはおかしいと。
軍事支援の見直し、攻撃的兵器はもちろん、防御的兵器も、イスラエルが本当に何をやっても盤石だから攻撃するので、かなり根本的なイスラエルの軍事支援の見直し。これが急進って言われるんですけど、世界の我々の感覚とか常識から見れば、何でアメリカって、この期に及んでまだイスラエルを支援してるの、何でアメリカってこんなに医療問題で苦しんでる人がいるのに、国民皆保険に着手もしないのかという。
中道と言われていた立場が、アメリカの外の視点を入れると異常なことで、急進として常に退けられようとする側が、実は割と真っ当なことを言ってるという。やっぱりこの政治的なレトリック、相手を非正当化しようとするとき、「それは急進的すぎるよ」とか「あなたは理想主義的すぎる」って言いますけど、主流派の利害もあると。今回注目してるのは、エルサイードの応援にバラク・オバマが入ると。
実はエルサイードは、オバマの医療改革は全然不十分だって批判してきた人なんですけど、おそらくオバマは、その間の人々の求めるものの変化っていうものを見て、今アメリカの人たちが何を求めてるのか、左派の勢いとか左派の主張に、オバマとして見るものがあると思って応援すると思うんです。
オバマのときは、彼は超スーパーウルトラコミュニケーターなので、うまく調整したじゃないですか。州では勝てても、全国となると誰が束ねるんだってことだと思うんですよ。その辺どう思いますか。民主党の中にも古い民主党と、急進って言っていいか分からないですけど、私、どっちかというと日本の制度に近いと思うんですけど、左派が出てきて。その辺どう思いますか。じゃあ、オカシオコルテスなのかとか。
私は、左派が出てくるとまとまらないっていう言説自体が、もう問い直されなきゃいけなくて。アメリカ社会の、例えば社会主義、資本主義の世論調査だと、もう社会主義的な方向に行ってほしいと。民主党支持者も、社会主義アレルギーみたいなものが、むしろ現状を変えたくない人たちにつけられてきたってことまで分かってるわけですよね。
なので、党の方向性としてはそっちに行くわけなので、私は主流派の方が、オバマに見られるように譲歩しなきゃいけないというか、変わる自分たちの政党で、それは人々の求めに応じて変わってるわけなので。私は今、むしろ行動が問われているのは主流派の側だなというふうに思いますね。今のところ、結局分断しても共和党を利するだけなので。ただ、より根本的な民主党の変化が起きているのではないかと思います。
そうですよね。面白かったのは、今のメインの民主党が、こういういわゆる新世代の人々とか、ニュースターみたいな人たちをどう見てるかって、すごく重要で。エルサイードとオバマが組むっていうのもそうだし、タラリコさんがテキサスで勢いを増してきたときに、オバマはテキサスに行って、2人でタコス屋に行って、そういうところを出してたりとか、インタビューをしたりと。
トルティーヤとかも焼いてましたね。
そうそう。なので、ある意味、オバマさんを象徴とするような民主党の中核が、それをどう思ってるのかなっていうのは確かに気になるところで。1つ重要なのは、カンザス州でぽっと出てきたアダム・ハミルトンっていう、民主党の牧師。2万4000人ぐらい、多くの人たちが集ってるような教会の牧師なんですけど、そこに民主党側から500万ドルぐらいの民主党のお金が、今カンザスに行こうとしてると。それは結構、おっしゃるとおり、中道も「いや、これを応援していかないと駄目なんだ」っていう表れなのかもしれないですよね。
これ、ちょっと共和党の話もしたいんですけど、同じ『外交』で、読売新聞アメリカ総局長の橋本さんが、4つの支持者カテゴリーに分けていて。1つはMAGA強硬派。これはトランプさんへの忠誠心が高い。2つ目が反ウォーク保守派。進歩的な価値観に反発を抱くと。あとは主流派共和党員。これは伝統的な中道寄りの穏健的な保守派ですかね。あとは消極派というか、共和党への帰属意識が高いというよりは、消去法でトランプかっていう人がいるんですけど、今の共和党をどう見ますか。あとはヴァンスさんが、今後、トランプさんの次はおそらくヴァンスさんって言われて、この中間選挙でどう立ち振る舞うのかとか。
まず、トランプ大統領は重大な裏切りをしたと思いますね。まずは平和の大統領になると。もうブッシュにしてもオバマにしても、みんな、とりわけ中東に軍事介入して、あるいは中東の軍事介入から抜けられなくて、国内がこんなにおざなりにされて、産業が逃げていって大変なことになりました。「米国ファースト、アメリカファースト」って言って、まずは戦争しないってことが、トランプ大統領の選挙民に対してやった最大の約束だったのに、中東、しかも地域大国のイランと戦争して、もうホルムズ海峡を開けられすらしないという状況になっていますので。そういったMAGAが、「トランプ大統領はアメリカを偉大にしてくれるんだ、国内重視してくれるんだ」っていうふうに、ちゃんとその理念に沿ってトランプ大統領を支持していた人は、やっぱり今、離れていっていると思いますよね。
労働者は救うって言って、結局マスクさんとか、AIとか暗号資産とか、特定の業界と結びついて、自分の私財も、この1年、2年で大変増えてるわけですので。MAGAがむしろ「トランプ大統領はMAGAを捨てた」とか、「もうイスラエルファーストになってる」とか、そういう批判で離れていってると。ただ、トランプ大統領がやることは何でも、どんなことでも支持するっていう、一部の信仰、崇拝的なMAGAは残ってると思いますが、トランプ大統領がやってることはメイク・アメリカ・グレート・アゲインではないということで、かなり剥がれている、岩盤支持層という状況だと思います。
その数字も結構明確に出てきていて、UMassの調査、2026年8月の調査なんですけど、共和党支持者におけるMAGA派の支持が、2026年3月、イラン戦争が始まった直後ぐらいですけども、その当時は77%まだあったのが、8月になると68%に低下していて。これまで彼の岩盤と言われていたMAGAでも、若干もう彼にも愛想をつかしてるし。もちろん、68%なんで相当な支持だと思いますけども、少しずつ剥がれ始めてる。
もう1つ面白いのは、さっき少し話したカンザス州のアダム・ハミルトン。彼はもともと共和党支持をしていた時代もあったぐらい、穏健な中道なんですけども、彼を支持する元共和党系の議員も結構出てきてたりするんですよね。なので、こういう民主党でも、より中道の政策を唱えられるような人であれば、「もうMAGAは勘弁してくれ」っていうような共和党の議員たちが民主党を支援するっていう傾向も出てるので、ある意味、1つの流れっていうのはできつつあるのかなと思ったりしますね。
決して文化と経済は並列じゃないんですが、そうしたハミルトンのように、あんまり文化は出さないと。むしろ地域的な特徴とか、あんまりイデオロギーは出さないで、もうとにかく物価だ、生活問題っていうふうな候補が現れると、共和党支持者も乗りやすいですよね。逆に今、トランプ大統領は自分が始めた戦争で物価が悪化してる。もうディーゼル燃料とかも高騰してるわけですので、共和党の方は実は物価高の訴えがあまりできないので、むしろ今回の選挙では共和党の方が非常に文化的な、「あいつらウォークだ」っていう言い方をしてる。民主党の方はウォーク色を消そうとしてる。共和党の方が文化戦争を仕掛けてますよね。「私たちはキリスト教の白人の国であることを思い出すべきだ」みたいなことをヴァンス副大統領が言ってるというか、そこしかなかなか訴えかけられることがない。なぜなら、物価高で結果を出せてないし、戦争すら終えられていないわけですから。
ヴァンス副大統領に関しては、このイラン戦争、本心は反対だったと思いますが、要は副大統領として止められなかったというところですので。MAGAとして戦争しないと。彼も『ヒルビリー・エレジー』なんかで、自分はエリートにだまされて戦争に行かされたとまで書いてて、どうなんだと。さらに彼のカトリック信仰も、ヘグセス国防長官が、まだトランプ大統領は決定してないですけども、威厳を見せて法秩序を維持するためということで公開処刑をやるということを言い、禁じているわけですので。ヴァンス副大統領は今、カトリックってことをかなり前面に押し出してきたわけですが、彼の信仰で、さらに個人として戦争に反対してただけじゃなくて、副大統領って立場にあって。それはトランプ大統領を抑えるのは難しかったかもしれませんが、これほど無謀で、同盟国にも世界にも大きな悪影響がある戦争を止められなかったわけですので。次の選挙に向けて、彼はその辺りをどう語って修正していくのか、あるいはできないのかと。
難しいですね。J・D・ヴァンスって、本当に面白い政治家だなと思うんですよね。矛盾を抱えてるというか。まず、さっき出した『ヒルビリー・エレジー』、アメリカの貧困地域で育ちました。でも今は政治エリートです。パトリック・デニーンさんと付き合っているので、アメリカの伝統とか共同体とか分かってるけど、ピーター・ティールとも近いので、AIとかテックも知っている。あるいはトランプさんの副大統領だけど、実はトランプさんから離れている共和党の気持ちも知っている。この矛盾する結節点に、いつもヴァンスがいる気がする。あるいは世界秩序、加藤さん、どう見てます?
すごく重要な点で、それこそ本当に、マスキズムとティールの考えはちょっと違うので、全く同じに見ない方がいいと思いますけど、世界観としてはかなり似てますよね。加速主義的に科学技術を高めていって、この世界をより良い方向にっていう方法ですけども。これと、最近出た『リベラリズムからの体制転換』っていうパトリック・デニーンさんの著作、それを2冊比べて読んでみると、全く違うじゃないですか。そこで提示されてる世界観というか、科学技術の問題もそうだし、経済の問題もそうだし、人間とは何かっていう根底的な考え方、文明観に関してもすごく対極的で。ヴァンスさんはヴァンスさんなりの考えがあるんでしょうけれども、それをどのように彼の中で折り合いをつけて、整合性をつけて、実存としてやってるのかっていうのが1つ。さらに彼が、例えば大統領になった場合、その矛盾する人間観というものを、1つの包括した文明、世界観としてアメリカ市民に語れるのかっていうのは、かなり謎が残るところなんですよね。
確かにヴァンスさんにはカトリック信仰っていうものもありますけれども、これも近年、例えばレオ14世が提唱するような平和路線と明確に対立したりだとか。レオ14世が教皇になる前から、ロバート・プレボストという人物としての、枢機卿だった時代から、移民問題に関してはTwitter上で相当議論を交わしていたりするわけなんですよね。なので、ヴァンスさん自身のカトリック信仰っていうものが、一体どこを目指してるかっていうのも、ちょっと分からない。この新しく出た『Communion』という、共同体っていう本を見てみると、かなり19世紀末から20世紀初頭に台頭したカトリック社会思想の影響を受けてるのは、そのとおりなんです。労働者目線であったりとか、庶民目線っていうのは確かにそこにはあるんだけれども、カトリック社会思想とこれとも違うしっていうのが。どれを一体選びながら、どこに彼の政治的な資源を割きながら今後進めていくのかっていうのが、まだちょっと分からないですね。
あと、やっぱりAI規制の問題も、この1つ目の論点に絡むところでは、レオ14世は明確に規制派。さらに、企業だけに任せてはいけないと。先日、スクープ記事で、アンソロピックは意識を、そういう話があって、教皇側はそれはできない、AIと人間っていうのは違うんだという、そこを非常に最近も強調されていて。そうしたAI開発業者に規制は任せられないという側と、トランプ政権の、どんどんAIを開発して、米中競争の観点からも規制反対路線と。そこもヴァンスさんは自分の信仰も絡んで、非常に難しい立場に置かれるし。個人の話だけだと、やっぱり大統領としてアメリカの人たちのことも考えると、信仰の面から、アメリカ市民の視点から、AI規制っていうものにもう少し取り組んでほしいなと思いますね。
まさにこの社会主義の話からAIと、あとは宗教につながったところで、ここでテーマ3に行きます。キリスト教ナショナリズムと主流派教会。メインラインとも言われますけど、まず加藤さんに、この主流派教会を解説していただいてもいいですか。
はい。主流派教会は、今、竹下さんがおっしゃってくださったように、メインラインとも呼ばれていて。何でメインラインかっていうと、どの町に行ってもメインラインっていう1つの、メインストリートですね。メインストリートにある大きな教会のことを、主流派教会って言うんですね。それに対して、私の本で書いてる福音派っていうのは、1920年代に、いわゆる原理主義っていって、メインラインチャーチ、主流派教会がリベラルになってしまったので、それに対抗して反近代的な原理主義を唱えて、そういったメインから出ていった流れにあるんです。
福音派という名前自体は1940年代以降の流れなんですけども、主流派はそれからずっと主流派であり続けて。どちらかというと、信仰の形はいろいろで、ただ社会においては、より広く慈善活動を行ったりだとか、共同体を作り上げたりだとか、移民に対してよりフレンドリーであったりとか。そういう人たちのことを主流派教会って呼ぶんですね。
一番最初に、この本の中で木村さんの論文を出してくださいましたけども、実際に数だけ言うと、いわゆるキリスト教ナショナリズムを信奉する白人福音派の数は全体の約13%いて、白人の主流派プロテスタントも13%ぐらいいる。実は数としてはそれほど変わらないんですよね。木村さんの論文が明確に書いてるみたいに、やっぱりちょっと際物は注目を集めやすいので、これまで福音派とかキリスト教ナショナリズムみたいなものは注目を集めてきたけども、実はこういう人たちがちゃんと存在していて。もちろんこの中に保守派の人もいるし、トランプ支持をする人たちもいるんだけども、その中で幾人の重要な指導者、リーダーたちが政治の世界にも台頭してるっていうのが、多分今の状況なんですよね。
もう1つ言うと、キリスト教ナショナリズムっていうのは、近年、アメリカは神によって作られた国とか、このアメリカの歴史っていうのは神によって守られてきた。これまでもこの番組の中で何度も話してきましたけれども、第2次トランプ政権ができて、トランプ政権が推進してきたような、宗教的言説と政治的な力を組み合わせるようなもので。それに対しても主流派教会は当初から、例えば2025年2月に信仰局というものが作られたときに、そういったものにも反対してたりするので。ある意味、従来のアメリカの政教分離、つまり信教の自由が認められて、個人の宗教の良心、良心的な自由が認められるっていうことを擁護する立場にある人たちなんですね。
その動きは、今回の中間選挙、あるいは今後のアメリカ政治にどう関わってくる?
はい。それが非常に面白くて、これまであまり注目されてなかったけれども、実はもう結構いろんな地域とか州には、当然活動、活躍してたりする人はいるんですけども、やっぱり今回はスポットライトが当たってるってことですね。注目人物、一番最初に言ってくれましたけど、いつぐらいから日本で語られてるのかなって、ちょっと調べたんですけど。2025年の1月ぐらいかな。ちょうどテキサス州で行われていた論争が、タラリコを中心として行われてた論争が、日本にちょっと伝えられて、その次に出るのが、何と私のツイートなんですよ。9月。
三牧さんがおっしゃったとおりですね。なので、結構早い時期にそれを。彼、何で9月かっていうと、彼が「上院選挙に出ますよ」って宣言したのが9月で、その後、11月ぐらいに朝日新聞とか各局が報じ始めて、今年になってから上院の予備選で勝って、こういう形になってるんですけども。カリスマもあるし、非常に興味深いのが、主流派の長老派の牧師になろうとも思ったぐらいの人で、神学校も行ってるし。その宗教的な伝統、特に主流派の良い、「良い」ってこれ価値判断になっちゃいますけど、社会的な平等を求めていくっていうような、いわゆる社会的福音っていう流れがあるんですけど、その流れの中にあって。隣人愛っていうのは、ただ単に個人間のことではなくて、社会の構造に対しても、より平等で再分配されてっていうことを求めるような人で。そういう人が出てきて、カリスマを持った形で語ることができて、さらにそこにキリスト教的な言説っていうのを組み合わせてきてるっていうのは、相当レアなことなんですね。
それが今出てきていて、彼とか、カンザス州のアダム・ハミルトンとか、アイオワ州の州知事選に出てるロブ・サンドっていう人も、ルター派のすごい影響を受けてる人だし。下院で見ると、結構最近出てきてるんですよ、こういう流れが。それが1つの、ある種のトランプが着た、あるいは着せてきたキリスト教ナショナリズムに対する対抗になってるんですね。
タラリコの話を聞いてると、分配とか現代の経済と、よく宗教を結びつけてるというふうに思います。
そうです。20世紀初頭に、アメリカのプロテスタントで、主流派の流れの中で、社会的福音、ソーシャルゴスペルっていう流れが出たんですね。ウォルター・ラウシェンブッシュ。これも私の杖の中でちょっと紹介したいと思いますけども、彼の考えっていうのは、基本的に旧約聖書の預言者とかっていうのは、常に経済問題をちゃんと語ってると。みなしごの存在であったりとか、寡婦の存在であったりとか、いわゆる今のシングルマザーの問題とかも含めてですけど、そういう人たちの生活が厳しいのに、王たちは自分たちの好きな生活をしてるじゃないか。それはおかしいだろうって言ったのが、旧約の預言者たちだった。
その流れをくみながらキリスト教の歴史をひもといてみると、初期の1世紀のキリスト教っていうのは、非常にそういう経済問題に働きかけていたし、例えば修道院運動っていうのも、12世紀とかに出てくるフランシスコ会の動きなんかも、当時始まりつつあった資本主義の歪みに対して、1つの抵抗を示した流れだったりするので。キリスト教の中にそういう動きっていうのは、すごくあったりするわけですよね。経済っていうのが、あまりにも宗教と分断されて、個人の問題とされてきたっていうのは非常に近年のことだし。福音派とか原理主義は魂の問題にしたいんだけれども、でもそれだけでは本質的にキリスト教ではないよねっていうような議論を進めてるような人だと思うんですね。
やっぱり語り方がうまいですよね。今の現代の文脈にどんどん入ってくるというか。タラリコさんの話って、共和党の人もすっと入ってくるんですかね。
ここもやっぱりちょっと難しいところで、いわゆる白人福音派、あるいはMAGAの岩盤支持層は、やっぱり彼のことを異端だと思うわけですよね。ジェンダーの問題があるので。だからこそヴァンスさんなんかは、テキサスで開かれた共和党大会の中で、そういったジェンダー問題であったりとか、トランスジェンダーの問題だったりとか、「タラリコなんて、複数のジェンダーが世界にはあるっていうことを言ってるぜ」みたいなことを言って、そこで距離を取らせようとする。それは、これまでの保守的なキリスト教は絶対そこだけは認められなかったところなので、そういう形で分断しようとしてるんですけども。でも、それだけじゃないだろうと。問題はやっぱり経済の問題だし、分配の問題っていうことで、彼に共感を示してるプロテスタントは当然いるわけですよね。特にヒスパニックに多かったりする。カトリックで、ヒスパニックで、プロテスタントの人たちは、きちんとした経済政策、そして移民に対して行き過ぎた政策をしてるトランプに対する1つの批判としても、うまく受け入れてると思います。
三牧さん、このタラリコさんみたいな、宗教をうまく民主党の文脈で語る人と、あとオカシオコルテスとか、マムダニ市長とか、急進左派の、さっきの問いにもつながりますけど、連携していくんですかね。どういうふうにダイナミックに動いていくと思いますか。
私はやっぱり、大きな共通点の方が重要かなと思うんですね。共同体っていうと、私たちは保守ってイメージがあるんですけども、例えばさっきの教皇と、前教皇のフランシスコとヴァンスの間には、共同体をめぐる論争があって。ヴァンスはオルド・アモリスという愛の秩序っていうキリスト教の概念を、まずは家族で、同心円状に広げて、その共同体、国家で、移民は入れないんだという、そういう排他的に閉じる形で共同体を主張したんですね。
それに対してフランシスコ教皇は「違いますよ」と。今のレオ14世も「違います」と、リツイートされたと。タラリコもマムダニも、私は彼らも共同体を語ってると思うんですね。でもそれは決して、やっぱり開かれていて。つまり隣人が性的マイノリティーでも、自分と違う信仰を持っていても、隣人として一緒にコミュニティーを作ると。彼はその属性とか立場を問わないわけですよね。そういう民主党の新しい共同体の、開けた形のものを、常にニューヨーカーと。ニューヨーカーを「こういう人ですよ」っていうふうに規定しないわけで。そういう開かれた共同体っていうものが、今、民主党の、特に新世代の語り方になっていて。AOCもカトリックなんですね。そんなに信仰を前面に出さないですけども、そういう多様な人たちの共同体っていうところでは、非常に一致するところもありますよね。
あとエルサイードは、彼はムスリムなんですが、1つ、新世代左派の特徴としては、ジェンダー問題、まだ共和党が文化闘争を仕掛けやすいですね。トランスジェンダーの問題とかも、たまにちょっと彼らも戸惑い、絶対に共和党に攻撃されるので。でも、ちゃんと語るんですね。例えばハリスさんは、あれだけリベラル、リベラルと言われたんですが、批判されるのが怖くて、3か月程度の選挙戦でしたけども、トランスジェンダーの権利とか語ってないんですね。攻撃されるのが怖くて。それはとっても分かるんですけども、タラリコは「そうやって共和党は、トランスジェンダーとかムスリムとか、いつも間違ったところに私たちの敵意を向けようとする。でもそうじゃなくて、本当に問題なのは」、今日いっぱい参照されてしまいますが、「この富の格差、またはそうした富裕層の、あまりに非対称な権力関係に目を向けなきゃいけない」と。
エルサイードもそうなんですけども、しっかりトランスジェンダーの問題を聞かれると語るんですね。その辺りが、旧世代が共和党に文化闘争を仕掛けられたくないということで逃げてきた課題にも、しっかり多様性の問題に向き合って。そういう意味では結構足腰が強い、新しい左派が出てきているなというところだと思います。
もちろん結果を見ないと分からないんですけど、これまで従来、保守と言われて、MAGAの岩盤支持層と言われてる人たちに、どれだけ本当にこの良心をもう一度語り直すことができるか。当然、トランプさんのやってることを全面的にバックアップしてるような人たちの方が、むしろ少ないわけで。それも保守的な層にも、もうしょうがないからこの人たちに入れてるっていうことだったと思いますけども。こういう形で確かに多様性は語るんだけれども、それと同時に経済問題が重要で、それこそキリスト教の教えに根差してるっていうようなことを言える、タラリコとかハミルトンみたいな人が出てくると、非常により説得的に、「彼らは我々の問題も語ってくれてるんだ」と。ただ一部の西海岸、東海岸のエリートが言ってるような文化的問題。これはイメージですけどね。やっぱりそういうイメージがつけられちゃってるので。
そうではなくて、ハミルトンなんか、カンザスで「私は牛肉も食べるし、カンザスが大好きなんだ。むしろハリスとかチャック・シューマーとか来ないでくれ」みたいな、そういうことを言いながら、そのために政策をやろうとしていて。さらにそこには大きな信仰があるっていうところが、1つの分岐点である。もちろん、これを過剰に評価することはできないし、選挙の結果はどうなるかも今分からないので、それを見てみないと分からないですけども、これまで光が当たらなかった主流派の台頭みたいなものは、今後ないとは言えないわけです。ただ問題は、アメリカって全体的に、宗教、宗教って言われていても、世俗化の勢いがすごいので。つまり、教会に人が行かなくなってるとか、宗教を重要視しなくなってるっていうのが増えてるので、特に主流派においては、その衰退が早いんですよね。その衰退の勢いと、今後のこういったタラリコとハミルトンさんが、どういう形で合わさっていくのかっていうのは、今後見ていかないと分からないのかなと思います。
加藤さんに聞きたいんですけど、トランプさんを支持してた人って、宗教界と保守派の中でも、本当にトランプさんの考えに賛成したりとか、トランプさんが宗教的な心を持ってるとは思ってなかった。あったと思うんですけど、ある意味、破壊者として、手段として、とりあえず支持しようと。その思いって変わってきてると思いますか。
はい。投票に行った人たちの数っていうのは、確かに白人福音派にすると、2024年で8割を超えてたりとか。投票は16年、20年、24年と、やっぱり8割を超えてるのは超えてるんですけど。もちろん、投票になったら2択しかないので、しょうがなく入れるっていう人たちもいるし。近年、ピュー・リサーチが出した新しい指標で、どういうタイプの右派なのかみたいなのが分けられているんですね。Faith Firstかな。信仰がまず最初に出るような、いわゆる伝統的な宗教派みたいな人たち、信仰ファーストの人たちっていうのが約12%ぐらいいて、この人たちは、やっぱりトランプさん支持にすごく回ってたりするわけですよね。その右派と宗教を結びつけた層っていうのは歴史も長いし、なかなか離れなくなってる。
ただ、そうじゃない人たちがもちろん、保守的な宗教を信じる人たちにもいるし。何なら、もうちょっと民主党に行くっていう可能性よりも、「もう選挙に行かなくていいや」っていうふうに、多分流れにはなってきてるんだと思います。だからこそ、こういう右派のロビイスト団体っていうのは、特に福音派系の団体っていうのは、投票に行かないって思ってるような保守派の人たちに働きかけて、「今回、これで勝たないと我々はもう終わってしまう」みたいな危機をあおって、選挙に行かせようとしてるのが実情なんでしょうね。
そう聞いてると、確かに宗教だけで投票が決まるわけではないんですが、やっぱり複数の要因が作用して票が動くことはあって。トランプ政権の、今まで話題に上ってない話としては移民政策で。これ、トランプ大統領はビザを持たない、合法的な滞在許可がない全ての移民は強制送還するって言って、このときは多数派の支持があったわけですね。でも実際にこの2年間、移民当局ICEの取り締まりが非常に暴力的に行われて、抗議する市民とか、対象になった人の殺害とか負傷事件も相次いでくる中で、とりわけ2024年大統領選でトランプ大統領の当選を助けたヒスパニックが、やっぱり怒ってるわけですね。
1つは、自分たちがヒスパニックってだけで、「合法的なの、違法なの」みたいな感じで見られて、実際、自分たちヒスパニックが非常に不当な強制送還等の対象になってると。さらにそこで信仰も絡んできて、レオ14世はご自身もペルーで移民の救済とか貧困の救済をやってて、非常に移民の権利を主張される方。やっぱり自分の信仰に照らして、トランプ政権の移民政策はあまりに非人道的で、私の信仰に照らしてもおかしいし、ヒスパニックとして怒りも感じるってことで、移民政策の不支持も今、相当上回ってるんですね、支持を。それもやっぱりトランプ政権の、今、主要政策は全部不支持が上回ってる状況ですけども、ヒスパニック票っていうのも、今度の中間選挙を占う、テキサスなんか非常に多いので、1つの重要な要素だと思います。
なるほど。このパートの最後に、今日議論したこととか、中間選挙は日本にとって何を意味するのかっていうのを語りたくて。というのも、この『日本人が知らないアメリカ』を加藤さんと一緒に書かせてもらった理由は、1つはアメリカの裏側、バックステージを知らなきゃいけないっていうのと、あともう1個は、これ、私、改めて読んで思ったんですけど、21世紀ってどうなるんだろうなって思いました。つまり、アメリカ的な20世紀が終わって、21世紀も4分の1進みましたと。今回の中間選挙でがらっと政治が変わると、あるいは大統領が今後変わったときに、アメリカがどんな世界を描いてるのかっていうのは、多分、日本がどういう世界を描いてるのかっていうのに大事だと思うんで、最後、日本の話をしたいんですけど。まずどう思いますか。このアメリカの変化を見てて、いつも歴史的、歴史的と言われますけど、私は今回かなり歴史的だと思うんですよ。その辺、日本に引きつけてどんなことが見えてくると思いますか。
そうですね。もう国際社会は、特にイラン戦争をきっかけに多極化。アメリカ自体が覇権をずっと放棄していた状況でしたけども、トランプ政権になって、昨年の国家安全保障政策で明確に、もうアメリカは巨人アトラスみたいに世界のどこにでも出ていって同盟国とかを守る存在ではないですよと。「自分たちの地域でやってください」って、もう言ってる状況です。
それって、オバマさんも警察官にならないって言ったじゃないですか。それと違いますか。
もうアメリカはなれないし、やっぱりあのときは9.11の衝撃っていうものがありましたし、国内の矛盾がそこまで露呈してなかったんですが。それから20数年間、テロとの戦いで非常に疲弊してしまったと。さらに今回のイラン戦争も、相当高額な兵器を使ってしまって、体制をまた元に戻すには数年かかると。覇権が衰退してるところに、さらに拍車をかけるようなイラン戦争で、失われたのは物質的な話だけじゃなくて、「アメリカって信頼できる国なんですか」と。いきなり戦争を始めて、ホルムズ海峡が封鎖されて、「開けられない、皆さん何とかしてください」という。本当にアメリカという国が、覇権を放棄しただけじゃなくて、非常に秩序の攪乱要素にもなってると。
世界はそういうアメリカを見て、アメリカとの関係はやっぱり重要と。でも、そこに全振りだと危険だからってことで、中国と関係改善したりとか。例えば、この間カナダがEUのアソシエートメンバーになると。そうした、とにかく外交を多元化して、経済的な依存先も多元化してって、必死の取り組みをやってると。ちょっと日本の動きは鈍いのではないかと。
今ちょうど、この2人とお話ししているところ、数日前に国際刑事裁判所そのものに、トランプ政権が制裁をかけると。日本はずっとICC、国際刑事裁判所を支えてきたし、今、赤根さんという日本人が所長ということで、支える理由、法の支配のためにたくさんあるんですが、ちょっとアメリカ相手になると及び腰っていうところがありますよね。
ここでやっぱりB面、今、表に出てるトランプがA面だとしたら、B面の、国際法を大事にしたいと。もうアメリカも絶対的な存在ではないので、みんな諸国家と仲良く生きていきたいっていうアメリカも、厳然としてあるんですね。例えばICCが出したネタニヤフに対する逮捕状、ニューヨークに来るんだったら、マムダニ市長が逮捕すべきだっていう世論が5割ぐらいあるんですね。反対する人より多いと。みんな、ICCにアメリカが入ってなくても、ちゃんと国際法を守ろうという、今、トランプ政権ではなかなか見えない、もっと協調的な、法を一緒に守れる、法秩序を一緒に作れるアメリカを、やっぱり信じて。今のトランプ政権だけじゃなくて、そういう長期的なアメリカも見据えて、私は行動してほしいと。
そういう意味で、このICCへの制裁は1つ日本外交の試金石であるし。でもアメリカはA面、B面がいろいろ入れ替わる、そういう国なので、さらにはもう長期的にはだんだん撤退していくので、日本も本当に準備して、いろんな国との関係も、また再構築していかなきゃいけないと思いますね。
加藤さん、どうですか。
非常に難しい問題で、我々日本人としては、戦後81年の長い歴史の中で、長く良いアメリカを見てきたと思うんですよね。やっぱり年配の方々に話すと、アメリカのポップカルチャーは素晴らしいし、映画は素晴らしいし、音楽は素晴らしいし、ファッションは素晴らしい。それはそのとおりだと思うんです。この本の中でも書きましたけれども。でも、近年起きてることって、それとはもう本質的に違うっていうのを、我々日本人一人一人がちゃんと分からなきゃいけないと思うんですよね。分かった上で、唯一の同盟国で、これだけ強大な、経済においても軍事においても力を持ってるアメリカと、今後、本当にどうやっていくんだろうかっていうのは、地に足をつけて考えなきゃいけなくて。
このとき、今の高市さんも師匠と仰いでる安倍さんの談話って結構重要で、70年談話とか読んだりすると、何で第二次世界大戦みたいなのが起きたのかを書くわけですよね。植民地主義の問題とかあるんですけど、経済がブロック化しっていう話が出てくるわけです。経済がブロック化し、それぞれがそれぞれの覇権を求めてって、まさに本当に今のような状態で。そしてそれがブロック化されたときに、日本は辺境ですからね。今までみたいに便宜を図るというよりも、使えるものは使うだろうし、データの問題もそうだし、アメリカ主導でやっていくんだとすると、果たしてそれが我々にとって本当に良いことなのかどうかっていうのは、オールジャパンで考えなきゃいけない問題で。右派、左派と分かれてる場合でもないし、ラベルを貼って「あいつは左だ、あいつは左翼だ」みたいなことを言ってる場合でも、全然ないと思うんですよ。
オールジャパンでちゃんと考えて、21世紀を良き隣人としてアメリカと付き合い、そして当然、中国とも良き隣人として付き合っていく中で、じゃあどう物事を進めていくべきなのかっていうのを考えなきゃいけない。それを、ポップな本ではあるけども、考えてほしいなと思う。変わってるんですよ、大きく。そこはちゃんと分かっていただきたいなと思いますね。
ということで、以上となりますが、最後、せっかくなんで杖を。今回、三牧さんにも杖を持ってきてもらったので、3つずつ紹介してほしいんですが、まず三牧さんから行きましょう。
はい。これはジョージ・オーウェルの『動物農場』。
山形さんが訳してるのが出てるんですね。
これ、いろんな訳があって、一番新しいのが山形さんが訳されたもので。これは本当に、ある意味古典なんですが、オーウェルが書いた原作と映画版の、それこそアメリカのCIAの関与があったんですが、結末が違って。実はこれ、結構知られたことかもしれませんが、オーウェル自身は民主社会主義者ですね。この農場の最後は、解放のために、まずは人間を追い出して革命が起きたわけですね。その動物の中で豚が権力を持って、そこに新たなヒエラルキーが誕生してしまうと。原作のラストシーンは、人間と豚が一緒に宴会して、それを他の動物たちが見ているという状況だったんですが。
オーウェルは確かに、実際にスターリン独裁になっていったように、平等を求める、解放を求める革命が、そうした不平等に帰結してしまう、権力のヒエラルキーを生み出してしまうことは批判的に見たんですが。でも彼はやっぱり、経済的な自由、みんなの自由は大切だ。こういうことにならないためにどうすればいいのかという問いかけのために『動物農場』を出したんですが、CIAが関与して映画になったバージョンでは、最後の人間は出てこなくて、また新たに指導者になった豚を、他の動物が倒すところで終わってるんです。
つまり共産主義独裁を倒せというところで終わっていて、実は資本主義がそもそも問題で、そこで共産革命が起きて、でもそこで権力関係が生まれてしまうのをどうすればっていう、オーウェルの問いが抜けちゃってるんですね。
なるほど。
今のアメリカでもバッシングとかで結構『動物農場』が言及されてですね、みんなに配るべきだと、恐ろしさが分かるよみたいに言われてるんですが、全然効果なくて。つまりアメリカの人たちは今、その最後のオーウェルが残した問いですね。確かに経済的な自由、平等は大事だと。でもそこでまた新たな権力関係は生まれない。つまり民主社会主義にするにはどうすればいいのかっていうことが、中間選挙でも今のアメリカ政治でも、一大争点になっているということで。オーウェルの果たせなかった夢を、今のアメリカ、あるいは我々も一緒に考えて、問いを考えたいなということで、古典でありながら極めて現代的というところで、杖として紹介させていただきます。
はい。ありがとうございます。2本目は何でしょうか?
これ、もう語り尽くしたところもあると思いますけど、これも重要ですし。つまり再分配なき豊かさ。我々、やはり富裕層がですね、文化闘争を煽ると。富裕層は今、情報も握っていて、マスクさんって非常に被害者意識も全面に出してくるんですね。移民に私は攻撃されてる、マイノリティがアメリカを攻撃してると。それは実際の権力関係を反映してないんですが、被害者と加害者が今、転倒しているのが現代社会。そういう構造を問い直し、何が本当の問題なのかをですね、するためにも必須。このスロボディアンもですね、民主主義は諦めていない。だからこそ今の、このマスキズムと言われる時代をつぶさに眺めて、何が問題かを明らかにした、本当に最前線の著作だと思いますので、ぜひというところです。
はい。で、3つ目が。
この数年ですね、私のみならず世界を奮い立たせてきた、極めて重要なマックルモアです。アメリカのラッパーの曲なんですが、彼でもですね、例えば古くは『スリフト・ショップ』という歌で、金を持ってる人が偉いっていう価値観に挑戦して、古着でいいじゃんみたいな曲とか、あとは同性婚を支持する『セイム・ラブ』っていう曲とか、いろいろ出してきた。私も大好きだったんですが。
この2024年にですね、2023年10月にイスラエルの大規模な軍事行動が始まって、アメリカのキャンパスとかいろんなところでパレスチナ連帯、イスラエルの軍事行動に反対するデモが起きて。しかしそういう抗議活動が反ユダヤ主義だと拡散してると。大学キャンパスの執行部にも、ちゃんと取り締まれっていう、そういう弾圧が行われてる中で、コロンビア大学の学生たちが、ベトナム反戦とかの拠点にもなったハミルトン・ホールってところを、ヒンド・ホールっていう名前に改名して。
6歳のパレスチナ人の女の子が、300発以上の銃弾を車に撃たれて亡くなって、今、映画にもなってますけども。この子を、ある種そのパレスチナ人の犠牲になってる、とりわけ子供、全ての犠牲者へのシンボルとして歌い上げた曲で。ミュージックビデオはすごいパワフル。もう本当にここに凝縮されたようなですね、命を守るっていう抗議が苛烈に弾圧される、そういう姿。さらに今日話題になった、新世代左派にやっぱりこのイスラエル・パレスチナ問題がいかに重要かっていうですね、そういう本当に短いミュージックビデオなんですけど、それを伝えてくれる、そういう曲で。
この時は結構、この曲、称賛もあったんですけど、また反ユダヤ主義だっていう批判もあったんですが、先日ですね、彼がエド・シーランさんのコンサートで一緒に歌っていた。そこの舞台で『フリー・パレスタイン』と言ったところ、そのコンサート会場の所有者が、あんな反ユダヤ的なことを言ったということで、ツアーから降板させたところ、他のツアーメンバーも降板して、全世界的に非常にマックルモアを支持する声ですね。この2年間くらいで、ずいぶん国際世論、アメリカの世論も含めて変わったっていうことも、非常に体感することもあったので、ぜひ、こちらもちょっと音楽を紹介させていただきました。
はい。ありがとうございます。あともう1個あるんですかね。一応3つなんですけど。『寡頭制と闘え!』。これ、サンダースの。
はい。これ、ちょっと解説を書かせていただいたんですけど、民主主義の国であるはずのアメリカが、トランプとその少数の周りの人たちが権力を持ってるようになってると。サンダースはこれ、全米でもう85歳なのに、全米でツアーをやって全力で訴えてるんですね。サンダースは、その寡頭制との闘いとともに、やっぱり多様性とかジェンダーとかの、今までアメリカでジェンダー平等を促進してきた運動とかにも、非常に敬意を示してるんですね。まさにお二人が議論されてきた、多様性か、その生活かじゃないんだと。
サンダースって実は非常に先駆的な性的マイノリティの擁護者で、同性愛者の軍人を罵倒した共和党議員を、その場で問い詰めたりとか、同性婚も早くから支持してきましたし。その同性愛者の権利ってことに関して、彼のこの資本主義体制の批判が非常に目立ってるんですけど、この本全体を読むと、彼のマイノリティを守るっていう運動と、資本主義のこの独占の、一部の人が利益を持ってる体制を変えるっていう課題が、実はすごい繋がってて、このサンダースのパワーになって。今、サンダース・チルドレンというかですね、彼の考えをいろんな形で受け継いだ人が、全米で今、選挙を戦ってると。そういう背景が非常に分かる本です。
これね、すごい読みやすいし、本当にぱっと読めるんですけど、ただ我々が民主社会主義とか社会主義とかって言うとすごい恐れるんだけれども、アメリカの状況がよく分かりますよね。例えばマスクさんが持ってる富っていうのは、52%を合わせたのと同じぐらいとか、1%が90%以上の富を持ってる。日本だとちょっと考えられないですよね。世界に約3000人ぐらい、10億ドル、ビリオネアがいるとされるんで、アメリカには900以上いるんですね。日本って結構少なくて40人ぐらいしかいないらしいんですけど。もちろんそれはいろんな税の問題とか相続税の問題があったりするわけですけども、圧倒的な富と、一部の本当に寡頭制と言ってもおかしくないような状況があるからこそ出てきてる動きだっていう文脈を、我々日本人が分かんない。日本ってそれほどじゃないわけです。進んでますよ。進んでるんだけど、実質的にはそこまででもないし、あまりそこまで感じられないんだけど、じゃあなんでこんなにアメリカで問題になってるかっていうことを、この日本にいながら分かる、すごくよく分かる本かなと思います。
ありがとうございます。加藤さんの杖は3つ。
はい。私は1つ目は、この中山さんの本で。アメリカで社会主義、共産主義っていうのがどういうふうに語られてきたか。2022年に亡くなられてしまった、青山学院の中山俊宏さんって、素晴らしいアメリカ研究者なんですけども。なんで社会主義、共産主義っていうのが、いわゆる反共リベラル知識人たちによって、ある種されてきたかっていうのを、非常に難しい本なんですけど、それが長く書かれていて。なんで今、社会主義なんだっていう現代的な問題も書かれてるので、これはぜひお勧めしたいかなと思います。
2冊目は先ほども少しメンションしましたけれども、ウォルター・ラウシェンブッシュっていう、その社会的福音を唱えた人の本が訳されていて、『キリスト教と社会の危機――教会を覚醒させた社会的福音』。これは2013年に新教出版社から出て、ちょっと高い本なんですけども、ラウシェンブッシュの繋がりと、いわゆる最近台頭し始めてるね、キリスト教左派的な傾向も、タラリコだったりとか、ハミルトンの流れも少し見えたりするのかなと思います。
もう1つはですね、この『世界』11月号に載っていて、これは『外交』の論文とも関連するんですけど、この中でも渡辺将人さんが民主党のカテゴリーについて書いてるので、『外交』の方を読んでいただいてもいいし、『世界』の論文、論考を読んでいただいて、トランプ後の世界っていうのをどう考えればいいのかって見れるかなと思います。
私はですね、杖3つありまして、1つは『外交』。今日の本編でもいろいろ紹介しましたので、ちょっと割愛すると、本当に今まとまってるので、中間選挙前にすごいいい参考文献かなと。やっぱり表紙に政治家が載っていて、これ、カリフォルニアのニューサムだと思うんで、AOCとヴァンスとルビオですね。次のスターも分かるし、カリフォルニア知事とか、ちょっと面白いと思うので、この辺が分かると。
2冊目はですね、まさに三牧先生の本で、こちらですね。これ、私、先生と初めて会った時に、実は事前に読んでて、その時お声がけした理由なんですけど。さっき国際法の話が出ました。今、トランプさんがA面で、国際法がB面に後退している中、これ改めて読むとですね、戦争を違法化しようとした運動があると。戦争違法化とか平和運動っていう、理想主義的に見えるんですけど、それをリアルな法律に落とし込もうということは、つまりそれはリアリストだと思うんですよ。この2つを組み合わせてる動きが非常によく分かるし、市民運動と学問、市民運動と法律、市民運動と行政が結びつくダイナミクスが分かるので。A面、B面で説明すると、これ。
A面、B面の本だったんだ。今、発見がありました。
はい。そうなんですよ。というふうに私は、この本を。
そう、国際法がAだった時代があった。
あったっていうことが改めて分かった本です。
これ、めちゃめちゃセットで。
今ご紹介、3冊目は一応こちらというか、すいません。私、しなきゃいけない。
いやいや。今日の議論もそうですけど、本当に加藤さんと私が、あとスタッフも思いを込めて書いた本で、このAとBのコンセプト、これは本当に大事だと思い、ぜひ皆さん読んでほしいですね。本当、皆さんのおかげなんですけど、こうやってコメント欄と我々とか、いろんな視点が混ざりながら作った本になりますね。
本当にその内容をどうするかだけじゃなくて、何がA面で、何がB面で、このコンセプトについても本当にいろんな議論があって。本当にコメント欄含めて、スタッフの皆さん、お二人で作った本っていうのが、やっぱり本で読むと本当にあります。皆さんもう手に持ってます。
ここTBSなんですよ。TBSにいます。ちょっと収録してるんですけど、中でこうYouTubeをやっているっていうのも、どっちがAかBか分かんないですけどね。マスメディアとデジタルメディア、あとはデジタルメディアと本とか、アカデミアとジャーナリズムとか、もうAとBが混ざってCになっちゃうみたいな、そういう時代だと思うので。
分かりにくいですね。
ちょっと分かりにくかったですね。売れなくなっちゃったですね。という感じです。ということで、三牧さん、ありがとうございました。
ありがとうございます。すごい、やっぱりいいですね、ゲスト回。
いや、緊張。でも今、すっかり緊張もほぐれておりました。
もう1本撮りますか?
もう1本撮りますか? はい。
ということで、バックステージアメリカ、以上となります。今日は中間選挙の話でしたが、先生がいてくれたおかげで、本とAIの話とか、マスクの話とか、戦争と法律とか、国際法の話にもいけたと思います。ぜひ皆さん、チャンネル登録と、あとはいいねの高評価、そしてコメント欄も引き続き書いてください。そして、しつこくてすいません。こちらの方もぜひ買ってください。お願いします。
これ売れるとですね、今後うちのクロスディグも本との連携とか、文藝春秋さんともっと連携して、我々二人で文春プラスに出たりとか、そういうのもできるので。本が売れれば動きやすくなるので、どんどん新しい動き、応援でもいいということで、以上となります。三牧さん、加藤さん、どうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
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