65歳で投資を始めた高木豊が分散せず「スター株」に絞る理由

YouTubeで開く ↗
概要

元プロ野球選手で野球解説者の高木豊氏は、65歳で株式投資を始めた。始めてから2年ほどの現在は、東京エレクトロンを軸にした集中投資をしている。楽待チャンネルに初出演した高木氏は、聞き手の堤友香氏を相手に、長期分散が基本とされる投資の常識に異を唱えた。野球の継投や選手起用にたとえながら、自分の勘で銘柄を選ぶ理由を語っている。話は株にとどまらず、67歳で組んだ住宅ローン、お金の使い方の変化、引退後の仕事の広がり、同世代に向けた「後悔しないお金の使い方」にまで及んだ。

13分で読めます
2:19

65歳まで投資をしなかった理由と、始めたきっかけ

高木氏は大洋ホエールズ(現・横浜DeNAベイスターズ)で盗塁王やベストナインを獲得した。二塁手として守備率の日本記録を33年間保持していた選手でもある。引退後はアテネ五輪日本代表コーチやDeNAのヘッドコーチを務め、現在は登録者50万人を超えるYouTubeチャンネルを運営している。

投資を始めた理由を問われた高木氏が最初に挙げたのは「占い」だった。投資を始めるといい年だと言われ、それを少し意識したという。もっとも、それだけではない。銀行に預けておくよりは投資の方がいいと考えるようになっていたこと、結婚してお金を残していかなければならないと思ったこと、ある程度動かせるお金があったことも理由に挙げた。

年俸の高い現役時代に、なぜ30年近く株に手を出さなかったのか。堤氏がそう尋ねると、高木氏は、当時も店を出さないか、マンション経営をしないかといった誘いはあったと明かした。それでも野球をやっている以上は気を散らしたくなかった。引退後も解説の仕事に集中する必要があり、ほかのことに手を回す余裕はなかった。年を取るにつれて余裕が生まれてきたことが、投資に向かう下地になったという。

高木氏はもともと、お金は汗水たらして稼ぐものだと考えていた。お金に働いてもらうという発想はあまりなかった。65歳になって、そういう考え方に移っても「バチは当たらないかな」と思える年になった、と振り返っている。

4:28

最初の銘柄と、現在のポートフォリオ

最初に買った銘柄は三菱重工業で、住友不動産も買ったという。ただ、これらはすでに手放している。現在の個別株の中心は東京エレクトロンだ。ほかにシステナを少額だけ持っている。システナはYouTubeで話を聞いて面白いと思い、安く買えたので持っているという位置づけである。新NISAも利用しており、投資信託のほかにSpaceXやフジクラの名前も挙がった。フジクラについて堤氏が「AI関連、電線関連ですね」と確認すると、高木氏は電線や通信が関わってくると応じた。

5:43

「分散は何も面白くない」――継投にたとえたリスク観

堤氏が、シニアや初心者には分散を勧める声が多いと水を向けた。高木氏の返事は「分散って何にも面白くないじゃない」だった。分散しない方が怖くないかと聞かれると、継投を例に説明した。先発投手が崩れて、あと3人を使わなければならないとする。その3人のうち1人は調子の悪い投手がいるものだ。その1人が足を引っ張れば、残り2人の好投も生きない。ヘッドコーチとしてベンチから見てきた経験から、投手は「使えば使うほど悪くなる」「使えば使うほどリスクが伴う」と感じていたという。いい先発が完投した方が結果はよくなる。だから銘柄は多くても2つくらいでいい、というのが高木氏の考えだ。

あわせて高木氏は、投資を怖いと思うならやめた方がいいとも言う。なくなっても仕方ないという腹づもりで持たなければならない。絶対に上がるかどうかは誰にもわからないからだ。

7:03

ドラフト1位とスター選手――「スター株」を買う理由

高木氏は、ドラフト1位が必ず活躍するとは限らないと前置きしたうえで、「でもスター株を買った方がいいよね」と続けた。スターはアマチュア時代からプロに入ってもずっとスターであり続ける、というのがその根拠である。例として、自分に近い世代の岡田彰布氏や原辰徳氏、さらに田中将大投手を挙げた。プロで期待通りにいかなかった斎藤佑樹氏についても、「スターであり続けるじゃない」と述べている。株も、そういうスター性のある銘柄を買った方がいいのではないか、という考えだ。

リターンについても率直だった。たとえば1億円を分散して買うより、1点に集中した方がリターンは大きい。みんなリターンを考えて投資しているはずで、安全を考えるならやめた方がいい、と高木氏は語った。

7:49

三菱重工と住友不動産を手放した理由

最初に買った銘柄を手放したのは、「動かない」からだった。1年半から2年ほど持っていたが、リターンが少なく、これなら他で稼いだ方がいいと思ったという。「これが投資かと思うとさ、なんか全然つまんない」とも話している。

堤氏が、調子の悪い投手を交代させるまで我慢する感覚に近いのかと尋ねた。高木氏は、むしろ投球としては安定していたと答えた。安定してはいるが、それでは流れがつかめず、点も取れない。流れを変えるには動かさなければならないと判断し、入れ替えて1点集中にしたという。

9:12

なぜ半導体、なぜ東京エレクトロンなのか

高木氏は、半導体はおそらく向こう10年は大丈夫だとみている。AIとともに、それが世の中の主流だからだという。SpaceXなどの宇宙関連も含めていろいろな銘柄を見てきたが、需要の面でいちばん安定しているのは半導体だと判断した。そのうえで、日本の精密性は際立っていると評価する。台湾の企業もいいが、日本株の方がいいと考えて東京エレクトロンを選んだ。

買ったタイミングについて高木氏は、10月から株式分割が予定されていたことを挙げた。分割前に買っておけば少し上がっていくのではないか、と考えたという。株価が7万〜8万円台まで下がった後に買ったことは明かしたが、買値や保有株数は「YouTubeって世界だからね」と言って明かさなかった。

他人の予想については、戦争が起きればここが上がるといった話はいろいろあるが、予想は予想であり、参考にはしても最後は自分で決めなければならない、という立場だ。

11:11

「AIバブル崩壊」論は気にしない

夏に天井をつけたのではないか、AIバブル崩壊ではないかという声について、高木氏は「全く気にしない」と答えた。買った以上は信じるしかない。投手と同じで、使うなら使い切らなければならないという。堤氏が半導体については意見が二分している印象があると言うと、高木氏は、それはその人の意見であり、買うのは自分だと応じた。自分の心で決めないと悔いが残り、納得もいかない、と語っている。

12:00

撤退ラインは決めず、勘で判断する――3割打者のたとえ

損切りや利益確定のラインを決めているかと問われると、高木氏は「自分の気の向くまま」と答えた。野球なら、小さい頃からやってきて、プレーヤーとしても解説者としても何千試合と見てきた。そのため、この先どうなるかがおおよそ読めることがある。株はわからないが、情報を集めればある程度の勘が働き、自分の心がどう動くかがわかってくる、という考えだ。

データについて、高木氏は「嘘は絶対つかないけども、全てではない」と言う。3割打者でも、この試合の内容を見ていると1割打者のようだと感じる日がある。そういうときはその打者を信用できない。だから勘で切ったり、続けたり、勝負に出たりしなければならない。PERのようなバリュエーション指標も、参考にはするが決定的ではないという。

好調な投手をあえて代える場面についても、点差次第だと説明した。投資でいえば、これだけ儲かればいいと調子のいいうちにやめることもある。一方で、負けているときに調子の上がってきた投手はなかなか代えられない。そこは勘しかない、という。

高木氏は自分のことを、投資にはあまり向かない性格だろうと評した。妻の方が長く持てるタイプで、年齢的にも若いから長期保有でいい。一方の自分は、長く持っているうちに死んでしまったら何をやっていたのかと思う。だからスピードを重視して、早く動く銘柄を求め、1点集中にした面もあるという。

15:07

次の狙いと「夢」――宇宙関連と競馬のたとえ

東京エレクトロンの次の候補としては、キオクシアのような株を安く買えるなら狙いたいと話した。ただ、次は宇宙関係ではないかとも述べている。SpaceXについては、宇宙に飛び出していく話なので長期で持たないと難しいとみている。一度動き出せば早いが、動き出したと気づいたときにはもう遅い。だから安いうちに見つけておきたいという。1年後に何十億になるようなことには夢がある、と高木氏は言う。お金そのものが欲しいのではなく、夢のあることをやりたいのだと補足した。

高木氏は株を競馬にもたとえた。競馬では血統や調教を見て予想するが、なかなか当たらない。株でも会社の血筋や蓄えを見る。YouTubeでは皆がもっともらしいことを言っているが、本当に正しいのかと思ってしまう。「上がる」「AIはだめ」「半導体はもう落ちてくる」と言っておいて外れたらどう言い訳するのか、とも疑問を口にした。結局は勘に頼っているとしか思えない、という。

すぐ損切りしてしまうという堤氏に対しては、自分のお金でやっているのに人に左右されたくないだろうと問いかけた。最終的に決めるのは自分だが、金額が大きくなるほど他人を恨むようになる。人を恨むくらいならやめた方がいい、というのが高木氏の考えだ。

その感覚の例として、高木氏は巨人の話をした。YouTubeで「坂本を4番に」「丸も使え」と発信しており、この2人が全く打てずに優勝できなかったとしても自分は納得する、という。堤氏はこれを、ダメでも仕方ないと思える株に投資するということだと受け止め、高木氏も同意した。

19:30

不動産投資はしていない――バブル崩壊の経験

不動産投資はしていない。現役時代に持ち家を買ったが、その後バブルが弾けて、最終的には価値が3分の1ほどになった。ただ、年月も経っていたので、それはそうだろうと受け止めたという。住むための家で儲けるつもりはなく、必要なものはお金を出しても買う、という考え方だ。高木氏はこれもトレードにたとえた。高い投手でも絶対に必要ならスター選手を出してでも取る。損得勘定で考えていたら買えない、という。

今後については、チャンスがあればやってもいいとしつつ、今は価格が高く手を出す時期ではないとみている。家の方が多くなっていくので、価格は「絶対下がってくる」と高木氏は予想する。空き家問題やタワーマンションの今後にも懸念があるという。低層マンションでいい価格のものがあれば一つ買っておきたい「色気」はあるが、それも東京エレクトロンで儲かったらの話だ、と笑った。

22:08

67歳で組んだ10年の変動金利ローン

高木氏は東京と田舎の2拠点生活を計画している。東京には仕事が多いが、自由な時間は田舎でのんびり過ごしたい。田舎の家はもうすぐ着工し、順調なら来年3月ごろに完成する見込みだという。

住宅ローンも組んだ。税金の面でその方がよく、団体信用生命保険があるので、自分が亡くなれば返さなくていいという理由からだ。年齢に対する不安は「全くない」。何かあれば売ればいいという。67歳でなぜローンを組めたのかと聞かれると、「知らない」「信用じゃない」と答えた。年収を出したら「お願いします」という感じだったという。

返済期間は10年で、金利は変動を選んだ。理由を問われると、銀行の人もその方がいいと言ったからだと答えた。堤氏が、金利上昇で変動か固定かの論争が起きていると指摘しても、高木氏は「決めたことだからさ、もうしょうがない」と動じなかった。そのくらいのお金なら変動してもかまわない、借りたのだから返すだけだ、という姿勢で、自分でも「どんぶり勘定もいいところ」と認めている。面倒になれば途中で繰り上げ返済してもいいと言われているという。

家選びで重視したのは空間だった。東京では広さが取れないが、田舎なら大きな家が建てられる。施工は妻の同級生が勤める大手の建築会社に頼んだ。その人は、こんな大きな家を建てるのは初めてだと喜んでいたという。完成後は東京に週1回、少なくとも月3回は来ることになりそうだと話す。田舎ではステテコで歩きたい、東京ではリカバリーウェアくらいが限度だ、と冗談も交えた。

26:41

飲み代が消えて、お金の使い方が変わった

年齢とともにお金の使い方が変わったかと問われ、高木氏は飲み代がなくなったことを挙げた。今は酒を全く飲まず、その分を投資に回せる。健康にも気をつけるようになり、のんびりすることや釣り、ゴルフ、旅行など、自分の好きなことに使いたいと考えている。

現役時代の使い方は「むちゃくちゃ」だったという。先輩になって給料が上がると、後輩におごらなければならない。ただ、高木氏は飲みの場を社交の場ととらえており、そこでは馬鹿にならない情報が得られると考えていた。だから店も出した。いろいろな職種の人が来て話を教えてくれ、YouTubeを始めたのも、店に来たYouTubeを手がける人から「一緒にやりますか」と声をかけられたのがきっかけだった。あの店がなければYouTubeはまだやっていなかっただろう、と高木氏は振り返る。

子育てについては、3人の子どもは全員プロサッカー選手で、17歳前後でプロになった。そのためブラジル遠征の費用などを除けば、あまりお金はかからなかったという。それでも食事では今も高木氏が払っているそうだ。

30:03

戦力外通告の後と、「失敗」を経験と考える姿勢

36歳で戦力外通告を受け、収入が途絶えたときのことを聞かれると、高木氏は「なんとかなる」と答えた。なんとかしなければとは思っていたが、動き出せばなんとかなるだろうと考えていた。きっかけさえつかめればなんとかなる、という。

引退後はすぐにコーチになったわけではなく、まずタレントの道に進んだ。当時は元野球選手がタレントとして活躍する流れがあった。いじられ役で番組を成立させていた先輩を高木氏はすごいと思っていたが、自分にはその役はできないとも感じていた。そこへ解説者の話が来て、フジテレビで解説を始めた。そこから講演、ラジオ、新聞と仕事が広がったという。

積極的にお金を使ってきて失敗はなかったかと問われると、高木氏は「失敗を失敗と思わない」「経験だと思ってる」と答えた。例に挙げたのは札幌の仕事だ。店に2回目に来た客から「うちで解説をやってもらえませんか」と頼まれ、それが現在の札幌のラジオやテレビの仕事につながっている。その店はもうやっていない。理由は疲れたからで、深夜に帰宅して湯船に浸かり、お湯が抜けた後も浴槽の中で棺のように寝ていたこともあったという。それでも、店から得たものは大きかったと振り返った。

33:35

同世代へ――「止まっているより動いた方がいい」

最後に、同じ60代の視聴者に向けて後悔しないお金の使い方を尋ねられた。高木氏の答えは「ちょっとした挑戦でもしてほしい」だった。お金がかかるかどうかは別問題で、趣味でもいい。止まっているよりは新しいことをやった方がいい。それで若返ることもあるし、収入につながることもあるかもしれない。欲をかくのはよくないが、動いた方がいいと思う、という。

高木氏自身も、インバウンド向けの店を出すことを考えている。飲み屋ではないという。中身は「アイデアを取られるのは嫌だ」と明かさなかったが、今は抹茶ブームなので、それも考えてみようかと話した。

締めくくりに、高木氏は失敗という感覚はあまり持たない方がいいと語った。人は動く前に全体のリスクを考えてしまう。失敗のことを考えると一歩を踏み出せず、それでは何もできない。だから「とりあえずやった方がいい」というのが、高木氏の最後の言葉である。