ユニクロUとユニクロCはなぜ縮小しているのか MBが読み解くユニクロとGUの役割分担

YouTubeで開く ↗
概要

最近のユニクロはデザインが地味になり、ユニクロUもユニクロCも新作が少ない。一方でGUはフランチェスコ・リッソを迎え、マルニのような面白いアイテムを驚くほど安く出している。そう感じている服好きは多いのではないか、とファッションYouTuberのMBは話を始める。MB自身もその感想を持つ一人だ。ただしMBは、だからといって「ユニクロがダメになった」「GUの時代だ」と結論づけるのは早いと言う。ユニクロが洋服の「標準化」を狙い、GUがその反対側を担うという、ファーストリテイリングのブランドポートフォリオ戦略として両者の変化を読み解くのがこの動画の趣旨である。以下はMBによる推測を含む企業分析である。

14分で読めます
2:16

ユニクロUの型数は初期の半分以下に

MBがまず挙げるのは、ユニクロが新しいトレンドを求めなくなったという点だ。根拠として、ユニクロUの発足当初と現在を比べている。

ユニクロUは2016年にスタートした。当時ユニクロは公式に、デザイン、生地、縫製などにおいて新しいアイデアを提案するラインだと説明していた。初コレクションはウィメンズ52型、メンズ35型の計87型という大きな規模で、斬新なデザインが多かったとMBは振り返る。

それが2026年春夏には、ウィメンズ16型、メンズ20型、グッズ3型の計39型になった。初期の半分以下である。しかも2026年秋冬はまだ発表されておらず、ユニクロUそのものが終わるのではないかという話も出ているという。MBはシーズンの違いがあるので単純比較には注意が必要だと断ったうえで、それでもファーストシーズンと比べて型数は半分以下になっていると指摘する。

直近の推移も減少傾向だ。MBが挙げる数字では、ユニクロUは2024年春夏が49型、2025年春夏が41型、2026年春夏が39型と年々減っている。ユニクロCも2025年春夏の47型から2026年春夏は35型に減った。MBはこれを「気のせいではなく数字に現れている」と述べている。

3:42

「新しいアイデア」から「エッセンシャル」へ変わった言葉

型数に加えてMBが注目するのが、ユニクロ自身の打ち出し方の変化である。2026年春夏のユニクロUの公式説明は、エッセンシャルアイテムを再解釈し、定番のボトムスを現代的にアップデートする、という内容になっている。MBはこれを極めて象徴的だと見る。

2016年のプレスリリースや販促物には、新しいアイデアを提案する、パリのR&Dセンター発の新ライン、デザイナーの世界観を大規模に展開、といった言葉が並び、「今までのユニクロではない」ことを打ち出していた。ところがここ数シーズンは、エッセンシャル、定番、日常に馴染むワードローブといった、いかにもユニクロらしい表現にとどまっているという。

実際のアイテムも同様だとMBは言う。デビュー当時のコレクションには、ロング丈のアウター、レギンスとスカートのレイヤード、ワントーンのスタイリング、独自のボリューム感などがあった。ルメールの服をユニクロ価格に落とし込んだという印象が強く、世界的デザイナーをユニクロに連れてきたという感覚があった。これに対して2026年のユニクロUのルックは、シルエットは今っぽいものの、白T、デニム、ショートブルゾン、カーゴパンツと、商品カテゴリーそのものは非常にスタンダードだ。MBは、この10年でユニクロUのベクトルは革新から保守へ大きく寄り、既存ラインにかなり近づいたとまとめている。

ユニクロCについては、今回のラインナップを見て愕然とした人も多いだろうとMBは言う。同じスウェットパンツ、同じスウェットシャツを変わらず展開し、似たようなシャツはパターンも同じ。昨年の焼き直しばかりだという評価である。初期のユニクロCやユニクロUでは全く新しいアイテムが次々に出ていたが、今は定番品が増え、既存ラインと変わらないコンセプトになっている。ユニクロ側もそれを当然わかっていて、型数を減らすことで、特にメンズについてはユニクロUとユニクロCをやや畳もうとしているのが見えている、とMBは推測する。

7:36

MBがUとCの展示会レポートをやめた理由

この変化は、MB自身のチャンネル運営にも影響している。MBはユニクロUやユニクロCの展示会に行かなくなり、動画での最速レポートも基本的にやめたと明かす。

ファーストリテイリングとの関係が切れたわけではない。先日もユニクロのライブ配信(ライブステーション)への出演依頼があったが、条件の折り合いがつかず断ったという。GUからも依頼は来ており、GUの展示会には足を運んでいる。ユニクロのプレスルームにも出入りしており、良いアイテムがあれば取り上げて紹介もしている。

それでもUとCの最速レポートをやらないのは、ユニクロのブランドポートフォリオ戦略が明確に変わった以上、そこに意味を感じなくなったからだとMBは説明する。毎回同じような内容で型数も減り、既存ラインと大して変わらない。展示会で少ない型数を確認して特別に取り上げなくても、そこまで注目している人も減ったのではないか、というのがMBの見方である。新作が出れば通常のユニクロ商品と同じように紹介するが、UやCを特別扱いして語ることには意義を感じなくなったという。

9:01

ユニクロは「洋服の標準化」に注力している

タイトルにある「ユニクロが狙っているもの」について、MBは「洋服の標準化」だと答える。かつてのユニクロはデザイナーによって新しい服を提案することに熱心だったが、今はすでにある良い服をいかに世界標準として磨くかに力を入れている、という読みである。

MBによれば、2026年秋冬のライフウェアマガジンや各種販促物にも、タイムレスな定番、エッセンシャルなものがいつでも買える、といった文言がよく出てくる。以前のユニクロは、ベーシックだけではつまらないので、+J、ユニクロU、JW ANDERSON、ユニクロCなどでファッション感度を刺激して付加価値をつける構造が強かった。現在もトレンドを意識した販促はあるものの、コラボの数は大幅に減り、新作も出さず定番中心になった。特にCはラインナップが毎年ほぼ同じで、Uはほとんど新作がなく、コラボラインとしての意味をなさなくなってきているとMBは言う。

MBはユニクロが相変わらず良いものを作っていることは認めつつ、コラボで得たファッション感を通常ラインでベーシック化することにユニクロは注力しており、コラボラインの存在意義は小さくなっていると見ている。

10:29

海外売上2兆円規模のブランドはトレンドを追う必要がない

次にMBは、そもそもユニクロはもうトレンドを追いかける必要がない、と論を進める。根拠は事業規模と売上構成である。

MBが挙げる数字では、2025年度のユニクロの国内売上は約1.03兆円、海外は約1.9兆円で、合計3兆円規模のビジネスになっている。東南アジア、欧州、北米、韓国など海外が大きく伸びており、2026年度の海外ユニクロ売上はすでに前年比2割以上の伸びだという。GUは売上の9割以上が日本だが、ユニクロは国内の約倍の売上を海外で上げている。

ここまでグローバルなブランドになると、「今年はこの新作を出す」ではなく、「どの国でも誰でも毎年買える良い服」というブランディングを進めた方が圧倒的にスケールする、とMBは主張する。

その背景としてMBが挙げるのがZARAとH&Mの存在だ。日本市場ではそれほど強くないが、世界市場ではユニクロより巨大なファストファッションの王者であり、彼らがやっているのはまさにトレンド服である。毎年大量の型数で面白い服を出し、今着たい服を安くどんどん買える。洋服の本場ヨーロッパが生んだこの2ブランドに、ユニクロが新しいデザインのトレンドアイテムで真っ向勝負しても勝てない。だからユニクロは独自の立ち位置としてベーシックを選び、誰が買っても損のない標準化された服を、世界中どこでもいつでも同じ価格で買えるようにする方向へベクトルを完全に向けたのだ、とMBは考える。大量生産で品質が安定した丁寧な仕事という、いかにも日本的な発想であり、これが世界に誇れるユニクロというブランドを作るという判断だったのではないか、というのがMBの解釈である。その結果、新しいデザインを提供するユニクロUやユニクロCの存在が希薄になってきた、とつなげている。

12:48

コラボの目的は「ハウスデザイナーを鍛えること」

ただしMBは、ユニクロがトレンドを完全に捨てたとは言っていない。ある程度のトレンドは意識しなければならないので、ユニクロCやJW ANDERSONなど一定のコラボは続くだろうと見る。ただしその目的はコラボ自体の売上ではない。コラボという建前のもとでトップデザイナーとユニクロのハウスデザイナーを一緒に仕事させ、ユニクロの基礎体力を鍛えることにあるのではないか、というのがMBの推測である。

その理由としてMBは、定番品も実はアップデートされ続けていることを挙げる。メリノウールやスウェットパンツのように毎年出しているアイテムも、全く同じものを作り続けているわけではなく、サイズ感や素材感が微妙に変わり、常にアップグレードを重ねている。同じ形で10年、20年、30年先までかっこいいという価値を保てる魔法のような商品は存在しない。毎年わずかずつ裾幅や股上の深さを変えるといった細かい更新をしなければ、市場で見向きもされなくなる、とMBは説明する。

しかし定番品だけを作り続けると、ハウスデザイナーの目が衰えてしまう。そこで世界的なデザイナーを連れてきて、大きく展開はしないまでもハウスデザイナーと協業させ、定番品のアップデートにつなげている、というのがMBの見立てだ。以前は「定番品だけではつまらないから新しいデザインもやろう」という発想だったが、今は「定番品を賢く売り続けるために少しだけデザイナーズを使おう」という発想になっており、主従関係が逆転したとMBは表現している。

14:36

服好きには物足りなくても、スーパーマス向けとしては正しい

MBは、こうした変化を服好きが「つまらない」と評価するのは自然で、自分もそう思うと認める。しかしユニクロはそもそも服好きだけに向けたブランドではない。服に大して興味がなく実用品として見ている層も含め、あらゆるユーザーに対応するスーパーマス向けのブランドである。服好きに寄りすぎるとイメージがとっつきにくくなり、マスに届かなくなる。

そう考えると、ユニクロUやユニクロCを縮小し、トレンドはエッセンス程度に取り入れて定番品をアップデートしていく方が、ユニクロの事業規模としては正しいとMBは言う。実際に今年の数字でもユニクロが伸びていることから、ユニクロは完全にスタンダードに振れているのだろう、というのがMBの判断である。

このためMBのチャンネルでも、UやCにはあまり重きを置かず、むしろユニクロの定番品にこそ薦めたいものがあるという。UやCについては、これまでのファン向けに仕方なく続けているような雰囲気が少し感じられ、特にCにはその傾向があるとMBは述べている。

15:55

GUは逆方向に舵を切り、ユニクロとの共食いを避けた

では、GUの変化はどう説明できるのか。MBは、GUがユニクロと正反対の方向に進むことで、両ブランドの共食い(カニバリゼーション)を防いだのだと見る。

これまではユニクロもトレンド品と定番品の両方を作り、GUもトレンド品とスタンダード品の両方を作っていた。重なる部分はあったが、それぞれ別ブランドとして運営していた。ところがファーストリテイリングが、ユニクロに次ぐ成長の第2の柱としてGUの海外展開を進めると決めたとき、両者が重なっている状態は整理しなければならなくなった、とMBは推測する。

そこでユニクロについては、全世界のユーザーに等しく届けられる幅の広さこそが魅力だとして、スタンダードを鍛える方向を追求した。一方のGUはスタンダード品を捨て、フランチェスコ・リッソというかなり尖ったディレクターを起用し、GUの物作りをブランド化してZARAやH&Mと戦う駒にしようとしている、というのがMBの読みである。

17:18

GUの路線は「一か八か」の勝負

MBはGUの方向転換を、ファーストリテイリングにとってリスクを積極的に取った一か八かの勝負だと評する。フランチェスコ・リッソが旗を振り、新しいトレンドアイテムを次々に作っているが、これが売れるかどうかはわからないし、MB自身も正直わからないと言う。来年GUがスタンダードに戻ったら「GUは失敗した」と自分は言うだろうが、今のところは全くわからない、とMBは率直に語っている。

リスクが大きいと考える理由として、MBはこれまでのGUの客層をある程度見限って新しい市場に進んでいる点を挙げる。フランチェスコ・リッソの名前は普通の人は知らないし、色物のダウンジャケットはよほどの服好きでなければ着ない。安いスタンダードなスーツ、革靴、Tシャツといった従来のGUとは違い、完全に舵を切っているという。

結果として、GUはトレンド品を扱う本当の意味でのファストファッションとして、ユニクロはファストやトレンドとは関係なくスタンダード品を長く売るブランドとして、国内外でグローバル展開する2つのブランドに整理された。これが現在のファーストリテイリングの考え方ではないか、とMBはまとめる。最近のUやCが地味になり、GUが妙に攻めていると感じるのはこのためであり、ユニクロにセンスがなくなったわけではなく、ユニクロはスタンダードに、GUはデザインに舵を切ると決めた、ただそれだけの話だとMBは述べている。

おしゃれに見せやすいのはGU、長く使うならユニクロ

最後の論点は消費者の選び方である。MBは、正直に言えばトレンド服の方がおしゃれに見せるのは簡単だと言う。ユニクロはクオリティは非常に高いが、誰でも着られる当たり前の服を売っている。ありきたりの服をありきたりに組み合わせてもかっこよくはならず、ユニクロのスタンダード服でかっこよく見せるには一定のコーディネートのリテラシーが必要になる。だからGUのトレンド服の方が簡単におしゃれになれ、ただ品質はユニクロの方が上だ、というのがMBの整理である。

そのうえでMBは、ユニクロかGUかという二択ではなく、それぞれが得意なアイテムを理解して買い分けることを勧める。例として挙げるのがバレルジーンズだ。ユニクロのバレルジーンズも悪くはないが、MBはGUの方が一枚上手だと見る。3兆円規模のグローバルブランドであるユニクロは全く売れない商品を作るわけにいかず、多くのユーザーに刺さることを考えると攻めたデザインができない。GUならサイズ感やシルエットで攻められる。したがってバレルレッグのようなトレンドアイテムはGUが明らかに上であり、逆に毎日着るようなベーシックなテーラードジャケットを選ぶなら、ユニクロの感動ジャケットの方が上だという。

MBはさらに、本当の服好きならユニクロに偏ることもあると付け加える。コーディネートのリテラシーがあれば、ベーシックなアイテムでもサイズ感を調整したり、襟を折ったり、袖をまくったりといった工夫で差別化できるからだ。非常におしゃれな人なら、ユニクロの高品質な定番品を着こなしでかっこよく見せることもできる。しかし普通は、コーディネートが簡単に決まるGUの方が確実におしゃれに見える。MBは、こうした住み分けがはっきりしたことで、消費者にとっては買い物がしやすくなったと個人的に感じているという。

21:51

コラボラインの行方と、まだ出ていない答え

一方でMBは、ユニクロUやユニクロCのように楽しみにしていたコラボラインが今後ユニクロからだいぶ消えていくと思うと、いささか寂しいとも語る。ここ数シーズン、MBはUやCへの興味をあまり持てなくなった。結局同じことをやって定番品になっているのだから、インラインでいいのではないかと正直思っているという。JW ANDERSONだけは少し面白いことをしているが、UやCはシーズンごとの変化が少なくなった。MBは、今後UやCのラインはおそらく消えてインラインに吸収されていくのではないかと予想する。

コラボ自体は今後も少しは続くだろうが、それはあくまでベーシックなスタンダード品をアップデートするための起爆剤としてであり、デザイン的に斬新なものはもうやらないだろう、とMBは見ている。斬新なことをやらなくてもこれだけ伸びているのだから、経営的にはベーシックに振るのが正解であることは明らかだ、というのがその理由である。そしてユニクロが完全にスタンダードに振れたとき、デザイン性の高い服を誰が担うのかという問いに対する答えとして、今回のGUの変化があったのだとMBは位置づける。

このポートフォリオ戦略は今のところうまくいっているように見える、とMBは評価する。ただしGUの新路線が実際に売れるかどうかは、少なくとも半年程度のスパンで見なければわからないと留保している。そのうえでMBは、ファーストリテイリング側がおそらくこう考えている以上、消費者もそれを察して、定番品はユニクロ、トレンド品はGUと買い分けることが大事だろうと結んでいる。