遺伝子組み換え作物は30年たってもなぜ不安視されるのか:推進側と「左翼代表」が話し合った日本の農業の選択肢
ReHacQ−リハック−【公式】遺伝子組み換え(GM)作物の流通が始まってから30年になる。この節目に開かれた討論会「遺伝子組み換え とことんディスカッション」に、元毎日新聞記者で食品安全情報ネットワーク共同代表の小島正美、鳥取県の米農家で日本バイオ作物ネットワーク理事長の徳本修一、東京大学の斎藤幸平が登壇した。司会はジャーナリストの須賀川拓が務めた。ReHacQの高橋弘樹も出演する予定だったが、直前に目を痛めて欠席している。
斎藤は冒頭で、自分がなぜ呼ばれたのか分からないと言い、「左翼代表」として出ると冗談めかした。そのうえで、自分は専門外の素人であり、エビデンスは分からないが怖いと感じる消費者の立場から話すと述べた。議論の軸は、不安がなぜ30年消えないのか、そして人口減少が進む日本の農業でバイオテクノロジーをどう扱うかである。対立を演出する番組構成ではあったが、実際には、斎藤が条件付きで議論の必要を認め、推進側も「推進派ではない」と繰り返す展開になった。
登壇者の立場
小島は毎日新聞に約45年勤め、東京に移ってからの30年余り、遺伝子組み換え作物をはじめ食の安全、医療、健康、環境問題を取材してきた。2008年からは、メディア内部で誤った記事を見て「これではメディアが滅ぶ」と感じ、現役記者のまま訂正を求める活動を続けてきたという。自社である毎日新聞の記事に訂正を求めたこともあり、嫌がられたこともあったと振り返る。
徳本は鳥取で米を作る農業法人の経営者である。日本バイオ作物ネットワークでは、海外の農場経営者も含めて農家同士が情報を発信する活動をしている。海外のGM作物農場にも何度も足を運んでおり、バイテク農業が日本で理解されて本当の意味で社会に実装されるには、農家自身が主導しなければ難しいと考えている。
遺伝子組み換えとゲノム編集の違い
須賀川はまず、GM作物とゲノム編集食品が別物であることを小島に説明させた。小島によれば、遺伝子組み換えは外部の生物から遺伝子を取り出して植物の細胞に組み込み、その形質を移す技術である。これに対してゲノム編集は、ノーベル賞の対象となったCRISPR-Cas9などを使い、生物が自分で持っている遺伝子を狙って壊す。壊れた遺伝子が修復される過程で新しい性質が生まれる。外部から遺伝子を入れるかどうかが最大の違いだと小島は整理した。例として、食欲を抑える遺伝子を働かなくして成長を早めたタイやフグを挙げた。
斎藤はゲノム編集食品を食べたことがなく、すでに売られていることも知らなかった。小島によると、血圧上昇の抑制、睡眠の改善、肌への効果、ストレス耐性をうたうGABA高含有のゲノム編集トマトは、3年間で約500店舗に広がっている。販売の中心は中小のスーパーで、イオンのような大手は扱えるほどの生産量がないため置いていないという。小島自身も、ここまで伸びるとは思っていなかったと話した。
ゲノム編集食品はなぜ静かに広がったのか
須賀川は、GM作物は長く不安視されてきたのに、ゲノム編集食品はすっと入ってきたように見えると問いかけた。徳本は、GABAトマトも炎上した記憶があると留保した。そのうえで、日本は遺伝子組み換えで一度失敗しているので、政策立案者が炎上を避けながら慎重に浸透させようとしている印象があると述べた。小島はアンケート結果を挙げ、ゲノム編集の認知度はまだ10〜20%ほどで、ほとんどの人は知らないと指摘した。
小島はメディアの姿勢にも触れた。商品が出る前は、安全性や表示の問題を取り上げる記事があった。しかし実際に店頭に並んでからは、危ないと書けば営業妨害になるので書きにくいのではないかと推測する。須賀川は1年前までTBSで夕方の番組の編集長を務めており、ゲノム編集のタイを特集したときも、不安の声は伝えつつ、番組全体の論調は肯定的だったと振り返った。
斎藤は、自分の周りには左翼が多く、遺伝子組み換えはよくないという声や、ラウンドアップが外国で禁止され始めているのに日本ではどこでも買えるといった声をよく耳にすると話した。小島は、左翼の人たちは今もゲノム編集に反対していると応じた。自分もかつては彼らの仲間だったという。ただ、反対派が店舗経営者に手紙を送り、店に出向いて販売をやめるよう求めるやり方は、一般メディアから見ても行き過ぎに映り、それが報道の温度差につながっているのかもしれないと小島は見ている。記者に確かめたわけではないと断ったうえでの推測である。
ラウンドアップと不耕起栽培
徳本はまず、自分は推進派ではないと明言した。遺伝子組み換えは品種改良の手段の一つであり、農業経営の選択肢として議論すべきだというのが基本的な考えだという。そのうえで、除草剤グリホサート(商品名ラウンドアップ)への誤解を取り上げた。徳本によれば、グリホサートは150か国以上で認可されている。一部の国で特定の製品が使えない例はあるものの、基本的には世界中で使われている。アミノ酸系の除草剤で、より毒性の強い除草剤もある中では扱いやすい部類だという。除草剤を作物にかけることへの生理的な嫌悪感が、消費者の抵抗の一因ではないかと徳本は見ている。
徳本が強調したのは、除草剤耐性GM作物が不耕起栽培を広げたという点である。徳本によれば、1980〜90年代の米国では農地を反転させる耕起(プラウイング)が一般的で、土がやせ、雨で流れ、砂嵐も起きていた。除草剤耐性作物が登場したことで、耕さずに雑草を管理する不耕起栽培が再現しやすくなった。これが農家の強い動機となり、南米やカナダにも広がった。気候変動の中で環境保全型農業として効果を発揮していると徳本は述べる。
斎藤は、不耕起栽培そのものには共感すると答えた。周囲の有機農家は除草剤を使わず、多種の草を混植して雑草を抑える方法で不耕起栽培をしているという。一方で、米国やブラジル、アルゼンチンの農業は全体として環境に優しいとは言えないのではないかと疑問を示した。ブラジルではセラードの破壊が進み、米国ではヘリコプターで除草剤をまいている印象がある。斎藤は「私のイメージなので間違っていたら訂正してほしい」と前置きしたうえで、この疑問を投げかけた。
ブラジルの大規模農業をどう見るか
徳本は、セラードやアマゾンが開墾されてきた歴史は事実だと認めた。そのうえで、人類の食料安全保障のために限られた土地でタンパク質の生産を増やす必要があるという文脈を示した。徳本が何度も訪れたマットグロッソ州では、GMのトウモロコシと大豆を輪作しながら不耕起栽培を続けている。残渣が畑に積み重なるため炭素が一気に放出されず、有機物が蓄積してカバークロップも使いやすくなるという。
徳本は、6万ヘクタールを経営する友人の例も紹介した。この農場のトラクターはすべて、自社農場のサトウキビから作ったバイオディーゼルで動いている。理由を尋ねると、1970年代のオイルショックの際、中東から燃料を調達している限り自立した農業はできないと考えたからだという答えが返ってきた。徳本は、現地の声を聞くと、日本で伝わる情報とはまったく違う事実が見えてくると述べた。
小島は土地生産性の観点から補足した。有機農業で世界の食料をまかなえるなら反対しないが、実際にはできない。生産性が低ければ森林破壊に向かう。今ある農地でどれだけ生産性を上げるかが最も大事であり、過去90年でトウモロコシの生産は7倍に増えたが土地は増えていない、と小島は説明した。
須賀川は、別の不安を取り上げた。散布された農薬が不可逆的な影響を残すのではないか、遺伝子がほかの生物に移って生態系が壊れるのではないかという漠然とした不安である。須賀川は、日本人が里山や棚田を大事にする感覚とこの不安がつながっているのではないかと述べ、環境破壊がまったくないというエビデンスを示すだけでは危ういと指摘した。小島の答えはこうである。GM大豆の面積が増えたので除草剤の総量は増えたが、面積あたりでは減っており、殺虫剤は確実に減った。農薬は分解されるので毎年まかなければならず、ずっと残るわけではない。
大規模化は持続可能な農業の姿なのか
斎藤は、GMかどうかは究極的には本質ではないと述べた。人口増加と経済発展に伴う肉食の拡大で、需要は伸び続けている。そのうえで斎藤が問題にしたのは、6万ヘクタールを耕すような資本集中型のアグリビジネスが、持続可能な農業の本来の姿なのかという点である。化石燃料や除草剤を大量に使い、単一作物を大量に作って海外に飼料として売るモデルには、違和感を持つ人が一定数いる。斎藤は、国連の「家族農業の10年」がもうすぐ終わる時期だとも触れた。そして、自分は農業をしていないので望ましい姿を語る資格はあまりないと断りつつ、このモデルは日本の農業の手本にはならないと述べた。
徳本は「適地適作」という言葉で応じた。自分は南米のような農業をしたいわけではない。南米の経営は広大な土地だから成り立っている。各国の農業経営者は競争の中で、窒素の投入を減らすなど少ない資源で生産を上げる工夫をしており、環境負荷を高めれば自分の首を絞めることになる。種を安定した深さでまける播種機や、少量で雑草に効率よくかかる散布機の改良によって、農薬の使用量はかつてより大きく減ったと徳本は話した。
徳本はそこから日本の現実に話を移した。徳本が農業をしている鳥取の中山間地では、高齢化で担い手が次々と辞めている。米価の低迷も離農に拍車をかけ、業界では「大離農時代」が来ると言われている。家族経営や地域コミュニティの発想だけでは、日本の農業は現実的に維持できないと徳本は述べた。コンパニオンプランツや有機的な不耕起栽培も知っているが、産業として供給を支え、農家に十分な手取りを残すには経営的な視点が必要であり、品種改良ももっとフラットに議論すべきだという。
斎藤の「暗黒社会主義」と条件
須賀川が、GM作物で持続可能性を保てるなら左翼的にもよいのではないかと尋ねると、斎藤は自著の「暗黒社会主義」の考え方を持ち出した。右肩上がりの成長が期待できず、高齢化で農家がどんどんつぶれ、これまでの農業の形を維持できないのであれば、左翼が好まなかったGMのようなものも含めて、食料をどう安定的に確保するかを議論しなければならないという立場である。
ただし斎藤は、あわせて整えるべき条件も挙げた。GMを避けたい消費者のための表示を義務づけて選べるようにすること。小規模や家族経営を望む農家が、GMを使うかどうかを自分で選べる状態を確保すること。種子や除草剤の権利をめぐって外国企業が入り込み、日本の農業が外国企業の「草刈り場」にならないようにすることである。須賀川に「結構サポート派ですね」と言われると、斎藤は、支持しているわけではないが、徳本の話を聞くと従来のやり方を守るだけでは収入の面でも持続しないと感じると答えた。
徳本は、消費者だけでなく農家も栽培手段を選べるべきだと応じた。実は徳本はもともと露地の有機農家で、日本でも最大規模でやっていたという。世界の有機農場、慣行農場、施設園芸を回るうちに、有機農業は素晴らしいが手段の一つだと考えるようになった。さらに中山間地では、シカやイノシシによる獣害、用水路の溝さらいといった共同作業の担い手も減っている。徳本は、食料供給の底が抜けるという危機感を語った。
漠然とした不安にどう向き合うか
須賀川は、自然志向の知人に聞いた話を紹介した。その人は子どものお菓子を買うとき、着色料やアミノ酸などの表示を必ず確認して避けている。GM原料と着色料のどちらが嫌かと聞くと、着色料だと答えた。しかし、ほかの条件が同じで非GMのほうが高いなら、多少高くても非GMを買うという。理由は「将来何があるか分からないから」だった。須賀川は、エビデンスのないこの漠然とした不安が、多くの人に共通しているのではないかと推測した。
小島の答えは、漠然とした不安は取り除けないというものだった。40〜50年前から食品添加物が危ないという話はずっと続いている。不安を持つ人がいるのはやむを得ず、そういう人は避ければよい。自分が望むのは、徳本のように栽培したい人が栽培できる環境を作ることだけだと小島は語った。小島はさらに、病気に強い国産GM作物の開発計画もあったが、反対運動ですべてつぶれたと指摘し、海外依存を嫌う左翼がなぜ自国の技術をつぶしたのかと斎藤に問い返した。斎藤は、当時の運動には関わっていないと断ったうえで、当時は不安が特に強かったのだろうと答えた。また、飼料を大量輸入して工業的畜産を続けるやり方にはリスクがあり、国産技術で国産化を進めるべきだという議論が出てくること自体は頭ごなしに否定しないと述べた。
反対運動の歴史と自治体の条例
小島によれば、反対運動の中核は30〜40人ほどだった。生協などのネットワークを通じて全国で議員に働きかけ、GM作物の栽培を制限する条例を作らせた。研究開発をしていた北陸の研究センターに対しては訴訟も起こした。著名人の反対もニュースになった。小島は、反対派はどこを押さえれば止まるかをよく知っており、行政は反対に弱いと話した。
須賀川は、国が認めていても、自治体が住民全員の同意や花粉対策を求めるため事実上栽培できない状況について尋ねた。小島によると、条例ができてから15、6年がたっているが、条例は今も残っており、条例のある地域での栽培は難しい。ただ、条例のない地域であれば、科学的な知見が蓄積され、SNSで反論もできる今なら栽培できるのではないかと小島は見ている。
小島は、かつて約700人の生産者によるバイオ作物懇談会が3年間GM作物を試験栽培した経緯も語った。反対派がトラクターやブルドーザーで畑をつぶし、警察も動かず、刑事事件にもならなかった。会の中心人物はそれを機にやめてしまったが、「国産のGM大豆があれば戦えた」と話していたのが印象に残っているという。海外企業の種子ではなく国産品種なら、はっきり言い返せたという意味である。
これに対して須賀川は、事件記者だった経験から、器物損壊事件として警察は捜査していたはずで、起訴に至らないことや在宅起訴になることもあるので、警察がまったく取り締まらなかったとまで言うのは飛躍があると指摘した。そのうえで、作物をつぶすのはひどい話だと述べた。徳本は、今なら逆に来てほしい、自分のYouTubeチャンネルで全部撮影して社会に訴える、と応じた。
日本でGM栽培が進まなかった本当の理由
徳本は現在、日本でGM作物を栽培していない。栽培していきたいとは考えているが、これまでは現場がそれほど困っていなかったと説明する。除草剤耐性大豆を使えば生産性は一気に上がるが、日本の収量も上がり、選択性除草剤の性能も上がってきた。この程度の規模なら、炎上を覚悟してまで導入する必要はないという判断があったという。しかし2030年以降に農業人口が大きく減る中で、少ない人手で効率を上げる必要が出てくる。徳本は、高市政権が掲げる食料自給率100%という目標にも触れ、その鍵は輸入濃厚飼料の自給率だと述べた。現在は、遺伝子組み換えではなくゲノム編集を使った品種の試験栽培を、来年以降に計画的に進める段階にあるという。
小島は、なぜGM栽培が進まなかったのかをずっと考えていたが、結局はやる気のある人がいるかどうかであり、そこに徳本が現れたのだと語った。斎藤は別の見方を示した。日本は雨が多く、雑草の生命力も強いが、土地も豊かである。わざわざリスクを取り、反対運動を越えてまでGMを大規模に導入する必然性がなかった、というだけの話ではないかという。小島もこれに同意し、須賀川は「左翼が押してきている」と場を和ませた。
飼料米とエネルギー作物という提案
徳本が日本向けの具体案として挙げたのが、GMの飼料米である。徳本によれば、日本は飼料用トウモロコシの9割以上を輸入に頼っている。除草剤耐性をつけ、脂質やタンパク質を高めてトウモロコシの代わりになる飼料米を国内で作れないかという構想だ。日本は国土が狭く高温多湿だが、水田は多い。現在、生産調整の一環として飼料米に毎年2000億円の税金が使われている。GM飼料米で単価を半分にしても経営が成り立つという試算があり、税金を1000億円削りながら飼料自給率に貢献できると徳本は述べた。かつて農林水産省が進めた「水田を油田に」という構想にならい、多収で分解が早く糖質の高いバイオエタノール用品種も考えられるという。直接口に入らない飼料やエネルギーから始めれば議論しやすく、斎藤にも協力してもらえるのではないかと徳本は投げかけた。
徳本はさらに、日本市場は小さすぎて海外の種子メーカーはビジネスとして関心がなく、グローバル企業の草刈り場になることはあり得ないと述べた。斎藤は、だからこそ導入の必要がないとも言えると返した。そのうえで、反対する側が責任を持つなら、若い人が就農する政策や、もうかる米作りなど別の道を示すべきだとも語った。同じ金額を別の方法に投資して同程度の効果があるなら、わざわざGMにかじを切る必要があるのかという議論はあり得る。ただし斎藤は、その別の道が具体的に何かはここでは言えず、妄想になってしまうと認めた。徳本は、海外メーカーが1品種を世に出すのに150億〜200億円程度かかると説明し、数千億円の投資が必要なわけではないと応じた。毎年3000億円や2000億円の税金を投じても自給率や水田を守れていない現状を考えれば、日本に合わせた品種改良は投資回収できる可能性があるという。
スーパー雑草とトレードオフ
須賀川は、同じ除草剤を使い続けると耐性を持つ「スーパー雑草」が生まれるという懸念を取り上げた。徳本は、海外でもグリホサートだけを使い続けることはないと説明した。複数の除草剤耐性と害虫抵抗性を重ねた「スタック」品種を使い、グリホサートと同じアミノ酸系で微生物が分解するグルホシネートなどと除草剤をローテーションし、カバークロップを挟むのが現場では当たり前だという。日本でも、ラウンドアップを使い続けた畦ではスギナだけが残るが、グルホシネートを使えばすぐに枯れる。耐性雑草が出るのはプロなら知っている当然のことで、現場ではほぼ問題になっていないと徳本は述べた。
小島は、米国の農家ポール氏の不耕起栽培を例に挙げた。この農家のGM作物にはグリホサート、グルホシネート、2,4-Dの3つに耐性を持つ遺伝子が入っており、一つが効かなくても別の除草剤で対処できる。また小島によれば、除草剤耐性雑草はGM作物の登場以前からあり、世界で約200種類が確認されている。斎藤が、GMだと特定の除草剤とのセットになりがちではないかと尋ねると、小島はそうではないと答えた。
須賀川が、3種類すべてに耐性を持つ雑草が出たらどうするのかと問うと、徳本は、別の除草剤に耐性を持つ品種に替えるのが一つの選択肢であり、3つの手段をローテーションしていれば耐性雑草が出る確率は極めて低いと答えた。徳本は、GM作物によって不耕起栽培が何億ヘクタールにも広がったことを挙げた。小島の講演資料によれば、それにより抑えられたCO2は車1500万台分に相当するという。有機農業にも自然農業にもGMにも何らかのリスクはあり、ゼロリスクを求めればきりがない。スーパー雑草のリスクは、環境と食料安全保障への貢献に比べればわずかな問題だと徳本は述べた。
小規模農家への効果とインドの「自殺」言説
SDGsの観点からの利点を問われた徳本は、アルゼンチンの不耕起生産者協会が大豆で日本の平均収量の3倍以上を取っていると紹介した。単位面積あたりの収量が上がれば農地を広げずに済む。約30年不耕起を続ける友人の農場では、棒が1メートルほどすっと入り、ミミズが生息して土がスポンジ状になっている。大雨でも土砂が流れず、干ばつ時には水分を保つという。
斎藤が、それでも破壊的な開発が最も行われているのはそうした国々だと皮肉を込めて指摘すると、徳本は小規模農家への効果を挙げた。フィリピンではBtコーンが60万ヘクタールに急拡大した。以前はアワノメイガの食害を防ぐため、農村の子どもたちが何度も殺虫剤をまいて肌を荒らしていた。Btコーンで殺虫剤が減り、米の裏作でも簡易な耕起で栽培できるようになった。その結果、農家の手取りが増え、子どもをようやく学校に通わせられるようになったと、徳本は現地の知人の話として伝えた。
インドのBtコットンについて、徳本は、日本の一部のオーガニックショップが「GMの種で借金を背負った農家が自殺している」という話を宣伝に使っているが、それは真逆だと述べた。害虫被害で経営が成り立たずに自殺していたのは非GM品種の農家であり、Btコットンの導入で殺虫剤が激減し、手取りが増えた。インド政府が規制しようとした際には、農家の組合が反対し、規制緩和を求めたという。小島は、この自殺説は反対派が言い続けてきたもので、約10年前に学術論文で否定されたと補足した。須賀川がAIで調べた結果として、伝統的な綿の品種が急速に追いやられたことや、外国企業による種子市場の独占への懸念から批判が高まった経緯も紹介された。
斎藤はこれを、技術の良し悪しだけでなく社会経済的な仕組みの問題として捉えた。調べたところ、バングラデシュで広まったBtナスは公的な農業研究機関が開発し、国内農家に安く種子を供給したという。大規模経営を優先するのではなく、困っている小規模農家が使えるように公的に支援するといったビジョンと組み合わせた議論が必要だと斎藤は述べた。徳本は、GM種子メーカーはバイエル(旧モンサント)だけではなく、主要なものだけで5、6社あると応じた。地域ごとに強い会社が違い、農家は形質や成熟度をカタログから選ぶ。需要に合わない種子を出すメーカーは撤退し、スタートアップも増えている。市場原理がかなり働く「レッドオーシャン」だと徳本は見ている。
ゴールデンライスをめぐる対立
徳本がとりわけ斎藤の意見を聞きたいとしたのがゴールデンライスである。フィリピンの国際稲研究所が管理するこの米は、遺伝子組み換えでベータカロテンを含ませ、米を食べながらビタミンAを摂取できるようにしたもので、約20年前には技術ができていたという。徳本によれば、ビタミンA欠乏症で失明する貧困層の子どもは毎年50万〜60万人にのぼり、多くの子どもが亡くなっている。グリーンピースは長年これに反対してきた。フィリピンは4年前に世界で初めて商業栽培に踏み切ったが、裁判で止まっている。ノーベル賞受賞者107人がグリーンピースに抗議の書簡を出したことにも徳本は触れた。
斎藤はグリーンピースの考えを推測して代弁した。本来は野菜などを十分に摂取できる社会環境を整えるべきなのに、「貧困層には米を食べさせておけばいい」となり、貧困の構造が固定化されることへの懸念だろうという。斎藤によれば、アジアではWTOなどが米の増産と輸出を後押しし、野菜より米を作る方向に偏りすぎた歴史がある。その構造を変えずに、米でビタミンAも取ればいいとすることに違和感が生じるのだという。ただし、今まさに子どもが亡くなっている以上、緊急措置が必要だという主張を即座に否定するつもりはないとも述べた。
須賀川は、2024年4月にフィリピンの控訴裁判所が栽培を止めた理由を調べ、科学的見解が対立して不確実性が残ること、独立したリスク評価やモニタリングが不十分であることが挙げられていたと紹介した。安全でないと判断したわけではなく、分からないからやめておくという判断で、消費者の感覚をそのまま代弁したようだと須賀川は評した。徳本は、国際稲研究所の食堂では週に1回ほどゴールデンライスが出ると話した。黄色いが、味は普通だという。GMのタンパク質を摂取して問題が起きた事例は30年たっても出ていないとし、インフルエンザワクチンを例に、副作用のリスクはあってもそれを上回る便益があるというトレードオフの考え方を示した。
紛争地を取材してきた須賀川は、難民キャンプでは小麦粉ばかりが届き、タンパク質やビタミンが不足する現実を見てきたと語った。導入には前向きだが、不可逆的な影響を恐れる気持ちも分かるとし、モニタリングを徹底し、消費者と生産者の選択の自由を確保することが落としどころではないかと述べた。斎藤は、頭ごなしに批判するのはおかしいという点は直感的に腹落ちしたと語った。小島は、ビタミンAはほかの野菜からも取れるという反論は確かに成り立つので、国家的なプロジェクトとして具体的にどう救えるかというビジョンを示す必要があると述べた。
スギ花粉症緩和米と、ゲノム編集への転換
小島によれば、日本の国がGM作物の研究開発をほぼ止めた中で唯一残っているのが、スギ花粉症を緩和する米である。食べ続けると少しずつスギ花粉に慣れていくもので、試験栽培も行われ、実用化の一歩手前まで来ていた。しかし、農林水産省が機能性表示食品として流通させようとしたところ、厚生労働省に医薬品だとされた。医薬品となれば製薬会社が多額の費用をかけて臨床試験をしなければならず、事実上できなくなったという。小島は、過去の臨床試験で効果が確認されていると研究者から聞いていると述べ、省庁が事前に話を詰め、国が一体となって進めなければ成功しないと語った。会場で花粉症の人を尋ねると、ほとんどの人が手を挙げた。
斎藤は意外なことに、自分はむしろゲノム編集のほうが嫌だと述べた。自分の遺伝子をいじる感じがして、「神の領域」に入るように感じるという。徳本は、政治家がこの問題に触りたがらないことを指摘した。国会でGMが必要だと言う議員はいない一方で、反対すれば注目を集められ、ある新興政党や、自然志向の農業に乗る有名人、インフルエンサーも目立つ。飼料や油、エネルギーのように社会インフラに近い分野こそ議論すべきなのに、影響力のある人も政策立案者も避けていると徳本は述べた。
小島は、日本の国はGMを断念し、ゲノム編集に切り替えたと見ている。内閣府が補助金を出して大学発ベンチャーを支援し、成功したのがゲノム編集トマトである。巨大企業ではなく国内の研究者が開発し、各地に施設を作り、海外への輸出も目指している。外貨獲得にもつながるので反対する理由が乏しいと小島は語った。一方で、今も違和感を持つ人は3〜4割いるとも述べた。
会場からの質問
会場からは、GM作物を広めるにはまず保守的な農家に訴えるべきではないかという質問が出た。徳本は同意し、農家のネットワークで海外農家との研修会を開いていると答えた。世界70か国の農家と直接つながり、少人数のウェビナーで技術や政策を話し合っている。農業はかつて狭いコミュニティの地域産業だったが、今は地方の農家も情報にフラットにアクセスでき、技術に対する価値観も更新されつつあると述べた。
別の参加者は、有機農業の推進者は健康効果をうたわなくなり、生物多様性や心の原風景を理由に挙げるようになったと指摘した。オランダの施設園芸のような技術にも同じ理由で反対しているという。この参加者は、日本は国土の15%しか農地がなく、その3割が荒れているのに政治家が腑抜けだと訴え、GMを諦めない情熱をどう保つのかと尋ねた。徳本は、情熱はなくさないと答えた。そのうえで、有機農業にも役割があり、地域や時代ごとに最適解を探す中でバイテクが必要だという順番で語るべきだと述べた。バイテクも有機も目的化すれば分断を生むので、農家自身が発信の仕方に気をつけなければならないという。
ネットからは、食料需給がひっ迫してGM反対のブランド戦略が成り立たなくなれば反対派はいなくなるのか、という質問が寄せられた。斎藤は、いなくはならないと答えた。慣行農業が危機に陥れば、GMを進めたい人にも新しい有機農業を目指す人にも刺激になる。一つの方向に収束するのではなく、確かなのは今まで通りを続けられなくなることだけだと斎藤は述べた。
対話を続けるという結論
最後の発言で、小島は斎藤について、昔の「東大を解体すべきだ」と言うような左翼と比べて話の分かる人だったと述べ、よく説明すれば互いに接点を見つけられると語った。徳本は、日本バイオ作物ネットワークには自分より若い100人以上の農業経営者が参加していると明かし、次の世代の農家がフラットな情報に触れて新しい動きを作ることへの期待を語った。斎藤は、この放送を見た左翼仲間からまた「すぐなびく」と怒られるだろうと笑いつつ、専門外だからこそ話を聞いて学び、周りの異なる意見もぶつけながら考えを更新していきたいと述べた。
須賀川は、賛成か反対か、危ないか危なくないかという0か1で語れる問題ではなく、ネット空間も含めて議論を続けることが大事だと締めくくった。収録後のコメントで高橋は、スギ花粉症緩和米のように、科学的なエビデンスに基づく議論が表に出る場がこれまで少なかったことを挙げ、政治家が触りたがらない空気があるならなおさら、賛否の前にまず議論する場を設けていきたいと述べた。
ReHacQスペシャル、ReHacQをご覧の皆さん、こんにちは。実は今回、この収録、私がイベントに行って収録するはずだったんですけども、ちょっと目をやっちゃいまして。ちょっとやっちまいまして、急遽、本当に直前だよね、行けなくなって、ReHacQ MCの須賀川さんと、斎藤幸平さん、東大教授ですね、准教授の斎藤幸平さんに行っていただいております。
その戦場ジャーナリストの須賀川さんと、東大を代表する左翼の斎藤さんが、遺伝子組み換えとゲノム編集食物を語る、すげえ面白い動画になってます。私が行かなかったことでより面白い動画になってますので、ぜひご覧ください。
斎藤先生は遺伝子組み換えに関してはいかがですか? 左翼の人たちはやっぱり不安なんじゃないの? ただ、これから2030年とかその先は農業人口が減ってくる中で、遺伝子組み換え作物の収量が安定するんですよね。
政府が規制に動く動機ですとか、どこから来てるのかな? この問題で政治家がね。農業経営をする上では、やっぱりああいった品種も作付けの中で、今後は議論していくべきだ。そのアメリカとか、除草剤、多分ヘリとかでバーッと撒いて、全然環境に優しい農業、トータルではしてないじゃないですか。
斎藤先生がおっしゃった、農薬を機械で大規模に撒くと。大規模にやった方が土地の生産性が高いんですよ。例えば有機農業でも世界中の食料がそれで賄えるなら、私も反対も何もしないんですけど、できないんですよ、それが。
一方で、そこに撒いた農薬によって不可逆的な影響っていうのが残ってしまうんじゃないか。除草剤の量は。斎藤さんに意見を聞きたいんですよね。
遺伝子組み換えって機能性を加えることができて、ゴールデンライスというんですけどね。米を食べながらベータカロテン、ビタミンAが摂取できるっていう。今、世界の貧困の子供たち、毎年50万人から60万人がビタミンA欠乏症で死んでるんですよね。グリーンピースがずっと反対をしてきていて、どうですかね? 左翼としてどういうふうに捉えればいいんですかね?
勝手な思いを代弁すると、野菜とかをもっと摂取できるような社会環境というか、貧困の構造が固定化されてしまう。最終的には社会的な構造が問題っていうのはよく分かるんだけど、でもひとまず。それでは須賀川さん、よろしくお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
今日、雨ですよね。すごい、こんな雨の中、皆さんお集まりいただいてありがとうございます。さて、今ちょうど司会の方からもありました通りに、この討論会はYouTubeでも公開することになっておりますので、途中途中、専門的な用語ですとか、皆様がすでにお分かりになってる背景の部分もあっても、初めて見る視聴者の方もいらっしゃるので、もしかしたら説明を入れていただくようなことがあるかもしれませんので、そちらの方よろしくお願いいたします。それでは始めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
今日は、この遺伝子組み換え作物流通30年というのが大きなメインのテーマになってるということなので、ぜひ斎藤先生は遺伝子組み換えに関してはいかがですか?
なんで私がここにいるのかよく分かんないですけど。左翼代表ですかね。
左翼代表ですかね。分かりました。じゃあ今日は左翼代表として、どういう感じで行けばいいのかな。遺伝子組み換え反対みたいな。
遺伝子組み換え反対というところで、お互いぜひ議論していただいて。
素人だからね、言っても。そうですね。いろいろ聞いて。
でも、消費者の代表みたいなところも。消費者代表、いいね。消費者代表。消費者代表で、ちょっとエビデンス分かんないけれども怖いっていう消費者の代表を、ぜひ行けたらなというふうに思っております。よろしくお願いいたします。
なので、遺伝子組み換え、30年経ってなぜ不安視されているのかとか、バイオテクノロジー、不安に思ってる方もいらっしゃるでしょうし、大丈夫だと思ってる方もいらっしゃると思うんで、その辺ぜひどんどん掘り下げていけたらなというふうに思っております。それでは、まず今日のお二人、自己紹介からお願いしたいと思うんですが、よろしいでしょうか? 小島さんからお願いできますでしょうか?
小島正美と言います。毎日新聞社に45年ぐらい勤めてまして、東京に来てから30年余り、遺伝子組み換え作物をはじめとする、食の安全や医療、健康、環境問題をずっと取材していた記者です。
もう一つ特徴を言うと、2008年から、メディアの中にいておかしい内容をいっぱい見ると、これじゃメディア滅んじゃうよみたいな気持ちがあって、間違いがあったら訂正を求めるような活動をやってたんですよ、現役の記者で。毎日新聞の記事に対しても、身内の記事なんですけど、これはおかしいって言って訂正を求めてたこともありました。だからそういう意味では若干嫌がられたこともあったんですが、でも今もそれをやってます。
ジャーナリスト、嫌がられてなんぼですからね。そうですね。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それでは徳本さん、お願いしてよろしいでしょうか? 簡単な自己紹介をお願いします。
皆さんこんにちは。僕は鳥取から来ました、米農家でございます。今、米を作ってる農業法人を経営してます。
あとはご紹介もあった、日本バイオ作物ネットワークっていうやつで、まさにこのバイテクをテーマに、日本の、特に農業経営者のネットワークを作ってまして、そこには世界のいろんな農場を経営する経営者も入って、いろんなバイテク農業について、農家自らも発信していこうというようなネットワークもやってます。
僕自身も定期的に世界のいろんな農場に行ってまして、さっきもご紹介いただいたように、遺伝子組み換え作物を実際作ってる農場も何度も足を運んでいるんですけど、やはりこのバイテク農業が日本で理解を得たり、社会実装、本当の意味でできるっていうのは、農家自身が本当にイニシアティブを取っていかないと難しいなと思ってまして。そういう意味も含めて、農作物を作る以外に、こういう発信っていうのも大事にして、今活動してるということで、今日は非常に楽しみにしております。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。会場にいらっしゃる方は皆さん結構ご存じかと思うんですけど、この遺伝子組み換えって言っても、いわゆるGMですよね。ジェネティカリー・モディファイドですけれども、GM作物、あとゲノム編集食品って、これ実は違うっていう、まず大前提のところから、小島さんに解説いただくことってできますでしょうか?
簡単に言うと、遺伝子組み換え作物は外部の生物から遺伝子を取り出して、植物の細胞に組み込んで、その外部の持っていた形質をこちらの植物の方に移すってことですね。だから外部から遺伝子を持ってきて新しい形を作るのが組み換え作物。
組み換え作物。ゲノム編集は、植物、動物自身が持っている遺伝子を組み換えると。ノーベル賞の受賞になったCRISPR-Cas9という方法で、ある遺伝子を潰して、その潰すと修復で新しい形質が生まれてくるんですよね。だから自分自身の遺伝子を組み換えて、新しい形質を持たせたのがゲノム編集だってことね。だから外部から遺伝子を入れるか入れないかが、一番大きな違いかなってことですね。
だからめちゃくちゃ早く成長するトラフグとか、あとはすごい太る鯛とかありますよね。そういうものになるってことです。
そうですね。ゲノム編集だったら鯛とかフグが成長が早いっていうことがありますね。食欲中枢を抑えてるので。なるほど。どんどん食べてっちゃうってことね。なるほど。
斎藤さん、このゲノム編集食品って、実際食べられたことあります?
ない。食べれるんですか、今? 食べられるんです。スーパーに売ってますよ。売ってる。ゲノム編集トマトも、鯛もネットでは買えますね。今、ゲノム編集トマトだったら売ってる。売ってますよね。
通常のスーパーでもう今500店舗ぐらいで売ってるので。へえ。見れば多分どこかで見かけてる人もいるんじゃない。書いてる? 書いてあります。ゲノム編集って書いて。ゲノム編集鯛は一般の店では売ってないので。
トマトっていうか、今。トマト。ゲノム編集トマトっていうのは結構売ってるんですよ。売ってます、500店舗で。もうちょっと注意して見ます。
だからナリタヤとか、特に千葉とか関東にカスミとかあるじゃないですか。ナリタヤとかヤオコーとか。イオンには売ってないんですよ。多分イオンで扱うほどの量ができないので。だから中小のスーパーを中心に今販売してるってことですね。今、結構広がってきてるんですよね。
3年間で500店舗なんで。こんなに行くのかなって最初思ってたんですけど、予想以上に伸びてるってことですね。
ゲノム編集トマトはどういう効果がある?
それは血圧上昇を抑える、睡眠を良くする、あと肌に良い。もう一つないかな。ストレスに強い。いわゆるGABAトマトっていうやつですね。ハイギャバトマトっていう名前。
GABAが入ったチョコレートとかもありますもんね。そう、それと似てます。GABAがそのトマトに入ってるってことですね。
すごく不思議なんですけれども、いわゆるこの遺伝子組み換えっていうものに対しては、かなり前に開発されて、長年の、これからいっぱい話が出てくると思いますけど、やっぱり市場、もしくは消費者の中で忌避感が結構あったと。ちょっと怖いだとか、科学的エビデンスがどこまでついてくるか分からないけれども、それが環境につながるんじゃないかとか、いろいろ不安視されてたんですけれども、逆にこのゲノム編集食品に関しては、すーっと入ってきてるんですよね。
これ、徳本さん、なんでかって分かります? 実際の農家さんもやってらっしゃるっていうことなんで、一番現場に近いってことだと思うんですけど。
ゲノム編集も、でもすっと入ってますかね。GABAトマトも結構炎上した記憶があるんですけどね。反対活動。
炎上してるんですね。ええ、そうですね。アンケートを取るとゲノム編集食品の認知度は低いです、まだ。10%とか20%の間ぐらい。なるほど。だからほとんどの人は知らないんじゃないかなと思います。
そうか。認知度が低いから、まだ炎上に至るほどの。
そうですね。多分、日本の場合は遺伝子組み換えで一回失敗してるので、いろいろ政策立案者も慎重に、ゲノム編集をとにかくなるべく炎上しないように、どうやって浸透させていくかみたいなところも感じるので、あんまりそもそも社会的にまだ認知というか、話題になってない気もするんですけどね。
だからそれもメディアが報道しないから。私はウェブとかで書いてるんですよ。増えましたとか書いてるんですけど、一般ではほとんど記事にしないんですよね。なぜかなと思うんですけど。
さっきの小島さんの理論だと、割とメディアはそういうのを書き立てて不安を煽るっていうのが得意だみたいな。
トマトが出る前は、不安だとか安全性がないとか、表示が義務付けられてないとかいうのを書いてたんですけど、実際にトマトとか鯛が出始めたら、出始めるとやっぱり営業妨害になっちゃうじゃないですか。出てるのに危ないって。だからなかなか書きにくいのかなというふうには思いますね。
私、実は今、戦場ジャーナリストとしてフリーランスなんですけれども、1年前までTBSというところにおりまして、そこで夕方の番組の編集長をやったことあるんですけれども、いわゆるゲノム編集食品ですよね。その鯛の特集をやった時は、番組としてはむしろ結構肯定的に、これによって鯛がものすごく増えて、飲食店も喜ぶし、味もそんなに落ちないし、これいいんじゃないのっていうので。確かに不安視する声っていうのは、もちろん伝えてはいるんですけど、トータルのトーンとしては、そんなにネガティブな感じで伝えた記憶はあんまりないんですよね。ちょっと社会の見方が変わってきているのかなとも思うんですけど、その辺りは。
僕の周りは左翼が多いから。そうですよね。左翼の人たちはやっぱり、これは不安なんじゃないの? だからゲノム編集、割と最新の技術だからまだ広まってないと思うんですけど、いまだにやっぱり遺伝子組み換えも良くない。
例えばラウンドアップとか、もうだいぶ禁止、外国でもされ始めてるのに、日本ではどこでも売って手に入ってみたいなのとか、健康とかにも被害があるんじゃないかとか、そういう声がどうしても耳に入るんですけど、私は、言うて総合文化研究科の哲学部会の人間なので、やっぱりよく分からないですね、いろんな議論があるから。
その辺り、小島さんとか徳本さんみたいな、『バイテク農業の未来』って本も書かれてる、どちらかというと推進派、どちらかというか明らかに推進派だと思うんですけども、そのお立場からするとどういうふうにお考えなんですか?
左翼の人たちはゲノム編集にも反対してますよ、今も。あ、そうだ。遺伝子組み換えと同じ。私もかつては仲間だったんで、仲良かったんですよ。その人たち、今も反対してるんですよ。してるんだけど、メディアの対応がちょっと違うかなと。遺伝子組み換えの時は割と反対運動に共感しながら記事を書いてたんですけど、ゲノム編集はあんまり書かないです。
記者に聞いてないんで分からないんですけど、多分それほど危ないものだと思ってないからか、その反対運動の人たちのやり方が良くないのか。反対運動の人たちってどうやってやってるかというと、店で売ってますよね。店で売るなって言うんですよ。経営者のところへ手紙を送って、これを置くなと。なんでこんなの置いてるんだって、反対の人が店に行って反対することもあったんで、やっぱりそれ良くないじゃないですか。通常のメディアから見ても、そこまでやりすぎじゃないかと。そういう気持ちもあるのかなっていう気がしますね。
そもそも多分これは知識の問題で、ゲノム編集と、あとはGM食品、遺伝子組み換えの違いすらも、おそらく世の中そんなに広まっていないところもあると思うので、逆にそれを、ちょっと乱暴なんですけれども、そもそも遺伝子というものに手を加える。それは元にあるものに手を加えるのか、外から持ってくるのか、合わせて、それに対して斎藤さんみたいに、いや、それはちょっと嫌だよという感覚を持ってる人に対しては、どうやってアプローチしていくべきかっていうお考えです。そもそも広めていきたいっていう思いであるならば、なおさら多分そこと向き合う必要が出てくると思うんですよね。
僕、別にあれなんですよね。今回バーサスになってるんですけど、別に推進派じゃなくて、遺伝子組み換え推しじゃないんですよね。一応、手段の一個として必要だよねっていう。特に農業経営をする上では、やっぱりああいった品種も作付けの中で今後は議論していくべきだっていう基本的な考え方なんですね。
さっきラウンドアップレディっていう話があって、一つはやはり僕が感じるのは、この遺伝子組み換え作物、ラウンドアップレディ、要はラウンドアップをかけてもその作物だけは枯れない。ラウンドアップというのは除草剤ですね。除草剤ですね。グリホサートというアミノ酸系の除草剤なんですけど、結構やっぱり、これが導火線になってるパターンが多くて。
さっき斎藤さんがおっしゃったんですけど、世界各国では禁止されてるとか、スーパー雑草の話、今日もご質問が出ましたけど、でもこれ、実際現場のファクトとは違っていて。グリホサートっていうのは、もう世界中で使用されていて、150か国以上で認可が取れていて、一部の国であるバージョンは使えないとかあるんですけど、基本的には世界中で使われてる。非常に安全性っていうとまた誤解なんですけど、いわゆる僕らで言うアミノ酸系の除草剤と言って、他の除草剤でもっと毒性の強いものがある中でも、非常に使いやすい除草剤で。一つはやっぱり、この除草剤をかけるっていうことが、生理的にも消費者の皆さんがちょっと嫌悪感があるのかなと。
ただ、今日も出てたんですけど、これができたことによって、不耕起農業、今日出ましたけど、この耕さない農業の再現性が一気に世界の穀倉地帯で高まってきたんですよ。さっきアメリカの農場の話もしてましたけど、1980年代、90年代って、アメリカもずっと耕してたんですよね。プラウイングって言うんですけど、反転するんですけど、農地を。そのことによって土がどんどん痩せて、雨が降れば土が流れるし、砂嵐が起きるしっていう中で、さっきの除草剤耐性のGM作物が出たことによって、不耕起農業の再現性が非常に高まったんですよ。
そこがものすごい農家にとっても強いモチベーションになって、そこから一気に広がっていったと。これが結局、今、南米でもカナダでも広がってるんですけど、一個はこの不耕起農業っていうのが非常にキーになっていて、これがまさに今の気候変動とかいう中で、環境保全農業っていう意味では非常に強い効果を発揮してるって側面がありますよね。
僕、結構、不耕起農業推しなんですよ。だから、それもちろん実際、気候変動対策として不耕起が大事だっていうのはすごい分かる一方で、確かに除草剤を撒くことで不耕起栽培は簡単になる。僕の周りでやってる人たちは、どちらかというと有機で、そういう除草剤も使わずに、いろんな草を、多種栽培したりして雑草が生えないようにする、そういうのをやったりしてる人が多いけど、こういう方法もあるんだなと思って。それは非常に興味深かったんですけど。
他方で、アメリカとか、今日の話で言うとブラジルとかアルゼンチンとかって、ぶっちゃけ全然環境に優しい農業、トータルではしてないじゃないですか。例えばブラジルだったら、どんどんセラードとかも破壊してるとか。なんなら結局、アメリカとかもそういう除草剤、多分ちょっと私のイメージなんで間違ってたら訂正してほしいんですけど、ラウンドアップとかをヘリとかでバーッと撒いて、トラクターでバーッみたいな感じなので、それをやって結局トータルで見た時に、どれぐらい環境に優しくなるのかなっていう疑問はやっぱり出るんですけど、その辺りどうですか?
ありがとうございます。ありがとうございます。そうですね、例えば今ブラジルの話が出て、まさにこのセラード、アマゾンだったところを、この四半世紀、ものすごい。俺らのアマゾン開墾みたいな状態。そこで今、世界最大の大豆の産地なんですよ、そこが。本当にそうなんですよ。
ただ、そこは現場に行くと、実は今、もちろんアマゾンの開墾の歴史は現実としてあるんですけど、じゃあ今、世界的に増え続ける人口、要は人類の食料安全保障っていう観点から、タンパク質をもっと作っていかないといけない中で、限られた土地でどうやって生産性を上げていくかっていう中で、そのセラードっていうのが開墾されてきたんですけど。
今、まさにこのブラジルのマットグロッソっていうのは、ほぼ不耕起農業でやってまして。僕、何度か現地も行って、実はYouTubeとかでも撮ってるんですけど、今、放牧と遺伝子組み換え作物のトウモロコシと大豆、これらをずっとローテーションしてるんですよ。つまり不耕起農業だと、ずっと残渣が溜まっていくので、基本的には一気に炭素が放出されないのと、必ず放牧とかという、牛を放牧するので、そこで有機物が落ちて、牧草が生えて、いろんな、それこそカバーも使いやすい。それで本来の生態系に戻すと。そういったものを非常に合理的に、とにかく環境負荷を下げながら大規模農業をやるっていうのが、基本的にブラジルのベーシックになってるのが一つ。
もう一個、驚くべきことに、向こうでは今、サトウキビとかで、いわゆるバイオディーゼル、バイオエタノールっていうのを大規模生産してまして。僕のある友人の、アントニアを被れられて、非常に有名な農家なんですけど、彼は今6万ヘクタールという、とんでもない規模をやってるんですけど、そこのトラクター、全部バイオディーゼルなんですよ。それを自社の農場で作ったサトウキビで全部バイオ燃料を作って、それでその広大な農地を回してる。要はカーボンオフセットなんですよね、これ。
その経営者に、なんでここまでバイオディーゼルにこだわってるのかって聞いたら、そんなの決まってるだろうと。1970年代のオイルショックがあった時に、ブラジル農業っていうのも、中東から原油を調達してる限り、絶対に自立可能な農業にはならないんだということで。オイルショックを機に、現地の農業経営者っていうのは、バイオディーゼルを自社の作物から回していくっていうことも取り組んでいて。例えばこれも一例なんですよね。
そういうふうにちゃんと現地の声を聞くと、日本で我々が伝え聞いてる情報とは全く違うファクトが見えてくるので、やはり本当に農家の声っていうのが、改めて重要なんだなっていうふうに思ってますね。
小島さん、いかがですか?
斎藤先生がおっしゃった、農薬を機械で大規模に撒くと。撒いているんだけど、トータルで環境が良くなったかどうかっていう計算をすると、やっぱり今の不耕起をやりながら、大規模にやった方が土地の生産性が高いんですよ。一番大事なのは土地の生産性なんですよね。生産性が低いと、有機農業でもできればいいですよ。それで世界中の食料が賄えるなら、それはそれで私も反対も何もしないんですけど、できないんですよ、それが。
そうすると森林破壊とかに進んでいっちゃうので、今ある農地の中でどれだけ生産性を上げていくかってことが一番大事ですよね。結果的に過去90年のデータを見ると、トウモロコシも大豆も右肩上がりですよね。トウモロコシなんか7倍増えてますよ。過去90年間で7倍増えて、土地は全く増えてないですよ。そういうことが大規模農業によって実現してるので、やはりそれも環境にいいというふうに言えるんじゃないかなってことですね。森林破壊が少なくなったっていうのは、そういうことですよね。
森林破壊の側面は、まさに今ある作付け面積でそこの生産性を上げるっていうのは、環境負荷を減らすっていう意味ではぴったりだと思うんですけど、一方で、これ小島さんに質問なんですけれども、そこに撒いたいわゆる農薬によって、将来的にどれぐらい先か分かんないですけども、不可逆的な影響っていうのが残ってしまうんじゃないかっていうのが、多分ふわっとした不安につながってると思うんですよね。
例えば将来的にその遺伝子が他のものに移ってしまうんじゃないかと。それによって、そこの生態系が壊れてしまうんじゃないか。多分、日本ってその生態系を大事にするっていう意味では、すごく故郷の森を大事にするとか、棚田を大事にするっていう、多分そことちょっとつながっている部分があるからこその不安になってしまうんじゃないかなって。だから、環境破壊が全くないっていうところをエビデンスとして言い切ってしまうと、それもそれで悪いのかなって感じが私しちゃうんですけど、その辺いかがですか?
何を基準にするかによるんですけど、除草剤の量は過去に比べると、例えばGM大豆の方が減るわけですよね。だけどGM大豆の面積がもちろん増えていくので、当然、除草剤の量も増えていくんですけど、でも面積で見れば除草剤の量は減ってるということです。殺虫剤も確実に減ってるわけですね。撒かなくていいわけだから。
もう一つ、農薬って別に永遠にそこに残ってるわけじゃない。分解するので。分解するんでまた撒かなきゃいけないわけですよね。分解しないんだったら、一回撒けばもうずっと10年効いてるわけじゃないので。だから毎年毎年撒かなきゃいけない。分解するから別にいいんじゃないですか。それ、大量に撒いても分解してるんだから。斎藤さん、いかがですか?
僕は、そうですね、結局、続いちゃってるんですね。それは人口が増えてるっていうのももちろんあるし、世界での肉食が結局、経済発展とともに増えてるっていう中で。これ別にGMかどうかっていう話じゃ、究極的にはないんですけど、やっぱり6万ヘクタールを耕していくっていうような、大規模経営でやっていくっていうモデル自体が、本来的な意味での持続可能な農業のあるべき姿なのかっていうのは、結構世界でも議論があって。
例えば国連で有名なやつだと、家族農業の10年っていうの、もう大体来年ぐらい多分終わると思うんですけど、この10年ぐらいやっぱりやっていて。そういう大規模型で、いわゆるアグリビジネスって言われるような資本集中型で、トラクターとか化石燃料もたくさん使って、除草剤で、いろんなGMも含めて使っていくっていうようなモデル自体が。要するにブラジルとか、モノカルチャーでたくさん作って、それを海外に飼料として売っていくっていうようなモデルなわけですよね。
だからそれ自体が果たして望ましい農業の姿なのかって言われると、私、農業やってないから、これが望ましいって言う権利はあんまりないけど、やっぱりそこに違和感を持つ人たちは一定程度いるし、それは決して日本の農業のモデルには、いろんな意味でならないなとは思いますけどね。
徳本さん、いかがですか? 今まさに日本の農業の現場にいらっしゃる方として。
農業って適地適作っていう言葉があって、僕も日本で、別に南米のような農業がしたいわけじゃなくて、やはり南米の広い大地だからああいう経営が成り立ったり。そういう中で結局、農業経営者もいかに環境負荷を下げて、例えば窒素投入を減らして、要は少ない資源で生産性を上げるかっていうところで、各国の農業が知恵を絞って、ある競争原理の中でやってるんですよね。
環境負荷を高めるほど自分の首を絞めることになるので、逆にブラジルの不耕起で、しかも全部バイオディーゼルでやってるっていう、それで世界のタンパク質を供給してるって、ものすごい高いレベルで、ある種到達してるんだなと思うんですよね。
これはもう一個は品種だけではなくて、GMだけじゃないんですよ。例えば不耕起で種を蒔くっていうことがありますよね。これプランターを使うんですけど、シーダーとか。これもいろんなメーカーと生産現場が長年、例えば不耕起っていうのは非常に播種、蒔くところが不安定なんで、そこにちゃんと播種深度って言うんですけど、安定的に種が落とせて、ちゃんと芽が揃うプランターであるとか。
さっき空から撒くってあったんですけど、基本的にはスプレーヤーと言って、こういう竿がついてスプレーをするんですね、除草剤。これもいかに少量で効率よく雑草にかかるか。それで当時よりはもう1/まで使用量を減らしてとか、いろんな現場では創意工夫が起きてまして。結果的に、例えば10年前と比べたらもう圧倒的に環境負荷を下げて、要は彼らにとっての持続可能な農業で、これは多分、家族経営とか企業経営に関係なく、ここの根源は一緒だと思うんですよね。なので、一つそういうふうに思うのと。
あとやっぱり日本の場合は、これだけ高温多湿で水資源が豊かな国なので。とはいえ、僕、今、鳥取の中山間地で農業をやってるんですけど、本当に人が減ってるんですよ。高齢化でどんどん辞めていって、さらに今、米価がものすごい安くて、本当に離農に拍車がかかって、いわゆる大離農時代が来るって僕らの世界で言われてるんですけど、本当に中山間地に人がいなくなって。いかに少ない人数で、これから田んぼがどんどん出てくるんで、そういうところをちゃんと管理していけるのかっていう。
これはやっぱり今までと同じ、家族経営とか地域コミュニティっていう発想だけでやってたら、日本の農業は維持できないんですよ、現実的に。もちろんそういうコミュニティとか付加価値型とか、さっき斎藤さんが言ってたように、いろんなコンパニオンプランツ、有機的な不耕起っていうのももちろん知ってますが、ある種こういったコモディティも含めて、産業としてちゃんと人々の生活を支えるための供給量であったり、安全性であったり、農家自身が福利厚生も含めてちゃんと手取りがあるのか。こういうことを考えると、ある種の経営的な視点っていうのも現場が持たないといけないし、もっと品種改良っていうのも、我々もっとフラットに議論していかないといけないんだろうなというふうに思ってますね。
逆に僕、斎藤さんに伺いたいんですけれども、安くおいしいものをたくさん提供できることは、市民生活の豊かさに直結していくと。なおかつ日本は人口減少で、今、徳本さんがおっしゃったみたいに、どんどん離農ですよね。農業を手放さざるを得なくなってくるっていう、社会の形が変わってしまうかもしれないっていう中で、逆にこのいわゆるGM食品ですよね、もしくは新しい形で持続可能にすることができるのであるならば、実は左翼的にオッケーなんかなみたいな。
僕の暗黒社会主義。そうですか、暗黒社会主義。そういうことですね。だから要するに、これまでみたいな右肩上がりの成長が期待できずに、農業も高齢化で人口が減っていって、どんどんバカバカ潰れていく。今までの農業の形が維持できないとすれば、その際には、例えば今までの左翼があんまり好きじゃなかったこういうGMみたいなものも元に議論して、どうやって何らかの食料を安定的に確保するかっていうことを、議論しなきゃいけないんだっていうのが暗黒社会主義なんですね。私の本、皆さん読んでください。
それで言うと、私が言いたいのは、その中で例えば有機でやりたいとか、当然消費者の中にGMはやっぱり嫌だって、これはアメリカとかでも当然一定数いまだにいるわけなので、そういうものに対する表記の義務付けをして、消費者がしっかり選べるようにするであるとか。当然小規模で、家族規模みたいな経営をやりたいっていう人たちもいるので、そういう人たちが自分たちで選択できるような。非GMでやるのか、GMでやるのかっていうようなことを選択するチョイスを、やっぱり確保しておくとか。
あとは、あまりにも種子とか、いろんな除草剤なんかの権利に関して外国企業が入ってきて、ある種の日本自体の農業が外国企業の狩り場にならないようにしていくとか、そういうことをしっかり整備していくっていうことと、合わせてやることが重要になってるんじゃないかなとは思います。
なるほど。結構サポート派ですね。
別にサポートをしてるわけではないが、もうそういう段階に実際、徳本さんとかの話を聞いてると、単に今まで通りのやり方を続けていって守ればいいっていうのは、理想論としては一つ、僕もそうだと思うんですけど。ただ、もう収入としても持続可能じゃない、高齢化も進んでいるっていう中で、やっぱり新しい試みが必要になってくる。でも、それが当然有機だっていう人たちもいて、僕はそういう人たちはそういう人でいいと思うんですよね。
そうなんですよ。だから消費者も日本は今選べるし、表示の問題はもっとクリアにしてもいいと思うんですけど、同じように多分、農家も栽培手段とかアプローチってもっと選べていいと思うんですよ。実は僕、元々有機農家なんですよ。
そうなんですか。そうなんですよ。露地で有機で、結構日本でも最大規模でやっていて。ただ途中で、これ有機農業も素晴らしいけど、これも手段の一つだと。特に世界の農場に行くようになって、もちろん有機の農場も行くし、バイテクの農場も行くし、施設も行ったりするんだけど、やっぱり今の日本、我々の、例えば鳥取で何が一番、ハイブリッドで考えた時に持続可能なのかって。もっとフラットに技術をチョイスできた方が、結果的に持続可能になるなと思ってまして。
だから僕も全然推進派でも何でもなくて、ただこれからの時代、多分皆さんが想像してる以上に人が減ってくるんですよ、中山間地で。あともう一個、鳥獣害と言って、ものすごい鹿やイノシシがオンパレードで荒らされたりとか。あと水路、田んぼ、僕らずっと溝さらいやってます、もう総出で。こういうもののマンパワーも一気に減ってくる中で、ちゃんとこれから全体の、日本も考えていかないと、そもそも食料供給自体の本当に底が抜けるなっていう危機感があって。そういう中で今回のバイテクっていうのも、非常に重要なテーマかなっていうふうに思ってますね。
小島さんに逆にお伺いしたいんですけれども、不安視する、斎藤さんもそうですけれども、実は私、今回の司会をやるってことになって、ちょっと近しい人に聞いてみたんですね。その人は、やっぱり自然系の食品が好きですと。特に着色料だとかアミノ酸がすごく嫌いですと。なので食べる時、お菓子を買う時、子供のお菓子を買う時に必ず後ろを見て、香料とか、あとはアミノ酸の表示とか、アミノ酸が入ってたら買わないと。
じゃあ遺伝子組み換えの食材が使われていることと、香料が入ってること、どっちを取るって言ったら、いや、香料の方が嫌だと。要するに遺伝子組み換えを使ってようが使っていまいが、香料とアミノ酸が入ってる方が嫌だと。じゃあ香料とアミノ酸が入ってなくて、遺伝子組み換えであると、そうでないのであったら、そうでない方が高かったとしたらどうするって言ったら、やっぱりそうじゃない方を買うと。それは多少お金をかけてもいいと。なんでって聞いたら、だって将来的に何があるか分かんないじゃん。
そこにエビデンスはもちろんないんですけれども、ふわっとした不安感があるんですよね。多分これが、多くの不安がってる方に共通する部分なんじゃないかなと、私は勝手に推測してるんですけれども。結構難しいと思うんですよ、それって感覚的な問題なので。その辺ずっと、戦うっていうか、エビデンスを持ってお話ししてくれていた小島さんとしては、どのようにお考えですか?
私はもう、ふわっとした不安感は取り除くことができないと思ってるんですよ。それぞれの人が主観的にそう判断してるわけですね。40年前、50年前、私が記者をやってた頃も、食品添加物が危ないとかやってたんですよ、みんな。だからそれは今もずっと続いてるので、一定程度の人たちが不安を持つのはもうやむを得ないので、別に持っててもいいと思いますよ、私。
個人の選好だと思うんでね。別にその人たちは結局、それでスーパーで好きなものを買ってるっていう、選択肢があるってだけですからね。
私がGMに関しても言いたいのは、不安がある人は別に避ければいいんですよ。でも徳本さんのように、やりたいって言ってる人たちがやれるような環境を作ってあげたいと思ってるだけなんですよ、私は。なんでそういう技術があるのに選べないんだろうかなと。
さっき左翼の人たちが、いわゆる海外依存、技術の海外依存が良くないっておっしゃってるんですけど、例えば組み換えの場合だったら、国産のいわゆる耐病性の、病気に強いとか、作ろうとしてたんですよ、日本でも。でもそれ、全部反対運動に出会って潰れてたんですよ。なんで自国の技術を潰すのかなと私は思ってたんですけど、そこら辺、逆にどうなんですか? 自国のGMって良くないんですかね?
私はその当時の反対運動をしてないからあれなんだけど、でも当時、やっぱり特に不安があったっていうことだと思うんですよね。だから私がどちらかというと、さっきの話で懸念してるのは、6万ヘクタールみたいな大規模農業になっていくことで、逆にブラジルなんかでは家族経営とかでやりたいっていう人たちが、なかなか逆にできなくなっちゃうんじゃないかっていうことが一個。
もう一個は、やっぱり日本も結局どこかで、私は合わせて、海外依存っていうのは、この間のナフサとかのことを考えていても、そんな大量の飼料を、工業的畜産をやるために大量にトウモロコシとかいろんなものを輸入しなきゃいけないって。それはGMでもとにかく入れるんだみたいなやり方自体が、やっぱりかなりこれからの時代は。
いろんなリスクが出てくると思うので、それを調整していくために、こういうものも一つの、やっぱり改めて国産の技術でしっかり国産でやっていかなきゃいけないんだみたいな議論自体が出てくることは、頭ごなしには全然否定しない。やっぱりそういう歴史があったのは事実だと思うので。
飼料の話あったじゃないですか。トウモロコシってほぼ飼料に使われていて、9割以上、日本は依存してまして、鶏とか牛肉は全部そこから来てるんですけど、海外の輸入から。日本も今まで、その飼料自給率を高めようっていうことで、いろんなことやってるんですけど、僕らが今、例えばやりたいのがGMの飼料米なんですよ。遺伝子組み換えで除草剤耐性をつけた飼料米で、さらにここに飼料に特化して脂質とかタンパク量を高めて、もう飼料に特化し、要はトウモロコシの代わりになるような飼料米が、例えば日本でできないかと。これも一つの案なんですけど。
やはり農業って適地適作で、例えばブラジル、トウモロコシ、やっぱり乾燥地の二毛作でスケールできるんですけど、日本は国土が狭いし、高温多湿。ただ一方で田んぼはたくさんあるという中で、例えばそういう国産のバイテク技術で飼料米を作るというのは、食料自給率を上げるのに非常に貢献するんですよね。
今、日本はちょっと専門的なんですけど、この生産調整で飼料米を作るのに毎年2000億、税金使ってるんです。単価が安すぎるから。それを補助金で補うんですけど、例えばこの遺伝子組み換えの飼料米とかで国内生産できたら、この単価を半分にしても農業経営者が経営が成り立つって試算が出るので、税金も1000億削りながら、例えば飼料自給率に貢献できるとかっていうのもありますし。
あと以前、農水省はこれもやってたんですけど、多収米でバイオエタノールを作るっていうことで、「水田を油田に」っていうコンセプトで、要はずっと米って余ってきてたんで、これまで2、3年前までもうジャブジャブに余って、米価がずっと暴落してたんで、いかにその米を飼料とか他の用途に使うかっていうことをずっとやってたんですよね。
そういう中で、そういったバイオエタノールを作るための除草剤耐性の超多収米で、分解が早くて糖質が高いからエネルギーに転換しやすいとか、多分こういった日本の風土に見合った品種改良で、これが直接口に入るものじゃなくて、我々の例えば飼料とかエネルギー、こういうものに貢献できるとかであれば、そういう立て付けだと最初の入り口としては議論しやすいし、斎藤さんなんかにも、その辺だったらちょっとご協力いただけるんじゃないかなって思うんですけど、どうですかね。
私が周りの左翼たちに、こういうのは。
そうそう。だからね、もう分断っていうのは良くないなと思って。
というか、逆に当時はどうなったんですか。その小島さんの歴史をちょっと教えてください。どんな感じの反対があって、その国産のいろんなプロジェクトは潰されたんですか。
いや、どんな反対って、例えばなんか、いないでしょ、左翼なんて。
いやいや、それが不思議な。左翼と言ってもちろん何千人が押し寄せてくるわけじゃないんですよね。本当、核になってるのは30人、40人で、ネットワーク広げて全国で、例えば条例作りましょうって言って。例えばいわゆる左翼的な生協のネットワークだと、いろいろいますので、そういうとこでずっと条例作りましょうって言うと、みんなが議員に働きかけて条例作ってたんですね。
研究開発やってる北陸センターだったら訴訟を起こすんですよ。加藤登紀子さんとかも反対だって言ってニュースに出てたんですよね。だからやっぱりやり方がうまいんですかね。どこを押さえれば止まるかってことを反対の人はよく知ってるんです。
推進派の方が、バックアップのお金とか企業のお金とかいっぱいありそうな感じ。
人数じゃないんですよね。
あと行政って弱いんです。行政は絶対反対に弱いです。
まさに今おっしゃったところで、この行政なんですけれども、今、国は認めてるじゃないですか。国は認めてるけども、行政単位で、例えば地域全員に許可を取らなくちゃいけないだとか、この遺伝子の花粉が出ないようにすごいいろんな施策を取らなきゃいけないみたいな、事実上やることができない施策を取られてると。
そこのギャップっていうのは何で起きてるんだと思われますか、小島さん。これ必要だから行政がやっているのか、もしくは他の何らかの力が加わっているっていうふうにお考えなのか、そこをちょっと。
行政がブレーキをかけてるっていうこと。
そうです。国はオッケーだけど、要するに自治体がブレーキをかけて。
条例作ったのは、できたのが2010年から、10年頃なんで、もう15、6年たってるんですね。だから今は条例がそのまま残ってるんで、その条例のあるところで作るのは難しいんですよ。やっぱり住民の、周囲の理解を得てくださいとかいう同意を取り付けるのが大変なんで。でも条例のないとこで、例えば徳本さんがやるんだったら、私は今だったらこれだけ科学的な蓄積があるので、メリットが分かってるので、多分できるんじゃない。SNSも当時なかったんで、反論もできるので。
徳本さんの周りの農家の方とか、どういうリアクションなんですか。
まだ僕もGMを栽培してるわけじゃないんですけど、日本ではしてないです。してないです。小島さんがすごい僕が推進派みたいにさっきから言うんで、ちょっと誤解が。
そう、してるイメージ。
そこはちょっと誤解があるとよろしくないですけど、また炎上しちゃいますからね。植えてもないのに叩かれるってよく分からない状況になるんで。
たださ、どういうポジションでここにいるんですか。
でも、あれですよ。やっぱり栽培はしていきたいなとは思ってます。さっきの飼料とかエネルギーによって、日本にとっては非常にこれから必要な時代になる。これまでは、さっき反対派とかあったんですけど、需要としては現場もそこまで困ってなかったんですよ。極端な、じゃあGMが日本で作れなくても、そんなに生産現場が。一部の農家はいましたよ。一部の農家は、さっきの除草剤耐性の大豆っていうのも、確かに一気に生産性上がるし収量上がるんだけど、でも日本も今、収量も上がってきてるし、選択性除草剤って言って、それのパフォーマンスも上がってきてるんで、日本ぐらいの規模感だったら、いけんじゃねっていう。わざわざこんな炎上覚悟でやるまででもないっていうのがあったんですよ。
ただ、これからさっきから言うように、本当に2030年とかその先は、ものすごい農業人口が減ってくる中で、少ないリソースで効率を上げていくっていうところと、今のこの高市政権も言ってますけど、食料自給率100%にしますとか、すごい野心的なビジョンやってますよね。これって一個、やっぱり飼料自給率なんですよ。確実に海外から輸入してる濃厚飼料の自給率をどうやって上げるか。この日本の湿田が多いエリアでやるには、例えばさっきのエネルギー用途に特化したGM米とかね。だからやっとこういう議論がしやすくなってきてるので。
こういう話って農家からどんどん発信をしていかないといけないから、自分は発信しながら、今一応、試験栽培っていう形で来年以降は、これ遺伝子組み換えじゃないんですけど、そういったゲノム編集を活用した品種の試験とかを計画的にやっていこうという形では動き始めてるというような段階ですよね、今。
でも今の話聞いてて一番思うのは、やっぱり徳本さんから見ても本当に植えたいという国産のGM作物はないんですよ。全部外から買わなきゃいけないわけでしょ。外から買うと、なんだ外のとか、また反対になりますよね、多分。だからかつてバイオ作物懇談会っていう、生産者が700人、集団が植えてたことがあったんですよ。3年間続けて。
その時の中友さんが、試験栽培やってたら反対の人たちがトラクターで畑に入って潰しちゃったんですよね。ブルドーザーとかで潰しちゃったんですよ。それで警察に行ったんだけど、警察も「そんなことで警察は動かない」って言って、結局刑事事件にもならないんですよ。それ以降、その長さんはやめちゃったんですよ。みんなもう、これ誰も守ってくれないし、潰されちゃうんだからやめようって言ってやめちゃったんですね。
その時に名友さんが一番言ってたのが、本当よく覚えてるんだけど、「国産のGM大豆があれば戦えた」って言ってるんですよ。モンサントじゃなくて、国産、日本で開発されたものを使って何が悪いんですかってはっきり言えるんだけど、当時は言えなかったって言ってたのが今、印象に残ってますね。
今ちょっと結構大事なポイントかなって思っていて、小さな一つの事案ではあるんですけれども、実際試験的にやろうと農家の方がいて、何年か続けたと。それが反対派の人たちによって農場を潰されちゃったんですよね。これも明確な器物損壊事件であるわけで、僕、実はちょっと調べたんですけれども、確かに器物損壊で、当然警察としては調べる義務がありますよね。警察、調べてるんですよね。調べた上で、これ一つの器物損壊事件だと。
私も実は過去、事件記者もやったことがありまして、そんな簡単に起訴できなかったりだとか、もしくは逃げるあれがなければ在宅起訴になるというところもあるので、その時点で警察が全く取り合わなかったっていうのは、ちょっと飛躍があるかなって思う一方で、でもそういった活動をして、要するに作物を潰されるって、ひどい話じゃないですか。それが起点になってしまうほど、やっぱり実際に農家の方たちは一生懸命やろうとしてるところで、もう一個先行けなかったのかなっていう。
だからそれは心が折れたんだと思うんですけど。でもね、僕は多分今だったら逆で、むしろ来てくれと。
なるほど。
僕、YouTubeチャンネルもやってまして、これむしろブルドーザーで潰されようなもんなら、全部撮影して「見てくださいと、これ。こんなクソですと。こんなひどい連中です、左翼は」って。これはいよいよいいネタが撮れたっていうことで。僕やっぱり農家ですから。農場潰されるっていうのは、これをちゃんと発信することによって社会にそういうことは訴えかけたいっていうのはありますよね、一つ。
それは大事ですよね。もう明確な器物損壊だし、絶対やっちゃダメな話なので。逆にそんなひどいことされたんだったら、もうちょっとこうね。
そう、逆にネタをもらったなっていう感じにするんですよね、今なら。
逆に今だったら。今ならね。
小島さん、いかがですか。その歴史の一つとしてそういったことがあったと。やっぱり実際にGM食品を、作物を作ろうとしていた人たちは、なかなか次に進めなかったっていう時代があるわけですよね。それは何で、妨害がやっぱり、メリットがあるんだったら。
いやいや、それだから私もよく考えていたんですよ。なぜなのかって。なぜなのかと考えていたとこに徳本さんが現れたんですよ。要するに、やる気のある人が結局いるかどうかなんですよ。
僕は今日、徳本さんの話を聞いてすごい分かったのは、やっぱり別に今までは、日本の土壌ってすごいんですよね。自然の力って、ヨーロッパとかと比べると雑草とかが生えてくる生命力が、雨も多いし、それすごい感じるので。そういう中で、別にわざわざいろんなリスクを取って、自家採種とかもいろいろやってる中で、わざわざGMをそんな大規模に反対運動を越えてまでやろうっていう必然性がなかったって、それだけの話だと思うんですよね。
なるほど。確かにそうですね。どうぞ、小島さん、どうぞ。
いやいや、確かにそうだと。
なるほど、なるほど。ちょっと今、左翼が押してきてますね。今押してきて。それ変わってくるんだ。
そうなんですよね。ただ本当に繰り返しなんですけど、この大離農の時代を前に、日本のこの狭い国土でどうやって食料自給率、生産性を維持していくかっていうのと。そういう意味では、日本に見合ったバイオテクノロジーの議論っていうのが改めて必要だと思ってます。
あと今日も、左翼さんが大嫌いな外資メーカーさんの方々来られてるんですけど、僕よく話すんですけど、逆にGM大豆とかGMトウモロコシって、もう一個植えづらい理由があって、日本マーケットが小さすぎて、そもそもビジネスとして彼らも関心ないんですよね。なので皆さんが心配される、グローバル企業の草刈り場になるとか、まずそういうことはありえないですね、この日本の国土において。
でも、だからそういう意味でやる必要ないと思ってる面もあるんですよね。だから別にわざわざ。反対する人たちが今、責任を持つのであれば、じゃあ今までどおりの農業が、これから人が減っていく中でもある程度維持できるような別の道をしっかり提示しないと。例えば農業にもっと若い人たちも従事するような政策を出せるとか、そういうビジョンとかも、ちゃんと儲かるような米作りのやり方を出せるとか、そういうことをしなければ、何らかの形でこういうことをやろうっていう農家さんも、どんどん経済的なあれにも迫られて出てくるのは普通だとは思いますけどね。
逆に今までいろいろやってきて、日本の農家の、僕も海外に住んだことがあるので、日本の野菜ってすごいんですよね。野菜も果物も。
みんなすごい。
多分そういう意味では、これは逆に斎藤さんへのアンチテーゼもあるんですけど、もう多分やれることやり尽くしてる気はするんです。何となくですけど。それで人が減ってっちゃうんだったら、やっぱりこれ以上効率よくするものを作らないと、若い人もやってくれないとかいうふうなところに差しかかってきちゃって。
だからそれがどうかってことですね。要するに、これからじゃあGM増やさないと日本の食料自給率もこれ以上さらに下がっちゃうから、そこにお金をもっと入れようっていう。この、もし何千億円か何兆円か入れるお金を、新しいやり方に投下した時に同じぐらい効果があるんだったら、わざわざGM側に舵を切る必要があるのかみたいな議論はありうるけど、私はちょっと専門じゃないので、こっちのそうじゃない道みたいなのが何なのかってあんまりここで具体的に言えないから、何かそうあるんじゃないかみたいな妄想になっちゃう。
遺伝子組み換え作物、一つのバラエティを世の中にローンチするのに、例えば今の外資メーカーさんだと大体150億から200億ぐらいの間なんですよね。なので何千億っていう投資はかからないんですけど。あとさっき言ったように、今、日本って食料自給率とか米の生産調整で毎年3000億円ぶっ込んでますと、税金を。これ、もう一個は飼料自給率を高めるために毎年2000億円入れてるんですけど。
こういうものが、要はこれからもう税収も減ってくるし、社会保障をどうするんだとか、いろんなものに再分配しないといけない中で、今までの品種改良の技術だけだと、ものすごい税金を投下していかないと日本の食料自給率とか日本の水田って今、守れてないですよ、現状でさえ。そういう中で、こういったバイテク品種、これは海外とかそういうんじゃなくて、日本のこれからどういうものがアジャストするのかっていう、考えた品種改良ってのは、十分これ投資回収できる可能性が、できる議論があると思いますし。
だから海外の結構大規模とかそういうことじゃなくて、日本に見合った品種改良っていう中の一つのバイオテクノロジーっていうところなんで、その辺はもっといろんな可能性を議論していくべきかなっていう感じで思ってますね。
この投資回収っていうお金の面ももちろんそうなんですけれども、あとはさっき言った、いわゆる環境への影響ですとか、もしくは将来的な生態系への影響っていうところで、この単一の除草剤をずっと使い続けてくこと。先ほどの、この前の回でも多分質問したと思うんですけど、改めて出したいんですけれども、要するにスーパー雑草ですよね。単一のグリホサートをずっと、グリホサートですね、浴びせ続けたことによってできてしまう雑草があるんじゃないか。その辺に関しては。
これね、本当ここすごく事実があるんですよね、現場と。例えば南米にせよ北米にせよ、スーパー雑草、反対派の人はそういうことをネットに言うんですけど、基本、海外もグリホサートだけずっと使うことはないんですよ。向こうはスタックって、いくつかの除草剤成分に耐性を持ったGM作物になってるので。例えばスタック、ちょっと解説いただいて。
さっきの害虫抵抗性と、除草剤も例えばグリホサートだけじゃなくて、もう一つグルホシネートっていうのがあるんです。これもアミノ酸系の除草剤で、最後は水と炭酸に微生物が分解してくれる。これグリホサートもそうなんですけど、非常に環境負荷の低い除草剤で、こういうものに、要は複数の除草剤の成分に対して耐性のある、そこに害虫耐性を加えたものをスタックとかって言うんですけど。
要するに単一だけじゃなくて、いろいろな成分の除草剤にも対応できる。要するに一つの除草剤を浴びせ続けるんじゃなくて、複数のものをサイクルで使える。
そうです。現場の農家っていうのは、そういうのは当たり前に分かってることなんですよね。なので、そういった除草剤のローテーションをするんですよ。加えて時々カバークロップを挟んだりとかですね。
カバーって何ですか。
緑肥って言いますけど、日本だと。そういった収穫物じゃなくて、地力を保つための。
なるほど、なるほど。
作物でカバーするっていう、こういうものを挟んで雑草の発生を抑制したりとか、いろんなローテーションのパターンがあります。そういうものをやりながらスーパー雑草が出づらい、もしくは出ないようなローテーションを基本的には組んでると。
これ、あと日本でも要はスーパー雑草みたいなのってあって、例えば僕らもその畦畔とかにラウンドアップとかずっとまいてると、スギナっていう草だけが残るんですよ。
なるほど。
こいつらがどんどん本当に強くなって枯れない。そこで例えばさっきのグルホシネートっていう違う除草剤まくと、すぐ枯れるとか。なのでこれはGM作物だけじゃなくて、ある種プロの農業経営者の現場であれば、そういった雑草の耐性が同じものを使ってれば出るっていうのも当然のことなんで、そういうものを抑制するためのクロップローテーションだったり、除草剤を変えるっていうのは当然やってることなんで。多分一部ちょっと出た話とかを拡大解釈して、こっちには飛んできてるんですけど、現場では基本的にはほぼ問題になってない。
それちょっと追加すると、先ほどポールさんっていう農家、アメリカの農家、映しましたよね。
ごめん、ちょっとね、ごめんなさい、私たちに。
そうか、すいません。アイオワ州のポールさんっていう人が、不耕起で組み換え大豆栽培してるんですけど、三つの遺伝子が入ってるんですよ。それは何かというと、今のグリホサートという除草剤でも枯れない、グルホシネートという除草剤でも枯れない。もう一つ2,4-Dっていう除草剤があるんですけど、その三つの遺伝子を入れてるんですよ。だからグリホサートがもしダメでも、今度はグルホシネートをかけても育つんですよ、ちゃんと。
だからそうやって現場では、いくつかの組み合わせを維持しながらちゃんと対処してるので、スーパー雑草が組み換え作物の持続可能性をダメにしてるんだっていうことには、現場ではなってないってことですね。ただ学問的にはあります。組み換え作物以前にあるので、スーパー雑草って別に30年、40年前にもあったんですよ。今だって200種類ぐらいの雑草があるんです、除草剤使ってるので。だから組み換え作物が登場する以前にも、そういうスーパー雑草はあったんですよ。
ちょっと質問なんですけど、でも例えばGMだと特定のペアの除草剤とかになるから、常にそれを使うっていうふうになりがちじゃないんですか。そんなことはない。
グリホサートまいてダメだったら、今度は残っちゃった雑草はグルホシネートをかければ枯れるんですよ。それもダメだったら、2,4-Dで枯れるってことですね。
これ、本当に素人質問で申し訳ないんですけれども、その三つの除草剤に対応したウルトラスーパー雑草が出てきちゃったらどうするんですか。
別の耐性のある除草剤を使う形のものに、一個選択肢としてなる。ただこれ、ローテーションを、今三つの手段があれば、基本そこからスーパー耐性が出てくるってものすごい確率的には低いかなと思います。そういうことは起こりうると思うんですけど。
なるほど。もちろんゼロじゃないけれども極めて低いってこと。
ただ結局、それがもし使えなくなったことによって、今、不耕起農業が、このGMができることによって何億ヘクタールって地球上で広がったんですよ。これによって、例えば不耕起になると炭素が放出されないので、これ今日小島さんプレゼンしてたんですけど、年間で車の台数で1500万台分の二酸化炭素が、この不耕起農業、GM作物のおかげで抑制できてると。
土中の炭素が出てこない、耕さないから。
そう。あとトラクターの燃料もものすごい。だからこういうトレードオフなんですよね。有機農業でも自然農業でもGMでも何でも何かしらリスクあるんですよ。有機農業でもすごい雑草出てくる時あるし、例えば堆肥とか使ってるとあったりするし。だからいろんなトレードオフの中で、もちろんゼロリスクとかを求め出したらもうきりがない話で。それがダメな人ももちろん一般の社会にはいるから、そういう人は違う選択肢があればいいんですけど。
でも明らかに、そういう可能性が低いスーパー雑草のリスクと、今そのGM作物が環境に対して、人類の食料安全保障に対する貢献度、これと比べた時にはわずかな問題だなと思いますよね。
ぜひ今の人類の食料安全保障って話もされましたけども、あとはCO2ですよね。多分見てる方の中で、今まさに不耕起農業ですよね、それによって土中のCO2が出てこないっていうメリットも出てくる。それ以外でGM作物を拡大させることによって、いわゆるSDGsの目線からどういったメリットがあるかって、ぜひちょっと教えていただけますか。
まず単位面積当たりの収量が安定するんですよね。例えば南米のアルゼンチンとかっていうのは不耕起農業の先進地で、アルゼンチン不耕起生産者協会っていうのがあるんですけど、ものすごい科学的にやってるんですけど、ここなんかは日本の平均収量の3倍以上取るんですよね、大豆を不耕起農業で。これGMだからっていうのもあるんですけど。だから広大な上に、しかも不耕起農業で、しかも面積当たり3倍取ってるっていう。
だからこれは、大豆ってものすごいデマンドがあるんですよ、グローバルに。単位面積当たりの収量を上げることによって農地を広げなくていいので、まずこれに関してはものすごくプラスになってる。要はアマゾンをより開墾しなくていいとかね。
ということと、あと土壌の流亡と我々は言いますが、我々農家にとってこの土層、この土作り、ここが最大の資産なんですよ。持続可能な、要はこの土を我々が作るんで。例えば僕の友人の、一番不耕起農業を古くからやってる、GMが出始めた頃、もう30年近くやってる農場の土は、1メートルぐらいスコーンと棒が入って、全部にミミズが生息してますと。
ミミズが生息すると、彼らが有機物を餌にして腐植を出して、土壌の孔隙とか、要はスポンジのような土を作るんです。これによって大雨が降った時には土砂が流亡せずに水を蓄えてくれるし、干ばつの時にはその水分を蓄えてくれて、生産性を維持してくれる。これは一個、不耕起農業から来る副産物なんですけど、土壌保全っていう意味でも、このGM作物は非常に大きな貢献をしてると思いますね。
何かいいことずくめですよ、斎藤さん。
ただ現状、皮肉なのが、そういうブラジルとかアルゼンチンとかアメリカで、一番破壊的な農業が依然行われてるってことです。
そう、今大事なご指摘ありがとうございます。そういうイメージで言われるんだけど、実は今日もプレゼンだったんだっけ、小規模でもめちゃくちゃ貢献してるんですよ。
そのGMの。
そうそう。例えばフィリピンで今、Btコーンって60万ヘクタール急拡大したんですけど、同じこれ除草剤耐性ので、Btコーンと言って、殺虫剤を減らせる技術なんですけど。僕、フィリピンの現場にも何度か行って友人がいるんですけど、もともとフィリピンもトウモロコシを作ってたんですけど、アジアンコーンボーラーと言いましてね、要はアワノメイガです、鱗翅目の。こいつらがめちゃくちゃ食うんですよ。
それを防ぐのに農村の子供たちがひたすら殺虫剤を何回もやると。もう肌もボロボロになる。しかもそれでも収量が取れないから、非常に貧困の農村が広がっていったんですけど、これまさに遺伝子組み換えのトウモロコシが入ることによって殺虫剤の量は減らせる。さっきの除草剤耐性があるから、米の裏作でもトウモロコシとか作るんですけど、フィリピンってそんなに耕さなくても、簡易耕起で播種ができて、しかも収量ができるから、農家の手取りが一気に増えたんですよ。
僕、その農家の知り合い何人もいるんですけど、実際やっとこの遺伝子組み換えのトウモロコシのおかげで子供を学校に通わせるようになったと。子供に教育を与えられるような。だからそういうベネフィットがあったから一気に広がった。
あと例えばインドもBtコットン、これ小規模の方がたくさん多いんですけど、よく日本のオーガニックショップとかが、遺伝子組み換えの綿でインドの農家が自殺してるとかっていうことをマーケティングで使うんです。あれ真逆です。
何ですか、それ。ちょっとその話。
要は殺虫剤を買え、その種が高すぎて借金して。
種が買わされすぎて。
それで結局儲からないから、要はグローバル企業に種を支配されたから、それで借金漬けになって自殺するっていう物語が、結構時々日本で聞くんですけど、これ真逆です。これ現場の農家に聞いたら一発で分かる話。
どこからそんな話出てきたんですかね、それ。
どこから出てきた、完全フェイクニュースなんですよ。完全な、全くファクトじゃないです。これ逆で、今までのGMを作ってないコンベンショナルな品種の農家に対して、この鱗翅目が綿花を食いまくるから、経営が成り立たなくて自殺してる農家は確かにいたんですよ。だからこのGMが出てから殺虫剤激減したんで、収量取れるから農家の手取りが増えたんです。だからインドもBtコットンが増えたんですよ。
一時期インド政府がこれも規制をしようとしたんだけど、そこに反対したのが農家自身なんです。農家の組合が「このGMの選択肢がなくなったら我々農業経営成り立たないからダメだ。これはもっと規制を緩くして面積を広げさせてくれ」って、農家のイニシアチブでインドもBtコットンが広がったんです。
これ、インドの政府はなぜ規制しようとしたんですか。
これ何ででしたっけ、小島さん。規制しようとした、生産量をね。一回あれは、どう、政治的な力学だったと思うんですけどね。
それ知らないですね、私は。
一回あってね。
なるほど。多分そこを見極めるのって結構大事なことかなって思っていて、国であったり自治体であったり、大きな力が規制に動く流れがゼロではないわけですよね、今、世界でも。そこと多分、視聴者、消費者の不安っていうのは繋がってる部分があるんじゃないかなって思っていて、これを解明せねばならないんじゃないかなと思うんですけれども、小島さん、これどこから来てるんですか。
そういうフェイク情報みたいなものがですか。
フェイク情報みたいなものってよりも、要するに政府が規制に動く動機ですとか、その辺はどこから来てるのかな。
それはちょっと。
科学的なエビデンスがない中で、政府や自治体が動くっていうのもちょっと考えづらい。
どこかで誰かが何かを言ってるとは思いますね、専門家が。
左翼の影響じゃないですかね。
多分、いや、インドで左翼が。
インドで自殺が多いっていうのは、反対派たちがずっと言ってましたから。
インドで何ですか。
インドでGMの綿を植える農家の中に自殺者が増えてるっていうことは、反対派たちがずっと言い続けてきたことなんですよ。それはもう学術的な論文で否定された。確か10年ぐらい前に否定されてるんですけど、それでも言い続けてますよね、やっぱり。だから一旦、危ないような情報が出たら、反対の人たちはうまいので、ずっと言い続けてるっていうのが印象ですね。
なるほど。フェイクニュースは一回拡散すると正すことすら難しくなってしまうっていう実態はあります。
これAIですけど、やっぱりBtコットンが広がったことで、伝統的な種のコットンが急速に追いやられていったとか、外国企業による種子市場が独占されるっていうことへの懸念だとか、そういうのからだんだん批判の声が高まったっていうような感じですね。
なるほど。だからエビデンスがない状態、もしくは分かりづらい中で起きた不安っていうのは、右であろうと左であろうと、推進派であろうと反対派であろうと多分同じだと思うんですけど、こういったものと対抗するのってすごく大事だと思うんですよね。別に僕は推進派におもねるつもりないし、反対派におもねるつもりないですけれども、ただフェイクって良くないじゃないですか、これは。なので、そういったものにどうやって抗っていくのかっていうのは、もうちょっと壮大な話にもなってきちゃいます。
僕はそれは結構制度の問題だと思ってて、このインドのコットンなんかも結局、いわゆるモンサントの話だと思うんですよね。だからそういうのに対して、私もちょっと調べたら、Btナスってバングラデシュですごい広まったやつは、公的農業研究機関的な機関が開発をして、その種子とかを国内の農家に廉価に供給をするっていうような。
やっぱり単にGMそのものがいいか悪いかっていうだけの単純な話じゃなくて、それをどういうふうにちゃんと、さっきの話もそうだと思うんですけど、大規模優先じゃなくて小規模で困ってる人が使えるようにしていくとか、そういうものをちゃんと公的なやり方で支援していくとか。そういう話と合わせて、要するに技術的な問題だけじゃなくて社会経済的な話と組み込んだ時に、どういうビジョンがいいのかっていうような議論が、改めて必要なんじゃないかなと思いましたけどね。
どうですか。
さっきモンサントの話してまして、必ずこのGMの時にはやり玉に挙がるんですけど、結構フィリピンなんかもね、要はGMの種子作ってるのって、モンサント、今のバイエルですけど、だけじゃないんですよね。他にも何社かありますと。メジャーでいくと5、6社ぐらいあるんですけど、それぞれ強み弱みがあって、例えばブラジル行ったらこのメーカーが強いねとか、北米でいったらこうだよねとか。フィリピンなんかもバイエルじゃないんですよ。別のメーカーがシェアを。
それはそういうバラエティ、僕らマチュリティって言い方するんですけど、その地域に見合った成熟度合い、いろんなラインナップがあるんですよ。要は例えばGMのトウモロコシ、Btコーンと言っても、除草剤耐性とかもこれとこれはついてます、これはついてないですとか、これはBtがないですとか。あとは成熟度合いが、この気候だ、この地域だったらこうです。要はそういうカタログで選べるんですよ、農家自身が。
なので、僕が日本だけじゃなくて世界を見て思うのは、基本的には選ぶイニシアチブは農家にあって、そこの競争、要は農家に需要がない種子を、供給できないメーカーは基本的には撤退していくんですよ。これは多分日本の、例えば農研がそういう種子を作ったとしても、日本のロケーションに、僕らが選ばなければ、いくら国産でも、外の方の種子が生産性が高いんだったら、多分そっちが残っていくかもしれない。
そこは市場原理が働いて。
僕はそこはめちゃくちゃ市場原理が働いてると思うんですよ。今、スタートアップもどんどん出てくるし、結構バイテクの世界はレッドオーシャンだなと思ってますね。
今フィリピンの話出たんですけども、このゴールデンライスっていうのがありますよね。
そうなんですよ。
ぜひちょっと。
これちょっと俺、斎藤さんに意見聞きたいんですよね。もう一個、遺伝子組み換えって機能性を加えることができて、このゴールデンライスっていうのは、国際稲研究所、フィリピンが今管理してる種子なんですけど、何かって言うと、長粒種なんですけどね、向こうの。これにベータカロチンがインクルーズされていて、米を食べながらベータカロチン、ビタミンAが摂取できるっていう米なんです。これを遺伝子組み換え技術で作って、20年ぐらい前からもうできてた技術なんですよ。
これ何でやったかって言うと、今、世界の隠れた飢餓って言われていて、たくさん貧困の子供たちいるんですけど、毎年50万人から60万人がビタミンA欠乏症で失明してるんですよね。これまでも累積で100万人から200万人が、これが起因で亡くなってると。貧困なんで、肉とか野菜をバランスよく食べられないんで、ひたすら主要穀物を食べるので栄養が偏ってビタミン欠乏ができる。そこを解決しようとしたのがゴールデンライスなんですよ。
これを早く商業栽培が始まれば、まさに失明する子供たちにとっては未来に光を与えることができる、すごく画期的な作物だったんだけど、グリーンピースがずっと反対をしてきていて。「そんなもん子供に食わすな」と。これも言ってる論拠が全然科学的じゃないんですよね。そういうことで活動して、ずっと商業化ができなかったんです。
4年前、僕がIRRIに行った時に、フィリピンがその時に初めて商業栽培をやるって、世界で初めてやり始めたんだが、また裁判で揉めて今も止まってるんです。そうこうしてるうち、毎年今も4、50万人の子供たちが失明する。これもネットに出てますけど、ノーベル賞を受賞した学者さん107人が、何年か前かちょっと忘れましたけど、書簡を出しました、グリーンピースに。「もういい加減にせよと、お前ら」と。
日本のノーベル賞受賞者の方も名前を連ねてますよね。
そう。そういうことがあって、でもいまだにこういうものも実現できてない。そのことによって多くの子供たちが命を落として。こういうことはどうですかね、斎藤さん。左翼としてはどういうふうに、俺は捉えればいいんですかね。
だから多分、グリーンピースの勝手な思いを代弁すると、要するにこういう米を提供することで、本来であればそういうものに頼らずに、例えば野菜とかをもっと摂取できるような社会環境というか、要するに貧困層には米食わせとけばいいじゃんっていうような形で、多分その貧困の構造がそのままある種固定化されてしまうっていう、そういうことに対して多分懸念を持ってるんだと思う。
なるほど。あともう一つお尋ねしたいのが、フィリピンの裁判所ですよね。控訴裁が2024年の4月でしたっけに、その栽培を禁止したと。裁判なので、ある程度そのエビデンス、何らかの根拠にするものがなければ判断は出ないっていうふうに考えた時に、ただ一方で、禁止にしたからといって安全性が担保されていないって判断したわけではないじゃないですか。
ここすごく難しいんですけれども、なぜ裁判所はそういう判断をしたのか。それはグリーンピースの活動とかもしかしたらあるかもしれないんですけれども、多分この活動だけの、このエビデンスの支障だけでその判断をすると
は思えないんですよね。そこは何が起きたのかって、お分かりになる?
私もそこは知らないですね。どういう判断で、根拠で禁止にしたのかっていう判決文を読んだことがないので、すいません。
そこは僕ももう少し調べる必要があるんですけど、でもこれ、ゴールデンライスって、例えばIRRIとかだと今、食堂で出てるんですよね。食べられるんですよ。
あ、そうなんです。
週に1回とか出ていて。
美味しいんですか、やっぱり。
味は普通ですね。要はああいうバスマティ系の。
ああ、ちょっとパラッとした。
そうそう。色はまさにゴールデン、黄色いんですよ。
へえ。βカロテン入ってますもんね。
そうそう。だから普通に食べられるんですけど、やっぱり遺伝子組み換えでできたタンパク質を動物が摂取して何か問題が起きるっていうのは、遺伝子組み換えが世に出始めた時って、そういういろんな不安な声が出てたのは事実だし、今もそういうことを言ってる人はいるんですけど。今、この30年経って、いろんな世界的な国際機関もいろんな調査をする中でも、いまだにまだそういう事例が出てないっていうことが1つ大きくあって。
例えばもう1個分かりやすいところでいくと、我々ワクチン打つじゃないですか。例えばあれなんかも、インフルエンザなんかのワクチンは遺伝子組み換えのタンパク質を組み込んだものをワクチンにして、我々は多分、日本の国民は全員ほぼ体内に入れてたりとかするわけで。結局あれもトレードオフというか、もちろんワクチンで副作用が出る人も確率的にはいるんだけど、でもそれ以上のベネフィットがあって。
このゴールデンライスの場合って、毎年450万人失明してるんですよと、まず。これを最終的には社会的な構造が問題っていうのはよく分かるんだけど、でもひとまず処方箋としてこういうものを供するのは全然あり得る議論だし。だから本当にその辺が、グリーンピースの、もちろん裁判の内容をもう少し精査しないといけないんですけど、これをずっとやり続けているのが、要は反対することが目的になってると思わざるを得ないのかなって感じをしますよね。
この裁判、一応ちょっと調べたんですけど、科学的見解が対立しており、不確実性が残ると。要するに100%言い切れない。独立したリスク評価や事後モニタリングが十分でないことを問題視して。結構後ろ向きだけども、ちょっと分かんないからやめといて、多分そこなんですよね。なので、なんとなく消費者が感じてるものを、そのまま代弁してるような感じ。
だから歴史的に多分、そういうアジアで米が儲かるから、それいっぱい作れよみたいな方針があって、これWTOとかが押し進めていくわけですよね。その結果、いわゆる野菜とか作るよりも米作ろうみたいな方向に行きすぎちゃって、なんなら米はいっぱい輸出すればいいっていうような金儲け的な農業にする。することが自立だっていうやり方にしたせいで今こういう問題が起きてるとしたら、それを変えずに、ただそれに米で今度はビタミンAも取ればいいじゃないかみたいなふうにしていくと、現在に至った構造的な歴史的な問題がそのまま温存されてしまうことに対して、やっぱり批判は起こるっていう感じです。
なるほど。同時にできないもんですかね。
確かにおっしゃるように、それはすぐに変わらないんだから、今バタバタ死んでる以上、何らかの緊急措置みたいなのを取らなきゃいけないんじゃないかっていうのは、確かに私も即座に否定するものではない。
そうですね。でも同時に、何事も0、1ではないですし。僕もやっぱり紛争地を見て、深刻なんですよね。タンパク質不足っていうのは、特に難民キャンプだと、やっぱりタンパク質やビタミンは入ってこないんですよね。小麦粉ばっかり入ってくるけど、どうやってタンパク質を取るんだ、母乳も出なくなるってなった時に、多少のトレードオフをもってしても、メリットあるものっていうのは導入していくのが、していきながら発展してきたのが人間社会なので。僕はやっぱり、どちらかというと導入に対して前向きなスタンスではあるんですけれども、一方で不可逆的な何か環境に対する影響が出てしまった時に、これ戻れなくなっちゃうよねっていう不安を持つ人の気持ちもすごくよく分かるというか。
だから堂々巡りになっちゃうんですけど、やっぱりこれ、結構モニタリングをしっかりして、選択を消費者がする自由、あるいは栽培者が選択する自由みたいなのを確保するっていうところぐらいじゃないかなと思います。そういう意味で、そんな頭ごなしにみんな批判するのはおかしいっていうのは、今日お話ししていて、私的には腹落ちしたのはありますけどね。
左翼が腹落ちしました。
ただ、記事を見てるとね、ゴールデンライスの記事を見てると、割とネガティブなニュースがあるんですよ。要するにグリーンピースに肩を持つような。それはなぜかっていうと、他に方法があるから。おっしゃったように、別にビタミンAだったら他に野菜とかいっぱいありますよね。だからゴールデンライスを食べなくても他にあるんじゃないかって言われると、確かにそうなんで。だからもうちょっとゴールデンライスを広める仕組みというか、国家的なプロジェクトみたいに、こういうふうになれば救えますよって具体的なビジョンを示しながら対抗していくしかないじゃないですか。
それは、さっき斎藤さんがおっしゃったような仕組みですよね。どこかの会社が独占してそれを作るとかじゃなくて、もうちょっと公の機関がそれを取り入れて、例えば安くこの資料を提供するとかっていうことですよね。
そう。それ、スギ花粉症にしてもですよね。日本の国がGMの研究開発をストップしちゃったんですけど、唯一残ってるのがスギ花粉症なんですよ、GMの。
スギ花粉症ですか?
スギ花粉症。正式には花粉症緩和米って昔は言ってたんですけど、その米を食べてると徐々に徐々に杉花粉に慣れていって、花粉症の予防になりますよと。
斎藤さん、売ってます? そんな、花粉症ですか?
いや、売ってない、売ってない。
売ってない、作ってないと?
もう作って、実際に実用化一歩手前まで来てて、もう今も試験栽培してるんですよ。機能性で出そうとしたんですけど、農水省が出そうとしたら、「いや、それは医薬品ですよ」って厚生労働省に言われちゃったんですよ。医薬品ってことは、製薬会社が莫大な金かけて臨床試験やらなきゃいけなくなっちゃいますよね。
ああ、なるほど。
制度的にもうできなくなっちゃった。
できなく、製薬会社が乗り出して作ってくれればいいんですけど、多分乗り出してない。
買うとしたら処方箋もらって米買いに行くみたいな感じですか。
だからそこも結局、農水と厚労省が事前に話をしててね。この機能性表示食品っていうのが、いわゆる健康効果を訴えるような食品があるんですよ。農水省はそれで行こうとしたんですよ。米の中に花粉症を予防するタンパク質がありますよと。これを毎日食べましょうって言って食品として流通しようとしたんだけど、そこに厚労省が立ちはだかったんで。やっぱり国家が一体となって何かプロジェクトを作ってやっていかないと、成功しないんじゃないかなと思いますね、そういうの。
これどれぐらい効果があるものなんですか?
効果は研究者の中で、過去に臨床試験やってますので、あります。
かなり効くみたいですよ。
かなり効くんですか? ちょっと興味になっちゃった。
そういうことですね。
今日、会場に来られる方って、花粉症の方っていらっしゃいます? ああ、すごい。もうほぼですね。
だからこの医療費っていうのがすごいみたいで、社会保障の、そこの削減にもなりますよ。もしその米が出たら食べたいって?
あ、もうほとんど。そりゃそうですよね。
絶対、売れれば売れると思うんですよ。売りに出されれば。
なるほど。逆に言うと、今日の冒頭の話、こんなに厳しいのにゲノム編集のトマトだけもうすでにバンバン流通してるっていうのは。
いや、不思議。
不思議ですね。本当に不思議なんですよ。専門家の方の間では、当然、遺伝子組み換えとゲノム編集っていうのは明らかに違うわけですよね。違う遺伝子を掛け合わせるのと、自分で持ってる遺伝子を変えるっていう。でも一般の消費者から見たら、今日集まってる、この件に関して意識の高い方は別かもしれないですけど、僕も今回勉強して、「あ、そっか、違うんだ」っていうぐらいの感覚。
ゲノム編集の方が嫌だけどね。
逆に。
またそんなこと言うからあれなんですよね。じゃあ、組み換えの方がまだいいってことですか?
組み換えの方が。
おお、なるほどですね。
ゲノム編集は本当にもう、なんかいじってる感じ。神の領域に入って。
神の領域。NHKのドキュメンタリーもありましたよね。この「神の領域」みたいなタイトルのドキュメンタリーありましたけれども。確かに、今日、新しい。今ちょっと徳さん、びっくりされてましたけど。
ちょっと、はい。
まさかの斎藤さんの発言でしたけど。あともう1個は、この問題ってさっき国家の話だったんですけど、政治家があんまり触りたがらないですよね。
不人気、腫れ物ですよね。
そう。あえてそれに触るインセンティブがないんですよ。これ、特に先進国共通であるんですけど。
そうなんですか。
遺伝子組み換えが必要だって、ああいう国会の場で言う議員さん、絶対いないですよね、あえて。
そうそう。逆に反対する人はいますよね。某新興政党とか、そういうところで注目を集める。
要は例えば自然とか有機農業って、僕ら「エモーショナル農業」って捉え方もあって、結構やっぱり注目を集めやすいとか、あと有名人の人が結構乗っかるんですよ。芸能人の方とか。
インフルエンサーですね。
インフルエンサーが。だからそういう、素晴らしいんだけど、あれはやっぱり農業の魅力の1つで、農業もいろんなレイヤーがあるんで。さっき言ったように飼料であったりとか、油であったりとか、私たちの社会、インフラに近い食料とかエネルギーとかもそうなんですけど、そういうところではもっとバイテクって本来議論すべきなんですけど。結構その辺って出てこないし、みんなそういう影響力のある人もそうだし、政策立案者も触りたがらないっていうのがあって、その辺もすごく動きを遅くしてるなって感じがしますよね。
ですから、今のような議論がいろいろあって、結局日本の国家はGMを断念したんですよ。もう断念して、出てこないと思います。私は個人的には、これからは。ゲノム編集に切り替えた。ゲノム編集こそは成功させようと言って、内閣府が一生懸命補助金を出して、大学発のベンチャー企業を推進しようと後押ししたんですよね。
これは大学発のベンチャーなんですよ。巨大企業でも何でもないんですよ。1学者が一生懸命やってるんですよ。今成功してるわけですね、ゲノム編集トマトは。だから反対する理由があまりないんですよ。巨大企業でもないでしょ。国内の学者が開発したものなんですよ。日本を救おうと言って、日本の産業を、あちこちにトマトの施設を作って、ゆくゆくは世界にこのトマトの種を売ろうとしてるんですよ、今。そうすると日本のいわゆる外貨獲得にもなりますよね。だからあまり反対する理由がないので、GMとは違うなと思ってるんですよ。それ、何か反対する理由ありますかね? 左翼は反対してますよ、今も反対してますけど。
そういう、ずっと違和感を持つ人たちはやっぱり3、4割はいるっていう。
はい。なるほど。
でも面白いです。私も改めてゲノム編集勉強しよう。
だから今回このテーマをReHacQさんが扱ってくれたっていうのは、めちゃくちゃ僕は大きくて。ReHacQの視聴者、全然こういうの大丈夫だよね。
全然大丈夫ですよ。
めっちゃ嬉しいんですよ。だから本当は継続させていただきたいんですよ、こういうテーマで。もっと言うと農業全体とか、日本の食料どうするんだとか。やっぱりこういう現場の声をReHacQさんとかで、特に斎藤さんのような左翼の代表格の方と対話できるっていうのは、すごくいいですよね。こういう話をできるの。
やっぱり議論することって何よりも大事なんですよね。今どうしてもいろんなプラットフォームで分断が進んじゃってるので。分断しちゃった段階でどうしようもないっていうか、もう前に進めなくなっちゃうんですよね。
あと、こういう分野は結構技術がどんどん発展してるから、割と古い知識でインパクトがある話が、私も1個、自戒を込めてだけど、結構残ってアップデートされてなかったりするので。こういう、今、日本で、私にとっても「あ、こういうことが今起きてるんだな」っていうのは、すごく勉強になりましたね。
ありがとうございます。私も勉強になりました。
じゃあ最後に、お三方から今日の感想も含めて、短くお言葉をいただきたいんですけど。まず小島さんからお願いしてよろしいですか?
最後の一言。
はい、感想も含めてですけど。
やっぱり1番の点は、斎藤先生が意外と理解があるなと。左翼とは言っても、やっぱり分かる左翼。分かる左翼だなという感じが非常にしました。私の昔の頃と比べたら、私は東大を解体すべきだみたいなことを昔は言ってたんですよね。そういうのと比べたら、本当に物分かりのいい左翼の先生かなという感じがしました。よく説明すれば、やっぱりお互いに接点を見つけられるんですよね。全部が駄目だって言ってるわけじゃないので、いいところを見つけながら、いい芽を育てていけば、なんとか徳さんの芽も出てくるんじゃないかなと、なんとなく思いました。本当に良かったです。
ありがとうございます。徳さん、いかがですか?
ありがとうございます。本当に今日は貴重な機会。小島さん、僕をファーストペンギンだっていう形でおっしゃってますけど、実はこれ、僕、日本バイオ作物ネットワークをやってるんですけど、100人以上の、どっちかというと僕より若い日本の農業経営者が、こういう問題を議論しようって立ち上がってるメンバーなんですよ。なので、特にこれから次世代の日本の農業を背負っていく農家さんには、本当にバイテクっていうのは、みんなもっとフラットな情報に触れてほしいし、そういった農家さんと一緒に、これからの次世代のために新しいムーブを作れればと思いますので、ぜひ引き続き皆さん、注目しておいていただければと思います。本当に今日楽しかったです。ありがとうございます。
じゃあ最後に、左翼代表、斎藤さん。
私は左翼の仲間から、すぐなびくやつみたいな。
そうなんですか。
だから、この放送を見て私はまた怒られるわけです。
なるほど。
ただ、それによって私はまた学ぶわけ。「こういうふうにも考えなきゃいけないんだな」っていう。なので、私はこれ専門じゃないから、いろいろ話を聞きながら、こういう読み方もあるんだっていうのと、また違う意見もね、加藤登紀子さんとかからもいろいろ聞きながら、またちょっとバージョンアップして、「でも私の周りはこう言ってましたよ」みたいな話をまたぶつけたりするっていう。今日最後、対話をもっと続けていこうみたいな話もありましたけど、今日勉強になりました。またこれからもよろしくお願いいたします。
ありがとうございます。この問題というか課題は、賛成反対とか危ない危なくないみたいな、0、1で語れるものじゃないので、こういった場も含めて、ネットの空間も含めて議論をし続けていくのが大事だと改めて思いました。今日は本当にありがとうございました。
そして、大変失礼しました。質問ですね。私が、すいません。完全に、大変申し訳ございません。でも時間的に大丈夫なのかな。会場の方から、申し訳ございません。1つ2つぐらい質問を、もしあればと思うんですけど。じゃあ、あちらで手を挙げてらっしゃる方、ちょっとお待ちくださいね。マイクをお願いしていいですか? すいません。大変失礼しました。
貴重なお話、どうもありがとうございました。
ありがとうございます。
一般参加の渡辺と申します。いろいろあるんですけど、1つだけ。組み換え作物に関して、左翼って話はありました。確かに左翼が反対してると思うんですけども、ただ本当にそういった組み換えの作物を植えようとした場合は、農家の方が使うっていうのが大事じゃないかと思うんですよ。農家の方って言ったら、私の印象ですけども、どちらかというと左翼というよりも保守的な方で、今まで扱ったこともないものを栽培するっていうことに、すごく抵抗があると思うんですよ。本当に訴えかけるべきは、まずは農家の方じゃないかと思うんですけども、それはどうでしょうか? そこのお話をお聞かせください。
これ僕ですよね。
そうですね。はい。
ありがとうございます。本当にご指摘のおっしゃるとおりだと思ってまして、まさに今、農家のネットワークを作って、いろんな海外の農家とかと一緒に研修会を開いたりとか、実際の農家の生の声をシェアしたりしてます。
これね、さっき保守的ってお言葉があったんですけど、やっぱり今これだけネット社会で、みんながいろんな情報を取ってきたり、我々も世界70カ国の農家ともダイレクトにつながって、結構夜も少人数でウェビナーをやったりとか、いろんな技術的なことをやったり、あと政策のこととかいろんな話をしてるので。今まで農業って本当にローカル産業で、結構狭いコミュニティでやってたんですけど、今そういう意味では、AIもそうですけど、情報に関しては地方の農家もフラットにアクセスできるような。これは世界中で今起きてることなんですよ。だから農家のOSというか価値観、技術に対する口も、今どんどんアップデートしてるなって感じていて、そういう動きをもっと加速させていきたいなっていうふうに思ってます。ありがとうございます。
ありがとうございました。
ありがとうございます。じゃあ会場からもう1つ、真ん中で手を挙げていただいた男性の方、お願いいたします。
お話ありがとうございました。オーガニック、有機を推進される方は、オーガニック、有機を食べると健康になりますよとは最近言わなくなりました。嘘だからです。それよりも、有機をやる人、オーガニックをやる人は、生物多様性の方にシフトしてきてます。ですから、水田を守ろうと。これは心の原風景だと。そしてビオトープだと。この水田がなくなってこれになると、トンボがいなくなっちゃうよ。そういうふうに話を切り替えてくるように最近なってます。
もう1つは、遺伝子組み換えだけじゃなくて、例えばオランダのトマトをオランダで最大の輸出品に育て上げた水耕栽培ですね。水耕栽培のようなテクノロジーですね。そういったものにもオーガニック、有機は大反対してます。これは同じ理由なんです。生物多様性、原風景、心の原風景、ノスタルジーの原風景がなくなるからだと言ってきてますので、もう生ス極ですよ。
これから気候変動の問題が多くなりますから、非常的になりますから、そういう風とか高熱、耐熱に強い作物は、もう部屋の中で作ればいいんじゃないかっていう発想も当然起こり得るだろうし、もっと遺伝子組み換えに限らずいろいろなテクニックを。こんな狭い国土、国土の15%しか農地ないんですよ。85%山ですよ。その山地も3割ぐらい荒れ放題になってるわけですよね。それで杉花粉の原因もそこから出てきてるわけですよ。そういった農林水産業全部含めて、日本はもうおかしいんです。てこ入れしなきゃいけない。そこを根本的にやる人がいないんです。政治家が腑抜けだから。
ご質問をいただけると。ありがとうございます。
質問は、遺伝子組み換えも諦めないで徹底的にやっていただきたい。その情熱をなくさないでほしいと思います。それに対してはどうしたらいいんだ。それが質問です。
これも徳さんですね。
情熱はなくさないです。ただ、僕はもともと有機農家ですし、有機農業の素晴らしさ、あれはあれで1つの役割というか、農業の中の1つの農業だと思ってます。だから今回のテーマは、有機農業が駄目とかそういうことじゃなくて、それぞれその地域やその時代やそのコミュニティ、いろんなロケーションの中で、何が農業の最適解なのか。その中でバイテクは必要だ。こういう順番でやらないと、要はバイテクも有機農業も目的化しちゃうと分断を生むので、そこは本当にコミュニケーション、発信の仕方っていうのは、我々農家自身も気をつけないといけないなというふうに思ってます。
ありがとうございます。あともう1つですね。時間が迫ってきてしまったんですが、ネットで1つご質問が来ているので、これも紹介させて。時間なのでこれで終わりにさせていただきたいんですが、申し訳ございません。安博浩さんからのご質問なんですが、日本の食料需給が逼迫して、GM反対のブランド戦略が成立しなくなったら、反対派はいなくなるのでしょうか? これ斎藤先生ですかね。
あ、ごめん。もう1回いいですか? もう油断して聞いてなかった。
油断してましたね。本当に油断してましたね。食料需給が逼迫して、GM反対のブランド戦略が成立しなくなったら、反対派っていうのはもういなくなってしまうんじゃないでしょうかっていう質問なんですが、いかがでしょう。
だから別にいなくはならないと思うんですね。そこでもっと新しい有機をしていこうみたいな人たちも当然出てくると思うので。これまでの慣行農業が危機に陥ることっていうのは、GM的なものをやろうっていう人たちにも、ある種の新しい刺激になるし、逆に今までの慣行じゃ駄目なんだって言ってきた有機の人たちにとっても新しい刺激になったりするので。必ずしも1つの方向に行くっていうよりかは、確かなのは今までどおりは続けられなくなるっていうだけじゃないかなと思いますね。
ありがとうございます。じゃあ、時間も来てしまったので、今回これで討論会、討論会ですかね。討論というよりもみんなで話し合う感じになりましたけれども、終わりになってしまいますが。多分これは30年前にGMっていうのが導入されて、日本はそれを実行に移せなかったっていうところがありますけれども、この遺伝子組み換えではない、新しい、いわゆるゲノム編集食品ですね。これは新しいものと言っていいわけですよね。
それは新しいですね。
そうですよね。なので、新しい技術とかを取り入れて、日本社会を少しずついい方向に向かうことができるのか、これは多分ずっと議論していく必要があると思いますし、新しい技術が埋もれてしまうっていうのはもったいないかなというふうにも思うので。是非も含めて、もう駄目だって抑え込むだけでもなしに、何でもいいから投資しろっていうのもそういうわけでもないし、どんどん議論していくような社会になっていってほしいなというふうに思いました。
今日お越しいただいた方の中にも、多分いろんなお考えがある方もいらっしゃると思いますけれども、ぜひご自身の家族ですとか、いろんなところで議論していっていただけたらなというふうに思います。今日本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。皆さん、改めてありがとうございます。
はい、というわけで皆様、いかがでしたでしょうか? めちゃくちゃ面白かったんじゃないですか? 普通に俺、行かなくてよかったな。いやいや、私が行ったらね、私なりに質問したいこといっぱいあったんですけど、面白かった。斎藤さんが特に、左翼としての遺伝子組み換えとかゲノム編集の食べ物に関しての疑念をぶつけてくださって、それをゲノム編集をやってる農家さんがお答えいただくっていうのは面白かったですね。
あと花粉症、私気になりました。花粉症、俺ひどいんで。体質的にちょっと、花粉症の薬、今ありますよね。舌下とかね。だけど、それ合わない人もいると思うんですよね。いるんですね、やっぱり一応、合わない方っていうのは。そういう方にとって、花粉症米っていうのはすごく夢のある食べ物なんじゃないかなと思いました。ただ一方、当然これ研究段階のものだから、しっかり科学的なエビデンスに基づいて、安易に何でもいいなってわけじゃなくて、やっぱり科学的なエビデンスに基づいて議論することが大事ですね。
出演者の方もおっしゃってましたけど、やっぱり議論する場がなかったですよね。農水省と厚労省の話し合いで花粉症米がどう扱われた、みたいな話が出てきましたけども、あまりにそういう議論が表に出る場がなかった。これ、Vの中でも出てきたように、政治家の方もあんまり触りたがらないっていう空気がもしあるんだとしたら、率先して賛成する、反対するじゃなくて、まず議論するっていうのを率先してやっていくのは大事かなと。
日本は農業大国ですし、世界にはビタミンAで救える失明があるっていうふうにも出ましたけれども、食料とか栄養に関して世界では課題が多いですし、日本は特に農業大国、先進国ですから、日本のビジネスチャンスでもあると思います。一方、日本は高い安全性基準もありますから、日本が議論をリードしていくにふさわしいテーマだと思うんですよね。なので賛成反対問わず、積極的に議論していく場を今後もReHacQではぜひ設けていきたいなと思いました。最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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