楽天証券27周年フェスの舞台裏と講演:テスタ、馬渕磨理子、大川智宏が語った「勝つ投資家の条件」と「日本株の次の主役」

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概要

7月12日、パシフィコ横浜で「楽天証券 27th FES ~投資って、エンタメだ。~」が開かれた。番組「どっちで増やしましょう」は、レギュラー出演者のテスタ、馬渕磨理子、大川智宏が登壇するこのイベントに密着した。進行役のザブングル加藤は、自分はイベントに呼ばれていないと言いつつ会場に来て、楽屋や打ち合わせにカメラを入れた。

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講演は2つある。テスタと馬渕による「相場を読む力 投資で勝つ力 その差の正体」と、馬渕と大川による「日本株の風を読む 日本株次の主役はどこだ?」だ。前者では、相場の雰囲気に流されずに勝ち続ける投資家の考え方が、後者では金利や物価の動きを踏まえて次に資金が向かうセクターが語られた。

開会:楠社長のあいさつと満員の会場

会場は4500人収容の大ホールで、朝早い時間から歩くのも難しいほど人が集まった。オープニングには楽天証券の楠社長が登壇し、27周年のあいさつとともに直近のマーケット動向を解説した。社長は今年に入ってから半導体関連のグラフが大きく上昇していることを示し、これは典型的に海外投資家の動きが変わってきていることの表れだと説明した。

このあと番組スタッフが楽天証券側に直談判し、楠社長への独占インタビューが決まった。テスタ、馬渕、加藤の3人で、イベント後の昼ごろに15分ほど対談する予定だという。

楽屋で見えた登壇前の準備

本番30分前、加藤はテスタと馬渕の直前ミーティングに入った。テスタによると、普段は講演の30〜40分前に会場入りし、その日に何を話すかを打ち合わせてから登壇する流れだという。2人でイベントに出るのは今回が2回目で、1回目は3年以上前、この番組が始まる前後に一度だけだったと振り返った。

大川は加藤に講演の内容を聞かれて「決まってないです」と答えた。自分の講演でも、登壇直前や話している最中まで何を話すか決めていないという。その場で観客が興味を持ちそうなことや自分が気になっていることを説明するのが一番いいと考えているからだ。手元の資料は90ページほどあるが「多分ほぼ使わない」と話していた。本人は元から声が低く、飲み会でも声が通らないと冗談を言っていた。

テスタ:伸びていない株を先に買うか、伸びている株に乗り続けるか

テスタと馬渕のステージは立ち見が出るほどの満員だった。番組ではその核心部分をダイジェストで紹介している。

相場の見極め方を聞かれたテスタは、セクターによって強さがまったく違うと指摘した。そのうえで2つのやり方を挙げた。1つは、先を見越して、まだ上がっていないバリュー株を今のうちに買っておく方法。もう1つは、バリュー株にまだ資金が来ていないうちは今上がっている株を買い、それが本当にダメになったと判断してからバリュー関連に移る方法だ。テスタは、後者は後出しになっても十分間に合い、資金効率も良くなると説明した。ただし結論としては「どっちでもいい」と述べている。

馬渕:この1年のセクター別パフォーマンスと米国の利上げリスク

馬渕はこの1年間のセクター別パフォーマンスを示し、テスタの話を数字で補った。非鉄はデータセンター向け電線の盛り上がりを背景に138%上昇した。半導体銘柄を含む電気機器は77%で、日経平均の72%を上回った。一方で機械は34%、輸送用機器(自動車)は10%ほどにとどまった。馬渕は、34%でも十分高い数字だが他が高すぎて見劣りしていると述べ、この1年は勢いのあるところに資金が大きく流れ込んだことがはっきりした年だったとまとめた。

注意点として馬渕が挙げたのは、アメリカが今年利上げするかもしれないという見方だ。アメリカが金利を上げると株式市場全体が軟調になりやすいため、秋以降のシナリオとしてはアメリカの利上げを注視する必要があるとした。

上がるほど強気になる心理と「5万円→10万円は暴騰」という感覚

では、不透明な相場で勝つ人は何を見ているのか。テスタは、多くの人が株価が上がるほど強気になるが、本来は上がるほど割高になっているはずだと指摘した。例に挙げたのはキオクシアだ。2カ月前の決算発表後、ストップ高をつけた時点でも株価は5万円ほどだった。それが2カ月足らずで10万円になっても、みんなとても強気だったという。決算の数字を見たあとの株価が5万円だったのに、10万円になっても強気で買えるのは周りの雰囲気に乗ってしまっているからだ、とテスタは見ている。

テスタは、上昇に乗ること自体は否定しない。ただ、頭の中では「さすがにこれは急ピッチすぎるのではないか」「このまま続くはずがないから一度下がるのではないか」「半分売っておこうか」と冷静に考える。そうした2つの頭を持って判断できるかどうかが大事だと述べた。

テスタはさらに感覚の問題を掘り下げた。多くの人は10万円が5万円になれば暴落だと感じるが、5万円が10万円になったときは普通に強い上げが続いているとしか感じない。しかし本当は、5万円から10万円への上昇は暴騰だと捉えなければならない。その危機感がないと、少し下げただけで高値づかみした株を手放せなくなるという。司会もこれを受けて、5万円から10万円と10万円から5万円は同じ幅なのだと確認した。

馬渕:雰囲気ではなく需給の主体を見る

馬渕はアナリストの立場から、雰囲気で投資をすると負けることがあると応じた。お金は正直で、人気のあるところに大きく流れ込む。そのとき、いま誰がその銘柄を買っているのかを考えるべきだという。馬渕が示したのは次のような相場の流れだ。海外投資家が先に買い、次に中堅の個人が買い、最後に初心者が買う。買っている主体を意識せずに「なんとなく人気だから」と乗ると、どこで手放すか、どこで損切りするかが分からなくなる。そのため、誰がこの相場を作っているのかを明確にすることを強く意識すべきだと馬渕は述べた。

勝つ人は「継続できる人」:ソフトバンクGとパナソニックのチャート比較

最後に投資で勝つ人の条件をまとめるよう求められたテスタは、「継続できる人」と答えた。退場せずに株の世界に残り続けることが何より大事で、毎日チャートを見るといった積み重ねも大切だという。

その場で思いついた例として、テスタは観客に、家に帰ったらソフトバンクグループとパナソニックのチャートを見比べてほしいと勧めた。どちらも上昇していても、勝ちやすさの違いが見えるはずだという。テスタ自身はソフトバンクの株がとても好きだが、まったく勝てない。すごく上がったと思えばすごく下がり、1つの材料で急騰や急落が起きてトレンドが安定しないからだ。テスタの見立てでは、ソフトバンクで勝っているのは、孫さんが好きで、孫さんが社長・会長を務める限り持ち続けると昔から信じている人たちだ。なんだかんだで高値を更新してきたからだという。

一方でパナソニックのチャートはきれいに上がっていく。こうしたチャートを見ていれば、25日線に沿って買えば儲かりやすい、割り込んだら売ればいい、といったことが見えてくる。テスタは、毎日チャートを見るだけでも、仕事から帰って寝る前に30分だけ相場を見るだけでもいいので、継続すれば徐々に力がついてくると締めくくった。

大川:まず上がるのはメガバンクと大手地銀

続く馬渕と大川のステージも満員だった。今後半年から1年持つならどこかと聞かれた大川は、最初に上がるのはメガバンクだと答えた。メガバンクに限らず、大手を含む規模の大きい銀行だという。

大川の理由はシンプルだ。日本でも物価高と金利上昇が当面止まりそうになく、見方は分かれるものの、金利が上がりやすい環境が続いている。そうなれば預金金利と貸出金利の差が広がり、利ざやが改善する。金利上昇はある程度どの銀行にもプラスだが、貸出需要、つまりビジネスチャンスがないとこの金利差の恩恵は受けられない。そのため恩恵が大きいのはメガバンクと大手地銀になる、というのが大川の見立てだ。

大川:日本の自動車産業は厳しいが、短期では売られすぎ

大川が「あえて無理やり勧めるとしたら」と挙げたのは自動車だった。ただし大川は、個人的には日本の自動車産業は厳しいと考えていると明言した。次世代車には、EVのようなエネルギー面の進化と、AIを搭載したSDV(ソフトウェア定義車両)という方向性がある。これから主流になると言われるSDVは、テスラが10年も前から取り組んでおり、中国のBYDもそれなりに強くなっている。そこに日本車が入って勝てるかは不透明だという。大川は、日本がこれから強くなる可能性もあると留保をつけている。

それでも大川が自動車を挙げるのは、業界の長期展望とは別の理由からだ。自動車は関税の影響をある程度吸収し、株価にも織り込まれた。短期的には関税の悪影響を消化したことで業績のV字回復が見込まれ、輸送用機器の株価はかなり強く反発すると大川は見ている。その先も続くかは別の話だが、年末から来年初めごろまでを考えると、さすがに安く売られすぎている。マクロ要因による業績の反転と需給の戻りを理由に、自動車とソニーに個人的にかなり注目し、期待していると述べた。

馬渕:インデックスを下回るセクターを狙う

馬渕は、大川とは具体的な打ち合わせをしていないのに見方が近くてうれしいと応じた。馬渕が示したのはセクター別ETFのパフォーマンスだ。非鉄や電気機器のETFなどがあるなかで、日経平均を下回るものを見ていくのが投資戦略の1つだという。その候補として機械と、大川と同じく自動車関連を挙げ、パフォーマンスがだいぶ悪いと認識している。馬渕も、将来展望が明るいかと言われれば難しさがあると認めている。そのうえで、株価のパフォーマンスがインデックスより劣っているという観点から、機械と自動車を年後半の注目セクターにしていると説明した。

下半期のキーワード:アメリカの物価と金利

下半期の見通しで何を重視するかを聞かれた大川は、「基本的にはアメリカの物価しか見てません」と答えた。日本株でも世界の株式情勢でも、アメリカの金利と物価の動きにすべてが反映されていると考えているからだ。ハイパースケーラーの動向もそこに表れるし、為替の方向も見えてくるという。さらに、ハイテク株は金利が上がると打撃を受け、これまで世界の株式市場をけん引してきたハイテク株が崩れれば市場全体が崩れる。そのタイミングをしっかり見極める必要があると述べた。

宇宙ビジネスへの見方が変わったきっかけ

大川が次に挙げたのは、宇宙ビジネスをどう考えるかだった。馬渕が「赤字だし難しいですよね」と返すと、大川もそれを認めた。夢を買うならいいが、投資対象としてはどうか、という問題だ。大川は宇宙がもともと好きだが、飛行機に乗れず北海道にも新幹線で行くほどなので宇宙には行きたくない、と笑いを誘った。

大川は数日前まで、夢を買うことと現実は違うと考えていた。考えが変わったきっかけは前週に見た日経新聞の記事だ。記事によると、三菱UFJ銀行が中小企業向け融資の担保不動産のチェックに衛星画像を使うという。最初の審査は人が現地に行うが、数年たって建物がなくなっていれば担保価値は下がる。何万件も融資していると全部を人が確認するわけにはいかないので、衛星画像をAIに読み込ませて確認するのだという。

大川は、これもよく考えれば宇宙ビジネスだと指摘した。これまで宇宙関連企業はマネタイズできず、未来の話と見られてきた。しかし意外と身近なところで使えるのではないか。しかも今回は民間の事例だ。大川によると、現在の宇宙ビジネスは防衛などが中心で、ほとんどが国のお金、つまり補助金で成り立っている。民間でも意外と早くお金を生む可能性があると考え始めたという。馬渕は、宇宙から地球を見ることで業務効率化ができそうだと応じた。大川は、宇宙といえばロケットだけではないと意識しておくと投資の選択肢が広がるのではないかと話した。馬渕は、マネタイズできるか、利益を出せるかが大事な視点だとまとめた。

エネルギー不足とデータセンター

大川は、馬渕が挙げたセクターのなかでもエネルギーは今後かなり重要になると強調した。アメリカではデータセンターをこれ以上作れないのではないかという話が出ているという。インフレの問題もあるが、最大の理由はエネルギーが足りないことだ。日米共同で小型原子炉(SMR)を作ろうという話になっているが、それでも足りない。大川は、日本も同じ状況になる可能性が非常に高いとして、日本のエネルギー関連はこれから来るのではないかという見方を示した。

結論:「ハイテク以外」と「金利の恩恵を受けるところ」

最後に、次の主役を一言で挙げるよう求められた。大川の答えは「ハイテク以外」だった。これまではハイテクに乗っていればすべてうまくいったが、今はリスクが上がっている。だからハイテク以外を探してほしいという。例として、話に出た銀行、自動車、エネルギー、宇宙を挙げ、日々考えながら探すと面白いのではないかと述べた。

馬渕の答えは「金利の恩恵を受けるところ」で、アメリカと日本の両方が対象だ。日本は緩やかに利上げを進めるとみられる。それが日本経済にとって良いかどうかはしっかり判断する必要があるが、市場のコンセンサスとしてはこの先2回ほど利上げがあるかもしれないという心づもりがある。アメリカについては、利上げに転じるかどうかはまだ分からない。そのうえで馬渕は、高い金利が維持されるなら恩恵を受ける企業と逆風を受けるセクターはどこかを今のうちに整理しておくのがよいと締めくくった。

次回予告:楠社長への独占インタビュー

番組の最後には、楠社長への独占インタビューの一部が予告として流れた。アメリカで予定される大型IPOについて、社長は機会があれば以前と同じように扱っていきたいと答えた。AIやテクノロジーの進化による変化については、顧客の投資コストを安くできる部分が今後出てくるのではないかと述べた。さらに、アメリカの個人向け証券会社チャールズ・シュワブの預かり資産が3000兆円ほどで、1社で日本の個人金融資産を上回る規模であることに触れ、こうした会社をビジネスとして目指したいと語った。インタビューの本編と、テスタと馬渕が横浜の遊園地で息抜きする様子は後編で紹介される。