Claude CodeとEasyEDAでキーボード基板を2時間で設計した記録

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概要

AIに回路設計とプリント基板設計をどこまで任せられるのか。話者は、Claude CodeとEasyEDAを使い、タクトスイッチ式の60%キーボード基板をほぼAI任せで設計した。人力なら数日かかると見込む内容が約2時間で形になったという。ただし話者は、現時点のAI設計はラピッドプロトタイピング向きで、細かな調整や回路のクリティカルな部分にはまだ人間が必要だと評価している。

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最初に示された評価

話者によると、回路設計、部品選定、レイアウトのいずれもほとんど手を加えずに回路が完成した。話者自身は回路設計や回路CADの知識がある程度あるため、比較的短時間で仕上げられたと認めている。そのうえで、知識のない人でもある程度動く回路を作れる程度にはAIの性能が上がっていると見ている。数年後には、やりたいことをチャットに入力するだけでAIが回路を設計する未来が来るのではないかと予想し、現時点でも「かなり革命的」と述べた。

一方で、用途には限定を付けている。設計をしっかり固めて回路を確実に動かす用途よりも、早く現物を作って原理を検証する用途に向いているという。配線がうまくいかない場面もあったため、大部分の作業はAIに任せつつ、途中で人間が細かく調整する必要がある。回路設計の本当にクリティカルな部分についても、AIは「まだまだ」だと話者は評価する。

環境構築:AIとCADをつなぐスキルパッケージ

AIにはAnthropicのClaude Codeを使った。OpenAIのCodexでも動くらしいが、今回は試していない。回路CADには、JLCPCBが提供する無料のEasyEDAを使った。

AIとCADを用意するだけでは設計できず、両者をつなぐ仕組みが必要になる。EasyEDAの公式が、AIからEasyEDAを操作するためのスキルパッケージをGitHubで公開しており、誰でも試せる。話者がそのURLをClaude Codeのチャットに渡すと、Claude Codeが環境構築を始めた。別のPCからもプロジェクトを編集できるよう作業フォルダをOneDrive上に置いたが、話者の環境では問題なく設定できた。

環境構築の難しい部分はAIがほぼ自動で進めた。人間の作業は、アクティベーションファイルの入手やログインくらいだった。手順が分からなければAIに聞けば教えてくれるという。所要時間はおよそ20分で、話者は「非常に簡単」と振り返っている。

練習として作ったLED点灯回路

いきなりキーボードを設計させるのは不安だったため、話者はまず「電池でLEDを光らせる回路を作って」と指示した。AIが回路構成を検討しながら作業を進め、5〜10分ほどで回路図が完成した。部品選定は指示していなかったが、AIが行った。電池の種類も指定しなかったところ、AIはボタン電池を選び、抵抗とLEDにはチップ部品を使った。

続いて「2層基板で5cm×5cmに収まるようにPCBを設計して」と指示すると、数分後には基板設計も完了していた。部品は、JLCグループの電子部品部門であるLCSCで調達できるものに限るよう指定していた。話者によると、特に指示がなければAIは基本的にLCSCから調達するようだという。EasyEDAで設計し、部品をLCSCで調達し、基板製造と部品実装をJLCPCBで行う流れが一気通貫でできる点を、話者は便利だと評価している。

本命のキーボード:仕様をAIとの対話で決める

AIの能力が未知数だったため、話者は部品コストを抑えようと、キースイッチの代わりにタクトスイッチを使う構成にした。また、最初から「キーボードを作って」と丸投げするのは良くなさそうだと考え、まずどんな種類のキーボードがあるのかをAIに尋ねた。マクロパッドから40%キーボードのような小型のものまで候補が挙がり、話者は数字キーまで入った60%キーボードを選んだ。

AIからは制御用マイコンの選定も求められ、話者はLCSCで調達できるものという条件だけを伝えた。その結果、AIはRP2040を選んだ。キーが少なければもっと安いマイコンで足りるはずなので、キー数が多くI/Oピン数が必要なことからRP2040を選んだのだろうと話者は推測している。タクトスイッチ、ダイオード、周辺回路の部品選定もすべてAIに任せ、AIは回路図から部品配置までを一気に仕上げた。

人間には読めない回路図

出来上がった回路図は非常に読みにくく、話者は「正直終わってます」と評した。話者の解釈では、この回路図はAIが読めれば十分なもので、人間がレビューすることを想定して作られていない。人間が読める回路図を作るよう依頼すればその通りにしてくれるだろうとも述べたが、これは試していない。

回路図をレビューする気力がなくなったため、話者は今回レビューを諦め、AIの回路図を完全に信頼して製作を進めることにした。そのため、実物ができるまで動くかどうか分からない状態だという。

レイアウトの修正依頼:求められるのはデザインレビュー力

最初のレイアウトでは、部品は配置されていたがまだ配線はなかった。タクトスイッチは並んでいたものの、キー配列がおかしかった。QWERTY配列かと尋ねるとそうではないと分かり、AIは修正を頼むまでもなく自分で直した。ほかにも話者は次のような修正を依頼した。

  • どのスイッチがどのキーに対応するかを示すシルク印刷の追加
  • 上下逆に見えるレイアウトの180度回転(機械には問題なくても人間には見にくいため)
  • 基板外形の位置ずれの修正
  • 近すぎるフットプリント同士の間隔調整
  • シルクとキーが近すぎて見えにくい箇所の修正
  • キー位置の微調整

いずれも、AIは話者の意図をかなり汲み取って修正したという。この経験から話者は、AI設計で人間が重視すべきなのは、自分で手を動かす設計力よりもデザインレビュー力だと考えた。現状ではレビュー力は人間が上回る部分もあるが、AIの進化を考えると、これもAIに置き換わるのは時間の問題だと話者は見ている。

自動配線と人間による微調整

話者はClaude Codeが配線まで行うと思っていたが、AIからEasyEDAの自動配線機能を使うよう勧められ、それに従った。しかし部品配置、配線幅、ビアの位置関係の影響で、すべての配線を完了できなかった。部品の間隔もやや詰まりすぎていると感じたため、ここは話者が手作業で部品位置を少し調整した。

この調整もAIに頼めばやってくれそうだと話者は述べるが、試してはいない。また、調整自体はできても性能が出るように調整してくれるとは限らないとして、性能を左右する部分は人間が確認する必要があるとの見方を示した。調整後にもう一度自動配線を実行し、設計が完了した。

完成した基板の問題点

完成した基板は見た目にはそれらしく仕上がった。しかし話者によると、マイコン周辺、パスコンの位置、発振子の配線などは「ガバガバな自動配線」で、こうしたクリティカルな部分は人間が設計・配線したほうが良さそうだという。

一方で、パスコンや発振子の配置・配線もルールとして明文化すれば、AIはそれに従って作業する。話者は、こうした部分をきちんとルール化できるかどうかがAIに任せられるかどうかの鍵だと考えている。今回の基板は、マイコンが正しくブートするかも怪しい状態のまま、ひとまず発注することにした。

発注とコスト

発注はEasyEDAから直接でき、基板製造、部品調達、部品実装、組み立てまで依頼できる。LCSCで調達できる部品を使っておくと、JLCPCBでの実装がかなり楽になると話者は説明する。今回は5枚すべてを部品実装込み(PCBA)で発注し、送料込みで66ドルだった。キースイッチの代わりにタクトスイッチを使ったため、かなり安く済んだという。動画の時点では製造が進んでいて受け取り待ちで、実際に動かす様子は第2弾で扱うとしている。

振り返りと残された問い

話者は今回、部品選定をしておらず、部品位置を少し調整した以外は配線も一切引いていない。回路設計、配線、レイアウトの細部には「全然ダメな部分」もあるが、動作検証を含めたラピッドプロトタイピングという位置づけなら「まずまず」だと評価した。それよりも、この規模の回路が2時間程度で出来上がったことのほうが驚きだったという。

最大の未解決点は、組み上がった基板が実際に動くかどうかだ。回路レビューはしておらず、完全にAIを信頼した状態にある。現在進めているキーボードのファームウェア開発もClaude Codeに任せており、人間はコードを一行も書いていない。話者は、現時点でもチャットに作りたいものを入力すればそこそこの仕上がりまで持っていけると述べ、1〜2年後にはかなり完成度の高いものをほぼ自動で作れるようになるのではないかと期待を示した。