「医学は世界共通、医療は地域固有」:CyMedが日本発の医療OSで世界を狙う理由
PIVOT 公式チャンネル高齢化で医療の需要は増えるのに、それを支える人材と財源は増えない。この状況で、日本の医療モデルは世界のプラットフォームになれるのか。CyMed提供の対談セッションで、CyMed CEOの石川博一氏と社外取締役の渡部恒郎氏がこの問いを語った。石川氏の立場ははっきりしている。日本は高齢化の課題が世界で最も進んだ国であり、だからこそ日本で解決策を示せれば、それを世界に転用できるという。
日常の医療の「入り口」を扱う会社
石川氏はCyMedを、国内外で医療DXに取り組む会社だと説明する。対象は「日常の医療」だ。手術や命に関わる重い病気で高度医療機関にかかるのは非日常の医療である。これに対し、風邪を引いた、少しお腹が痛いといったときにまず行くかかりつけのクリニックが日常の医療にあたる。CyMedはこの入り口を身近にするため、患者と医療リソースの配分を調整するプラットフォームを作っているという。
石川氏はもともとM&A業界にいた。業界を横断的に見るなかで、医療業界にはDXの面でまだ改善の余地が大きいと強く感じたという。2022年に「100年後の医療の常識を作る」というビジョンを掲げて創業した。売上は伸びているが人手が足りず、現在の社員約160人ではまだ不十分で、さらに増やしたいと話す。
M&Aを通じてさまざまな業界を良くしたいと考えてきた渡部氏は、石川氏の医療を良くしたいという思いの強さに惹かれ、社外取締役としてサポートすることにしたという。祖父母が医師で、子どもの頃は休みに病院へ帰省するような環境だった。その経験から、医療は20〜30年前からあまり変わっていないと渡部氏は見ている。一方で患者数は増え続けているため、何らかのアップデートが必要だと考えている。石川氏は渡部氏に、他業界の成功事例などを共有してもらうことを期待しているという。
需要と供給が逆方向に動き、しかも自動調整されない
前半のテーマは医療の構造課題だった。石川氏は世界的なトレンドとして高齢化を挙げる。高齢化とは若者に比べて高齢者が多いことなので、医療の需要が増えると同時に供給が減る。需要と供給が同時に逆方向へ動くのだという。
石川氏によれば、医療は需要と供給のバランスが自動的には調整されにくい業界でもある。本来なら需要が増えれば、供給を増やすために資本や人材が投下される。しかし医療には公共性、免許制度、薬事のルール、情報・データの規制といったインフラ的な要素があり、民間がすぐに供給を増やす力は働きにくい。
渡部氏は薬局業界も見てきた立場から、同じ医療でも病院と薬局では課題が違うと補足する。医師不足や薬剤師不足は常に問題になっている。そして人の数は基本的に大きくは変わらないので、うまく配分することが大事だと話す。制度は2年に1回のように変わり、誰が薬を出すかといった仕組みは国によって違う。医療従事者は国が作った制度へのキャッチアップで精一杯になっているのではないか、と渡部氏は見ている。
配分を変えると何が変わるのか。渡部氏は投資先の問題を挙げる。病院や薬局が事業で得た収益を何に投資すべきかには、今のところ明確な答えがない。特にIT投資には正解が出ていない。CyMedはより良いIT投資のあり方を考えている、というのが渡部氏の説明だ。
日本は課題の「最先端」にいる
この課題は日本でも同じなのか。石川氏は、共通というより日本は逆に進んでいると答える。人口4000万人以上の国38カ国のなかで、日本は高齢化率が最も高い。需要と供給が逆に動く現象が日本で顕著に現れているので、日本市場で解決策を示せれば、これから世界で起きる同様の課題にも解決策を提示できると石川氏は考えている。
日本での具体的な現れ方として、石川氏は配分の偏りを挙げた。医師の数は絶対的に足りないが、それだけではなく地域差がある。人口当たりの医師数は、多い東京都と少ない青森県で約1.8倍の差がある。診療科ごとにも偏りがあり、外科で約2.2倍の差があるという。
もう一つの例が病床数だ。日本の医師数はOECD諸国と比べて相対的に少ないが、入院できるベッドの数は平均の約4倍あるという。ただし医師がいなければベッドは稼働できない。石川氏はこれを、医療リソースが足りているのではなく、あるところにはあり、ないところにはないという偏りの状態だと整理している。
石川氏によれば、世界が日本と同じ医師数やベッド数の構造になるという意味ではない。高齢化という点で世界は共通しており、各国それぞれに配分が必要で最適化ができていないという点でも共通している。
渡部氏は経営の観点を付け加えた。病院の経営者はまだ医師が多く、技術者でもあり営業でもあり経営も担わなければならない。所属医師をどう生かすか、技術レベルをどう上げるかといった最適配分には、普通の経営として考えるとまだ改善の余地がある、と外から見て感じているという。救急医療の対応や、途上国と先進国の違いなど、国によって課題は異なる。それでも、どの国でも経営をアップデートして経営資源をうまく使うことが大事だと渡部氏は話す。
中心課題は「医学は共通なのに医療は地域固有」というギャップ
CyMedが向き合う構造課題について、石川氏はこう説明する。医学は世界共通のものだ。病気の仕組みや治療のエビデンスは全世界で同じで、心筋梗塞が日本とアメリカで違うわけではない。医療従事者の多くは同じ英語の論文を読み、そうした知識は人類の財産として国境を超えて蓄積されていく。
一方で、その医学を届ける「医療」、つまりデリバリーの方法は、地域ごとに驚くほど差があると石川氏は言う。医学は世界共通なのに医療は地域固有だ。このギャップを主にテクノロジーの力で埋めることが、CyMedの中心的な課題だという。
医療OS「Efficient Frontier」の構想
後半は解決策の話に移った。石川氏は自社を「システム会社」と呼び、自社システム「Efficient Frontier(エフィシエント・フロンティア)」を紹介した。一言でいえば医療のオペレーティングシステム、つまり「医療OS」である。診察や処方といった医療行為そのものではない部分には、プレイヤー間で共通化できる層がある。その部分をできるだけつなげ、医療に関わる人にとってストレスのない環境を作るという構想だ。現在約130万人が利用しており、これをさらに大きく広げていく段階だという。
医療に関わるプレイヤーとして、石川氏は患者、診療所や病院、医師個人、製薬メーカー、薬局、検査機関、医療物流の事業者などを挙げた。こうした多くのプレイヤーの情報をつなげることに価値があると考えている。
患者側の使い方として、石川氏は受診先の問題を例に出した。患者には自分の症状しか分からないため、何か起きたときにどの病院や診療科に行けばいいか迷うことがある。そこで最適な受診先を推薦し、予防や継続的な治療・ケアもフォローする。医療従事者側については、診療やケア以外のデータ入力や整理にかなりの時間を取られている。そうした業務から解放され、患者と向き合う時間に集中できることが提供価値だという。
分断されたデータを1本につなぐ
この仕組みにはデータが必要だ。石川氏によれば、個々のデータはすでに存在しているが、つなぎ込みができていないことが課題である。人のバイタル情報は本来、生まれてから死ぬまで1本の連続したデータだ。ところが関わるプレイヤーが多いため、データがプレイヤーごとに分断されている。お薬手帳もあり、健康診断の結果もあり、どんな手術をしたかのカルテもある。しかし全部が点在している。それを一本化するイメージだと石川氏は説明した。
データがつながると何が可能になるのか。石川氏は、これまで治療に置かれていた重心が広がると話す。病気の前兆を捉えやすくなり、予防の介入、早期発見・早期治療、継続的なケアへと裾野が伸びていく。さらに、つながったデータから得られた知見が研究や治療を進化させ、それがまた患者に還元される。こうして改善が循環していくと石川氏は述べた。
渡部氏は、参加するプレイヤーが増えるほどプラットフォームの価値が高まると見ている。薬や健康診断に加え、物流を含めて医療に関わる全ての関係者が入ってくると、より価値を発揮するという。医薬品の物流には課題が多く、たとえばすぐに流通規制がかかることもある。そうした面でも最適化が進んでいくのではないか、と渡部氏は話した。
日本から世界へ転用する
約130万人の利用者は日本が中心だが、インドやベトナムにもユーザーがいるという。石川氏は、前提として医療や医学は人類共通の財産だという考えから出発していると話す。日本だけを見ているわけではない。日本は最も高齢化が進み、課題が顕在化して見えているので、まずそこにアプローチし、それを世界各国に転用していくことを目指しているという。
事業機会の大きさについて、石川氏は世界の医療費を約10兆ドル、日本円で約1500兆円、世界のGDPの約10%と挙げた。その流通を支える基盤になりたいという。さらにGAFAを例に出し、かつて彼らが2000年代に情報と人とのインターフェースを作り替えて大きくなったように、CyMedは人類と医療のインターフェースを作り替えていきたいと語った。
渡部氏は、経営とはそもそも社会課題を解決するために事業として行うものだと前置きした。そのうえで、医療は世界の課題のおそらく1割ほどを占める大きな市場で、課題が明確にあり、市場も伸びていると評価する。同じことをしている企業は海外に多くあるのではないか、という司会者の問いに、石川氏は多くあると認めた。ただし日本は課題が最も進んだ「検証ができる場」であり、日本でこれに取り組むプレイヤーは本当に限られる、と付け加えた。
組織と人材
社内の人材について、石川氏は比較的若い層が多く、自分で事業を進めたい起業家精神を持つ人が多いと話す。職種では、開発を担うエンジニアと、普及を担うマーケターが中心だという。責任とともに大きな裁量を与えて一緒に挑戦する文化があり、海外を含めてスピーディに進められると石川氏は説明した。システム自体が日本以外でも使われているため、エンジニアの成果はすぐ海外で使われる。エンジニアには海外出身者も多い。マーケティングについては、国内外での普及のために多くの予算を運用できる点を魅力に挙げた。
渡部氏は、何度か会社を訪れた印象として、全員が本当に仕事に打ち込んでいてスピード感があり、ベンチャー企業らしさにあふれていると語った。また、事業がほぼ手元資金だけでここまで伸びている点を強調した。多額の資金を調達してもそこまで達成できない会社が多いなか、自己資金だけで成長してきたのは全然違う世界観だという。来てほしい人材としては、スピード感があり、業界を良くしたいと思っている人を挙げた。
締めくくり:20代の世代と「100年後の医療の常識」
最後に、日本から世界へどこまで本気で目指すのかを問われた。渡部氏は、ここまで伸びている会社はなかなかないので突き抜けてほしいと述べた。今の20代は、オーナーが自前で海外に出て成功する初めての世代だと渡部氏は考えており、CyMedにはその先陣を切ってほしいという。
石川氏は、医療が人類共通の課題であり、日本がその最先端で課題を感じているからこそ、日本から世界に発信できる解決策を示せる領域だと繰り返した。人口動態は10年後、20年後までほぼ確定している。だから自分たちが解決策を示さなければならないという使命感を、チームと会社全体で掲げ、自身も強く持っていると語った。
ビジョンにある「100年後の医療」について、石川氏は、患者、医療従事者、医療に関わる全ての人にとってストレスがなく、人類共通の財産としてリソースを活用できる医療だと定義している。その実現の裏で、100年後にCyMedが当たり前の存在として医療OSの根幹を支える企業になっていたい、と石川氏は述べた。
医療業界が非常にDXのところで、まだ改善の余地があるなと。患者さんの数が増えてきてるんで、何かしらアップデートが必要。
需要と供給のバランスっていうのが、あまり自動的に調整されない業界。
この日本の市場でしっかりと解決策を提示できれば、これから起こる世界的なそういった課題に解決策を提示できると思っていて。
そういった知識とかっていうのは人類の財産として国境を超えて蓄積されていく一方で、医療っていうことになると驚くほどに地域ごとにかなり差がある。ギャップを我々は埋めていきたいと。
現在、130万人の方に利用していただいているシステムがあるので、医療OS、エフィシエントフロンティアというシステムを開発して解決をして。
お薬手帳もあるし、健康診断の結果もあるし、どんな手術をしたっていうカルテもあるけど、全部点在しているっていう。それが一本化するようなイメージ。
おっしゃる通り。病気の前兆を捉えて、予防のところの介入であったり、早期発見、早期治療、もしくは継続的なケアみたいなところに裾野が伸びていく。我々がやらなきゃ誰がやるんだと。100年後の医療を作る。
皆さんこんにちは。MCの田中です。今回のテーマは「日本の医療モデルは次の世界プラットフォームになれるか」。CyMedの提供でお送りします。今日のゲストをご紹介します。CyMed CEOの石川博一さん、そしてCyMed社外取締役の渡部恒郎さんです。よろしくお願いいたします。
お願いします。お願いします。
まず石川さん、CyMedがどんな会社か教えていただけますか?
はい。私たちは医療DXを国内外でやらせていただいてる会社になるんですけども、具体的に、例えば日常の医療の入り口をより身近にしようというところで、患者さんであったりとか、医療を提供する医療リソースのところの配分を調整するようなプラットフォームを作ってる会社です。
日常の医療っていうのは、例えばどういったことになるんですか?
例えば逆に日常じゃない医療をお話しすると分かりやすいんですけど、手術をしたりとか、ちょっと命にかかるような重い病気を患ってしまった時にかかる高度医療機関とか、そういうのは非日常的な医療なんですが、ちょっとした風邪を引いてしまったとか、ちょっとお腹が痛いとか、そういった時に行く、まずかかりつけのような、それが日常の医療に。クリニックに行ったりとかっていうところですかね。
なるほど。これ、どうして創業されようと思ったんですか? 元々はM&Aの業界にいらしたんですよね。
そうです。元々M&Aの業界で、業界を横断的に見ていった時に、特に医療業界が非常にDXのところでまだ改善の余地があるなというふうに強く思っていて。それで今回のCyMedのビジョンにもつながるんですけども、「100年後の医療の常識を作る」といったところを掲げて起業しました。
2022年に創業されたということですけど、今どんなフェーズだなというふうに思ってらっしゃいますか?
どんどん売上もありがたいことに倍々で増えている中で、やっぱりどうしても人手が足りないというところがあって。なので今回は、一緒に働ける仲間、メンバーっていうのを募集したいなっていうのも強く思ってます。
今、社員さんってどれぐらいいるんですか?
今、現状だと160人。
でも全然それでも足りない。
そうですね。もっともっと増やしていきたいなと。
そして渡部さんは、どうしてこのCyMedに社外取締役として参画されようと思ったんですか?
私はM&Aを通じていろんな業界を良くしたいって思ってるんですけども、石川さんが医療業界を良くしたいっていう気持ちがすごい強かったんで、一緒にサポートしたいなと思ったんで。
医療業界については、どんな業界だなっていうふうに思ってらっしゃいますか?
私、祖父母がお医者さんをやって、結構、夏休みとか冬休みに病院に帰るみたいなイメージがあったんですけど。20年前から30年前とかからあんまり変わってないなっていう認識がある一方で、どんどん患者さんの数は増えてきてるんで、やっぱり何かしらアップデートが必要かなっていうふうに思ってます。
それができる会社なんじゃないかということですね。石川さん、その渡部さんのどんな強みだったり、ご経験に期待されて社外取締役をお願いされたんですか?
本当にいろいろな業界を見られている中で、助言いただくのも、その他の業界での成功事例であったりとか、他の事例とかをいろいろ共有いただくのが非常に私たちとしては刺激になりますし、会社の成長に非常に寄与していただいてるというところです。
なるほど。ありがとうございます。今日は、医療の、おっしゃったように需要が増える一方で人材と財源が限られている構造そのものを、日本を起点に考えていければと思っています。2つのパートに分けてお話を伺っていきます。まず前半が医療の構造課題。そして後半が世界共通の医療OSということで。まず前半、医療の構造課題なんですが、石川さん、今、医療の世界でどんな大きな変化が起きているのか、まず説明いただいていいでしょうか。
世界的なトレンドとしてお話しすると、全世界的に高齢化というのが進んでます。高齢化っていうのは若者に対して高齢者が多いことなので、医療の需要が増えるのと同時に供給が減るっていう、需要と供給が同時に逆方向に動くことが起こるんですね。これが世界的なトレンドとして起きていて。その中で特に需要と供給のバランスっていうのが、あまり自動的に調整されない業界。本来、需要が増えれば、そこの供給を増やすために資本であったりとか人材が投下される一方で、そこを供給が一定コントロールされるっていう側面もある中で。
それはどうしてですか? どうして供給が増えない?
インフラ、公共性であったりとか、許認可であったりとか、薬事のルール、情報のデータの規制のルールみたいなもので、一定のインフラ的な要素が医療にはあるので、すぐには民間が増やせたりっていう力が働きにくい。
渡部さんのご認識は?
私、薬局の業界とかも見てるんですけど、やっぱり医療の中でも、いわゆる病院の業界と薬局の業界でもまた違った課題があったりだとか。あとはお医者さんの数が足りないとか、薬剤師さんの数が足りないとか、そういった問題は常に出てるかなと思ってます。
それって、じゃあ解決はできないものなのか、需要が増えていく一方で供給は全く追いつかないってことなのか、何か手立てはあるんですか?
供給って、人の数とかそういうのは基本的に大きくは変わらないので、やっぱりうまく配分をしていくってことが大事かなと思うんですけど。いろんな制度はもう2年に1回とか変わっていくんですけども、その制度で微修正はいろんな国でいろんなことが起きてるというか。各国取り組み方が違って、誰がお薬を出すかとか、そういったところが違いがあったりだとか、いろんな制度がいろいろ変わるんで、それに医療従事者の方々は結構、国が作った制度のキャッチアップをするので精一杯になってるかなっていう気はします。
さっきおっしゃった配分についてちょっと伺いたいんですけど、配分をすることによってどう変わっていく可能性があるんですか?
何に投資をするか。病院で得られた収益だとか、薬局で得られた、事業から得られた収益を何に投資してるかっていうと、今って明確な答えがないと思うんですよね。特にIT投資に関してはまだ正解が出てないところだと思うので、CyMedがより良いIT投資の仕方っていうのを考えてるっていうところです。
石川さん、さっきお話しくださった世界共通の課題、世界共通っていうからには日本でも同じって考えていいんでしょうか?
おっしゃる通りです。世界的に人口が高齢化の一途をたどってるっていうところの、そこの先端に、最先端というか、一番進んでるのが。
共通というよりも逆に進んでるんですね、日本は。
そうです。人口が4000万人以上の国、38カ国の中で、日本が最も高齢化率が高いという現状があって。なので逆に言えば、日本で高齢化が進んで、需要と供給が同時に逆に動いてるというのが顕著に現れてるので、ここの日本の市場でしっかりと解決策を提示できれば、これから起こる世界的なそういった課題に解決策を提示できると思っていて。
なるほど。具体的に日本でその課題っていうのは、どんな形で現れてるなってお感じですか、今。
日本の話をすると、さっきワードでおっしゃっていた配分のところでいうと、例えば医師の数。確かに絶対的には足りないんですけども、都道府県の地域差というところもある。医師がいる都道府県といない都道府県で2倍ぐらいの差があったりとか。
東京が多いってことですか?
おっしゃる通り。東京都と青森なんですけども、具体的にいうと。
どれぐらい違うんですか?
1.8倍ぐらいですね。
1.8倍。人口当たりの医師。
であったり、診療科も、外科とか診療科ごとにも差があって、外科でも2.2倍ぐらいの差があったり。そういう医師の数や診療科での偏り。もしくは例えば、医師数は相対的にOECDの諸国と比べて少なめなんですけども、ただベッド数はすごく多いんですよ。
ベッド数。患者を収容できるスペースっていうことですか? 入院。
そうです。入院できる。平均4倍ぐらい、OECDの4倍ぐらいで。これって、でも医師がいないと結局稼働できないので。
そうですよね。
医療リソースが足りてるってことではなくて、あるところにはあって、相対的にないところはないっていう、その偏りが生じている状況かなと整理してます。
なるほど。日本には、医師は少ないのにベッド数は多くって、そして地域で医師の数だったり、診療科にもかなり差がある。これが本当に世界でも今後そうなっていく可能性もあるということですか?
そうですね。日本特有の医療構造の、今の医師数とかベッド数とかっていうのは日本特有の、世界がそうなるって意味じゃなくて。世界は高齢化っていう意味では共通なんですけど、各国それぞれ分配が必要な状況、最適化ができてないっていう点では共通してるかなと思います。
なるほど。そういった個別の国の事情っていうのは、やっぱり各国ごとに今異なってるわけですね。課題はあるけれども。
おっしゃる通りです。
なるほど。渡部さん、何か付け加えることありますか?
そうですね。病院を経営されてる方っていうのが、やっぱりお医者さんの方がまだまだ多いと思うんですよ。やっぱり自分が技術者でもあり、営業でもあり、全部やんなきゃいけないわけですよね、経営も。そういう意味では、やっぱりどうやって自分たちのグループのお医者さんを生かしていくかとか、技術レベルをどうやって上げるかとか。そういう最適配分っていうのは、普通の経営っていうふうに考えると、まだまだ改善の余地があるんじゃないかなっていうふうには外から見て思ってます。
これもさっきおっしゃってた、配置を変える、最適配分を変えるっていうところにつながってくるわけですね。
はい。
なるほど。この日本から始まる課題は、先ほど国ごとに課題は異なる部分もあるという話でしたけれども、やっぱり世界につながっていく部分もあるとお考えですか?
そうですね。国によって課題は違うと思うんですけども、結構、救急の医療の対応の仕方が違ったりとか、日常の医療に関してもありますし、発展途上国と違った先進国の課題っていうのはあると思いますけど、どの国にしても、いずれにしても、もっと経営がアップデートされて、経営資源をうまく使うっていうのはすごい大事かなと思います。
なるほど。ありがとうございます。では石川さん、前半のテーマとなりますけれども、CyMedがその中で向き合おうとされてる構造課題っていうのは、どういったことになるんでしょうか?
ありがとうございます。医学って世界で共通のものだと思っていて、例えば病気の仕組みとか成り立ちとか、治療のエビデンスみたいなものって全世界共通だと思うんですね。例えば心筋梗塞が日本とアメリカで違うわけでもない。
確かに科学が違うってことはないですよね、国と国との間で。
おっしゃる通りです。結局、多くの医療従事者もやっぱり英語の同じような論文を読みますし、そういった知識とかっていうのは人類の財産として国境を超えて蓄積されていく一方で、その医学を届ける医療っていうことになると、驚くほどに地域ごとにかなり差がある。デリバリーの方法に差があると思っていて。この医学は世界共通なのに、医療は地域固有っていうギャップを我々は埋めていきたいと。それが構造的な課題であると思ってます。
なるほど。それをテクノロジーの力を主に使ってということになるんですか?
はい。
今、前半では世界の医療現場の構造課題が見えてきたと思います。そしてそれが日本ではまさに進んでいるというか、状態も分かってきましたが、石川さん、じゃあ具体的にCyMedではこの課題をどう解決していくのか、解決されようとしているのか、伺ってもよろしいでしょうか?
ありがとうございます。私たちはシステム会社なので、エフィシエントフロンティアっていう名前の自社システムを。
エフィシエントフロンティア。
はい。これ、自社のシステムの名前なんですけども、これは一言でいうと、医療のオペレーティングシステム、オペレーションのシステムですね。OSっていうんですけども。その医療OSって呼んでいるものは、いわゆる診察とか処方とか、医療行為じゃない部分に関しては共通できる部分、共通層っていうのが、先ほどあるというふうにお伝えしたように、そこの部分をなるべくつなげて、そこの医療に関わる方々にとってストレスがないような環境を作り上げていくっていうような構想でシステムを作っています。今現在130万人の方に利用していただいているシステムではあるので、それをさらにスケールを大きく広げていくといったところをしています。
医療に関わるプレイヤーって、例えば私が思い浮かぶのだったら、もちろん患者とか診療所とかっていうのはあるんですけど、他にもあるんですか?
そうですね。患者と、医療の診療所だったり病院とか、あとは医者個人とかもありますし、例えば製薬メーカーや薬局さんであったりとか、検査機関であったりとか、医療の物流の事業者さんだったりというか。多くのプレイヤーっていうのが医療に関わっていて、そういった方々の情報をつなげる価値があるかなと。
じゃあ今おっしゃったエフィシエントフロンティアは、全てのプレイヤーが使えるものなんですね。例えばですけれども、それぞれどういったことができるんですか、そのOSによって。
例えばイメージしやすいのは、多分患者さんの使い方だと思うんですけども。病院に行くと、患者さんは自分の症状しか分からないので、どこの病院に行けばいいかっていうところで悩まれることもあると思うんですね。
最初に何か起きた時にってことですよね。
そうですね。この診療科でいいのかなとか、ここでいいのか。そういう時にそれがなるべく最適にレコメンドされたりとか、あとは予防であるとか、もしくは継続治療、ケアみたいなところもしっかりとフォローがあったりっていうのが患者さんのイメージですね。
あとは医療従事者の方々に対してでいうと、結構、日常で診療とかケア以外にもかなりの時間を使っています。データを入れたりとか、データ整理をしたりとかですね。そういったケア以外の部分の業務から解放されて、患者さんと向き合う時間に集中できるみたいなところが、医療従事者の方々への提供価値かなと。
なるほど。それをやるためには、いろんなデータが必要ってことですよね。
そうですね。
どんなデータが必要になってくるんですか?
ありがとうございます。1つ1つのデータは、それぞれ存在はしているものなんですけども、つなぎ込みが起こってないっていうのが課題です。例えばバイタル、バイタルっていう人間のバイタル情報っていうのは、生まれてから死ぬまで1本の連続したデータではあるんですけども、さっき言ったプレイヤーがやっぱりいろいろいますから、そのプレイヤーによってデータが分断されている構造があるんですね。それを、それぞれのプレイヤーが持っているデータをしっかりとつなぎ込むことで、データとして連続的な価値を生み出すっていうようなイメージ。
今っていろんなところにデータは出してるけど、それが分かれてて、1つの場所にまとまってないから、それぞれでまた出さなきゃいけないっていうイメージなんですけど、それが変わっていくっていうことですか?
おっしゃる通り。お薬手帳もあるし、健康診断の結果もあるし、どんな手術をしたっていうカルテもあるけど、全部が点在しているっていう。
それが一本化するようなイメージ。
おっしゃる通り。
なるほど。そういった多様なプレイヤーのデータがつながっていくと、何が可能になるんでしょうか?
今まで治療っていうところに重心があったものが、例えば予防医療であったりとか、病気の前兆を捉えやすくなるので、データがつながることでですね。病気の前兆を捉えて、予防のところの介入であったり、早期発見、早期治療、もしくは継続的なケアみたいなところに裾野が伸びていく。そうすることで、伸びてつながったデータが研究であったり次の治療を進化させる。それがまた患者さんに還元されてっていうふうに、どんどんよく改善されていくっていうところが起きます。
なるほど。渡部さんはどういうふうに捉えてらっしゃいますか?
そうですね。CyMedのシステムにどんどん参加するプレイヤーが増えれば増えるほど、薬もそうだし、先ほどお伝えした健康診断とかもそうだし、物流とか含めて、医療に関わる全ての関係者がこのプラットフォームに入ってくると、より価値を発揮してくるのかなと思ってます。
物流とかにも役立ってくるんですか?
そうですね。おっしゃる通りで、医薬品の物流ってかなり課題も多くて、例えば医薬品って結構すぐ流通規制とかになったりとかもしますし、なかなか物流面の課題っていうのは多かったりするんですね。そういったところも最適化がどんどん行われていくのかなと思ってます。
先ほど、今世界で130万ぐらいの方が利用してるっていうことでしたけれども、その世界でっていうのはどの辺りなんですか?
日本が中心なんですけども、具体的にはインドであったりとか、ベトナムにもユーザーがいる形です。
でも先ほどおっしゃったように、CyMedはこのプラットフォーム、世界共通の医療の課題がある中で、日本だけじゃなくて、今インドっておっしゃってましたけれども、世界に展開していくっていうお考えなんですか?
そうです。大前提が、医療っていうもの、医学っていうものが人類共通の財産だよねっていうところから始まっています。なので私たちは、日本のっていうよりかは、日本が一番高齢化が進んでて、課題が見えてるので、それに対してまずアプローチしつつ、それを世界各国に転用していくっていうところを目指してます。
なるほど。事業機会としては、どこまで広がっていくかなっていう今、予想ですか?
ありがとうございます。10兆ドルっていうのが世界の医療費。
10兆ドル。1000兆円ぐらいってことですか?
そうです。1500兆円ぐらい。世界のGDPの10%ぐらい。かなり大きい市場です。その10兆ドルの流通を支える基盤になれればなと思ってますし、GAFAがかつて情報と人とのインターフェースを作り替えて、2000年代に入って大きくなってますけども、我々は人類と医療のインターフェースを作り替えていこうというところで思っていて。なので、そういった人類に対してというようなビジョンを掲げながら、バーストできるようなメンバーとか、そういうところも一緒に仲間を探してる状況です。
すごいビジョンなんですけど、でもやっぱりそれって医療が本当におっしゃった通り世界共通だから、そのチャンスがあるっていうことでもあるんですよね。
おっしゃる通りです。
渡部さんは、その世界展開への考えについてどういうふうにお聞きになりますか?
経営ってそもそも社会課題を解決するために、事業としてやってると思うんですけども、やっぱり医療に関しての共通の課題というか、先ほどおっしゃってたように10%、世界の課題の多分10%が医療業界だと思うので、こんなに大きい市場であり、課題がもう明確にあって、市場も伸びてるっていうところがあるのかなと思ってます。
でもこれって、逆に他の世界で同じようなことをやってるところってないんですか?
多くあると思います。ただ、やっぱり先ほど申し上げた、日本が一番進んでて、検証ができる場なので、日本でやってるプレイヤーってなると、本当に限られてくるかなと。
そうなんですね。じゃあ逆に課題先進国である日本でうまくいけば、世界で活躍するチャンスもあるんじゃないかと。
おっしゃる通りです。
今、人材ももっともっと欲しいっていう話もありましたけれども、今CyMedにいらっしゃる人材っていうのはどんな方が集まってらっしゃるんですか?
比較的年齢層は若めの方が多いですし、自分で事業をどんどん進めたい。いわゆる起業家精神みたいなものを持ってる方っていうのが多いです。
職種としてはどんな職種があるんですか?
例えば私たち、やっぱり開発するのでエンジニアの方々だったりとか、あとは広めていくためのマーケティングもします。マーケターの方々。この2つの職種が多いですね。
若い方が多いっていう話もありましたけども、どんなチャンスがCyMedに入ったらありますか?
CyMedでは、本当に責任と権限と一緒に、かなりやれる範囲を与えて、一緒にチャレンジしていく。そういう文化がやっぱりあるので、実際に日本以外にも、海外も含めて裁量権を持ってスピーディーに進められるっていうところがやれるかなと。
じゃあ結構、入ったらすぐ海外で挑戦できるチャンスはあるよっていう感じですか?
もちろん。使ってるシステムのユーザーがまず日本だけではないですし、そういった意味でエンジニアの方は海外ですぐ使われるっていうところもありますし、エンジニアは海外の方も多いですし。海外展開であったり、国内で広めていくっていうところで、マーケもかなり予算であったりとかも多く運用できるので、マーケターとしてはやっぱり予算が多いと面白いと思うので、そういったところも魅力の1つかなと。
渡部さん、社外取締役としては、会社の雰囲気だったり社員の方々の様子、どんなふうに見てらっしゃるんですか?
雰囲気はもう本当すごいです。
すごい。すごいってどういう意味ですか?
会社に行ったことが何度かあるんですけども、やっぱりまず本当に仕事してるなっていう雰囲気なんですよね。もう全員がバシュッとやってますし、あとスピード感があって。本当にベンチャー企業感があふれていて、なかなかないと思います。
事業もすごく伸びていて、ほぼ手元資金だけでここまで伸びてる。もう倍々で成長してるので。これぐらい伸びてる会社って、めちゃくちゃ調達してもそこまで達成してない会社が多い中で、自己資金だけでここまで成長してきてっていうのは、もう全然違う世界観かなと思います。めちゃくちゃ面白いと思います。
さっき起業家精神を持った人が多いっていうことはおっしゃってましたけど、渡部さんとしてはどんな方がCyMedの社員に向いてるなって思いますか?
まずスピード感があって。来てほしいなと思うのは、やっぱり業界を良くしたいなって思ってる人が参加してくれると一番いいかなと思います。
じゃあ医療に興味があって、その業界を変えたいと思ってる方ってことですね。ありがとうございます。やっぱり今日お話を聞いていて、こんなに医療が世界共通の課題を持ってるっていうことを改めて認識したんですけれども、それを日本から世界に打って出るっていう話、すごくワクワクしたんですが。最後に、日本から世界へどこまで本気で目指していくのか、お聞かせいただければと思います。まず最初に渡部さん、お願いします。CyMedとしてですね。
ここまで伸びてる会社はなかなかないので、突き抜けてほしいなと思いますし、やっぱり世界に挑戦して成功する世代だと思うんですよね、今の20代。
20代ですよね。いや、もうそれもびっくりしたけど。
今の20代がようやく初めて、自前でオーナーが外に出て成功する世代だと思ってるんで、その先陣を切ってもらいたいなと思ってます。
石川さん、お願いします。
私は、医療っていうところが人類共通の課題っていうところをすごく大切に思っていて。人類共通の課題で、かつ日本がそれの一番先頭で課題を今感じていて。なので、ここ日本で世界に対して発信できる解決策を提示できる、そういう領域だと思ってるんですね。
なので、我々がやらなきゃ誰がやるんだというぐらい、我々がやる意味というか、我々がやらなければいけない。これから世界的に人口の動態ってもう分かるので、10年後、20年後、確定してるものは我々が解決策を提示しないといけないという使命感であったりとか、絶対に達成するという強い意志っていうのは、チーム全体として、会社全体として掲げているところでもありますし、私も強く持ってると。
もしビジョンもあれば、ぜひ教えてください。
100年後の医療の常識を作るっていう。その100年後の医療っていうのが、患者、医療従事者、医療に関わる全ての人たちにとってストレスのない、人類共通の財産としてリソースを活用できる医療っていうふうに定義していて。それが実現できるように。その裏には100年後になって当たり前にCyMedが世の中でしっかりと医療の根幹を支えてるような企業になる、こういうふうに思ってます。
ここまで聞いてきて、やっぱりCyMedに挑戦したいなと思う方もいらっしゃると思うんですけれども、その方たちへのメッセージがあればお願いします。
興味ある方はぜひ概要欄を見ていただいて、私たちのホームページとかをご覧になっていただけば、より詳しい事業の内容とかも載ってますので、ぜひクリックしてください。
今日はお2人ともありがとうございました。
ありがとうございました。ありがとうございます。
お
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