航空系クレカ3枚をどう選ぶか:SFC改定後の「年間決済300万円」とマイルの価値

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概要

ANAのSFC(スーパーフライヤーズカード)制度の見直し版が発表され、年間決済額300万円が新たな分かれ目になった。PIVOT MONEYのこの回では、MCの西川典孝が、ポイ探代表の菊地崇仁に、今選ぶべき航空系クレジットカード3枚を聞いている。クレジットカードには「夢を見るための航空系」と「現実的に使う」ものがあるとしたうえで、今回は夢を見る航空系に絞った回である。菊地が挙げたのは、ソラチカゴールド、ANA JCBワイドゴールド、JALカードSuica CLUB-Aゴールドの3枚だ。全部ゴールドにそろえたのは、SFCを考えるとワイドカードかワイドゴールド、JALでもCLUB-AカードかCLUB-Aゴールドのどちらかになるからだという。菊地は選び方の軸を年間決済額に置き、300万円を使うかどうかでソラチカのままにするか、SFCやJGCを狙うかが変わると説明した。

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SFC見直し版の評価:ラウンジでは譲歩、スターアライアンス・ゴールドは残った

ANAは4月23日に当初案を発表し、株主総会のころの6月25日に見直しを表明して、9月29日に見直し版を発表した。新制度が始まるのは2028年なので、選ぶまでにはまだ猶予がある。菊地の受け止めは「そう来たか」だった。以前の出演では白紙撤回もあり得ると話していたが、そこまではいかず、予想は外れたと認めている。ただ、ラウンジについては相当な批判があったのだろうとし、ANA側もかなり譲歩してきたと評価した。これまで全面的に拒否していたものに「混雑していなければ」といった条件付きで応じたからだ。

見直し版でもライトとプラスの2区分は変わらない。ライトの場合、国際線では羽田・成田・ホノルルのANAラウンジが使え、国内線ラウンジも混雑時を除いて使える。ただ西川は、混雑するのは大型連休や年末年始などで、結局その時期に入れないのは変わらないと指摘した。菊地によると、ライト向けには予約システムを作る予定で、まずシステムで予約し、取れなければ当日現地で確認する流れになるという。菊地はこれを使い勝手が悪いとみる。ラウンジは時間が余ったときや30分遅延したときに立ち寄るものであって、ラウンジのために空港へ行くわけではないからだ。せっかくSFCを持っているのに断られるのはショックだろう、という話も出た。

もう一つの論点はスターアライアンスの資格である。西川によると、X上ではANAはスターアライアンス・ゴールドを外したかったのだろうという声が多かった。菊地は、優先搭乗やプライオリティタグで荷物がすぐ出てくることを考えると、利用者はゴールドを持っていたいと話す。シルバーにはほとんど特典がなく、ゴールドでなければあまり意味がないという。メインカードとして決済を集めるなら、それくらいの特典がないと選ぶ価値が半減する、という点で2人の意見は一致した。

退会者の扱いも変わった。4月23日から9月29日までに退会した人は再入会でき、プラチナやダイヤモンド、ミリオンマイラー以外の人も申請できるところまで広げられた。ただ菊地は、そこまで必要なのかという疑問を口にしている。X上では、海外のスターアライアンス加盟社のラウンジを使うとANAが1回数十ドルを払う必要があり、それが負担だったのではないかという説も流れていた。2人とも真偽は分からないとしたうえで、菊地は他社のラウンジなのでそういう面はあるかもしれないと述べた。それでも一番大きな理由は国内ラウンジの混雑緩和だろう、というのが菊地の見立てである。一度取ればずっと使える仕組みでは、会員は増える一方でほとんど減らないからだ。

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「年間300万円」は高いか、そして上がる可能性

ライトとプラスを分ける年間300万円は、月に直すと約25万円になる。菊地は、25万円は厳しいと感じる人もいるだろうと話す。西川は、複数のカードを持つ人が月25万円をまとめるには、それに見合う特典がなければ使い続けないと述べ、ホテル系のカードもある中で本当にマイルがいいのかと問いかけた。

菊地は、マイルを貯めるかどうか自体が選択肢になると答えた。マイルは使えばお得だが、使い勝手はよくない。マイルを貯めずに節約し、浮いたお金で旅行するという発想もあり得るという。菊地の計算では、300万円を還元率1%で使えば3万マイルになり、それだけで旅行に行けるくらいは貯まる。西川は、そうなると何のために修行しているのか分からないと漏らした。

300万円の基準は下がらなかった。西川は、これが完成形ではないという趣旨の答弁があったことに触れ、今後上がる可能性を指摘した。菊地も上がることはあり得るとみている。根拠に挙げたのは、ほかのクレカ修行の基準がどんどん上がっていることだ。Oliveは400万円、アメックスのプラチナは500万円で、マリオットも以前より上がった。三菱UFJのプラチナでは、700万円使うとクレカ積立の還元が7%になるという。そこと比べると300万円はそれほど高く見えないが、菊地は笑いながら「錯覚してはいけない」と付け加えた。

ANAの翌日に発表したJALへ移る人も出るかと西川が尋ねると、菊地は、JALもライフステータスポイント制になってから貯まりにくくなり、JGCまでなかなか届かないので、乗り換えは簡単ではないと答えている。

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1枚目:ソラチカゴールド——メトロ乗車で貯める「マイル用サブカード」

1枚目のソラチカゴールドの強みは、東京メトロの乗車でポイントがよく貯まることだ。首都圏に限られるので地方の人には使いにくい。それでも菊地は、メトロポイントをANAマイルに100ポイント→90マイルで移せる点をかなり良いレートだと評価する。

ただし通勤定期の利用は対象外で、PASMOで乗った分が対象になる。土休日は1乗車40ポイントと平日の2倍なので、菊地によれば土日なら3回乗るだけで90マイルほどになる。外回りが多い人ならそれだけで相当貯まり、家族会員を含めればさらに貯まりやすいという。年会費は西川の読み上げで1万5400円である。

弱点はSFCの対象外であることだ。修行してSFCを取りたくても、このカードではSFCにならない。菊地は、メトロ乗車を軸にマイルを貯めるサブカードとして使い、ANAの航空券購入にも使う位置づけを示した。普通のソラチカカードもあるが、菊地によれば乗車時の付与はゴールドの半分程度だという。またソラチカで貯まるのはJポイントで、一般カードではJポイントからマイルへの交換が基本的に1%にならないが、ゴールドなら無条件で1%になる。貯めるだけならゴールドでいい、というのが菊地の判断である。

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2枚目:ANA JCBワイドゴールド——SFC対応と年間ボーナス

2枚目のANA JCBワイドゴールドは、VISA版もあるので選ぶのに悩んだと菊地は言う。このカードはSFCの対象で、300万円使えばSFCプラスになれる。プラチナやダイヤモンドを取ったうえでワイド系を申し込めばSFCになる。SFC版は年会費が500円か1100円ほど上がり、1万6000円ちょっとになる。家族カードはラウンジが使えるようになる分、年会費が2倍になるので、年会費の面ではSFCのほうが高くつく。搭乗ボーナスと継続ボーナス(+25%、2000マイル)はソラチカゴールドと同じだ。

それでもJCBを選んだ理由について、菊地は年間利用額に応じたJポイントのボーナスを挙げた。その上乗せ分をマイルに交換できるのが若干有利だという。一方、VISAのゴールドにはマイ・ペイすリボを使い、年1回でも手数料を発生させて年会費を下げる方法がある。年会費の安さを取るか、ボーナスの上乗せを取るかの選択になると菊地は述べた。

SFCを目指す人が最初からこのカードを持つ必要があるかと西川が聞くと、菊地は不要だと答えた。SFCの資格条件を満たしてからワイドカードかワイドゴールドを申し込めばよく、その後プラスを維持するには年300万円の決済が必要になる。最初から300万円のためだけに持つ理由はあまりない。

ここで菊地は、JCBの新しいカード「プレシャス」の問題を挙げた。去年か今年ごろに出たカードで、300万円使うとインビテーションが届き、年会費は3万円ちょっとで還元率もすごく高い。ところがSFC版がない。7万7000円前後のプレミアムにはSFC版があるのに、プレシャスにはない。300万円使ってプレシャスに招待された人がSFCにしようとしてもできないので、西川はこれを入り口を広げたようで狭めていると評した。このカードを選ぶほど決済している人ならSFCの人が多いはずだとして、菊地はプレシャスにも対応してほしいと話した。

カード券面の変化にも触れた。ANAのアメックスで新しく出たカードの券面からは、スターアライアンスのロゴがなくなっていた。以前からなくすと言われていたものの、Webで見る限りほかのカードにはまだ残っているという。今後ロゴのないカードが増えれば、券面だけではゴールドかどうか、ラウンジに入れるかどうかが分からなくなる。菊地は、これから1〜2年は航空系カードを続けるかどうか悩む「選び時」になるとみている。

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3枚目:JALカードSuica CLUB-Aゴールド——新幹線にも強い出張族向け

JALからは、JALカードSuicaのCLUB-Aゴールドが選ばれた。年会費は2万900円と高めだが、JGCにも対応している。菊地が強みに挙げたのは鉄道だ。JR東日本のえきねっとで予約するとJREポイントが10%貯まり、JREポイントはマイルにも移せる。最近は新幹線のアップグレードにもJREポイントが使える。鉄道にも飛行機にも乗る出張族には最高のカードだと菊地は評価した。

えきねっとはJR東日本のサービスだが、JR東海の区間も買える。えきねっとで買って駅で紙のきっぷを発券しても8%貯まるので、首都圏から移動する人には特に良いという。西川も同じカードを持っており、新幹線でポイントを貯めてJALに乗れるようにしているという。JREポイントからマイルへの交換は画面の分かりにくい場所にあり、1500ポイントずつしか移せないので手間はかかる。それでもありがたく使っていると話した。菊地も、交換レートは下がるが十分よく、えきねっとで新幹線や特急を買ってどんどん貯めればかなりのマイル数になると補足した。

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「Suica付き」でもANAとJALでは別物

西川が、どちらの航空会社にもこだわらないなら選びやすい1枚だと言うと、菊地は、鉄道も飛行機も参入障壁が高い分野なので組み合わせるしかないと応じた。

ここで菊地が注意を促したのが、ANA VISA Suicaとの違いである。Suica付きカードにはタイプ1とタイプ2と呼ばれる区分がある。JALカードSuicaはJREポイントが貯まるタイプ1で、えきねっとの特典も受けられる。一方、ANA VISA SuicaではJREポイントは貯まらずVポイントが貯まり、えきねっとも対象外だという。JALカードSuicaを見て、ANAにも同じものがあると考えてANA VISA Suicaを選ぶと別物になる。自分が使っていないカードでは普通は気づかない違いだ、と2人は話している。

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JGCとSFC:生涯積み上げか、毎年のリセットか

菊地は、JGCとSFCの大きな違いを入手方法に置く。ANAは今のところ毎年リセットされる方式で、JALのJGCは生涯積み上げのポイント方式だ。ANAは入り口はそのままで、ラウンジの使い方で利用者を選別し始めた。JALは入り口を難しくすることでラウンジの混雑を減らす。両社の姿勢に違いが出てきたと菊地は整理する。

リセットがない分JALのほうが楽そうに見えるが、菊地は逆にJALの修行のほうが大変だと言う。ライフステータスポイントは1回に1〜2ポイントしか貯まらないのに、JGCには1500ポイントが必要で、10年単位で考えないと届かないという。JALモバイルやJALでんきなど、ライフステータスポイントが貯まるサービスをうまく使えば早くはなるが、それでも数年はかかると菊地はみる。一方、ANAのSFCは1年間集中して修行すれば取れる。ただ、そうして取ってもSFCライトでは混雑時にラウンジを断られることがあり、今はどちらにも悩ましい点があると菊地は述べた。

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マイルが「夢」と言われる理由と、その限界

航空系カードが「夢を買う」と言われる理由も整理された。国際線のファーストクラスでは、1マイルの価値が10円どころか15円や20円近くになる場合がある。菊地によれば、フライトが長いほど、席のクラスが上がるほど得になる。100数十万円から200万円近くするファーストクラスや、高額なビジネスクラスにマイルで乗れるのは夢があるという。国内線の特典航空券でも、1マイルはおおよそ1.5〜4円の価値になる。菊地の試算では、1マイル3円とすると、300万円を1%で決済した3万マイルは9万円分になり、普通の1%還元カードよりお得感がある。

ただし、一般の会社員が休む年末年始やお盆などの時期は、特典航空券の枠がほとんどない激戦期だ。西川は、家族か独身か、どんな働き方かでも事情が変わると指摘した。菊地は、休みを比較的自由に取れる人ならマイルはまだいいとする。年末年始しか休めないなど休暇の時期が限られる人は、マイルは諦めてほかのポイントを貯めて節約に回し、そのお金で旅行するのもいいと話した。

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年間決済額別の結論

最後に菊地は、年間決済額ごとの選び方をまとめた。300万円未満なら、メトロに乗る人限定ではあるが、ザクザク貯まるソラチカゴールドが優秀だ。300万円以上でも、SFCを目指さないならソラチカゴールドで300万円使ってもかまわない。SFCも目指すならSFC対応のANA JCBワイドゴールドがよく、300万円以上で貯まるJポイントのボーナスもマイルに交換できる。JAL派なら、えきねっとの特典が強いJALカードSuica CLUB-Aゴールドを選ぶ。このカードは鉄道でも飛行機でもお得感があるという。

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航空系の次は銀行系か

航空系が厳しくなった人が次にどこへ向かうかを聞かれ、菊地は難しい問題だと前置きした。そのうえで、楽天やVポイントなどの経済圏があるほか、最近は銀行が非常に力を入れているので銀行系に行くのもいいと答えた。西川は、三菱UFJに資産を置いている人が三井住友に乗り換えるのは難しいのではと疑問を出した。菊地は、銀行の施策はまさに資産を動かすためのものだと答えた。金利のある世界になった今、銀行は富裕層向けに相当力を入れているという。

構図について菊地は、緑と赤、つまり三井住友と三菱UFJの戦いに、ようやく青のみずほが加わったと表現した。みずほは出遅れていたが、みずほ楽天カードを出し、楽天カードからビジネスカードも出した。まだ一般向けのカードだが、これを富裕層向けに広げるかどうかが注目点だという。8月にはドコモの銀行も始まったばかりで、菊地は銀行が今とても熱い分野だとみている。ポイントの提携を見るだけで、どこの企業とどこの企業が組んだのかといった経済の動きが見えてくるとも話した。

菊地は最後に、航空と鉄道が強い理由に戻った。航空も鉄道も参入障壁が高く、利用者は使わざるを得ないので、少し殿様商売になっているという。銀行はたくさんの選択肢から選べるが、空と鉄道はほとんど選べない。それがこの分野の強さだというのが菊地の見方である。銀行系のカードとポイントについては、次回あらためて詳しく取り上げることになった。