織田翔希のMLB挑戦表明でドラフト戦略はどう変わるか――斎藤隆・西尾典文・いけだてつやが12球団の1位指名を読む

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概要

横浜高校の織田翔希投手が、「世界一の投手」という最終目標に向けてアメリカで挑戦すると記者会見で表明した。PIVOT BASEBALLはこの発表を受けて急きょ収録を行い、ドラフトを1週間後に控えた12球団の戦略を議論した。出演は、元メジャーリーガーで野球解説者の斎藤隆、アマチュア野球を年間400試合以上取材するスポーツライターの西尾典文(名古屋からリモート参加)、高校野球大好き芸人のいけだてつや。進行はDeNAファンの西川典孝が務めた。

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中心にある問いは、ドラフトの「鍵」を握っていた織田投手が候補から外れたことで、各球団の1位指名がどう動くかである。番組では、セ・パ両リーグの補強ポイントと候補選手、高校時代は無名だった「隠し玉」、そしてプロ入り後に打撃や守備は伸びるのかという斎藤の問いかけまで、話題が広がった。

現場を回り続ける2人の観戦者

いけだは今夏の甲子園で見られなかったのが3試合だけで、地方大会を合わせると夏だけで約110試合を観戦したという。電車の乗り換えは「西村京太郎のサスペンス」のように、うまくつながれば次の球場に間に合う、という組み立てで回ったそうだ。

西尾といけだは球場でよく顔を合わせる。年末の小学生の大会でも、選手の親以外の数少ない観客として2人が同じ球場にいることがあるという。いけだは「今日は西尾さんがいるから、いい選手がいるのだろう」と思うことがあると話し、斎藤は腕のいいスカウトも同じように特定の選手を必ず見に来ると応じた。一方でいけだは、「西尾さん、いましたよね」と聞くと本人は行っていなかった、ということもよくあると笑わせた。

3:40

織田翔希の渡米表明はいつから動いていたか

西尾は、昨年末の時点でNPBのスカウトから「アメリカの大物代理人が織田のところに来ているらしい」と聞いていたという。それだけアメリカ側の動きは早かったと西尾は見ており、今は織田の話題で持ちきりだが、来年も同じように続く選手が出てくるだろうと予測した。

いけだは正直な気持ちとして、一度はNPBで見たかったと語った。また、横浜高校がここまで本格的な会見を開いたのは初めてのことで、監督とも相当話し合った結果だろうとみる。織田は朝3時、4時に起きて散歩するほどの早起きで知られていたが、いけだは「今考えると時差を合わせようとしていたのでは」と冗談交じりに振り返った。先月、織田の関係者に偶然会った際には、まだエージェントはついていないと聞いていたという。

斎藤は、夏の大会が終わってすぐではなく約2カ月を経てこのタイミングで発表したことについて、エージェント的な人物と話がつき、学校側とも話をして、段階を踏んだのだろうと受け止めた。村田監督は会見で「相談しながら、悩みながら、喧嘩しながら」答えを出したと語っている。斎藤は、今のメジャーリーガーの多くが日本の球団を経ているなかで、高校から直接の挑戦が叶う状況になったのは、監督やコーチ、関係者の理解が深まり広まったからだと評価した。

いけだは昨年も今年も横浜高校にロケで行っているが、織田に将来の話を振っても「目の前の一戦一勝を頑張るだけ」とコピペのような答えしか引き出せなかったという。一方で村田監督からは、織田を息子のように思っていること、彼が一番のびのびできる環境が一番だという話を繰り返し聞いており、その愛情を強く感じたと話した。

4:41

斎藤隆が10年前に試みた「早すぎた」計画

斎藤は、これまで黙っていたという話を明かした。2016年、パドレスでインターンを始めた最初のミーティングで、日本のドラフトから漏れた選手をパドレスが獲得できるよう提案したという。当時はまだ高校生を直接獲得するような権限はなかったため、アマチュア選手の名前をリストに挙げてパドレスに伝え、球団もゴーサインを出した。

ところがこれが大ごとになり、「何をやっているか分かっているのか、斎藤君」と言われたという。斎藤は協力をお願いしていた知り合いの監督たちに改めて頭を下げに行き、事情を説明して計画を取りやめた。それでも、当時リストに挙げた選手のうち何人かは今活躍しているという。斎藤は、遅かれ早かれこういう時代は来たのだろうが、自分はいつも先走りすぎると振り返った。

9:24

1位指名の「事前公表」がなかった理由

例年は、どこかの球団が「うちはこの選手を1位で行く」と早い段階で明かすことが多いが、今年はそれがなかった。西尾は、候補選手の動向が定まらないと公表できないためで、ドラフト1週間前のこれから1つ2つ出てきてもおかしくないとみる。今回のドラフトは織田が鍵を全部握っていた、というのが西尾の見立てだ。

西尾によれば、織田の決断で少し気が楽になった球団もある。織田に行くか迷っていた球団は改めて別の選択肢に切り替えられる。一方、織田に5球団、6球団が競合してくれれば他の選手を確実に取れると考えていた球団にとっては、思惑が外れた形になる。斎藤はそうした球団があることを指摘し、西尾は思い切って織田に行く球団が出る可能性にも触れた。

それでも、交渉権獲得のために織田を指名する球団があるかについて、西尾は「さすがにないと思う」と答えた。面談をしたうえでアメリカと言っている以上、1位ならリスクが大きく、下位で指名するのは失礼にあたる。大谷翔平のときには指名があったが、田澤純一のときはなく、高校から渡米した森井翔太郎も指名可能だったが指名はなかった。12球団と話をして筋を通している以上、指名はないだろうというのが西尾の考えだ。

アメリカの大学経由案とMLBの労使交渉

織田の進路にはアメリカの大学も視野に入っているという話について、西尾は、このオフにMLBで労使交渉があり、その影響で1年大学に行ってからのほうが条件のいい契約を取れるのではないか、という話を聞いたと紹介した。

斎藤はこれを補足し、選手会側が条件を通すために行うのがストライキ、オーナー側が選手会に条件を飲ませようとして揉めたときに起きるのがロックアウトだと説明した。今回はロックアウトが回避できない可能性が非常に高いと言われているという。斎藤は、鈴木誠也がカブスに入る際に3月末ぎりぎりまでかかったのは選手会側のストライキがあったためで、野茂英雄が渡米した年もストライキだったと述べた。今回は状況が似ているが、オーナー側が一部への集中などを問題視している、というのが斎藤の理解である。

13:30

中日:工藤新監督のもとで捕手・渡部に行くか

セ・リーグで西尾が特に注目するのは、工藤公康新監督を迎える中日だ。西尾によると、中日は織田の評価が高かったという。ここ4年連続で大学生投手を1位指名しており、最後に高校生を1位で取ったのが高橋宏斗投手。その高橋にもメジャー挑戦の可能性があるため、将来のエース候補として織田があるのではと言われていた。織田がいなくなったことで方針はかなり変わるだろうと西尾はみる。

思い切って行くなら、青山学院大学の捕手・渡部海という声も多いという。西尾は渡部を大学ナンバーワン捕手と評し、打てて守れて、高校・大学で5回日本一になっていると紹介した。中日は現在の正捕手より若い捕手が少なく、それに続く捕手もベテランばかりなので、渡部を取って並べる手がある。打撃もよくDHもできるため、捕手と強打者を同時に取れるのは大きいと西尾は語った。

いけだも中日と広島は渡部に行きそうだとみる。昨年中日が1位で獲得した中西聖輝投手は、智弁和歌山、青山学院と渡部とバッテリーを組んできた。渡部が再び中西のボールを受ける未来を見たい、というのがいけだの個人的な思いだ。

15:11

阪神・広島も渡部が軸、外れたらどうするか

西尾は、報道にも出ているように阪神も渡部に行くとみる。坂本誠志郎はまだ力があるが、控えの梅野隆太郎らも年齢を重ねており、FAの可能性もある。広島も現在の捕手陣はレギュラーとしては物足りず、打撃強化の意味もある。西尾は、中日・阪神・広島の3球団がまず渡部に行くと予想し、「行くべきだ」とも述べた。

広島は内野手の補強も急務だが、西尾によれば今年は「1位間違いなし」という内野手がいない。かつての小園海斗のような選手がいれば先に行くだろうが、今年は最初の入札でショートが来ることはないという。外野も、田村俊介が退団し、最も若い外野手がルーキーの平川蓮で、23歳以下が1人もいない状況だと西尾は指摘した。

阪神については即戦力投手を求める見方もあるが、西尾は渡部を外したときの選択肢だろうとみる。今年は投手の候補が多く、外れ1位でもいい投手が残っている可能性が高い。むしろ近本光司の後継となる中堅手が必要で、明治大学の榊原七斗を西尾は挙げた。左投げ左打ちの中堅手で、体は大きくないが東京六大学で最もホームランを打っており、足もある。「肩の強い近本」のような選手で、渡部を外したら野手優先でいいのではないかと西尾は語った。

渡部の評価について西尾は、「何年に1人」という言い方を超えて、20年、25年に1人の選手だと話す。大学生捕手が1位で抽選になった例は過去になく、阿部慎之助は逆指名、その前の田淵幸一の時代は制度自体がまったく違ったという。

19:56

巨人とDeNAは織田に熱心だった

巨人は岡本和真の後継が課題になる。西尾は、他球団で織田を担当するスカウトから、巨人とDeNAはかなり熱心だったと聞いたという。織田の人気はどちらかといえばパ・リーグ球団のほうが高いが、巨人は二刀流というより野手として中軸を打ってほしい思惑があったのではとみる。

巨人の外野も若手が少なく、クライマックスシリーズで早々に敗れたことから即戦力に振る可能性があると西尾は話す。報道では榊原の名前も出ているが、東京ガスの藤沢という右打ちの大型外野手もいる。チーム関係者によれば、オープン戦を含めてノーヒットの試合はほとんど記憶にないほど打撃が確実で、甘い球なら長打やホームランもあり、運動能力も高い。いきなり藤沢を1位で行く可能性もあると西尾は述べた。また、昨年は竹丸和幸投手ら投手優先で行ったため、今年は上位2人のどちらかで野手を取りたいのではないかとも話した。

いけだは榊原を「ジャイアンツ顔」と評しつつ、織田の投手としての可能性も捨てがたいと語る。2年秋の関東大会で救援のような形で投げた際、約69球をストレートだけで投げて打たれなかったという。球速は150km近くだったが、それでも本調子ではなかった。投打両方の可能性を選べる球団に行ってほしかった、といけだは話した。

斎藤は、二刀流の育成プランの難しさを指摘した。中日なら工藤監督が育成プランを作るだろうが、巨人やDeNAで誰が作れるのかと考えると、二刀流を生かせるのはやはり日本ハムのような球団になってしまうという。斎藤は最近の巨人には「ジャイアンツ顔」ではない選手が多いと冗談を飛ばした。

DeNAについて、ファンである西川は宮崎敏郎の後継となる三塁手と、右打ちの強打者が欲しいと語った。西尾によると、右打ちの外野手は蝦名達夫しかおらず、藤沢を狙っているかと思っていたが、現場の温度感では織田に行くのではないかという。DeNAは数年前に山形中央高校の武田陸玖を一度二刀流で起用しており、可能性はゼロではない。昨年は佐々木麟太郎を1位で指名した(交渉権は外れた)。社長が数年前に「今の延長線上に優勝はない」と話していたこともあり、スケールのある選手を優先する方針に変わってきているのでは、と西尾は推測した。

斎藤は、外国人選手に助けられているチームを育成で強くしたいこと、どの球団もその世代のチームリーダーになる人材を求めていることを挙げ、意外な指名には人間性まで見ている場合があるのではと述べた。これを受けて西尾は、DeNAのスカウトが双眼鏡を持ち、練習中から遠くの選手の振る舞いやピンチで打たれた後の様子まで見ていると紹介した。織田はキャプテンを務め、あれだけの選手でありながらチームで浮いておらず、けがで離脱していた間もスタンドで懸命に応援していたという。そうした点がDeNAの評価基準に合っているのではないかと西尾は話した。

いけだも、けがをしていた時期にスタンドで応援する姿を見て、こういうときに支えられる選手が本物だと感じたという。山梨学院の吉田監督は、とにかく今の織田を見てほしい、状態は非常にいいのに、それを見せる場だった甲子園が途絶えてしまったのが心残りだと話していたそうだ。斎藤は、背の高い選手は体幹や股関節を鍛えることで動作のつながりが生まれる一方、そこでロスする可能性もあると述べ、プロでそこをどう補いながら成長するかが楽しみだと語った。

29:00

ヤクルト:補強ポイントは「全部」

ヤクルトは村上宗隆の後継が課題だ。昨年は1位で松下歩叶、2位で松川玲央と野手を取っており、西尾は2年続けて野手もなくはないとみる。外野は他球団から戦力外になった選手が頑張っている状況で、榊原や藤沢も候補になる。

投手も当然欲しい。石川雅規が引退し、田口麗斗らが戦力外となり、左投手が手薄になる。西尾は、大学ナンバーワンとして青山学院大学の鈴木投手を挙げた。体格があり、フォームが美しく、ボールに力があって制球もよい。スライダー系に課題はあるが伸びしろもあるという。ヤクルトは東京六大学や東都など神宮で活躍する選手を重視する傾向があり、慶應義塾大学の左腕・渡辺投手も空振り三振が取れ、先発もできるため優先度が高いのではないかと語った。捕手は既存の選手と若手の鈴木選手が伸びてきているため、渡部より他を優先できるのではないかとみる。

斎藤は、ヤクルトファンにドラフトで欲しいポジションを聞いたら「全部」と返されたと話した。いけだは、新聞の各球団補強ポイント欄で、ヤクルトだけ「池山監督が散歩中に珍しい虫を見つけた」という記事が載っていたと笑いを誘った。

32:00

パ・リーグ:日本ハム・西武・ソフトバンクは織田寄りだった

パ・リーグについて西尾は、日本ハムは織田に行くだろうとみていた。日本ハムは柴田獅子を二刀流で育てて結果が出てきており、右打ちと左打ちで160km級を投げる二刀流コンビができれば大きな売りになる。高校生の超大物が出たときにまず行く球団でもあり、逃げずに行っただろうと西尾は語った。西武とソフトバンクも打者が欲しく、上位3球団は織田の可能性があったとみる。

いけだはロッテにも行ってほしかったと話したが、西尾は、サブロー監督が来年2年目で勝ちを求めるなら早く使える選手という判断になりそうだとみる。オリックスは読みづらく、斎藤は「まずコーチを決めないと」と指摘した。下位3球団は投手寄りで、楽天は渡部だろうと西尾は予想した。

ソフトバンクは織田という話もあったが、それがなくなり選択肢が減った。西尾によれば、昨年は佐々木麟太郎に行っており、山川穂高も成績が落ちてきているため、将来の中軸を打てるスラッガーが欲しいはずだ。柳町達や正木智也も台頭したが、すでに20代後半から30歳前後になる。斎藤は、ソフトバンクの選手は出てくれば確実に活躍するが、出てくるまでの時間が長いと指摘した。西尾は、高卒3年目で出てきた前田悠伍は久しぶりに早い例で、ドラフト1位で活躍するのも珍しいと話した。出演者たちは、結局リーグ戦はソフトバンクの底力が勝ったと振り返った。

35:12

西武・日本ハムの補強と「サードの練習」の裏側

西武について西尾は、平良海馬にメジャー挑戦の話もあり投手も欲しいが、リリーフの投手が先発に回ることもあり、野手のほうが優先度が高いとみる。2桁本塁打は外国人選手だけで、近年上位で取った野手は中距離打者や守備型の遊撃手が多い。大砲が欲しい一方で、1位を投手にした場合、2位以下で取れそうな面白い選手として日本航空石川の二刀流選手を挙げた。身長190cm、体重100kg前後で、投げても150km前後、打撃の評価のほうが高く、夏までは投手か外野だったが今は三塁の練習もしているという。

斎藤が、三塁の練習を始めたのはどこかの球団の働きかけではないかと問うと、西尾は「あると思う」と答えた。監督とスカウトに信頼関係がある場合、ここを守らせてもらえないかと頼むことがあるという。西尾は例として、度会隆輝がENEOSにいた頃、DeNAの一軍とのオープン戦でずっと外野だった度会が三塁を守ったことを挙げた。当時DeNAのコーチだった斎藤もその試合を見ており、プロ側からのリクエストだったのではないかという西尾の見方にうなずいた。

日本ハムは左投手が細野晴希くらいしかいない。今年は大学生の左腕が多いが、高校生ではU18代表に選ばれた高岡第一の前田投手がいる。上背はないがボールが素晴らしいと西尾は評価した。西尾によれば、富山の高校から直接ドラフト1位で指名されれば史上初になるという。富山出身の西川は、夏の甲子園最高成績がベスト8で「47都道府県で一番勝てない」富山県にとって大ニュースになると喜んだ。

39:17

オリックス・川尻と、斎藤自身の「右肩上がり」の記憶

オリックスについて西尾は、昨年高校生投手中心だったため今年は大学生とみて、青山学院大の鈴木と、評価を上げている亜細亜大学の川尻投手を挙げた。川尻は秋季リーグでノーヒットノーランを達成し、身長190cm前後で体重もある。西尾のスピードガンで158kmを計測し、これは西尾が測ったなかで歴代最速だという。先発でも150km台中盤を連発し、出力の高さはナンバーワン。試合をつくる部分が課題だったが、山下舜平大のような雰囲気もあると西尾は語った。

斎藤は、春から秋にかけて右肩上がりに伸びる選手を高く評価するスカウトがいると話し、自身の1991年のドラフトを振り返った。外れ1位か2位と言われていたが、4年秋の明治神宮大会で148km前後を出し、1位で行きたいと言ってくれたのが大洋ホエールズと中日ドラゴンズだったという。事前に監督から「どうする」と言われたそうだ。

西尾は、東海大学の監督を務める長谷川氏(元ホエールズ・ベイスターズのスカウト)から、当時の東北福祉大学のいい選手は大洋・横浜か中日に行く話がついていたと聞いたと話した。斎藤は、つい最近まで「あのチームが選手を取ったから、もうあそこには出さない」といった関係があったと語り、西尾も「だいぶ減ったが多少はある」と認めた。かつては西武が伊東勤を熊本工業から所沢高校の定時制に転校させ、中日が大豊泰昭を球団職員として雇ったような手法もあったが、今はできなくなり、クリーンになったと出演者たちは確認した。

44:19

ロッテ:大学生左腕と横浜高校の池田

ロッテは昨年1位で石垣元気、3位で奥村投手と高校生投手を取り、毛利海大も獲得した。小島和哉がFAでどうなるか分からないため、西尾は大学生投手寄りではないかとみる。関西大学の米沢投手は昨年までけがで投げられなかったが、春にいきなり活躍して日本一になり、大学選手権MVPも獲得した。秋は少し調子を落としたが、フォームがよく、先輩の金丸夢斗投手に似ているという。

西尾は別の記事で、2位くらいで横浜高校の遊撃手・池田選手を推していた。ロッテの二軍には支配下登録の遊撃手がほとんどおらず、友杉篤輝や小川龍成の次の二遊間が欲しいはずだという。いけだによれば池田は150kmを投げられるほど肩が強い。実は池田はいけだの高校の体育教師の息子で、小学生の頃から甲子園に連れてきており、進路相談では熊本の高校ではなく横浜高校に行きたいと言っていたという。いけだはドラフトでかかったら「親族」と名乗るつもりだと冗談を言い、斎藤は自分もドラフト1位になったら親族が増えたと笑った。西尾は、守備は安定しているので課題は打撃だと述べた。

47:40

打撃と守備はプロで伸びるのか

ここで斎藤が他の3人に逆質問をした。斎藤は、打撃はプロに入ってから急激に伸びることはあまりなく、素質があったからこそあそこまで行けた人たちだと考えているという。プロ入り後に打撃が急に良くなった選手を何人挙げられるか、という問いだ。

挙がったのは、守備職人と言われながら2000本安打を達成した宮本慎也、古田敦也、辻発彦らだった。ただ斎藤は、辻はもともと4番を打っていて、森監督のもとでバットを短く持ち右方向に打つようになったと聞いており、元々持っている人だったのではとみる。投手出身の石井琢朗や、カープが打者として取りたがっていたと本人から聞いた野村弘樹の例も出たが、歴史の長さを考えると挙がる人数は少ないと出演者たちは認めた。

逆に守備は伸びるのかという問いには、具体例が多く挙がった。ヤクルト入団当初の岩村明憲は三塁守備が下手で、ノックを受けすぎて切れてグラブを叩きつけたことがあると聞いた話が紹介された。西尾は、岡本和真は高校時代に投手と一塁しかやっておらず、巨人のコーチが守備について教わったことがないと聞いて驚いたが、プロ入り後に教わり、オフに言われたことをやってきて上達したと紹介した。斎藤は、新井貴浩(現広島監督)がビジターの練習後も、紐を外して手袋のような状態にしたグラブで三塁のファウルゾーンでノックを受けていた姿を今も覚えていると語った。西尾も大学の先輩から、新井の送球はひどかったと聞いたという。

51:55

高校時代は無名だった「隠し玉」たち

斎藤が「3位でも5位でもいいからこの選手」という人はいないかと問うと、いけだと西尾は楽しみな選手は多いと答えた。

西尾が挙げたのは東北福祉大学の外野手・佐藤選手だ。報徳学園では投手だったがイップスになり、3年から外野に転向、最後の夏は背番号2桁だった。大学で本格的に野手になり、昨年急成長して大学選手権でMVPを獲得。まだ粗さがあり、守備でもミスがあるが、肩が強く右打ちの長距離打者で面白いという。同じ報徳学園で控えだった岡田選手も、NPB選手を1人も出していない大阪工業大学で活躍しており、高校で背番号2桁だった外野手2人が揃ってプロ入りしそうだと話した。

いけだは千葉の大学でプレーする吉川投手を挙げた。習志野高校時代は3番手か4番手で、習志野の試合をほとんど見ていたいけだも、高校野球を数多く見ている西尾も記憶にないほど無名だった。大学ではピザの宅配をしながら野球を続け、150km超の投手に成長。2部だったチームを自らの力で1部に上げ、最近では珍しく完投を重ねるという。今は上位候補とも言われていると紹介した。

さらにいけだは、カナダのブリティッシュコロンビア大学の杉本選手を挙げた。投げては158km、打球速度は170km超、50mは6秒フラット前後、体脂肪率9%という数値に度肝を抜かれたという。中学卒業後に日本の高校野球を経ずに留学した選手で、年齢は23歳前後とみられる。西尾によれば、昨年は日本ハムの練習に参加しつつ進路を迷っていたが、今年はNPB志望だという。ある球団のスカウトが夏場、東京大学のオープン戦に「極秘だ」と言われて行ったら、相手がブリティッシュコロンビア大学で、他球団のスカウトも大勢来ていたという。157kmが出ていたが制球はまだまだで、育成指名が面白いのではという話だと西尾は紹介した。

57:14

楽天:捕手を2人取る選択肢

楽天についていけだは、まず捕手が欲しいと話した。渡部が筆頭だが競合も考えられるため、次に誰を取るかが重要になる。いけだが推すのは亜細亜大学の前島選手で、横浜高校出身、日本代表にも選ばれた。捕手としての能力が高く、外れ1位でも十分だと思うほどの選手で、肩は渡部より前島のほうが強いという。斎藤も、捕手を重視する球団なら2人目も捕手で行くチームが1つ2つあってもいいと応じた。いけだは、楽天は2位のウェーバー順が最も早いため有利だと指摘した。

外野手については、榊原のような選手は競合しやすいため、取れなかった場合の右の強打者が必要になる。西尾は藤沢以外の候補として大阪商業大学の春山選手を挙げた。関西六大学リーグの本塁打記録(13本)を作ったスラッガーで、守備と走塁は平凡なため1位は難しいが、2位で欲しい球団は十分あるという。監督から「次打たなかったらプロ志望届を出させない」と言われた打席で実際に打った選手で、斎藤は「打てなかった俺とは大違い」と笑った。

1:00:11

ドラフト全体の注目点

最後に3人が全体の見どころを語った。いけだは、織田の決断で各球団が慌てており、本来なら重ならなかったはずの選手が競合する「アナザーストーリー」が生まれる可能性を指摘した。方針を変えずに行く球団もあるだろうが、織田という話が出ていたソフトバンクがどこに行くかが楽しみだという。

西尾は、昨年の佐々木麟太郎の指名には驚いたが、今年も織田がいなくなったことで「そこか」というサプライズの1位がどこかで出そうだと話した。1位指名は渡部、織田、鈴木、川尻あたりが多いとみつつ、サプライズ指名に最も注目しているという。

斎藤は、野球で重要なのは投手と捕手だとして、どの球団がどの順位で誰を捕手として取るかに注目すると語った。西川からアメリカでも同じ考え方かと問われると、アメリカはポジションに関係なく選手の能力で指名し、ポジションは後からトレードなどで活発に調整するため事情が違うと答えた。日本では取って育てるストーリーを作りたい傾向があり、高校や大学からのストーリーがあればなおよい。だからこそ、捕手がドラフトの要になる部分を見ていきたいと斎藤は締めくくった。