OpenAI会長が率いるシエラは、コールセンターをどうAI化しているのか:日本統括・森川馨太氏に聞く
TBS CROSS DIG with Bloombergコールセンターに電話すると長く待たされ、チャットボットに質問してもまともな答えが返ってこない。この問題に取り組んでいるのが、米スタートアップのSierra(シエラ)である。創業者はOpenAIの会長で、Salesforceの元共同CEOのブレット・テイラー氏だ。番組冒頭の紹介によれば、企業価値は約2兆5000億円に達し、ソフトバンクグループの孫正義社長がデモを見て「ファンタスティック」と評したという。シエラは今年3月に日本のスタートアップOPERA TECH(オペラテック)を買収し、日本に本格進出した。
TBS CROSS DIG with Bloombergの番組「1on1 Tech」で、ビジネスエディターの中川雅博氏が、オペラテック創業者で現在シエラの日本事業を統括する森川馨太氏に話を聞いた。テーマは三つある。シエラのAIエージェントの実力、コンサルティングだけでは実現できない「本当のAI化」、そして最先端企業から見たAGIである。収録日は2026年9月8日。
シエラは何を提供している会社か
森川氏によると、シエラは顧客体験(CX)向けのAIエージェントと、その構築プラットフォームを提供する会社である。「CX」という言葉だけでは曖昧なので、同氏は用途を三つに分けて説明した。一つ目はカスタマーサポート。二つ目は営業で、特に消費者向け(B2C)が多い。三つ目は最近増えている債権回収で、未払い金の回収などをAIエージェントが最初から最後まで担う。
競合になる前に組むことを選んだ:オペラテック買収の経緯
シリコンバレーを代表する企業が日本のスタートアップを買収した例は少なく、スタートアップ界隈でも注目された。森川氏の説明では、オペラテックは「シエラの日本版」を目指していた会社だった。対象はコールセンター・コンタクトセンターで、なかでもシステム、セキュリティ、業務のいずれも複雑で保守的な大企業のコールセンターのAI化を手がけていた。
米国でシエラが急成長していることは当然知っていた。そこで研究目的で、さまざまなつてをたどってシエラ社内の人と話すようになったのが最初の接点だという。2025年の終わりから2026年の初めにかけて、森川氏は「シエラはいずれ日本に来るだろう」と感じていた。事実として確認したわけではないが、ソフトバンク・ビジョン・ファンドからの出資も発表されていたからだ。シエラが日本に来れば、オペラテックの事業領域と完全に重なり、正面からの競合になる。
オペラテックは、ビッグテックや国内大企業とのコンペで勝つことも少なくなかった。それでも森川氏は、短期戦と長期戦は別物だと考えた。短期決戦なら局所的には勝てる。しかしブランド力、資金力、プロダクトの厚み、そこから得られる流通面での優位を考えると、資金と世界一のプロダクトと強力な創業者を持つプレイヤーと5年単位で正面から戦うのは非常に危険だ、と判断したという。
一方で森川氏は、本当に正面から戦う必要があるのかとも考えた。この領域は顧客ごとに個別開発が必要な、いわゆるFDEモデルである。現場の担当者とも経営層とも話せること、各顧客の事業を深く理解していること、AI開発の知識とエンジニアを持つこと、同じ領域の経験があること、日本語をネイティブに話し英語も話せること。森川氏は、この条件を満たすのは自分たちしかいないと売り込みに行った。当初の提案は、シエラのプラットフォームをオペラテックが使って実装し、その対価として一定の割合を受け取るパートナーシップだった。話を続けるうちに、シエラ側から買収を持ちかけてきたという。
なぜコールセンターのAI化が「熱い」のか
森川氏は、課題もソリューションも明確でシンプルだからだと答えた。保留で10分待たされた末につながらない、という経験は誰にでもあるだろう。消費者の苦痛は大きい。
供給側の事情もある。日本では少子高齢化で、どの企業も採用に苦労している。さらにコンタクトセンターは、日本に限らず自然離職率が非常に高い業界で、年30〜40%程度だという。10人雇えば、年末には3〜4人が辞めている計算になる。森川氏によれば、この数字は米国、東南アジア、インドでも、金融や通信といった業界を問わず、カスタマーサポート、債権回収、営業といった用途を問わず、似た水準に落ち着くという。そこに日本の少子高齢化が重なり、運営体制の維持に頭を抱える顧客が多い。
AIで置き換えたときの効果が誰にも否定しにくい形で現れ、ビジネスとして分かりやすい点も大きいと森川氏は言う。市場規模も大きい。日本だけで外部委託のコールセンター市場が約1兆円、自社でコールセンターを抱える企業の分も約1兆円と言われ、合計で約2兆円になる。森川氏は「事業はマーケットサイズの暴力」という言い方をした。どれほど優れた製品でも市場が小さければ伸びず、市場が大きいところでは事業が伸びる、という意味だ。
実演:本人確認から料金プラン変更まで一本の電話で
番組では、架空の携帯会社「シエラモバイル」のコールセンターに電話するデモが流れた。利用者は最初に三つの依頼をまとめて伝える。選べる料金プランを教えてほしい。自分の現在の契約プランを忘れたので調べてほしい。そのまま新プランへの変更もこの電話で済ませたい。
AIはまず依頼を三点に整理して復唱し、確認を取った。続いて申し込み可能なプランを読み上げ始める。データ量が多い人向け、ポイント還元重視の人向け、データ利用が少ない人向け、オンライン手続き中心のプランなどだ。利用者が「そこまでで一旦大丈夫です」と遮ると、AIは説明を止めて次に進んだ。次に本人確認として氏名と生年月日を尋ね、社内データベースと照合したうえで、現在のプランが「シエラたっぷり」だと伝えた。利用者が変更先を「シエラ1」と答え、AIが確認を求めたところで、利用者が「やっぱりシエラちょこっとにします」と言い直した。AIは変更先を訂正して再確認し、手続きを完了させた。
中川氏は、人間相手だと頼みづらいような依頼まで出していると感想を述べた。森川氏は、これまでのチャットボットやボイスボットは一問一答が基本だったと説明した。このデモでは、ChatGPTの音声モードと同じくらい柔軟に会話しながら、問い合わせへの回答、本人確認と照合、契約情報の提示、そして社内システムを更新して手続きを完了させるところまでを一続きでこなしている。最初から最後まで複数のシステムにアクセスしてアクションを完結させることこそがAIエージェントの本丸であり、これまで難しかった部分だ、と森川氏は語った。
チャットボットとの違いを生む「ハーネスエンジニアリング」
ChatGPTとの違いについて、森川氏は次のように説明した。大企業向けでは、さまざまな社内システムと接続し、業界ごとの独特なナレッジを大量に参照して答えなければならない。そのうえで正確性と精度を担保し、一定の速さで返答する必要があり、これが非常に難しい。シエラはそこでブレークスルーを起こした会社だという。
森川氏は、そのブレークスルーを最近よく使われる「ハーネスエンジニアリング」という言葉で表現した。日本語にしにくいが、LLMを制御したり評価したりする周辺技術の総称だと考えてほしい、と同氏は言う。LLMは普通に使うとハルシネーションを起こしたり、見当違いのことを言ったりする。シエラは用途ごとに適したモデルを使い分け、それらを制御して、正確でテンポのよい応答を大企業の品質水準で実現している。森川氏は、シエラをこの分野を極めた会社だと評した。
技術的なポイントを問われると、森川氏は単一の決め手があるわけではないと答えた。例として挙げたのは二つである。音声を文字に起こしたときに正確に書き起こせているかを担保する技術。そして、メインのAIエージェントが推論の各ステップを正しく実行しているかを、別のエージェントが監視して修正する仕組みだ。こうした仕組みを地道に積み上げて、現在の安定性と精度に到達したという。
裏では25〜50のモデルが同時に動く
「OpenAIやAnthropicのモデルがあれば自分たちで作れるのでは」と聞かれることがある、と森川氏は話す。それには「作ってみてください、やると分かりますから」と答えているという。森川氏が興味から調べたところ、時期や条件で変わるものの、シエラは裏側で25〜50程度のモデルを並行して動かしていた。これだけの投資ができるのはシエラだからで、AIに特化していない一般企業が同じことをするのはほぼ間違いなく無理だろう、と森川氏は見ている。
使っているモデルは大きく三種類ある。LLM、音声を文字に起こすモデル、文字を音声に変換するモデルだ。それぞれの中でも、用途に応じて軽いモデルと重いモデルを使い分けている。モデル提供企業のものもあれば、オープンウェイトを使って自社で開発しているものもあり、それらを組み合わせているという。
「AIラッパー」という批判は聞かなくなった
中川氏は、「AIモデルが一つあれば何でもできる」という議論がある一方で、価値がアプリケーションレイヤーに移っているという指摘も最近多く、今の話でそれが腑に落ちたと述べた。
森川氏はこれに同意し、自身の経験を語った。オペラテックを始めた頃は「AIラッパー」という言葉が流行していた。モデルにUIを付けただけだろう、という揶揄である。しかし最近はあまり聞かなくなったと森川氏は感じている。現段階では、特にB2Bのような要求水準の高い領域で、モデルにUIを付けただけでは使い物にならないことが広く理解されてきた。そのためアプリケーション層の価値が認められ、需要が伸びているというのが同氏の見方だ。
孫正義氏の評価とソフトバンクとの協業
孫氏がデモを見た経緯について、森川氏は概略を説明した。シエラはビジョン・ファンドから出資を受けており、その後、ソフトバンク株式会社のいくつかのブランドでPoC(概念実証)を行った。その成績が非常に良かったこと、シエラが日本に本格進出することもあり、報告と今後の協議を重ねていたという。その一環で孫氏が実際のデモを見て高く評価し、一緒にやっていく流れになった。森川氏は細かな経緯は「色々ある」としつつ、孫氏のお墨付きのインパクトは非常に大きかったと話した。
現在、ソフトバンクとシエラは日本で一緒に販売を進めている。森川氏はソフトバンクの強みとして三つを挙げた。日本のほぼあらゆる大企業へのアクセスとそれを支える営業力、ブランドと信頼、そしてAIへの圧倒的なフォーカスである。海外のスタートアップや外資系テック企業が来ると、日本企業は「すごいらしいけどちょっと怪しい」という反応をしがちだ。そのためソフトバンクのお墨付きは大きい。同時に、ソフトバンクのブランドと信頼を損ねてはならないとも強く感じているという。森川氏はソフトバンクワールドにも参加した。孫氏の話も宮川氏の話もすべてAIで、メッセージが非常に明確だったと振り返り、使命感が共通しているので話が噛み合うと語った。
導入事例として中川氏が紹介したのがLINEMOである。森川氏によれば、LINEMOのチャット対応は現在、全面的にシエラで動いており、消費者がすでに使っている。中川氏が挙げた数字では、問い合わせ解決率が従来の83%から97%へ、顧客満足度が74%から93%へ上がった。
日本の問い合わせ対応はいつ、どう変わるか
今後の見通しについて森川氏は、この1年ほどで「電話をかけたらAIが出る」ケースがぽつぽつ現れ始めると予測した。その後の2〜3年で、現在の水準の生成AIが電話やチャットに対応する事例が加速度的に増えるという。大企業向けの実装は、テストして終わりというものではない。本番に出して安定させるまでに時間がかかるため、市場全体ではその程度の期間が必要だというのが同氏の見立てだ。
ただしシエラ自身は実装スピードに自信を持っており、次の数カ月で事例が次々に出てくるとも述べた。その理由として挙げたのは、エージェントの設計、構築のためのプラットフォーム、実行部隊であるFDEとストラテジスト(社内では「エージェントデベロップメント」と呼ぶ部隊)の三つの組み合わせである。
コールセンターから人はいなくなるのか
森川氏は、人がいなくなることはないと考えている。人にしか対応できないこと、人の方が得意なことは残る。人らしいサービス品質が求められる場面も一定程度残るはずだという。たとえばクレーム対応をあえてAIに任せるか人が担うかは、ビジネスの形態や経営判断による。それでも、強い不満を持つ顧客に人が誠心誠意対応することにはインパクトがある。AIは責任を取れない、という中川氏の指摘にも同意し、今後はAIと人の住み分けが進むだろうと述べた。
用途の広がりについては、カスタマーサポートから営業、債権回収へと領域が広がってきた。「もしかしたら、よりリアルな場にも」という可能性に触れたが、中川氏の「フィジカル・シエラ」という冗談には「いろいろな方向がある」と答えるにとどめた。
FDEとストラテジスト:「本当のAI化」を担う体制
第二部では、技術だけでは足りない部分に話が移った。森川氏は起業前にマッキンゼーにおり、そこでもコールセンター関連の案件を手がけていた。プロダクトがあるだけでも、コンサルティングだけでも、最後までやり切れない。そこで出てくるのがFDE(フォワード・デプロイド・エンジニア)である。
森川氏によると、ここ1年ほどで日本でも急速に広まったこの言葉の役割は、大きく二つしかない。一つは、顧客ごとに合わせて開発・実行すること。ただ、これだけならコンサルティングやシステムインテグレーターの伝統的なビジネスと変わらない。もう一つは、個別開発の中で見えてくる共通の課題をプロダクトやプラットフォームに還元し、次の顧客がプラットフォーム側で解決できるようにすることだ。毎回個社向けに作るのではなく、提供を重ねるほど皆のためのものになっていく状態を目指す。
森川氏は、これは新しい話ではないとも言う。B2BのSaaS起業家なら昔から同じことをしてきた。これまでプロダクトマネージャーと事業開発を兼ねる人がやってきたことを、チームを大きくして誰もができるようにした方法論がFDEだ、というのが同氏の整理である。パランティアが言い出して話題になったが、という中川氏の言葉にも同意した。
自身の起業経験の中で、森川氏には一つの疑問があった。開発の腕がありながら顧客と話し、顧客の組織も動かせるような人が本当にいるのか、という疑問だ。結論として、スーパースターはいるものの、一人ですべてをこなす例は少ない。そこでコンサルティングやプロダクトマネージャー出身の「デプロイメント・ストラテジスト」(パランティアの用語。シエラでは「ストラテジスト」)とFDEが最小単位で2人1組になり、実装を進めるのが今の標準になりつつあるという。
「ラスト10マイル」と「AIは政治だ」
コールセンターでも個別対応が必要な理由として、森川氏は顧客ごとの違いを挙げた。扱う商材もビジネスも違う。システム構成も違う。セキュリティの要求水準も違う。自社で開発したい企業もあれば、すべて任せたい企業もある。シエラでは「ラスト10マイル」という言葉を使う。「ラストワンマイル」より長い、最後の詰めの部分が多く存在するという意味で、そこにFDEとストラテジストが入り込む。
中川氏は、新しいスタートアップのシステムならクラウドやMCPで比較的スムーズにつながるが、大企業には古いものから新しいものまでシステムが混在し、顧客情報を取りに行くのが迷路のようになるのではと問うた。森川氏はこれを認め、システムは一つではなく多数あると説明した。どこからつなげば大きなインパクトが出るかというビジネス上のROIの視点と、技術的な実現可能性、期間やスピード感を総合的に考える必要があるという。
そのうえで森川氏は、あるシステムをAPIでつなぐこと自体は技術的にそれほど難しくないと強調した。難しいのは、そのシステムを管理する部門の許可を取り、承認プロセスを通すことだ。大企業ほどガバナンスが効いており、勝手に進めることは許されない。だからFDEが技術的な接続を担い、ストラテジストが関係者を説得して組織を動かす。両者が互いの領域をある程度理解している必要がある。
中川氏が「めっちゃ社内政治ですね」と言うと、森川氏は別の場でも語った言葉を繰り返した。社内システムとつないでアクションを実行していくのは、技術ではなく政治である、と。多少大げさに言っているとしたうえで、さまざまな人のインセンティブや事情に配慮しなければ永遠にベンダーのままで終わると補足した。配慮しつつも積極的に説得して物事を進めるコンサル的な力と、実装力とをセットにするのがFDEモデルだ、と森川氏はまとめた。
成果報酬型の課金はどう測るのか
シエラの課金は成果報酬型で、問い合わせがきちんと完了すると対価が発生する仕組みだという。中川氏は、どこまでできたら課金するのかを客観的に決めるのは難しそうだと問うた。
森川氏は、多くの企業との取引を通じて定義のスタンダードがあり、基本的にはそれを使うと答えた。カスタマーサポートでは、AIでどれだけ完結したかが基準になる。電話がAIで完結すれば、人が受ける入電量はその分減る。営業では売上に効いてくるため、アポイントの獲得数や、解約防止の場面で解約をどれだけ防げたかが成果指標になる。このように用途によって指標は少しずつ違う。営業ではシエラのエージェントが電話をかけるケースもあり、そこにはさまざまなバリエーションがあるという。
シエラ社内のAI化:「パインコーン」と「ゴーストライター」
顧客のAI化を進めるシエラ自身はどうなのか。森川氏は、オペラテックから移って感じたギャップも大きいとしたうえで、シエラは相当AI化されていると答えた。
中心にあるのが「パインコーン(松ぼっくり)」という社内AIエージェントだ。Slackやメール、ドライブ、資料、コードベース、そしてコアのプラットフォームにまでアクセス権を持つ。アクセス範囲は制御されており、答えられることと答えられないことの間にファイアウォールのような区切りがある。そのうえで「この顧客は今どういう状況か」といった質問に何でも答えてくれる。また、プラットフォーム上には「ゴーストライター」というAIエージェントもいる。森川氏はこれを、Claude CodeやCodexのCX向けAIエージェント版だと説明した。シエラは顧客向けのCXエージェントをすべてAIで作っているという。スライド作成も社内調査もコード開発もAIで行っており、AIが使われていない場所を探す方が難しいほどだと森川氏は語る。
買収が完了した3月末の時点では、開発用、営業関連の調査用など、用途別に五つほどのAIエージェントが社内に乱立していた。それが現在はパインコーンに集約され、あらゆる情報に答えてくれるようになって圧倒的に便利になったという。
社内の仕事をAIに任せて顧客と向き合うということか、と問われた森川氏は、仕事が二極化している感覚があると答えた。一方は、徹底的にAIを使って効率的に進める仕事。もう一方は、それで空いた時間を使う、極めて泥臭い仕事である。中川氏が、AI以前ならもっと多くの人と時間とお金が必要だったことが、スタートアップ規模でできるようになったということかと確認すると、森川氏はそうだと答えた。コンタクトセンターで人の役割が残るという先ほどの話も、本質的には似たことだという。
GPT-6 Astraの登場でAGIは来たのか
第三部では、OpenAIが先日公開したGPT-6 Astraが話題になった。中川氏は、これをAGIだとする声とそうではないとする声があり、NVIDIAのジェンスン・フアン氏の発言も話題になっていると紹介した。
森川氏は、完全に私見の「感覚値」と断ったうえで、「AGIが来た」という話は「3割ポジショントーク、7割は結構本当」だと答えた。AGIは定義が拡散しているため、議論に意味があるようでないところもある。一般論としての「あらゆる人間と同等以上の知性やタスク実行能力」に完全に到達したと言うのは、正直まだ難しいと考えている。一方で、そこに到達するためのサイクルの入り口についに入った、というのは事実に近いと思っているという。
森川氏が実際にAstraを使い、調べたうえで大きな進歩だと感じた点は三つある。
一つ目は、何も教えられていない状態から新しい方法を編み出す力、大げさに言えば発明する力だ。前世代のモデル(字幕では「5.6」と聞き取れる)と比べて劇的に上がったという。例として、ARC-AGI-3とみられるベンチマーク(森川氏自身も名称を「ですかね」と確認しながら挙げた)で、7〜8%程度だったスコアが一気に99.9%程度になったと述べた。AGIの核心は自己改善にある。セルゲイ・ブリン氏が社内で「再帰的な自己改善(リカーシブ・セルフインプルーブメント)が一番大事だ」と語ったらしいとして、森川氏はその基盤となる能力がついに出てきたと見ている。
二つ目は、シエラの事業にも関係する「コンピューターユース」の性能向上だ。AIが画面上でマウスを操作してクリックする能力である。社内システムとつなぐにはAPIやMCPといった接続口が必要だが、システムによっては接続口がない。作ろうにも古すぎて誰も触れない場合もある。そういうとき、裏側から直接データを取るのではなく、オペレーターと同じようにUIを操作すれば理論上は接続できる。大企業のセキュリティの壁やセキュリティ上の理由でできない部分もあり、細かな課題は残るが、大きな流れとして可能性が広がったと森川氏は話す。開発期間が短縮されるというより、つなげられなかったシステムを別の方法でつなげられるようになる、という意味だという。
三つ目は、長時間にわたる複雑なタスクを処理する「ロングホライズン」の能力が劇的に向上したことだ。シエラは複雑なビジネスアプリケーションを長期間扱うため、ここも個人的にインパクトが大きいという。総じて、AGIへ向かう最初の地点に立ったという感覚を、多くのAI業界関係者が持っているのではないか、と森川氏は語った。
モデルの進化はプロダクトをどう変えるか
シエラ社内では、新しいモデルが出るたびに試し、それを前提にプロダクトを開発している。プロダクトが大きく変わる可能性はあるのかと問われると、森川氏は、実際に使って実験しないと分からないと答えた。理論上は大きく変わってもおかしくないとしつつ、逆の例も挙げた。
それが音声to音声(スピーチ・トゥ・スピーチ)のモデルである。シエラの現在の構成は、音声を文字に起こし、LLMで処理し、文字を音声に戻す「カスケード式」だ。これに対し、音声を音声のまま処理して返すモデルが少し前に話題になった(森川氏は「GPTライブ」と呼んだ)。こちらの方が反応は速い。しかしシエラ社内では、このタイプの完璧なモデルについて「あと9カ月ぐらいで来る」と過去27カ月言い続けてきたという。ずっと試しているが、大企業のサービス品質を満たす形での応用は結局できていない。そのため現時点では、完全に置き換わると断言できない。ただ普通に考えれば、大きなインパクトはあるだろうと森川氏は見ている。
膨大なサポート対応のやり取りを持つシエラなら、自ら基盤モデルを作れるのではないか。中川氏のこの問いに、森川氏は、どこまで話してよいかという前置きをしたうえで答えた。シエラはあくまで応用AI、アプリケーションAIの会社である。既存の基盤モデルをファインチューニングすることはよくやっている。しかし本物のフロンティアモデルを作るには桁違いの設備投資が必要で、それができる企業は世界にもう数社しかないというのが同氏の認識だ。
1年後は予測できない、それでも見えていること
最後に1年後のAIエージェントの世界を問われ、森川氏は、この領域は1年後を予測するのが最も難しいと笑いながら答えた。そのうえで、AGIに近いものが次々に近づいている点について自身の考えを語った。
AGIが来たと言っても、その多くはパソコンやインターネット上、つまりデジタル空間に閉じた話だ。業界の人は興奮するが、朝起きてご飯を食べて寝るという日常が根本から変わる感じには意外とならないのではないか、と森川氏は考えている。本当に大きいインパクトは、AIによって新しい発明が次々に生まれることだという。すでに生まれ始めており、今後は加速度的に増えるはずで、その果実が他のあらゆる産業に及んでいく。
あわせて森川氏は、セーフティやセキュリティの問題にも触れた。これまで倫理的・哲学的な議論だったものが、ついに実務的な問題になってきたことが大きい、と指摘した。中川氏も、まだ予想がつかない世界でビジネスが行われていると応じ、対談は終わった。
ワンオンワンテック始まります。今日のテーマは、孫正義が驚愕したAIエージェントの正体です。突然ですが、コールセンターに電話したら延々と待たされたり、問い合わせのチャットボットにいろんな質問をしても全然答えてくれないとか、そんな経験、皆さんあると思います。私もあります。
そんな中、ソフトバンクグループの孫社長を思わずファンタスティックと言わせたAIがあります。それがシエラというアメリカのスタートアップが作った、コールセンターのAIエージェントです。この創業者がAI界の大物なんですね。OpenAIの会長で、元Salesforce共同CEOのブレット・テイラー氏なんですけども、すでにこの会社の企業価値はおよそ2兆5000億円。ユニコーンを超えて、いわゆるデカコーン企業になっています。そして今年3月には日本のスタートアップを買収して、日本に本格進出しています。
今回はそのスタートアップの創業者で、現在はシエラの日本事業を率いていらっしゃる森川馨太さんに、AIエージェントの正体について伺っていきます。森川さん、よろしくお願いします。
よろしくお願いします。よろしくお願いします。
今日は3つのトピックでいろいろ伺っていければと思います。AIエージェント、世界レベルの実力。コンサルだけではできない本当のAI化。そして最後が、最先端企業が考えるAGIというところで。最初なんですけども、AIエージェント、世界レベルの実力というところで、まずシエラという会社。AIをすごくフォローしている方だったら、この会社の名前を聞いたことがある方も多いかもしれないんですが、まだまだご存じない方も多いと思うので、そもそもこのコールセンターのAIエージェントって何なのか、シエラって何なのかというところから伺えますか?
はい。シエラは、カスタマーエクスペリエンス、顧客体験ですね、のAIエージェントと、その構築プラットフォームを提供している会社です。これ、CX、カスタマーエクスペリエンスでいうと、ちょっとふわっとするんですけれども、具体的には3つユースケースがありまして、いわゆるお客様からのサポート、カスタマーサポートですね。あともう1個が営業。特にB2C向けの営業が多いですけれども、営業。3つ目は最近増えていますけれども、債権回収の領域ですね。ここもAIエージェントが最初から最後まで、それをやりきると。
未払いの回収だったりというところをやるっていうのが、シエラが提供しているサービス、プロダクトになります。
なるほど。その会社が、森川さんが立ち上げたOPERA TECHという、これは日本のスタートアップだったんですけど、ここを買収するっていうのは今年3月ですかね。これも異例なことだと思います。アメリカのシリコンバレーのテックの中心みたいな会社が、日本のスタートアップを買収するって、あんまり例がないなって、スタートアップ界隈でも結構注目されたんですけど。そもそも森川さん、どういう事業をこの時やっていらっしゃって、どういう経緯で買収になったんですか?
はい。すごく簡単に言うと、シエラの日本版みたいなことをやりたいなと思っていました。我々は特にその中でのコールセンター、コンタクトセンターで、かつ大企業ですね。本当にシステム的にもセキュリティ的にも業務的にもすごく複雑な、ガチガチな、非常に保守的な大企業様のコールセンターのAI化をやっていました。
これをやるにあたって、やっぱりアメリカでシエラっていう会社が爆速で伸びている。我々のように伸びているっていうのは、当然AIの起業家ですので知っていたので、元々シエラを研究する目的ですね。いろんな手で、中の人だったりとかと話して、というところから始まっていたのがきっかけですね、最初の。
そこから買収されるって。
そこからシエラが、2026年ですね、去年の終わりから今年の初めにかけて、事実としては分からないですけど、なんとなくこれはもう日本に来るだろうと。ソフトバンクさんのビジョンファンドさんの出資も発表されていますし。なので、シエラが日本に来たら、我々の領域ともろかぶりするところになるので、もうガチガチのコンペティターになるだろうと。
我々もOPERAでやっていた時に、大企業の、いわゆるビッグテックの会社さんだったりとか、日本の中での大企業さんとコンペになることがあって、これに勝つみたいなのがポコポコ出てきたんですけども、やっぱり長期戦になると話が違うっていうふうに私は思って。要は短期戦でコンペに勝つってなると、短期決戦で勝っていける。局所的には勝っていけるんですけど、じゃあ長期戦でって考えた時に、ブランド力だったりとか、資金力だったりとか、プロダクトの厚みだったりとか、あとそこから得られるディストリビューション、これはうまくやる必要がありますけれども、流通に対するエッジだったりとかっていうことを考えると、資金力があって、世界一のプロダクトがあって、こういったファウンダーが、といったプレイヤーがまともに乗り込んでまともに戦ったら、長期戦では結構厳しいなっていうのが、なんとなく頭に。
何年も先の戦略を考えたら、勝てないかもしれない。
5年ぐらいを考えると、正面からぶつかるのは非常に危険だなというふうに思っていました。その時に、私は言うて事業家というかなので、でも一方で、本当に正面から戦う必要があるのかとも思ったんですね。
要はこの領域って、いわゆるFDEモデルっていって、お客さんによって、単純に言うと個社開発を起こしていかなきゃいけないと。そうするには現場の人とも話せて、エグゼクティブの方とも話せて、各クライアントさんに対する深い事業理解もあって、当然AIの開発だったりとか、AI自体の開発に対して深い知識とエンジニアたちがいて。同じ領域でやっていて、日本語もネイティブで話して、英語も話してってなると、うちがいますよと、というピッチをしに行って。
要は我々がプラットフォームを使わせてもらって、我々が実装するから、その分いくらか何パーセントかっていうところのパートナーシップの話を。
うちと組まないかっていうところから始めたんですね。
はい。というところから始めて、そこが話が続くうちに、途中から買収にしたいということで、向こうから来たっていう感じの経緯ですね。
そうなんですね。でも、なんでこのコールセンターとAIの領域、熱いんですか?
まず課題がすごく明確で、そのソリューションも明確で、すごくシンプルっていうのが、端的に言うとそういうことだと思うんですけど。
かけても、自動音声が全然要領を得ないみたいな、みんな体験していますからね。
はい。やっぱりユーザーの方っていう意味だと、本当にコールセンターで長いこと保留されて、10分間待たされて、結局つながらないことでめちゃくちゃイライラするみたいなことって、誰も1回は経験したことがあるんじゃないかなと思いますし、そういった意味では消費者の方の痛みというか、ペインというかっていうのは大きいっていうのはありますし。と同時に、特にコンタクトセンター、コールセンターのところで言うと、日本は特になんですけど、やっぱり高齢化がかなり効いているっていう。
働いている方。
そうですね。人口全体の少子高齢化があるので、とにかくどこも採用難になっています。もう1個は、これ日本に限らずなんですけど、コールセンター、コンタクトセンターって、自然の離職率がものすごく高い業界なんですね。大体30%から40%ぐらいになってくる。要はどういうことかというと、10人雇ったら、1年の終わりに3、4人辞めちゃっている。これ、自然に放っておいたら辞めちゃっているっていう、そういう業界なんですよね。
これ、面白いことに日本だけじゃなくて、アメリカでも東南アジアでもインドでも、かつ業界問わず、金融業界でも通信業界でも、あとユースケースも問わずですね。カスタマーサポートでも債権回収でも営業でも、自然と似たような数字に収れんしていくんですね。かける日本における少子高齢化のダブルパンチで言うと、コンタクトセンター、コールセンターを抱えていらっしゃるお客様とお話しすると、どこもやっぱり採用難だったりとか、運営、稼働を維持させるっていうことに、ものすごく頭を抱えていらっしゃるお客さんがたくさんいらっしゃいます。
というのがあって、じゃあこれ、AIでやったらいいよね。しかもそれってすごくビジネスとしても分かりやすいよねというところで、あんまり、これをどうやったらいい、いくら時間を節約とか、そういう次元じゃなくて、誰も否定できない費用対効果が出るみたいな話があるので、というのがまず1個あるのと、あとやっぱり産業として大きいっていうのもありますね。
そうなんですね。
はい。外注でコールセンターを抱えていらっしゃる市場って、大体1兆円ぐらいって言われていて。
日本。
日本だけです。加えて、それの内製、自分たちでコールセンターを抱えていらっしゃるお客さん、これも1兆円ぐらいって言われているので、非常にマーケットとしても大きい。
AI化の余地のあるコールセンター市場が、もう2兆円ぐらいあると。
そうですね。これは非常に重要な点でして、結局やっぱり事業はマーケットの暴力、マーケットサイズの暴力みたいな。マーケットサイズが大きいところは事業は伸びるし、どんなに素晴らしいものでも小さければっていうのはあって、というのが背景としてあるんじゃないかな。
なるほど。じゃあ、そのシエラのAIエージェントは一体どんなものなんだというところで、デモ動画を持ってきていただいているので、ここでご覧いただきます。
これはシエラモバイルという会社に問い合わせている想定ってことですね。
はい。コールセンターです。
お電話ありがとうございます。シエラモバイルのお客様センターのAIです。今日はどのようなご用件でしょうか?
すいません。ちょっと相談したくて、最近携帯電話の料金がちょっと高いなと思っていて、料金プランの変更を考えています。なので、そもそもどんな料金プランが選択可能なのか教えてほしいというのと、あと自分が今契約している料金プランを忘れちゃったので、それも調べるのが面倒くさい。最後に、そのまま新しい料金プランの申し込みもこの電話でやってほしいと思っているので、よろしくお願いします。
つい、できなさそうって思っちゃうようなことまで今お願いしています。
承知いたしました。少々お待ちください。承知しました。ご相談内容は、1、今選べる料金プランを知りたい。2、今ご契約中の料金プランを確認したい。3、その上で新しい料金プランへの申し込みも進めたい、の3点ですね。この内容でよろしいですか?
はい。これ、常にリアルタイムだから、AIが今処理している。
後ろのいろんなものを照会して。
現在お申し込み可能な主なスマホ向け料金プランは、シエラたっぷり、データ通信を多く使う方向け。シエラたっぷり還元、シエラポイントの還元を重視する方向け。還元20、シエラポイントの還元を重視する方向け。ちょこっと、データ利用が少ない方向け。1、オンラインでのサポートを基本とするプラン。シエラ5スタートプラン。
そこまでで一旦大丈夫です。
かしこまりました。では次に、今ご契約中の料金プランを確認するため、ご登録の電話番号にひもづくお名前と生年月日をお聞かせいただけますか?
戸田大輔です。生年月日は昭和63年の5月2日です。
確かによくある確認ですね。個人のね。
確認しますので、少々お時間をいただきます。
これでまたデータベースへのアクセスですね。
シエラたっぷりです。続けて変更したい料金プラン名をお聞かせください。
シエラ1にします。
承知いたしました。
これ、なんかAI相手じゃないと頼みづらいですね。
現在の料金プランはシエラたっぷりで、変更先はシエラ1ですね。この内容で料金プラン変更を進めてよろしいですか?
ちょっとごめんなさい。やっぱりシエラちょこっとにします。
承知しました。現在の料金プランはシエラたっぷりで、変更先はシエラちょこっとですね。この内容で変更してよろしいですか?
はい、大丈夫です。
料金プラン、シエラちょこっとへのお申し込みを承りました。他のご依頼も含めて、今回のご用件は全て解決しましたか?
はい、大丈夫です。ありがとうございました。
電話1本で、プラン変更がもうできちゃうことだって、できるってことですね。
そうですね。今何をやっていたかというと、これまでのこういった似たようなチャットボットとかボイスボットって言われるものって、一言言ったら一問一答で返してくれるぐらい、それぐらいが結構限界。
そうですね。特に電話だと、まどろっこしいですよね。やってられないみたいな。
はい。これを、いわゆるChatGPTのボイスモードだったりとか、チャットで話しているのと似たようなレベルで、柔軟に会話できると。ただし、ChatGPTと違うのは、いろんな大企業のエンタープライズグレードの社内システムとつないだりとか、ものすごい量の独特なナレッジを入れて答える必要があるので、その正確性だったり精度を担保する。それをきちんと、ある程度のスピード感で返すっていうのがものすごく難しいんですね。
シエラはそこがすごくブレイクスルーがあったという会社なんですけれども、今何をやっていたかというと、お客さんがわーっと、これをやりたいんだけどって話した時に、1回これを整理して、こういったことをやりたいんですねっていうことを問いかけて。
そこから、実際お客様が、そもそもどういったプランが元々あるんだっけっていう、いわゆるお問い合わせ的なお話から、本人確認をして、その社内のシステムの本人の情報と合っているかを照合して。そこから、その契約者の方が加入しているプランっていうのを、これですよっていうお話をして。そこまでは照会してお伝えする、照会して照合する。手続きを完結させるので、要は社内システムを更新しに行かないといけないです。
確かに。
はい。これがいわゆるAIエージェントの本丸と言いますか、要は最初から最後まで、いろんなシステムにアクセスして、アクションを完結させるっていうのが、なかなか今まで難しかったところが非常にできるようになってきているっていうのが違いですね。
そのシエラのブレイクスルーって何だったんですか?
シエラはいろいろあるんですけど、私に言わせると、ハーネスエンジニアリングって言葉が最近はやっていますが。
ハーネス、日本語で言いづらいんですよね、これ。
日本語で言いづらいですね。要はAIを制御したりとか、評価したりだったりとか、そういった周辺の。AI、LLMを制御するいろんなテクニックだと思ってください。これをシエラは極めた会社だと思っていて。
いわゆるLLMって、普通にやっていくと結構、ハルシネーションとか、全然違うことを言ってしまったりっていうことがよく起きていたんですけれども、そのLLMもいい形で、しかもいろんな適材適所のモデルを使って、制御しながらきちんと正確に、テンポよくお客様の求めていることに応答して、それを大企業クオリティでやっていくっていうのが、非常に大きなブレイクスルーっていうところですね。
それ、技術的には何がポイントだったんですかね?
技術的には、これはなかなか1つっていうところではなくて、このハーネスエンジニアリングの1つの分野になるので。本当に、分かりやすいところで言うと、音声から文字に起こした時に、それが正確に書き起こしされているかっていうのをきちんと担保する、いろんなテクニック、技術だったりとか。じゃあメインのAIエージェントが、きちんと1個1個の推論といって、その考えたステップっていうのを本当に正しくやっているのかっていうのを、もう1個の別のエージェントが監視して修正していくシステムだったりとか。こういうたくさんの仕組みがあるので、これを地道に積み上げてきて、ここまでの安定性、精度まで来たっていうところ。
だから、GPT何々とかClaudeとかって、パーンって1つのモデルを使って、そのモデルだけ投入しちゃできるものでは全然なくて。今って何でも自動で開発できるとか言われていますけど、結構泥臭い。
ものすごい。もちろん、それを開発するためにはAIを使って爆速でやっているものの。
設計思想みたいな。
そうですね。そこのいろんな泥臭い裏にある仕組みっていうのは、かなりの投資と時間が投資されていて。分かりやすいところで言うと、よく、OpenAIとかAnthropicのモデルで自分たちで作れるでしょうみたいなことを、たまに聞かれることがあるんですけれども、作ってみてくださいと。やると分かりますから。
これ、実は1回、私が興味があって調べたんですけど、裏で、これは時とあれによって違うんですが、本当に25個から50個ぐらいのモデルを同時並行的に走らせているんですね。これは我々だから、そこまで投資してやっているのでできますけれども、普通の、AIに特化していない会社ができるかと言われたら、ほぼ間違いなくできないと思う。
GPTはGPTでも、ClaudeはClaudeでも、その中でいろんなもの、もっといろんなものを使い分けている。
そうですね。ざっくり言うと3種類。いわゆるLLM、大言語モデルと、あとは書き起こし、音声を文字に起こすものと、あとは文字起こししてLLMにして、そこから書き起こした文字を今度は音声に変換する。これも全部別々のAIを使っているんですけど、この3種類の中で、かつ要所要所、用途によって軽いモデルを使っていたりとか、重いモデルを使っていたりとか。いわゆるモデルの会社がやっているものもあれば、一部オープンウェイトで自社で開発しているみたいなものもあれば、そこもいろんなものを組み合わせてやっている。
なるほど。それこそAIモデルが1つあれば何でもできるみたいなことをすごく言われてきて、一方で、クローズド、オープンだっていろんなモデルが出てきて、バリューの位置っていうのがモデルじゃなくて、もっとアプリケーションレイヤーに流れていくみたいな話が、最近すごく言われていますけど。今の話を聞いて、それがすごく腑に落ちたというか。モデルが1つあっても全然できることが限られて、あれやこれやとできるようになるには、その設計みたいなのが、ハーネスっておっしゃっていたところが必要だからこそ、アプリケーションレイヤーに価値が流れていくみたいな、そんなことなんですよね。
そう。一昔前、私がそれこそOPERAを始めた時とかは、AIをやっていると、AIラッパーっていう言葉がはやって。要はモデルにUIをつけただけだよねみたいな、っていう言葉がよくはやって、AI企業ってみたいなことを全体的に言われていたこともあったんですけど。やっぱり最近、結構聞かなくなったなっていうのが、個人的にもすごく感じていまして。ある程度今の現段階になると、ただモデルにUIをつけただけだと全然使えない。特にB2Bだったりとか、要求水準が高いところでは、もう全然それだけだと使えないっていうことが、みんな分かってきている。我々のようなアプリケーションの会社っていうのは、非常に伸びてきている。ニーズが出てきて、それに対して価値が理解されてきているっていうところですね。
さっきみたいなデモを、冒頭に私が話したんですけど、ソフトバンクグループの孫社長も見て、結構驚いたみたいな話があるそうなんですが。実際、ソフトバンクビジョンファンドからの投資も受けていて、こないだソフトバンク、日本の携帯の会社の方ですね、と提携もして。なんかその辺りの経緯をぜひ教えてほしいんですけど、孫さんはどんな反応だったんだろうなみたいな。
そうですね。簡単にですけれども、元々ビジョンファンドさんからシエラも出資を受けて、そこからソフトバンクさん、株式会社ソフトバンクさんの方ですね、いくつかのブランドで検証と言いますか、いわゆるPoCをやらせていただいて。そこでのパフォーマンスが非常に良かったというところと、あとはシエラも今後日本に本格的に進出してくるというところで、そこのご報告もそうですし、今後のというところで、いろいろお話をさせていただいていました。
そこで、その中の1つのところで、実際のデモだったりとかも孫さんに見ていただいて、そこで非常に高評価をいただいて。じゃあこれはもう一緒にやっていこうというところで、もちろんそこからもいろいろあるんですけれども、ざっくりとそんな感じですね。
孫さんに見せて、「おっ」ってなって、ソフトバンクとの話もかなり進んだみたいな。
そうですね。ソフトバンクさんとの、やっぱり孫さんのお墨付きっていうのは非常にインパクトがあるところですね。
なるほど。日本ではソフトバンクがシエラのサービス、ソリューションを売っていくパートナーになったっていう。
そうですね。一緒に販売をしていくと言いますか、ソフトバンクさんとシエラで。やっぱりソフトバンクさんが本当に素晴らしいのは、端的に、どこの大企業の会社さんにも基本的にはアクセスがあるっていうところですとか、あとはそれを実現している、圧倒的な営業力のある会社さんですので。そこは我々の中でも当初から、やっぱりソフトバンクさんがすごいよねっていう話をしていましたし。
あとはブランドや信頼っていうのは非常に大きいかなと思って。ソフトバンクさんのブランドと信頼をきちんと、損ねてはいけないっていうのは、すごく我々も感じていますし。逆に言うと、いろんな海外からスタートアップが来たりとか、外資系のテック企業が来て、大体の日本企業のクライアントさんからすると、ふーんみたいな。すごいらしいけどちょっと怪しいみたいな。そういった反応がよくあるんですけれども、やっぱりソフトバンクさんからお墨付きをいただいているっていうのは、そういった意味ではすごく大きい。
あとは、最後に特にソフトバンクさんが非常にユニークなのは、圧倒的なAIに対するフォーカスと言いますか。今回ソフトバンクワールドにも私、参加させていただきましたけれども、孫さんもAI、AI、AIしか。
そうですね。もうずっとですよね。
本当にだいぶしばらくそうだと思いますけど、今回も本当にそこの話でしたし、宮川さんのお話も全てAIでしたし、やっぱりメッセージとして非常にクリアですよね。ソフトバンクさんの次の大きなところはAIでやっていくっていうところが非常にクリア。そこはやっぱり共通のミッションと言いますか、すごく会話がかみ合うっていうところがありますね。
なるほど。実際、LINEMOでチャットの対応に試験的に導入されていたんですね。
そうですね。LINEMOさんのところで、今もうLINEMOさんのチャットのところはシエラが出ています。
完全に。じゃあもう実際、消費者の人が使い始めているっていうことなわけですよね。問い合わせの解決率も従来が83%だったのが97%、ほとんど解決しているみたいな。満足度っていうのも74%だったのが93%みたいな感じで、全然従来と違う形になってきたっていうことなんですよね。
ここから、見ていらっしゃる方も思うのは、多分自分がコールセンター、あるいはチャットの問い合わせをした時に、どんなふうに変わるんだろう、その体験みたいなところが気になっていると思うんですけど。当然、今日でもいろんな会社に導入が始まっていると思うんですけど、今後1年ぐらいで、結構日本の問い合わせ対応みたいなのは変わってくるんですかね。
おそらく今後1年ぐらいの間に、電話をかけたらAIが出てくるっていうのが、ちょこちょこ出始めるっていう形になってくると思います。次の2年ぐらい、2、3年ぐらいにかけて、結構ガーっと大幅に、電話をかけたりチャットしたら、今のレベルの生成AIが対応してくるっていうのは、加速度的に増えていくと思います。
これはやっぱり、1年とか、結構大企業のクライアントさん向けに実装して、外に出て安定するっていうところ、そんなにテストしてすぐ終わりっていうところではないので、それぐらいのスパンは、マーケット全体っていう意味だとかかってくるところはあると思います。
その中でも我々は、実装するスピードっていうのはものすごく速いというところで、自負をしていますので。これは元々のエージェントの設計というところと、あとはそれを構築するためのプラットフォーム、あとはエクセキューションするFDE、ストラテジストの、我々のエージェントデベロップメントという部隊ですけれども。そこの3つの組み合わせではあるんですが、その中で言うと、我々の中では本当に次の数か月にボコボコ出てきて、マーケット全体としてはそれぐらいのスパンがかかってくるかなと。
なるほど。コールセンターに人っていなくなるんですかね?
いなくなるっていうことはないと思います。やっぱりAIじゃなくて、人でしか対応できないことだったりとか、人の方が得意っていうところは当然あるので。特に人らしいサービスクオリティが求められるっていうところが一定程度残ると思うので、一部のクレーム、これをあえてAIで対応させるのか、人でっていうと、ここは本当にビジネスの形態だったりとか、経営の意思決定っていうところがあるんですけれども。やっぱりクレーム、何かご不満を持たれているお客様に対して、誠心誠意、人が対応するっていうのは、やっぱりインパクトがあるところがありますので。
AIって責任は取れないので。
そうですね。そういったすみ分けというか、みたいなのは今後起こってくるんじゃないかなと思いますね。
なるほど。話を聞いていると、もう1つだけ。コールセンターの問い合わせとかって、人と人との会話のやり取りのところの自動化みたいな話だと思うんですけど、別にコールセンターとか問い合わせに限ったことではない気がするんですよね。あらゆる場面で、接客みたいなところも全部含まれてくるのかなと思うんですけど。このシエラのユースケースって相当広がるような気もするんですけど、その辺りってどうなんですか?
そうですね。我々としては、やっぱりお客様に触れるところっていうのは、いろんな領域でやっていくっていう話はあるので。元々カスタマーサポートみたいなのがすごく多かったですけれども、先ほど申し上げた営業だったり債権回収みたいな話も出てきていますし、もしかしたらよりリアルなところにもっていう話も出てくるかもしれないですし、拡大の可能性、余地っていうのは広がっているんじゃないかなと思いますね。
フィジカルシエラみたいな。
そうですね。いろんな方向がありますけれども。
2つ目のパートにいければと思います。コンサルだけではできない本当のAI化という話で、技術的な話を主に聞いてきたんですが、それだけあってもできないよ、結構個社開発があるよと。FDEという言葉もさっき出てきました。元々、森川さんは起業するまではマッキンゼー、コンサルにいらっしゃって、そこでも結構コールセンター絡みの。
やっていました。
やっていたりとか。そのプロダクトがあるだけでも駄目。コンサルだけでも最後までできない。その辺の本当のAI化、どういうモデルで今やっていらっしゃるんですか?
まずFDEっていう言葉、すごくバズワードというか、最近はやっている。フォワード・デプロイド・エンジニア。本当に1年ちょっとぐらいで、ものすごく日本でも市民権を得た言葉かなと思いますけれども。FDEというのは、役割としては大きく分けると2つしかないと思っていて。1つは、お客様、個社に合わせて開発をしていく、エクセキューションしていく。これが1つ目です。これだけだと、いわゆるコンサルティングだったりとか、システムインテグレーターの伝統的ビジネスと何が違うのっていう話になるんです。
もう1個が、そういった個社開発をしている中で、やっぱり共通する課題だったり問題っていうのはたくさんあって、これをプロダクトにどんどんフィードバックして、プロダクトを開発していって。プラットフォームですね。プラットフォームにフィードバックして開発していって、次のお客さんはもうプラットフォーム側で解決できるようにする。
要は毎回毎回その会社のために開発するんじゃなくて、どんどん提供していったら、みんなのためのものになっているね、みたいな状態を目指すってことですね。
はい。この2つをやっていくっていうのが、FDE、ストラテジストというところ、その話もしますけど、これの大きなミッション2つになります。これ実は正直言うと、あんまり新しい話じゃなくて、B2Bの起業家だったら全く同じことをやるんですね。なので、いわゆるB2BのSaaSのことと、正直言うと、やっていることは基本的には同じです。
パランティアが言い出したから話題にはなったけど、別に今までもやっていることだよねっていう話。
これは起業家はずっとやってきたんですよ。起業家はずっとやってきたんだけれども、起業家がやってきたこと、ないしはプロダクトマネージャーで、かつ事業も作ってきたみたいな人がやってきたものが、よりスケールして、チームを大きくして、みんながそれをやるっていうふうにできるようにしたっていう、その方法論がこのFDEと。
あとは、これも私、実際に起業してやっていく中で、もう1つ疑問があったのが、FDEって、開発もする腕のいいエンジニアなんだけれども、お客さんとも話せて、お客さんのことを動かして、組織も動かしてっていう、そんなことができる人がいるのって、正直言うと思っていました。
何でも屋みたいなこと。
何でも屋と。そんなユニコーンはいるのかと。結論から言うと、もちろんそういうことがないわけじゃないんですけど、スーパースターみたいな人はいるんですけど、単独で全てやることは少ないです。
これはデプロイメントストラテジストっていう、これはパランティア用語ですけど、シエラ用語でいうストラテジストっていう、いわゆるコンサルバックグラウンドみたいな人だったりとか、プロダクトマネージャーバックグラウンドみたいな人が一緒になって、最小単位では2人1組になって実装をデプロイして。
ストラテジストとエンジニア、FDEとは。
はい。セットになってやっていくっていうのが、今のスタンダードになりつつあるっていう感じですね。
じゃあシエラのプロダクトがあります。そのFDEとかストラテジストの人がいます。企業があります。課題を抱えています。導入していきますっていう時に、やっぱりこのコールセンターに関しても、かなりそういう技が必要だっていうことなんですね。
そうですね。やっぱりお客様に応じて、使っている商材、ビジネスも全然違いますし、システムの構成も全然違いますし、セキュリティに対する要求水準も会社さんによって全然違いますし。クライアントさんによって、自分たちで開発したいっていう人と、これも全部お願いっていう会社も全然違いますし。っていうことを考えると、1個1個、ポイントになるところが全然違うんですよね。
なので、きちんと痒いところに手が届くと言いますか、シエラ用語で言うとラスト10マイルっていう言葉を。要はラストワンマイルって、最後ぎりぎりのところ、ラストワンマイル頑張ろうみたいな話があると思うんですけど、ラスト10マイルっていって、ぎりぎりなんだけど、結構そのぎりぎりが長いみたいな、っていうのがすごくたくさんあるんですね。ここにFDE、ストラテジストが一緒に入って、各社様に合ったAIエージェントをどんどん実装していくというところを、一緒にやっているっていうことです。
なるほど。本当に今時のスタートアップが作ったシステム上で動かすだけだったら、多分結構スムーズに、クラウド、AWSでとか、いわゆるすごく最新の、MCPでつないでとか、いろいろあると思うんですけど。大きい会社が対象ですよね。だから、このTBSもそうですけど、システムが古いものから新しいものから、ごちゃ混ぜなわけですよね。それを問い合わせを受けた時に、このお客さんの情報がここにあるから引っ張ってこようとかっていうのが、迷路をたどるみたいなことにもなるって考えると、それだけの大掛かりな開発だったり設計みたいなのが必要になってくるということ。
おっしゃる通りで、そこの設計も必要ですし、あとシステムって、1個大きいものがあるというより、ものすごくたくさん、いろんな分野でシステムがあるので、どこからつないでいって、どこからやっていくと大きいインパクトが出るのかっていう、いわゆるビジネス的な、ROI的な視点と、あとは技術的な実現可能性。しかもこれぐらいの期間で、どれぐらいのスピード感で、みたいなところを結構総合的に考えてやっていかないといけないので、その両面が必ず必要になってきますし。
例えば何かシステムがあった時に、それをAPIでつなぐっていうこと、これ自体は実はそんなに技術的にものすごく難しい話ではないです。一方で、そこを管掌されている部門の方だったりとか、ないしはそこに許可をいただくための承認プロセスを通すだったりとか、これは難しいんですよ。
そういう感じなんですね。
はい。だから、大企業になればなるほどガバナンスがちゃんと効いていますので、そこを好き勝手にやっていたみたいなのは許されないわけですね。
確かに。
だから、技術的にそこを繋げるみたいなことは実は難しくなくても、きちんと関係者の方を説得して、そこに繋げていくみたいな。こういったところで、さっき言ったFDの人がきちんとそこで技術的に繋げていく、ないしはそこのシステムを考えていくっていうのもそうですし、一方で、これ組織を動かしていかないとそこに至らないので。
組織を動かしていく。
こういったところで、お互いある程度、両方の領域を一定程度理解しないといけないっていうイメージです。
めっちゃ社内政治じゃないですか?
だから、別のどこかでも私言いましたけど、いろんな社内システムと繋いでアクションを実行していくのは技術じゃなくて、政治です。
AIは政治だと。
AIは政治だと。そこは多少、大げさに言ってますけれども、やっぱり大きな会社になればなるほど、政治って言うとすごく悪く聞こえるんですけど、いろんな人のインセンティブだったりとか、配慮っていうのをきちんと持った状態でやらないと、結局ただの、永遠にベンダーのままで終わるので。きちんとそこは配慮しながら、かつアグレッシブにどんどん説得して物事を前に進めていくっていう、いわゆるコンサルっぽい力と。ただ、やっぱりプロダクトの実装ができないと我々のは意味がないので、そこがセットになって、エンジニアがセットになって一緒にやっていくっていうのが、このFDEモデルっていう感じですね。
なるほど。かつ難しいなと思ったのが、課金の仕方が、シエラの場合、成果報酬。要はさっきの問い合わせが、多分、きちっと完了したら、いくらいくらシエラに入るみたいな、そういう仕組みだっていう話らしいんですけど。それも、どこまでできたら課金してくれるのかとか、すごい客観的に決めるのが難しそうだなとかって思ったりもするんですけど。
そうですね。ここは非常に細かい話なのであれですけれども、一応、課金を決めるための定義っていうのはあって。これも本当にいろんな会社さんとやらせていただいてますから、そこのスタンダードの定義があって、それを基本的には使っていくっていう話になるんですけど。ざっくり言うと、AIでどれぐらい完結したかですね。
結局、例えば電話で言ったら、AIで完結したら、人が受ける入電量って減ってるので、っていうところで、ある程度成果を測っていくっていうイメージです。
これが面白いことに、例えば営業だったり、再契約だと、今カスタマーサポートベースで言いましたけれども、営業とかだと、結局成果って売りに効いてくるみたいな話になるので。今度は営業だったら、どれぐらいアポがそれで取れたのかとか、どれぐらい、営業というか厳密に言うと解約防止ですけど、解約しようとしてる人をどれぐらい防ぐことができたのかとか。こういったところがアウトカムになってくるっていうのは、ユースケースによってちょっとずつ違うってイメージですね。
営業って、シエラのエージェントが営業電話をかけるみたいな話、そういう?
そうです。それに近い、いろんなバリエーションはあるんですけれども。
そういう世界になってくるんですね。ちょっと最後のパートに行く前に、シエラ自身もかなり、それだけお客さんのところのAI化を進めるわけですよね。シエラの会社の中はどれだけAI化されてるんだろうっていうのが気になるわけなんですけど、進んでるんですか、その辺は。
これは正直、私が創業したOPERA TECHからシエラに買収されてというところで、ギャップみたいなのもすごくありますけど、シエラは相当、社内がAI化されてます。
パインコーンっていう、松ぼっくりですね、AIエージェントがいて。このエージェントが本当に社内のあらゆる我々のシステム、Slack、メールみたいな話から、ドライブだったりとか資料だったりとか、コードベースも含めて、あとはコアのプロダクト、プラットフォームも、基本的には全部アクセスがあって。当然、アクセスできる範囲っていうのは制御されてますけど、それを持った上で、その情報を元に、パインコーンちゃんに「これってどうなってるの?」「このお客さんって今どういう状況なんだっけ?」みたいな話。パインコーンの制御によって答えられるところと、答えられないファイアウォールみたいなのはありますけれども、そこで何でも教えてくれるっていうものだったりとか。
ないしは、我々のプラットフォーム上でいろいろものを作るのも、パインコーンだったり、あとゴーストライターっていうプラットフォーム上のAIエージェントがいるんですけど。
ゴーストライター。
はい。なので我々、CXのAIエージェントも全部AIで作ってるので。いわゆるCodexとかClaude Codeみたいな、それの我々のCXのAIエージェント版なんですけど、それも全部AIで作ってます。なので、基本的には本当にスライドもそうですし、社内で調べるっていうのもそうですし、コードを開発するっていうのもそうですし、AIが使われてないところを探すのが逆にかなり難しいっていうぐらい、あらゆるところがAI化されてる。
なるほど。
あともう1個面白いのは、私が買収があって、これ3月末だったんですけど、その時は5つぐらい別々のAIエージェントが社内で、別の用途の開発用のAIエージェントと、いろんなものを、営業に関するものを調べてくるAIエージェント、いくつかのそういうAIエージェントが乱立してたんですけど、これが全部パインコーンっていう。そこで圧倒的に便利になった。全部の情報に答えてくれるので、非常に度が高いっていう状態になってますね。
だから、社内仕事はなるべくAIに任せて、お客さんと向き合いなさいっていう、そういう感じなんですか? だってさっきの話を聞いてると、お客さんに一生懸命向き合って、組織も変えるぐらいのことをしなきゃいけないってことを考えると。
はい。なので、AIの進展によって、特に我々のような分野だと、本当に仕事が2つに二極化していってるようなイメージがあって。1つは、できるだけAIをフル活用して、全てにおいてAIを使って効率的にやっていくっていうタイプの仕事と、逆に、それによって空いた時間をものすごく泥臭いことに使う。この2つに非常に二極化していってるなっていう感覚がありますね。
だからAI以前の時代だったら、今のシエラがやってることと同じことをやろうとしたら、もっと人も必要だったし、もっと時間もかかってたし、もっとお金も必要だったし、みたいなところが、スタートアップぐらい、スタートアップって言ってもまあまあ人数いると思うんですけど、それぐらいの規模でもできるようになってるみたいなイメージってことですかね。
そう、はい。なので、さっきコンタクトセンターの人がっていう話がありましたけども、本質的には結構似たようなことなんじゃないかなと思います。
なるほど。もうちょっと一般的な話を最後にできればと思うんですけども、最先端企業を考える、AGIってことで。ここ数日、今日撮ってるのが9月8日なんですけども、GPT-6 AstraっていうのがOpenAIから先日出てきて、「これはAGIだ」「いや、まだAGIじゃない」みたいな声がいろいろあって。でも、NVIDIAのジェンスン・フアン氏も達したみたいな話をしてるわけなんですけど。どうですか? いろんなモデルを使ってるって話がありましたけども、単純にモデルの進化とかも見ていて、森川さんご自身は、AIは今どういう段階に来た?
そうですね。これは本当に完全に私見ですけれども、今このAstraが出てきて、AGIが来たっていう話については、私の感覚値ですよ。感覚値は3割ポジショントーク、7割結構本当だなっていうのが実感値です。
当然、AGIってそもそも定義がものすごく発散してる話なので、それによって意味があるようでないみたいな面はあるんですけど。ただ、より厳密に言うといろんなものがあるんで、ざっくり言うと、あらゆる人間と同等ないしはそれ以上の知性だったりとか、タスクを実行できるっていうことをAGIだと、これは一般論としてよく言われるAGIだと思うんですが、ここに完全に達したというのはなかなか難しい、まだ難しいと正直思ってますと。
一方で、ここに達するためのサイクルの入り口についに入ったなっていうのは、結構事実に近いと思ってですね。私もやっぱりAstraを使ってみたりとか、あとはいろいろ調べたりとかして思ったのが、たくさんAIのベンチマークみたいなのが出てくるっていうのがあるんですけれども、いくつか、3つぐらいですかね、すごく重要な大きなブレイクスルーというか、進歩があったかなと思ってて。
1つは、全く何も教えられてないのに、新しい方法を要は編み出す力。大げさに言うと発明する力ですよね。これがGPT Sol 5.6に比べて劇的に上がったっていうところが、1つ大きなポイントなんじゃないかなと、見てて思いますと。
実際、何でしたっけ、ARC-3ですかねっていう。3ですか? あれが大体7%か8%ぐらいのところから、一気に99.9%みたいになったと。やっぱりそこの新しい、これ結局AGIって、セルフインプルーブメントしていくっていうことが一番コアにあるので。これ、セルゲイ・ブリンさんがどこかの社内のあれで言ってたらしいんですけど、AGIの、いろんな要素が大事なんだけれども、リカーシブ・セルフインプルーブメントっていうのが一番大事だと。そこのための1つ大きなベースになるっていう能力がついに出てきたし。
あともう1個、これちょっと我々のケースと関係あるんですけど、もう1個は、AIに詳しい方なら聞いたことあると思うんです。コンピューターユースって言って、要はいろんなウェブサイトだったりとか、マウスでクリックしてカチカチって。Twitterとか見られてる方、そういう動画とか見られた方もいるんじゃないかなと思うんですけど、あれのパフォーマンスが結構上がったっていうところですね。
その意味合いって何なんだろうってなった時に、我々のビジネスに実は結構関係があるのが、いろんな社内システムと繋げる時って、いわゆるAPI、MCPみたいなのが必要と。
繋げる規格。
投げ口ですね。あれが必要なんですけれども、さっきおっしゃっていただいた通り、一部はそれがないし、なかったら作らなきゃいけないんですけど、作るのにもう古すぎて誰も触れないみたいになってる。そうなった時に、これAPIで、要は裏のシステムから直接取ってくるっていう話なので、そうじゃなくて、UIからポチポチやって、それを調べりゃいいじゃんっていう発想で、それで理論的には繋げることもできるわけですね。
人力でやるみたいなイメージですよね、それ。
はい。だから、オペレーターの方がこうやって見て、カチカチして、情報入力してっていうのと全く同じことですよね。これで処理するっていうことも、どんどん可能になってくる。当然、これ実際に本当にエンタープライズアプリケーションのUIの世界でやると、そこに大企業のセキュリティのウォールがあったりとか、そこに本当にきれいにアクセスできて、得られるのかだったり、セキュリティの理由でできないところも結構あったりして、細かくはあるんですけど。大きな流れとしては、可能性がぐっと広がったっていうのが2つ目。
それは開発がすごい短縮されるみたいな?
開発短縮というよりは、繋げられないシステムが別の方法で繋げられる。
そっか。いちいち人が操作しなきゃいけないような感じだったのが、自動化できるから。
そうですね。APIとかなくても繋げられるみたいなことができるってことですね。その可能性が大きく広がった、進んだっていうところと。
あと3つ目は、長時間にわたって結構難しい複雑なタスクっていうのを処理するっていうのが、いわゆるロングホライゾンでやるっていうのが劇的に向上したんですね。これは、シエラでやってるようなことっていうのも、すごく複雑なビジネスアプリケーションを長期間にわたって見ていかなきゃいけないので、そこもすごく個人的にはインパクトがあるなっていうところが大きなところなので。いろいろ言いましたけれども、AGIっていうところに来る最初のところに立ったっていう感覚が、多分AI業界関係者には、みんなすごく感じてるんじゃないかなっていうのが。
いよいよ現実味を増してきたっていうことですよね。この話題に関してはどうですか? シエラの社内でも、議論って今されてるんですか?
モデルが出てくるたびに、試したりとか、それに基づいてプロダクト開発してるのは当然、非常に注目度は高いですよね。
それはプロダクトもどうですか? 大きく変わってくる可能性もあるんですか?
これはどんどん使ってみて、実験してみないと分からないっていうところがあって、理論的には大きく変わってもおかしくないところだと思いますし、モデルによる性能っていうのが結構劇的に、また大きいジャンプがあったっていうところですと。同時に、ちょっと逆の例を言うと、スピーチ、ボイス・トゥ・ボイスと言って、音声、GPTライブっていうのがすごい話題に。
ちょっと前にすごい話題になりましたね。同時通訳もできるみたいな。
あれって、要はさっき私が言った、音声から文字に起こして、それを大言語モデルで処理して、そこを文字から音声に変える、これカスケード式って言うんですけど。それとは別の方法で、音声を音声のまま処理して音声で返すっていう、そういう。
文字にしてない。
してないんですよ。これの方が当然、反応速度は速かったりとかするんですけど、このタイプのモデルに関しては、シエラって「あと9か月間ぐらいで来るよね」っていうのを過去27か月間言ってるんですね。
その、もうパーフェクトなボイス・トゥ・ボイスモデルっていうのが。
そうですね。要は、そのモデルが我々の領域で、大企業のサービスクオリティに達するような応用ができるかって言われると、ずっと試していろいろやってるんですけど、結局できてない時もありますと。なので、なかなか100%完全に変わり切るっていうのは、今この現時点では断言できないですけど、普通に考えたら結構大きなインパクトはある。
でも、それだけカスタマーサポートのやり取りとかをシエラを通してやってたら、シエラ自身がそこの基盤モデルを作れちゃうんじゃないかと思う。
これはどこまで私が話していいかっていうのはありますけど、我々はあくまで応用AIの、アプリケーションAIの会社なので。やっぱりモデルを作るっていうのもちょっとレベルがありまして、基盤のモデルを持って、それをファインチューニングしていくっていうのは結構よくやってます。一方で、本当のフロンティアモデルを作るっていうのは、これも全然違う量の設備投資だったりとかが必要になってくるので、そこをやるっていうのは正直、世界に数社しかない。正直言って、ない感じだと思いますね。
だから、そこのモデルを使いながら、ファインチューニングしながらやっていくっていうところになってくるわけですね。
そうですね。
最後に、1年後、半年、1年前を考えてもめっちゃ変わりましたけど、このAIエージェント、まさにシエラもやってるAIエージェントの世界って、どんなふうになってると思いますか?
この領域がすごく難しいのが、1年後を予測するのが最も難しい。
そうですね。愚問だと思いながら聞いて。
正直、何とも言えないところもあるので。AIエージェントもそうですし、ただ、今のお話の関連する続きの話で言うと、やっぱりAGIに近いところっていうのが、どんどん来てますと。
これってやっぱり何が一番大きいインパクトかって言うと、AGIが来たって言ったところで、正直言うとほとんどはパソコン上というか、インターネット上に閉じてる、デジタル空間に閉じてる世界なので。業界の人はすごく興奮しますけど、私が朝起きて、寝て、ご飯食べてとかしてる中で、それが全て根本的に変わるっていう感じには、意外とならないんじゃないかなと思ってますと。
一方で、これの本当の大きなインパクトって、AIによって新しい発明みたいなのがどんどん生まれてくるんですよね。既に生まれてきてますし、加速度的に増えてくるはずですと。そうなると、あらゆる他の産業において、その果実というかっていうのが出てくるんじゃないかなと思うので、ここは非常に重要な点ですし。
あとは、これによって本当にセーフティだったりとか、セキュリティ、セーフティみたいなところっていうのは、最近それもすごくいろいろなってますけど、ここはついに、今までは倫理的、哲学的な議論みたいな話だったのが、実務的な話になってきたなっていうのが大きいんじゃないか。
考えないと、それやばいね、みたいな話になってきましたよね、本当に。
はい。と思います。
まだまだ予想がつかない世界でビジネスもされてるということなので、非常に面白いですけど。そうですよね。ここまでシエラテクノロジーズの森川さんと、「孫正義が驚愕したAIエージェントの正体」というテーマでお送りしてまいりました。本日もご視聴いただきありがとうございます。ぜひチャンネル登録と高評価、そしてCROSS DIGの公式Xの方もお願いいたします。ニューズレターの配信も始めてますので、ぜひ概要欄からご登録ください。森川さん、本日ありがとうございました。
ありがとうございました。ありがとうございました。
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