東大気象学者・渡部雅浩教授に聞く:熱帯太平洋の「予測と逆の異変」と、CO2排出ピークへの期待
ReHacQ−リハック−【公式】ReHacQの高橋弘樹が、東京大学大気海洋研究所教授の渡部雅浩氏に気候変動について聞くシリーズの第3回である。今回は、一般の人が気候変動を理解するうえでつまずきやすい点から始まり、渡部氏自身の研究である気候シミュレーション、熱帯太平洋で観測と予測が食い違っている問題、雲と気候感度、AIの導入、そして世界のCO2排出が頭打ちになる可能性までを扱った。渡部氏の立場は一貫している。将来を語る前に、まず過去数十年に起きたことをモデルできちんと説明できなければ科学にならない、というものである。
ヨーロッパはなぜ脱炭素に熱心なのか
本題に入る前に、高橋は、EUの人々はなぜあれほど脱炭素に前向きで「意識が高い」のかと尋ねた。日本は中国やアメリカとEUの中間あたりにいる気がする、というのが高橋の感覚である。
渡部氏の答えは「僕も答えを知りたい」だった。昨年も研究で1カ月ほどパリに滞在したが、今では一般の人々の間にまで意識が浸透していると強く感じたという。高橋は、学校で習ったドイツなどの環境被害の経験が関係しているのではないかと推測した。渡部氏は、気候変動への国際的な取り組みが始まってから30数年がたっており、それ以前にヨーロッパの意識がとりわけ高かったとは思わないので、この30年で変わってきたのかもしれないと述べるにとどめた。理由ははっきりしない、というのが結論である。
誤解の第一の原因:時間軸の取り違え
高橋が最初に聞いたのは、一般の人が気候変動を理解しようとするとき特に誤解しやすい点だった。渡部氏はいくつか挙げたうえで、1つ目を「時間軸を取り違えないこと」とした。
温暖化懐疑論の中には、地球は次の氷期に向かって寒冷化している途中なのだから温暖化を心配する必要はない、という主張がある。渡部氏はこれを誤りだと言う。次の氷期に向かうまでにかかる時間は数千年から数万年の単位であり、いま問題になっている温暖化は100年という時間軸の話だからである。この2つを混同すると、何を問題にすべきかが見えなくなる。
2つ目も時間軸に関わる。去年の夏が暑かったと聞いて「温暖化のせいだ」と納得する人は多いが、渡部氏は、専門家は温暖化がすべての原因だとは一度も言っていないと強調した。地球の気候は毎年暖かくなったり寒くなったりと揺らいでおり、だからこそ異常気象も起きる。実際に起きることは、人間が原因でゆっくり進む温暖化と、毎年程度の時間で変動する自然の揺らぎとの重ね合わせだ、というのが専門家の理解である。数十年から100年の長さで見れば温暖化が進んでいることは間違いない。しかし去年や来年といった時間では、エルニーニョなど温暖化以外の要因の影響も大きい。そのため、ある年に起きたことだけで温暖化がどれだけ進んだかを判断することはできない。
高橋は、空間的にもミクロとマクロを取り違えると誤った結論に至りそうだと付け加えた。日本だけを見れば問題がないように見えても、地球規模では問題だということもありうる。渡部氏は、時間であれ空間であれ結局は視点の違いの問題で、小さく見すぎても、ぼんやり全体を引いて見すぎても勘違いが生じると応じた。ここで高橋は、番組名ReHacQのルーツの1つが李白であり、李白の詩がミクロとマクロを対比させて詠む点に惹かれて名付けたという由来を明かしている。
気候変動を理解するには何を学べばよいか
次の質問は、専門家ではない人が気候変動を理解するためにまず押さえるべき物理や科学の基本は何か、というものだった。渡部氏は、自身が新著でもきちんと説明しなければならないと考えている点だとしたうえで、気候変動の問題は基本的に物理学だと答えた。高校までは地学の範囲として扱われることが多いが、地震にしろ気候変動にしろ、大学以降はすべて物理学として扱われる。とりわけ熱の分野が大きい。ただし素粒子や宇宙論とは違い、所詮は高校までの物理で理解できる範疇だという。
ここで高橋は、高校で物理を選択する人がどれくらいいるのかを調べた。東京大学の横山教授のインタビューによれば、高校で物理を選択する率は男子が16%、女子が4%だという。高橋は、物理を学んでいない男子84%、女子96%の人たちにも納得できる説明をする努力が科学者に求められるのではないかと述べ、渡部氏もこの数字を聞いてできるだけ分かりやすく説明することがとにかく必要だと感じたと応じた。
もっとも渡部氏は、物理を履修しなかったから理解できないとは考えていない。基本的な考え方はシンプルだからである。地球の気候がどう決まるかは、基本的には熱、つまりエネルギーの出入りで決まる。これは中学レベルの算数で分かる話だという。ハードルが高いのは物理学的な考え方のほうで、そこをうまく説明できれば必要な数学は初歩の初歩でよい、統計も使える、と渡部氏は述べた。高橋が、大人向けの物理解説書としてReHacQがマガジンハウスから出した本を挙げると、渡部氏はそういうものがよいと賛同し、気候変動についても同様の本があるとよいという話になった。
渡部氏の研究:将来より先に「過去」を説明する
続いて話題は渡部氏の研究に移った。渡部氏の専門は気候シミュレーションである。コンピューターの中に仮想的な地球をプログラムで組み上げ、たとえばCO2を出し続けたらその中の気候がどう変わるかを計算する。これが研究の柱だ。
そのうえで、いま最も力を入れているのは、過去を説明することだという。過去といっても遠い昔ではなく、ここ50〜60年ほどの期間である。温暖化が進んだと言われる世界でデータもかなり蓄積されてきた。そこにどんな気候変動のシグナルがあり、それが本当に温暖化によるものなのか、それ以外の理由によるのかをきちんと説明しようとしている。
渡部氏によれば、皆が最も知りたがるのは将来どうなるかだが、あえて過去に力点を置いている。理由はこうだ。温暖化はすでに1度を超えたと言われており、1.5度や2度もそれほど先の話ではない。過去に起きたことをきちんと説明できれば、この先1.5度や2度に達するあたりまではかなり自信をもって語れるはずである。逆に、過去をうまく説明できていないシミュレーションで「将来2度の温暖化でこういうことが起こる」と言っても説得力がない。シミュレーションが正しいかを示さずにそうした主張をするのは「あまり科学じゃない」と渡部氏は言う。
気候は非常に複雑なので、モデルは完全ではまったくなく、あちこちに誤差がある。不完全にしか作れないものを使って、どうやって正しい理解や確かな説明を得るか。それが自分にとってのチャレンジだと渡部氏は語った。
800万の格子と「数十の要因」
高橋は、気候には太陽活動、人口、戦争など無数の変数がありそうだが、東大のモデルは全体の何割くらいを取り込めているのかと尋ねた。渡部氏はまず、変数の数は地球をどれくらい細かく区切るかで決まると説明した。現在のモデルはおそらく地球を800万個ほどに区切っている。地球を水平方向にメッシュで、高さ方向に層で区切り、1つ1つの箱に気温が何度、風速が何メートルといった数字がある。それが箱の数だけ存在し、空気や海水の動きとともに時々刻々と変わっていく様子を計算するのがシミュレーションである。
一方で渡部氏は、実際の気候はそんなに複雑な要因で決まっているわけではなく、おそらく数十くらいの要因で決まっているという理解が専門家の間でおおむね共有されていると述べた。ここで持ち出したのが統計学の「自由度」という考え方である。変数が100個あれば本来100通りの答えが出るが、実際には影響の大きな10通りほどの組み合わせでおおむね説明できてしまうことがある。ある地点の気温は周囲と無関係ではないので、パターンや構造が存在するからである。
分かりやすい例として渡部氏はエルニーニョを挙げた。エルニーニョが起きたとき、どこが暖かくなりどこが寒くなるかというパターンはおおむね決まっている。そのため、エルニーニョという1つの変数で多くのことが説明できる。これは過去の統計データを分析すれば言えることだ。ただしモデルのほうは、そうした集約した少数の変数で計算するわけではなく、元の何百万という変数を使って計算せざるを得ない。
天気予報との違い、そして「仮想実験室」
天気予報では、現在ここでこう風が吹いているという観測データを最初に与え、そこから先を予報する。気候モデルも計算の手順自体は同じ繰り返しである。違いは、気候モデルが今の気候を模したものであり、与えるのはCO2がどこからどれだけ出るか、太陽活動がどう変わったかといった外的な条件だという点にある。温暖化の研究では天気予報よりずっと長い時間を扱う必要があり、過去から将来まで150年、200年とモデルを動かし続ける。
渡部氏は、これを気候モデリングあるいは気候シミュレーションの分野とし、自身の専門である「気候力学」とは区別した。気候力学は、シミュレーション結果や実際の観測データを分析し、気候変動がどう起きているかを物理で説明する分野である。モデルがなくてもできるが、あったほうがよい。地球そのものは変えようがないので、条件を変えたら結果がどう変わるかを試せる場があると大きいからだ。だから自分たちは実験室をほとんど使わず、極端に言えばパソコン1台あればできるという。
高橋が冗談めかしてバックアップの心配をすると、渡部氏は、何十人もが同じモデルを使っており、それぞれが手元にコードを持っているので大丈夫だと答えた。こうした気候モデルは世界に何十個もあり、研究所や大学が長年作ってきたもので、中には公開されているものもある。例として、アメリカの国立大気研究センター(NCAR)が作る気候シミュレーションモデルは誰でも使えるようにウェブサイトで公開されている。スマホアプリのように簡単ではないが、使おうと思えば使える。渡部氏らの日本のモデルは、使いたいという人に相応の理由があれば渡す、という扱いにしているという。
気候は大気だけでは決まらない
渡部氏の研究が大気だけでなく海を重視する理由について、渡部氏は、気候とは大気、海、北極の海氷、陸といった地球表面の自然環境をすべてひっくるめたものであり、気候モデルはそれを丸ごと模していると説明した。大気はその一部でしかない。
面白い現象は大気と海洋がセットになることで初めて出てくる、と渡部氏は言う。その典型がエルニーニョである。エルニーニョは大気のモデルだけでも、海のモデルだけでも再現されず、2つをつなげて初めて現れる。海の水温が変わることで雲が変わり、風が変わり、もう一度海が変わる。大気と海洋が常にやり取りしながら連動して変化しているのである。
日本やアメリカのような中緯度の国にとって、熱帯の海の水温がどうなっているかは非常に重要で、台風の経路をはじめ世界各地の異常気象の要因になる。特に太平洋は最も大きな海であり、熱帯太平洋の海面水温のどこが暖かくどこが冷たいかは、世界の気候変動にとっていわばエンジンのような役割を担っている、と渡部氏は説明した。
熱帯太平洋で起きている「予測と逆」の現象
ここからが番組タイトルにもなった話題である。気候モデルのシミュレーションを見ると、将来の熱帯太平洋は全体が暖まるだけでなく、ペルーに近い東側がより暖かくなるという結果になっている。言わばエルニーニョに少し近いパターンで、研究者たちはこの結果を受け入れて使ってきた。
ところが最近、観測データをきちんと見ると、過去40〜50年ほどの熱帯の海面水温のパターンは逆になっていた。ペルー沖は水温が下がっていたのである。温暖化すればこうなると言われてきたパターンと逆なのに、温暖化自体は進んでいる。そうなると、実際に見えている水温低下は温暖化とは別の理由で起きているのかもしれないし、モデルが間違っているのかもしれない。これは将来の気候予測に直結するため、なぜ現実のペルー沖が冷えているのかを突き止めることが大問題になっている、と渡部氏は語った。
高橋が「モデルが間違っているのか、モデルは正しいが組み込まれていない別の理由があるのか、どちらなのか」と問うと、渡部氏は、こうした問題は白黒はっきり言えるものではないとしたうえで、研究が増えてきて、どちらも少しずつ効いているらしいという状況だと答えた。
1つは、モデルが完全に間違っているわけではないが少しずれているらしいという点である。そのずれを修正すると、より現実に近い振る舞いになる。ペルー沖の水温はしばらく少し下がるが、放っておくとだんだん上がっていく、という結果になることが分かってきたという。
もう1つは、過去については温暖化以外の要因がかなり重要だったのではないかという点で、具体的にはエアロゾル(大気中のチリ)である。地球にとって特に重要なのは硫酸系のエアロゾルで、これは工業活動から出る。環境規制や設備のクリーン化が進んで排出は減ってきており、将来はほとんど気候に影響しなくなるというのが大方のシナリオだ。しかし過去はそうではなかった。1980年ごろまでは欧米も工業活動で大量に排出しており、その後は中国からも多く出ている。重要なのは、エアロゾルが一定量出続けていたのではなく、ある時期まで増えてから減るといった変化をしてきたことで、それが過去40年ほどの気候にも影響として現れてしまう、と渡部氏は説明した。
高橋が「規制でエアロゾルが減ったから予想ほど暖まっていないということか」とまとめようとすると、渡部氏はそこまで単純ではないかもしれず、まだ分かっていないことも大きいとしつつ、その影響があることはかなり言えるようになってきたと述べた。もしそうなら、過去と将来でパターンが違っても矛盾はしない。将来はエアロゾルが減ると想定されているからである。いずれにしても、温暖化のパターンは過去から将来までずっと同じとは限らず、変わりうる。まだ実証には至っていないが、だいぶそこに近づきつつある、というのが渡部氏の現状認識である。
モデルの精度はなぜ急に上がらないのか
予想外の現象が見つかれば、その要因をモデルに組み込んだり、ずれている箇所を調べ直して手直ししたりすることを繰り返す。モデルの精度は上がっているのかと聞かれると、渡部氏は少しずつ上がっていると答え、「びっくりするほど上がっていないのが問題」だとも付け加えた。
最大の理由はコストで、ここで言うコストとはスーパーコンピューターのことである。スーパーコンピューターが急激に大きくならない限り、気候モデルが突然良くなることはあまり起こらない。量子コンピューターについては、研究はされているが実用レベルがいつになるかは分からないという。それに代わるものとして渡部氏が挙げたのがAIである。これまでのシミュレーションは物理学に即してプログラムを作ってきたが、そこにAIを組み込むことで、高速化や高解像度化など、これまでできなかったことができるのではないかと研究者たちは期待している。
AI気候モデルは「暴走」する
AIが最初に入ってきたのは気候ではなく天気予報の分野だった。GoogleやMicrosoftのように大きなデータセンターを持つ企業がAIで予報モデルを作り、すでに広く出回っている。従来の天気予報モデルより良い成績を出せるという。AIは統計であり、物理法則は直接使っていない。AIは膨大なデータがあるほど活用でき、気象は観測データが大量にある分野なので向いているというのが渡部氏の説明である。
次のステップは同じことを気候変動の予測にできるかどうかで、これはまだ「できた」という報告はないが、確実にその方向に進んでいるという。高橋が、変数をすべて理解できない以上、物理をいったん無視して統計だけでやったほうが将来的に正確になる可能性もあるのかと問うと、渡部氏は、現時点ではAIで気候モデルを作ると途中で暴走することが分かっていると答えた。ありえない気圧配置になったりするのである。
その理由について渡部氏は、気候はエネルギーの保存といった物理的な制約のもとで落ち着いた状態が成り立っているが、AIはそれを教えられていないので勝手に破っていくからだと説明した。統計データを与えるだけでなく、そうした物理の基本も合わせて教える必要があるのではないか。それができれば何千年でも動くAIの気候モデルができるのではないか、と渡部氏は見通しを語った。
雲はなぜ重要で、なぜ計算できないのか
渡部氏の研究では雲も重要なテーマである。雲は白く日射を反射するので、地球の気候をもともと少し冷やす役割を持っている。重要なのは、温暖化したときに雲がどう変化するかによって、温暖化が抑制される場合も促進される場合もありうる点だ。
ところが気候モデルの中では雲をまともに計算できない。雲を拡大していくと、水滴や氷の粒が見えてくる。それが雲の実体で、放っておけば水滴が大きくなり雨として落ちて雲が消える。雲粒はミクロン単位だが、地球の気候を決める雲は、地球の何%を雲が覆っているかで効いてくるので数千キロに及ぶ。ミクロンから数千キロという幅のスケールをまともに計算することはできない。モデルの箱は今でも数キロから数十キロの大きさで、雲粒とはまったくオーダーが違う。雲粒から地球の気候を計算することは将来にわたってもおそらくできないだろうと渡部氏は言う。雲ができる基本的な物理法則は分かっているので、あとはそれをコンピューターの中でどう表現するかの問題であり、モデルそのままの結果は確かではないため、別の方法で将来の雲を推定せざるを得ない。
では将来の雲はどうなりそうか。渡部氏は、自身が執筆に加わったIPCC第6次評価報告書の章で評価した内容として、現時点で最も起こりやすいのは雲が減ることだと説明した。世界地図で雲が最も多いのは海の上で、その海上の雲が減ると日射がより多く入るようになる。つまり、温暖化で雲が減り、日射が増え、さらに温暖化するという方向に働く。
高橋が、海面水温が上がれば蒸発が増えて雲も増えそうなものだと疑問を呈すると、渡部氏はここから先は非常に難しいと前置きしつつ、雲にはさまざまな高さと種類があると説明した。減ると言われているのは、あまり雨を降らせない、低い高さでぼんやり広がる層雲や層積雲であり、太陽の熱を遮ってくれていた雲が減っていく、ということである。
気候感度:自然科学の数字が排出削減のコストを左右する
IPCCで渡部氏が関わった章では、雲の効果だけでなく「気候感度」の推定も扱った。気候感度の定義ははっきりしている。大気中のCO2濃度を倍にしてその状態を保ち、気候が暖かい状態で落ち着いたとき、世界平均の地表気温が何度上がるか、という量である。
これは現実には起こらない状況設定だが、気候学では最も基本的な量として扱われている。この値が、CO2排出が増えたり減ったりする現実的な状況で何度温暖化するかに比例することが分かっているからである。状況設定がシンプルなので、エアロゾルなど面倒な要素を抜きにして、気候の基本的な物理法則を理解すれば何度になるかが分かるはずだと考えられている。
なぜ重要なのか。現在の気候感度の推定値の中央は3度で、CO2濃度が倍になれば地球は3度温暖化するという意味である。温暖化を2度で止めるためにこれだけCO2を削減しなければならない、という推定は、たとえば気候感度3度を前提に作られる。もし気候感度がもっと高ければ、同じ排出量でも地球はより温暖化するので、2度に抑えるには削減量をもっと増やさなければならない。逆に気候がもっと鈍感なら、削減は緩やかでよいことになる。気候感度は技術とは無関係な自然科学の量なのに、その数字次第で脱炭素にかかるコストが変わってくる。だから大事なのだと渡部氏は説明した。
高橋が、それなら意図的にいじれば随分変わりそうだし、何十兆円という規模に関わるのではないかと言うと、渡部氏は、いじることはできても信用されないと応じ、社会的に重要な量であることは十分承知しているが、自分たちはそこを気にして研究しているわけではないと述べた。渡部氏によれば、半世紀ほど推定が続けられてきたが、中央値は大きくは変わっておらず、おおむね3度前後である。問題は不確実性の幅がずっと大きかったことだ。幅が大きいほど多くのリスクを考えなければならなくなる。幅を狭められれば、脱炭素の効果の見積もりなどがやりやすくなる。この幅をできるだけ狭め、物理学としてより確かなことを言うのが自分たちの仕事だという。日常生活ではあまり意識されないだろうが、政策決定者にとっては非常に重要な量だと渡部氏は述べた。
気候モデルは地球の代わりの実験室
自身のモデルで初めて見えてきたものは何かという問いに対して、渡部氏は再び「仮想実験室」の意義を語った。たとえば実際の地球にエアロゾルのチリを大量にまき散らすことはできないが、まいたらどこにどれくらいの効果があるかを知りたくなることはある。こうしたことは気候モデルがなければ調べようがない。現実の地球は作れないが、スーパーコンピューターの中にある仮想的な実験室で、気候変動がどう起きているのかという仮説を1つ1つテストできる。それが非常に大きいという。
今後10年でCO2排出は頭打ちになるか
今後の気候変動・極端気象研究で最も重要な課題について、渡部氏は、社会がおそらく変わりつつある状況なので、これから10年、20年のスパンで社会が変わったときに気候がどうなるか、温暖化を抑制できるのか、極端な気象がどれくらい増えるのか(減りはしないだろうという)を、より確かに見通していくことだと答えた。自分たちが生きているスパンの中で起こりうることである。
その理由として渡部氏が挙げたのが、世界のCO2排出量の見通しだった。これまでの回で、世界の排出量は減っていないという「残念なグラフ」を示したが、もしかすると今後10年で頭打ちになる可能性がある。一時的な増減はともかく、CO2排出は長期的には歴史上ずっと増え続けてきた。いったん減り始めれば、ペースはともかくその傾向は続くのではないかと渡部氏は見ている。本当に頭打ちになれば、パリ協定などで取り組んできたことがようやくデータとして見え始める。そこが希望を持てる点であり、それがいつ来るかには自分の研究を超えて強い関心を持っている、と語った。
科学者の役割については、問題が大きいので分業せざるを得ず、緩和や適応にはそれぞれ専門家がおり、自分も協力しているとしたうえで、自分の研究はその一番ベースの部分だと位置づけた。いま気候がどう変わっているのか、それはなぜか、10年先、20年先にどう変わるのか。これをできるだけ確かな情報にすることである。
30年で分かったこと、残り10年で知りたいこと
高橋が「気が遠くなる作業だ」と言うと、渡部氏はそうは思わないと答えた。研究者にもライフスパンがあり、自分はあと10年ほどしか研究できないが、それまでに知りたいことには何らかの答えが出ると思っている。熱帯太平洋の水温がどうなるかという問題も、10年以内に答えが出ると考えているという。
研究生活約30年で何が分かったのかと問われると、渡部氏は、自分1人で分かったことはわずかだとしつつ、世界の研究コミュニティとしては多くのことが分かったと答えた。たとえばエルニーニョはこの30年でほぼ解明された。また、温暖化をデータがきちんと示し始めたことで、異常気象がどう変わってきたのかもきちんと示せるようになった。30年前は手探りだったというより、現実のデータがそこまで急激な温暖化を示していなかった。データが温暖化を示すようになったことで、それをもとにシミュレーションを行えば温暖化の影響がよりはっきり見えるようになった、と渡部氏は説明した。
「ピークが来るなら経済活動を続けてよいのか」
終盤、高橋は、ピークが来るなら斎藤幸平氏の言うように脱成長を徹底しなくても大丈夫なのではないかと冗談交じりに投げかけた。渡部氏は、ピークは「数年後」とは言っていない、この先10年くらいで来るかもしれないが10年後かどうかも分からない、と訂正した。そして「じゃあバンバン経済活動しよう」という高橋に対し、問題は経済活動を何で行うかであり、化石燃料を燃やし続けて経済活動をしている限り、10年たってもピークアウトはしないと答えた。
では個人は何をすればよいのか。渡部氏は、産業や運輸、発電など、大きな部分は個人では変えられないとし、個人の行動で直接変えられるのは家庭部門、つまり前回示した排出全体の14%の部分だと述べた。ただし、それ以上のことができないかどうかは分からないとし、前向きに捉えれば、脱炭素を進めている企業を知って応援する、株を買うといったこともありうると話した。高橋が水素エネルギーは現実的なのかと尋ねると、渡部氏は分からない、日本は水素やアンモニアなどさまざまなものに並行して取り組んでいるが、それは自分も勉強しなければならないところだと答えた。
陰謀論の役割と、残された課題
シリーズを通じて陰謀論者の役を演じてきた高橋は、途中からあまり陰謀論者でなくなったと振り返りつつ、陰謀論にも意味がないとは思わないと述べた。研究者ではない一般の人が何をなぜ不安に思うのかを常に考えることは、研究者と政策決定者の責務だと思う、物理を学ぶのは男子でも16%なのだから一般の人には分からないのだ、というのが高橋の主張である。渡部氏は、不安を完全に解消するのは難しいとしながらも、こうして時々話をすることが、見た人にとって分かりやすい説明になっているのではないかと思ってやっていると応じた。
最後に視聴者へのメッセージを求められた渡部氏は、世の中にはさまざまな問題があり、気候変動だけを気にしていればよい時代ではないが、生活のレベルでも、専門家を目指す人にとっても、気候変動は避けて通れない現在の問題の1つであることは間違いないので、ぜひ関心を持ってほしいと語った。熱帯太平洋で観測と予測が食い違う理由、雲の変化、気候感度の不確実性の幅、そして世界の排出がいつ頭打ちになるか。いずれも渡部氏が今後10年ほどで答えが見えてくることを期待している問いである。
過去40、50年ぐらい、熱帯の海面の水温パターンが逆になってるんですね。
あれ、ペルー沖は下がってる。そうなんです。それが不思議な現象で、突き止めなきゃいけないっていうのが大問題なんです。面白そう。
僕自身の専門は気候のシミュレーションです。コンピューターの中に仮想的な地球を作ると。
東大のコンピューターには何個ぐらいの変数が入ってる? 5万中の何割みたいな。800万個ぐらいに区切ってるので。地球を800万個に区切ってる。はい、そういうことです。だからそれだけの変数が、過去、将来まで150年とか200年とか、ずっと動かしてるんですね。
気候変動や地球温暖化の問題を理解しようとする際に、特に誤解しやすい点はどこですか? 時間軸を取り違えない。次の氷期に向かうまでにかかる時間っていうのは数千年、あるいは数万年。そうですね。今問題にしてる温暖化っていうのは100年ですよ、時間軸が。時間軸を取り違えるとはまりやすい、嘘っていうか間違った結論に。はい。
世界のCO2の排出、もしかすると今後10年で頭打ちになる可能性がある。CO2の排出ですか。はい。そこが大きな希望が持てる点なのかな。
大気中にすすみたいなちりをいっぱいまくと、太陽光を反射するっていうのは分かってるんですよね。なので、例えば極端な話ですね、飛行機を飛ばして成層圏にそういうちりをいっぱい入れてしまえば、太陽光を跳ね返すので、温度があんまり上がらないで済む。
宇宙に太陽光の光を反射させて。そういうことですね。すげえですね、それは。そういうアイデア自体はいくつもあるんですけれども。そんな気候に影響なく計算してできるとは、ちょっと思えないですね。なんか大災害になりそうですね。そうですよね。
欧米に比べて日本は、気候変動が問題だというのは高い割に、それをすごくネガティブに捉えているというのがある。EUは一番世界でこういう脱炭素に前向きな国々。
なんでヨーロッパ人ってそんな前向きなんですか? なんでそんな意識高いんですか? 意識高いですね。日本人ってちょうど、中国とかアメリカのウェイみたいなのとEUの間ぐらいにいる気がするんですけど、なんでEUの方たちってあんな意識高いんですか?
僕も答え知りたいです、それは。意識高いですよね。高いですね。なんでなんだろう。仮説、EUとかご研究で滞在したことありますか、長く。ありますよ。昨年も1か月パリ。全然科学ベースじゃない、所感ベースになっちゃうかもしれないですけど、なんであんな意識高いんですか?
分かんないですね。今はだいぶ普通に一般の人たちの間に浸透してるなっていうのは、すごく感じますよね。
なんでなんだろうな。なんか嫌なことがあったんですか? 学校で習ったことを思います。黒いとか、なんかいろいろあった、酸性雨とかドイツとか大変だったんだろうなとか思いますけど、やっぱそういう経験があるからなのかな。意識高いですよね。
EUってできてからも30数年ですかね。その間、それ以前は別にそんなに意識高かったとは思わないですけれども、その30年間で変わってきたんですかね。僕もよく分かりませんが。意識の高さがどこから来るのかね。ちょっと意識高いって言ったら怒られそうですけど、気になるところですけど。
じゃあ、一般の人が気候変動を理解するためのコツを、より聞いていきたいと思うんですけど、一般の人は気候変動や地球温暖化の問題を理解しようとする際に、特に誤解しやすい点はどこですか?
いくつかあると思います。これは前回の話の方がむしろつながるんですけれども、一つは時間軸を取り違えない。時間軸を取り違えない。はい。
よく言われる温暖化の懐疑論の中に、今、地球っていうのは次の氷期に向かって寒冷化が進んでいく途中なんだから、温暖化を心配する必要はないとか、そういう懐疑論があったりします。これ間違ってるんですけれども、なんでかっていうと、次の氷期に向かうまでにかかる時間っていうのは数千年、あるいは数万年。
そうですね。関係ないですね、俺らにあんま。今問題にしてる温暖化っていうのは100年ですよ、時間軸が。この世代だ。そうです。こういう時間軸を混同しちゃうと、何を問題とするかっていうのが分かんなくなっちゃうっていうのがあります。
なるほど。そうか。時間軸を取り違えるとはまりやすい、嘘っていうか間違った結論に。はい。他にありますか?
ありますね。例えば去年だったり、昨年だったり、夏が暑かったりすると、懐疑論とは別に普通の一般の感覚として、なんかおかしいよね。温暖化がこれだけ効いてましたと、我々は研究でそういうことをやるわけですけれども、そう聞くと結構納得してくださるわけです。ただ、専門家って別に温暖化が全ての原因だなんて言ったことないんですよ。
地球の気候って毎年必ず暖かくなったり寒くなったりっていう揺らぎがある。だからこそ異常気象も起きる。なので、実際に地球の気候に起きることっていうのは、人間が原因でゆっくり変化する温暖化と、もうちょっと毎年ぐらいの時間で変動する自然の揺らぎと、その重ね合わせであると理解してるわけですね。
一個の理由じゃなくて、複数の要因の組み合わせで。はい、そうです。そこをあんまり単純化すると誤解するというのがありますね。
そうだよな。先週やりましたね。エルニーニョとかラニーニャでしたっけ、のがーってこう、2、3年ごとの影響と、ゆっくり進んでる温暖化の影響と、要素が混じり合って今年は30度でした、去年、昨年は25度でしたみたいになってるから、温暖化の影響だと、他のノイズ全部除去しないといけないわけですよね。でも簡単に除去できないから分かんないってことですね。
いろんなものが効いてるよって言うと、途端に難しいってなっちゃうかもしれないんですけれども、これは前回グラフとかでお示ししたように、長期的に何十年とか100年とかで見れば、温暖化が進んでるのは間違いない。一方で、去年はどうだった、来年はどうだぐらいの時間になると、温暖化以外のエルニーニョだとか、そういうものもかなり影響が大きい。
なので、あんまり短い、今年起きたことだけで温暖化がどれだけ進んでるとか、そういう判断はできないわけですね。そこをちょっと、これもある種時間軸の話になるんですけど。
なるほど。100年は100年で、それに対して人間が普通に肌感覚で感じる異常気象みたいなのは、毎年毎年違うわけですね。確かに。そこは取り違えない。はい。
面白いな。じゃあ、時間軸をごっちゃにして勘違いしないのと、あとおっしゃったように、要因があるのを、本当複雑な5個とか10個とか要因があるのを、本当は組み合わさってぐちゃぐちゃして、ガラガラポンって出てる気温を単純化しないと。そうですね。本当は複雑だって理解した上で、一個ノイズ除去してみるならロングスパンでやっぱ見なきゃいけないっていうのと。
あとさっき言ったあれだよな、地域性のミクロ、マクロもありますよね。日本だけ見ると問題ないように見えるけど、ガッと地球規模にしたら問題だみたいな。だから時間軸と空間の軸を取り違えると、間違った結論になりそうですね。
結局どれも視点の違いじゃないかなと思うんですよね。空間であれ時間であれね。小さく見ていってしまうと勘違いするし、あんまりぼやっと全体を引きすぎると、それはそれで勘違いするし。
知ってました? ReHacQっていう番組じゃないですか。ReHacQに込めた思い、何個かあるんですけど、その一個のルーツが李白なんですよ。中国の詩人の李白。あれ、これ前話しましたっけ? 話してないか。
なんでそれがいいかなと思った時に、李白の詩ってすごいミクロとマクロを対比させながら詠むのが僕好きで、地上に映ってる影を見た後、月を見て遠くの故郷を思うとかですね。ミクロとマクロ、両方見ないとダメだよっていう思いを書きたいんですけど、ぴったりですね。
深いですね。由来って初めて。そうなんです。意外にちゃんとしてるんです。時間も空間もミクロ、マクロ、ちゃんと合わせて見ないとダメですよね。そうですね。やっぱReHacQの理念通りだわ。
じゃあ次。今の質問とセットになっちゃうんですけど、一般の方が、我々みたいな、こうじゃない人たちが気候変動を理解する上で、まず押さえるべき物理や科学の基本は何か。これむずいですね。何から勉強するんですかっていうね。
これね、新書ではきちんと説明しなきゃいけないと思ってるところなんですけれども、やっぱり我々が説明している気候変動の問題って基本的には物理学なんですよ。物理学だ。よく高校ぐらいまでは、こういう温暖化とかって地学とかって言われるんですけど、地震とかも地学ですよね。だけど地震にしろ気候変動にしろ、大学以降はこれ全部物理学として扱われるんですよ。
物理をまず勉強すべきですか? 熱とかですか? 熱の分野ですか? 熱、大きいですね。あれだ、野村さんに教えてもらった。熱な、熱。
とはいっても、例えば素粒子とか宇宙論とかそういうのとは違って、所詮高校までの物理学で理解できる範疇なんですね。
じゃあ高校の物理やっとけってことですか? ちなみに知ってたらいいんですけど、高校で物理選択する人って何割ぐらいなんですかね? みんな避けますよね、あれ。嫌だから。
今、科目名変わってるとは思うんですけれども、理科って物理、化学、生物、地学って4科目あります。地学は今ほとんど選ばれないですね。物理、化学、あるいは化学、生物の組み合わせがほとんどだと。理系だと大体2科目取りますよね。
はい。今、化学、生物がメジャーなんですか? 物理、化学か、化学、生物? 物理、化学か、化学、生物か。はい。何割ぐらい物理? やっぱ俺、逃げるイメージあるな。
両方とも同じぐらいの割合だと仮に取れば、大体半分ぐらいの学生さんが物理取ってるってことですよね。
出てきた。東京大学の横山さんっていう教授の。横山広美さんですか? 横山広美さんですね、のインタビュー出てきまして、高校で物理を選択する率は男子が16%、女子が4%。そんな。絶望的や。結構だから、確かにそうかもしれないですね。
まず理系っていう人は半分と見て、その中で物理、化学、化学、生物ってやると、特に女子は少なそう。なるほど。男子でも3割ちょっとなわけですか? 16%って書いてあるんですね。16%で、理系の中で3割ちょっとってことです。そういうことじゃないですかね、半分だって考えると。
もうだいぶ物理の時代が終わったって言われて久しいですから。メインは化学と生物になっちゃったのかもしれないですね。そうですけどね。結構物理取ってないですね。
そうすると、でもこれきついですね。84%の人は、やっぱ根本的に気候変動の仕組みっていうのが説明されても、結構理解できないってことになりますよね。ちょっとそれはがっかりするんですけど。これきついな。
でもこれをちゃんと逆手に取って考えると、物理を取ってない、男性で84%、女性で96%の人に対して納得可能な説明をする努力を、大変ご苦労ですけど科学者の皆様にしていただかないといけないってことですかね。
そうですね。その数字を聞くと、できるだけ分かりやすく説明するっていうのが、とにかく必要なんだなって思います。必要ですね。めちゃくちゃ分かりやすく説明しないと、やっぱ難しいかもしれないな。
先生、ちょっと大変ですけど、この新書は今の数字の外にいた人にも分かるように、最後まとめといてもらっていいですか? なるほど。でも比較的、僕が物理を分かってないですから、そうなってるはずですよ。
ただ、物理をやんなかったからといって、理解するのが難しいかっていうと、僕はそんなふうには思ってないので。基本的な考え方はシンプルなんですよ。
例えば熱が大事だって高橋さんもおっしゃったんですけれども、地球の気候がどういうふうに決まってますかっていうのは、基本的には熱というかエネルギーの出入りで決まりますと。それって本当に中学レベルの算数で分かる話なんですね。
物理学ってどういうふうに理解すればいいか、考え方がハードル高いのかもしれないので、そこを分かりやすくうまく説明できれば、必要な数学みたいなのは本当に初歩の初歩でいいわけですね。
だから数学の基礎的なところなんですかね。さっき言った5個ぐらいの要素のうちの一個を抽出するみたいな感覚とか、統計の入り口とか、そういう感じ。そうですね、統計も使いますね。そこら辺がこの問いに対する答えなんですかね。まず押さえるべき物理や科学の基本は何ですか。
高校の物理の教科書って、やってない人が読んでも分かるんでしたっけ? 結構難しかったかな、高校は。中学ぐらいが限界かな。
教科書って硬く書いてあるから、あんま分かんないかもしれないですけど。それこそ、大人になってからもう一回勉強したいと思う人たち向けの、教科書っていうか解説本みたいなのありますよね。
あるある。ReHacQブックスで出しましたわ。そうですか。古典物理から量子物理まで、マガジンハウスから出しました。重力はなんだっけ、『なぜあるのか』でしたっけ? あれ全部そうだよね。それ読んでからやればいいか。熱もやりましたよ、確か。
そういうのがいいんだと思うんですね。いいですね。これ、気候変動のそれになるといいですよね。
あと渡部先生の研究テーマについても、最後お聞きしたく思います。渡部さんの研究テーマ、一番ご専門のど真ん中をもう一回改めて、昔一回聞いたと思うんですけども、一般の方に大づかみに説明するとどのようなものになるでしょうか?
そうですね。僕自身の専門は気候のシミュレーションです。これは一番最初にReHacQに出させていただいた時に話題にしたんですけれども、コンピューターの中に仮想的な地球を作ると。それに対して、例えばCO2を出し続けたら、その中の気候ってどう変わっていくのかっていうのを計算する。
他にもいろんな使い方がありますけれども、そういう仮想的な地球をプログラムで組み上げるというのが、気候のシミュレーションの科学ですね。それが一番柱になってます。
その上で、今一番気になってやってるのは、もうこれだけ温暖化していると言われてる世界で、データも結構たまってきてる。そこにどういう気候変動のシグナルがあって、それが本当に温暖化なのか、それ以外の理由なのか、そういうのをきちんと説明することですね。
一見すると、本当は将来どうなるかっていうのが一番みんな知りたがるところではあるんですけれども、そうではなくて、過去をまず説明するという方に今ちょっと力点が向いてますね。
過去ですか? なんで過去に力点? 過去っていってもそんな昔のことじゃなくって、この50、60年ぐらいですかね。なんでかっていうと、今もう温暖化は1度超えているって言われていて、1.5度、2度もそんなに先の話ではないわけですね。
そうすると、過去起きたことをきちんと説明できれば、この先さらに1.5度か2度ぐらいになるところまでっていうのは、だいぶ自信を持って言えるんじゃないかなと。逆に言うと、過去がうまく説明できてないのにシミュレーションやったら、将来2度の温暖化でこういうことが起こりますって言っても、説得力ないじゃないですか。
結局やってるシミュレーションが正しいかどうか示してないのに、そういうこと言っても、それってあんまり科学じゃないよなって思うわけですね。
なるほど。そうか。しっかり50年とかのデータもそろってるわけですからね。そこでしっかりシミュレーションして、合ってるっていうのを、そのモデルで将来を予測する。そういうことですね。なるほど。
これ、前々回の時か、もっといろいろお話しした気もするんですが、気候ってすごく複雑なので、モデルを作ったとしてもパーフェクトでは全くないわけですよね。いろんなところに間違い、誤差だったりがあってですね。そういう不完全にしか作れていないものを使って、どうやって正しい理解が得られるか、あるいは確かな説明の仕方ができるか、チャレンジだと思ってます。
どうやってできるんですか? さっき言ったエルニーニョ、ラニーニャの発生ですら複雑な要因すぎて、容易には説明できないわけじゃないですか。そこに、じゃあここで人口がこれくらい増えてとか、ここで戦争が起きてとか、いろんな要因が複雑に。太陽の活動も関係するかもしれないね、みたいな、めちゃくちゃ変数がいっぱいあるようなモデル。
なるべく多く取り入れたのが先生の東大の研究所だと思うんですけど、なるべく分かる限り入れてと。ちなみに、ラフで言うと、それで変数のうちの何割を集約できてると思いますか? まずラフですけど。集約っていうのはどういうことですか?
例えば本当は5万個ぐらい変数があるはず、太陽の動きとか。だけど東大のコンピューターには何個ぐらいの変数が入ってる? 5万中の何割みたいな。
変数の数っていうのは、結局地球をどのぐらい細かく区切るかで変わってきます。今のコンピューターモデルっていうのが、たぶん800万個ぐらいに区切ってるので。地球を800万個に区切ってる。はい、そういうことです。だからそれだけの変数があるんですが、実際、気候ってそんな800万もの複雑な要因では決まってなくて、もっと少ないですね。たぶん数十ぐらい。
気候の変動、数十ですか? はい。基本的にはそういうものだと思ってます。それは僕だけじゃなくって、専門家は大体そういう理解なんですけど。その数ってやっぱ人口とかですか?
いやいや、その数十っていうのは、例えばある一点、東京なら東京の気温って周りと全く無関係じゃないんですよね。そうすると、ある程度のパターンだとか構造とか、そういうものがあるので、一個一個全部別々に扱わなくても、その構造が例えば10種類のパターンがあれば、それを組み合わせることで、大体毎年毎年の気候の変動が再現できるとか。
どういうことですか? もうちょっと教えてもらって。これ結局統計学にも関わってくるんですけれども、自由度っていう考え方があります。自由度。はい。
自由度って結局変数の数なんですけれども、変数の数が100個あったら100通り答えが本当は出ますが、ほとんどの答えは100通りの組み合わせではなくって、そのうちの10通りぐらいの組み合わせで大体説明できちゃう。
それ、影響の大きいものってことですか? はい、そういうことが起こり得ます。そうであれば、実際に100個の変数を扱うんだけれども、説明する時に重要になるのは、一番影響の大きな10個で済むということになります。
例えば東京の23区の気温を見るっていったら、分かりやすくどういうふうに説明していくんですか?
ちょっと東京って言っちゃったのがあれなんですけれども、分かりやすい例を使うならば、例えばエルニーニョにもう一回戻りましょう。エルニーニョってパターンが大体決まってるんですよ。エルニーニョが起きましたっていう時に、どこが暖かくなってどこが寒くなるか、そういうパターンっていうのがおおよそ決まってます。
それは自然の摂理で決まってるわけですけれども、そうすると、エルニーニョが起きたらどこがどのぐらい寒くなるかっていうのは、エルニーニョっていう一変数で説明できるじゃないですか。
なるほど。それ、過去の統計なんですか? 過去の統計データを分析すれば、ほぼそれは言える。過去の統計から当てるんですか? 当てるというか、そんなにたくさんファクターってないんだよっていうことは、過去の統計データを分析することで言えるわけです。
なるほど。エルニーニョになったらこの地域寒くなるよねとか、台風で大変だよなと分かる。そう、そう。そんな分析をしてるんですか? それはデータの分析をすれば。一方でモデルっていうのは、そんな少なく集約しちゃったもので計算してるわけじゃなくて、大元の何百万っていう変数を使って計算はせざるを得ない。
何百万の変数、ごめんなさい、何なんでしたっけ? 例えば一個、分かりやすい2、3個教えてもらって。
例えば地球を水平でメッシュを切ったり、あるいは高さ方向に層を切ったりするじゃないですか。一個一個の箱で気温が何度って数字があるわけですよ。それが箱の数だけ出てきます。それが数百万って言ってるわけですね。それが時々刻々変わっていくと。シミュレーションっていうのはそういう計算をするわけですね。
そっか。地球を800万個に切った一個一個が、ここマイナス1度、10度、マイナス5度とかってなってるのの、動きみたいな。基本は動かないけど、風は動くじゃないですか。風も同じように何百万っていう箱で、風速が何メートルってあるわけですね。空気がそうやって動いていく、あるいは海水が動いていくっていうのを計算してる。
現在計測されてるものを元に計算するってことですか? 天気予報なんかは、現在こうです、風がここでこう吹いてますっていうデータを最初に与えて、そこから先は予報しますから、勝手に風の動きが変わったり、気温分布が変わったりってことをしていくわけですが、計算の手順は全部同じ、繰り返し繰り返し。
先生たちは別に今、明日の天気を予報するわけじゃないから、じゃあここで温暖化で中国で5度上がったらどうなるかみたいなことを、そのモデルを使って計算するみたいなことですか?
似てますけど、違うのは、モデル自体はあくまで今の気候を模倣しているので、何を与えるかって言ったら、CO2がどこからどのぐらい出るかっていう、これです。あるいは太陽がどのぐらい活動が変わったか、こういう外的な条件を与えてやる。
そこを800万個に切ったところに与えると、マイナス1度とか10度が表示されてるのが動く。動くわけです。日本が10度増えたねとか、10度増えたっていうか、1度増えたねとかっていうのが分かるのか。そう。それを温暖化の場合は天気予報よりずっと長い時間やんなきゃいけないので、過去、将来まで150年とか200年とか、ずっと動かし続けるわけですね。
それが気候力学ってやつなんですか? これが気候のモデリングとか、気候のシミュレーションっていう分野ですね。力学と呼んでいるのは、シミュレーションの結果だったり、あるいは実際に観測されたデータだったりを分析することで、気候変動がどうやって起きてるかを物理で説明する分野です。
それは先生のご専門。はい。これは別にモデルがなくってもできることではありますが、モデルはあった方がいいですね。いい。精緻にできる。
あるいはやっぱり地球って変えようがないものなので、こういう条件だったら結果ってどう変わるのかなって思った時に、地球を模倣したものがあると試せるじゃないですか。シミュレーションできますからね。そうですね。だから僕らは実験室ってほとんど使わないんですね。普通の物理だと実験物理とかあるじゃないですか。その代わり気候を作っておいて、そこで実験をする。
だからパソコン、極端な話、パソコン1台あればできるわけですよね。やろうと思えば。はい、できます。そのシステムっていうんですか、システムはちゃんとバックアップ取ってますか? 消えたらやばいですよね。
大丈夫です。何十人も同じモデルを使っているので、それぞれが自分のところにモデルのコードは持ってます。
そのモデルにアクセスする権限っていうのは、誰がもらえるんですか? こういうモデルって僕らが専売特許で持ってるわけじゃなくて、世界中に何十個ってあるんですよ。それぞれ、ある研究所とか大学とか、そういうところがずっと作ってきているもので、ものによってはホームページで公開しちゃってます。
一般人がアクセスできるものもある。持ってきて使うこともできます。もちろん、そんなに説明書が分かりやすくあるわけじゃないので、スマホのアプリみたいに簡単に使えるわけじゃないですが、使おうと思えば使える。
例えば何っていうところ、ググると出てくるんですか? アメリカのNCARっていう、世界でも有数の気候の研究機関があるんです。国立大気研究センターって名前なんですけれども、そこが作っている気候のシミュレーションモデルは、誰でも使えるようにウェブサイトに転がってます。
いいですね。そういうの、子供に与えといたら勝手に気象に興味持って、学者になってくるかもしれないですね。NCAR。NCARって言いますか。はい。そこのは公開されてるんですね。そうですね。
我々の日本の気候のモデルは、一応使いたいっていう人がいればお渡しするっていうぐらいにしています、基本的には。はい。でもそんなこと番組で言ったら、めちゃくちゃみんな来ちゃいますよ。もちろん無条件ではないですね。それなりの理由があれば。
なるほどな。ありがとうございます。続きまして、渡部先生の研究では大気だけじゃなくて海も重視されていますと。その理由は何でしょうか? また最近の研究成果である、熱帯太平洋の温暖化パターンは時とともに変化するとは、どういうことなんでしょうか? 熱帯太平洋はなぜ世界の気候を考える上で重要なんでしょうか?
まず前の方から行きましょうかね。別に僕、台風の研究をやってるとかっていうわけではなく、気候の研究をやってます。気候って何なのかっていうと、大気だけじゃないんですね。大気の状態、海の状態、あるいは北極の海氷の状態、陸の状態、いろんな地球の表面にある自然環境を全部ひっくるめて気候なんですね。
さっきから説明してます気候のシミュレーションモデルっていうのは、まさにそれを丸ごと模倣しているので、大気って一部でしかないんですね。海のモデルもあります。結構面白い現象って、海洋がセットになることで出てくるんですね。エルニーニョなんてまさにその典型なんですよ。
エルニーニョって大気のモデルだけでは出ない。海のモデルだけでも出ないです。その二つをくっつけて初めて出る。セットになると出るのか。セットになると出るんですね。
これは前回すごく食いつかれちゃったところなんですけれども、海の水温が変わることで雲が変わって風が変わって、もう一回海が変わるみたいな。大気と海洋が相互作用するって言いますけれども、常にいろんなものをやり取りして、連動して変化したり、そういうことが起きます。
今、二つ目の方で熱帯太平洋のっていうのが出てきたんですけれども、日本だったりアメリカもそうですが、やっぱり中緯度の国にとって、熱帯の海の水温がどういうふうになってるかっていうのがすごく大事なんですね。これは例えば台風の経路にも影響したり、いろんな意味で世界各地の異常気象の要因になってるわけですね。
特に太平洋って一番大きな海ですから、熱帯太平洋の海の表面の水温っていうのが、どこが暖かい、どこが寒いっていうのが、世界の気候変動にとってエンジンみたいな感じになってるわけですね。
それを今研究してるんですけれども、具体的には気候モデルのシミュレーションをぱっと見ると、将来、熱帯太平洋って全体が暖まるだけじゃなくって、ペルーに近い方がより暖かくなる。将来。将来っていう結果になってるんですよ。言ったら、エルニーニョにちょっと近いような。
ずっと恒久的にエルニーニョみたいなんですか? なんとなくそういうパターンになってるんですね。今までみんな、なるほど、そうかと思って、その結果を使ってきたんですけれども、最近、観測データをちゃんと見ると、どうも過去40、50年ぐらい、熱帯の海面の水温パターンが逆になってるんですね。
あれ、ペルー沖は下がってる? そうなんですよ。どうしちゃったんですか? それが不思議な現象で、要は温暖化するとこうなりますよって言ってるのと逆になってる。一方で温暖化はしてるわけですね。じゃあ何なんだ、いろんな可能性が出てきちゃうわけですよ。
例えば、実際に見えてる、ちょっと水温が下がってるっていうのは温暖化じゃない別の理由で生じているとか、あるいはモデルが間違ってるんじゃないかとか。なるほど。っていう可能性も否定できないですよね。
この辺は結局、将来の気候がどうなるかっていう予測に直結するので、なんで現実が、ペルーの辺りが冷えてるのかっていうのを突き止めなきゃいけないっていうのが大問題なんですね。面白そう。はい。これが、この温暖化パターンが時とともに変化するっていう。
今、仮説って何ですか? 今あるモデルを使って温暖化シミュレーションすると、ペルー沖の温度は高くなるはずだった、水が。しかし実際冷えていた。確かに仮説1、モデルが間違っている。仮説2、モデルは正しいけど組み込まれてない他の理由があるんじゃないか。はい。どっちなんですか?
こういうのってなかなか0、1で言えなくて、今のところ研究が増えてきていて、どっちも少しずつ効いてるらしいっていうことになってます。だからモデルも完全に間違ってない。だけどやっぱり少しモデルはずれてるらしいと。
そのずれを修正してやると、ちょっと現実に近い感じで、今まではペルーの辺りは少し水温が下がる。だけどほっとくと、だんだんそこも水温が上がっていくという結果になるっていうのが、大体分かってきて。
もう一つは、温暖化以外の要因って実は過去については結構重要なんじゃないか。具体的にはエアロゾルなんですね、一つは。エアロゾル。はい。エアロゾルって途中でも出てきたちりですよね。はい。
将来はそういうエアロゾルは減っていくっていうのが、大方のシナリオなんですね。なんでかっていうと、一番地球にとって重要なエアロゾルとか、硫酸ガスなんですけれども、硫酸って工業活動で出てくるんですが、そこでいろんな環境規制とか、あるいは設備自体をクリーンにしていくっていうのが進んでくる。進んできてるんで、だんだん出なくなってきてる。
相当少なくなってそうなイメージですね。そうなんですよ。なので将来的には、それはほとんど気候に影響しないっていうふうになってるんですが、過去はそうじゃなかったんですね。例えば1980年頃までは、欧米だって工業活動で硫酸って出てたんですね。その後、中国からいっぱい出てるわけですけども、それが結構効いてると。
なるほど。特に大事なのは、エアロゾルっていうのが一定でずっと出続けてるわけじゃなくて、ある時期まで増えて、そこから減ったりとか、そういう変化をしていることで、過去の気候を40年ぐらいの単位で見た時に、その影響っていうのが出てきてしまうわけですね。
エアロゾルが環境規制で減ったから、予想以上に暖まってないんじゃないかってことですか? そこまで単純ではないかもしれない。まだ分かってないこと結構多いので。その影響もあるんじゃないかぐらい。はい。影響があるというのは、もうだいぶ言えるようになってきてます。
なるほど。だから冷えちゃった。エアロゾルがそのままだったら、ひょっとしたらペルーは上がってたかもしれない。そうですね。そうであれば、過去と将来が違っても別に矛盾はしないってことですよね。将来はエアロゾルが減るって想定されてるわけだから。というのがもう一つ。
他にもいろいろ説明はあるんですけれども、いずれにしても、温暖化のパターンって考えるものっていうのが、過去から将来までずっと同じとは限らないと。変わり得るんだということですね。今のところ、まだ実証には至ってないけれど、だいぶそれに近づきつつあるっていう。
だからモデルに組み込まれてなかったら、予想外のことがいろいろ起きるわけですね。起きます。それをその都度モデルに組み込んでいくんですか? はい。あるいはモデルのここがちょっとずれてるんじゃないかとか、いろいろ調べ直して、さらにモデルを手直しするとか、そういうことを繰り返すわけですよ。
じゃあ年々精度が上がってるわけですか? 上がってますよ。びっくりするぐらい上がってないのが問題なんですが、少しずつ上がってます。少しずつ。少しずつ。びっくりするほどは上がんないんですか? びっくりするほど上がんない一番の理由は何ですか?
一番の理由は、やっぱりこういう気候のシミュレーションモデルってすごいコストかかるんですね。この場合のコストっていうのはスーパーコンピューターなんですよ。スーパーコンピューターが急激に大きくならない限り、突然気候のモデルが良くなるっていうのは、あんまり起こらないですね。
やっぱ量子コンピューターが出てきたら劇的に変わるんですか? それはいつのことか分かりませんけれども。出てこないですか、あれ? 研究はしてますよね。だけど実用できるレベルがいつなのかっていうのは、ちょっと分かんないのと、今だったらそれに代わるものとして、やっぱりAIっていうのがありますね。
今までのコンピューターシミュレーションのモデルって、それこそ物理学に即してプログラムを作ってたんですけれども、そこにAIを組み込んでいくことで、より高速化とか高解像度化とか、今までできなかったことができるんじゃないかっていうのは、みんな期待をしてます。
気候研究の分野にAIってどう入ってきてるんですか? 最初に入ってきたのは気候じゃなくて気象予報だったんですけれども、要は天気予報のモデルを、Googleとか。食わせて。Microsoftとか、そういう大きなデータセンターとか持ってるところがAIで作ったんですね、天気予報のモデル。
もう作って、結構広く出回ってるんですけれども、そうすると確かに従来の天気予報のモデルよりもいい成績が出せると。これ、AIって言ったら統計なので、物理法則は直接は使ってないです。
統計やってるんですね。ここだったら次こうでしょうね、みたいな。だけどAIって、いわゆるビッグデータとか膨大なデータがある方が活用できるっていうのは、よく知られてるじゃないですか。気象ってまさにそういう分野で、データは膨大なんですね。観測だって大量にありますからね。向いてるんだ。
それをAIに教えて、トレーニングしてやるということで、確かにいいモデルは作れるっていうのが分かってきたんですね。すると次のステップは、じゃあ同じことを気候変動の予測とか、そういうことにできるのかどうかっていうところで、これはまだできたっていう報告がないんですけれども、確実にその方向に進んでいます。
複雑なシステムだから、変数全部理解できないし、関係も解明できない以上、物理を一回無視して統計だけでやった方が、将来的に正確になる可能性もあるんですかね。
そうですね。ただ現時点では、AIで気候のモデルを作ると、途中で暴走するっていうのが分かっていて。暴走するんですか? どうなっちゃうんですか? 面白そう。どう暴走しちゃうんですか? あり得ない気圧配置になったりとか。あり得ない気圧ですか? はい。
それなんでかっていうと、やっぱり気候ってある種の制約、物理的な制約があって、落ち着いた状態が成り立ってる。制約って何かっていうと、一言で言ったらエネルギーの保存とかね、そういう、それこそ物理ですよ。物理の基本的な保存みたいなのが成り立ってるわけですが、AIがそれを教えられてないと、勝手に破っていくわけです。
そっか、エネルギー保存の法則とか無視しちゃうんだ。そういうのを合わせて教えないといけないんじゃないかと。統計を食わせるだけじゃなくて。そういうことです。それができれば、何千年でも動くようなAIの気候モデルができるんじゃないかなと思います。
なるほどな。そこら辺、日々の研究ですね。先生の研究だと雲が大切っていうふうにされてるんですけど、それは何ですか? 雲は大切なんですか?
雲って、もともと地球の気候にとっては少し冷やす役割を持ってます。これは雲が白いので、日を反射するからなんですけれども、大切だっていうのは、温暖化するとその雲がどういうふうに変化するかに応じて、温暖化が抑制されるのか、促進しちゃうのか、どっちも起こるからなんですね。
特にそれがよく分かってないっていうか、例えば気候のモデルの中で雲をまともに計算できないんですよ。
何でですか?
雲って本当に幅広いスケールにわたってて、雲をよく拡大していくと雲粒が多分出てくるはず。
見てみて。雲って拡大していくとどうなっていくんですか? 飛行機で雲を突っ切る時みたいですよね。白いモヤモヤみたいなの。
そう、モヤモヤ。あのモヤモヤが何かって言ったら、水滴だったり、氷の粒だったりで、それが雲の実体ですよね。もやっと見えてるのが小さな小さな水の粒なわけですよね。それが集まって雲になって、ほっとくとだんだん水滴が大きくなって、雨になって落ちていく。それで雲が消えるわけですけれども、その雲の中の粒っていうのは、粒よりずっと小さいですから、ミクロン単位なんですね。
はい。ミクロン単位。
はい。だけど地球の気候を決めてる雲っていうのは、例えば地球の何パーセントかを雲が覆ってますということで決まるので、数千キロにわたりますよ。だからスケールがミクロンから数千キロで、ものすごい幅広に計算するってまずできないんです。
難しい。
難しい。だからモデルを作るっていう時に、地球を箱で区切るって言いましたが、それが今でも数キロ×数十キロとか、そのぐらいの大きさ。粒ってミクロンですよ。
全然オーダーが違うじゃないですか。
だからまともに雲粒から地球の気候を計算するっていうのは、多分将来にわたってもできないと思っていて。
できない。
雲がどうやってできるかっていう基本的な物理法則は分かってるので、あとはそれをどうやってコンピューターの中で表現すればいいかなんですね。
そっか。雲が温暖化とかに対してマイナスの影響もプラスの影響もあるわけですよね。
ありえます。
そこの、何て言うんですか、乗数効果って、何かその、メリットが掛けるいくつで、メリットが掛けるでみたいな、そこら辺の計算がまだまだ分かんないんですよね。
そこをちゃんと計算しないと温暖化を適切に予測できない。
だから雲は大切なんですか?
そうです。
むずいなあ。そんなことできるんですか?
できないって言ったら研究が止まってしまうので。知恵ですよね。やり方で、将来雲ってこういうふうになるだろうっていう推定をせざるを得ない。モデルそのままでは確かな結果じゃないので。
それは雲、どうなりそうなんですか? 今のところ。
今のところ、これはIPCCの前回の第6次っていう報告書で、僕自身が加わってた章がありまして、そこで評価したんですけども、将来的に今一番起こりやすいのは、雲はやっぱり減るでしょうと。地球全体で雲が減る。
晴れの日が増える。やったって感じですか?
日本を例に取るとあれなんですね。これ、世界地図をイメージした方がよくて。世界地図で雲が一番あるのって、別に日本とかそういうところじゃないんです。海の上なんですよ。海の上の雲が減ると。
海の上が減ると。
はい。それで日射がもっと入ってくるようになるので。
やばい。
そうすると雲っていうのは基本的には温暖化を押し上げる方向に働く、そういう結果になります。
雲が少なくなるから温暖化するってことですか?
より温暖化するってことです。
太陽光が来るから。
はい。だから温暖化することで雲が減るじゃないですか。そうすると日射がもっと入ってくる。また温暖化します。
温暖化する。でも不思議ですね。そしたら海面水温が上昇するじゃないですか。雨雲……。蒸発して。
同じように思うんですよね。ここから先はすごい難しいんですが、雲っていろんな高さの、いろんな種類のものがあります。お天気博士とか気象好きな人って、よく十種雲形とかっていうのを知ってるんですけども、空を見た時に高い雲とか低い雲とか、いろいろありますよね。
入道雲とか、そういうの。
そうです。今、減るって言ってる雲っていうのは、あんまり雨を作らない、低い、ぼやっと広がるような、そういう雲なんですね。
何雲って言うんですか、それ?
層雲とか層積雲っていうのが。
層積雲ってやつが減るんですか?
はい。
雨とか関係ないやつ。
あんまり雨が降らないんですね、その雲っていうのは。
だから本当は太陽の熱を防いでくれるやつがなくなるだけ。
はい。減っていくってことです。
温暖化がより進むだろうと。
はい。
そういう研究をしてるわけですか?
ええ。
気候感度というものはどういうもので、なぜ重要……。気候感度って何ですか?
まさにこれの話の続きになるんですけれども、IPCCで僕が入っていた章っていうのが、その雲の効果だけじゃなくって、気候感度が何度なのかっていうのを推定する。気候感度ですね。気候感度っていうのは定義がはっきりしてます。大気中の二酸化炭素の濃度を倍にした時に、そうすると気候って暖まりますね。その状態をずっと保つと、最初、気候ってまだ途上で変わっていくんですが、ずっと時間がたてば暖かい状態で落ち着きますね。その時に全球、世界平均の地表気温が何度上がるか、そういう量なんですね。これ、だから現実には起こらない状況設定なんですけれども。
何でそんなことやってるんですか?
気候学の分野では一番、基本的な量として扱ってます。何でかっていうと、この気候感度っていう量が、実際、将来CO2の排出が増えたり減ったりとかっていう現実的な状況のもとで、何度温暖化するのかっていうのに比例するってことが分かってるんですね。状況設定が非常にシンプルであるので、例えばエアロゾルがとか、面倒くさいことを言わなくて、本当に気候の一番基本的な物理法則を理解すれば、この気候感度が何度かっていうのが分かるはずだって思ってるわけです。なので、あえて状況を簡単に設定、単純化してるというのが気候感度っていう量です。
それが何で重要なんですか?
何でかっていうと、例えば今、気候感度の推定値、一番真ん中が3度なんですけど、要はCO2の濃度が倍になったら地球って3度温暖化しますよっていう値なんですが、これがもし2度だったら、4度だったらどうなるかっていうと、ここから先は実の話になります。将来、温暖化を例えば2度で止めるために、これだけCO2の削減をしなきゃいけないって、こういう推定をしていたとしますね。この推定値っていうのは、例えば気候感度が3度だったらっていう前提で作られたりするんですが、もしこの気候感度がもっと高かったらどうなるかっていうと、同じ将来の排出量に対して地球ってもっと温暖化しちゃうわけですね。もともと気候っていうものが、より敏感に温暖化するっていう意味。
CO2に対してより敏感である。
そう。そうするとどうなるかっていうと、じゃあ2度で温暖化を抑えたいと思った時に、削減しなきゃいけないCO2の量ってもっと多くなっちゃうわけですね。もっと減らしてやらないと2度を超えちゃうということになります。
はい。敏感ですからね。
はい。なので気候感度っていう量自体は技術とかそういうのと無関係な、本当に基本的な気候の量なんだけれども、その数字次第で将来、脱炭素にかかるコストっていうのが変わってくるわけですね。もちろん、たくさん排出を削減すればそれだけコストがかかります。だから地球の気候っていうのがすごく鈍感で、CO2を出してもそんなに変わんないよっていう、もしそういうことがあったとしたら、削減って緩やかに減らしていけば大丈夫だってことになるんですが、逆もありえるわけですね。という意味で、気候感度って基本的な自然科学の量なのに、現実的な排出削減とか、そういうコストの話とかに直接つながっちゃう量なんですね。だから大事なんですよ。
なるほど。そこをちょっと意図的にいじったら、随分変わりそうですもんね。
意図的にいじることはできるんですけど、そんなの信用できないですよね。科学で、なるべく現実、本当に科学的に正しい気候感度をどれだけ設定するかが大切ですね。
そうすると、それ、試算が何十兆円とかで変わってくるところですよね。
そういうことです。僕らはそこを気にしてやってるわけではないんですけれども、社会にとって重要な量であるっていうのは重々分かっていて。大体、過去、もう半世紀ぐらい、この気候感度が何度なのかっていう推定をしてるんですが、真ん中の推定値は実はそんなには変わってないんですね。大体3度ぐらいなんですけれども、問題はプラスマイナスっていうこの幅がずっと大きかった。
不確実幅ですか?
不確実性の幅ってやつですね。この幅が大きければ大きいほど、いろんなリスクを考えなきゃいけなくなるじゃないですか。できるだけ、より確実に、もっとその幅ってこのぐらい小さいよって言われる方が、脱炭素の費用対効果の見積もりだとか、そういうのがやりやすくなる。
パキッとし……。なるほど。
っていうのはあります。なので我々がやるべきことは、この幅をできるだけ狭めて、物理学としてより確かなことなんですね。
CO2を出したらどれだけ温度が上がるよっていうのの不確実幅を減らして、その掛ける1.7なのか1.5なのか分かんないですけど、そこをなるべく1.6から1票に収めようとか、2から1だったものみたいなことが、先生たちが、それ結構社会にとって一番大事なところな気がしますよね。実生活においては。
そうですね。でもあまり意識しないとは思うんですけれどもね。
政策決定者とかにとって重要なところですか?
非常に重要です。
重要ですね。先生が使っている気候モデルってどんなものですか? 先生の研究モデルを使うことで初めて見えてきたのには、どのようなものがありますか?
途中でも言ったんですけれども、地球に例えば実際にエアロゾルのちりをたくさんまき散らすってできないですよね。だけど、じゃあちりをまいたら、どこにどのぐらいの効果があるかっていうのを知りたくなったりするじゃないですか。こういうのは気候のモデルがないと調べようがないですよね。こういうのをよく仮想実験室とかっていう言い方をしますけども、現実の実験室は作れない。地球は作れないんだけれども、仮想的な実験室としてスーパーコンピューターの中にそういうものがあると。
ちっちゃな地球みたいなことですね。
はい。そうすると結局、仮説が出てきますよね。気候変動ってどうやって起こってるのかな。その仮説を1個1個、その仮想実験でテストできると。これは非常に大きいですね。
なるほど。実際の地球で実験できないですから。
できないからです。
近いモデルを作って、そこで実験するっていうのが先生のモデルですね。今日、すいません。ここまでいろいろ変なこと……。もう3回ですかね。
そうですね。3回目になります。
いろいろありがとうございました。最後の方、ちょっとまとめたことになっちゃいますけども、これからの気候変動や極端気候研究で、先生、渡部さんが最も重要と考える課題は何でしょうか?
ちょっと手短にしましょうかね。今一番大事だと思ってるのは、やっぱり社会が多分変わりつつある状況なので、これから先の10年、20年ぐらいのスパンで社会が変わったら気候がどう、例えば温暖化が抑制できるのかとかね、あるいは極端な気象っていうのがどのぐらい増えていくか。減りはしないと思いますけれども、そういう我々の本当に生きているスパンの中で起こりうることを、より確かに見ていくことだと思います。
不確かさを減らしていく。
そうですね。何でかっていうと、さっき世界のCO2の排出量って減ってないっていう残念なグラフがありましたけれども、もしかすると今後10年で頭打ちになる可能性もあるわけですね。
CO2の排出ですか?
はい。一旦減り始めれば、ペースはともかくとして、多分その傾向は続くんじゃないかなと思うので、そこが結構大きなターニングポイントになるような気がするんですよね。今まで歴史上、CO2の排出は、一時的にはともかく、長期的には増え続けてきていて。本当に頭打ちになれば、ようやくそこで今までパリ協定とか何だとかで取り組んできたことが、データとして見え始めることになりますよね。そこが大きな希望が持てる点なのかなというふうに思っているので、それがいつ来るかは、自分でやってる研究を超えて非常に関心を持ってます。
そういうところで、効果的な環境問題対策とかを進める上で科学者の役割とか、気候変動への適応や緩和に対する先生の研究の役割みたいなものって、どうお考えですか?
多分、研究って言っても、もう問題が大きいので分業せざるを得ない。緩和とか適応とかは、それをやってる専門家の方がたくさんいるので、今でも協力しています。その協力関係の中で、じゃあ自分でやってる研究は何かって言ったら、一番ベースの部分ですよね。今、気候ってどう変わっているのか。それが何でなのか。これから10年先、20年先でどう変わるのか。これをできるだけ確かな情報にすることですね。
いやあ、気の遠くなる作業ですね。
いや、でもそんなことないと思いますよ。
やれますか? 結構大変そうだなと思うけどね。
どうですかね。だけど、研究者だって人間ですから、自分のライフスパンっていうのがあって、僕はあと多分10年ぐらいしか研究できないんですけれども、それまでに知りたいことの答えは何がしか出てくると僕は思って。
10年以内に答えが出てくる。
はい。先ほどの熱帯太平洋の海の水温がどうなるかとか、そういうのも、もう答えが出ると思ってますね。
10年以内に出る。
出ると思います。
難しいな。先生、研究生活、今何年でしたっけ?
30年ぐらいですか。
30年か。30年かけて、ちなみに分かってきたことって何なんですか? 昔、歴史学者の人に聞いた時に、30年かけて、東大の人でした、それも本郷先生でした。30年かけて、元年から3年の3年間で、残ってるのを全部、文字に載ってるのを全部確認できたって言って、何かすごいなと思ったんですよね。1年につき10年かかるんですって。
なるほど。
研究者の道ってすげえ世界だなと思ったんですけど、30年かけてどのくらいのことが分かってきたんですか? 先生の研究。
自分1人で分かったことって多分わずかですよね。世界的な科学の研究業界がやってきたことって結構多くて、いろんなことが分かったと思います。この30年で、例えば前回の話に出てきたエルニーニョのこととか。エルニーニョって、この30年でほぼほぼ分かったと。
昔、分かってなかったんでしたっけ?
そうですね。
確かに昔、分かってなかったかもしれない。
はい。っていうのがありますね。あるいは、温暖化をデータがきちんと示し始めたのが大きいんですけれども、それによって異常気象がどう変わってきたのかとかっていうのも、きちんと出せるようになってきた。これ大きいですね。
30年前、分かんなかったんですかね? 手探りだったんですか?
手探りというよりは、やっぱり。
不確実性の幅がでかかったのか。
現実のデータがそこまで急激な温暖化を示してなかったわけですよね。30年前。
それが示してるぞっていうのは分かってきた。
示している以上、それをもとに、それこそシミュレーションをやったりとかすれば、現実にも温暖化が進んでるわけですから、温暖化の影響っていうのがよりはっきり見えるようになったっていうことなんですね。
ありがとうございました。いろいろ先生のお話を聞いてたら、やっぱり斎藤幸平さんのように脱成長を完璧にしなくても大丈夫かもしれないですね。だってピークが来るんですもんね。
斎藤幸平さん好きですね。
斎藤幸平さんはよくお会いするんでね。「お前は脱成長が足りない」って、私も常々怒られるんで。
なるほど。
そんな脱成長しきらなくても、だって数年後ピークが来るんですよね。
来るといいですね。
安心して私たち暮らしていいんですよ。
いやいや、数年後とは言ってないです。
数十年後でしたっけ?
いや、数十年後でもないですが、この先10年ぐらいで。
10年後ですか?
10年後かどうか分かりませんが。
じゃあ、もうバンバン経済活動しようっていうことでいいですか?
いや、それは違うんじゃないですか。経済活動を何でするかですよね。バンバン化石燃料を燃やし続けて経済活動している限り、10年たってもピークアウトはしないですよ。
これでも最終的に、ちょっとやっぱり聞きますね、パキッと。僕ら、やっぱり現実の行動に何をつなげればいいのかっていうところがないと、分かんないと思うんですよ。それは日々の活動と、あと政策の意思決定かもしれないですよね。そこしかないじゃないですか。
そうですね。大きいところは、やっぱり1個人で変えられない部分が大きいですよね。産業だったり、運輸だったり、それこそ発電っていうのはありますね。だから1個人の行動で直接変えられるのって家庭部門っていう。
さっきの14パーセントで。
そう、14パーセントです。あそこですよね。でも、それ以上のことができないかどうかは分かんないです。そこはもっとポジティブに捉えれば、例えば脱炭素を進めてる企業がどこなのかを知って、そこを応援するだとか。
株を買うとか。
はい。そういうのもありますね。例えばですね。そういうことをちゃんと日々考えながら。
水素エネルギーって現実にあるんですか?
ちょっと分かんないですね、それ。いろいろ再生エネルギーがあって、日本は水素とかアンモニアとか、いろんなものに取り組んでますよね。パラレルにね。
分かんないですよね。新聞で報じるだけだとな。日々そういう情報をちょっと捉えていく。
はい。それは僕も勉強しないといけないところです。
ありがとうございます。全3回にわたって勉強させていただきました。
陰謀論高橋、どうでしたか?
途中からあんまり陰謀論じゃなくなりました。やっぱり陰謀論って難しいですね。演じ切るのはね。でも僕、やっぱりちょっとこれ、素直に言っといた方がいいと思うんですけど、今なお陰謀論の心って全く意味ないと思わないっていうか、一般人、僕みたいな研究者じゃない人が、どこに何を不安がっていて、なぜそれが不安なのかっていうのを常に考えることが、ちょっと大変申し訳ないですけど、研究者と政策決定者の責務だと思うんですよね。だってさっき言ったように、物理、16パーセントしか勉強しないですから、男子も。分かんないんです。なので。
そうですね。
分かんないんです。それをちゃんと解消する言葉があればいいってことですよね。
ちゃんと解消していくのって難しいですけどね。難しいですけど、こうやってたまに来てお話を伺えれば、多分それが見た人にとっては分かりやすい説明になってるのかなっていうふうには思ってやってるんですけどね。
それを本にして売れれば、少なくとも1万人ぐらいには届くんじゃないですか? 届けましょう。
1万人ね。何万部ぐらい刷るんですか?
1万、1万。
今、無理やり言わせました。1万刷れば、大丈夫ですから。すいません。じゃあ最後、視聴者の皆さんにお伝えしたいことを聞いて締めていこうかな。気候変動とかに将来進む学生さんもいるかもしれないですし、一般の方でも何かお伝えしたいことがあれば、ぜひお願いします。
そうですね。世の中、いろんな問題があるので、気候変動だけ気にしてればいいっていう時代ではないですけれども、でももういろんなレベルで、生活だったり、あるいは専門家を目指す人だったり、多分避けて通れない現在の問題の1つであるっていうのは間違いないと思いますので、ぜひ関心を持っていただきたいと思います。別に買わなくてもいいですが、買わなくても構いませんので。
本は買いますよ。売ってますよ。
そう。じゃあ買ってくださいってことにしときましょうか。ということで、またお話できれば、ぜひいいと思ってます。
引き続きお願いします。まず関心を持っていただくように私たちもしますので、よろしくお願いします。ということで、全3回にわたり、東京大学大気海洋研究所教授の渡部雅浩さんに気候変動についてお話を伺っていました。本当にありがとうございました。
はい、ありがとうございました。
ます。ます。
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