AIの時代に娯楽は伸びるのか 堀江貴文と入江巨之が語るテレビ局、スタジオ、IPの価値

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概要

堀江貴文は、AIによって人が頭を使わなくなるほど、頭を使う娯楽が求められるようになると考えている。この対談で入江巨之は、堀江がなぜ娯楽事業に次々と手を出しているのかを尋ね、テレビ局の価値、スタジオ不足、コンセプトカフェ、マッチョのミュージカル、IPと古い楽曲の権利まで話を広げていく。

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「頭を使わなくなるから、頭を使う娯楽が流行る」

入江によれば、堀江は最近エンタメ関連の事業を多く手がけている。その理由として堀江は一つの仮説を示した。産業革命で機械が肉体労働を代わりに担うようになると、人は運動不足になり、スポーツが生まれて流行した。同じように、AIの時代にはわからないことがあればすぐAIに聞くようになり、人は頭を使わなくなる。だから自分で頭を使って何かをする、頭を使って観るといった類のもの、つまり娯楽が流行るはずだという。堀江は、エンタメ産業はこれから大きく伸びると見ている。

入江が、SBIがエンタメコンテンツに1000億円を投じていることについて理由を尋ねると、堀江は「そうなると思っているのではないか」と答えた。さらにSBIはメディア、たとえばフジテレビの買収も望んでいるのだろうと推測している。

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フジテレビは不動産を手放して本気になるか

入江は、フジテレビは不動産で稼いでいたのだから、それを売れば生き残れないのではないかと疑問を投げた。堀江の答えは「半分正解」だ。堀江の見方では、今のフジ・メディア・ホールディングスは、引退後に大家業で暮らすような会社になっている。家賃のような定期収入があるので、エンタメ事業を本気でやろうという気にならない。しかし不動産がなくなれば、売却で得た資金をエンタメに投じ、稼げる体質に変わらざるを得ない。だから本気でやるだろう、というのが堀江の読みである。

入江が、テレビ業界にそこまで頭を切り替えられる人がいるのかと疑問を示すと、堀江は、いないからこそ弱ったところを買収しようとしているのだろうと答えた。

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TBSのドラマはNetflixで「発見」された

堀江は最近、NetflixでTBSのドラマをよく観ていることに気づいたという。今観ている『Tシャツが乾くまで』がとても良いそうだ。TBSの『サンデージャポン』の収録でディレクターにその話をし、ドラマの制作予算を増やしたのかと聞いたところ、まったく増やしていないという返事だった。

ここから堀江が引き出した結論は、TBSのドラマは質が高いのに知られていなかった、ということだ。TVerのような見逃し配信はいつまでも観られるわけではない。一方でNetflixに出した作品はずっと観られる。つまりテレビ局は、良い作品を作っていながら、届け方で損をしていただけだという。

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それでもテレビのブランド価値は高い

入江は、テレビ局がNetflixなどにコンテンツを売るなら、制作会社になっていくのか、自局の枠の視聴率に響かないのかと尋ねた。堀江は、みんながNetflixに移ってNetflixで作るようになるかといえばそうはならない、と答えた。テレビに出たい、テレビ局に入りたい、テレビに出るタレントになりたいという思いは、若い世代も含めて根強く残っている。

堀江は例として、YouTubeで稼げて知名度もあるのに、わざわざテレビに出たがるYouTuberを挙げた。堀江自身は「テレビに出るメリットはないのに」と思っているが、入江は、それでも本人たちにとっては夢なのだろうと応じた。堀江は、自分はテレビに山ほど出たので今はどうでもよいのだと話している。

一方で堀江は、テレビのブランド価値の高さを具体的な数字で説明した。Netflix専属になる人はギャラが5倍ほどになっている。裏を返せば、テレビなら5分の1の費用で作れて、優れた才能もまだ集まってくる。入江も、テレビ出身者は番組の質が明らかに高く、SNSの運用も上手で、能力の高い人が集まっていると感じているという。

堀江はこれを踏まえて、配信プラットフォームがすべてを持っていくのではないかと以前は思われていたが、作り手はNetflixもテレビも同じ配信先の一つとしか見ていない、と整理した。そして「予言」として、映画もNetflixなどと同時公開した方が絶対に伸びると述べ、映画会社を買収したいとも話している。

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スタジオは足りなくなる

堀江は、入江がスタジオ事業を始めたことを「正解」だと評価した。堀江自身もスタジオの買収を進めているという。堀江によれば、スタジオは重い機材を入れるため天井を高くする必要があり、照明やLED、高圧電源も必要になるため、都内で新たに作るのは難しい。地上波だけなら放送枠に限りがあったが、配信によって枠が際限なく広がったため、スタジオは必ず不足すると堀江は見ている。

入江も同じ見立てで、熊谷さんに話を持ち込み、出資を受けてスタジオを手がけたという。入江にはもう一つ理由があった。これからは広告宣伝に頼る時代ではないので、自社でメディアを持ち、コンテンツを作り続けなければならない。そのためにもスタジオが必要だと考えたという。

この文脈で、二人はフジテレビが湾岸スタジオなどの大規模な設備を持っている点にも触れた。スタジオがあり、制作者も集まってくるので、買う側から見ると魅力が大きいという見方である。

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コンカフェの原型とその「面白さ」

話題を変えて、入江は前日に初めてコンカフェに行き、7軒回った体験を話した。入江は、あるオーナーから月の売上を見せてもらい、あまり広くない店でもかなりの金額を稼いでいることに驚いたという。しかし堀江は驚かなかった。堀江は十数年前に、日本で初めて話題になったコンカフェに行ったことがあるという。

堀江の説明では、コンカフェは六本木にある夜の店の業態を昼に持ち込んだものだ。「萌え萌えキュン」と言いながらケチャップで絵を描いたり、ミニステージがあったりする演出は、その店とほぼ同じだという。要はシャンパンを飲ませたり、ツーショットチェキを売ったりする商売である。当初は風営法の許可を取らずに昼間営業していたが、今は許可を取ってキャバクラのような形態で営業するのが普通になっている。入江も、回った店はすべて許可を取っていたと応じた。

入江が印象に残ったのは、アイドルがプロデュースした店が歌舞伎町に多く、そこで働く女性たちの話がとにかく面白かったことだ。そうした変わった人たちを動画コンテンツにしたら面白いだろうと、入江は可能性を感じたという。

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マッチョのミュージカルと、相撲への横展開

入江から最近興味のあるコンテンツを聞かれた堀江は、マッチョのミュージカルを挙げた。ミュージカル『ブルーサンタクロース』で収益化の手応えを得たので、横展開を考えたという。候補はホストやキャバ嬢、コンカフェ嬢などいくつもあったが、マッチョが一番話が早かった。マッチョのチェーン店「マッチョマッチョ」と組み、オーディションを開くと変わった人がたくさん来たので、ショーとして成り立つと判断したという。10公演だけ上演し、堀江は「うまくいきました」と話している。

次の横展開として、堀江は相撲を題材にすることも考えている。外国人が来そうだというのが理由だ。今回はインバウンド向けの集客に時間を割けなかったが、ネットで調べて来た外国人客が何組かおり、外国人の女性客がとても喜んで、チップもかなり出たという。

ただし今回の会場は風営法の許可を取っていない、特定遊興の施設だったため、過激な演出はできなかった。マッチョの筋肉を触るのは許されたが、お姫様抱っこのような身体接触はNGで、バックハグをしながら歩く程度しかできなかったという。風営法の許可を取った専用の箱があれば、男性版バーレスクのような形でもっと踏み込んだ演出ができる。堀江は、内藤さんのバーレスクが大きく稼いだことを引き合いに出し、マッチョの店を毎日営業すれば10億円規模を稼ぐ箱になると見込んでいる。

入江は、今は堀江のようにこうした面白い企画に挑戦する人が減ったと感じている。かつてはリスクを取ってライブハウスで何かをやるような人がいたが、そういう人がいなくなったという。これに対して堀江は、減ったのではなく元々いなかったのではないかと返した。

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日本昔話の舞台で知ったIPの強さ

入江は、日本昔話を題材にした劇を上演した経験を話した。児童養護施設の子どもたちを招くなど福祉寄りに振り切った公演で、渋谷の約300席の会場は全公演満席になった。ただ、8公演程度だったので、すべて売り切っても利益が出る規模ではなかった。入江は、儲かったかどうかは別として意味のある公演だったと振り返っている。

この公演で入江が気づいたのは、IPの強さだった。日本昔話というIPがあるので、一般向けのチケットは何もしなくても売れたという。堀江がもっと大きな会場でもよかったのではと言うと、入江はリスクを考え、最初は小さく始めたかったと答えた。出演者の起用は、落語を手がけているヒカルとの関係から実現したという。入江は、コンテンツの掛け合わせが重要だと話し、今後は画像生成などのAIとIPを組み合わせることに力を入れたいと述べた。

14:31

AIによる再現より「当たった曲」を擦る

AIとIPの話に対し、堀江は慎重だった。昔話の声をAIで再現して新しいアニメに使うような取り組みもあるが、堀江はAIを使ったこの種の企画で成功した例はまだないと見ている。AI美空ひばりが紅白で歌った例などを挙げつつ、そうした企画がそれほど受けていないという認識を示した。

堀江が代わりに考えているのは、古い名曲の著作権や原盤権を買い、インフルエンサーや新しい歌い手に歌ってもらうことだ。その根拠として、堀江は秋元康から聞いた話を挙げた。コンテンツで成功する唯一の法則があるとすれば、たくさん試すことしかない。ホームランを打つには打席にたくさん立つ以外に証明された方法はない、というものだ。ピカソが最も有名な画家になれたのは、作品数が他の画家より2桁多かったからだという話も堀江は紹介した。秋元康も良い歌詞を量産しているが、ヒットはたまにしか出ない。だからすでに当たった過去の名曲を使う方が強い、と堀江は考える。漫画日本昔話も、フォーマットそのものが当たっているという点で同じだという。

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「ヒットした日がリリース日」

入江は、サカナクションの曲のように昔の曲が突然バズる例に触れた。堀江は、アソビシステムの中川悠介から聞いた「ヒットした日がリリース日」という話を紹介した。FRUITS ZIPPERが当たり、CANDY TUNEはすぐには当たらず、CUTIE STREETが当たった。シリーズの中で肩身が狭かったらしいCANDY TUNEが今年になって急に当たった、という例だ。堀江はこれを比喩だと断りつつ、良い曲を出し続けていれば、今はデジタルなので廃盤も絶版もない、と説明した。音楽や本はデータが小さく、クラウドに永遠に残り続けるので、あとは発見されればよい。これが、堀江が古い音楽IPを買っている理由である。実際に最近も交渉に行ったという。

入江も、昔の曲の権利は数年分の収益を目安にした価格で買うことができ、自分も様々な人からおよそ100曲を買ったと明かした。堀江は、音楽はだいたい循環するものだと述べている。

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日本のコンテンツを世界へ

堀江は、J-POPは本来世界で売れるはずで、知られていないのはグローバル向けのプラットフォームがなかったからだと主張する。入江が、日本の既存コンテンツを買ってリバイバルさせ、海外に届けられるようになるということかと確認すると、堀江は「可能になってくる」と答えた。そして、その文脈でオーディション番組を始めようと考えていると明かしたところで、対談は終わっている。オーディション番組の具体的な中身は、この動画では語られていない。