ブロードウェイ『ロッキー・ホラー・ショー』出演中のルーク・エヴァンスに密着した1日
Vogue翻訳元 English
ルーク・エヴァンスがニューヨークで『ヴォーグ』と1日を過ごした。彼はスタジオ54で上演中の『ロッキー・ホラー・ショー』に出演している最中で、この日はチェルシーの借りているアパートから始まり、ダイナーでのランチを経て、毎晩役へと変身する舞台裏へとたどり着いた。その道中、彼はこの役を、俳優として経験した中で「おそらく最も驚異的な変身」だと語った。また、その変身が身体に求めるものや、トニー賞ノミネートをめぐる慌ただしい1週間についても話してくれた。
拠点はチェルシー
エヴァンスの1日は、チェルシーにある友人のアパートから始まる。彼はパートナーのフランと愛犬のララとともにここを借りている。2月から住んでいるといい、窓からの眺めを「とても特別」だと紹介する。舞台で自分が何をしているのか、どんな見た目で何を着ているのかは説明しにくいと彼は言う。そして、これまでのどの役よりも驚異的な変身だと語る。巨大な厚底のスティレットブーツとウィッグを身につけると、身長は6フィート8インチになる。その高さは「人を変える」もので、驚くべき感覚だという。
コーヒーを飲み終えると、ララを連れて散歩に出かける。出がけにドッグトリーツをつかむが、本人いわくピーナッツバター味らしい。道中、ニンジン、ビーツ、リンゴ、セロリに「ショウガをたっぷり」入れたジュースを注文する。この組み合わせを約15年飲み続けており、健康の秘訣はこれだと断言する。
フラン、街で声をかけられること、そして怒涛の1週間
散歩にはフランも加わり、「スペインから来たフランです」と自己紹介する。エヴァンスによれば、フランは2人のブランド「BDXY」の日々の運営を担っているため忙しくしているが、それは良いことだと考えているという。
エヴァンスは路上で声をかけられたエピソードを披露する。『ロッキー・ホラー』のキャストを特集したエディトリアルが掲載された『ヴォーグ』4月号の発売日の朝、ある男性が彼を呼び止め、その記事を褒めてくれたのだという。その男性が『ヴォーグ』の読者だとは思いもしなかったとエヴァンスは言い、その出来事を「クレイジー」だったと振り返る。
続いて、特に予定が詰まっていた時期について語る。ある1日のうちに、キャストとともに『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』のために「スウィート・トランスヴェスタイト」を収録し、夜にはメットガラに出席した。そして翌朝目覚めると、トニー賞ミュージカル主演男優賞にノミネートされていた。彼はそれを「本当にクレイジーで怒涛の24時間」と表現する。この経験に匹敵するものはないだろうから、もう二度とニューヨークに戻ってこられないかもしれない、と冗談を飛ばす。
コルセットの前のランチ
2人は10番街にあるエンパイア・ダイナーで食事をとる。エヴァンスは、上の建物に描かれたバスキア、ウォーホル、フリーダ・カーロ、キース・ヘリングの壁画を指さす。食事は公演に合わせなければならない。コルセットを着けるため、本番前の約2時間は何も食べられないのだという。そのコルセットは非常にきついものだと彼は言う。
問題は呼吸だ。エヴァンスは歌うためにとても大きく息を吸う必要があるため、チームはコルセットを締めすぎないよう注意しなければならない。大きなナンバーを歌いながら深く呼吸ができないのは「とても奇妙な感覚」だと彼は語る。
スタジオ54の舞台裏
いったん帰宅してバッグを取ってきたエヴァンスは、スタジオ54の楽屋口に到着する。劇場の地下はこの建物の中でもとても古い部分だと説明し、スタジオ54の時代にそこで何が行われていたのか想像してみてほしいと視聴者に呼びかける。ウィッグとメイクのエリアでは、メイクアップデザイナーのスターリングと、彼のウィッグをはじめ多くのウィッグを管理しているナタリアを紹介する。彼のウィッグはまだ準備ができていない。
舞台下では一対の眼球の横を通り過ぎるが、ショーを観ていない人にそれが何を意味するのかは説明を控える。続いて、衣装の修繕や縫製が行われる部屋を訪れる。そこにある衣装には、ナレーターのジャケット、エディ役のハーヴェイ・ギーエンが着る「凍りついて霜が降りたような」ジャケット、そしてヘビ革風の質感をもつアッシャレット(案内係)の衣装の一部などがある。この夜の彼自身の2着目の衣装はナース服だ。彼の衣装のいくつかは「布地が少ない」のだという。
楽屋
楽屋でエヴァンスは、着付け担当のエマを紹介する。彼女のことを「とても忍耐強い」「伝説的」と評し、彼女がいてくれて幸運だと語る。部屋は彼の希望で緑色に塗られている。もともとの色が気に入らなかったため塗り替えてもらったが、彼がこれまでに頼んだことはそれだけだという。
彼は部屋のいくつかの細部を紹介する。
- 初日プレビューの写真。 最初のプレビュー公演の終わりに撮影されたカンパニーの写真で、ブロードウェイのショーを上演するのにどれだけ多くの人が必要かがわかるという。
- ブーツ。 下着の一部と、そしてブーツ。彼はそれを靴ではなく「モンスターブーツ」と呼ぶ。後ろにはスタッズ、側面にはベルト、そして厚底がついており、毎晩脚に沿ってジッパーを上げて履く。
- ララの劇場用ベッド。 ララはここで、おもちゃのミスター・スクワレルとミセス・ラムと遊ぶ。
エヴァンスは愛犬にまつわる偶然を明かす。2014年にアランがこの劇場で『キャバレー』に出演していたとき、彼もララという名前の犬を飼っていたのだという。
顔をつくる
メイクの工程には多くのブラシが使われる。エヴァンスは、テーブルの上のブラシのおよそ70パーセントを毎晩使っていると言い、ひとつの顔にこれほど多くのブラシが必要だとは思っていなかったと話す。眉毛用の「とても技術的な道具」について冗談めかして紹介するのは、子ども用の学校のりだ。鮮やかな紫色で、塗ると紫に見える。ドラァグクイーンも同じ方法で眉毛を接着して寝かせるのだという。彼はこれを5〜6層ほど重ね、1層ごとに扇風機で乾かし、非常に厚い層になるまで仕上げる。
さらに、全キャラクターのオリジナルのメイクカラーを再現した、ウィキッド・ウィドウがデザインしたメイクパレットも見せてくれる。その中のひとつは、ティム・カリーが使っていたまったく同じ色のターコイズだといい、エヴァンスは毎晩それを使っている。
開演前
ツアーは舞台上で幕を閉じる。クルーは開場前にセットを隠し、幕を下ろす準備をしている。エヴァンスによれば、あと1時間半ほどで劇場はネオンに照らされ、「熱狂的なショーのファン」でいっぱいになるという。舞台にスモークが漂い始めるなか、彼は準備のためにその場を後にする。自分の支度はほとんどの人より時間がかかるのだという。1日付き合ってくれたクルーに感謝し、ララも楽しんでいたと語り、視聴者にショーを観に来てほしいと呼びかけた。
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