聞こえにくい人にとって電話の何が難しいのか 相手の声を文字にする「ヨメテル」を難聴の当事者と専門家が検証
PIVOT 公式チャンネル聞こえにくさを抱える人にとって、電話は特にハードルの高い道具である。番組「&新常識」は今回、「『きこえの壁』をなくす電話の世界の新常識」をテーマに、耳鼻咽喉科医でオトクリニック東京院長の小川郁さん、6歳から補聴器を使う気象予報士の舩橋沙貴さん、日本財団電話リレーサービスの上村麻子さんに話を聞いた。進行は西岡さんが務めた。議論は三つの段階で進む。聞こえにくさがなぜ周囲に気づかれにくいのか。それでも電話が生活から消えないのはなぜか。そして、通話相手の声をAIで文字にするサービス「ヨメテル」が電話の何を変えうるのか。
舩橋さんの聞こえ方と、電話が苦手な理由
舩橋さんは2025年6月に、両耳に難聴があることを公表した。診断は両耳の感音性難聴である。音が小さく聞こえるだけでなく歪んで聞こえ、普通の会話でも言葉がはっきり聞き取れないことがあるという。左右差も大きく、本人によれば右耳は80〜90デシベル、左耳は50〜60デシベルの聴力だ。左耳はまだ聞こえやすいが、右耳だけで言葉を聞き取ったり音を判別したりすることは「正直できない」と話す。大きな音が鳴ってようやく何となく感じ取れる程度だという。
電話については「やっぱり苦手です」と答えた。舩橋さんは子音が聞き取りにくいため、「か」なのか「た」なのか「ぱ」なのかといった細かな違いを、普段は口元を見て判断している。電話ではそれがまったくできず、相手の表情も読めない。そのため強く緊張し、しっかり聞き取らなければならない、何度も聞き返したら悪い、と気持ちの面での負担も大きいという。
「きこえの壁」はなぜ見えにくいのか
前半では、厚生労働省が推奨する「耳の健康チェック」の項目を出演者が一緒に確認した。西岡さんは「家族からテレビやラジオの音量が大きいと指摘される」に心当たりがあると話した。もともと大きめの音量に慣れているため、家族が小さめにしていると聞こえず、つい上げてしまうという。電子レンジやドアチャイムの音が聞き取りにくい、特にドアチャイムはかすかに聞こえる、という経験も挙げた。
舩橋さんがよく当てはまると話したのは、補聴器をしていてもいなくても、集会や会議で数人の会話がうまく聞き取れないという項目だ。人数が多いほど話題はあちこちに移り、話し手も目まぐるしく入れ替わる。誰が何を話しているかまで聞き取らなければならず、そのスピードも人数に比例して上がるので「しんどい」という。
小川さんによれば、診療で多い相談もまさに大人数での会話や騒がしい場所での会話が聞き取れないというものだ。難聴の人は夫婦で来院することが多く、夫は「あまり困っていない」と言う一方、妻は「とにかくテレビが大きい」と訴える、という典型的な場面も紹介された。
小川さんは、聞こえの衰えは高い音から始まると説明する。人の耳は30代からすでに加齢の影響を受けている。最初に聞こえなくなる例として挙げたのが「モスキート音」で、20代では聞こえても30代になると聞こえなくなってくるという。その後、高い音から順に聞こえにくくなり、電子レンジや体温計の「ピッピッ」という音が聞こえなくなる。ただ、会話には支障がないため、日常生活で本当に困ることは少ない。難聴が「見えない障害」とも呼ばれ、気づきにくい症状だと小川さんが言うのはこのためだ。
検査で「正常」でも聞こえにくいことがある
なんとなく聞こえにくさを感じていても言い出しにくい人は多いのか。この問いに小川さんは「結構いらっしゃる」と答え、正常値の幅の広さを理由に挙げた。視力2.0と1.0はどちらも正常と判断されるが、見え方はかなり違う。聴力も0〜20デシベルが正常範囲で、この幅は非常に広い。そのため、検査では正常と言われても聞こえにくさを常に感じている人が少なくないという。
さらに、聴力検査は音の大きさで判断するが、言葉の聞き取りは別の要因にも左右される。早口の人や、もごもごとはっきりしない話し方の人の言葉は当然聞き取りにくい。小川さんは、検査上の正常・異常だけでなく、さまざまな要因が加わっていると考える必要があると指摘した。
視力なら眼鏡やコンタクトレンズで気軽に矯正できるが、聴力はどうか。舩橋さんは、補聴器について「眼鏡と同じだから気にしなくていい」と励ましてくれた人が多く、その気持ちはありがたいと話す。一方で、6歳から補聴器をつけ、思春期を含む小中高時代を過ごしてきた自分としては「眼鏡とは違う」という思いがあるという。恥ずかしいわけではないが、補聴器をつけていると言って驚かれなかったことがない。馴染みのないものとして珍しがられ、自分でも目立っていると感じることが多かった。
1400万人という規模と、社会生活への影響
小川さんは日本補聴器工業会の試算を引き、何らかの医療的介入が必要な聞こえにくい人は国内に約1400万人いると紹介した。日本財団電話リレーサービスのデータでは、日常生活で聞こえに困っている人は約641万人、電話が使いにくい人は約416万人である。小川さんは、日常生活ではさまざまな方向からの音を聞き取る必要があるのに対し、電話は音源が一つで、使い方をある程度自分で把握している人もいるため、数が少し減っているのではないかとの見方を示した。
聞こえの壁は、聞き取りづらさ以外にも社会生活に影響する。小川さんがまず挙げたのは、他人とどれだけ正確にコミュニケーションが取れるかという点だ。会話が成り立たないと社会的に孤立し、集まりに足が向かなくなる。人によっては抑うつ状態になったり気分が塞いだりし、それがひいては認知機能にも影響すると最近言われている、と小川さんは説明した。
舩橋さんは「首が取れそうなぐらい」うなずきながら聞いていたと話し、自身の経験を語った。みんなでおしゃべりするのは好きだが、騒がしい居酒屋での会話にはついていけず、聞き役に徹してしまう。面白いことを言いたいし言えるはずなのに言えない。周りに楽しくないのかと思わせていないか気になり、自分にはトーク力がないのかと自信をなくして落ち込むこともあるという。
「音に頼らない電話」という公共インフラ
後半から上村さんが加わった。上村さんによれば、2021年に「音に頼らない電話」が公共インフラとして提供され始めた。根拠は令和2年に制定された「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」で、日本財団電話リレーサービスがこの法律に基づいてサービスを提供している。上村さんはその広報を担当している。
サービスは二つある。一つは令和3年7月1日に始まった「電話リレーサービス」だ。手話や文字でかける電話で、間に通訳オペレーターが入る。利用者の手話や文字を音声にして相手に届け、相手の話した言葉はオペレーターがビデオ通話で手話などに通訳する。もう一つが、上村さんの言う「昨年の1月23日」にリリースされた「ヨメテル」である。上村さんの説明では「相手の声が読める電話」で、利用者は自分の声で普通に電話をかけ、相手の声はAIが即座にスマートフォン上で文字にする。聴力を使わなくても会話できる仕組みだ。上村さんは、民間サービスとの最大の違いを、音声電話とまったく変わらない条件で使える点だと強調した。
メール・SNSの時代に、なぜ電話なのか
「電話ってもう使わないじゃん」とよく言われる、と上村さんは話す。しかし、上村さんが紹介した総務省の令和6年度のデータでは、国内の通話だけで年間570億回の通話が行われている。1回の通話には必ず2人が関わるため、延べ1140億人が電話に接している計算になる。社会人で1年間まったく電話を使わなかった人はそういないだろう、とも上村さんは述べた。この数字から見れば、電話はあまり使われなくなったとは言いがたいというのが上村さんの考えだ。
聞こえにくさを感じている人も電話を使っている。調査では、そうした人のうち音声だけの電話を週1回以上使う人が60.9%、月1回以上では78.2%に上った。上村さんは、聞こえにくいかもしれないと思いながら電話を使っている人が多いことが分かってきたと話す。
上村さんは、他のコミュニケーションツールとの決定的な違いとして、「知り合いじゃなくても番号が分かればかけられる」点を挙げた。SNSなどは互いにつながっていなければ連絡できないが、電話は番号さえ分かればかけられる。
舩橋さんにとっての電話の場面
舩橋さんは、気心の知れた相手とは顔が見えるビデオ通話が大好きでよく使う。それでも、生活の中には音だけの通話をしなければならない場面がたくさんある。お店はできるだけネット予約で済ませるが、今もネット予約のない店があり、その場合は「仕方ない」と気合を入れて電話をかける。予約では日時や「何時が空いていますか」といった数字のやり取りが出てくるため、自分の聞き取りが合っているか不安になり、余計にドキドキするという。
西岡さんが、困ったときほど電話を使わなければならないのではないかと問いかけた。舩橋さんは役所への電話を例に挙げた。引っ越しのときなど、自分が疲れているときに電話しなければならない場面もあり、余計に緊張して疲れる。そういうときは「電話嫌だな」と思うという。
ヨメテルの使い方
上村さんによれば、ヨメテルは純粋に通話相手の声をスマートフォン上で文字にするサービスだ。使い方は一つに限られない。相手の声をまったく聞かずに文字だけで会話することもできるし、普通に通話しながら聞き取れなかった箇所だけ画面を見ることもできる。補聴器やワイヤレスイヤホンを使う人はBluetoothで接続できるので、個室にこもる必要もない。音を耳元に飛ばし、文字を読みながら会話できる。
実演:居酒屋の予約電話
番組では、舩橋さんがヨメテルで架空の店「居酒屋PIVOT」に予約電話をかけ、西岡さんが店員役を務めた。アプリを開き、AIによる文字化の方法を選んで発信すると「この通話を文字にします」というガイダンスが流れ、通話が始まった。
舩橋さんが今週土曜の夜6時か7時は空いているかと尋ねると、店側は18時は空いておらず19時なら空いていると答えた。舩橋さんは19時で予約し、人数は4名と伝えた。食べ飲み放題の値段を尋ねると、店側は飲み放題付きコースとして5000円、7000円、1万円の3種類があると説明した。1万円のコースは「体育会が来ても大丈夫なぐらい」のボリュームだと冗談交じりに紹介され、舩橋さんは1万円のコースを選んだ。
通話後、舩橋さんは「すごく面白かったです」と感想を述べた。舩橋さんにとって「7時」は聞き取りづらい言葉で、「19時」も「10」の部分が消えると9時なのか19時なのか迷う。自分では19と聞こえたつもりでも本当に19なのか不安になることがあるが、文字で表示されるので安心できた。普通の会話がテレビの字幕のように見える安心感が大きく、楽しかったという。
店員役の西岡さんは、受ける側としてタイムラグをまったく感じなかったと話した。舩橋さんは通話中、文字を目で追い、ときどき読み返していたというが、西岡さんはそれにも気づかなかった。
AIの誤変換と「プラス修正」
通話後の画面では、会話を文字で読み返すことができた。読み返せるのは1時間に限られ、ヨメテルの利用者の端末に会話が永久に保存されることはないと上村さんは説明した。
実演では、AIが「体育会」を2回とも「大会」と文字にしていた。上村さんは、AIの文字起こしでは誤字や誤変換が出ることもあるが、今回のように2人のやり取りの中で「体育会」と確認できていたので、基本的には会話の中で調整していけばよいとの考えを示した。舩橋さんも、この場面で文字が役に立ったと話す。舩橋さんの耳には「体育会」が「た」から始まる何かがもにゃもにゃと聞こえただけで、音だけでは推測できなかった。画面に「大会」と出たおかげで、文脈から「体育会かな」と判断できたという。
誤変換が気になる人のために、上村さんはもう一つの文字化方法「プラス修正」も紹介した。AIの後ろに専門職の文字入力オペレーターがぴったりついているイメージで、AIが起こした文字を文脈から判断し、誤りを即座に追いかけて修正していく。料金はAIのみの場合とまったく同じで、通話ごとにどちらにするか選べる。
050番号、費用、緊急通報
ヨメテルを使うには、手持ちの携帯電話番号(080や090)とは別に、050で始まる番号を取得する必要がある。上村さんは、050番号からかかってきた電話に出て「この通話を文字にします」というガイダンスが流れたら、それはヨメテル利用者からの着信だと知っておいてほしいと呼びかけた。ヨメテルはSIMとは関係なくIPで動くため、1台のスマートフォンで080や090の番号と050番号を共存させられる。いまの携帯電話番号を変える必要も、スマートフォンを2台持つ必要もない。
費用について上村さんは、このサービスが法律に基づく公共インフラであることを改めて説明した。文字化の開発費やサービス提供にかかる諸経費は、「電話リレーサービス料」を原資とする交付金で賄われている。国内のほとんどの電話番号から年間12円を徴収し、事業費に充てているという。利用者自身が負担するのは携帯電話会社と同じ通話料で、かけるときだけ払い、受けるのは無料、緊急通報も無料だ。
年間12円について上村さんは、誰かのためにお金が使われているというより、社会が変わるために使われていると捉えてほしいと述べた。自分にはヨメテルは必要ないという聞こえる人でも、聞こえにくい人がヨメテルを使っていれば、その人に電話をかけられるようになる。電話は通話相手がいなければ成り立たないため、上村さんは音声電話の利用者も「間接的なヨメテルの利用者」だと考えている。
国の制度で提供されるサービスとしての強みについて、上村さんはまず緊急通報ができる点を挙げた。警察、消防、海上保安庁にかけられる。また、音声電話とまったく同じように24時間365日使える仕様になっている。
登録の手軽さとプライバシー
舩橋さんは、ヨメテルの存在は知っていたが、説明を聞いて「知ってたっていうのがちょっと恥ずかしいぐらい」手厚い中身だと感じたと話した。上村さんは、思い立ったらすぐ使い始められるよう工夫していると説明した。アプリをダウンロードし、案内に従ってカメラに顔をかざして本人確認をすれば、早い人では10分で番号が発行されるという。
会話の内容が守られるのかという質問もよく受けるという。上村さんによれば、電話リレーサービスとヨメテルの根拠となる法律には、提供業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないと明記されている。利用者の個人情報も通話内容も外には出ない枠組みで提供されている。技術面でも、通話内容を音声でも文字でも永久には保管しない。文字の1時間限定表示のために一時的に保管はしているが、1時間を過ぎると消去するので、音声電話とほぼ同じと考えてよいと上村さんは話した。
専門医から見たヨメテル
小川さんの率直な感想は「なかなかよくできている」だった。難聴の人や補聴器を使う人にとってハードルが高いのは、騒がしい場所での会話と電話である。電話をかけるときと出るときのストレスは、難聴者や補聴器利用者に共通する問題だと小川さんは言う。実演で舩橋さんが安心して相手の話を聞き取っている様子を見て、十分に使えるのではないかと評価した。
小川さんは相手側にとっての意味にも触れた。050番号とガイダンスが広く知られれば、電話を受けた健聴者も、聞こえにくい人からの着信の可能性があると分かり、話し方などで対応できる。その意味で、難聴者にも健聴者にもメリットがあるサービスではないかと述べた。
目指す社会と「マゴみみチャレンジ」
最後のパートで上村さんは、財団として大切にしているのは「電話の世界を広げる」ことだと話した。使いやすいと言ってもらえるものを考え続け、まずは24時間365日、音声電話と同じように途切れなく提供することを念頭に置いている。
ヨメテル以外の取り組みとして紹介されたのが「マゴみみチャレンジ」だ。上村さんは、聞こえにくい人の中で最も多いのは加齢性難聴の人だと考えている。ただ、ヨメテルはスマートフォンのアプリなので、高齢者には若い人ほど馴染みやすくないかもしれない。そこで、祖父母の聞こえを家族全員で知るための簡単な絵本を作った。孫が祖父母に電話をかけて一緒にやろうと誘う想定で、絵本の中には聞き間違えやすい単語が散りばめられている。読み終えた後に家族全員でクイズをし、例えばお土産にもらったのが「さんご」なのか「だんご」なのかを答える。聞き違いやすい人が分かるが、「おじいちゃん、最近聞こえにくくなってるんじゃないの」と指摘するのではなく、家族みんなの聞こえを確かめようという形にしているという。
舩橋さんは、実際に使って感じたのはやはり安心感だと述べた。文字で表示される安心感があれば、電話は遠い存在ではなく、もっと気軽に使えるものになっていくのではないかと話した。
小川さんは、若い人には難聴を自分たちの問題ではないと見る人も多いと前置きした。そのうえで、家族内の会話を円滑にする手段の一つとして補聴器の普及に取り組んでいると語った。これまで病院では難聴の患者と筆談でやり取りしていたが、最近は音声変換ソフトを使う難聴者も非常に増えている。電話でこうしたサービスが提供されていることは、家族や社会でのコミュニケーションをさらに活性化させるツールになるのではないか、というのが小川さんの見立てだ。
上村さんは、ヨメテルを電話で相手の声が聞こえにくいことがあると感じる人にぜひ使ってほしいと呼びかけた。電話リレーサービスとヨメテルの二つを社会に浸透させ、「誰一人取り残さない電話の世界」をアップデートしていきたいと述べ、番組は締めくくられた。
我々の耳も30代からもう加齢の影響を受けてるんですね。
30代から。
何らかの医療的な介入が必要な方、大体日本国内に1400万人。
両耳感音性難聴というものでして、大きい音が鳴っていてようやくなんとなく感じられるかなぐらいの聴力なので。
電話に関しては何か不便を感じたりということはあるんですか?
やっぱり苦手です。
電話ってもう使わないじゃんっていうふうに言われること、とっても多いんですよ。国内の通話だけに限っても1年間で570億回。
すごいですね。
音に頼らない電話っていうのが公共インフラとして提供されておりまして、AIがスマホ上で相手の声を文字に起こしてくれるっていう。
お店の予約をしたいと思います。
お電話ありがとうございます。居酒屋PIVOTです。
もしもし。
もしもし。
安心感が生まれるなっていうのを今実際に体験させていただいて、すごく思いました。電話っていうものがもっと気軽に使えるようなものになっていくんじゃないかなって思いました。
皆さんこんにちは。西岡孝洋です。新たな常識になり得る取り組みや事業を紹介する番組「&新常識」。今回は「きこえの壁をなくす 電話の世界の新常識」をテーマに、日本財団電話リレーサービスの提供でお送りします。それでは本日のゲストをご紹介します。オトクリニック東京院長、小川さん、気象予報士の舩橋さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。よろしくお願いします。
さて、小川さんのプロフィールです。慶應義塾大学の名誉教授でいらっしゃいます。そしてオトクリニックの院長でいらっしゃって、専門は耳鼻咽喉科学ということですけれども、具体的にはどんなことがご専門でいらっしゃるんでしょうか?
私は耳鼻咽喉科の中でも耳の領域の専門で、ですから難聴、耳鳴り、あるいは補聴器といった、そういったことの診療を中心に行ってきました。
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そして舩橋さんのプロフィールも見ていきましょう。現在テレビ朝日「グッド!モーニング」出演中の気象予報士、防災士でいらっしゃいます。舩橋さんについては2025年の6月に両耳に難聴があると公表されました。
両耳感音性難聴というものでして、小さく聞こえるだけではなく音が歪んで聞こえてしまったりだとか、普通に会話していても言葉がはっきり聞こえなかったり、歪んで聞こえてしまったりっていうこともある難聴でして、両耳の左右差も結構大きいです。右耳が80から90デシベル、左耳が50から60デシベルという聴力なんですけれども、左の方がまだ聞こえやすいんですけれども、右耳だけで何か言葉を聞き取るとか、音を判別するっていうのは正直できなくて、大きい音が鳴っていてようやくなんとなく感じられるかなぐらいの聴力なので。
電話に関しては何か不便を感じたりということはあるんですか?
そうですね。やっぱり苦手です。子音が聞き取りにくいので、ちょっとした子音の違いをやっぱり口元を見て、何なのか、パなのかみたいなところを口元で読むんですけれども、それが電話だと全くできないっていうところと、相手の表情も読めないっていうところで、やっぱりすごく緊張しますし、しっかり聞き取らなきゃな、何回も聞き返したら悪いなとか、そういった気持ち的な面での負担、すごく大きいなと思います。
そうですか。本日はこちらのテーマ4つでお伝えしていきます。
パート1は聞こえの差で生まれる会話のずれ、きこえの壁を知るところから行きたいと思います。まずはこちらに厚生労働省が推奨する耳の健康チェックというものがありまして、これぜひ視聴者の皆さんも一緒にやっていただきたいと思います。こういったチェック項目がずらっと並んでるんですが、最初、上の方から見ていくと4つ目ですね。家族からテレビやラジオの音量が大きいと指摘される。一言一句全部聞きたいという感じになってしまって、元々のデフォルトが結構大きめになっていて、それに慣れていくので、ちっちゃくすると、家族がつけてると全然聞こえないじゃんみたいな感じで、ちょっと音上げちゃうとかっていうのは、私は4つ目はあるかなと思いました。舩橋さん、何か見てて気になるところ、いかがですか?
そうですね。やっぱり補聴器をしていてもいなくても、集会や会議など数人の会話がうまく聞き取れないっていうところは、やっぱりよくあります。人数が多ければ多いほど、まず話題があっちに行ったりこっちに行ったりっていうのもそうですし、話してる人もその時その時で目まぐるしく変わっていく中で、誰が何を話してるかまでしっかり聞き取ってっていうところが、やっぱりスピード感も人数が多ければ多いほど増していくので、そういうところがやっぱり人数が多いとしんどいなと思います。
なるほど。あと私は結構生活で言うと、電子レンジの音やドアのチャイムの音が聞こえにくいっていうのは、実は先生、私結構ありまして。特にドアのチャイムの音は結構かすかな音に聞こえてしまって、こうやって見ると私もいろんなことが気になるなというふうに思いました。先生、これ患者さんたくさん見てらっしゃると思いますけど、こういったチェックリストみたいなのを見て、どんな相談みたいなのが多いんですか?
今のお話にあったように、大人数でのお話が聞き取れない。あるいはガヤガヤしてる時の会話が聞き取れない。あとはやはり難聴の方が病院にいらっしゃる時、夫婦でいらっしゃることは結構多いんですけれども、お父さんは「あんまり僕は困ってないよ」、奥さんは「もうとにかくテレビの音が大きい」と。
めちゃくちゃ分かります。うちの実家の会話がそんな感じかもしれないですけど。
いろんなそういうことで、ご相談にいらっしゃるって方も多いですよね。先ほどの電子レンジの音とかね。あとは次の時計のアラームっていうのもありますけども、高い音は聞こえない。我々の耳ってもう30代から加齢の影響を受けてるんですね。
30代から。
30代からもう老化してるんです。最初に何が聞こえなくなるかと言うと、聞いたことあるかもしれませんけど、モスキート音って聞いたことありますか?
はい。
あれはもう20代では聞こえるんだけど、30代になるともう聞こえなくなってくる。その後だんだん高い音から聞こえなくなってくるんですね。だから会話には全く支障はないんだけども、それこそ電子レンジだとか体温計のピッピっていう音だとか、ああいう音が聞こえなくなってくる。そういうところから難聴というのは始まっている。だけどもなかなかそういうことって、日常生活で本当に困るかっていうと、会話がちゃんと成り立ってれば困らないわけですよね。見えない障害とも言われますね。そういうことからなかなか気づきにくい、そういう症状だということも言えると思いますね。
気づきにくいということですね。一方で気づきにくいんだけれども、なんとなく聞こえにくさを実は感じているっていう方でも、ちょっと言いにくいよっていう方っていうのは結構いらっしゃるんですか?
これも結構いらっしゃるんです。こういう感覚器っていうのは視覚もそうですけども、聴力も正常の幅っていうのがあるんですよね。
幅ですか?
はい。例えば視覚っていうのはよく皆さんもご存じだと思いますけども、視力2.0、非常によく見えてる。だけども視力1.0でも、一応正常というふうに判断されますよね。でも1.0と2.0って本当は見え方としてはだいぶ違うんですね。それと同じように聞こえも0デシベルから20デシベルまで、これが正常の幅なんですけども、非常に広いんですね。そうすると、検査をして正常だとは言われてるんだけども、やっぱりどうも聞こえにくいというようなことをいつも感じてらっしゃるっていう方も結構少なくはないんですね、実はね。
例えばこういうところは聞けるんだけども、こういうところは聞けないとか、この人の声がなかなか聞きにくいとか、そういうパターンっていうのもあるんですか?
それはもちろんあって、ただ単純に聴力検査っていうのは音の大きさで判断するわけですけども、ただ言葉の場合には、例えば早口の方とか、もごもごしてはっきりしない話し方の方とかね、そういう方の場合には当然聞き取れないんですよね。聴力検査で正常、異常ということだけではない、いろんな要因がここに加わってるということを考えないといけないかなと思いますね。
なるほど。今、視力の話もありましたけども、目が悪い場合は、私なんか小学校6年生から悪かったんですが、眼鏡をかけて矯正しようとか、コンタクトレンズをつけようって結構気軽にできるじゃないですか。そういった意味では視力と比べて聴力はなかなかその辺り難しいのかなと思うんですけど、いかがですか?
補聴器をつけていることに対して、すごく応援の気持ちで「眼鏡をつけてるのと同じことだから気にしなくていいよ」って、今までいろんな方が言ってくださったんですけれども、すごくその気持ちに対してありがたく思う反面、やっぱり自分自身は小さい頃、もう6歳からつけているので、この小中高、思春期の多感な時期も補聴器をつけて過ごして、眼鏡とは違うなっていう思いはあります。恥ずかしいわけではないけれども、補聴器をつけてますって言って驚かれなかったことがないので、「それ何?」って珍しいというか、皆さん、馴染みがない、親しみがない。自分としてもすごく目立っているなって思ってしまうことがすごく多かったです。
小川さん、その聞こえにくさを抱えている方というのは、日本に大体どのぐらいいらっしゃるんですか?
日本補聴器工業会の試算によりますと、この聞こえにくい方、それで何らかの医療的な介入が必要な方は、大体日本国内に1400万人いらっしゃると言われてますね。また、日常生活で聞こえにお困りになってる方が、日本財団電話リレーサービスのデータによりますと約641万人。電話が使いにくい方が416万人。一般的な生活の場合には、いろんなところからの音源を聞かないといけないわけですよね。ですので、それで困られる方が結構多いと。電話の場合にはやはり音源が1つですので、電話の使い方だとか、そういうことがある程度ご自分で認識してる方が、その分ちょっと減ってるのかなっていう感じはしますけどね。
いわゆる聞こえ方が人によって違ったりとかいうことで、きこえの壁ということになると思うんですが、このきこえの壁があることで、ただ聞き取りづらいということ以外に、社会生活にどんな影響があるんですか?
まずはコミュニケーション、いろんな方とのコミュニケーションがどれだけ正確に取れるかどうか。これが一番ですね。これがなかなか会話が成り立たないってことになると、社会的に孤立をして、いろんなそういう会合だとかに足が出なくなっていってしまう。ちょっと行きたくないなってなってしまったりとかというようなことになりますよね。そうなるとやはり、人によってはうつ状態になったり、気分が塞いでしまったりっていうこともありますね。それがひいては認知機能にも影響しますよってことが最近言われてるわけですよね。
難聴ということだけではなくて、やはりいろいろ社会生活の中で、コミュニケーションという部分で非常に困ってしまうこともあるかもしれないんですが、舩橋さん、聞いてていかがですか?
首が取れそうなぐらい今頷いてますけれども、もう本当に当てはまることばかりで。例えば自信がなくなるっていうのも未だに私もよくあって、みんなで楽しくおしゃべりするのすごく好きなんですけど、例えばすごくガヤガヤした居酒屋さんとかでご飯に行って、みんなで楽しい会話をしてる中で、自分も面白いこと言いたいし、言えるはずなのに、やっぱりついていけないことでどうしても聞き役に徹してしまうというか。楽しくないのかなって周りに思わせてないかなとか、喋るの好きなのに喋れてないっていうことで、それこそ自信がなくなる。自分にはトーク力がないのかなとか、そんなにある方だとも思ってないんですけど。すごく自信をなくして、ポツンと落ち込むこともあります。
そうですか。やはりコミュニケーションは相手があってのことですので、双方向、非常にそういった意味で困ったなと思う方も多いかもしれないんですが、全ては聞き取りにくいというところから始まっているということなんですね。
続いて2つ目のテーマは電話そのものを見直していきます。ここでもうお一方ゲストをお迎えします。日本財団電話リレーサービスの上村麻子さんです。よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
上村さんは今どのような仕事をされているんでしょうか?
皆さん、電話って言うと音を聞いて自分で話すようなことをイメージされてると思うんですけれども、実は2021年に音に頼らない電話っていうのが公共インフラとして提供されておりまして、私はその広報をしております。聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律というものが令和2年に制定されまして、そのもとに私ども日本財団電話リレーサービスが音に頼らない電話を提供しております。
1つ目が電話リレーサービス。簡単に言うとどういうことですか?
手話や文字で電話を通訳するっていうサービスが電話リレーサービス。
2つ目が、これ私CMなんかでも見たことあるんですが、ヨメテル。
ありがとうございます。ヨメテル。
これは簡単に言うとどういうことですか?
相手の声が読める電話です。主にそれって何っていう感じなんですけど、令和3年の7月1日から提供開始したものは、手話でかけられる電話と文字でかけられる電話っていうのを提供しておりまして、その電話っていうのは間に通訳オペレーターが入って、手話で話した言葉を音声に通訳して相手に届けて、例えば西岡さんが話した言葉をその通訳オペレーターがビデオ通話で手話に通訳してくれるっていうサービスなんですけれども。
昨年の1月23日に2つ目のサービスをリリースしまして、相手の声が読める電話と言って、自分の声で普通に電話はするんですけれども、ちょっと相手が何言ってるかが分からないなとか、つまりは聴力を活用しなくても瞬時にAIがスマホ上で相手の声を文字に起こしてくれるっていう、それを公共インフラとして提供しておりまして、民間サービスとの差は、音声電話と全く変わらない条件でお使いいただけるってことが大きな肝になってます。
なるほど。分かりました。そんな中で今ツールがあって、例えばメールであったり、SNSであったりという中で、なぜあえて今電話なんでしょうか?
電話ってもう使わないじゃんっていうふうに言われること、とっても多いんですよ。
そうですか。
でも令和6年度の総務省が発表したデータなんですけれども、国内の通話だけに限っても1年間で570億回。
そうなんですか?
通話がまだされていると。いろんなコミュニケーションツールがたくさん出てきたから、電話がそんなに使わなくなったんじゃないと言いつつも、電話自体は多分1年間全く利用しなかったって人は、社会人であればそうそうおられないと思うんですよね。もう1つの肝が、570億回の通話があるってことは、1つの通話に必ず延べ2人の人が関わり合っているので、1140億人の人が電話に接している。
すごいですね。
だからこの数字をもって、電話ってあんまり使わなくなったよねとはちょっと言いがたいかなと思ってます。
なるほど。通話の頻度というのはどのぐらいなんですか?
聞こえにくいことが日常生活の中であるとおっしゃる方でも、音声電話を使った音だけの電話を週に1回以上やってるっていう人が60.9%で、月に1回になると約80%、78.2%の方が、ちょっと聞こえにくいかもしれないなと思いながら電話を使ってらっしゃるんだっていうのが、調べていく中で分かってきたことの1つではあります。
なるほど。確かに今お話聞きながら思ってましたけど、なんだかんだ使いますよね。ちょっとした電話とか、お店にそれこそ予約を入れるとか。
私が言うこの電話を指してるのは、電話を使っていることを指しているんですね。でも、使っている電話っていうことと他のコミュニケーションツールとの圧倒的な差は、知り合いじゃなくても番号が分かればかけられるっていうことなんです。
確かに他のところは、お互いにフォローしてたりしないとかけられないですよね。
そうなんです。だから番号さえ分かればかけられる。
舩橋さんは電話とどう向き合ってるんですか?
ビデオ通話っていうのは顔が見えるので、やっぱり気心の知れた相手とはビデオ通話すごく大好きなんですけども、よくするんです。とはいえ、やっぱりいわゆる音だけの通話をしなきゃいけない場面って、生活の中ですごくたくさんあって。
一般の電話を使わなければいけないような場面ですよね。
そうですね。自分のスマホからかけて、音だけでやり取りをしなきゃいけないっていう場面。私、あればできるだけネット予約とかでお店も予約しちゃうんですけど、やっぱり未だにネット予約がないお店とかもあって。そうなってくると電話かって思って、仕方ないって言って気合いを入れて電話かけますけれども、やっぱりそれこそ予約って日時を言ったりとか。「何時空いてますか」って言って、「空いてません」「じゃあ何時で」みたいなところで、数字のやり取りも出てくると余計にドキドキするというか、本当に自分の聞き取りで合ってるのかなって思うこともあったりして。やらなきゃいけないからやるけれどもっていう場面はよくありますね。
そうですよね。困った時ほど使わなきゃいけない時、多いじゃないですか。
そうなんです。
例えば公的なやり取り、役所とのやり取りとかも含めて、そういう時もやっぱりちょっと緊張される感じですか?
そうですね。それこそ多分役所に電話する時って、例えば引っ越しの時だったりとか、自分がちょっと疲れてる時に電話しなきゃいけないって場面もあったりして、余計に緊張するし、余計に疲れるし、そういう時はやっぱり電話嫌だなって思います。
そんな電話の世界の常識を変えるかもしれない、ヨメテルというサービスについて改めて教えてください。
もう本当、純粋に通話相手の声をスマホ上で文字にするサービスになっております。使い方としては、純粋に文字だけで、自分は声なんだけれども相手の声を全く聞かずに、文字だけで会話をすることも、西岡さんの例のように電話をしながらちょっと今聞こえなかったなっていうところだけ見るっていうような使い方もできます。あとは舩橋さんみたいに補聴器をされていたり、ワイヤレスイヤホンをしてらっしゃる方だと、Bluetooth接続ができるので、先ほどおっしゃったみたいに個室にこもる必要もないし、自分のところにイヤホンとか補聴器で音を飛ばして、文字を読みながら会話をするっていうものです。
じゃあ、それだけ会話と同じようなスピードで文字起こしをしてくれるということにもなると思うんですが、この後実際に使ってみましょう。
じゃあ、舩橋さん、早速ヨメテル使ってみていただきたいんですけど、スマホにあるこのヨメテルのアプリをまずタップしてみてください。
はい。
AIによる文字起こしの方法を選んで、ちょっと電話をしてみたいと思います。通常の音声電話と同じように番号を入力して発信すればいいんですけど、今日は履歴からタップをしていただいて、一番上の番号。そしたら早速お店の予約をしたいと思います。かかりましたね。「この通話を文字にします」。
お電話ありがとうございます。居酒屋PIVOTです。
もしもし。
もしもし。
すみません。舩橋と言います。今日お店の予約を取りたくてお電話しました。
ありがとうございます。
今週末土曜日なんですけれども、6時か7時、夜の6時か7時って空いてる時間ありますでしょうか?
今週末ですと、18時がちょっと空いてなくて、19時だと空いてるんですけれども。
18時が空いてなくて、19時だと空いてるんですね。
そうですね。19時、夜の7時だと空いてます。
そしたら夜の7時、19時の方でお願いします。
分かりました。何名様でしょうか?
4名です。
4名様ですね。
そうです。食べ飲み放題があると見たんですけれども、ちょっとお値段の方が具体的によく分からなくて。
飲み放題付きセットが3種類ございまして、5000円のコースと7000円のコースと1万円のコースと、3つございます。
5000円と7000円と1万円。やっぱり1万円の方がボリュームはありますかね。
もう1万円はものすごいボリュームありますね。もう体育会が来ても大丈夫なぐらいのボリュームあります。
なるほど。体育会。
体育会の人が来ても、もう満足できるぐらいのボリュームがあると。
なるほど。1万円ですね。1万円でお願いします。
ありがとうございます。じゃあ、1万円のコース4名様ということですね。
はい。
じゃあ、ありがとうございました。ご来店お待ちしております。
ありがとうございます。よろしくお願いします。
よろしくお願いします。失礼します。
失礼します。
ということでスタジオに戻ってきました。実際使ってみましたが、舩橋さんは実際に使われていかがでしたか?
すごく面白かったです。
面白かった。
通話なのにすごく安心して、やっぱりこの目で見えるので、文字が。例えば何時っていうところでも、7時って結構私聞き取りづらくて、7って言ったよなみたいな。19時もこの10がちょっと消えちゃうと、9時かな、19時かなとか。19って聞こえたつもりだけど本当に19なのかなって思ったりすることもあるので、ここだとちゃんと文字になるので、すごく聞き取りの安心感というか、普通の会話がテレビの字幕と同じようにここで見えるっていう安心感がすごくて、すごく楽しかったですね、本当に。ハッピーな。
ハッピーな。私、受けて全くタイムラグを感じなかったんですけど。
そうなんですね。
それがすごいなと思っていて。これ実際に目でちょっと追いながら電話されてるんですよね。
そうですね。結構時々戻ったりして。
へえ。全然感じなかったな。
今ご覧いただいているのが、通話が終了した後に会話が文字になった様子が読み返せるっていうもので、1時間に限定して読み返すことが一応できるようになっております。
そうなんですね。
なのでこの会話がヨメテルのユーザーの端末に未来永劫保存されることはないっていう。あと、たまに聞かれるのが、今居酒屋PIVOTさんとお話をされた時に、これAIによる文字起こしなので、体育会っていうところが大会になっちゃったんですよ、両方とも。
はいはいはい。
でもこれは今、お二人の中で「体育会って言いました」っていうやり取りがあったので、基本的にはコミュニケーションの中で機械が誤字を出してしまったり、誤変換を出してしまった時は、会話の中でチューンアップをしていけばいいと思うんですね。
一方で、私たちがリリースしたもう1つの文字起こしの方法がありまして、AIの後ろに専門職の文字入力オペレーターが、イメージとしてはぴったり後ろにくっついてきて、AIが文字起こしした内容を文脈から判断して、間違えてるところを即座に後ろからどんどん追いかけていって修正する。それ、料金は全く同じになっていて、プラス修正。なので、ちょっと機械の誤字とか誤変換が気になっちゃう、文章が読めないわなんていう方は、プラス修正にしていただけるといいのかなと。
選べるんですね。
その都度選べます。
なるほど。舩橋さんいかがですか? これからも使ってみたいなというふうにちょっと思われました?
そうですね。それこそさっきの体育会、大会のお話もありましたけど、私の耳には体育会っていう言葉が、もにゃもにゃもにゃって、「た」から始まる何か、もにゃもにゃって聞こえて。正直、推測があのままだと、音だけだとできなかったんですけど、ここに大会って出たおかげで、体育会かなって文脈から判断することができて、すごくそれがやっぱりありがたかったですね。
改めて上村さん、ヨメテルのポイントについて教えてください。
ヨメテルを使って電話をしますと、皆さんがお持ちの音声電話の携帯電話番号、080、090番号とはまた別に、050から始まる電話番号を取得していただく必要があります。なので今、ヨメテルから居酒屋PIVOTに電話をかけた時は、着信が050番号だったと思うんですよ。通話相手になりうる方には、050から始まる電話番号からかかってきて、電話に出た時に「この通話を文字にします」っていうガイダンスが流れたら、それはヨメテル使ってる人からの着信だっていうことをまず知っていただきたいですね。あとはスマホの中でSIMとは関係なくてIPになりますので、1つのスマホで080とか090の携帯電話番号とヨメテルの050番号を共存させながら使うことができます。
じゃあ、2つ番号持てて、今までの携帯の番号を変える必要はない。
そうです。ないです。あとはスマホ2台持つ必要もないです。
これどうですか? 使う人の金銭的な負担っていうのはどうなってるんですか?
法律のもと、このサービスが公共インフラとして提供されていますので、相手の声を文字にする開発費、あとはそのサービスを提供するに当たって、いろんな諸経費がかかるわけですけれども、それは全て電話リレーサービス料っていう料金を原資とする交付金で賄われています。
これはじゃあ、使う人だけがたくさん負担をするという形ではないってことですか?
そうですね。使う人が負担をするのは携帯電話会社と同じ料金負担で、かける時だけ通話料を払って、かかってくる分にはただです。緊急通報もただです。その他の諸経費は電話リレーサービス料を原資とする交付金で賄われていまして、今実際には、国内にあるほとんどの電話番号から年間12円頂戴して、この事業費が賄われております。
年間12円。安いですね。
それがもう世の中の力になるというか、誰かのためにそのお金が使われているというよりは、社会が変わるためにそれが使われているというふうに思っていただきたいなと思っていて。例えば聞こえる人で、自分はヨメテルは必要ないっておっしゃる方でも、聞こえにくいことがある方がヨメテルを使っていれば、その人に電話がかけられるようになるわけですよね。だから間接的な利用者というか、電話はとにかく1人が使うだけじゃなくて、通話相手がいないと成り立たないので、音声電話の方も間接的にヨメテルの利用者だっていうふうに私は考えてます。
その他にヨメテルの強みっていうのは何かあるんですか?
国の制度で提供されるサービスだから絶対やれているっていうのは、緊急通報がまずできるっていうことです。警察と消防と海上保安庁に電話がかけられます。あとは音声電話と全く同じようにお使いいただけるので、24時間365日、いつでも使いたい時に使っていただける。もう音声電話と全く同じ状況に、サービスの提供の仕様はそういうふうになってます。
なるほど。というヨメテルなんですが、舩橋さんは存在知ってましたか?
存在は存じ上げてたんですけれども、今中身をご説明いただいて、全然知ってたっていうのがちょっと恥ずかしいぐらい。こんなにいろんなサービスだったり、手厚い中身というかあるんだなと思って伺っておりました。
知らなかったけど、ちょっといいかもって思っていただいた時に、思い立ったらすぐダウンロードしていただいて、すぐに使い始められるような工夫をしておりまして。ダウンロードして、言われた通りにカメラで自分の顔をかざして、本人確認処理をしていただければ、早い方だと10分で番号の発行がされる。
そんなに早く?
はい。もう1つ言いたいことがありまして、自分の会話がちゃんと守られているかっていうのを聞かれることがよくあります。まず、そもそも冒頭に申し上げた電話リレーサービスとヨメテルに関係する法律と制度があるんですけれども、その中では電話提供業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないっていうことが、完全に法律の中で書かれていますので、利用される方の個人情報はもちろん、通話の内容も外には絶対に出ないっていうふうな枠組みの中で提供されていることと、あと技術的には、私たちは通話の内容を音でも文字でも未来永劫保管するってことはやっておりませんで、この文字の1時間限定っていうところに関しては保管はしてますけれども、1時間超えてしまうともう消失しますので、そこは音声と本当に似ていると思っていただいていいかなと。
そこは安心していいということですね。
はい。
小川さんは今回いろいろデモもやってみましたけども、専門家の視点からご覧になっていかがですか?
なかなかよくできてるなと。まずは率直な感想です。やはり難聴者、あるいは補聴器を使ってる方のハードルが高いのは先ほどもありましたけども、周りがガヤガヤしてるところで会話を聞き取ることと、やはり電話なんですね。この電話をかける時のストレス、あるいは電話に出る時のストレス、これはやはり難聴者、あるいは補聴器を使ってる方の本当、共通の問題点だと思いますね。ですので今、お使いになってるのを拝見してたんですけども、非常に安心して相手の会話を聞き取ってるというようなことで、大変使えるんじゃないかと思いました。
なるほど。
また、相手にとっても、これから文字変換しますよということで、050というのが非常に周知された後では、健聴者の方もやはり相手がこういう方からかかってきてる可能性があるということで、それなりのお話し方とかそういう対応もできますしね。ですので、そういった意味では難聴者の方も健聴者の方にも、非常に両方にメリットがあるサービスではないかなと思います。
では最後のパートは、この取り組みが目指す社会についてです。上村さんたちが大切にしていることを教えてください。
そうですね。シンプルに言いますと、電話の世界を広げるっていうことを念頭に、使いやすいって言っていただけるようなものを考えて提供。まずは24時間365日、音声電話と全く同じように途切れがないように提供するっていうことを、財団一同念頭に置いてやっております。
他にもいろいろプロジェクトとかされているというふうに聞きましたけれども。
このヨメテルのユーザーの、多分イメージされる方多いと思うんですけど、加齢性難聴の方っていうのが、聞こえにくい方の中でボリュームゾーンはやっぱり圧倒的に多いとは思うんです。ただそういう時にヨメテルっていうのがどうしてもスマホのアプリだから、少し親和性が若い人よりは良くないかもしれない。おじいちゃんとかおばあちゃんの聞こえを家族全員で知りましょう。簡単な絵本を作ってまして、マゴみみチャレンジ。お孫さんがじいじとかばあばに電話かけて、「じいじ、マゴみみチャレンジやるから一緒にやってね」って言って、奇想天外な絵本を作ったんですけど、奇想天外な絵本の中に聞き違いをしやすい単語が散りばめてあるんです。最終的に絵本が終わった後に家族全員でクイズをやって、お土産にもらったのはサンゴなのか団子なのか。それが聞き違いをしやすい人だったら、サンゴとかすごい聞き違いしやすいとか。「じいじ、最近聞こえにくくなってるんじゃないの」っていうよりは、家族全員で、家族を主語に、家族みんなの聞こえを確かめようねっていう、そういうチャレンジです。
いろんなチャレンジされてるんですね。そして舩橋さんは、このサービスは聞こえにくい人たちの生活をどう変えるというふうに思いますか?
そうですね。さっき小川先生のお話にもありましたけれども、やっぱり一番はこの安心感が生まれるなっていうのを、今実際に体験させていただいてすごく思いました。この文字で出てくることの安心感で、となるとやっぱり電話っていうものが遠い存在ではなくて、もっと気軽に使えるようなものになっていくんじゃないかなって思いました。
そうですね。電話をもっと気軽にというところですよね。そして小川さんはいかがですか? こういったサービスがどう生活を変えていくのか?
難聴っていうのは若い方にとってみると、自分たちの問題ではないというような、そんな見方をしてる方もたくさんいらっしゃると思うんですけども、ご家族の中での会話をなるべく円滑にするために、補聴器がその1つの役目を果たすということで、補聴器の普及ということを我々も日々行ってるわけですけども。今までも難聴者で病院にいらっしゃると、筆談をして、そういった形でコミュニケーションを取ってたところが、最近は音声変換のソフトがいろいろありますので、そういったものを使われる難聴者の方も非常に多くなってますから、電話でこういうサービスが行われてることは、これからそういう家族の中、あるいは社会の中でのコミュニケーションをさらに活性化させる1つのツールになるんではないかと。本当に使えるツールかなと。
では上村さんから視聴者の皆さんにメッセージお願いします。
ヨメテルは電話で相手先の声が聞こえにくいことがあるって思われる方に、ぜひ使っていただきたい電話のサービスになってます。私たちは一番初めにご説明させた電話リレーサービスと、あとヨメテル、この2つのサービスを世の中に浸透させることで、誰1人取り残さない電話の世界をどんどんアップデートしていきたいって思ってます。
分かりました。ありがとうございます。今日は電話の新常識を学びました。改めて電話という一番身近なコミュニケーションツールだからこそ、とにかく気軽に使ってほしいと、そのためのツールだというふうに私も感じました。ぜひ皆さんも使ってみてください。そしてお三方、本日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
お
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