AI投資は米国経済をどこまで支えるのか:モルガン・スタンレーMUFG証券・李智雄氏の見立て

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概要

原油価格が100を超え、インフレと利上げ圧力が意識される中でも、米国経済や世界経済が苦しんでいるという印象は薄い。PIVOTの対談で、モルガン・スタンレーMUFG証券プリンシパル・グローバル・エコノミストの李智雄氏は、その理由をAI関連の設備投資に求めた。李氏によれば、AI投資は米国の成長率の半分程度を牽引し、その需要は輸入を通じてアジアの輸出も押し上げている。少なくとも来年まではこの強さが崩れる可能性は低い、というのが李氏の立場である。一方で、AIが崩れればすべてが崩れる構図になっている点をリスクとして挙げた。本稿は、米国経済を扱ったパート1の内容をまとめる。

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カバー範囲が広がるグローバル経済の分析

李氏は、担当地域が膨大であることに加え、世界経済が多様な形で結びついているため、なるべく深く見るように努めていると語る。例として挙げたのがAI関連銘柄だ。当初は1社か2社だったものが、さまざまな国の企業が「AI関連」と呼ばれるようになった。サプライチェーンがそれだけ広いため、分析対象の国も広げざるを得ない。

そのうえで李氏は、「世界」と言うときに中心になるのはやはり米国だと述べる。直近の金融政策やAI投資ブームを考えるには米国抜きでは語れず、米国経済が堅調である理由の一つがAI投資だからだ。

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コスト高を生んでいる「需要」そのものが強い

李氏はまず現状の奇妙さを指摘する。原油価格は100を超え、コストが高い。インフレが起きれば金利を上げなければならず、金利とコストがともに上がれば経済は苦しくなると考えるのが普通だ。しかし世界経済が今ひどく苦しんでいるという印象はあまりない。

李氏の説明では、米国では経済の成長エンジンが設備投資として現れており、コスト高にもかかわらずというより、コスト高を生み出している主因そのものが非常に強い需要だという。その需要の中身がAI関連投資である。AIが必要とされるのは生産性を押し上げるため、あるいは経済安全保障の観点もあるが、AIを使うには多様なハードウェアが必要であり、それが設備投資を押し上げている。

米国経済の最大の構成要素は個人消費で、GDPの68%を占める。従来は米国の消費者が世界中のものを買い、その工場として中国があり、それが東南アジアに移るという構図で語られてきた。李氏によれば、消費は今も堅調だが、それを上回る、これまでにない強さで出てきているのが設備投資だという。

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潜在成長率の半分程度をAI関連投資が担う

AI投資の範囲をどこまで含めるかは計算次第だと李氏は断ったうえで、その中身を説明した。まずデータセンターがあり、それを支える電力インフラがあり、それらを制御するPC関連機器があり、機能させるためのソフトウェアがある。

米国の潜在成長率、つまり「本気を出せばここまで成長できる」水準は2%強とされる。李氏によれば、そのうち半分程度がいまAI関連投資によって支えられているのが米国の現状だという。GDPを分解すると、設備投資にあたる「ビジネス・フィックスト・インベストメント」が大きく寄与しているのが特徴だ。

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金利に反応しないAI投資

李氏が興味深い点として強調したのは、AI関連投資が景気循環に従っていないことだ。通常、中央銀行はインフレ、つまり景気の過熱に対して利上げで応じる。李氏はインフレを体温計にたとえ、走ったり興奮したりすれば体温が上がるように、景気が過熱すれば物価が上がると説明した。金利を上げれば借り入れコストが上がり、お金を借りて投資しようという意欲をそぐため投資は減る。逆に景気が悪いときは金利を下げて投資を活性化させる。そのため投資は金利と逆方向に循環するのが普通である。

李氏が示したグラフでは、米国の設備投資をAI関連とそれ以外に分けている。非AIの投資は確かに上下に循環しており、特に2024年以降は減少傾向にある。李氏はこれを、金融環境がタイトすぎることを示している可能性があると読む。ところがAI投資は全く循環せず、右肩上がりが続き、直近では角度がさらに上向いている。全体としてはタイトな金融環境が効かずに投資が伸び続けており、しかもその規模が大きいため、計算次第ではあるが米国の成長率の半分程度を牽引している、というのが李氏の説明だ。

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米国の輸入がアジアの輸出を支える

李氏は、この話の含意として「AIが強い、米国が強い」だけでは終わらない点を挙げる。原油高でコストが上がり、インフレが高く、利上げを迫られている国は世界中にある。日本もエネルギーを海外に頼っており、東南アジアにも同様の国は多い。それでも「コストが上がり金利も上がって経済が大変だ」という国の話をあまり聞かないのはなぜか。李氏の答えは「輸出が強いから」の一言に尽きるという。

その仕組みはGDPの定義から説明された。GDPは国内総生産であり、国内でどれだけ付加価値を生み出したかを計算するものだ。米国は資本財、とりわけ電力インフラ関連やPC関連機器を大量に輸入している。輸入は国内で生産されたものではないため、GDPからは控除項目になる。李氏によれば、投資がGDP成長率の半分程度に寄与していても、その半分以上を輸入で賄っている状況だという。

輸出する側から見れば、これは非常に助かる話である。李氏はごく大ざっぱな比率として、米国のGDPを100とすると、中国や日本を含むアジア全域のGDPは120ほどだと示した。この前提で、米国のGDPが1%上がれば、アジアには0.8%ポイント程度の寄与があると李氏は説明する。米国の輸入の強さがアジアの輸出の強さを支え、それがさらに輸出品をつくるための設備投資を活発化させる。李氏は、この波及が現在の台湾経済や韓国経済に表れていると見ている。交易条件の面でコストが上がって大変なはずでも、輸出が強く、輸出価格にも上乗せできているので、それほど苦しくない。そうした状況が世界中に広がっているのが今の特徴だという。

米国向け輸出の典型が半導体かという質問に対し、李氏は半導体も含まれるとしつつ、それだけではないと答えた。半導体を使うための電力設備が足りない、データセンター向けの資材が足りないという状況であり、たとえば電線や、電線に使う素原材料も重要になる。あらゆるものが足りなくなっており、それに関わる分野がおおむね強くなっている。李氏は、AIに強気であれば米国の設備投資に強気になり、米国に輸出しているサプライチェーン上の国々にも強気にならざるを得ない、と整理した。

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少なくとも来年までは崩れにくい

AIへの構造的な投資が当面続くなら、米国経済にも世界経済にも楽観的でいいのか。李氏は「まさにおっしゃる通り」と応じ、問題はこの強さがどこまで続くかだとした。少なくとも今年の残りと来年について、崩れることはなさそうだというのが李氏の見方だ。理由は、必要とされているものが多すぎて供給が追いついておらず、不足分をどんどん供給していこうという段階にあるためである。投資の強さが続くことで経済が支えられると李氏は考えている。

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教育は「消費」か「投資」か

話は人的資本に移る。李氏は、お金を使うときにそれを消費と捉えるか投資と捉えるかで大きく違うと述べ、将来の成長率を考えるうえでは投資のほうが重要だとする。そして学びはちょうど消費と投資の境目にあるという。

国民経済計算、つまりGDP統計では、家計の教育支出は消費に分類される。しかし経済学では、教育は人的資本への投資と位置づけられる。李氏はこれを、統計上の分類と経済の実態がずれている典型例として挙げた。

さらに李氏は、このタイミングで学びの価値が上がる理由として、物的資本と人的資本の補完関係を指摘する。片方が急に潤沢になれば、もう片方の希少性が高まる。AIチップであるGPUが足りないうちはGPUがもてはやされる。しかし物は作ればいい。作るのは簡単ではないと李氏は断りつつも、いずれ積み上がってくれば、優位性は「それで何をするかを決められる人」の側に移る。AI関連の設備投資が進むほど、それを使う人の学びのリターンは上がると考えざるを得ない、と李氏は述べた。

個人レベルの例として、李氏は自身が大量に漫画や動画を見ていることに触れ、それを後で使うつもりで見るのか、単に消費するのかで残るものが違うと話した。残ると考えて見るならそれは資本になり、そうでなければならない。

李氏はさらに福澤諭吉の『学問のすゝめ』を引いた。人は生まれながらにして身分や貧富の別はないが、学問に励み物事をよく知る者は貴人・富人となり、無学な者は貧人・下人となる、という一節である。この一節は冒頭の「天は人の上に人を造らず」を受けたもので、生まれは平等だからこそ差を生むのは学問だ、という意味だと李氏は解釈する。しかも福澤の言う学問は教養ではなく、日常に役立つ実学である。李氏はこれを、150年前から学びは投資だと言っていたものと読めるとした。

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設備を使いこなさなければ「消費」と変わらない

ただし李氏は、投資をすれば自動的に潜在成長率が上がるわけではないと強調した。物と人が補完的である以上、積み上げた設備を使いこなさなければ生産能力として残らず、償却されていくだけで、経済的には消費と変わらなくなる。しかもAIサーバーの償却期間は3年から5年と短く、使いこなすまでの猶予も短い。この点でAI投資はもともと、投資というより消費に近い性質を持っていると李氏は指摘する。

今は設備が足りず、米国は設備投資を進め、その多くを輸入している。しかし設備の不足は、工場を建てれば時間はかかっても解決していく。李氏は、次に足りなくなるのはそれを使う人間の側だと考えている。積み上げた設備を学んで使いこなして初めて、それが資本として蓄積され、潜在成長率を押し上げる、というのが李氏の論理である。

米国で人的資本投資がしっかり行われてきたかという質問に対しては、教育の大きな変化は制度などに左右されるもので、1年単位で動く話ではなく、判断が難しいと李氏は答えた。設備が増えるほど、それを使うさまざまな新しいやり方も出てくる。李氏はこれを「エンボディド」と呼ばれる、人に組み込まれた技術進歩が高まる可能性として語ったが、それはあくまで人的資本の質、つまり教育水準が高いという前提に立っているとも述べた。それをどう実現するかは、社会的にどんな仕組みが実装されるか、動画などをどう見せるか、学校がどうするか、さらには政権が教育にどう組み込むかといった長期的な課題になるという。そのうえで、少なくとも過去に比べてこうしたコンテンツにアクセスできる場は広がっており、それを活用する側にもある程度の責任がある、と李氏は述べた。

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雇用はAIで減るどころか増えた

米国の雇用市場がAI型経済にうまく移行しつつあるかについて、李氏は結論を出すのはまだ非常に早いと答えた。労働市場の統計は月次どころか、議長のコメントにも出てきた新規失業保険申請件数のように週次で出るものもあり、それが本当にAIや新しい経済をどこまで反映しているかを判断するのは難しいという。

ただし直近で言えることとして、李氏は米国の民間部門雇用者数のグラフを示した。AIの話が出てきた当初は、李氏自身も含めて「AIに取って代わられるのではないか」という疑問があり、李氏は今もその疑問を強く持っているという。しかし実際には、今年の初めに民間部門の雇用者数は毎月おおむね10万人以上増え、どちらかといえば加速した。

李氏はその理由を、AIの実装に必要な設備投資を増やし、それに応えるものを大量に作らなければならないところで雇用が生み出されている面があるためだと見ている。今後はAIによる新しい仕組みや生産性上昇によって人手が少なくなる部門も多く出てくるだろうとしつつ、足元の雇用市場は全く弱くなく、議長の言葉を借りれば完全雇用と整合的な状態だという。AIによる雇用への影響は、いずれどこかのタイミングで局所的に表れる可能性は非常に高い。特に若手のホワイトカラー分野ではすでにその証拠も見えているが、経済全体の動きとして出てくるにはしばらく時間がかかる可能性が高く、影響が大きくなるかどうかも様々な条件に左右されるというのが李氏の見方だ。

一時期ニュースになった大手テック企業のレイオフは、コロナ期の採用しすぎを調整しただけだったのか、という質問もあった。李氏は「おそらく両方ある」と答えた。コロナという特殊な環境で、どれだけ続くか分からない中で保険として採用した分を削減した面と、削減してみるとAIによってさらに削減できる余地が生まれていたので追加で削減した面がある。どちらがどれだけかは判断が難しいが、作用はしている。ただ、それがレストラン、病院、教育現場、会計士などを含む米国経済全体に影響するほど大きいかというと、現時点ではそうは見えないと李氏は述べた。

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所得の伸びは鈍いのに消費は強い

労働市場が強いなら消費も堅調と考えていいのか。李氏はここで、判断に悩んだ点を率直に語った。雇用者所得、つまり労働時間と時間当たり賃金を掛け合わせた名目所得の伸びは、横ばいから緩やかに鈍化している。所得の伸びが鈍化すれば消費はそれほど強くならないはずだ。李氏は日本を典型例に挙げ、失業率は非常に低い一方で賃金があまり上がらず、消費は全体としてそれほど強くなかったと振り返った。ケインズの消費関数で考えても所得と消費は連動するはずである。

しかも物価はエネルギーの影響で上がっており、実質購買力は減っている。それなら実質消費も減るはずだと考えたところ、実際には非常に強かった。李氏はその理由を二つ挙げた。

一つ目は、よく言われるK字型経済である。賃金で消費が左右されるのは主に中低所得層であり、高所得層は事情が異なる。米国では上位所得20%の層が金融資産の70%を保有しており、株価が今年はぶれがあるにせよ昨年と比べれば高いため、金融資産による資産効果が消費を支えている。李氏はこれをその通りだと認める。

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減税が大型商品の購入に向かっている

二つ目の要因として李氏が示したのは、2026年前半の消費の内訳である。全体の消費の伸びを分解すると、基礎的な消費は弱い。物価が高かったことの表れだと李氏は見る。一方、選択的・裁量的な消費は伸びており、売れているのは大型家具や自動車だという。

李氏はその背景に、OBBBA(One Big Beautiful Bill Act)による大規模な減税策があると説明した。この法律では今後社会保障支出も削減されるためプラスとマイナスの両面があるが、少なくとも今年はプラスの効果が圧倒的に大きい。減税は低所得層だけでなく高所得層にも及んでいる。李氏によれば、高所得層ほど、想定していなかった臨時収入のような減税分を贅沢品的な商品、つまり大型商品に振り向ける傾向があるという調査結果がある。今の消費の強さはK字型経済の上側によるものであり、その層がさらに減税の恩恵を受けている。消費が所得とはあまり関係なく堅調に推移している、というのが李氏の整理だ。

減税効果は一時的なのかという問いに対して、李氏は、減税は10年間にわたって効果が出るが、今年の恩恵が最も大きく、後半になるほどメディケアやメディケイドなどの支出削減の影響が大きくなると説明した。同社の試算では、少なくとも来年まではプラスの効果が続くが伸びは鈍化し、その先はニュートラル、その後はずっとマイナスになる。今後は物価の安定や賃金の伸びでどれだけ消費を支えられるか、資産効果がどこまで続くかが重要な要素になるという。

資産効果による消費の強さも来年までは盤石かという問いに対しては、同社のストラテジストは現時点で米国株に強気であり、その前提に立てば資産効果はプラスに働き得ると李氏は答えた。ただしエコノミストとしては、それだけでは説明できないと考えざるを得ないという。株価が強いから消費が強い、米国経済の7割は消費だから経済が強い、だから株価が強い、という話は循環論法になり、そこから抜け出せない。株式市場のトレンドは間違いなく上向きだが上下動はあり、その変動は金融政策や、過剰投資を含む投資の循環など多様な要因に左右される。資産効果は大きなポイントの一つだが、それだけではない、と李氏は留保をつけた。

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利上げは今のところ必要ないという判断

現在の経済状況で利上げは必要かについて、李氏は、ここが今マーケットで最も判断が分かれている点だと述べた。米連銀は物価の安定と雇用の最大化という二つのマンデートを持つ。雇用は最大雇用と整合的で、悪化も過熱も見られないため懸念はない。難しいのは物価のほうだ。

物価は2%の目標をずっと上回っている。しかし方向性を見ると発散しているわけではなく減速している。今の金利はおそらく中立金利より高く、タイトな状態にある。この状況を続ければ物価が下がっていくと考えるなら、利上げは必要ないという判断になる。逆に、下がらずに上がる不確実性が高いなら、今のうちにタイトにしておいたほうがよいという判断にもなり得る。

李氏は、米国の物価を決める要素を三つ挙げて検討した。一つ目は関税で、世界全体で見てここから加速するとは考えていない。二つ目はAIによるインフレだ。AIが消費者物価を大きく押し上げているかといえば、まだ消費者には届いていないように見えるうえ、そもそも消費に占めるシェアが低い。家賃、医療、交通費などを払う中で、AI関連の支出はそれほど大きくないはずだという。三つ目がトレンド物価を最終的に決めるサービス価格で、その最大の項目である家賃は、米国の住宅市場、特に賃貸市場で伸び率が鈍化している。

これらを踏まえ、李氏はトレンドとしての物価は鈍化していると判断し、連銀の利上げは現時点では必要ないと見ている。近く発表される消費者物価などによって判断が変わる可能性はあるとしつつ、今日時点で見えている物価からは加速していかないというのが同社の判断だという。

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最大のリスクは「AIがこければ全部こける」構図

ここまでの話では米国経済にあまり不安はないように聞こえるが、中間選挙などを含め、あえて挙げるなら大きな変動要因は何か。李氏は、投資家から国内外で多く寄せられる質問として、AI投資が主役になっていることそのものを挙げた。その主役が米国の設備投資であり、さまざまな国の輸出にもつながっている以上、AIがこければすべてがこける話になってしまう。

李氏は、AIが今後社会実装されていく中でその可能性は現時点では低いと見ている。ただし、需給が逼迫しすぎて物の値段が異常に上がっている分野が存在するのも事実だという。たとえばメモリー価格や、電線などに使われる素原材料を含む一部のコモディティ価格である。これは需給がかみ合っていないだけだが、これだけ値段が上がれば供給側も対応するため、いずれ供給が増えて需要と釣り合うタイミングが来る。そうなれば上がりすぎた価格は調整され、今は高い価格を払ってもらうことで収益性が高くなっている企業も、今以上には収益を伸ばせなくなるのではないか、という見方をする投資家も多い。

李氏によれば、最終的な問いは、AI投資がいつ鈍るのか、あるいは収益性がいつ低下するのか、その先行指標として何が考えられるのかという点にある。その中で、一部のメモリー価格などが兆しを示す可能性があると考える投資家もいるという。今の経済成長率に関しては、AI投資がどうなるかで決まるという司会者のまとめに、李氏は「まさにその通り」と応じた。