新TOPIXで何が変わるのか――986銘柄への絞り込み、追加35銘柄、キオクシアのウエイト増をクオンツ出身者と個人投資家が読む

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概要

日本取引所グループは10月7日、新しいTOPIXの構成銘柄を発表した。新たに採用されたのは35銘柄で、構成銘柄数は現行の1634社から986社に減る。移行は2028年7月まで段階的に進む。番組では、司会のオモロー山下氏が、クオンツとして指数の銘柄入れ替え予想を手がけてきた大川智宏氏と、個人投資家のもふもふ不動産・もふ社長に話を聞いた。中心となった問いは、今回の改定が株価にどれほど影響するのか、新規採用銘柄をどう評価するのか、NISAなどで長期投資をする個人はTOPIXと日経225のどちらを選ぶべきか、の3点である。

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「予想しやすい改定なので、すでに織り込まれている」

大川氏はまず、今回の改定には「懐かしさ」を感じると話した。クオンツは数字を使って市場を予測する仕事で、新しい指数ができるときや構成銘柄が入れ替わるときには、どの銘柄が入るかを予想する役目を負わされる。ヘッジファンドなどの機関投資家は、入れ替え情報をいち早く手に入れ、ほかの投資家が織り込む前に買っておきたいからだ。

そのうえで大川氏は、今回の改定は予想しやすいと述べた。基準日が決まっており、その時点で数値条件を満たした銘柄が入り、満たさない銘柄は外れる。ルールが数字だけで決まるので、予想はまず当たる。そのため改定の情報はかなり前から株価に織り込まれていて、実際のインパクトは大きくないというのが大川氏の見方だ。過去には「鉛筆なめなめ」のように基準のあいまいな指数の予想もさせられ、外したときのことを思うと発表の瞬間はひどく緊張したという。今回はそれに比べてずっと扱いやすいと話した。

山下氏は、日経225よりTOPIXを多く買っているので、このニュースは少しうれしかったと明かした。

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日経平均は「日本株の指数として見てはいけない」

もふ社長は今回の改定を高く評価した。日経平均は株価の水準が指数に影響する仕組みのため、市場の姿をゆがめているとみている。「日経平均は上がったのに持っている株は下がった」という話がよく聞かれ、上位5社ほどで約70%を占めている、ともふ社長は指摘した。時価総額に連動するTOPIXのほうが指数として健全であり、時価総額や流動性の低い銘柄を外して機関投資家が買いやすくなるなら、基準となる指数が日経平均からTOPIXへ移っていくきっかけになる。もふ社長はこれを「1歩、2歩、3歩」と前進している印象だと表現した。

山下氏が、日経225は半導体銘柄に偏ってナスダックのようだと言われるが、TOPIXはそれに近づくのかと尋ねると、大川氏は両者はそもそも別物だと答えた。大川氏によれば、日経平均は日本経済や株式市場全体の動きを表すものではなく、日経が選んだ日本を代表する大企業、つまりブルーチップを集めた指数である。その時々のトレンドで評価されている銘柄や、世界から注目される銘柄が入りやすい。どういう姿になるかは選び方と計算方法にかなり左右される。一方のTOPIXは、改定前から時価総額の大きい銘柄の影響が大きく、小さい銘柄の影響が小さくなる「時価総額加重平均」で設計されており、日本株全体の動きを映すことを目指している。米国にたとえると、TOPIXはS&P500に近い。日経225については、山下氏が挙げたナスダック100よりもダウに近いと大川氏は答えた。

7:02

986銘柄でもまだ多い――段階的な絞り込みの始まり

山下氏は、986銘柄でもまだ多いのではないかと疑問を出し、大川氏も「多い」と同意した。大川氏は、今後も段階的に減らしていくと予想している。上場企業が多すぎるという議論から始まり、TOPIXに流動性の乏しい銘柄が含まれる問題は以前から指摘されてきた。指数に連動する商品は、流動性のない小型銘柄の値動きが影響してしまい、指数に正確に連動させるのが難しい。そうした銘柄を外し、商品を設計しやすくするのが今回の取り組みだと大川氏は理解している。これまでのTOPIXは事実上、旧東証一部、現在のプライム市場の銘柄を指しており、入れ替えはあまり行われてこなかった。S&P500のように「採用された」というニュースを耳にすることが少なかったのはそのためだという。

山下氏が、TOPIXは日本の「一軍」のはずなのに、浮動株が少なく値動きもしない「幽霊部員」のような銘柄があると聞いたと話すと、大川氏は「いっぱいある」と認めた。浮動株について山下氏は、創業社長が株の50%を持っていて売らないような会社では、市場で売買される株が少なくなる、と補足した。

もふ社長は、旧東証一部に上場しているだけで、大株主が持ち続けて流動性もなく誰も買わない銘柄を、強い言葉で「やる気のない」銘柄と呼んだ。今回はそうした銘柄を外し、グロースやスタンダードから基準を満たす流動性のある銘柄をまとめて入れた。今後はプライムに上がらなくてもTOPIXに入れるし、プライムの中でも条件を満たさない銘柄は外れる。もふ社長は、流動性があり株主還元に取り組む企業が選ばれていくことで、TOPIXがより標準的な指数になると見ている。銘柄数についても、S&P500に近い規模へ向けて基準を引き上げていくだろうと予想した。大川氏も、流動性の高い銘柄は日本の中で注目されている銘柄でもあり、もっと絞り込んだほうが日本を象徴する指数になるだろうと述べた。

11:53

新規採用の半導体銘柄――フェローテックと上村工業

話題は新たに採用された半導体・AI関連銘柄に移った。山下氏はフェローテック、上村工業、AIメカテックを挙げたが、自身は知らなかったと笑った。

もふ社長も全部を知っていたわけではないという。フェローテックについては、半導体製造装置の真空環境の中に動力を伝えるための真空シールや、石英製のチャンバーなどを手がける会社だと説明した。今回初めて知った会社で、決算は良くなってきているものの、すごく注目するほどには見えなかったという。

上村工業は、もふ社長が以前から調べていた会社である。めっき装置を手がけており、イビデンが作るような緑色の基板に銅配線を形成する工程でめっきを使う。もふ社長はやや専門的な話だと断りながら、めっきは薬液に電気を流し、還元によって銅を析出させる仕組みで、上村工業はその薬液の交換なども担っていると説明した。これまではTSMCなどが進める前工程が中心だったが、今後は後工程の比重が高まり、3次元化やHBMといった技術が広がる。そうなれば基板が売れ、めっき装置や薬液の需要も増える。もふ社長はこう見て、後工程の成長に関連する会社として注目してきたという。

14:01

35銘柄の共通点――もともと注目されていた銘柄が入った

山下氏は、TOPIX採用をきっかけに名前が知られるようになるのかと尋ねた。大川氏は、その可能性はあるとしつつ、35銘柄の顔ぶれには共通点があると述べた。ひとつは、ある程度の時価総額がありながら、無理にプライムへ移らなくてもよいと考えていた企業である。もうひとつは、日本マクドナルドやエスビー食品のように、もともと誰もが知っている食品株などの企業。そしてハイテク業種である。採用されたのは出来高があるからで、出来高があるのは市場で注目されているからだ。ハイテクの界隈では以前から取引され、投資家にも情報が知られていたはずだ、と大川氏は説明した。

具体例として大川氏は、高配当株としてよく紹介される沖縄セルラー、スキマバイトのタイミー、自動運転のティアフォー、個人投資家に人気のワークマンを挙げた。いずれも何らかの理由で注目され、流動性もあったので、選ばれるべくして選ばれたという見方である。

山下氏は、日本マクドナルドが採用を発表されても株価がほとんど上がらなかったというニュースを見たと話した。S&P500なら採用のニュースで大きく上がるのに、TOPIXはそうならないのかという問いに、大川氏は、TOPIXの採用は事前に計算できてしまうので発表だけでは上がらないと答えた。むしろ採用銘柄は発表後に下がったという。改革の話はずっと前から出ており、インパクトは限られるというのが大川氏の評価である。

17:13

キオクシアのウエイト増加と「需給だけの上昇は元に戻る」

山下氏が最も気にしていたのがキオクシアである。キオクシアはすでにTOPIXに含まれているが、浮動株の扱いが変わってウエイトが段階的に増え、山下氏の理解では11月には50%程度の水準になる。その影響でパッシブファンドから2兆円ほどの買いが入るという予測もある。「さすがに上がりますよね」と山下氏が聞くと、大川氏は慎重な見方を示した。

大川氏は以前から「メモリーは危険だ」と言ってきたという。山下氏も、PERが4倍や5倍なのに上がらないのは信頼されていないからだ、という大川氏の発言を覚えていた。大川氏はこれをTOPIX全体にも通じる話だとした。新しいTOPIXで質が上がり、機関投資家が商品を設計しやすくなり、キオクシアのウエイトが増えるのは前向きな話である。TOPIX連動型の運用資産は、外部の推計で正確な値はわからないとしながら、約160兆円と言われている。それが新しい構成に合わせて買えば株価は押し上げられる、という理屈は大川氏も認める。

しかし大川氏は、日銀のETF買いを思い出してほしいと話した。アベノミクスで異次元緩和が始まった2013年ごろから、日銀は金利を下げ、量的緩和を行い、TOPIXのETFを大量に買った。この買い入れは2024年ごろまで続いた。山下氏はアベノミクスで株価が大きく上がったと思っていたが、大川氏は、日本株は2019年まではレンジ相場で派手に上がっていたわけではなく、本格的に上昇したのはコロナ後の2021年ごろからだと説明した。日銀が市場を支えていたのは事実だが、今は日銀が買っていないのに株価は高い水準にある。大川氏の結論は、経済や企業のファンダメンタルズがついてこなければ、買い支えや需給で上がっても最終的には元に戻る、というものだ。瞬間的なイベントとしては重要だが、オーバーシュートすれば売りが出る。

もふ社長は、東芝がキオクシア株を売り続けている点を指摘した。大量保有の変更報告も出ており、東芝はまだ11%程度を持っているとみられる。10月末から11月末にTOPIX関連の買いが入れば、東芝はそこに売りをぶつけてくるのではないかと、もふ社長は予想した。理由については、利益を確定してほかに投資したいのだろうと推測する。TDKのハードディスク用ヘッドに関わる買収の話が出て、キオクシア株が下がった場面もあったという。山下氏が買収資金にあてるためかと尋ねると、もふ社長はそうした思惑もあるかもしれないと答え、東芝はハードディスクで世界3位のシェアを持っていると付け加えた。いずれにしても、需給で本来の価値より高く買われたら、その時点で逃げる必要があるという点で2人の話は一致した。

22:47

マイクロンとサムスンの決算が示したメモリー株の弱さ

大川氏がメモリーは厳しいと改めて感じたのは、マイクロンの決算後の値動きを見たときだという。前年比で数百%、4.5倍といった数字の極めて強い決算で、見通しも強かった。株価は時間外取引で発表直後にいったん跳ねたものの、その後売られてほぼプラスマイナスゼロになり、翌日はむしろ下がった。大川氏によれば、アナリスト予想を集計すると、メモリー企業の業績は3期先、つまり2〜3年後から減益になると見込まれている。山下氏は、そこまで先のことを今から織り込むのは早すぎると反論した。大川氏は、3年後は誰にもわからないが、遅かれ早かれそうなると予想されているなら、ほかに魅力的な投資先はいくらでもある、と答えた。

山下氏はサムスンの速報決算も持ち出した。強い決算だったのに、コンセンサスにわずかに届かなかっただけで株価が下がった。四半期の営業利益でエヌビディアを超えたと言われているのに下落するのは理解できない、と山下氏は不満を述べた。これに対し大川氏は、マイクロンの粗利益率が87%に達していることを挙げ、そのようなビジネスを維持するのはおそらく無理だと述べた。値上げしすぎていれば買わない顧客も出てくるし、それだけ儲かるなら競合も参入してくる。需給で押し上げられた利益はいずれ修正される、という考え方だ。

それでも大川氏は、メモリーに投資してはいけないとまでは言わない。価格高騰で利益率が上がっているのは事実で、その状態が想定より長く続けば「まだ続くじゃん」と株価が跳ねる可能性はある。もう一度花火が上がることはありうるが、リスクは高いので、やるなら腹をくくってやるべきだ、というのが大川氏の立場である。

25:58

大川氏の注目分野――海外売上の大きい食品株

もっと良い投資先があるという大川氏に、山下氏が今回の採用銘柄の中で挙げるならと尋ねると、大川氏は個人的に食料品が好きだと答えた。大川氏が有望視しているのは大型の食料品株で、エスビー食品が大型株に当たるかは精査が必要だと断りつつ、調味料などで海外売上の大きい企業は強いという。海外で日本食の人気が高まっており、価格転嫁によって利益を改善している食品メーカーは多い。輸出比率や海外売上比率の高い企業を探すのがポイントだと大川氏は説明した。

その根拠として大川氏は、ファーストリテイリングの決算を挙げた。日本も伸びてはいるが5〜6%程度で、北米と欧州は20〜30%伸びている。海外売上は6割前後になっている。大川氏はここから「残念だけど、日本で勝負しちゃダメ」と述べ、海外で伸びる企業を探さなければ勝てないと話した。新たに採用された銘柄には、これまであまり見えていなかったが成長を始めた銘柄や、注目を浴び始めた銘柄が多く、これから海外で勝負する企業も含まれているはずだという。その観点で選別するには、絞り込まれた今回のリストは探しやすいと大川氏は述べた。

28:30

もふ社長の注目銘柄1――光ファイバー研磨の精工技研

もふ社長が新TOPIX採用銘柄で注目しているのは精工技研である。フジクラなどが作る光ファイバーの先端を研磨する装置を手がけている。電気ならコンセントに差せばつながるが、光をつなぐには、ファイバーから出た光がもう一方のファイバーにきちんと入るよう端面を磨いておく必要がある。磨きが不十分だと光が入らなかったり弱まったりする。精工技研はその研磨装置を作っている。

もふ社長が注目したきっかけはフジクラの決算だった。フジクラはハイパースケーラーからの受注が大きく増えたとして、業績予想を2回上方修正した。光ファイバーが売れるなら研磨装置も売れるはずだ、ともふ社長は考えた。精工技研はデータセンター向けの光ファイバー研磨装置でかなりのシェアを持っていると、もふ社長はみている。売上と営業利益率は急に跳ね上がった。株価はすでに一度上がったあと6月ごろから下がり、また反発しそうな形になっているので、もふ社長は良いタイミングだと見ていたところにTOPIX採用が重なったと話した。

山下氏が、エヌビディアのデータセンター向けに出荷しているといった開示はあるのかと尋ねると、もふ社長は研磨装置なので納入先はわからないと答えた。そのうえで、研磨装置の分野ではトップクラスのシェアとみられ、データセンター内の通信が電気から光に置き換われば、光ファイバーを扱う企業の多くが買っているのではないかと推測した。光ケーブルをコネクターにつなぐフェルールも作っており、コネクター関連の売上も伸びているという。電気の伝送が限界に近づき光に切り替わる局面にあることが、もふ社長が面白いと考える理由である。

31:00

もふ社長の注目銘柄2――量子ドットのQDレーザ

光電融合関連としてもふ社長が挙げたのがQDレーザである。光電融合とは電気と光を1つのパッケージにまとめる技術で、コパッケージドオプティクスと呼ばれる。チップから光を出すにはレーザーが必要だが、レーザーは熱に弱く、半導体は大きく発熱するので、チップの中に入れるとレーザーが壊れてしまう。そのため現在は、チップの外に外部レーザー光源(ELS)を置き、光ファイバーを通して光を供給する方式が主流で、コヒレントやルメンタムがこれを作っている、ともふ社長は説明した。

従来のレーザーはインジウムリンを使っているが、QDレーザは量子ドット方式を採用している。電子を3次元の小さな「島」に閉じ込めることで、熱に強いレーザーを作れるという。現在はレーザーをチップの外に置いているのでQDレーザの出番はまだ限られる。しかしエヌビディアのヴェラ・ルービンの次となるファインマンなど、さらに先の世代でレーザーをチップの中に入れるようになれば、QDレーザのような熱に強いレーザーが使われるかもしれない、ともふ社長は見ている。株価はこの半年で10倍近く上がったが、売上はまだそれほど伸びておらず、もふ社長は「宝くじみたいな」夢のある銘柄だと表現した。

山下氏が赤字かどうか尋ねると、もふ社長は、量子ドットレーザーの事業自体は黒字だが、別の分野で赤字が出て相殺されている決算だと説明した。すでに量産して売上も出ており、新しい工場を建て装置を買って供給を増やそうとしている段階なので、良いタイミングだと評価した。大川氏も、このあたりは夢があって面白いと応じた。

33:44

自動運転・宇宙銘柄と「免許がなくても乗れるか」

山下氏はティアフォーなど自動運転関連の採用についても大川氏に意見を求めた。大川氏は、こうした銘柄がTOPIXに入ってくるのはうれしいと答えた。米国では自動運転がほぼ実用化に近い状況にあり、テスラが先行しているとしたうえで、日本にも技術的に強い領域がある。グロース市場から新しい技術を持つ日本企業が出てくるのは良いことで、アストロスケールのような宇宙関連も同様だと述べた。ただし、長い目で成長を期待するものと割り切って持つべきで、ティアフォーは時間がかかるだろう、日本で自動運転を実現するのは難しく何年もかかるのではないかとも話した。

山下氏は、番組の収録後に駅へ向かう途中で、ウェイモと思われる車が走っているのを見たが、人が乗っていたので試験中だろうと話した。大川氏は自動運転は「絶対必要」だと言い、その理由として自分が運転免許を持っていないことを挙げた。酒を飲むので、持っていると危ないと考えたからだという。もふ社長は、自家用車の自動運転は何か起きたときに自分で運転する必要があるので免許が要るが、自動運転タクシーは遠隔操作で対応するので乗れるだろうと整理した。

36:12

SaaSは「死なない」――AIとソフトウェアは組んでいく

会計SaaSのfreeeについて、大川氏は個人的にSaaSは中長期でまだ伸びると考えていると述べた。以前から「SaaSは死なない」と言い続け、実際に株価も戻ったという。OpenAIなどがエージェント型AIのツールを出すたびに「もうSaaSはいらない」という話題になるが、大川氏はそうはならず、しばらくは大丈夫だと見ている。

もふ社長は、セールスフォースとOpenAIのように、ソフトウェア企業がAIモデル企業と組んで製品を出す動きが出てきていると補足した。大川氏は本来そうあるべきだと応じ、アクセンチュアの決算も非常に良かったと付け加えた。山下氏が、アクセンチュアがアンソロピックの管理や審査のような役割を担うことについて、コンサル会社では審査が甘くなりそうだと冗談めかすと、もふ社長は、アクセンチュアはAI人材を大きく増やしていると紹介した。当初は6万人か8万人規模にする目標だったが、前倒しで11万人ほどに増やしており、AIに食われるどころかAIを活用してビジネスを広げようとしているという。

山下氏は、AIモデル企業だけでは儲けきれず、AIを使いこなすのはソフトウェアだと整理した。大川氏は、ソフトウェアとAI企業が組んで稼ぐ動きはまだ始まったばかりだと述べた。山下氏はこれを受けて、それならAIブームも弾けないということだとまとめた。

38:48

NISA・長期投資家は「気にしなくていい」

後半は新TOPIX時代の投資戦略に話が移った。投資信託を積み立てている人はどう動くべきかという問いに、大川氏は「気にしなくていい」と答えた。今回の改定の主眼は、商品がぶれずに設計通り動くようにすることで、時価総額や浮動株をもとにウエイトを計算すれば、新旧のTOPIXに大きな違いはない。山下氏が、これまで日経225にある程度連動していたものが連動しなくなるのかと尋ねても、大川氏は関係ないと答えた。山下氏は「急に興味なくなった」と応じた。

大川氏によれば、日経225のような動きを追いかけてパフォーマンスを上げようとする指数を作ってはいけないのであって、意図は日本の主な上場銘柄を正確に追跡できる指数を作ることにある。元気のない企業を外したのは事実だが、外れた銘柄はもともと時価総額が小さく、ウエイトはごくわずかだった。値幅はほとんど変わらず、動きが少し安定するかもしれない程度だという。大きく変わるようなものであってはならない、とも大川氏は述べた。

個別銘柄への影響についても、大川氏は最終的にはファンダメンタルズ次第だとした。ただし需給による一時的な変動は起こりうる。基準日は10月30日なので、その前日、29日の大引けにかけて、新TOPIXの構成とウエイトに合わせるファンドの買いが入る可能性がある。30日が始まってしまうと指数とずれてしまうからだ。これはデイトレードに近いレベルのイベントで、終われば織り込まれて終わる。今後は年1回程度の定期入れ替えになり、このイベントが毎年起こるイメージだと大川氏は説明した。

42:55

基準を設けたこと自体が企業を動かす

もふ社長は、これまでTOPIXは投資家目線で買いにくかったと話した。銘柄が多すぎ、信用できない銘柄も含まれているイメージがあったからで、自身はS&P500やオール・カントリーを積み立てている。今回はロングテールの末端を切っただけで中身は大きく変わらないが、信頼できる指数へ育っていく第一歩であり、TOPIXを積み立てに加えてもよいと思うきっかけになったという。

さらにもふ社長は、指数そのものの値動きより、企業側の変化のほうが大きな意味を持つと見ている。TOPIXから外れれば売られるので、採用されるためにIRを充実させたり、株主還元に取り組んだりする企業が出てくる。厳選して選ぶ姿勢を示すことでTOPIXの信頼が高まり、いずれニュースでも、半導体に偏った日経平均ではなくTOPIXが中心に報じられるようになってほしいと話した。大川氏もこれに同意し、入るか入らないかの基準を設けたことが最大の目的で、それによって企業が自社株買いなどに取り組むようになることを狙っているのだろうと述べた。

山下氏は、S&P500のすごさは「世界最強の500社」であることなので、日本も最強の300社くらいに絞ったほうがいいのではと提案した。大川氏は、それでは日経225と変わらなくなると応じたうえで、業種やウエイトを分散させた指数はJPX日経400のように試みられてきたが、日経平均の知名度と商品性には及ばなかったと説明した。TOPIXは海外投資家にヘッジ手段として人気がある。資金を現金のまま置いておけない場合にTOPIX先物を買って置いたり、市場全体の影響を除くためにTOPIX先物を売ったりする。日経平均がそうした使われ方をすることはまずなく、先物を含めて投機的な短期売買で人気がある。性格がまったく違うので、TOPIXには日本経済と株式市場の全体を正確に反映することが求められ、今回の改定はその役割を確かなものにして信頼性を高めた、というのが大川氏の整理である。

46:55

TOPIXを買うべきなのはどんな人か

最後に、どんな人がTOPIXを買うべきかが話題になった。大川氏は、最近の日本の良い変化として、TOPIXの上がり方がS&P500に近くなってきた点を挙げた。ボラティリティが小さく、淡々と上がり続けるようになった。日経平均は値動きが激しく、それを好む投資家もいるのでそれでよいが、中長期投資を重視し、しかも日本株に投資したいならTOPIXはありだという。大川氏によれば、日本株はもともと世界でも有数のボラティリティの高い市場で、そのリスクの高さゆえに機関投資家があまり入ってこなかった経緯がある。TOPIXが安定して上がるようになったのなら、それは日本株の強みになり、個人でも長期ならTOPIXはありだと大川氏は述べた。

もふ社長も、日本全体に満遍なく、時価総額の大きい企業へ投資したいならTOPIXが最良の選択だと話した。日経平均では、時価総額の大きさではなく株価の高さによって、ソフトバンクグループやアドバンテストが上位に組み込まれ、おかしなことになっている。日本全体が成長していくと考える人にはTOPIXが向いている、というのがもふ社長の見方である。

議論の結論として山下氏がまとめたのは、リスクを好む野心的な投資家は日経平均、安定を求める投資家は日経平均と比べれば安心できるTOPIX、という分け方だった。大川氏ともふ社長もこれに同意した。改定そのものが株価を大きく動かすわけではないが、選定基準ができたことで、企業の行動と指数への信頼がどう変わっていくか。銘柄数のさらなる絞り込みと合わせて、それが今後の焦点として残された。