政党交付金は誰のための税金か 浅尾慶一郎氏が語る「みんなの党14億円返還」と中道の存続問題

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概要

政党交付金は国民1人あたり年間約250円、総額約315億円が政党に配られる税金である。中道改革連合は事実上解体したが、議員1人を残して政党を存続させ、交付金を受け取り続けようとしている。この動きに批判が集まるなか、ReHacQの今野忍氏が自民党参議院議員で元環境大臣の浅尾慶一郎氏に話を聞いた。浅尾氏は2014年にみんなの党を解党した際、残った交付金を国庫に返している。番組はその経験を軸に、中道のやり方の問題点、交付金という制度が選挙制度と組み合わさって生む作用、そして簗大臣の発言問題までを扱った。浅尾氏の一貫した立場は、税金を受け取る以上、使い道を自ら説明しなければならないというものである。

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浅尾氏の経歴と政治を志したきっかけ

浅尾氏は東京生まれで、栄光学園から東京大学に進み、日本興業銀行(現在のみずほフィナンシャルグループ)に入った。在職中に米スタンフォード大学のビジネススクールへ留学している。浅尾氏によると、興銀の1年後輩には、約1カ月後にハーバードへ入学した楽天の三木谷浩史氏がいた。

政治を志したのはスタンフォード留学中だという。同校には起業する学生が多く、浅尾氏の1学年上にはスティーブ・ジョブズ氏の妻になった人もいた。アメリカ人の友人と話すうちに、ベンチャーを作るのも面白いが、政治家になって日本を変えられたらもっと面白いのではないかと口にした。すると友人から、やってみればいい、ダメでも仕事はある、と西海岸らしい軽い調子で返された。帰国後、新進党の候補者公募の記事を妻が新聞で見つけ、論文を書いて応募したところ、31歳で合格した。合格後もしばらく迷ったが、最後は友人の「無責任な言葉」を思い出して挑戦を決めたと浅尾氏は振り返る。

最初の選挙は1996年、神奈川4区だった。学校があった鎌倉を含む選挙区を選んだという。小選挙区に6人が立つ激戦となり、当選した自民党候補の得票率は29%で、浅尾氏は25%で次点だった。浅尾氏によれば、29%は全国最小の当選得票率である。当時の新進党は、いまの中道と同じく公明系の候補が比例に回り、小選挙区の候補は比例と重複しない仕組みだった。浅尾氏はこれを踏まえ、29%と25%なら悪くない結果だったと評価している。その後、新進党は解党し、多くの議員が民主党に合流して新しい民主党ができた。浅尾氏は1998年の参院選で初当選した。

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簗大臣の「予算を削った」発言をどう見るか

本題の前に、収録当日の国会で話題になっていた簗大臣の問題を取り上げた。週刊誌が報じた録音音声で、簗氏は自分を応援しなかった首長がいる市町の予算を削った、自分が取ってきた予算をなぜ応援しない首長のところにつけなければならないのか、という趣旨の発言をしていたとされる。今野氏は、選挙区の栃木3区がかつて浅尾氏の上司であり同僚でもあった渡辺喜美氏の選挙区でもあると触れたうえで、予算を「削る」話を聞いたことがあるかと尋ねた。浅尾氏も、聞いたことはないと答えた。

浅尾氏は、事実がどうであれ本人が説明しなければならないと強調した。予算の策定や箇所付けは各省庁が行っている。そこに関与したのかしなかったのか。関与していないのにそう発言したのなら、その理由を説明する必要がある。仮に、応援しなかったからではなく、事業の必要がなかったから削られたのであれば、税金の使い道としては正しい。しかしその場合は、支持者の前で言ったことと表で言っていることがなぜ違うのかを説明しなければならない。今野氏はこれを受けて、国土交通省に働きかけて削ったのなら地方行政をゆがめたことになり、働きかけていないのなら支持者に嘘をついたことになる、と整理した。進退を論じる前に、現時点では説明がまだ十分ではない、というのが浅尾氏の見方である。

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みんなの党はどうやって交付金を国に返したか

みんなの党は2014年11月末、両院議員総会で解党を決めた。当時の所属国会議員は20人前後だった。番組のスライドによると、残金約8億円を国に返し、12月分の約6億円は受け取らず、合わせて約14億円を手放した。

浅尾氏は、前日に当時の事務局担当者と会って細部を確かめたと前置きし、手続きを説明した。まず「みんなの党清算中間法人」という法人を作り、そこへ一部の資金を移した。政治資金収支報告書は1月から12月の暦年で締めるため、年をまたいで党がお金を払うことはできない。11月末の解党で年末まで時間がなく、把握していない債権者が後から現れたときに、残金を全部返していたら払う原資がなくなる。そこで受け皿として中間法人を置いた。債権者に名乗り出てもらう公告の期間は2カ月だった。

残った財産の扱いについて、法律には、解散した政党の財産で帰属先のないものは国に帰属すると書かれている。ところが事務局担当者が分厚いファイルを持って総務省に行くと、そんなことはやったことがない、受け取る組織もない、と最初は言われた。法律にそう書いてあると押し、当時の高市総務大臣のもとで、残額を国庫に返すための書式や受け皿を整えてもらったという。浅尾氏の言葉では、なかったものを作った。年をまたいだ分も同じ手続きで返し、合計約14億円になった。

この経緯は2023年公開のドキュメンタリー映画『1.4ビリオン』になっている。

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「返します」と先に言ってしまった

党内で、もらえる交付金を返すことに異論はなかったのか。今野氏の問いに浅尾氏は、もちろん言われたと答えた。8000万円がもらえるのに、という趣旨の声もあったという。

浅尾氏が取った方法は、解党の話が持ち上がって報道陣が詰めかけた時点で、解党するなら残った交付金は国に返すと先に公言することだった。一度表に出してしまえば、後から反対とは言いにくい。言えば、金が欲しいから反対しているのだろうと見られる。それでも、名前は出さないとしたうえで、総務省に「あれは俺の金だから受け取るな」と電話した人がいたらしい、と浅尾氏は明かした。

返還を貫いた理由について、浅尾氏は党の看板を挙げた。みんなの党は行政改革を一丁目一番地に掲げ、税金の無駄遣いをなくすと言い続けてきた。党がなくなるときにもその主張を全うするのが筋だと考えた、という。

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中道改革連合の交付金はどうなっているか

番組では、中道の経緯を時系列で確認した。1月16日に立憲民主党と公明党の衆議院議員による新党結成が決まった。2月8日の衆院選で中道は49議席を得た。この選挙の議席数と得票数で、今年の交付金額が決まっている。9月9日に事実上の解体が決まったが、党は存続し、代表は渡辺創氏1人となった。公明系の28人は公明党に復党し、立憲系の18人は新党「民主改革の会」に参加した。泉健太氏は新党に加わらなかった。

2026年分の中道への交付額は23億3881万円で、議席割と得票割を半分ずつ足した金額である。交付は4月・7月・10月・12月の年4回に分かれる。4月分と7月分の各約5.8億円はすでに受け取り済みで、残る約11億6940万円が未交付となっている。解党すれば残りは受け取れなくなる。

本来なら分党の手続きを取れば、交付金は分かれた先にそれぞれ配分される。しかし今回は、分党の手続きには時間が足りないとされた。今野氏の表現では、公明系は荷物を残したまま実家に帰り、民主改革の会もこの器から出て行った。そのままでは解党となって交付金がもらえなくなるため、1人だけ残して存続させた、という構図である。中道の小川淳也代表は、選挙の支払いを猶予してもらっている分が10億円ほどあり、それを返すためだと説明している。

今野氏は個人的な考えとして、全員が中道に残って借金を解消するまで続けるべきだったと述べた。公明系も、自分たちが戦った選挙の借金を残して出て行ったのだから我慢すべきだったという。この考えをXに投稿したところ批判されたが、間違っているとは思わない、とも話した。

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来年以降は1人の政党に17億円

浅尾氏は、今年の残り約11.7億円については、選挙の負債が本当に10億円あるなら受け取ることもあり得ると認める。問題にしたのは来年以降である。

浅尾氏が総務省に確認したところ、1人だけ残った中道が来年受け取る額は約17億円になるという。浅尾氏の説明では、今年の得票割は選挙のあった2月以降、3月から12月の10カ月分で計算されている。選挙がなければ来年は12カ月分になるため、得票割は約11.5億円から約16億8000万円に増える。これに渡辺氏1人分の議席割約2000万円が加わって約17億円になる。今野氏は、次の解散まで仮に3年あれば約51億円が1人の政党に入る計算になると指摘した。

浅尾氏は処理の道筋も具体的に示した。今年の残り約11億6940万円を受け取り、10億円の負債を返す。残る約1億6940万円は「中道改革連合清算中間法人」のような法人に移しておき、未知の債権者が現れても対応できるようにする。そのうえで年末に解党すれば、交付金はきれいに流れる。2月の選挙の負債なら、党が自ら発注したものなので額は把握できているはずだ。公告から2カ月で債権者を募る仕組みも使える。浅尾氏は、中間法人を作らない時点で、そうした清算をするつもりはないということだと述べた。

浅尾氏は10億円という数字にも疑問を示した。中道自体は選挙前に交付金を受けていなかったが、もとの公明党と立憲民主党は衆院選に備えて基金を積み立て、そこから資金を出しているはずだ。それを使ってなお10億円足りないのかと問いかけ、仮に本当に10億円あるなら返せばいいだけの話だと続けた。

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分け前と「ブーメラン」の問題

今野氏は、中道は解党せず、いずれ民主改革の会を吸収するのではないかと見る。浅尾氏は、そうすればお金は受け取れると認めたうえで、公明系への配分という論点を挙げた。得票割の票には公明系も協力している。その人たちが一切受け取らなくていいのか、という疑問である。今野氏は、公明系は比例で優遇され、21人から28人に増えたうえで、中道の名前で票を得て公明党に戻ったのだから、分け前をよこせとはさすがに言わないだろうと応じた。

二人が繰り返し指摘したのは「ブーメラン」の構図である。中道の議員が簗氏を税金の使い道で追及しても、自分たちはどうなのかと返されてしまう。今野氏は、三つに分かれたうちで最も小さいところが17億円と最も多くもらうのはおかしいと述べた。ただし中道側はそうするとは明言しておらず、まだ追っていく必要があるとも付け加えた。

浅尾氏が小川氏の立場だったらどうするか。答えは、解党して受け取った交付金の大部分を債務返済に回し、その過程をオープンにする、というものだった。仮に存続させるにしても、本当に説明するなら「17億円が欲しい」と言うしかないはずだ、とも述べた。負債を返した後の17億円を何に使うのかを説明しなければならないからである。中道の政策実現のためという理屈なら、49人のままでよかったことになる。浅尾氏は、小川氏が「第2章」で国民に期待を持たせたいのなら、裸一貫でゼロから始める方が、17億円を得て失う票より得るものが多いのではないかと話した。小沢一郎氏の離党にも触れ、こうしたごたごたを見て見切ったのではないかと推測した。

浅尾氏は自民党の立場からも、しっかりした野党がいた方が自民党にも緊張感が生まれていいと述べた。簗氏の問題を抱える今の自民党も、決して褒められたものではないとしている。

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政党交付金という制度の基本

番組では制度の概要も確認した。交付金は年間約315億円、国民1人あたり約250円で、赤ちゃんも含めた計算になる。今野氏はこれをコーヒー1杯分と表現した。原資は100%税金で、年4回に分けて交付される。受け取る要件は、国会議員5人以上か、直近の国政選挙で得票率2%以上かつ国会議員1人以上である。中道は渡辺氏1人が残ることで、後者の要件を満たしている。

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制度を最も「計算して」使った政党

今野氏の問いに浅尾氏が挙げたのは、NHKから国民を守る党だった。浅尾氏の見立てでは、同党は得票率2%と国会議員1人の要件を満たすにはどうすればいいかまで計算していたと思われる。ただし本人たちから聞いたわけではなく、外形的にそう言えるという前置き付きである。

浅尾氏が特に注目するのは、東京のように定数が多い選挙区に何人も候補を立てたことだ。得票割では、候補の名前で入った票も死票にならず、党の交付金になる。浅尾氏によれば、参院選の票は1票あたり約39円、衆院選は約70円になる。参院は半数改選のため単価が違うという。普通の政党なら供託金分程度の公認料を出すが、同党は供託金を候補者自身に出させていた。党の懐は痛まず、集めた票はそのまま交付金になる。

浅尾氏はこの仕組みを、みんなの党の経験からも説明した。結党当初は資金がなく、お金を持っている人を候補者にした。ただお金があるからではなく、ある程度優秀な人に、という意味だと補足している。議員がそろってくると計算が変わる。参院選で10万票取れば、当選しなくても1票38円で約380万円が6年間入る。だから1000万円程度の公認料を出してもいいと判断できる、という。

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野党が割れるのは比例代表があるから

今野氏は、この制度があるから野党がいくつにも割れるのではないかと問うた。浅尾氏は、年末になると決まって新党ができるのは交付金を見込んだものだろうと認めた。そのうえで、野党がばらばらになる最大の理由は比例代表があることだと述べた。2%は50分の1にすぎず、極端に言えば一つの主張で届いてしまう。

浅尾氏は例として、かつて友人たちと冗談半分に作った「麦芽党」を紹介した。政治団体の登録はしていないという。当時はビールと発泡酒の税率が違っており、政策は「サラリーマンが心配なくビールを飲めるようにする」の一本だった。ほかに同じ主張をする政党がなければ、ワンイシューでも議席が取れてしまう。今野氏が、今回のチームみらいがそれに近いのではないかと水を向けると、浅尾氏は、消費税減税に唯一反対した同党が政党要件を満たしたことを挙げ、それが可能なのは比例区があるからだと答えた。

浅尾氏の結論は、衆参両院から地方議会まで全て小選挙区にすれば、最初は自民党が圧勝するが、それがずっと続くわけではなく、野党がまとまって二大政党になるというものだ。アメリカは上院も下院も、州議会も小選挙区だから二大政党になっている。逆に全て比例にすれば、イスラエルのように第一党でも議席の2割程度にとどまり、常に連立を組まなければならなくなる。交付金だけをなくすのではなく、多党化をなくしたいなら小選挙区一本にするしかない、というのが浅尾氏の考えである。

今野氏は、アメリカでも二大政党の支持層が入れ替わる現象が起きていると触れたうえで、中選挙区制への回帰を挙げた。ただ、中選挙区では栃木3区のような保守分裂が起きやすく、同じ保守同士で支持層を奪い合い、政策ではなく「味方なら予算をつけ、敵なら減らす」という争いになるのではないかと指摘した。浅尾氏は、現在中選挙区を最も主張しているのは国民民主党だと応じた。同党は定数3で2人の名前を書く連記制を唱えている。連記制は単記の中選挙区よりは小選挙区に近づくが、小さい政党には有利かもしれないと浅尾氏は見る。いずれにせよ連立前提になりやすく、民意をスピーディーに反映させつつ多党化させないなら、全て小選挙区にするしかないという考えを改めて示した。その間、野党がどこまで耐えられるかが問題で、今回の中道のような事態になるのかもしれない、とも付け加えた。

41:00

企業・団体献金とアメリカとの比較

平成の政治改革では、交付金の導入と引き換えに企業・団体献金をやめるという話があった。自民党は交付金を約160億円受け取りながら企業献金も続けており、「二重取り」だとの批判がある。今野氏は、中央大学の中北浩爾氏のように、必要なのは禁止ではなく透明化だという考え方もあると紹介した。

浅尾氏は、企業・団体献金は世界中に存在すると述べた。交付金だけで政治をやるのは、税金だけで政党が成り立つ公営選挙のようなもので、それはそれで健全ではない気がするという。献金額が桁違いなのはアメリカで、浅尾氏は、イーロン・マスク氏1人で日本の交付金総額ぐらいを出しているのではないかと見る。大統領選の候補者が集める額は交付金をはるかに超え、カリフォルニア州の上院議員候補でも315億円を超えるかもしれない、とも述べた。これだけの資金が要るのは、個人のテレビCMが許されているからだ。アメリカでは企業より、成功した個人が大口の献金をしている。浅尾氏は、それぞれの国柄があるとしたうえで、日本では透明性を高めながら献金を続けていくことになるだろうとの見方を示した。

43:32

交付金をなくせば有利になるのは自民党

今野氏が、交付金を思い切ってやめる案を出すと、浅尾氏は、やめた場合に一番有利になるのはおそらく自民党だと答えた。企業献金も個人献金も、議員の資金管理団体や政党支部を見れば、自民党の議員への寄付の方が平均して多いだろうという。自民党側は嫌々ながら受け入れるかもしれないが、野党はとんでもないと言うだろう、と浅尾氏は見る。

交付金をやめる代わりに議員の秘書を税金で増やす案もある。これについて浅尾氏は、現職に秘書が10人いて新人は0人となれば、新人には不利だと指摘した。アメリカの上院議員は州の人口に応じてスタッフ数が違う。上院は憲法で各州2人と決まっており、一票の格差は上院では問題にされない。人口の多いカリフォルニア州と少ないアラスカ州では、スタッフの数が違うという。浅尾氏は「確かではない」と断ったうえで、アメリカでは税金で雇われたスタッフは選挙活動をしてはいけないはずだと述べた。議会スタッフも陳情処理はしているが、戸別訪問はさせないといった線引きがあるのではないかと推測している。日本の政策秘書は年収1000万円以上を国から受け取るが、地元でビラを配っても違反にはならない。

49:16

交付金は「与党に有利な制度」である

浅尾氏は、交付金はむしろ与党に有利な制度だと述べた。今の選挙制度と組み合わさると、野党が小選挙区で候補を一本化しようとする際に、遠心力として働くからだ。候補を出せば票が交付金になる。そのため、三番手の野党が本来出さなくてもいい選挙区にも候補を出し、結果として自民党が勝つ。今野氏は千葉の国政補選を例に挙げた。野党票を足すと自民党のダブルスコアだったが、国民民主、立憲、共産、維新がそれぞれ候補を立てた。浅尾氏は、補選は交付金の計算には入らないと断りつつ、同じ傾向が選挙全般にあると述べた。

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民主党政権が短命に終わった理由と歳入庁

話は2009年の民主党政権に及んだ。浅尾氏は、民主党政権が10年続いていれば企業献金も民主党に集まり、自民党の方がだんだんばらばらになっていったと思うと述べた。そうならなかったのは、政策の優先順位を誤ったからだという。

浅尾氏は政権交代の直前、民主党の安全保障政策を取りまとめた。普天間基地の辺野古移設については、県外とも国外とも一言も書かず、どちらとも取れる文書にした。ところが鳩山由紀夫氏が党首討論会で「最低でも県外」と言ってしまった。浅尾氏は、そこまでは百歩譲るとしても、政権を取ったら先にやるべきことは別にあったと話す。それが政権公約の前の方に大きく書かれていた歳入庁の創設である。

浅尾氏によると、当時、衆議院の調査室に依頼した計算では、社会保険料の取り漏れが年間10兆円あった。最大の取り漏れは、会社が社会保険に加入していないことである。税務署はどこに会社があるかのデータを持ち、会社は赤字でも源泉徴収した所得税を納める。所得税は会社の負担にならないからだ。一方、社会保険料は給与から天引きした額と同額を会社も負担する労使折半で、給与の15%程度になる。旧社会保険庁の取り立ても厳しくなかったため、加入しない方が得になっていた。国税と年金の徴収部門を統合すれば、所得税は取っているのに健康保険料を取っていない会社を電子的にすぐ見つけられる。そうすれば消費税を5%から最終的に10%へ上げなくても済み、若い世代の社会保険料負担も軽くできたはずだ、と浅尾氏は主張した。今野氏も、自身の調べでは年収1800万円程度までは税金より社会保険料の負担が大きいと述べ、減税だけを求めても手取りは増えないと応じた。

財務省が歳入庁を嫌がる表向きの理由は、国税職員と年金機構職員のモラルの違いだという。浅尾氏が調べたところ、年金機構の徴収部門は約2400人、国税は約5万5000人である。5万5000人の組織に2400人が加わっただけで組織全体がガタガタになるとは考えにくい、と浅尾氏は退ける。本音は、国税庁が財務省の下からいなくなるのが嫌なのだと浅尾氏は見る。国税は税務調査に入れる権力で、予算以上の力になるという。

浅尾氏は、民主党政権が歳入庁をやらずに辺野古問題で迷走し、短命に終わったと振り返った。さらに、政権交代後に小沢一郎氏が、陳情は民主党の都道府県連を通じてしか受け付けないとしたことにも触れた。浅尾氏は、これは自分の陣営の候補を応援すれば予算をつけるということで、簗氏と同じかもっとひどかったかもしれないと述べた。その流れをくむ人が簗氏を追及しても、またブーメランになるのではないかという。今野氏は、この陳情一元化に維新の橋下徹氏や松井一郎氏が怒り、今も民主党系を嫌っていると補足した。

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中道に残された「引き返す道」

最後に浅尾氏は、中道にはまだ引き返す道が残っていると述べた。今年の残り約11億6940万円を受け取り、負債約10億円を整理する。残額は中間法人に移し、年末の交付を受けたところで解党する。清算は中間法人の側で続ければよい。中間法人の作り方はいつでも教える、と浅尾氏は言う。実際にXで小川氏に「いつでも教授します」と呼びかけ、投稿は約50万回表示されたが、小川氏からの反応はないという。

今野氏は、今年の分は受け取って負債を整理し、余りは返す、ただ来年以降の17億円は国民的に理解できないだろう、と浅尾氏の主張を整理した。浅尾氏は、「第2章」を掲げるならまずこの問題をきれいにした方がやりやすいはずだと述べた。そのうえで、自民党を批判すべきところはしっかり批判してほしい、そうなれば自分もありがたい、と締めくくった。中道が実際にどうするかは年末まで待たなければ分からない。番組は、答えが出る12月ごろに浅尾氏を再び招くとして収録を終えた。